Ⅱ.2(氾8年度までの活動実績
1 地域共同研究・地域交流活動の主な成果
(1)長崎県・雲仙市との連携によるEキヤンレツジ推進事業 2007年4月27日(金)、長崎大
学環境科学部、長崎県環境部及び 雲仙市は、相互の連携協力を推進 し、持続可能な開発のための地域 活動を活性化するとともに、地域 活動のリーダー育成のための実 践学習を展開していくことで合 意した。その一連の活動を「Eキ
ヤンレッジプログラム」と呼び、
それを推進していくための協定書 写真Ⅱ−1三者協定調印式の際の記念撮影 を締結した(写真Ⅱ・1)。当日の出席者はつぎのとおり(以下、敬称略)。
〔長崎大学〕学長 斎藤寛(立会い)
環!亮科学部長 佐久間正 環境科学部副学部長早瀬隆司 事務長 佐藤久人
〔長崎県〕 環境部長 中村保高 環境政策課長 山崎直樹
〔雲仙市〕 市長 奥村慎太郎 副市長 金子知充
農林水産環境部長 酒井利和
「Eキヤンレッジ」とは、「エコキャンパス+エコビレッジ」からの造語である。雲仙市地域で 長崎大学、長崎県そして雲仙市の三者は協力連携しながら、エコビレッジそしてエコキャンパスを
目指して以下のような活動を推進していく。長期的にはこの地域が「持続可能な社会づくりのため の教育拠点」となることを目指す。
i)地域でのエコビレッジプログラム
地域での持続可能な社会作りのために想定している活動は以下のとおりである。
持続可能な社会作りのための「雲仙市持続可能な開発地域協議会」を設立する。協議会には同地
域での主要産業の代表、地域コミュニティの代表、教育機関の代表、NGO、市民等の多様な関係 者が参画する。同協議会で、今年度末を目処に、「持続可能な開発のための行動計画(地球温暖化防 止行動計画)」を作成する。
また、同協議会において有機性廃棄物の循環利用を一層拡大し、社会化していくためのプロジェ
クト活動について検討する。市民自身の抱えている問題の集約と、地域に分散している経験や知識
の集約の場として機能させる。
同協議会においてローカルエネルギーの利用開発を一層拡大し、社会化していくためのプロジェ クト活動について検討する。地域に分散している経験や知識の集約の場であり、力を結集するため の仕組みづくりにあたる。
上記の有機性廃棄物の循環や、地域の小規模エネルギーの利活用をはじめとする、技術的な工夫 と開発のための市民研究活動を支援する。いわゆる適正な社会技術の開発と利活用のための市民研 究の場を形成する。
辻)大学でのエコキャンパスプログラム
長崎大学での教育研究活動等は以下のとおりである。
学生へのフィールドにおける活動のためのカリキュラムの整備をすすめる。具体的には、インタ
ーンシップ科目としての地域での持続可能な社会作りのための活動への参加(有機農業、火山と動 植物、地域でのエコビレッジ活動)等である。
また、学生の演習研究(卒業研究等)の実施のための施設を整備し、地域での研究調査活動の展開 を活発化する。たとえば、雲仙岳の植物(原生沼モニタリング)、水系の汚染(地下水、港湾‥・)、
有機物循環(農業廃物畜産糞尿の循環利用)、環境を軸にしたまちづくり・地域計画が挙げられる。
その他、雲仙市地域で行われる持続可能な地域づくりのための活動を支援するための基盤の整備
(雲仙市持続可能な開発地域協議会の活動支援、市民自身の研究の場支援、公開講座等地元高校あ るいは小中学校での出張授業)、住民との協力による観光産業資源発掘活動(地元住民との共同作 業:地域計画の基礎調査)をおこなう。
①雲仙Eキヤンレッジプログラム スタート記念シンポジウム
協定書の締結後の初めての事業として、環境科学部が主催するシンポジウムを「エコビレッジと エコキャンパスの交流〜環境学習のメッカを目指して〜」を掲げて開催した。
・開催要領
日時:2007年6月18日(月)14:00〜17:15 場所:長崎大学中部講堂
主催:環境科学部
プログラム:開会挨拶(14:00〜14:15)
長崎大学長 斎藤寛 基調講演(14:15〜15:15)
講師:滋賀県琵琶湖環境科学センター長・京都大学名誉教授 内藤正明
「持続可能な開発のための科学と技術」
特別講演(15:15〜16:15)
講師:国際連合大学高等研究所上席研究員 鈴木克徳 パネルディスカッション(16:20〜17:00)
進行:環境科学部副学部長 富永義則 パネリスト:内藤正明、鈴木克徳、佐久間正 閉会挨拶(17:00〜17:15)
環境科学部長 佐久間正
②雲仙Eキヤンレッジプログラム キックオフシンポジウム
協定書の締結を契機として、2007年7月、環境教育研究マネジメントセンターが環境科学部の 学部内施設として設置され、業務を開始した。センター主催として初めてのシンポジウムを「雲仙
市域をエコキャンパス・エコビレッジに!」を掲げて開催した。
・開催要領
日時:2007年11月26日(月)19:00〜21:00 場所:雲仙市吾妻町ふるさと会館
主催:長崎県環境部、雲仙市、環境科学部環境教育研究マネジメントセンター プログラム:開会挨拶(19:00〜19:10)
雲仙市長 奥村慎太郎 長崎県環境部長 中村保高 基調講演(19:10〜20:10)
講師:滋賀県琵琶湖環境科学センター長・京都大学名誉教授 内藤正明
「雲仙市が持続可能な社会のモデルとなるためには」
パネルディスカッション形式での市民のみなさんとの対話(20:15〜20:55)
「Eキヤンレッジプログラムに期待するもの」
進行:環境科学部環境教育研究マネジメントセンター長 早瀬隆司 パネリスト:中村保高、奥村慎太郎、内藤正明
閉会挨拶(20:55〜21:00)
環境科学部長 佐久間正
③千々石海岸の漂流漂着ごみ清掃
2008年7月17日(木)、橘湾に面した千々石海水浴 場の海開きシーズンにあわせて、千々石海岸に漂着し たごみの回収、清掃活動をおこなった(写真Ⅱ−2〜4)。
実施にあたっては、環境科学部環境教育研究マネジ
メントセンター・長崎県環境部・雲仙市の三者に加え、 写喜Ⅱ−2清掃前のオリエンテーション
写真Ⅱ−3清掃前の千々石海岸 写真Ⅱ−4清掃後の千々石海岸
長崎海上保安部とも連携した。また、「雲仙市温暖化防止対策・ESD協議会」を構成する地域住民 にも参加を呼びかけ、ともに汗を流した。センターからは、馬越孝道准教授(副センター長)と西山 雅也准教授、環境科学部から富永義則教授と中村武弘教授も加わり引率にあたった。
今後は、雲仙市における学生と地域住民とが協力して取り組む地域活動として定着したものとな るよう、毎年継続して実施していく予定である。
④雲仙Eキヤンレッジ交流センター開所式等
2008年3月、上記協定にもとづくEキヤンレッジプロ グラム推進のために小浜バスターミナル2階(雲仙市小浜 町)の無償賃貸が決定し、10月3日(金)、「雲仙Eキヤン
レッジ交流センター」の開所式等を挙行した。
奥村慎太郎雲仙市長の揮毒による看板の上掲につづき、
開所記念基調講演会などがあった(写真Ⅱ・5)。
・開催要領
日時:2008年10月3日(金)14:30〜18:30 場所:雲仙Eキヤンレッジ交流センター
園Ⅱ−5 池B満之氏lこよる講演
主催:長崎県環境部、雲仙市、環!尭科学部環境教育研究マネジメントセンター プログラム:交流センター看板上掲式(14:30〜14:45)
交流センター開所式(14:50〜15:15)
主催者挨拶 雲仙市長 奥村慎太郎
長崎県環!尭部長 中村保高 環境科学部長 武政剛弘
来賓挨拶
長崎大学理事 谷山紘太郎 交流センター開所記念講演会(15:30〜16:45)
講師:岡山ユネスコ協会理事・岡山市京山地区ESD推進協議会会長
池田満之
「持続可能な社会づくりのための地域教育活動の実例・岡山市京山地区の取組・」
交流センター開所記念祝賀会(17:00〜18:30)
⑤雲仙Eキヤンレッジ交流センター開所記念公開講座
1)開催要領
日時:2008年10月25日(土)10:25〜15:45 場所:雲仙Eキヤンレッジ交流センター
主催:長崎県環境部、雲仙市、環境科学部環境教育研究マネジメントセンター プログラム:開会挨拶(10:25〜10:30)
環境科学部長 武政剛弘 第1部(10:30〜11:45)
講師:環境科学部教授 佐久間正
「環境への接し方〜金子みすゞの詩から学ぶ〜」
第2部(13:00〜14:15)
講師:医学部保健学科教授 松坂誠鷹
「高齢者の転倒予防〜いつまでも元気で過ごすコツ〜」
第3部(14:30〜15:45)
講師:環境科学部准教授 馬越孝道
「雲仙火山の地震活動」
閉会挨拶(15:45〜15:50)
環境科学部環境教育研究マネジメントセンター長 早瀬隆司
2)内容
第1部の演壇に立った本学部の佐久間正教授は、
金子みすゞの詩を長年研究しており、彼女の詩のな かに表現されている言葉は、豊かな感性と知性に裏 づけられた「環境問題」への提唱があるという。実 際に彼女は、「浜辺の石」「上の雪」「下の雪」「魚」
「両親を亡くした鯨」「土」「草」などを自然物(植 物や生物)の視点で詩に表現している。佐久間教授 は、ここに人間中心的な文化的進歩や利己的な人間 中心主義的な現代を暗示するものがあると述べた。
彼女のそういった詩の世界や思想を背景として、
写真Ⅱ−6 松坂誠應教授による講演
これからの科学的技術の発展や環境政策に向かうべき、という大変興味深い内容だった。
第2部の松坂誠應教授は、高齢者の転倒予防と異業種が協力するチームワーク研究に取り組んで いる。 「いつまでも元気で過ごすコツ」と副題を掲げ、転倒予防のためのハード・ソフト両面の環 境づくりの大切さや、普段からの地域のつながりや支え合いが、高齢者に生きがいと自信を与える
と力説した(写真Ⅱ−6)。○×形式による、受講生みずからが転倒の危険因子をどの程度もっている のかを確認できる設問集も配布され、老若男女を問わずこのような課題に関心を持てたようだ。
第3部は本学部の馬越孝道准教授(環境教育研究マネジメントセンター・副センター長)による、
自然災害を軽減するための方策について雲仙普賢岳や島原半島全域を主な対象として得られた成
果をもとに話した。雲仙普賢岳の噴火の特徴は「とくに始まりと終わりがはっきりしている」こと
や、島原半島を南北に走る千々石断層は、すぐにM7クラスの地震が起きることはないが、日ごろ の防災意識が大切といった点が印象に残った。小浜地区は、温泉による熱量が日本一豊富で、豊か
な自然の恵みをうける一方で、ときに大きな災害を受けてきた。馬越准教授は、いかに自然と人間
の生みだす環境とが共生できるのかを考える際に、雲仙は世界的にも知られるフィールドであると締め くくった。
宣伝や告知の期間が充分でなかったにもかかわらず、約40名の受講生を迎えることができた。
最後に、早瀬センター長より受講生一人ひとりに「修了証書」が手渡され、すべての内容を終えた。
⑥「観光・環境」のまちづくり市民講座
1)開催要領
日時:2009年2月19日(木)10:55〜12:05
場所:雲仙Eキヤンレッジ交流センター
主催:環境科学部環境教育研究マネジメントセンター、雲仙市 プログラム:開会挨拶(10:55〜11:00)
環境科学部准教授・環境教育研究マネジメントセンター副センター長 馬越孝道 講話(11:00〜12:00)
講師:環境教育研究マネジメントセンター准教授 深見聡
「地域資源を活かした観光まちづくり一大河ドラマ『篤姫』に学ぶ−」
閉会挨拶(12:00〜12:05)馬越孝道
2)内容
NHK大河ドラマ『篤姫』の視聴率が好調に推移した背景として、幕末から明治を生きた足跡を 偉業だけではなく身近な人間性といった生き方に焦点をあてたことを指摘。2009年は、長崎も舞 台となる『龍馬伝』がスタートするが、人物やできごとにまつわるエピソードや食などを追体験で
きる機会で観光の活性化が可能と話した。県内で直接ドラマには登場しない地域であっても、これ を好機として自らの地域を知ってもらう官民一体となった取り組みが重要と訴えた。
(2)「国連持続可能な開発のための教育の10年」促進事業
早瀬隆司教授(環境教育研究マネジメントセンター長)が中心となり、2007・2008年度の環境省 九州地方環境事務所からの受託事業として実施した。本事業は、地域の多様な主体が、環!尭とその
他の関連分野を組み合わせた教育活動を行い、その成果を地域と全国へ発信することにより、地域
に根ざしたESDを全国に普及することを目的としている。全国のモデル地区の一つとして、「雲仙 市域」が採択された。
ここでは、2年間の活動をとりまとめて環境省に提出した採択地域報告書のうち、2008年度分を 再構成して掲載する。
(Dおもな事業内容
1)ESD協議会の開催
雲仙市において定期的(3か月に1回程度)に開催し、以下の事項等を検討し内容をまとめる。
・ESDに関する地域行動計画
・環境教育(学び)計画
・有機物(バイオマス)循環のための社会
システムの構築
2)地域イベントの開催
雲仙市の地区単位でおこなわれている 環境保全団体等と連携した地域イベント を実施する。そのなかで、環境教育研究マ ネジメントセンターよりESDに関する案 内や解説をおこなう。
3)交流会の開催(写真Ⅱ−7)
雲仙市域で活動している環境保全団体
写真Ⅰ一7 ESDに関する意見交換の場面
等のネットワーク化を目的に、各団体の構成メンバーらが参集し、ESDに関する意見交換をおこ なう。具体的には、「2008年度EPO九州ESDセミナーin長崎雲仙」と題し、以下の要領で実 施した。
・開催要領
日時:2009年3月24日(木)13:00〜17:00 場所:雲仙Eキヤンレッジ交流センター
主催:環境科学部環境教育研究マネジメントセンター、EPO九州
プログラム:開会挨拶(13:00〜13:10)九州地方環境事務所環境対策課企画係長 赤木健一郎 第1部ESDセミナー
講演(13:10〜14:00)
講師:長崎総合科学大学人間環境学部教授 石橋康弘
「地域におけるESD活動について」
ESD活動報告(14:00〜15:00)
・北九州ESD協議会の取り組み
・メディアと連携したESDの取り組み
第2部 意見交換・経験交流ミーティング(15:15〜16:55)
コーディネーター:環境科学部環境教育研究マネジメントセンター長
早瀬隆司 雲仙市内の活動団体:ウェルカム社瑞穂、雲仙市エコ活動連合会、東里自治会 閉会挨拶(16:55〜17:00)雲仙市環境政策課の皆様
②事業概要と全体的な評価
1)事業の目的・目標
2007年度の協議会の経験と成果を踏まえて、関心と活動を地域に面的に広げていくことに力を 入れる。そのため、大学と地域での活動との交流の場をもつことを重点的に行い、市内七町の地区
においてESDを実践していくための活動の核を形成することを目指す。また、市内各地区で活動 する環境保全活動団体間のネットワークを形成し、協議会活動との連携を図りながらESDを実践 に移していくための組織(雲仙市民環境会議)の発足を目指す。
さらに協議会のアウトプットを実践に移していくために、有機物の循環、エネルギーと交通など の課題ごとに委員会等関係者の連携の場を構築していく。
2)事業全体としての成果と課題
大学としての地域へのプレゼンスや地域団体との関係については進捗が見られたが、協議会とし てのつながりの強化や活動の活性化、あるいは委員会の活動などはまだ発展の余地があったと感じ
られる。地域における新たな価値・資源の創出や価値・資源の新たな配分ルールの創出という面で
のESDの意義、また大学と市役所という異なる機関の出会いから新たな価値を生み出せるかとい う取り組みの意義を十分に確認しあい共有する機会を持つ重要性を再認識した。
本事業は、2年間で終了するものであるが、長崎大学と雲仙市との間での持続可能な開発のため の教育のプロジェクトは、これからも続けていく予定である。課題を克服しながら前向きに進んで
いきたい。
③「持続可能な地域づくり・社会づくり」への貢献
この事業に関連して、「Eキヤンレッジプロジェクト」と名づけた大学、長崎県、及び雲仙市で の協働の活動が進められている。その活動のなかで、大学の教育研究活動を雲仙市のフィールドで
行う機会が格段に増加しており、廃棄物の不法投棄や清掃の問題に対する学生の参画があった。ま
た、過疎や後継者不足の問題などについては、具体的なフィールド(例:雲仙市小浜町小田山地区)
において地域と大学との間での対話の気運が生まれてきた。
また、本事業での中心的な位置づけになる協議会は、正式には「雲仙市地球温暖化防止対策・ESD 協議会」と名づけられ、2008年7月には『雲仙市地球温暖化防止対策地域行動計画』を策定した。
その過程では、2050年に雲仙市は何%の二酸化炭素の排出抑制をしなければならないかを議論し、
世界のなかの日本の責任、日本のなかの雲仙市の責任を考える機会を持てた。これらの蓄積が、持 続可能な地域づくり・社会づくりに少なからず貢献していくものと考えている。
④ESD協議会活動に関する報告
1)対象 雲仙市地球温暖化防止対策・ESD協議会構成員40名及びその他一般市民
(協議会構成員内訳:団体代表23名+地域住民8名十有識者2名+雲仙市役所課長7名)
2)達成目標
「町の抱えている問題を自らの問題としてとらえ、地球に広がる社会的経済的そして環境問題の
つながりを認識しながら、地域の関係する人たちとの議論と相互理解を通した解決策(正しさ)を発 見し、地域の人たちとともに問題の解決に貢献していこうとするような人」が達成目標としての人
の像である。
そのような人とは、「価値観や利害の相違など多様な人や考えのあることを認め、複数の解があ ることを理解し、そのなかで地域としての解を探し出すことに寄与できる人」である必要がある。
なお、ここでの「解」は、「資源や環境リスクなどの受容や配分、あるいは拒否を地域として選択 していくこと」である。
3)実施内容
「雲仙市地球温暖化防止対策・ESD協議会」を立ち上げ、具体的な雲仙市地球温暖化防止対策地 域行動計画づくりのプロセスを多くの主体が体験した。これは、協議会構成員が「価値観や利害の
相違など多様な人や考えのあることを認め、複数の解があることを理解し、そのなかで地域として の解を探し出すこと」を経験し学ぶ場として期待したものである。会議は公開で実施した。
その経験をもとにして、そのプロセスの中での議論等の過程で気づいたこと、学んだことを集約
して、「環境教育(学び)計画」を作成することとした。協議会の構成員がそこで経験し、学んだこと をレビューし、集約して、その経験や学びを協議会に参加できないその他の地域での一般市民に広
げていくことを狙ったものである。
今後に向けた課題として、協議会構成員である参加者が協議会の集まりに継続的に参加すること
がなかなか困難であることや、協議会の開催から次回までの期間が長いことなどから、議論や経験
が連続的体系的に参加者に認識できるような場を作ることが挙げられる。これらは、今後改善に向
けて本センターとしても取り組んでいく必要性を感じている。
*参考:「雲仙市地球温暖化対策・ESD協議会」の過去の議事録、協議会で作成した「雲仙市地 球温暖化防止対策地域行動計画」については下記ホームページで閲覧可能。
http://www.city.unzen.nagasaki.jp/infofprevasp?fo1_id=5506
(3)みんなで学び実践する「まちエコ講座」モデル事業
写真Ⅰ−8 国見高校環境マネージャーヘの支援 写喜Ⅱ−9 公開講座での学生からの報告
中村修准教授(環境教育研究マネジメントセンター運営委員)が中心となり、2008年度の長崎県か らの受託事業「雲仙環境のまちづくり」として実施した。環境科学部の学生や教員が、雲仙市にお
いてごみ不法投棄の回収体験、長崎県立国見高等学校の環境活動に対する支援(写真Ⅱ−8)、農業・
環境保全調査活動にあたり、それらの成果を、公開講座として広く発信した(写真Ⅱ−9)。なお、こ の事業の一部は2008年度に新設の環境科学部環境政策コース専門科目「地域技術論」と連携して おこなった。
園Ⅰ−10 エコ大使サミットでの発表
園Ⅱ−1「まらエコ講座」成果報告書表紙
また、「大学生がごみ拾いをしました」「国見高校はがんばっています」と題した報告書(図Ⅱ−1)
を、子ども向けの副読本として利用できることを想定した内容で構成し、作成・配布した。活動内
容の全般は、3月15日(日)に開かれた第4回長崎県「+エコ運動」エコ大使サミット(於:長崎大 学中部講堂)のなかで、深見准教授が発表した(写真Ⅱ・10)。
活動の一部は、3本の映像にまとめ、Ybumbeに投稿し公開している(「長崎大学環境科学部」
で検索すると見ることができる。)。
・公開講座開催要領
日時:2009年2月19日(木)13:00〜15:10 場所:雲仙Eキヤンレッジ交流センター
主催:環境科学部環境教育研究マネジメントセンター、雲仙市
プログラム:
開会挨拶(13:00〜13:05)
環境科学部准教授・環境教育研究マネジメントセンター副センター長 馬越孝道 セッションⅠ(地域資源・観光)(13:05〜13:50)座長:渡連貴史准教授
「長崎県小浜温泉地域における街路景観の特徴」(江村有香・禅院昭・秋山克史・渡遽貴史)
「長崎県小浜温泉地域における地域資源を行かした取り組みの現状」
(安達可菜・宗邦彦・高村文人・永山一樹・渡遽貴史)
「地熱利用の事例研究」(山野晃太・馬越孝道)
セッションⅡ(意識と実践)(13:55〜14:40)座長:小野隆弘教授
「長崎県雲仙市民に対する環境意識調査について」(番途綾香・儀保祐姫)
「雲仙市における持続可能なまちづくりのためのESD指標についての考察」(松嶋なぎさ)
「長崎県立国見高等学校における環境活動の現状と課題」(松田香穂里)
セッションⅢ(1年生の取り組み)(14:45)座長:中村修准教授
「長崎県雲仙市における農産物直販所の現状」(四井愛美・鷲塚愛・山田千尋)
「雲仙市の不法投棄ごみについて①小学生向け資料の作成 ②海岸のごみについて
(佐藤龍平・山口 明日香・大石英和・酒本博嗣)
閉会挨拶(15:05〜15:10)長崎県未来環!亮推進課地球環境班係長 山田敏行
(4)学生さんのまちおこし・地域づくり事業
姫野順一教授(環境教育研究マネジメントセンター運営委員)のゼミ生が中心となり、2008年度の 長崎県からの受託事業「長崎県学生さんのまちお
こし・地域づくり事業」として実施した。本事業 は、長崎県が学生からの企画提案にもとづき、斬
新な発想と地域の実情に精通した他の主体(NPO 法人、コミュニティ、学校、商店街、企業等)が協 働することで、新たな視点での地域づくりを推進 することを目的としている。姫野教授のグループ
(学部専門科目「環境政策演習A」の履修学生ら)
は、「荒地に花を咲かせまSHOW」をテーマに掲 げ、西海市大瀬戸町雪浦地区における活動をおこ
なった。 写真Ⅱ−11 雪浦地区住民との意見交換会
具体的には、耕作放棄地の活用と地域循環エネルギーのモデル形成を目指し、地域住民の方々と
の意見交換会(写真Ⅱ−11)、2008年6月から耕作放棄地の開墾とヒマワリの育成、収穫と種の油絞 り(写真Ⅱ・12〜14)、ひまわり焼酎の製造(杵の川酒造に依頼)に取り組んだ(写真Ⅱ・15)。この一連の 活動に対して、長崎県から優秀賞が授与された。
写真Ⅰ−12 耕作放棄地の草刈り 写真Ⅱ−13 ひまわりの種の植えつけ
写真Ⅱ−15 ひまわり焼酎の完成 写喜Ⅱ−14 満開に咲いたひまわり
(5)きりしま再発見観光資源の調査研究事業
深見聡准教授(環境教育研究マネジメントセンター専任教員)が中心となり、鹿児島県の霧島商工
会議所・特定非営利活動法人(NPO法人)まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会・志畢館大 学の近藤諭准教授と連携して、日本商工会議所が実施した、2008年度小規模事業者新事業全国展 開支援事業の採択を受け、「きりしま再発見〜地域資源の調査研究事業〜」を実施した。
日本商工会議所と全国商工会連合会による、「平成20年度地域資源∞全国展開プロジェクト(小 規模事業者新事業全国展開支援事業・中小企業庁補助事業)」の受託をうけて、2005年に合併して 誕生した霧島市における各地区(旧1市6町:国分市・隼人町・溝辺町・横川町・牧園町・霧島町・
福山町)にある観光資源を把握・整理・分析し、2011年の九州新幹線全線開通を見据えて次年度以 降の観光振興案の作成を目的にスタートした事業である。
実施にともない、霧島商工会議所内に、霧島市内の観光関係者等から構成される「きりしま再発
見委員会」が設置され、観光振興について協議が重ねられた。深見准教授は、鹿児島県観光プロデ ューサーの奈良迫英光氏とともに本事業の専門官として参画した。
きりしま再発見委員会での意見や協議内容、また、事業内で観光客の動向把握を目的とし実施し
た「観光客アンケート調査」の結果などを集約し、次年度以降の観光振興計画を提言として『きり
しま再発見観光資源の調査研究事業報告書』を刊行した。
2 学生への教育活動の主な成果
(1)新入生合宿研修
2008年4月3日(木)〜4日(金)、新1年生を対象として実施した。環境科学部玄関前に集合の後、
バスで雲仙市仁田峠展望所へ向かった。ここから、雲仙普賢岳の溶岩ドームを遠望し、馬越孝道准
教授(環境教育研究マネジメントセンター副センター長)から雲仙火山の特徴について解説があった
(写真Ⅱ−16)。夕方には宿泊先の湯元ホテルに到着。センター長の早瀬隆司教授による雲仙「Eキヤ
ンレッジ」構想についての紹介、環境科学部3期生の石田啓氏(雲仙自然保護官事務所アクティブ・
レンジャー)による雲仙の地質・生物など多様な自然環境とわれわれ人間とのかかわりについての 講演があった。
また、雲仙市の金子知充副市長による歓迎の挨拶や、グループディスカッション(写真Ⅱ−17)もあ り、学生たちは環境科学部での学生生活がいよいよ始まることを実感しているようだった。
2日目は、グループごとに原生沼、地獄、お山の情報館などの見学をおこない、帰路へとついた。
新入生合宿研修は、環境科学部創設以来の恒例行事として実施しており、2008年度以降は雲仙 で継続しておこなっていく予定である。センターとしてはEキヤンレッジ構想をはじめ、フィール
ドで学ぶことの楽しさを感じてもらう第一歩となれるよう内容の充実を図っていきたいと考えて
いる。
写真Ⅱ−16 馬越准教授による雲仙火山の角牢説 写真Ⅱ−17 夕食後のグループデイスカッション
(2)環境科学特別講義C,D
(∋環境科学特別講義C
開講期と単位数:2008年度前期・1単位
科目分類:専門科目(環境政策コース・環境保全設計コース共通)
担当:中村修准教授
到達目標:具体的な環境問題とその取り組みを聞くことで、環!亮に関連する職業や仕事の内容に ついて理解する。また、単に知識を受け入れるだけでなく、大学や現場でどのような
学びの可能性があるのかについて、考え、具体的に提案する力を身につける。
授業概要:学生として課題に関わるということで、学部のEMS活動を担っている学生の活動を
紹介する。また、大学で学ぶことの意味、手法について、さらには地域において循環
型社会に関わることについて話題を提供してもらうだけでなく、これをきっかけに議
論を深める。さらに、雲仙市での調査につながるよう雲仙の状況を説明していただく。
授業内容:第1回(4月14日)この講義の意義、位置づけについて説明 講義ごとの代表質問者(それぞれ5人)を選定 第2回(4月21日)学部のEMSについて
学生として、学部のEMSに取り組むことのおもしろさ 環境課学部EMS学生委員会 長岡諭志・松田香穂里 第3回(4月28日)大学で学ぶことを、自分でつくりだすためのヒント
九州大学農学研究院助教 佐藤剛史 第4回(5月12日)<地域に循環をつくりだす①>
佐賀大学農学部准教授 田中宗浩 第5回(5月19日) <地域に循環をつくりだす②>
福岡県大木町役場環境課 境公雄 話を聞いて議論
雲仙市で環境科学部は何ができるのだろうか 雲仙市役所環境政策課 赤揮貴光
第6回(5月26日)
第7回(6月 2日)
②環境科学特別講義D
開講期と単位数:2008年度前期・1単位
科目分類:専門科目(環境政策コース・環境保全設計コース共通)
担当:中村修准教授
到達目標:環境問題の現場において様々な形で取り組んでおられる方々から、実践的取組みの場 における、具体的な課題・取り組み方法について学ぶ。なお、本講義は「地域技術論
入門Ⅱ」という位置づけで、特別講義C、地域技術論と連携している。本講義の受講 者は特別講義Cの受講も連続して受講することを希望する。
具体的な環境問題とその取り 組みを聞くことで、環境に関連 する職業や仕事の内容について 理解する。また、単に知識を受 け入れるだけでなく、大学や現
場でどのような学びの可能性が
あるのかについて、考え、具体 的に提案する力を身につける。
授業概要:環!寛問題は「議論」する対象で
はなく、「解決」する対象として、 写真Ⅱ一18環廣科学博削講義Dのようすげ月7田)
すでにある。それでは、数年後に、環境科学部を卒業して、暮らしを立てながら、ど うやって環境問題の解決に関わり続けるのかNPO、あるいは会社を作って現場の問 題に取り組み、少しずつ解決という「希望」をうみだしている先輩に話を聞く。さら
に、問題解決の手法としてのテレビ、映像制作についても、実際に関わっているプロ
から話を聞く。また、C,Dでの議論をふまえ、地域とどうやって関わっていくのか
について、 議論を深める。
授業内容:第1回(6月9日)<大学から飛び出して地域で活動する>
プロとして活動することの意味 「減農薬」「コジェネ」
NPO法人地域循環研究所事務局長 山口 龍虎
(有)AT研究所代表取締役 遠藤はる奈 話を聞いて議論(山口、遠藤を囲んで)
(株)テレビ長崎編成局長 浦里和弘 議論「地域技術論」への展開 その1 議論「地域技術論」への展開 その2 第2回(6月16日)
第3回(6月23日)
第4回(6月30日)
第5回(7月 7 日)
第6回(7月14日)
第7回(7月21日)
(3)地域技術論
開講期と単位数:2008年度後期・2単位 科目分類:専門科目(環境政策コース)
担当:中村修准教授
到達目標:現場を歩いて、地域の人との交流の中で発見した問題を深め、どうしたら解決につな がるのか、という実践的な講義をおこなう。フィールド調査の経験を持つ大学院生を
m(ティーチング・アシスタント)として、グループを編成して調査をおこなう。また、
夏休み中に調査方法取得のためのセミナーを開催する。循環型社会、持続的社会がメ インテーマであるが、雲仙市をはじめとする地域での歩き方、プロの環境コンサルタ
ントの調査・提案の手法も習得し、地域課題に対して具体的な提案をおこなう能力の 獲得を目標とする。
授業概要:この講義は、実際に地域に出かけて、そこで暮らす人びと役立つ調査をおこない、そ の成果を地域に還元する、という調査をおこなう。3、4年生で卒業研究として具体 的なフィールド調査を予定している学生の参加も歓迎する。
今年度は、雲仙市の廃棄物、自然エネルギーをテーマに、課題を絞り込んで調査す る。また、そのために、夏休み期間中にも調査手法などのセミナーを開催する。また、
フィールドでの調査は、夏休み、休日、冬休みなどを利用しておこなう予定である。
授業内容:第1回 地域技術とは何か
第2〜4回 調査の方法とテーマについて学ぶ 第5、6回 調査報告書を読む
第7〜11回地域に出かけて調査する
第12回 調査結果について、地域の人びとと議論する 第13、14回 調査報告書をまとめる
第15回 地域で報告する
実施概要:集中講義形式を採り、休日等を使って雲仙市に出かけた。11月14、15日には、中村 准教授、深見准教授が受講者や中村研究室の学生、大学院生を引率し、県央県南クリ ーンセンターの見学、千々石海岸などでの不法投棄ごみの回収体験(写真Ⅱ−19,20)、海 岸の漂着ごみの種別調査と西部クリーンセンターへの搬入、直売所の特性調査にあた
った。受講生全員が1年生ということもあり、地域という現場を初めて体験した学生
がほとんどで、今後、地域に関心を向けるきっかけとなってくれることを期待してい る。フィールド調査の実施にあたっては、雲仙市役所環境政策課の全面的な支援をう けた。関係各位に深く感謝申し上げる。
写真Ⅱ−19 不法投棄ごみを回収する学生たら 写真Ⅱ−20 回収したごみを分別する学生たら
2 情報発信の主な成果
(1)ホームページの開設
2008年11月に、環境教育研究マネジメントセンターのホームページを開設した。イベント情報 や、教員スタッフ紹介、リンク集などの項目を置き、随時更新している。
http://www.env.nagasaki−u.aC.jp/ermachp/
今後は、同類の地域活動をおこなうさまざまな団体との情報交換の場として、内容の充実を図っ ていきたい。
(2)ニューズレターの刊行