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(副査)平安嗣昭   土屋   亮

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Academic year: 2021

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氏 名(本籍)

学位の種類 学位記番号 学位授与年月日 学位授与の要件 学位論文題名

論文審査委員

杉山和寿(静岡県)

博士(獣医学)

甲第121号

平成21年9月30日 学位規則第3条第2項該当

イヌ由来0んaθオom μm globosσmの臨床学的及び分子生物学的特徴に関 する研究

(主査)村 上   賢

(副査)平安嗣昭    土屋   亮

   佐 野 文 子(千葉大学 真菌医学研究センター准教授)

       論 文 内 容 の 要 旨

 Cゐα召 o〃磁〃zg励os㈱は、環境中に広く分布する常在真菌(糸状菌)の一種であり、最近は、新興真 菌感染症の原因真菌の一つであると考えられている。ヒトにおいては、一般に爪、皮膚などの表在部 位へ感染して重篤な皮膚炎症状を引き起こすことが知られており、水晶体への感染も報告されている。

また、免疫不全のヒトでは肺及び脳などの深部組織への感染も確認されており、死に至る場合もある といわれている。一方、ヒトと接触することの多いイヌにおいて本菌種は、被毛の常在菌叢に属する との報告があるものの、皮膚病変から本菌種が分離されたという報告はこれまで知られていない。

 今回、著者は脱毛と紅斑の皮膚炎症状を呈し来院したイヌから本菌種の分離に初めて成功した。本 症例では、病変部位より本菌種が繰り返し分離できたことから、CgJoうos蹴が感染したことによる皮 膚疾患と考えられた。ヒトとイヌにおける本菌種の関連や環境株との相違は明らかでない。しかし、

Cglo∂os襯はヒトに感染すると深部真菌症の原因菌と成り得ることから、本菌種の遺伝的相違による 感染性や病原性の有無を明らかにすることは人獣共通感染症の観点からも重要と考えられる。

 そこで、本症例から得られたCgloδo∫π〃zの分子系統遺伝学的特徴を明らかにするため、これまでに 主に環境から分離され千葉大学真菌医学研究センターに寄託されたCgZo60s襯17株とのDNAレベル

での比較を行った。

 また、本菌種の培養初期の形態は愛玩動物の皮膚糸状菌原因菌の9割以上を占めるル∫ゴ670Sρ0鰯〃3 0傭εと鑑別がつかないことから、本菌種の皮膚での蔓延状態を調査することが必要である。さらに、

本菌種の感染は重篤な深部真菌症になる危険性が示唆されていることから、迅速診断法の開発は前述 の班。α痂sとの鑑別もふまえて急務である。しかし、一般に糸状菌を形態学的に同定するためには胞 子の確認が必要であり、特徴的な構造物を観察して同定するために、本菌種ではポテトデキストロ一

(2)

ス寒天(PDA)培地での培養により4週間を要する。

 そこで、実際の臨床材料におけるCglo∂o∫%〃3感染のPCRによる迅速な診断法の開発を試みるととも に、イヌやネコなどの愛玩動物に対して表在性皮膚感染症を引き起こす頻度が高く、形態的に本菌種 との鑑別が難しい糸状菌であるルZoα嬬との迅速な鑑別診断法について検討した。     \

第1章 皮膚炎症状を呈するイヌからの0んaθfom σm g obosσmの分離と同定 1)臨床経過

 症例は、雑種犬、4ヵ月齢、雄、体温38.5℃で散歩による外出以外は室内飼育されており、混合ワク チン、狂犬病予防接種などの一般的疾病予防は通常通り行われていた。飼育者は、患犬と一緒に寝る など非常に接触頻度の高い状況であった。初診の約10日前より左眼下から頬部へかけての脱毛、発赤 が見られ、軽度の掻痒があり徐々に病変部が拡大してきたとの主訴で来院した。

(1)初診時、頭部から尾根部まで分布する落屑を伴った脱毛が認められた。特に左眼下部病変では、

  直径約7cmの脱毛、発赤及び皮膚の肥厚が顕著であった。落屑の直接鏡検で有性性菌糸と思われ   る構造物が認められ、ウッド燈検査では判定不能であり、3日間のサブロー平板寒天(SDA)培地   培養で、中心部が灰白色で全体的にはやや黄色を帯びた白色綿毛状集落の形成が見られた。真菌   感染症と仮診断しケトコナゾール(KCZ)の外用を処方した。 PDA培地での室温約4週間の培養i   で、深緑色の集落が認められた。顕微鏡下では縮毛を伴った黒色の子嚢殻が観察され、子嚢殻及   び内部の子嚢胞子の形態からC肋6 o〃吻〃嘱菌と推定した。

(2)3週間後には初診時よりも病変の発赤及び肥厚は軽快傾向にあった。しかし、掻痒、落屑は継続し   ており、病変部の拡大及び増加傾向がみられた。落屑を直接鏡検すると菌糸が観察され、ウッド   燈検査は判定不明であった。また、落:屑の培養検査ではSDAにおいて初診時と同様のコロニー形   成が認められた。そこで、外用剤による局所治療を続行するとともに既報における本菌種に対す   る抗真菌剤の感受性試験結果からKCZの内服投与を併用した。また、本菌の同定後、飼育者には   ズーノーシスの観点から飼育方法の改善を指示した。

(3)9週問後には病変部は軽快し、発毛も認められた。また、病変部皮膚の直接鏡検で菌糸が観察され   なくなり、ウッド燈検査陰性、培養検査も陰賭した。

(4)12週間後に外用及び内服薬を中止したが、その後の再発及び再感染は認められなかった。

2)形態学的同定

 初診時分離株をSDA及びPDA平板培地中央に接種し、25℃、37℃及び42℃で4週間培養した。両 培地接種窺いずれの培養温度においても、十分な真菌増殖が見られた。また、顕微鏡下ではSDAにお ける集落は白色菌糸を認めるのみであったが、PDAにおける集落では、スラント培養同様に子嚢殻を 認めた。そこで、PDA平板培地培養物を掻き取り、鏡検すると、子嚢殻内部は8個の子嚢胞子を包含 する子嚢で満たされていた。成熟した子嚢胞子は褐色で、直径は10−12μmで両端が平板化したレモ

(3)

ン型、その一端には出芽孔を持つ構造であった。これらの形態学的特徴により本箱をC910δo躍〃zと同 定した。

3)分子生物学的同定

 初回分離株のPDAスラントを用い、25℃で2週間培養したものから常法によりDNAを抽出し、リ ボソーム大サブユニットRNA遺伝子のD1/D2領域における約640塩基の塩基配列を解析した。既知真 菌の塩基配列との相同性に基づいて分子系統樹を作成したところ、本症例株は既知のCgloう。謝物と同

じクラスターに分類され、本分離株は分子生物学的にもCg励。膨〃3と同定された。

4)抗真菌剤に対する感受性

 培養により子嚢胞子を形成させた状態で、本分離菌株に対する抗真菌剤の最小発育阻止濃度(MIC)

をNCCLS−38Aに従い判定した。適当な濃度に調製した子嚢胞子に段階希釈した抗真菌剤を加え、30℃

にて好気的条件で48時間培養したのち、目視で判定した。その結果、アムホテリシンB(AMCB);4.0 μg/m1、 KCZ;0.25μg/m1、イトラコナゾール(ITZ);G.5μg/m1、ミコナゾール(MCZ);1つμg/m1、

ミカファンギン;16.0μg/ml以上、フルコナゾール;16.0μg/ml、5一フルオロシトシン;64.0μg/m1 となり、これは、ヒト患者から得られた菌株に対する既報のMICの結果とほぼ一i致していた。

第2章 イヌ由来0力aθめm α1ηg obo鉗mの分子生物学的特徴

 第1章での症例株と千葉大学真菌医学研究センターより入手したσg励。ε襯17株のDNAを用いて β一チューブリン遺伝子領域の一部のPCR増幅産物の塩基配列を比較した。 C gJoう。∫κ〃218株は、β一チュ

ーブリン遺伝子領域の塩基配列の相違により2つのDNA型(へ型とB型)に分類できた。また、 FM 1−

PCRのDNAバンドパターンよっても、2つのグループ分け(Y型とZ型)が可能であった。これらの DNA型分類からイヌ由来本症例株はB−Z型と分類された。本症例株のDNA型は、本症例株を分離し て約2年後に千葉県においてイヌの皮膚から分離された株と同一であった。また、ブラジル由来株や 国内の環境(土壌)由来株のDNA型とも一致していた。このように、 C gJo∂os%〃2のDNA型は真菌の 由来、分離した時期や地域に関連性は認められず、今回のDNA型分類ではイヌ皮膚炎由来本症例株の 特異性は認められなかった。

 また、18株のCgloうos%〃zすべてについてリボソームRNA遺伝子におけるITS1−5.8S{TS2領域及び D1/D2領域の塩基配列を比較解析したが、イヌ皮膚炎由来本症例株のみを特徴付ける配列多型は認め

られなかった。従って、本症例株は、既知のCg励。∫襯と遺伝的に明確に区別されなかった。

第3章 0舶eオ。π[ μmg/obosσmとMlorosρorum oaη后との迅速鑑別診断法の開発

 イヌやネコ1と皮膚炎を起こす真菌症の主要な原因菌として皿ω痂が知られている。Cg励osπ辮と 砿。砺おのDNAを鋳型として、8種類のプライマーを用いてRAPD・PCRを行ったところ、 C glo∂os%〃2

(4)

と忽.6碗εのそれぞれに特徴的な増幅断片が検出できた。これらの増幅断片をクローニングし、塩基 配列を決定し、それぞれの断片を特異的に増幅するプライマーを設定した。設定したこれらのプライ マーセットを用いて、千葉大学真菌医学研究センターより入手した17株のCgJo∂osκ〃2と58株の

.M. cα痂のDNAを鋳型としてPCRを行い、菌種特異的な増幅ができることを確認した。さらに、これ らの菌種を同時に検出できるマルチプレックスPCR法を確立した。

 この手法を用いて、皮膚炎症状の認められた23頭(イヌ20頭、ネコ2頭、ウサギ1頭)の臨床材料

(落屑等)を分析したところ、σg励。∫襯はいずれにも検出されなかったが、イヌ、ネコ、ウサギの各 1頭において/匠6爾εが検出された。これらのうち、イヌとネコ個体由来の真菌は、培養による形態学 的観察からも砿6α痂と確認された。このように、落屑等の臨床材料から、長期間培養する必要がな

く、短時間で検出・診断できる本PCR技術は、臨床への応用へ有効であると考えられた。なお、皮膚 症状のないイヌ8頭から採取した角質に由来する真菌のDNAを本PCR技術により分析したところ、

Cg励。膨〃3及び砿6α燃はいずれも検出されなかった。

 以上、本学究により、皮膚病の原因と考えられる真菌としてイヌから初めてCg励。釧鋭を分離し、

その遺伝的特徴を調べるとともに、迅速で臨床応用可能な検:出方法を開発した。Cg励0躍擁は環境中 に広く分布し、わが国でも土壌からの分離が報告されているが、本症例の感染経路は明らかでない。

今回のイヌ由来Cg励。膨〃zと既知の(二glo∂05%擁との問で、一部のDNA領域を比較した限りでは明確 な相違は認められなかった。この結果より、いずれのCg励03朔もヒトと動物の共通の病原体となる 危険性が示唆された。さらに、本菌種は、SDAにおいて非常に急速にコロニー形成を行うという特徴

を持っていたが、発育初期の形態は砿6α廊に酷似しており、過去に分生子形成の悪い砿ω廊によ る皮膚糸状菌症と診断されている症例に本菌種による感染例が存在していた可能性もある。また、

PDAを用いた場合でも分生子形成までに約4週間を要するため、院内検査において形態学的な同定に より診断を行うことは困難である。したがって、本研究で開発したPCR技術は、 C g励os%〃¢と 既。α痂sとの迅速な鑑別及びイヌの皮膚病変における真菌感染の簡易スクリーニング系として臨床応 用が期待される。

      論文審査の結果の要旨

 C肋θ 0〃吻〃2g励OS鰯Zは、環境中に広く分布する常在真菌(糸状菌)の一種であり、最近は、新興真 菌感染症の原因真菌の一つであると考えられている。ヒトにおいては、一般に爪、皮膚などの表在部 位へ感染して重篤な皮膚炎症状を引き起こすことが知られており、水晶体への感染も報告されている。

また、免疫不全のヒトでは肺及び脳などの深部組織への感染も確認されており、死に至る場合もある といわれている。一方、ヒトと接触することの多いイヌにおいて本菌種は、被毛の常在菌叢に属する との報告があるものの、皮膚病変から本菌種が分離されたという報告はこれまで知られていない。

 本研究では、著者が脱毛と紅斑の皮膚炎症状を呈し来院したイヌから本菌種の分離に初めて成功し

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たことを切掛けに始まっている。本症例では、病変部位より本菌種が繰り返し分離できたことから、

0810∂0躍〃2が感染したことによる皮膚疾患と考えられた。本症例分離菌の分子生物学的な同定も実施 している。しかし、ヒトとイヌにおける本菌種の関連や環境株との相違は明らかでない。本菌種の遺 伝的相違による感染性や病原性の有無を明らかにすることは人獣共通感染症の観点からも重要と考え

られる。そこで、本症例から得られたCg励osπ〃2の分子系統遺伝学的特徴を明らかにするため、これ までに主に環境から分離され千葉大学真菌医学研究センターに寄託されたCglo∂o∫吻317株とのDNA レベルでの比較を行った。また、本菌種の培養初期の形態は愛玩動物の皮膚糸状菌原因菌の9割以上 を占める1協0705ヵ。㍑〃20α嬬と鑑別がつかないことから、本菌種の皮膚での蔓延状態を調査することが 必要である。さらに、本菌種の感染は重篤な深部真菌症になる危険性が示唆されていることから、迅 速診断法の開発はM.oα廊との鑑別もふまえて急務である。そこで、著者は、長期間を要する形態学 的同定法に替えて、実際の臨床材料における(=g励05%〃z感染のPCRによる迅速な診断法の開発を試み るとともに、イヌやネコなどの愛玩動物に対して表在性皮膚感染症を引き起こす頻度が高く、形態的 に本菌種との鑑別が難しい糸状菌である砿.o傭sとの迅速な鑑別診断法について検討している。本論 文は、3章で構成されており、各章の成績は以下のように要約できる。

第1章 皮膚炎症状を呈するイヌからの0舶efom σm g obos〃mの分離と同定

 症例は、室内飼育されていた4ヵ月齢、雄の雑種犬で、左眼下から頬部へかけての脱毛、発赤が見 られ、軽度の掻痒があり徐々に病変部が拡大してきたとの主訴で来院したイヌであった。初診時、頭 部から尾根部まで分布する落屑を伴った脱毛が認められ、特に左眼下部病変では脱毛、発赤及び皮膚 の肥厚が顕著であり、落屑の直接鏡検で有隔性菌糸と思われる構造物が認められた。サブロー平板寒 天(SDA)培地培養で、中心部が灰白色で全体的にはやや黄色を帯びた白色綿毛状集落の形成が見ら れ、真菌感染症と仮診断した。ポテトデキストロース寒天(PDA)培地での室温約4週間の培養で、

深緑色の集落が認められ、鏡検では縮毛を伴った黒色の子嚢殻を観察した。子嚢殻内部は8個の子嚢 胞子を包含する子嚢で満たされており、成熟した子嚢胞子は褐色で、直径は10−12μmで両端が平板 化したレモン型、その一端には出芽孔を持つ構造であった。これらの形態学的特徴により本菌をα g励os%〃3と同定した。一方で、初回分離株のPDAスラントを用い、25℃で2週間培養したものから DNAを抽出し、リボソーム大サブユニットRNA遺伝子のD1/D2領域における約640塩基の塩基配列

を解析し、既知の真菌の塩基配列との相同性に基づいた分子系統樹を作成した。その結果、本症例分 離株は既知のCgZOう0∫%勉と同じクラスターに分類され、分子生物学的にも(一層10δ0膨〃2と同定した。

 さらに、本分離菌株の抗真菌剤に対する感受性を見るため、子嚢胞子に抗真菌剤を加え最小発育阻 止濃度(MIC)を調べた。その結果、アムホテリシンB;4.0μg/m1、ケトコナゾール(KCZ);0.25

μg/ml、イトラコナゾール;0.5μg/m1、ミコナゾール;1.0μg/ml、ミカファンギン;16.0μg/ml以 上、フルコナゾール;16。0μ9/ml、5.フル白雨シトシン;64,0μ9/m1となり、これは、ヒト患者から 得られた菌株に対する既報のMICの結果とほぼ一致していた。なお、本症例では、初診の3週間後か

(6)

ら12週間後に渡って、KCZを外用及び内服投与することにより治癒した。

第2章 イヌ由来0力aefom1σm g oわosσmの分子生物学的特徴

 第1章での症例分離株の分子レベルでの特徴を調べるため、千葉大学真菌医学研究センターより入 手したσgJoわos%〃z 17株のDNAを用いてβ一チューブリン遺伝子領域の一部のPCR増幅産物の塩基配列

を比較した。σg励os襯18株は、β一チューブリン遺伝子領域の塩基配列の相違により2つのDNA型

(A型とB型)に分類できた。また、FM1−PCRのDNAバンドパターンよっても、2つのグループ分け

(Y型とZ型)が可能であった。これらのDNA型分類からイヌ由来本症例株はB−Z型と分類された。

本症例株のDNA型は、本症例株を分離して約2年後に千葉県においてイヌの皮膚から分離された株と 同一であった。また、ブラジル由来株や国内の環境(土壌)由来株のDNA型とも一致していた。この ように、σgJo60錨〃2のDNA型は真菌の由来、分離した時期や地域に関連性は認められず、今回の DNA型分類ではイヌ皮膚炎由来本症例株の特異性は認められなかった。また、18株のCgJoδos%〃zす べてについてリボソームRNA遺伝子におけるITS 1−5.8S−ITS2領域及びD1/D2領域の塩基配列を比較解 析したが、イヌ皮膚炎由来本症例株のみを特徴付ける配列多型は認められなかった。従って、本症例 株は、既知のαg励。∫%〃zとDNAレベルで明確に区別されるものではないことを示した。

第3章 0わaθめm ロmg obosμmとル1/orosρorαm oaη給との迅速鑑別診断法の開発

 Cglo60膨〃3は人獣共通感染症と成り得るため、長期間を要する培養とその形態観察による同定では なく、より迅速な検出法が望まれる。著者は、PCRによる迅速な診断法の開発を試みた。σgloうos%〃2 のDNAを鋳型として、8種類のプライマーを用いてRAPD−PCRを行い、 C g励05κ〃zに特徴的な増幅断 片を検出した。これらの増幅断片をクローニングし、塩基配列を決定し、それぞれの断片を特異的に 増幅するプライマーを設定した。設定したプライマーセットを用いたPCRにより、αg励。∫%〃z特異的

な増幅ができることを確認した。また、イヌやネコに皮膚炎を起こす真菌症の主要な原因菌として 砿。α廊が知られており、これについても同様に砿6α痂特異的なPCR増幅を開発した。さらに、こ れらの菌種を同時に検出できるマルチプレックスPCR法を確立した。この手法を用いて、皮膚炎症状 の認められた23頭(イヌ20頭、ネコ2頭、ウサギ1頭)の臨床材料(落屑等)を分析したところ、

Cglo∂o躍〃zはいずれにも検出されなかったが、イヌ、 ネコ、ウサギの各1頭においてM「6侃∫∫が検:出 された。これらのうち、イヌとネコ個体由来の真菌は、培養による形態学的観察からもM。oα嬬と確 認された。このように、落屑等の臨床材料から、長期間培養する必要がなく、短時間で検:出・診断で

きる本PCR技術は、臨床への応用へ有効であると考えられた。なお、皮膚症状のないイヌ8頭から採 取した角質に由来する真菌のDNAを本PCR技術により分析したところ、 C g励os%〃2及びM6α脇は いずれも検出されなかった。

以上、本研究により、皮膚病の原因と考えられる真菌としてイヌから初めてCg励。ε襯を分離し、

(7)

その分子生物学特徴を調べるとともに、迅速で臨床応用可能な検出方法を開発した。今回のイヌ由来 CgJo∂o∫%〃3とヒト及び環境由来の既知のC910∂o∫%〃zとの間で、一部のDNA領域を比較した限りでは 明確な相違は認められなかったことより、いずれの(=8励。錫〃2もヒトと動物の共通の病原体となる危 険性を示唆した。さらに、本菌種は、SDAにおいて非常に急速にコロニー形成を行うという特徴を持 っていたが、発育初期の形態はM.oα酪に酷似しており、過去に分生子形成の悪いM. oα溺sによる皮 膚糸状菌症と診断されている症例に本菌種による感染例が存在していた可能性もある。また、PDAを 用いた場合でも分生子形成までに約4週間を要するため、院内検査において形態学的な同定により診 断を行うことは困難である。したがって、本研究で開発したPCR技術は、 C 40605媚と.M 6α廊との 迅速な鑑別及びイヌの皮膚病変における真菌感染の簡易スクリーニング系、治療方針への一助として 臨床応用が期待される。また、これらの真菌症の疫学的研究にも有用である。本研究で得られたイヌ 由来のCgloδos蝦に関する知見は、獣医学上意義ある業績として評価できることから、博士(獣医学)

の学位を授与するのにふさわしい研究と判定した。

参照

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