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みらい創り活動 -長崎県壱岐市での持続的な地域共創活動 -

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Academic year: 2021

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みらい創り活動-長崎県壱岐市での持続的な地域共創活動-

Mirai-Zukuri Project – Co-creation for Sustainable Regional Society in Iki –

千葉 祥子

1

, 涌井 美帆子

1

, 湯澤 秀人

, and 河野 克典

1

Chiba Shoko

1

, Wakui Mihoko

1

, Yuzawa Hideto

, and Kawano Katsunori

1

1

富士ゼロックス株式会社

1

Fuji Xerox Co., Ltd.

Abstract: The purpose of study is to verify the business model through observing a new cyclic

communication process, which we call “Mirai-Zukuri”, for the local revitalization with local residents included local governments, universities and local companies. The process has been demonstrated in Tono City, Matsuzaki Town and Kyushu region. I report on “Mirai-Zukuri” and the activity in Iki.

はじめに

近年日本では 47 都道府県の内半数以上の道府県 の人口減少が加速している [1].これは大都市への 人口集中にともない、都市部から離れた地域での人 口流出と少子高齢化が進行しているためである. この問題に対して国や地方自治体による地域活性 化のための取り組みが各地で行われており、また、 多くの企業もそれぞれの特徴を活かしたアプローチ によって、さまざまな地域活性活動に参加している. その中で我々は、地方自治体と共に住民主導の持続 的な地域共創を目指した「みらい創り活動」を実施 している.これは、対話と実践を組み合わせたコミ ュニケーションプロセス[2]を用いた地域活性化活 動であり、日本各所でその効果の検証を行っている. 本論文では、みらい創り活動の概要とコミュニケ ーションプロセスについて説明し、活動事例として 長崎県壱岐市での取り組みについて紹介する.

みらい創り活動

みらい創り活動とは

みらい創り活動では、活動拠点となる地域におい て住民・自治体・企業・大学等が連携し、住民のア イデアを源に「地域のみらい像」を創造・共有して、 その実現を目指している.この活動では、住民同士 あるいは住民と地域外の人々の交流を通して、住民 が自らの「地域への想い」を再認識することが出発 点であり、そのためのコミュニケーションプロセス が重要になる.

コミュニケーションプロセス

みらい創り活動では、次の 4 つのコミュニケーシ ョンプロセスが用いられる (図 1). ① 人脈形成:対話参加者に共通するテーマを議論 することで「地域への想い」から人脈形成する ② テーマ特定:地域の課題や地域での挑戦など、 参加者全員で議論するテーマを発見・特定する ③ テーマ具体化:②で特定されたテーマに対する 具体的活動を検討し、プロトタイピングを行う ④ 普及・定着:テーマに対するアプローチを報告 し、地域内外に広く普及・定着させる 図 1 みらい創り活動のコミュニケーションプロセス 各プロセスは、一人ひとりがもつ「地域への想い」 から生まれた「地域のみらい像」に近づくための「対 話」と「実践」で構成される.対話では様々な「問 い」を投げかけあい、その問いから浮かんだ気持ち を他者と共有し共感することで、一人ひとりが「気 づき」を得る.一方で「気づき」をヒントに活動を おこす「実践」も重要となる.この実践を通して住 民は「地域への想い」を起源に「地域のみらい像」 の具現化のための一歩を踏み出し、さらなる「気づ き」を捕まえて対話に臨む.みらい創り活動は対話 と実践を交互に繰り返しながらプロセスを辿る.

長崎県壱岐市でのみらい創り活動

長崎県壱岐市でのみらい創り活動では、我々と自 治体が中心となり地域の幅広い年齢層の住民を対象

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に対話会を実施した.全 8 回の対話会には延べ 749 名参加した.その内約 200 名が地域の高校生であり、 次世代を担う高校生の積極的な参加が注目される. 誰もが対等に対話会に参加した(図 2). 図 2 長崎県壱岐市でのコミュニケーションプロセスの様子

① 人脈形成:2015 年 11 月-2016 年 1 月

[目的] 誰もが同じ立場で語れるテーマを通し、地域 への想いを共有し所属や役割を超えた人脈形成する. [施策]「私たちの思い出、それを残すためにできるこ と」と「私たちが創りたい輝く地域のみらい」をテ ーマとして対話会を実施した. [実際の様子と効果] 10 代から 60 代の幅広い年齢層 での対話が実現した.また、参加者へのヒヤリング によりこのプロセスのもつ機能の効果を確認した.  対話を通した相互理解 「人とのコミュニケーションが改めて大事だ と気づきました」「(所属に捉われず)お互いの 共通点や考えを共有できました」  地域への想いや魅力を認識する機会 「壱岐の人々の沢山の想いを聴けました。嬉し いです」「住んでいるだけでは分からなかった 壱岐の良い点に気づいた」

② テーマ特定:2016 年 2 月-3 月

[目的] 形成された想いや人脈を基に、誰もが話題を 挙げられる場で地域創生に向けたテーマを創出する. [施策] 参加者全員で自由に話題を挙げる対話手法 であるオープン・スペース・テクノロジー [3]を用い て、「地域のみらいを創るために取り組みたいテーマ」 の特定を実施した. [実際の様子と効果]この対話会を通して「農業活性 化」「地域資源を活用した観光ツアー」など 9 テーマ が創出された.テーマ活動の中心メンバーは地域有 力者だけでなく現役高校生も務めることとなった.

③ テーマ具体化:2016 年 5 月-8 月

[目的] 複数回に渡る対話とプロトタイピングを通 してテーマを具体化する. [施策] 以下の施策を通して具体化を進めた. I. テーマの全体像を描くために、フレームワーク 「ビジネスモデル・キャンバス [4] 」を用いて テーマを改めて検討した. II. 各テーマで整理された魅力を基に他テーマと の共通点からテーマ同士で対話した. III. Ⅰ、Ⅱを通して得た「気づき」を具体的な活動へ 繋げるための施策を検討した. [実際の様子と効果]各施策に対する効果を述べる. I. 各テーマの魅力を参加者が検討し、最初のプロ トタイピングに繋がった. II. 最初のプロトタイピングとテーマ内の対話か ら得た「テーマを実現することで喜ばせたい相 手は誰か」を軸にテーマ同士での対話を行い、 観光ツアーの試作やイベントの開催など具体 的な活動に繋がった. III. Ⅰ、Ⅱで得た「気づき」からプロトタイピング を繰り返し、テーマ活動の地域イベントへの企 画参加などが実現した.

④ 普及・定着:2016 年 11 月

[目的] 活動を共有し、テーマ活動を普及・定着する. [施策]住民への活動報告会を実施した. [実際の様子と効果] 報告会ではこれまでの活動の 状況を共有し、活動から生まれたアイテムや学びを 成果として住民に報告した.これまでの活動内容が 地域に普及し、住民主導の新たな「みらい創り活動」 を行いたいとの声が挙がっている.

おわりに

「みらい創り活動」によって地域活性化に向けた 活動テーマを創出・普及することができた.また本 活動の 4 つのコミュニケーションプロセスは住民の 地域の理解と共感を促し、住民の想いを起源とした 地域共創を進める機能をもつことを確認した.

謝辞

本研究は長崎県壱岐市の住民や自治体、さらにはみ らい創り活動に関わるすべての方の協力による.

参考文献

[1] 総務省統計局, 平成 27 年国勢調査人口速報集計結果 [2] 高橋正道 et al, コンタクティビティ- 岩手県遠野 市における持続的な地域共創活動を支援・促進する 方法のケーススタディ -, 電子情報通信学会, 2015 [3] H. Owen et al , オープン・スペース・テクノロジー ~5 人から 1000 人が輪になって考えるファシリテー ション~, ヒューマンバリュー, 2007. [4] アレックス・オスターワルダー et al, ビジネスモデ ル・ジェネレーション, 翔泳社, 2012.

参照

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