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地域連携活動 としての 地域共同 リポジ トリ

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24 大学 の図書館 29巻2号 通巻No.435

特集 :共同 リポジ トリ !

地域連携活動 としての 地域共同 リポジ トリ

ー 「システム」と 「活動」はどう関係するのか‑

村田 輝

1.は じめに

最近、埼 玉県地域共 同 リポ ジ トリSUCRA

のメ ンバー館 のある担当者が、「機関 リポジ ト リは人間の活動である。」 といっているのを聞 いた とき、深 く首肯 させ られたのを覚 えてい る。筆者がSUCRAに関わって きた経験 を通 して行 き着 いた結論 も同 じであ った。共 同 リ ポジ トリもまた 「システム」ではな く、「活動」

なのである。 しか し、 この ことの本 当の意味 合 いは、共 同 リポ ジ トリに参画 した経験が な い と理解 しに くいのか もしれない。

筆者 は2年 間、埼玉県地域共 同 リポジ トリ

SUCRAに運営 者 の立場 で 関 わ って きたが、

思 い返せ ば、平成1912月 に埼玉県大学 ・ 短期大学図書館協議会 (以下、「SALA」 とい

う。)の第 19回の研修会が、「大学図書館の地 域連携 を考 える」 とい うテーマで開催 された ことが始 ま りであった。 この研修会 で、筆者 は 「埼玉大学学術情報発信 システム(SUCRA)

と地域連携 の可能性」 とい うタイ トルで短い 報告 を行 ったが、趣 旨は埼玉県 の機 関 リポジ トリであるSUCRAを地域連携活動 のための ツール として使 えないか、 とい うものであっ た。当初か ら埼玉県地域共 同 リポ ジ トリの要 諦 は、「システム」ではな く 「活動」 にあった のである。

本 稿 で は、 埼 玉 県 地 域 共 同 リポ ジ トリ

SUCRAの運営者 の立場 か ら、共 同 リポ ジ ト リの現状 と展望 につ いて述べ る とともに、最 近の機 関 リポジ トリをめ ぐる 「共用 リポジ ト

リ」 の ような動 きと 「共 同 リポ ジ トリ」 とが どの ような関係 にあるのか、筆者の考 えを述 べたい。「システム」 と 「活動」の微妙 な関係 が話題の中心 となる。

2.地域共同 リポジ トリSUCRAの構築 現在、全 国には地域 の コ ミュニテ ィを基盤 に置いた共 同 リポ ジ トリ、すなわち 「地域共 同 リポジ トリ」がい くつか設置 されているが、

運営や システムの形態 は地区によってかな り 違 うようである。筆者 の知 る限 りでは、共 同 リポジ トリの元祖 で もある広島県大学共 同 リ ポジ トリHARPにおいて、最 も共同 リポジ ト リらしい運営が な されてい るように思 う。参 加機 関の共 同出資 に よって、参加機 関がそれ ぞれの役割 を果 た しつつ、共同運営が なされ ている と聞 く。その他 の地区においては、 あ る機 関が中心 となって参加機 関を束ねる傾 向 が強い ようであ る。 また、共同 リポジ トリに 託 している ミッシ ョンに もそれぞれ違 いがあ る。単独 の機 関 リポジ トリを設立で きない機 関のための相互扶助 あ るいは支援 の性格が強 い地区 もあれば、地域 か らの情報発信 を目的 とした 「地域 リポ ジ トリ」 を目指 している地 区 もある。 しか し、それ らは どれが正 しい と か進 んでいる とかではな く、それぞれの地 区 の実情 に合 った効果的 な運営や ミッシ ョンが あるのが 自然である。

埼 玉 大 学 がSUCRAを地 域 共 同 リポ ジ ト リとして運用 してい こうと考 えた理 由は、埼 玉大学機 関 リポジ トリの特色づ くりと地域 と の連携 強化 であ った。SUCRAを埼 玉県地域 にお ける情報拠 点 とし、地域か らの情報発信 を行 うと共 に、県 内の大学 図書館や県 内公共 図書館 を含 めた地域連携 の強化 を図る とい う こ とであ る。埼玉大学 は当時、埼玉県大学 ・ 短 期 大 学 図書 館 協 議 会 (SaitamaAcademic LibraryAssociation。 以 下 「SALA」 と い

う。)の代表幹事館 を務 めていた。その中で、

SALAが従 来型 の活動 を続 けているだけでは 活動が停滞 して しまうのではないか、 もっ と 活性化 して事務局 としての仕事 もや りがいの ある もの に したい とい う気持 ちがあった。そ のためには、機 関 リポ ジ トリの ような今 日的 で実践的なテーマ に地域 で取 り組 むのが効果 的であ り、何 よ りもお もしろそ うだ と考 えた のである。

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埼玉大学が地域共 同 リポ ジ トリSUCRAへ の参加 を呼びかけた とき、思 った以上 に積極 的な反応があった。その当時、機 関 リポジ ト リはNIIのCSI事業 の支援 を受 けるかたちで 国立大学 中心 に進 んでお り、その流 れの外 に あった多 くの私立大学 では、機 関 リポジ トリ に対す る関心 はそれほ ど強 くないだろ うと想 像 していた。 ところが、二三 の大学 か らは、

す ぐにで も始めたい とい う話 を持 ちか け られ たのは嬉 しい誤算であった。

しか し、意欲 と実行 との間には高いハー ド ルがあることもわか った。非常 に積極 的だっ たあ る大学 では、動 き出す寸前 に図書館の組 織が改変 され、 断念せ ざるをえな くなった。

参加 を決めた大学 において も、 コンテ ンツが 実際 に登録 され る まで には時 間がかか った。

それで も埼玉県地域共 同 リポ ジ トリの形成事 業 は、SALAと埼玉大学 の共 同事業 として行 うこ とが平成20年 のSALAの総会 で承認 さ れた。SUCRAへ の参加希望に関するア ンケー ト調査 も行 った結果、 ほ とん どの大学が前 向 きな回答 を寄せ た。その年度末 までには、文 教大学 と城西大学が コ ンテ ンツの登録 を行 う

ようになっていた。

平成21年のSALAの総会では、「埼玉県地 域共 同 リポ ジ トリ運営指針」が制定 された。

埼玉大学か らは機会あるごとにSALA加盟館 に参加 を働 きかけたが、 ある時期 までは参加 機 関 はなか なか増 えなか った。SUCRAへ の 参加 のハ ー ドルは非常 に低 く、参加費用 は無 償、 システム ・ソフ トウェアはすで に準備 さ れてお り、登録 の方法 な ども埼玉大学が丁寧 に教 えるつ も りでいた。各機 関は登録す るコ ンテ ンツを準備するだけであった。 ところが、

肯定的な反応 を示 され ることは多か った もの の、各機 関は様 々な事情 を抱 えていた ようで ある。

そのような中で、平成21年9月には参加機 関を増やす ことを 目的に、「埼玉県地域共同 リ ポジ トリ実務研修会」 を開催 した。他 の地区 の共同 リポジ トリ参加館 か らも講師 を派遣 し ていただ き、なかなか刺激的な内容であった。

2010.2 大学の図書館 25

これが効果的であ り、踏み出せず にいた機 関 の背 を押 したようであった。平成22年1月 ま で にメ ンバーは7機 関にまで増 え、準備 中の 機 関が他 に もあ る。SUCRAは ようや く軌道 に乗 り、 自分の力で動 き始めたのである。

だが、正念場 は これか らだ と考 えてい る。

いか に持続 的にコンテ ンツを収集す ることが で きるかが、機 関 リポ ジ トリの命運 を決定す る。埼玉県 では共 同 と連携 の力 に よって、 こ の困難 を乗 り越 えてい きたい。 また、SUCRA の構 築 は埼 玉県 地域 にお け る図書館 活動 に とって一里塚 に過 ぎない。SUCRAを起爆剤 として さらに広 く強力 に地域連携活動 を展 開 してい くことが我 々の 目標である。

この事業 を始 めてか ら、SALAの活動や大 学 ・公共図書館 間の連携活動 な どがずいぶん 活発 になった。各種 の研修会、市民 イベ ン ト へ の参加、新 たな図書館像 を模索す るための 報告書作成 な ど、 目白押 しである。瓢箪か ら 駒 とい えな くもないが、地域共同 リポジ トリ は地域お こ しの活動 に他 な らない ことが明 ら かにな りつつある。

3.共用 リポジ トリと共同 リポジ トリ

一方、 この ようなSUCRAの活動 と平行す る ようにCSI事業 の将来計画 として進展 して いるのが 「共用 リポジ トリ」の構想である。

平成217月に科学技術 ・学術審議会学術 分科会か ら出 された 「大学図書館 の整備及 び 学術情報流通の在 り方 について (審議の まと め)」 には、「今後、独 自で リポジ トリの構築 ・ 運用が難 しい機 関に対 して、各機 関が共通利 用 で きる共用 リポ ジ トリのシステムを構築す ることが必要。」 とある。 また最近、国立情報 学研 究所 か ら示 され た平成22年 度のCSI委 託事業 の基本方針 (http://www.nii.ac.jp/irp/

rfp/2010/kihon.html) に は、「機 関 リポ ジ ト リの構 築 を検 討 してい る機 関向けに、NIIが システム基盤 (ハー ドウェア ・ソフ トウェア) を第3期 中に整備 し、 リポジ トリシステム構 築の選択肢 として碇供す る。」 とある。

これ らを見 る限 りでは、「共用 リポジ トリ」

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とは 「システム」であ り、わか りやす くい え ば機 関 リポ ジ トリ構築のためのホステ ィング サー ビスである。サー ビスの運営主体 の問題 が気 にはかかるが、このようなサー ビスがあっ て もおか しなことではない。当然 の こ となが ら、機関 リポジ トリの構築の上で、 システム ・ ソフ トウェアが物理的に どこに存在 している かは技術的問題 とはな らない。

ところが、真偽のほどは定かではないが、「共 用 リポジ トリ」がそ もそ も 「共同 リポジ トリ」

が成功 を収 めていることに意 を得 て構想 され た ものである、 と聞いた ときには、 当惑 した ことを覚 えている。「共用 リポジ トリ」 と 「共 同 リポジ トリ」 は一字違いではあるが、同種 の もの と考 えるのは錯覚である。 システム及 び ソフ トウェア資源の共有 (それに よるコス ト削漉)が機 関 リポジ トリの普及 に効果的で ある、 との理屈があった もの と推察 されるが、

筆者 に とって共 同 リポジ トリとは、地域 の図 書館 コミュニテ ィが システム共有 とい う手段 を利用 して行 う活動であ り、結果的 に機 関 リ ポ ジ トリの普及 に資す るものである。従 って

「地域共同 リポジ トリ」と呼ぶのが正確 であ り、

地域連携活動 の一種 であって、 ホステ ィング サービス とは次元が異なる。

「共用 リポジ トリ」構想の話 を最初 に聞いた とき、筆者 は これが 「地域共 同 リポ ジ トリ」

とバ ッテ ィングす る ものであ り、埼玉県 にお ける活動 を阻害す るもの と考 えて反発 を覚 え た。 しか し、現在 ではそれが誤解 であ り、錯 覚 であった ことに気づ き、反省 してい る。筆 者 は 「共用 リポジ トリ」構想 を否定す る もの ではない し、機 関 リポジ トリ設立 を 目指す機 関にとって手頃なツール となる可能性 もある。

しか し残念 なが ら、「共用 リポジ トリ」が 「地 域共 同 リポ ジ トリ」が成功 しつつあるの と同 じ理 由によって成功す ることは、原理 的にあ りえない。「共用 リポジ トリ」に 「活動」はセ ッ トされていないか らである。従 って、「共用 リ ポジ トリ」 を利用す ることと 「地域共 同 リポ ジ トリ」 に参画す ることとは別 の次元 の話 で あ る。今後、共用 リポジ トリの利用 もしくは

共 同 リポジ トリへ の参画 を検討 している機 関 には、ぜ ひとも念頭 に置いてほ しい事柄 であ ると思 う。

4.システム と活動

機 関 リポジ トリは機 関の主体 的な活動であ る。 システム構築 自体 はホステ ィングサー ビ ス を使 って もよい し、業者 に外注す ることも で きるだろ う。 しか しその先 が 問題 であ る。

機 関 リポ ジ トリに搭載す るための コンテ ンツ を収集す ることは、学術情報流通 の新 しい経 路 を開拓 し、研 究者の文化 を変 えてい く活動 である。た とえば購入 した資料が黙 っていて も流れて きて嫌で も目録 を取 らなければな ら ない といった状況 とはわけが違 う。 自ら働 き かけなければ何 も流れてこないのであ り、放 っ ておけば自然消滅す る。

地域共 同 リポジ トリは、 システム共有 を通 して一体性 を持 った地域 の コ ミュニ テ ィが、

相互啓発、ケア、 ノウハ ウの共有、共同 と競 争の関係 を通 して、機 関 リポジ トリを持続 的 に発展 させてい く活動 であ るO筆者 の考 えで は、機 関 リポ ジ トリをよ り広 く普及 し、それ を持続 させてい くには最 も有効 な仕組 みであ る。のみな らず、地域共 同 リポ ジ トリは地域 お こ しの活動であ り、機 関 リポ ジ トリの設置 を超 えて、有形 ・無形のメリッ トを参加各機 関、

そ して地域 にもた らす こととなる。

国立情報学研究所 の前身の旧学術情報セ ン ターの時代 なので、 もうだいぶ前 の ことにな るが、 日録 システムの成功 に絶大 な貢献 をさ れた研究者が、「モチベーシ ョンのないシステ ムは失敗する。」と発言 されたのを覚えている。

どの ような素晴 らしい技術 であ って も、社会 とリンク し、魂が吹 き込 まれなければ、技術 屋 の 自己満足 の世界 で終 わって しまう。我 々 は、 自らの活動 に相応 しい システムを自らの 力で手に入れる必要がある。「共同 リポジ トリ」

と 「共用 リポジ トリ」の関係 を考 えていて思 っ たのは、その ようなことである。

(む らた ・てる/埼玉大学図書館)

参照

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