精神科デイケアの機能に関する一考察 一参加観察 をとお して
‑ i)Functionsofpsychiatricdaycare:basedondatathroughpartlClpantObseⅣation
医療法人社団 清泉会布施病院 三 浦 貴 代 弘前大学保健管理セ ンター 田名場 美 雪
本研究 の 目的は,デイケアがメンバー を惹 きつ ける要因を探 り,実際にデイケアが果 た してい る機能 について検 討す るこ とである。デイケアメンバー を対象 に主に参加観察法 を行 なった。結果, 「 デイ ケア場面がメンバー を惹 き つ ける要因」 と 「 プ ログラム場面がメンバーを惹 きつ ける要因」 と
2つ に整理で きた。前者 には,①家族 か ら距離 を とれ る こと,′ ②社会復帰〜 ( 就労)の準 備がで きること,③他者 との接 点がもてる こと,庄) 家以外 に居 られ る場 である ことがあげ られ る。後者 には,①役割 をもて ること,② 自らの意志で 自由に選択 で きる こ と,③特定の人物 と交流 で きるこ と,④興 味 ・関心が一致 してい ることがあげ られ る. さらに,メンバーが生活す る地域社会的背景や家族 との関係 を含む生活形態,それぞれ の精神症状や身体症状お よび身体疾患が内的状 況 と関連 してい るこ とが示唆 さ れ た。 また,メンバーの生活 を維持 し, 自分 らしい よ り快適 な生活 を構築す る場 である ことが, 当精神科デイケア の機能の一つである と考 え られた。
第 1牽 問題 と軌的 第 2 章 方
結 考
章 章 3 4 第 第 法 果 察
キー ワー ド :精神科デイケア,参加観察
第
1章 問題 と目的
1
.は じめに
民間の精神病院で心理士 として働いている筆者 は,週に一度,デイケアスタ ッフ として精神疾患を抱 えてい る人達 と過 ごす。そ こでは,楽 しかった ことや不満 に思ってい ること,人生 を振 り返って今思 う ことな ど,様 々な思いが語 られ る。精神疾患を抱 えると,日常生活が発症前 と大 きく変わることも多い。
デイケア‑の適所 もその変化の中の一つであ り,デイケア通所の続 く人,続かない人 と様 々である。デ イケアに来所 し続 けている人は,なぜデイケアに来 るのだろ うか。デイケアは魅力的な,あるいは有意 義 な場所 になってい るのだろ うか。本論では,デイケアがメンバーを惹 きつ ける要因を探索的に考 えて いきたい。
2. デ イケアの歴 史 と意 義
現行 の精神科デイケアは,1
946年, ロン ドンとモ ン トリオールで,それぞれ全 く別個 には じめ られ た ( 奥宮,2
004)1)。 日本では,50 年代 に精神科デイケアが試み られ るよ うにな り,1
987年保健所 において
「 デイケア事業」が開始 された。80 年代以降,デイケアは各地に普及 し,2000 年 には全国で991 ヶ所 と
i)本論文 は,平成16年度放送大学大学院臨床心理プ ログラムに提出 した修士論文に基づ くものである。
‑ iFl‑
なった。 そのほ とん どは,病院 に併設 されたデイ ケアで ある。
奥宮
(2004)1)に よる と,デイケアの治療 的意義 には,①安心 して治 り続 けるこ とがで きる居場所 とし ての機 能 ( 憩 いの場 ,患者 クラブ,心の根拠地)②社会復帰 ( 社会生活能力の回復 の機能)③外来診療機能 の強化拡充④退院促進 が ある。 また,浅野 (
1996)2)に よる と,精神 科デイケアの機能 は,①精神 障害者 の一人ひ と りの 自立 を援 助す るこ と②病院 と地域 の橋渡 しをす る こと③地域社 会 を障害者 に開かれた場 にす るこ とである。
実際 ,各 々のデイ ケアの形態 は,適所す る精神 障害者 の状態像やニーズ ( 生活 の安定,就 労の参加), 施設 の違 いや制約 に よって多様 であ る。 しか し,大 き く分 けて,社会生活能力 の改善な どに よって 自立 や社会 参加 が可能 にな るこ とを 目指す リハ ビ リテー シ ョンの要素 の強いデイケ ア と,地域 の生活 を維持 し生活 に潤 いをもた らす ことを重視す る支持的要素が強いデイケア とがあるとされ ている( 高野,1
998)3)0 しか し, メ ンバー は 自分 の精神疾患 について, 「 治 り続 けてい く
」とい うよ り 「 抑 え続 けてい く」 も の と捉 えてい る こ とが多 く,実際その よ うな場合 もあ る。 「自立 を援助す る」 とい うこ とも容易 ではな い。特 に病歴 が長期 にわた ってい るメンバー は,地域社会 において 自立を達成 しよ うとす るこ とが,柄 態増悪 につ なが りうる と話す ことも多い。
3. 本研究の 目的
筆者 が勤務す る精神 病院 は,病棟数3 棟 ,病床数約200 床 で,デイケアは十数年前 に開設 され た。利用 者 は約
70名 である。 このデイケアにおいて も,仲 間作 りがで きる よ うな対人交流 の場 を提供 した り, よ り自立 した生活 を送 るこ とがで きるよ う個別 的 に対応 しよ うと努 めてい る。一方 , この よ うなデイケア 側 の視 点 とは別 に, メ ンバー側 の視 点 がある と考 える。 「 何 か惹 かれ るものが あ るか らデイ ケ ア を利用 す るのではないか」 と考 え,デイケアや プ ログラムが 「 メンバー を惹 きつ ける要 因」 を通 して, 当デイ ケアの機能 について検討す る。
第
2章 方 法
対象 との関わ りを通 して は じめて見 えて くる相 互主観的 な理解 が重要であ る と考 えた。 そ こで, 「 外 か ら距離 をおいて見 ていたのでは見 えに くい現象 の詳細 に立 ち入 り,行為,で きご との意味 を,内部 に い るもの, あるいは行為者 の視 点か ら理解 しよ うとす るアプ ロー チ
」( 南,1
997)4)である参加観 察法 を 選択 した。
1
.対 象 ( 1 ) 対象者
本研 究 の対象者 は,筆者 がデイケアス タ ッフ として参加す る曜 日に参加登録 し,来所 していたデイケ アメンバーである。参加 登録者数 は1
8名 (
10代 か ら
60代)で,毎週
10名前後が参加 してい る。
(2)
場所 および概要
筆者 が勤務す る精神病院 は
5万人程度 の市にある。この市は古 くか らこの地方 の交通の要衝 で,政治 ・ 経済 ・文化 の 中心地 であ る。 しか し,有効求人倍率 は0.
23倍 と全 国平均0.7
4倍 ( 平成
15年1 1 月末現在)を 大 き く下回 り,就 労は精神 障害者 に とって も厳 しい状況 にある。 デイケアでは,週 5日, 日中の 6時間
を過 ごす ことができ,プ ログラムは午前 と午後 に分かれ てい る。
筆者 は,
Ⅹ‑ 2年 よ り,週 に
2度,デイ ケアスタ ッフ として参加 し,
Ⅹ‑1年 よ り,週 に
1度 の参加
とな る。 常勤 のデイ ケアス タ ッフ とは異 な り, メンバー と面接室 で個別 に面接す ることはない。担 当プ
ログラム以外 の時間帯 は, メンバーが 自由に行 き交 う食 堂や ホール な どで雑談 を した り,花札や卓球の
相手を して過 ごしてい る。Ⅹ+ 1年
3月まで,就労前活動が行 なわれ ,メンバーが商品管理,買い入れ, 販売,売 上計算 を行 っていた。 4 年 間続 け られて きたが,喫茶 グループを除いた販売活動 はデイケアか ら当事者 の会‑ と移行 され た。
Ⅹ+ 1 年 4 月か らは,プ ログラムは午前 と午後 に分 かれ ,ゲーム クラブ や筆者の担 当す るコラー ジュグループ 「 な ごみ」な どが始まった。
2.デー タ収集 の方法
毎週,特定の曜 日に,デイケア場面 とプ ログラムにおいて,惹 きつ ける要因 に関連す る会話や行動 を 中心に参加観 察 を行 なった。 また,デイケア場面以外で も病院 内で メンバー と按す る機 会があるため, そ こでの会話や行動 も参加観察の対象 とした。観察 された内容 はメンバーに影響 を与 えない よ う配慮 し メモを とった。 Ⅹ年 4月か ら筆者 が担 当 してい るプ ログラムはオー プングル ープで,各 自一枚以上の コ ラージュを作 り,完成後 にそれぞれ の作品 を眺 めなが ら感想 を出す とい うものである。この時の様子 は, テープ レコーダーで録音 した。 また,常にメンバー と接 してい るスタ ッフか らの情報や,デイケア終了 後 に行 われ るスタ ッフの話 し合いで報告 され たメンバー についての情報 も収集 した。デイケアでの業務 終了 した後,記録 の補充 を行 い, さらに勤務終了後,記録 の見直 しを行 なった。 また,対象者 と最 も信 頼関係 を維持 してい ると思われ るスタ ッフにイ ンタビューを行 なった0
研究開始 にあた り,病院責任者お よびスタ ッフか ら目的や方法 に関 して合意 を得 てい る。 メンバー に は研究の 目的を説明 し,テープ レコー ダー使用 について許可 を得 てい る。
3.
調査 期 間
Ⅹ年
6月 よ り予備調査 を開始 し, Ⅹ年
9月か らⅩ+ 1年
3月まで,就労前活動での調査 を実施 した。
また,
Ⅹ+ 1 年 4 月か ら Ⅹ + 1 年 1 1 月まで,筆者が担 当す るプ ログラムでの参加観察 を行 なった ( 録音 を行 なったのはⅩ年
9月 までである) 。 スタ ッフ‑のイ ンタ ビュー は,Ⅹ+ 1 年
10月か ら1 1 月 に実施 し た。
第
3章 結 果
1 . メ ンバー を惹 きつ ける要 因の概 略
メンバー を惹 きつ ける要因は,デイケア とプ ログラムに分 けて整理で きる。デイケアがメンバー を惹 きつ ける要因 として,①家族か ら距離 を とれ ること,②社会復帰 ( 就労)の準備 がで きること,③他者 と の接点が もて ること( 友人や スタッフ と時間 と空間 を共有 し,話 がで きる場),④家以外 に居 られ る場で あるこ とがあげ られ る。 プ ログラムがメンバー を惹 きつ ける要因 として,①役割 をもて ること,② 自ら の意志 で 自由に選択できるこ と,③特定の人物 と交流できるこ と,④興味 ・関心が一致 してい ることが あげられ る。
次節 か らは,上記事項 を対象者 の例 をあげて述べ る。その際,対象者であるメンバーの氏名 は仮名 に し,年齢 ,背景等 に関 しては,筆者 の側 で手 を加 えてある。 スタ ッフの氏名 に関 しては,アル ファベ ッ
トで表記 した。例 をあげ る際,対象者 の発言 を 「 」,筆者 の発言 を<>で示 した。
2.
デ イケ アが メ ンバー を惹 きつ ける要 因 ( 1 )家族か ら距離 をとれ ること
優 さん
(40代)は統合失調症で,発症前 には就労経験 をもってい る。家族 と4人で暮 らし,発症後 も 父親か ら就労す るよ う厳 しく言われてきた とい う経緯 をもつ。眠気 が強 く, 日中で も眠って しま うこ と を両親 か ら注意 され, 自分 で も眠 らない よ う努力 してい る。病気 のために家族 に迷惑 をかけてい る とい う気持 ちが強い よ うである。以下は,就労前活動の作業 中にお けるや りとりの一部である.
‑ 13 ‑
「 家にずっと居ると落ち着かないんだよね〜。僕,働いてないでしょ?家に居てもね,なんか,ん〜 ・・・なん か最近眠くてね。( 中略)来れば疲れるけど,眠らなくていいし
。」俊介 さん ( 20 代)は,統合失調症 を発症 して数年 が経つが,幻聴 が活発 で短期 間 に入退院 を繰 り返 し てい る。家族 6 人暮 らしで あ り,同 じ病気 を抱 える弟 との折 り合 いが悪 く,両親 か らは 「 兄だか ら我慢
しろ
」と言われてい る。 「 なごみ
」の中での一部 をあげ る。
「 親,口うるせ‑んだけど,( 中略)入院も考えたけど,家にいればス トレスたまる。病院に来ればいいんだけど。
( 中略)デイケアさ来ればさっぱりする
。」上述 の例 か らデイ ケアは,家 に居 る と感 じるス トレスか ら自由に して くれ る場所 であるといえる。 同 居 してい る家族か ら病気 について十分 な理解が得 られ なかった り,病者役割 よ りも会社員 な どの社会的 な役割や家庭 での兄 とい う役割 を期待 され るな ど, これ らの役割 と距離 をお くためデイ ケアを利用す る
と考 え られ る。
(2)
社会 ( 就労)復帰の準備 をでき るこ と
前述 の優 さんは,デイケアで一定の時間 を過 ご… し" 体力 をつ けるこ とが就労に必要であると考 えてい る。参加曜 日は不定期 で,朝か ら参加 はす るものの,昼食後早退す ることが多い。昼休 み,デイケア棟 か ら離れた外来の待合室で,父親 の迎えを待っていた優 さんが次の よ うに話 した ことがある。
「 やっぱ り,人と話すと疲れてしまうみたいで。( 中略)早く働きたいなって思 うんだけど,この病気もあるし, 無理 して体こわすのもいけないLoi ( 軒略)働 くとなると朝
8時から働いて
5時まででしょ
。僕体力ないから,まず はデイケアで体力つげようと思って来るんだけど
o」康 司 さんは, V ' 2 ‑ 0 代で一 統合失調症を‑ 発症 し,対人関係 のス トレスか ら調子 を崩す ことが多い。一緒に暮 らす アル コール依存症 の父親 を早 く安心 させたい と就労 と結婚 を強 く望む
40代 の男性 で,一般の就職試 験 を何度 も受 けるが,不採用に終わってい る。履歴書の書 き方について個別 に担 当 していた
Mさんは, スタ ッフ ミーテ ィングで次のよ うに報告 している。
「 ( 康司さんが)前は 『デイケア来てれば就職活動できないんだよな
〜。 』って言ってた時もあったけど,履歴書 の書き方とか話 し合 うようになってからはそ ういうことも言ってないし,すごく興味を示 してるな
。」康 司 さんは, この よ うな話 し合いが も うけ られてか ら,早退 しな くなった。今 まで とは違 う就労に向 けての具体的な準備 が,ス ター トしたため と考え られ る。優 さんの就 労のための体力づ くりは,その基 礎 固め と言 える。 どち らも家族 と同居 してお り,家族 か らの社会的役割期待がス トレスにな りうる場合 もあるが,就労‑ 目を向けるきっかけの一つ とな り,ひ とりひ とりの状態 に合わせ ての社会復帰準備 が, 惹 きつ ける要因 となった と考 え られ る。
(3)
他者 との接点 をもてる こと
一人暮 らしの公哉 さんは,家が遠いため,朝早 くに起 き,時間をか けて適所 してい る。
30代で統合失 調症 を発症 したが,今 は金銭管理,服薬 ,対人関係 は安定 してい るよ うである。 アカシジアのため,デ イケア内を歩いてい ることが多い。
Ⅹ+1年の
3月頃か ら活動‑の参加 が減 ってい き, 「 何 もや る気 が
しない
」とスタ ッフに話す こともあった。以下は,筆者 との会話 の一部である。
「 大儀でもデイケアに来るのは,一人でずっといてもよくないだろ。一人で居れば,いろいろ考え込んで しま う し,誰かが居れば違 うけど,ここに来れば話 したりできるしな。だから来るんだよな。 」
秀一 さんは,60 代 の男性 で,一人暮 らしを してい る。非定型精神病 と診断 され ていて,服 薬 していれ ば幻聴 はない と話す。元妻 が近 くに住み,他県に住む二人 の娘 も度 々孫 を連れて 遊び に来てい るよ うで ある。次にあげる引用 は, 「 な ごみ
」において,メンバー
3人 と私で作品を作 りなが ら話 していた時の, 秀一 さんの発言である。
「 飲み友達みんな死んでしまって,一人ばっちだ,おれ。友達,飲み友達探すかなって思ってもなかなか。デイ ケアに来れば一人ぐらい見つかるんじゃね‑かなとかっても,みんな飲まね一人ばかりだもんな
。」ともに一人暮 らしの例で ある。考 え込んだ り孤独 を感 じる一人 き りとい う状況 を避 けるため, さらに は新 しい人間関係 を築 くきっかけ とす るために,デイケアを利用す ることもある と言 える。
(4)
家以外 に居 られ る場であること
デイケアを家以外 に居 ることのできる場 として利用す る場合 がある。
肇 さんは,一人暮 らしを している
50代の男性で,操 うつ病 を発症す る以前 には大工 として働 いて きた。
その技術 を生か して,庭 の LLお どしゃ五重塔の模型 を作 るな ど, 自宅で ものを作 ることが趣 味の一つ とな ってい る。デイケアに来所 しな くなって約 1 年半ぶ りに,再び来所 し始 めた頃,常勤スタ ッフであ る て 姐 さんがデ イケアを休 んでいた ときの こと を, 面接時に尋ねてい る。その際,肇 さんは次の よ うに言 っ た とのことで ある′ O
「 最近,近所に住んでいる友達が,毎日家に来る。 」と話 し,その友達から 「 距離をとりたいから,これから
1ケ 月だけまた来る。 」と言っていた。
肇 さんが 自ら決 めた 1 ケ月が経 った頃,再び M さんは肇 さん と面接 を してい る。そ こでは,次の よ う に も話 してい る。
M
さん 「 最初に一ケ月って決めていたけど,来てて楽しいのであれば,やめなくてもいいんじゃないですか? 『ア ウ トドアクラブ』では楽しんでいたじゃないですか。 」肇さん 「 デイケアは,避難場所っていう来方もあると思 うん だよ。そんな風に引き止めないでくれ。私には私の生活があるんだ
。」と話 していた。
肇 さんに とって 自宅は, 日常生活 の場であると同時に, ものを作 るな ど, 自分 の趣 味に没頭 で きる場 で ある。M さんか らの誘 い を, 「 私 には私の生活があるんだ
。」と断 ってい るよ うに,肇 さんには守 るべ き 自分の生活があると考 え られ,友人が毎 日訪れ ることに よって被侵入感 を感 じ,友人か ら距離 を とる ため 「 家以外の場」 として, 日中に
6時間過 ごす ことのできるデイケアを再び利用 し始 めた。
3. プ ログラムが メ ンバー を惹 きつ ける要 因 ( 1 )役割 をもてること
誠 さんは, うつ病の男性
(50代)で,販売活動 がな され ていた頃,主に食料 品の販売 を担 当 し,それ 以外 の作業 も率先 してお こなっていた。 この時期 には来所 も定期的であったが,販売活動がな くなって か らは徐 々に来所 しな くなった。以下は,月に
1度,
2ヶ所 で販売活動 を行 なっていた時期の,販売準 備 中のや りとりの一部である。
‑ 15 ‑
( 中略)<今 日の販売は
1ヶ所だけです よ。 > 「 ないの
?」<はい > 「 来ねばいか った〜。熱 あってだ るいのに
。」誠 さんは, 2 ヶ所で販売活動 を行 な うときには,特 に忙 しい ことを経験 していた こともあ り,多少無 理 を して も自分の役割 を果たすために来所 した と考 えられ る。
‑史 さんは,週に
5日デイケアに通ってお り, どのプ ログラムにも積極的に参加 していた。統合失調 症 によ り忘れ っぽ くなった ことを自覚 し,デイケアでの活動 においては念入 りな確認 をす るな どしてい るが,生活費の金銭管理が難 しいよ うである。販売活動では,食料品の買い出 しを担 当 し, どの ような 食 品が よく売れ るかを 自分な りに調査 していた。次は,販売活動の前に語 られたものである。
「 昨 日,スーパーに行 ってきて下見を して きた らさ,いいのがあった。昨 日考 えたんだ。寝ないで考 えた。」
プ ログラムにおいて役割 を得たことで,積極的な参加がみ られ るのみな らず,プログラム内容‑の関 心,積極的取 り組みが生 じていると言 える。
(2)
自らの意志で自由に選択できること
前述の肇 さんは,以前は,デイケアでの麻雀に参加 していたが,徐 々に参加 しな くなっていった。以 下は,他のメンバーが麻雀 を してい るところを,肇 さん と筆者で後 ろか ら眺めなが ら話 した内容の一部 である
。<肇 さんは麻雀で きるんです よね ?今 日は。 > 「 ん〜,周 りか らいろいろ言われ るのが, ̲あー しろ, こ‑ しろ と
か。」
デイケアでの麻雀は,周 りに見学者が集 ま りやす く,実際に行 なってい るメンバーの手について,思 い思いに話 をす る場面が よくみ られ る。肇 さんは, 「 あー しろ, こ‑ しろ」 と言われ ることで, 自分の 意志で実行す ることを妨 げ られ るため,麻雀には入 らなかったが,自分の意志で行な うことができれば, 参加 につながる可能性 が高 くなると考え られ る。
(3)
特定の人物 と交流できること
杏子 さんは,夫 と二人で暮 らす非定型精神病の50 代の女性 で,精神症状はない よ うであるが,身体症 状 を訴 えることが多い。夫 は杏子 さんに厳 しく,離れて暮 らす息子 も精神疾患や金銭面な どの問題 を抱 えている。杏子 さんは家庭での生活 に 「 疲れて しまった。」 と話す。以下は, 「 なごみ
」で作品を作 りな が ら交わ された会話の一部である。
「
Y さんの こと好 きだ。Yさんの とこ行 って くる
。」< どうい うところが好 きですか ?
>「 気持 ちや さしい とこと, 人の こと寄せつ けるよ うな,雰囲気す る とこが好 きだな
。」Y さんは,非常勤のスタ ッフで,デイケアに来 るのは週 に 1日のみである。杏子 さんは,Y さんの担 当す るプ ログラムには必ず参加 している。家庭生活で抱 える問題が多いため,わずかな時間で もや さし さを感 じられ るよ うな人 と同 じ時間 と空間を共有できることが惹 きつける要因 となっている。
(4)
興味 ・関心が一致 していること
前述 した秀一 さんは,小説や俳句,絵画な ど,芸術的なものに興味 ・関心があ り,
Ⅹ‑1年まで行な
われていた 「 絵画クラブ
」にも参加 していた。デイケアの参加 は不定期であるが,来た ときには必ず 「 な
ごみ」に参加 してい る。次 にあげる引用は,筆者 と秀一 さんが,新聞を見 なが ら話 していた ときの もの である。
秀一さんが書いた文章が,雑誌に掲載されたと話す。 ( 中略)<よく書いてるんですか?
>「 そ ういうの好きだか らな。気が向けばな。絵でも何でも家にたまってしまって。置くとこない
。」秀一 さんは, 自宅で も作品 を作 るほ ど,芸術的な ものに興味 ・関心があ り, 「 な ごみ」 もまた,それ と一致 してい るため参加 してい る と考 え られ る.
4. 要 因の組合せ ・変化 を示す事例 ( 1 )複数の要因を同時にもつ事例
卓哉 さんは一人暮 らしで,週 に
5日,デイケアに参加 してい る
50代 の方である。統合失調症 を若 い頃 に発症 し,今 では精神症状 を訴 えることはないが,食事管理 が難 しく糖尿病 に よって体調 を崩 し入院す ることが しば しばある。 「 あま り考 えない よ うに してい る」 とい う言葉 が よ く聞かれ , 自宅では帰宅後 す ぐに眠 り,早朝 に起 きて散歩がて ら近 くの駅 でな じみの人 と話 を し,
6時には病院 の玄関でデイケアの仲間 と会い,話 を しなが ら玄関が開 くのを待 ってい る とい う。 デイケア場面で も,友人やスタ ッフ と 話 を してい ることが多 く,話 し好 きの よ うである。以前, Y さんが担 当 していた 「 絵画 クラブ」 には参 加 していなかったが, 「 な ごみ
」には毎回参加 している。 「自らの意志で 自由に選択できること」 がきっ かけ とな り, 「 興味 ・関心が一致 してい る
」コラージュグルー プ‑ の参加 につ ながった。次 にあげ る発 言は,「 なごみ」において,初参加 のメンバーに作 り方 を説明 していた ときの一部である。
「 切って,貼ればいいんだ。 自分の思 うとお りにね。考えるんじゃないんだ。ね。 」
作品を作 り終わってか らは,「 描 くよ りこっちの方が楽 しい。描 くの難 しい。 リアルでない とな
。」と, 話 してい る。卓哉 さんは,芸術 的な ものに興味はあったが, 「 絵画 クラブ」では 「リア
ル 」に措 かなけ れ ばいけない と思い,参加 しなかった と考 え られ る。 しか し, 「 な ごみ
」で卓哉 さんは, 「リアル」に描 かなけれ ばい けない とい うよ うな制限を感 じることな く作 品を作 りなが ら,メ ンバーや スタ ッフ と話す ことがで きる。卓哉 さんに とって写真や絵 を切 って貼 る とい う作業 は, 「自らの意志 で 自由に選択 で き る」機会 とな り,雑誌や作品を媒介 に気楽に話 をす ることもできるため,「 なごみ」‑の参加 につ ながっ た と考え られ る。
(2)
個人の内的状況の変化 に伴 い要因が変化する事例
メンバー を惹 きつ ける要因は,時間や個人の内的な状況 によって変化す ると考 え られ る。
博之 さんは,一人暮 らしを してい る
50代の方である。統合失調症 を発症 してか らも働 き続 けていた よ うである。デイケアを利用 し始 めてか ら
10数年 が経 ち,数年前 に始 まった喫茶 グループに,開始 当初 か らマスター として継続参加 してい る。喫茶 の準備 を しなが ら次の よ うに話 してい る。
「 病気になって,何回も入院 して
,10年ぐらい前に 『 入院 しないように頑張る』って言って,デイケアに来いっ て言われてきたんだよな。一人でいればよくないからな
。」( 中略)「 ここに来たぽっか りの時は,喋らなかったもん な
。」博之 さんは,一人で家 にい ることが病気の再燃 につなが ることを経験 し,「 入院 しない よ うに頑 張 る
」とい う目標 で適所 を開始 した。 当時 は他者 との言語 的 コ ミュニケー シ ョンを図 るこ とは難 しい よ うで
‑ 17 ‑
あったが,他者 と時間 と空間を共有できることに惹 きつ け られていた といえる。また,この会話の中で, 当時デイケアを勧 めたスタ ッフの名 前が何度 も出て きていた ことか ら,そのスタ ッフ との交流 も,魅力 の一つ となった と考 え られ る。喫茶 のマスター とい う役割 を獲得 した後,安定 した時期 を送 るが,徐 々 に被害妄想 もあ らわれ,他者 との トラブル が 目立つ よ うになって きた。以下は,
Yさん‑のイ ンタ ビュ ーの一部である。
「 マスターとい う役割を持つことで自己主張できるようになったと思 うけど,その自己主張ができるようになっ た分,どう周 りと折 り合いをつけていくかが,彼の課題だよね
。」また,博 之 さんは,喫茶 の準備 を しなが ら次の よ うに話 してい る。
「 何でも話すようになってから,ス トレスなくなったもんな。はっきりもの言 うようになったから,みんなから怖 がられてるのも知ってるんだ。でも,それでいいんだ。 ( 中略)今は思ったこと言って,動かなくなったら年寄 りに なってしまうはんで,動く !
」と笑顔で話 していた。
博之 さんは,喫茶 のマスター とい う役割 を獲得 し, 自己表現の幅が広がった。 それ と同時にメンバー 同士で作 るクラブ‑の参加 がみ られ るな ど人間関係 の幅 も広が りをみせたが,その分 ス トレス も増 えた と考 え られ る。そのス トレス‑の対処 として,「 はっき りものを言 う」ようにな り トラブル になった り, 友人が離れてい くこともあったが,博之 さんはその よ うな状況 を受 け止め,納得 した上で,デイ ケアに 参加 してい る。休む曜 日は増 えたが,喫茶 グループには休 まず参加 している。役割 の獲得が,積極的な 参加 を促 し,結果的には対人関係 の持 ち方 にも影響 を与 えていった といえる。
(3)
同時に複数の要因が内的状況の変化に伴 い変化す る事例
デイケアに惹 きつ け られ る要因は,実際 には同時に複数存在 し,内的状況によって変化 してい くと考 え られ る。
肇 さんは,他者 の言動 を被害的に受 け止 めやす く,
1年半程デイケアには適所 していなかったが,毎 日自宅 に来 る友人か ら距離 を とるため通所 を再開 した。前述の よ うに,その時の肇 さん をデイケアに惹 きつ ける要因 として,家以外 に居 られ る場 で あった こ とがあげ られ るが,それ に加 え, 「 特定人物 との 交流
」も惹 きつ ける要因 となっていた と考 え られ る。また,「 特定人物 との交流」の 中で,「 役割 の獲得
」が他者 との関係性 に影響 し,プ ログラム参加 ‑の動機 づ けが高まった と思われ る。以下は,再適所 した 頃の肇 さんの発言である。M さんは,肇 さんか ら信頼 されているスタ ッフの一人で,30 代の男性 である。
朝の話 し合いで, M さんが担当している 〔 免許をとろう〕 という午前のプログラムに,誰も挙手しなかった ( 参 加の意思を表明した人がいなかった)ところ,「( 〔 免許をとろう〕のポスター作 りに)関わったからな。 」 と話 しな がら挙手し,参加 した。
この状況での 「 関わったか らな。」とい う肇 さんの言葉か ら,肇 さんか らみた M さん との関係性 が,「 メ
ンバー とス タ ッフ」 とい うよ り, 「 年長者 と年少者」 で あると考 え られ る.二人 で一つ の作業 を行 った
こ とで,
Mさん とは同 じ作業者 とい う 「 役割」 をもつ人 と人 としてのつなが りを感 じ,年長者 である肇
さんが,参加者 が誰 もいない とい う状況の中にい る年少者 の M さんに協力す る形 で参加 してい る。 M さ
ん との信頼 関係 を基盤 に,作業者 とい う 「 役割 の獲得
」もまた一つ の契機 となって,プ ログラム‑ の参
加 につながった と考 え られ る。同 日の午後の話 し合いで,
Mさんがスタッフとして入 っている 「 ゲー ム」
「 話聞いてくれたら,ダーツに参加する。 」 と話 している
。Mさんと肇さんは話 し合 う時間をもった後,
Mさんが
〔 ゲーム〕に参加するかどうかを肇さんに任せたところ,早退 した。
肇 さん は,M さんに 「 話 を聞いてほ しい」とい う思いを率直 に表現 してい る。 その思い を受 け止 めて も らい,話 を して満足感 を得 たため,早退 した と考 え られ る。 この時の肇 さんに とって, M さん との関わ りが特 に重要であった と考 え られ る。
「 避難場所
」としての一 ケ月が経 ち,肇 さんはデイケアに参加 しな くなった。外来受診 は継続 してい たため,定期的に来院 していた。以下は, M さんが偶然待合室で肇 さんに会 った ときのや りとりである。
( 中略) 肇さんが 「 友達から竹をもらったから,それをばらばらに切って,庭にゲー トボール場を作ったんだよ
。」と話 したので,「 どうだった
?」って尋ねたら 「 一九でやったら楽 しくなかった。 」と話 していた。
肇 さんに とって家は,日常生活の場で ある と同時に,ものを作 る場で もある。友人か らもらった竹 で, デイケアで経験 したゲー トボール場 を作 り家 で も行お うと試みたが,一人で遊 んでみ る と孤独感 が感 じ られ,多人数 で行 な う楽 しさに気がついた と考 え られ る。 しか し, このや りと りがあった 1 週間後,肇 さんは 「 ゲー トボール」ではな く 「 ア ウ トドア クラブ
」に再び参加 し始 めた。 ここでは, 「 他者 との接 点をもて ること」と同時に,よ り興味 ・関心が一致 してい るプ ログラムの内容 がデイケアの魅力 とな り, 再適所 につ ながった と考 え られ る。以下 は, 「 ア ウ トドア クラブ
」に参加す るためデイ ケアに来ていた 肇 さん と,外来待合室で会 った時の会話 である。
( 中略)<肇さんにとって 『アウトドアクラブ』の魅力って?
>「 ん〜,魅力か。いろいろ見れるとこだろうな
。」( 中略)「 木,見て,服見て,一人でも行くけども。( 中略
)Mさんの相手もしてや らないとなO 」と言って笑 うO
肇 さん に とって,公園や 百貨店な ど様 々な ものを見に出かけることも趣 味の一つであ り,興味 ・関心 と一致す る 「 ア ウ トドアクラブ
」に惹かれた と考 えられ る。また,
「Mさんの相手 も してや らない とな。」
とい う言葉か らは,
Mさんか ら必要 とされ てい ると感 じてい ると解釈 でき,相互 に信頼 関係 が築かれ て いるとい う安心感や充実感 が含 まれた表現 であると考 え られ る。
友人 との距離 を とるため避難場所 としてデイケアを利用 していた中で, M さん との信頼関係 の深 ま り や他者 と共 に過 ごす ことの楽 しさを経験 し,避難場所 を必要 としな くなってか らは,他者 と共に居 なが
ら興味 ・関心の充実 を図 ろ うとしていた と考 え られ る。
第 4 章 考 察
これ まで,デイケア とプ ログラムがメンバーを惹 きつ ける要因をみてきたが,実際にこれ らの要因は, メンバーの内面に単独 で存在す るのではな く,同時に複数存在 し,内的状況 の変化 ,時間の経過 と共 に 変化す る と考え られ る。
さらに,デイケアにお けるメンバー を惹 きつ ける要因は,単身生活者 と家族 との同居生活者 の二つ に 分 けて整理 できる。単身生活者 の場合 の 「 家以外 に居 られ る場であること
」と同居生活者 の 「 家族 か ら 距離 を とれ ること 」は, ともに 自宅 にい るこ とを回避 できることと言い換 えることもで きよ う。 また, 今回の結果では,単身生活者 に 「 社会復 帰 の準備 ( 就労)ができること
」が要因 となってい る と考 え られ る場面がな く,同居生活者 のみに見 られ た。 これ は,継続 して参加 してい るメンバー
18名 中1 1 名 が単身 生活者 であ り,地域的に就 労が困難 で,すで に障害年金や生活保護 な どを利用 した単身生活が比較的長
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く,家族 か らの心配や一人暮 らしでの金銭的な不安 が,同居生活者のそれ よ りも低いた め と考え られ る。
ここでは要因 としてあげることはで きなかったが,ス タ ッフの受容的な関わ りも一つの要因 となってい る と思われ る。地域社会では,年齢相応 の行動 を期待 され ることが多 く,受容的な姿勢 で話 を聞いて く れ るよ うな他者 との交流 をもて る場面が実際には少 ないか らではないか と考え られ る。
プ ログラムにお けるメンバー を惹 きつ ける要因では,プ ログラムでの活動 の中で 「これ をや っていれ ば,他 の ことを考 えな くてすむ」 とい うよ うな言葉 が多 く聞かれた こ とか ら,病気や対人関係 な どで う ま くいかない ことな どを少 しで も気 に しないでい られ ることも,一つの要因ではないか と考 え られ る。
以上 よ り, メンバーがデイケアに惹 きつ け られ る要 因は,生活す る地域社会的背景や家族 との関係 を 含 む生活形態 ,それぞれ の精神症状や身体症状お よび身体疾患が内的状況 と関連 してい ることが示唆 さ れ る。地域社会的背景 として,就労 に結びつ けてい くことが困難 で,作業所 な どの社会資源 も限 られて い るた め,精神症状や身体症状が比較的安定 し,就 労‑つ なげ られてい くことができそ うなメンバーで あって も,デイケアの利用頻度 が増 えた り,期間が延 びてい くことは避 けることのできない状況 といえ るであろ う。 そのため,デイケアが生活 の一部 となってい るよ うに思 うメンバー も少 な くない。 メンバ ー は他 に行 く所がないか ら来てい る と言 うこ ともで きる。 しか し,彼 らに とってデイケアは,病気 を抱 え就労 した くて もできない状況の中で,今 ある生活 を維持 した り, 自分 らしい よ り快適 な生活 を構築 し てい こ うとす る場 となってい ると考 えることができる。 これ は,前述 の 3 事例 か らも示唆 され る。卓哉
さんは,平 日は毎 日早朝の散歩 を してか ら来所 し,帰宅後す ぐに眠 るとい う,デイケア を中心 とした 自 分 な りの生活 を送 ってい る。博之 さんは,精神症状が活発 になった時期 もあったが,喫茶 グループのマ ス ター とい う役割 を とお して,対人関係 の持 ち方が変化 した と同時に, メンバー同士の クラブに参加す るよ うにな るな ど,デイケアでの活動が, よ り快適 な生活 を構築 してい くことに影響 を与 えてい ると考 え られ る。肇 さんは,デイケアを避難場所 として利用 していたが,その過程 を とお して他者 とともに興 味 ・関心のあるものに取 り組む ことにも楽 しさを見出 し,今 ある自分 の生活 を維持 しつつ,その幅 をひ ろげてい った と思われ る。 これ らよ り,デイケアがメ ンバーの生活 を推持 し, 自分 らしい よ り快適 な生 活 を構築す る場である とい うことは,一地方 にある当精神科デイケアの機能の一つ としてあげ られ るの ではないか と考 え られ る。
しか しなが ら,デイ ケアは社会復帰‑の通過点 として とらえた リハ ビ リテー シ ョン施設 の一つである と考 える と,地域社会での活動 を中心 とした生活 を送れ るよ うに してい くことが 目標 となると考 え られ る。今回の研 究結果 をもとに,地域社会 とメンバー をつなげるために必要 な ことを筆者 のメンバーに対 す る姿勢 も含 めて検討 し,デイケア活動 を提案 してい くことが今後の課題 である。
文 献
1) 奥宮祐正 :デイ ・ケア,氏原寛 ・亀 口憲治 ・成 田善弘 ・東 山紘久 ・山中康裕 (編),心理臨床大辞典改訂版,培風館,2004,41 7‑419
2) 浅野弘毅 :精神科デイケアの実践的研究,岩崎学術出版,1996
3) 高野佳也 :精神科 リハ ビリテーシ ョンー精神科デイケア・SST・心理教育,小此木啓吾 ・深津千賀子 ・大野裕 (宿),心の臨床 家のための必携精神医学ハ ン ドブック,創元社,1998,538‑544
4) 南 博文 :参加観察法 とエスノメソ ドロジーの理論 と技法,中津 潤 ・大野裕明 ・南 博文 (編),心理学マニュアル ー観察法, 北大路書房,1997,36‑45