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Academic year: 2021

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まえがき

 生態系の物質循環を取り扱う学問分野は「生物地球化学(biogeochemis-try)」と呼ばれ,生物と環境(非生物)をめぐる物質の動きや変化,相互作用 を明らかにすることで,生態系の仕組みや環境保全機能を理解することに寄与 している.本書は森林の物質循環,すなわち生物地球化学プロセスについて取 り扱う.その中心的な役割を担うのは,樹木,土壌,微生物,その他の動植物 であり,その場の気象や地形,地質条件などによって特有の生物地球化学プロ セスを形成している.  本書では森林生態系の生物地球化学プロセスのうち,特に生元素として重要 である窒素とリンに注目し,第 2~4 章で詳しく述べる.第 1 章での物質循環 に関する概論的な説明に引き続き,第 2 章で安定同位体を用いた窒素循環の 研究手法について最新事例を含めて解説する.それらの方法を用いることで, 大気汚染に由来する大気からの窒素沈着に対する森林生態系の応答や物質循環 の変化を,より詳しく研究することが可能となるであろう.第 3 章では窒素 と並んで生態系の重要な必須養分であるリンについて,その供給源や生態系内 での動態,流域でのリン収支について事例研究を取り上げながら紹介する.第 4 章は,森林土壌内における窒素動態について全国各地で詳細に調べた研究を もとにして,列島スケールでの空間パターンの成因やそのメカニズムについて 議論する.第 5 章では生態系プロセスモデルと呼ばれるシミュレーションモ デル(BGC―ES)を用いた物質循環の研究について,実際の応用事例も含めて 詳しく解説する.森林のバイオマスエネルギー利用に伴う物質循環への影響に ついて,経済的な評価も含めた実践事例を紹介する.  本書は森林の物質循環をこれから勉強する初学者,すでに研究を始めている 生物地球化学や生態系生態学の研究者,関連分野の技術者等を含む幅広い読者 を想定した内容となっている.本書を通読することにより,さまざまな環境変 森林科学シリーズ 全13巻 【8】巻 森林と物質循環 柴田 英昭編 http://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320058248

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まえがき vi 動下において森林生態系の物質循環がどのような仕組みで成り立っているのか を多角的に理解することができるであろう.それにより,今後の持続的な森林 管理や環境機能保全に向けた取り組みがいっそう進むことを願う.  本書を出版するにあたりご尽力頂いた,共立出版株式会社の信沢孝一氏なら びに山内千尋氏に心より御礼申し上げる.  柴田英昭 森林科学シリーズ 全13巻 【8】巻 森林と物質循環 柴田 英昭編 http://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320058248

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