九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
中国農村地域におけるスクールリーダー教育の特質 : 東北師範大学の「一体四段式」研修を事例として
殷, 爽
九州大学大学院人間環境学府 : 博士課程
http://hdl.handle.net/2324/2559289
出版情報:九州地区国立大学教育系・文系研究論文集. 6 (1/2), pp.No.3-, 2020-03-31. 九州地区国立 大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
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中国農村地域に おける スクールリーダ ー教育 の 特質
―東北師範大学 の「一 体四段式」研修 を事例 として ―
九州 大学 人 間環 境 学府 大学 院生 殷爽 (YIN SHUANG)
はじめに
(1) 本研究の目 的
本稿では、中国に おけ る農村地域のス クール リーダー教育(1)の内容 と方法の特質 を検討する。具体的に は 、農村地域 の学校管 理職の 現職研修(2)の一 つであり、東 北 師範大学が開発 した「 一体四段式」研修 の事 例を通じて 、その特 質 の内実の解明を 目的とする。「一体 四段 式」研修とは 、①特定テ ーマ学習+②シ ャドー イング研修+
③ 勤 務 校 で の 実 践 + ④ 学 校 現 場 で の ま と め と 報 告 及 び 指 導 と い う 四 段 階 に よ る 研 修であり、体系 化され た研修モデルで ある( 10 頁の図1)。こ の研修 は、中国教育 部が計画した農 村部校 長の援助プロジ ェクト を実施するため に、東 北師範大学が開 発した学校管理 職研修 モデルである。本稿 が「一体四段式」研修に 注目 する理由は、
後文で述べるよ うに、その研修モデル が、中 央政府の政策へ の解読 を もとに、研修 機 関 が 開 発 し た 中 国 農 村 部 の ス ク ー ル リ ー ダ ー 教 育 に お い て 先 進 的 な も の で あ る ためだ。2017 年 、東北 師範大学教育学 部教師 発展学院 が開発 した「 一体四段式」研 修も、当年度の中 国教 育学会教員研修 者連盟(3)にお ける「優秀な 研修 の実践ケース」
として優秀賞を 得てい る(4)。さらに 、2019 年 5 月 29 日には中 国教育 学会教員研修 者連盟のホーム ページ で「一体四段式」研修 を再公開し、カリキ ュ ラムのデザイン と実施について 詳しく 紹介 している。研修モ デルの再公開の 趣旨は 、全国の学校管 理職研修を実施 する各 機関に示唆を提 示する ためである(5)。こ のよ うな評価を得て いることから、本 稿で は東北師範大学 の「一 体四段式」研修モデ ル を全国的な先進 事例として捉え る。
(2) 問題の所 在
① 校長の専門 的力量 とその形成にお ける「 両極化」
中国のスクール リーダ ー教育は 、中央 政府の 政策規定によっ て 、各 地域と各研修
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機関が実施する トップ ダウン形式で展 開され ている。そうした中 で 、2014 年に、教 育部は「小中学校 長の 国家レベル研修 計画に 関する通知」を出 した が 、この通知に おいて、国家レ ベルの 研修計画 として は、小 中学校長の模範 型研修 プロジェクトと 中・西部農村の 校長研 修計画プロジェ クトの 二つのプログラ ムが示 された。これは 、 中 央 政 府 が 都 市 と 地 方 、 地 域 間 の 格 差 を 念 頭 に 、 農 村 ・ 貧 困 地 域 の 実 情 に 配 慮 し 、 模範型校長を育 成する と同時に 、中・西 部農 村の校長の力量 形成も すすめることを 意味している。換 言す るならば 、スクー ルリ ーダー教育にお いて 、中央政府が機会 均等を目指して いるこ とがうかがえる 。
この政策動向は、校 長 の専門的力量が 都市部 と農村部とで「両極 化 」していると いう、中国のス クール リーダー教育の 実情に 起因している。中国社 会は都市 と農村
(県・鎮 を含む)に大 別され 、都市部と農 村 部の校長の資質 能力に は差異が存在す るといわれてい る(6)。また、都市・農村間 に は教育格差が存 在する ことも校長の資 質能力に影響す るとさ れる(7)。つ まり、中 央 の政策期待と異 なり、現実には研修の 差異が存在する 。そし て、中央政府が 公表し た学校管理職研 修に関 する政策はこの
「両極」を強化 する可 能性があると考 えられ る。その理由に ついて 、例えば、2000 年には、学校 管理職研 修制度における 高級研 修(8)を実現す るために 、上海で「『名校 長』のワークショ ップ」(中国語「名校长工 作 室」)が試行され 、その 後中国の各地 域 で 設 置 さ れ た 。 優 秀 な 校 長 を 育 成 し 、 将 来 の 人 的 資 源 を 蓄 え る た め に 行 わ れ た
「『名校長』の ワークシ ョップ」は 、各 級の教 育行政部門が管 理し 、各研修機関に依 頼する形で展開 した。そこでは徒弟制 的な教 育関係が結ばれ ており 、「名校長」に選 ばれた校長を師 匠とし 、その他のメンバ ーは その校長を模倣 する形 で研修が行われ た。
しかしながら、「『名校 長』のワークシ ョップ 」で研修を受け るメン バーは 、一つ のワークショッ プにつ き 5~10 名だけ である 。加えて 、この 5〜10 人は各地域の優 れた校長が選ば れて い るため、「『名校長』の ワークショップ」は エ リート育成の研 修方式と言える( 周・陳 2015:52 頁)。即 ち 、中国において校 長の ための高級研修 に参加できる校 長はご く一部の少数派 であり 、それ以外の校長 は高 いレベルのエリ ート育成研修に 参加で きない。特に 、農村部の 校長ではそれが 顕著で ある。従って 、 依然として校長 の力量 の地域間格差は 広がっ たままであり 、中 国の スクールリーダ ー教育において その是 正に取り組むこ とは急 務である。
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② 都市部と農 村部間 の校長人事異動 の形骸 化
都市部と農村部 の教育 格差を是正する ために 、2013 年、中国教 育部 、財政部(9)、 人力資源と 社会保障 部(10)が連携し 、「県( 区) 範囲内義務 教育の校 長 、教員定期 異 動を推進する意 見」を 公表し、そこで「 3 −5 年の間、県(区)範 囲 内校長、教員の 定期異動の制度 化、常 態化を実現でき るよう に」と明確にし た。ま た、2018 年に中 国国務院が公表 した「 新時代の教員集 団改革 の深化に関する 意見」の中で は「都市 部の優秀教員・校 長は 郷・村 の 学校と教 育困 難校 へ異動させ ること を推進する」と 言及されている。し か し、現実には、「校長は 農村から都市へ 異動す るだけ であり、
都市から農村へ 異動す る校長はほとん ど いな い」ことや「教員のみ 異動し 、校長は 異動していない 」など の課題が指摘さ れてい る(王・李 2017:55 頁)。実際には、
中国では校長の 人事異 動は教員の異動 と異な り、幹部の人事 任命に 属する。そのた め、教育行政か らの任 命として校長の 人事異 動を行えば、教 員より も達成する可能 性が高いと言え る。し かし、異動制度の 最終 的な目的は異動 の達成 ではなく、校長 自身の専門的力 量形成 を促進するか、学 校改 善を順調に展開 するか が最終的な目標 とされる。また、鄭・薛(2018)は、幹部人 事の任命に属す る校長 の人事異動につ いて、制度として 柔軟 性が不十分であ ること を明らかにした。鄭・薛(2018)の調 査結果から見る と、校 長の異動制度の 実施に おいては、教育 行政か らの暗黙の関与 が強すぎるため 、表面 的に異動してい るよう に見えるが、実 際には 教育資源の均等 分配を達成して いない 。つまり、校長人事異 動制度の形骸化 を招く 。さらに中西部 などの地域で校 長異動 の停滞を引き起 こす 恐 れがある。
③農村部の学校 の現実 問題
先行研究の馬・周・梅( 2017)は、現在の中 国の農村地域 、特 に中・西部の貧困 地域の学校教育 の現状 と課題について、以下 の4点にまとめ ている 。第一に、農村 部 の 学 校 で は 教 員 不 足 が 顕 在 化 し て い る と 同 時 に 、 指 導 能 力 不 足 教 員 が 多 い こ と 。 第二に、保護者や 地域 住民は学校の進 学率へ の関心が高く 、こ のこ とが、教員集団 と 設 備 な ど が 厳 し い 農 村 の 学 校 経 営 に 無 意 識 の う ち に プ レ ッ シ ャ ー を か け て い る こと。第三に、両親が 都市部に出稼ぎ に行く 場合 、一部の子ども は 都市部の学校に 転校するものの、大部 分が留守児童と なると いう課題がある こと。また、生徒数が 年々減っている ことも 農村部 の学校教 育の課 題である。第四 に、家 庭教育の機能の 低下が挙げられ る。
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上 述 し た 4 点 の 問 題 は 、 現 在 の 農 村 部 の 学 校 教 育 の 代 表 的 な 課 題 と な っ て い る 。 このような現状 におい て 、農村部のス クール リーダーは 、学 校経営 者として 都市部 と異なる特殊な 課題に 対応できる力量 が求め られる。特に、上 述し た農村部の学校 改善を推進する 学校発 展のためのビジ ョン形 成能力 、教職員 育成能 力、学校文化風 土の醸成能力な どが必 要な力量となる 。
④研修の機能
このような校長 の力量 の地域間格差 、校 長人 事異動の形骸化 と農村 教育の現実課 題をふまえると、研修 は校長の専門的 力量の「両極化」を 緩和する ための一つの選 択肢になると考 えられ る。
校長の専門的力 量 とそ の形成の「両極化」を 是正するため 、公開 さ れた農村部の 校長に向けた研 修政策 を 、研修機関はど のよ うに して受け入 れるの か。また 、その 政 策 と 農 村 の 学 校 教 育 の 現 実 を 基 に ど の よ う な 新 た な 研 修 モ デ ル と カ リ キ ュ ラ ム が開発され、研 修がど のように展開さ れるの か。このような 研修の 実施は農村部の 校長の専門的力 量形成 を促進し 、「両極化」を 緩和する機会で あると 考えられる。特 に、研修機会の 均等が 求められている という 背景の下、以上 のよう な研修の実態を 明らかにするこ とは 、校長への研修の 質を確 保していくにあ たって 必要な作業と思 われる。そこで、本稿 は中国の農村地 域のス クールリーダー 教育の 実態に焦点を当 てる。
ス ク ー ル リ ー ダ ー 教 育 の 最 終 的 な 目 的 は 学 校 管 理 職 の 資 質 能 力 の 向 上 で あ る と 言 え る 。 そ の た め 、 中 国 の ス ク ー ル リ ー ダ ー の 育 成 の 実 態 を 論 じ る こ と を 通 じ て 、 中国の農村部に おける 校長育成の特質 を明ら かにすることが 重要な 課題となる。そ れだけでなく、そ の特 質の影響要因を 検討し その内実を明ら かにす ることも本稿の 重要な課題であ る。こ の特質と内実の 解明の 意義は、中国の 農村地 域校長の育成の 原理を提示でき る点に ある 。即ち農村部 の学 校教育に適した 学校経 営能力がある校 長を育成するこ とによ って、中国の全 体の校 長の専門的力量 の両極 化を緩和し、農 村の学校教育を 質的に 変革できると思 われる 。
先行研究におい て、中 国の農村地域の スクー ルリーダー 教育 の特質 に関する研究 は少ない。校長の 力量 の現状と課題を めぐり 、宋・陳(2017)は質 問紙調査を通じ て 西 部 農 村 小 学 校 長 は ス ク ー ル リ ー ダ ー と し て の 基 礎 知 識 を 備 え て い る こ と を 明 らかにした。しか し、カリキュラム開 発・外 部調整等 の能力 が不十 分という課題も
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見られた。その要 因に ついて は、孫・乞(2014)が農村地域の 校長の 専門的力量の 形成における苦 境とい う視点から論じ ている 。彼らによれば校 長の「官僚」的な言 動の残存、生徒募集 の困 難・教員 集団の不安 定・教育経費の不足 等農村 学校の現実 、 及び政策の保障・支援 不足 がその要因 という 。提言とし て、孫・乞(2014)は多様 な研修の開発に 言及し た。先行研究が取 り扱 った研修モデル の開発 事例 は以下のよ うに分類できる。1)研修講師を中心 にして のモデル開発(11)、2)ニーズを中心に してのモデ ル開発(12)、 3)「体系 化」研修 モデ ル開発であ る。本研 究 の事例は1 ) プラス2)の「体系化 」研修モデルに属 する 。張・郭(2015)は成 都師範学院での
「体系化」研修 モデル である農村校長 研修を 事例として、そ こでの 研修モデルの構 成・形 式などを論 じた 。しかしながら、な ぜ 農村校長研修が「 体系 化」研修モデル で展開されるの かとい うこと 、またはこ の研 修の内容や特質 及び 課 題への言及は僅 少である。以上 のよう な先行研究の状 況を踏 まえ 、本稿は改 めて「 体系化」研修の 事例の検討を行 い、中 国農村における スクー ルリーダー 教育 の特質 を明らかにして いく。
(3) 本研究の方 法と構 成
本稿ではまず、中 国の スクールリーダ ーに求 められる専門的 な基礎 能力とその 教 育の全体像を政 策資料 、先行研究などか ら整 理する。次に、東北師 範大学が開発し た「一体四段式」研修 への実地調査の 結果か ら、農村地域のスク ー ルリーダー教育 の実態と特質を 考察す る。分析対象とし て、2018 年 3 月 19−23 日、9 月 11−14 日に 現地で調査を行 い入手 した一次資料を 用いる 。これに加えて、東北 師範大学教師発 展学院の院長(研修開発 責任者)M 氏 (2018 年 3 月 20 日実施)、(研修 開発参与者)
講師 L 氏(2018 年 9 月 11 日実施)へ の聞き取 り調査のデータ を用い る。
M 氏への調査に ついて の概要は以下の とおり である。
【調査日】2018 年 3 月 20 日(火曜日 )
【調査時間】10:00-11:30
【調査場所】東 北師範 大学心理学院 403 室
【質問項目】
① 東北師範大学に よる農 村地域の校長研 修プロ グラム の全体像 につい て
② 具 体 的 な 研 修 内 容 と 方 法 に つ い て 、 国 の 規 定 を も と に 創 造 す る プ ロ セ ス と そ の
6 理由について
③ 中国の農村部校 長研修 の特殊 性につい て、そ れに対する M 氏 の考え について
【ヒアリング調 査方法 】半構造化イン タビュ ー調査 L 氏への調査に ついて の概要は以下の とおり である 。
【調査日】2018 年 9 月 11 日(火曜日 )
【調査時間】14:00-15:30
【調査場所】東 北師範 大学 教育学部 L 氏の研 究室
【質問項目】
① 「 一 体 四 段 式 」 研 修 モ デ ル の 開 発 に つ い て 、 参 与 者 と し て そ の 理 念 に 対 す る 考えと理解
② 研修講師の立場 からみ たこの研修の実 際につ いて
【ヒアリング調 査方法 】半構造化イン タビュ ー調査
1.中国のスク ールリー ダー に求められ る専門 的な基礎能力と その 教 育の全体像
近年、中国で は「教 育家型」(教育 専門家)の校長を育成す ること が政策の要点と なった。そのた め、現 在中央政府が求 める校 長像は「教育家 型」校 長 となったこと が確認できる。2013 年 2 月、中国教育 部は「義 務教育の学校長 の専門 職基準」を作 成し、2015 年に は引き 続き「高等学校 長専門 職基準」を配布 した。校長の専門職基 準の作成は教育 家型校 長の育成に枠組 みを提 供することとな った。専門職基準の中 で提起された校 長に対 する 具体的な要 求は、今日の中国で求 められ るスクールリー ダーの専門的な 基礎能 力 (表1)であ る。
表 1 ス クー ルリ ー ダー に 求め られ る専 門 的な 基 礎能 力( 中央 政 府)
ス ク ー ル リ ー ダ ー に 求 め ら れ る 専 門 的 な 基 礎 能 力 ( 概 要 )
具 体 的 内 容
① 学 校 の 更 な る 発 展 の た め の ビ ジ ョ ン 形 成
・ 学 校 の 現 状 を 把 握 し 、 課 題 を 見 つ け 、 分 析 す る 。
・地 域・保 護 者・教 員・児 童 生 徒 が 学 校 の ビ ジ ョ ン の 設 定 に 参 加 す る こ と を 推 進 す る 。 学 校 の 中 長 期 発 展 計 画 を 確 定 す る 。
・学 校 経 営 計 画 を 着 実 に 実 施 し 、全 学 年・全 学 期 の 計 画 を 作 成 す る 。 同 時 に 、 教 職 員 を 指 導 し 具 体 的 な 方 案 を 制 定 す る 。
・ 学 校 経 営 の 計 画 の 実 施 を 監 督 し 、 実 際 の 状 況 に よ っ て 学 校 経 営 計 画 を 修 正 し 、 方 案 を 完 成 さ せ る 。
② 人 材 育 成 の た め の 文 化 風 土
の 醸 成 ・よ り 良 い 校 風・教 育 の 雰 囲 気・学 習 雰 囲 気 を 作 り 、学 校 の 特 徴 と 理 念 を 体 現 す る 校 訓 ・ 校 歌 ・ 校 章 な ど を デ ザ イ ン す る 。
・ 多 様 な 校 内 文 化 活 動 を 行 う 。
・ 健 全 で 安 全 な 学 校 ネ ッ ト ワ ー ク を 作 り 、 そ れ ら を 用 い て 文 化 作 品 と 模 範 と な る 人 物 を 宣 伝 し 、 児 童 生 徒 に よ い 影 響 を 与
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え る 。
・ 文 化 風 土 の 醸 成 に 教 員 ・ 児 童 生 徒 な ど の 力 を 活 用 す る 。
③ カ リ キ ュ ラ ム 開 発 と 授 業 力
向 上 改 革 ・ ナ シ ョ ナ ル カ リ キ ュ ラ ム ・ 地 方 カ リ キ ュ ラ ム を 着 実 に 実 施 し 、 自 校 の カ リ キ ュ ラ ム の 開 発 と 実 施 を 推 進 す る 。
・ 授 業 を 観 察 し 評 価 す る 仕 組 み を 作 る 。
・ 校 内 研 究 及 び 授 業 改 善 を 実 施 し 、 児 童 生 徒 あ ら ゆ る 側 面 か ら の 成 長 を 可 能 に す る 成 績 評 価 制 度 を 構 築 す る 。
④ 教 職 員 の 育 成 ・ 教 員 の 専 門 性 向 上 の た め の 制 度 構 築 、 特 に 校 内 研 修 を 実 施 す る 。
・ 教 員 は 自 身 の 特 長 を 踏 ま え た キ ャ リ ア プ ラ ン ニ ン グ を 実 施 す る 。 若 手 教 員 の 養 成 を 強 化 す る 。
・ 教 員 と し て の 道 徳 や あ る べ き 教 員 像 に 関 す る 教 育 を 行 い 、 職 業 道 徳 の ル ー ル に 基 づ い た 活 動 を 促 す 。
⑤ 内 部 経 営 ・ 学 校 管 理 職 グ ル ー プ の 団 結 力 を 高 め る 。
・ 教 職 員 の 学 校 経 営 へ 参 入 す る 権 利 を 尊 重 す る 。
・ 学 校 人 事 ・ 財 務 ・ 資 源 管 理 に 関 す る 規 則 制 度 を 構 築 す る 。
・ 学 校 安 全 ・ 危 機 管 理 の た め の 仕 組 み を つ く る 。
⑥ 外 部 と の 連 携 ・ 教 育 資 源 を 持 つ 社 会 ・ 地 域 か ら の 支 援 を 獲 得 す る 。
・ 保 護 者 委 員 会 の 機 能 を 活 用 し 、 地 域 の 方 々 が 学 校 経 営 や そ の 監 督 を 参 加 す る よ う 導 く 。
・学 校 と 家 庭 が 連 携 す る 仕 組 み を 作 る 。・地 域 社 会 の 発 展 に お け る 学 校 の 機 能 を 明 確 に す る 。
(出典 教育部「義 務教 育学校長の専門 職基準」( 2013 年)「高校の校長 専門職基準」
(2015 年)に 基づいて 筆者整理 )
表1を見ると、現在 中国で中央政府 が求め るスクールリー ダー の 専門的な基礎能 力は、六つのカテ ゴリ ー( ①学校の更な る発 展のためのビジ ョン 形 成能力、②人材 育成のための文 化風土 醸成能力 、③カ リキュ ラム開発と授業 力向上 改革 能力、④教 職員の育成能力 、⑤内 部経営能力、⑥ 外部と の連携能力)に 整理さ れている。留意 す べ き こ と は 、 専 門 職 基 準 に お け る 中 央 政 府 が 求 め る ス ク ー ル リ ー ダ ー の 能 力 は 、 都市と農村の学 校の格 差を念頭に置い ておら ず 、スクールリー ダー に 向けて規定さ れる基本的・全 般的能 力であることだ 。スク ールリーダーの 選抜・養成・研修の参 照基準として、選抜で は農村と都市を 区別せ ず同じ基準で校 長を選 抜す れば、公平 性を確保できる と考え られる 。しかし、養成・研修段 階では主に ス クールリーダー の 学 校 経 営 能 力 を 育 成 す る た め 、 都 市 と 農 村 の 学 校 現 実 を 考 え な け れ ば な ら な い 。 この理由には、例えば 先述した農村 部 の学校 教育の課題にも あるよ うに、農村地域 の保護者は出稼 ぎのた め、学校経営へ の参画 が不可能となる ことが 挙げられる 。こ の時、学校のス クール リーダーは外部 との連 携能力が あった として も、現実的に連 携できる条件が ないの で、連携は成立し ない 。この場合、農村部の スクールリーダ ーは表1にある「 ⑥外 部との連携」に基 づき 、連携できる条件作 り を模索する能力 なども必要であ る。即 ち、中国の農村 地域の スクールリーダ ー は、より高い「専門 的な基礎能力」「学 校経 営能力」が求められ る と言える。中央政府 は 明確に述べてい
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ないが、このよう な能 力は 農村の学校 教育の 現実が求めるス クール リーダーの能力 となる。
一方、現在の 中国のス クールリーダー 教育は 、「学歴教育 」と「非学 歴 教育」に分 けられる。「学歴教 育」は、「規定時間内で 定め られる課程を修 了すれ ば相応の学歴
(短大、4 年制 大学、 大学院の学位) を取れ る」という教育 形式で ある(牛 2017:
170 頁)。近年、 中国の 教育専攻の大学 院の修 士課程(中国原 語「教 育硕士 Ed.M」)
の設置に伴い、そ こに 進学する小中学 校長も いたとされる。そ の場 合 、就学の形式 は学校現場から 離れる ものと在職学習 という 二種類がある。具体的 は 、この修士課 程では主として カリキ ュラムの学習を 中心に 、系統的に基礎理 論と 専門的知識を学 び、その実践と 応用を 通し 、特にケー ススタ ディを重視して いる。また 、学位を取 るためには研究 論文を 書かなければな らない 。従って 、大学院 修士 課程での学習は 学歴向上という 機能が 強い。「非学歴教 育」(学 校管理職研修制 度)は「 初任者研修」
「向上研修」「 高級研修 」「特別テーマ 研修」( 表 2)からなる 。初任者 研修は主に各 省の教育学院・教師進 修学校で行い 、それ以 外の研修は資格 を有す る師範大学や総 合大学及び民間 機構な どで行われる。
表 2 中 国に おけ る 学校 管 理職 研修 制度
○ 初 任 者 研 修( 任职 资格 培训)内 容:法 律 に 基 づ き 学 校 を 経 営 す る 能 力 の 向 上 。時 間:少 な く と も 300 コ マ 。
○ 向 上 研 修 ( 提 高 培训): 素 質 教 育 を 実 施 す る 能 力 の 向 上 。
○ 高 級 研 修 ( 高级培训): 思 考 能 力 ・ 教 育 を 創 造 す る 能 力 ・ 学 校 の 継 続 発 展 を 指 導 す る 能 力 を 向 上 さ せ る 。
○ 特 別 テ ー マ 研 修 (专 题培训) 現 職 研 修 は 5 年 ご と 職 場 か ら 離 れ た 形 で 少 な く と も 360 コ マ 。
(出典 「小中 学校長 の研修を更なる 強化と 改善のための意 見」( 2013 年))
そのうち、「小 中学校長 研修の更なる強 化と改 善のための意見 」(2013 年)では、
「重点的に農村・貧困 地域・民 族地域の 校長 研修を強化する。実 力 の低い学校の校 長研修を強化す る」、「 教育部は『農村 の校長 への援助プログ ラム』を実施する」と いう規定もあっ た。この ような政策を本 格的に 実施するた めに、同 年度 教育部は「農 村部校長の援助 プロジ ェクトの実施 に 関する 通知」を公布 した。加 えて、2014 年か ら実施した校長 の国家 レベル研修計画 におい て 、中・西部農村 の校 長研修プロジェ クト以外に、「小中 学校 長の模範型研修 プロジ ェクト」の 中で、農村部 校長の援助プ ロジェクトが重 要な項 目として設定さ れた。これらの政策か ら農村 部校長の援助プ
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ロジェクトは、農 村地 域のスクールリ ーダー に向けた特別な 国家レ ベルの研修 プロ ジェクトという 性質が 読み取れる。ただ し 、学校管理職研修 制度の どの段階(向上 研修、高級研修 、特別 テーマ研修)に 属する か、規定上必要 な研修 時間との関係性 も不明である。農 村部 校長の援助プロ ジェク トは 中国学校管 理職研 修制度の補助 的 、 またプラスアル ファ的 な政策と言える 。
2.東北師範大 学のスク ールリーダー教 育 にお ける「一体四段 式」研 修 の実態
(1) 事例の選定 理由
東北師範大学は 、中国 の教育部直属の 六つの 重点師範大学の 一つで あり、教員養 成系重点大学と して 、基 礎教育各段階の 小中学 校教員を育成す る以外 に 、各レベル・
各種の教員・校 長研修 プログラムを 引 き受け 、実施している 。2010 年、「小中学校 国家レベル教員 研修計 画」が 施行され て以来 、東北師範大学 では、 7 年間続けて実 施したプログラ ム数は 90 件であり、全 国の各 地域から研修に 参加し た教員・校長 数は約 9000 名に 至っ ている。そのよ うにし て、教員・校長 研修の 実践的経験が積 み重ねられてき ている 。また、中国では国家 レベルの研修セ ンター として 、教育部 直轄の小学校長 研修セ ンター( 北京師範大 学 内)・中 学校長研修 セン ター( 華東師範 大学内)が設置 された 。一方、東北師 範大学 には、大学単独 で農村 地域の校長研修 プログラムを引 き受け るレディネスが 整って いた。東北師範大 学に は農村教育研究 に専念する「中国農村 教育発展研究院 」(以下「研究院 」という )が ある。研究 院は 1980 年代に開 設され、農村部の小中学 校・教 育行政部門と連 携し 、農村の教育改革 と学校改善に力 を尽く してきている。農 村地 域の学校現場に おける 長期的観察と調 査研究により、 スクー ルリーダー 研修 開発の 参考資料や研修 案を提 供している。
東 北 師 範 大 学 で も 6 年 間 (2018 年 度 も 含 め る )に わ た る プ ロ ジ ェ ク ト 実 施 履 歴 が あ る 。「 一 体 四 段 式 」 研 修 は 毎 年 の 参 加 者 の ニ ー ズ と 前 年 度 の 反 省 に よ っ て 年 々 改 善・開発 され、研修機 関の仲間及び参 加者か ら良い評価を受 けてい る。中国教育学 会 教 員 研 修 者 連 盟 に お い て 「 優 秀 な 研 修 の 実 践 ケ ー ス 」 優 秀 賞 を 得 た こ と も あ り 、 全国の他の研修 機関に 示唆を与える先 進事例 として公開され てい る 。また、参加者 はそれぞれ中国 の中・西部各省の県・郷・村(少数民族地域 を含む )小学校(13)の学 校管理職である ため、多様な研修対象 の資質 能力向上のため に、東 北師範大学は広
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い 範 囲 の 調 査 デ ー タ を 分 析 し て お り 、「 一 体 四 段 式 」 研 修 モ デ ル は 科 学 性 の 保 証 に も目を配ってい る。従 って、本稿は東 北師範 大学における農 村地域 のスクールリー ダー教育開発を 先進的 な事例として捉 える。
(2)「一体四段 式」研修 の方法、内容と 有効性
①研修の方法
「一体四段式」研修 は 、教育部の規 定にお ける「集中研修」+「 職 場実践研修」を 具現化している 。つま り、スクールリ ーダー の理論と実践の 学習を 具体化したと言 える。
( 出 典 東 北 師 範 大 学 教 育 学 部 教 師 発 展 学 院 研 修 団 隊 「『 一 体 化 四 段 式 』 農 村 校 長 助力工程培訓課 程資源 建設案例( 2016)」(内 部資料)を参照 し筆者 作成 )
図 1 「 一体 四段 式 」研 修
図 1 のとおり校長は 研 修の第一段階で は、参 与式講座などの 形式を 通し、特 定の テーマ学習に参 加する 。この段階での 具体的 な目標は 、校長 自身の 立場と責任を明
第 二 段 階 :シャドーイング研 修 、学 校 訪 問
第 三 段 階 :勤 務 校 での実 践 、校 内 研 修
実 践( 学 校 発 展 計 画 策 定 )
第 一 段 階 :特 定 テーマ学 習
参 与 式 の講 座 ケースメソッド
校 長 論 壇 専門職に対
する校長の 認識と情熱
体 験 理 論 学 習( 課 題 研 究 )
教 育 改 革 と教 員 専 門 職 能 力 発 展 を促 すことについての行 動
農 村 小 学 校 長 の教 育 改 革 と教 員 の専 門 職 能 力 発 展 に関 するリーダーシップ向 上 行 動 学 習
第 四 段 階 :学 校 現 場 でまとめと報 告 及 び指 導 教 育 改 革 と教 員 専 門 職 能 力 の発 展 を促 すことについ
ての体 験 と思 考
教 育 改 革 と教 員 専 門 職 能 力 の発 展 を促 すことについての指 導 教 育 改 革 と教 員
の専 門 職 能 力 の発 展 を促 すこ とについての理
解
ネット研 修 反 省 と実 践
農 村 小 学 校 長 の研 修 ニーズ調 査
教 育 改 革 と教 員 専 門 職 能 力 の発 展 を促
すことについ ての知 識 と方
法
パートナー と互 いに助 け合 う
グループ に分 ける
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確 に し 、 科 学 的 理 念 に 基 づ い て 、 専 門 知 識 ・ 方 法 ・ 方 策 を 把 握 す る こ と に あ っ た 。 次の段階として 、拠点 校への訪問があ る。こ の段階は第一段 階の学 習と反省に基づ き、先進学校・改善 中 の学校などを想 定した 体験・模擬経営を 行う 、その後、その 成功経験、方策と ルー トを参考にしな がら、自校の改善実践 方案を 作成する。続く 第三段階では、各 自の 勤務校に戻り、集 中研 修の際作成した 発展計 画を 実施し、正 式に学校改善活 動を展 開する。同時に、イン ターネットを通 じて理 論知識を引き続 き学び、大 学の「理 論 指導者」と 拠点校の「 実践指導者(拠点校の 校長)」も同 時に 指導・助 言する。最後の 第四段階におい ては、50 日間の勤務校 での実 践的訓練 の後、
東北師範大学の 教師発 展学院の講師(理 論の 指導者)や拠点校の 校 長(実践の指導 者)を主要メンバ ーと して 、学校現場の 指導 チームを組織す る。い くつかの学校を 中心として、近隣 の農 村部の校長を集 め 、フ ォローアップと 現場の 診断を行う。こ の場には研修を 受講し ていない校長も 参加で きる。これは、実 践か ら理論へ再び戻 る過程であり、そ の「架け橋」は指導チー ム が作った土台す なわち 現場の指導 会で ある。現職研 修では 、理論の学習は 、大学校 内で行われるこ とが多 い。一方 、「 一体 四段式」研修では、実 践の場でまとめ と反省 を基に 、理論の学習 を 再開することが 可能となった。
②研修内容
その研修内容に ついて は 、表 3(16 頁 )の 2018 年の研修内容 を見る と、東北師 範大学はまず教 育部が 規定している ICT 教育 と学校長専門職 基準の 解釈を設定して いる。それ 以外に 、学 校の「文化 建設」「 文化 管理」「教員 文化」など の内容もあっ た。教育部が規定 した 必修科目以外の 内容は 毎年の 研修テー マによ って異なってい る。
③ 研修の有効性
「一体四段式」 研修の 効果に対して 、 馬(2018)は 2016 と 2017 年 度の東北師範 大学の研修参加 者を対 象として調査し た。効 果の考察は4つ の側面 から まとめられ た。それは、研 修満足 度・スクールリ ーダー の学校経営理念 の変化・スクールリー ダーの学校経営 の行為 の変化・大学教 員の現 場指導の機能と 効果で ある。この四つ の側面も四段階 の各段 階の考察から 出 された 結果と思われる 。まず 、満足度につい
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て研修の全過程 に対す る「非常に満足 」を選 んだ研修参加者 は全員( 50 名)のうち 78.3%を占める。また、カリキュラムと 活動の デザインに対す る 71.7%の研修参加者 は「非常に 満足」を 選 んだ。第二 に 、「一 体四 段式」研修 への 参加後 、農村地域 のス クールリーダー の理念 の 変化は具体的 には、「 授業改善の新理 念」「学 校文化建設に 対 す る 意 識 」「 学 校 と 家 庭 の 連 携 の 新 ア イ デ ア 」「 自 分 の キ ャ リ ア に 対 す る 新 態 度 」 に現れた。第三 に、経 営行為の変化に ついて は 、「学校改善 の意欲が 強くなった」こ とと「学校改善 の着実 の展開」が挙げ られた 。最後に、第四 段階の 大学教員の現場 診断と指導につ いては 、データから見 ると、2017 年度東北師 範大学の チームは 五つ の地域で講座 を 9 回行 った。そのうち 、70 名 の研修参加者 と 800 名 の研修未参加者 は現場で理論を 学ぶ機 会を受けた。( 馬 2018:17-20 頁)
3.農村地域の スクール リーダー教育の 特質 と その内実
(1)研修方式 にみる 特質と内実
前述した研修方 式の具 体的内容によっ て、理 論学習・次は実 践の訓 練といった一 般 的 な 研 修 形 式 と 異 な り 、「 一 体 四 段 式 」 研 修 は 大 学 と 現 場 で そ れ ぞ れ 理 論 と 実 践 の循環学習段階 を設置 し、最終的に体 系的な 学習モデル とな り得る 。これは農村部 のスクールリー ダー教 育 に対する「一体四 段式 」研修モデルの特色 と言 える。ただ、
これは研修モデ ルへの 表面的な分析と 解釈か ら得た結論であ り、そ の内実について 、 さ ら に 影 響 要 因 と い う 面 を 考 察 す る た め に は 、「 一 体 四 段 式 」 研 修 モ デ ル の 開 発 の 内面的な分析が 必要で ある。そのため、この ようなデザイン の意図 と目的、特に第 二段階の「シャド ーイ ング研修と学校 訪問」について、開発責任 者 である 東北師範 大学教師発展学 院院長 の M 氏、講師 L 氏に ヒ アリング調査を 行った 。その際、以下 のような話があ った 。
参 観 者の 多い 東北 師 範大 学 の附 属小 学校 は 、中 国 での 基礎 教育 改 革の 代 表と言 え た が、農村 地 域の スク ー ルリ ーダ ーに と って は 学校 経営・改善 の面 で 、参 照す る 対 象 に は な ら な い 。( 中 略 ) な ぜ な ら 、 附 属 小 学 校 と 農 村 部 の 学 校 の 間 に は 教 育 理 念・学校 設 備・子ど も 自身 の学 力な ど の面 に おい て差 異が 存 在し 、この 差異 は 、校長 の 学校 運営 と改 善 の具 体的 ビジ ョ ン及 び 戦略 の選 定に 影 響を 及 ぼす 。従
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っ て、( 中略 )拠 点校 の選 定 は「 特色 」が重 要な 基 準だ。( 中略 )農 村地 域 の学 校 は 区 レベ ルや 鎮の 小 学校 の 学校 設備・生徒 の学 力 など が似 通っ て いる の で、この 種 の 学校 では 校長 の 理念 、学校 運営 モ デル は、研 修メ ンバ ー の中・西 部 の校 長も 直 接 参考 にで きる 。( M 氏 )
予 め シャ ドー イン グ 研修 の 拠点 校の 特色 が 整理 さ れて おり 、農 村 部の 校 長は そ の 中 から 自分 で拠 点 校を 選 ぶ。 少な くと も 、校 長 自身 が一 つの 拠 点校 を 選べ る と い うこ とが 保証 さ れて い る。 この 時、 校 長は ( 自校 の) 課題 解 決に 対 する ニ ー ズ に応 じて 、訪 問 した い 拠点 校を 選択 で きる 。 (L 氏)
① 中 国 の 農 村 地 域 ス ク ー ル リ ー ダ ー 教 育 の 特 質 1 : 模 倣 か ら リ ー ダ ー シ ッ プ を 向 上 さ せる 過程
上記の M 氏の説 明によ れば 、「一体四 段式」研 修 におけるシャ ドーイ ング研修 段 階である拠点校 の選定 が重要な部分で ある。これについては 、講師 L 氏の上記の発 言からも読み取 れる。また、この拠点校 の選 定は主に二つ の 側面を もつ。一つは東 北師範大学の教 師発展 学院が拠点校を 選定す るという面であ る。も う一つは、農村 部の校長がこの 拠点校 の中から、自分と 適応 する拠点校 を選 定する 面であることも M 氏と L 氏の発 言によ って分かった。
こうした選定の 流れは 、農村地域のスク ール リーダー が自校 の状況 と似ている学 校を模倣し模擬 経営(11 頁で記述した )する ことにつながる 。それ によって、個人 の能力が向上す ると同 時に、自校の改善 に対 する参照「資料」も得 ることができる だろう。言い換え れば 、農村地域のスク ール リーダー にとっ ては、この選定方式は 職能開発と同時 に農村 学校の改善も 可 能とな るというメリッ トがあ るのだ 。農村部 の学校の現実・改 善の ニーズ に適応で きる経 営能力があるス クール リーダーを育成 するために、直 接的に 模倣できる材料 を見つ け、リーダーシ ップを 向上させる過程 は中国の農村地 域スク ールリーダー教 育の特 質だと考えられ る。
② 中 国 の 農 村 地 域 ス ク ー ル リ ー ダ ー 教 育 の 特 質 2 : 所 属 す る 農 村 地 域 の 学 校 の 状 況 へ の配 慮
一方、上記の M 氏の 発 言から、都市部と農 村 部における教育 条件・教育水準の相
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違は農村地域の スクー ルリーダー教育 方式の 特質の影響要因(間接 的影響)の一つ であることが読 み取れ る。農村部の実際 の学 校はスクールリ ーダー が持つべき経営 能力は都市部と 異なる ため、このような 経営 能力の育成の方 式も異 なっているのだ 。 つまり、スクー ルリー ダーが所属する 農村地 域の各学校の現 状は、間接的に農村地 域のスクールリ ーダー 教育の特質にな ると言 える。すなわち、「一体 四段式」研修モ デルからみると、農村 部のスクールリ ーダー 教育の表面的な 特質は 大学と現場のそ れぞれにおける 理論と 実践の循環の一 体的な 学習方式 であっ た。し かし、実際に調 査してみると、ス クー ルリーダーが所 属する 農村地域の各学 校の状 況がその内的特 質としてあらわ れた 。農村部の学校状 況が求 めるスクールリ ーダー の力量によって 、 研修機関は適切 な研修 モデルを開発す る。
③ 中 国の 農村 地域 ス クー ル リー ダー 教育 の 特質 3:大 学と 農 村学 校と の 関係 づくり に お ける 学校 管理 職 への 影 響
また、現場にお ける理 論と実践の循環 におけ る 現場の指導会 の設置 について 、調 査の中で以下の ような 説明がなされた 。
教 育 部は 、農村 部の 校長 援 助プ ロジ ェク ト を二 段 階の 研修 段階 と して 規 定した が 、私は 四段 階に 設 定し た。( 中略 )そ の効 果を 持 続さ せる ため に は、い つで も学 校 運 営の 改善 に向 け た助 言 とア ドバ イス を 提供 で きる 人材 が必 要 とな る 。そこで 私 は 、理論 の指 導者 であ る 大学 教員 と実 践 の指 導 者で ある 拠点 校 の校 長 が各 農村 地 域 校 長 の 勤 務 校 に 視 察 に 行 き 、 現 地 で 学 校 の 課 題 を 診 断 す る 方 法 を 提 唱 し た 。 ま た 、「 理 論 と 実 践 の 指 導 者 」 が 現 場 で 指 導 す る も う 一 つ の メ リ ッ ト は 、 こ の 学 校 の 近辺 の他 校の 校 長、ま た は農 村の 校長 援助 プ ロジ ェク トに 参 加し て いな い校 長 も 学習 に参 加す る こと も 歓迎 し 、農 村地 域の ス クー ルリ ーダ ー が学 ぶ 機会 を提 供 で きる こと にあ る。(M 氏 )
現 場 で指 導す るこ と は大 き く学 校を 変え る こと が でき ない が、 少 なく と も 農 村 部の 校長 を触 発 する 。 (L 氏)
「一体」的で「四段階 」に分けられている 理 由は研修効果 を 持続さ せるためであ
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ると M 氏は指摘 した。 この効果を延長 するた め、「一体四段 式」研修 における 東北 師範大学は遠方 の西部 農村地域の学校 との関 係づくりを試行 した。また、このよう な 大 学 と 現 場 の 関 係 の 中 で 、「 実 践 指 導 者 」 と い う 拠 点 校 の 校 長 が 第 三 者 と し て 大 学 と 相 補 的 に 農 村 地 域 の ス ク ー ル リ ー ダ ー と そ の 学 校 改 善 を 指 導 す る こ と も 非 常 に重要だと思わ れる。実際に、25 日の 研修段 階において 、「 理論指導 者」(東北師範 大学教員)は研修 参加 者の「課題研究」へ の 指導を担当し、「 実践指 導者」(拠点校 の校長)は研修 参加者 の「学校発展計 画の策 定」への指導を 担当す るため(10 頁の 図 1 参照)、第四 段階で は現場で指導す る時に 計画の実施を監 督する 機能もある。L 氏 も 上 記 の よ う に 「現 場 で 指 導 す る こ と は 大 き く 学 校 を 変 え る こ と が で き な い が 、 少 な くと も農 村部 の 校長 を 触発 する 」と発言している。同時に、農 村部では校長が 得られる学習機 会や資 源が少ないため に 、大 学で研修を受け た農村 の校長の研修効 果の最大化を保 証する とともに 、大学で 研修 を受けられなか った農 村校長の研修機 会を確保するこ とが 、一体的な研修を 行う理 由であると考え られる 。また、研修資 源 と 機 会 が 少 な い と い う 現 実 が 農 村 地 域 の ス ク ー ル リ ー ダ ー 教 育 の 特 質 に 対 す る 影響要因の一つ である と思われる。
(2)研修内容 にみる 特質と内実
「一体四段式」研修 に おける 理論の学 習は主 に第一段階「特定テ ー マ学習」に集 中していること が先述 したもの(10、11 頁)から分かった。また、第三段階でも イ ンターネットを 通じて ある部分は理論 学習も する。そこで、農 村部 の校長に向け て 行 わ れ て い る 研 修 で は 、 校 長 に ど の よ う な 力 量 を 与 え る こ と を 目 指 し て い る の か 、 以下のような具 体的 な 指導内容、指導要 求、指導方式から明 らかに しながら、その 特徴と内実を解 明して みる。
① 中 国の 農村 地域 ス クー ル リー ダー 教育 の 特質 4:基 礎の 学 校経 営理 論 知識 に基づ い て 作成 され たカ リ キュ ラ ム
以下の表 3 で示す第 一段階「特定テ ーマ学 習」の研 修内容 は 2018 年度の研修参 加者のニーズと 教育部 の規定によって 設置さ れた ものである 。図1 の 2016 年度の テーマ「農村小学 校長 の教育改革と教 員の専 門職能力発展に 関する リーダーシップ 向上」と異なり 、2018 年度は「農村小 学校の 特色的発展と学 校文化 改善 」である。
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先述した教育部 が規定 した内容以外に、例 え ば「校長の使命と学 校 の特色構築」「小 学生カウンセリ ングの 策略」「学校内の 課程の 開発に関する実 践の探 索」「文化強国 と教育使命」など 教育 部が規定してい ない内 容もある。実際の 内容 からみると、カ リ キ ュ ラ ム に は 当 年 度 の 研 修 テ ー マ で あ る 学 校 文 化 改 善 と 異 な る 面 の 能 力 を 育 成 する内容も設定 されて いた。このような 内容 は基本的に研修 参加者 のニーズをもと に作られたが、こ れら は同時に中央政 府が求 めるスクールリ ーダー の基礎能力を向 上させるのに適 したカ リキュラムだと 思われ る。内容の「 ⑥企画と 指導、学校のブ ランドを作る」 が表1 ( 6-7 頁)で求め られ るスクールリー ダーの 「学校の更なる 発展のためのビ ジョン の形成」能力の 向上に とって意義があ ると考 えられる。同じ く「⑧教員集団 の文化 構築」もスクー ルリー ダーの「教職員 の育成 」力量の形成に 対する効果があ ると考 えられる。つま り、研 修内容の設定は 当年度 のテーマで求め られる能力と教 育部の 規定を中心にし ただけ ではなく、スクー ルリ ーダーとして の 基礎能力の育成 も内包 されている。こ の点に ついては、以下 の表3 にあるように都 市部校長の研修 プロジ ェクトと比較す る と、 さらに読み取れ る。
表 3 東 北師 範 大学 にお け る農 村部 校長 の 援助 プ ロジ ェク ト と 一 般の 都 市部 の 研修 プ ロ ジェ クト の内 容 の比 較
農 村 部 校 長 援 助 プ ロ ジ ェ ク ト ( 2018 年 )
深 圳 市 公 立 小 学 校 長 の 在 職 向 上 研 修 ( 2018 年 ) 実 施 予 定 案 テ ー マ 農 村 小 学 校 の特 色 的 発 展 と学 校 文 化 改 善 学 校 文 化 と 教 師 に 関 す る 小 学 校 長 リ ー
ダーシップ向 上 研 修 期 間 2018年 9月 4日 ―28日
9月 10日 ―14日 (シャドーイング研 修 第 1 回 目 )
9月 1 7日 ―21 日 (シャドーイ ン グ研 修 第 2回 目 )
2018年 12月 17日 ―29日 シャドーイング研 修 は5日
研 修 モ デ
ル
一 体 四 段 式 達 成 の各 段 階 :知 識 ―>思 考 ―>行 動
内 容 モジュール:What->why->how 方 式 : テ ーマ 講 座 、 ケー ス 分 析 、参 与 式 学 習 、 シ ャ ド ー イ ン グ 学 習 、 校 長 セ ミ ナ ー、名 校 長 対 話 、ターゲ ットゼミ、任 務 引 導
研 修 内 容
( 集 中 研 修 )
① 課 題 を 中 心 に し た 学 校 教 育 と 研 究 ま た は 文 化 建 設
②学 校 文 化 の構 築 企 画 の制 定 に関 するケー ス分 析
③小 中 学 校 の文 化 管 理 の課 題 と対 策
④OB・OG との対 話 :研 修 は私 の成 長 を促 進 し た
⑤ 校 長 セミ ナ ー : 農 村 学 校 改 善 の ル ート と そ の探 索
⑥企 画 と指 導 、学 校 のブランドを作 る
⑦学 校 文 化 構 築 と特 色 発 展 のルート:自 身 の 実 践 とシャドーイング研 修 への思 考 をもとに
⑧教 員 集 団 の文 化 構 築
⑨校 長 専 門 職 基 準 の解 読 と専 門 的 力 量 形 成
⑩校 長 の使 命 と学 校 の特 色 構 築
⓫学 校 実 例 学 習 :東 北 師 範 大 学 附 属 小 学 校
「天 性 教 育 」の理 論 と実 践
⓵時 代 理 念 と国 家 デザイン
⓶アメリカの基 礎 教 育 が 我 々に与 える示 唆
⓷文 化 強 国 と教 育 使 命
⓸学 校 文 化 構 築 の科 学 的 思 考 と実 践
⓹ 教 員 集 団 の 構 築 と 管 理 に 関 す る ケ ー ス分 析
⓺学 校 考 察 と交 流 :「天 性 教 育 」における 学 校 管 理
⓻ 私 の 専 門 職 へ の 熱 意 : 自 分 の 教 育 思 想 を持 つ校 長
⓼ 名 校 長 対 話 : 学 校 経 営 に 対 す る 校 長 の思 考
⓽読 書 と反 省 :教 師 の専 門 職 発 展 のスタ ート
⓾ 教 師 専 門 職 発 展 の 指 導 に 関 す るケー ス分 析
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⓬校 長 の ICT リーダーシップの中 身 とその向 上
⓭小 学 生 カウンセリングの策 略
⓮学 校 内 の課 程 の開 発 に関 する実 践 の探 索
⓯自 分 の教 育 思 想 を持 つ校 長 になろう
⓰文 化 強 国 と教 育 使 命
⓫ 学 校 考 察 と 交 流 : 教 師 の 激 励 と 教 員 集 団 構 築 の策 略
⓬学 校 文 化 構 築 と管 理
⓭ 校 長 セミナ ー: 学 校 文 化 構 築 の 行 為 ・ 思 考
(出典「教育部『校長 国培計画』― 2018 年辺 遠貧困地域農村 校長助 力工程 東北師範 大学研修1班研 修手冊」、「深圳市教育 局 2018 年校長・教師培 訓項目 申報書 」)
一般都市部と比 べて 、農村部の研修内 容は深 度と幅の面に差 異が存 在する 。具体 的には、両プロ ジェク トとも 、「学校 文化」が テーマとなって いる が 、内容の深度を みると、都市部 の校長 に対する研修内 容は 、学校文化の構築 にあた って科学的 に思 考する能力を向 上する ためのものとな ってい る。それに対し て、農 村部の校長研修 の内容は、単に学 校文 化の構築のため の計画 を策定するケー ス学習 というカリキュ ラムである。ま た、研 修内容の幅に着 目する と 、都市部の校 長研修 では 、「アメリ カ の基礎教育が我 々に与 える示唆 」とい うよう に、海外の教育 事情も 研修内容として 設定されている。そ れに 対し、農村部の校長 研修 では 、海外の事例学 習は 行われず 、 中国の国内の先 進・モ デル校の事例を 学ぶこ とが重視されて いる。従って、研修内 容の深度と幅を みると 、農村部のスクー ルリ ーダー教育は学 校経営 の より基礎的な 部分に力を入れ ている と言える。これ は、学 校経営の基礎知 識を持 っている一般都 市部のスクール リーダ ー と比べて、農村 部の スクールリーダ ー教育 の中で 特徴的な 部分であると思 われる 。
②中 国 の農 村 地域 スクー ル リー ダー 教育 の 特質 5:学校 改善 案の 作成 と 課題 研究 を 通 じ た研 究能 力の 向 上
「一体四段式」研修 では、学習 の要求に つ いて研修ハンド ブック で詳しく規定さ れている。日々の研 修の 記録、研修の フイー ドバ ック文章3本、報告 書4 本以外に、
理論の指導者と 実践の 指導者の二人 の 指導を もとに、学校改 善・発 展案(初稿)及 び課題研究の文 章、 そ れぞれ 4000 字を 作成 しなければなら ない。 また、理論の指 導者と実践の指 導者の 指導方式につい て は、農村部のスクー ルリー ダーは理論の指 導者に、自身の 専門発 展状況、勤務校 の発展 状況、学校管理・経営 状況などを紹介 し、同時に自分の 悩み と困惑を提出す る こと も研修ハンドブ ックで 規定されている 。 その目的は勤務 校の改 善ポイントと方 向を明 確 にするためで ある。特に、理論の指
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導者はスクール リーダ ーに文献検索の 方法を 教え、勤務校の 実 践的 経営課題を課題 研究のテーマに 換え、教育研究の考え 方で学 校改善のルート を探索 する ための訓練 を行う。研修中、理論の 指導者からの指 導を週 1−2回受ける 必要 があ り、研修中指 導を受ける回数 は6回 以上、勤務校での 実践 段階でも電話、メ ール 、インタ ーネッ トを通じて、少な くと も合計8回の指 導を受 ける必要がある。一方 、シャドーイン グ研修で、学校改善・発 展案を巡って、拠点 校の 校長と交流する ことも 必要である。
その際、実践の 指導者 である拠点校の 校長か ら、改善案に対 するコ メントやアドバ イスをうける。(「教 育 部『校長国培計画』―2018 年辺遠貧困 地域農 村校長助力工程 東北師範大学研 修1班 研修手冊」 3-8 頁によ って整理した)
全体の「一体四段 式」研修のプロセス の中で 、学校経営の基礎 知識の 学習以外に、
学校改善案の作 成と課 題研究は最も核 となる 部分として、研修 の四 段階を繋 げるも のである。一、二段階 では改善案を作 成する が、三、四段階 は実際 にこの学校改善 案と課題研究を 実施、 チェックする段 階であ る (10 頁の図1)。ま た、無視できな いのは、規定の 中で、「 教育研究の考え 方」と いう表現があっ たこと である。特に、
「教育研究の考 え方」を学んで、つまり、研 究のロジックで 学校管 理職の勤務校の 課題を整理・分析 すれ ば、学校改善 を推 進で き、同時に農村地域 の スクールリーダ ーの課題に対す る研究 能力をトレーニ ング す ると言える。従 って、指導規定と指導 方式からみると、基礎 な学校経営知識 を 農村 地域のスクール リーダ ーに 教える以外 に、実践的方式を 通じ て そちらの研究 能力を 向上することも 特質の 一つと思われる 。
③中 国 の農 村 地域 スクー ル リー ダー 教育 の 特質 6 :シ ェア の重 視
研修の基本要 求の中 で「研修の 25 日 で研 修フイードバッ クにつ いて文章を3本 執筆すべき、そ の目的 は研修メンバー の間で シェアする」と いうこ とが規定された 。
(「教育部『校 長国培計 画』 ―2018 年辺 遠貧困 地域農村校長助 力工程 東北師範大学 研修1班研修手 冊」 3 頁)また、シャ ドーイ ング研修段階の 任務と 要求 にも研修メ ンバーは各自シ ャドー イング研修の学 習まと め を作成し、最後 に全 員のまとめを報 告書のように整 理し、発表し、他のメ ンバー に自分の感想や 収穫を シェアする必要 があると規定さ れてい る 。(「教育部『校長国 培計画』―2018 年 辺遠 貧困地域農村校 長助力工程東北 師範大 学研修1班研修 手冊」 8頁)
シェアは農村 地域の スクールリーダ ー教育 のキーワードに なって おり、このよう
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な研修の場での シェア は多く面のメリ ットが あ る。単にその 時で勉 強した内容、蓄 積された経験を 交換す ることだけでは なく、農村部のスクー ルリー ダー個人が持っ て い る 学 校 経 営 の 経 験 を も と に 形 成 し た 考 え 方 と ケ ー ス と な る 各 学 校 の 特 質 な ど も同時に研修メ ンバー の学校管理職に 伝 わる 。このことは農村 部の スクールリーダ ー教育が、「個」を 乗り 越え、「集団」学習 の場 を作る意義 であ ると同 時に、シェア を強調すること はその 特質となってい る。
4.考察
本稿の事例分 析によ れば 、現在の中国 農村 地域におけるス クール リーダー教育の 特質は次のよう に指摘 できる。研修方 式、方 法と内容から見 る特質 について6点明 らかになった。① 農村 地域のスクール リーダ ーに向け た研修 は模倣 からリーダーシ ップを向上させ る過程 を経ることであ る。「一 体四段式」研修にお け る第二段階「シ ャドーイング研 修、学 校訪問」では、農村地 域のスクールリ ーダー が自校の状況と 似ている学校を 模倣し 模擬経営を行う。この プロセスを経る ことで その力量を形成 させるのである。②研 修参加者が所属 する農 村地域の学校の 状況を 配慮して研修は 実施される。農村 部の 実際の学校でス クール リーダーが持つ べき経 営能力は都市部 と異なるため、経営能 力の育成の方式 もこの ように異なって いる。農村部の学校状 況が求めるスク ールリ ーダーの力量に よって 、研修機関は適切 な研 修モデルを開発 す る 。 ③ 大 学 と 農 村 学 校 と の 関 係 づ く り に お け る 学 校 管 理 職 へ の 影 響 で あ る 。「 一 体四段式」研修 では、大学と現場の関 係の中 で、「実践指導 者」とい う拠点校の校長 が 第 三 者 と し て 大 学 と 相 補 的 に 農 村 地 域 の ス ク ー ル リ ー ダ ー と そ の 学 校 改 善 を 指 導する。それと 同時に 、大学で研修を 受けら れなかった農村 校長の 研修機会を確保 することもでき る。一 方、研修内容から 見る 特質として、農村部 の スクールリーダ ー教育には、④基 礎の 学校経営理論知 識に基 づいて作成され たカリ キュラム がある 、
⑤学校改善案の 作成と 課題研究を通じ て研究 能力の向上 とい う指導 法がある 、⑥研 修の場で学習内 容と学 校経営経験のシ ェアが 強調されていた ことが 分かった。上記 の特質①〜特質 ⑥を踏 まえ、本論文の対 象と なった東北師範 大学の 農村地域を対象 としたスクール リーダ ー教育の特質は 、農村 教育とその学校 経営の 現実・課題をも とに、大学と現場 でそ れぞれ理論と実 践が往 還する モデル開 発であ る ことが解明さ
20 れた。
内実については 主に二 つの側面を解明 した。一つは都市部と 農村部 における教育 条件・教育水準 の相違 である。この相 違は間 接的に農村地域 のスク ールリーダー教 育の展開に影響 してい た。もう一つ は農 村部 の学校教育の現 実が求 めるスクールリ ーダーの能力は 都市部 と異なることで ある。これは直接的な 影響要 因だと考えられ る。
最後に、中国の 農村地 域スクールリー ダー 育 成の原理につい て述べ ると 、育成側 の大学が農村教 育とそ の学校経営の現 実・課 題をどの程度把 握して いるかというこ とがスクールリ ーダー 教育の効果 を左 右する 決定的な要素と なる。
おわりに
本稿のスクー ルリー ダー教育への 示 唆を挙 げておきたい。第一に 、スクールリー ダ ー 教 育 の 開 発 に お け る 地 域 間 の 格 差 と 学 校 経 営 の 現 実 と 特 質 へ の 配 慮 と い う 点 である。「一体四段 式」研修 は中国中央 政府の 政策の支援条件 のうち 、東北師範大学 が自主的に開発 した研 修モデルであり、その 中身は十分に農 村教育 の実際に基づい たデザインと展 開がさ れていたと言え る。第 二に、大学と現 場の関 係性に対する新 た な 試 み と い う 点 で あ る 。「 一 体 四 段 式 」 研 修 は 大 学 と 現 場 に お け る そ れ ぞ れ の 理 論と実践の循環 的一体 的な学習・研修 を実現 する可能性を有 してい る。より踏み込 んで言及すると、教育 経営学における 臨床的 アプローチの支 援的な 実践である と言 えるだろう。
残された課題 につい て 、中国農村地域 のス クールリーダー 教育を 効果的に進める ためには、その 特質の 解明が重要な作 業であ るが 、研修の主 体であ る農村部のスク ールリーダー自 身の意 識も重要となる 。スク ールリーダーの 意識調 査と分析は 、今 後の研究課題と したい 。
[ 注 ]
(1)本 稿 で は 、 中 国 の 公 立 学 校 の 校 長 、 副 校 長 を ス ク ー ル リ ー ダ ー と し て 捉 え る こ ととする。中国に おい て「学校管理職」にあ た る者としては主 に校長 があげられ るが、実際には 校長だ けでなく 、副校 長、党 支部書記、党支 部副書 記(党支部書
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記 と 党 支 部 副 書 記 と は 中 国 共 産 党 の 末 端 組 織 の リ ー ダ ー を 示 す 。 中 国 共 産 党の 末端組織の一つ である 学校では、そのリ ーダ ーも自然に存在 する。そして 、学校 の 党 支 部 書 記 ・ 党 支 部 副 書 記 と 呼 ば れ る )が 学 校 教 育 の 目 標 を 定 め て い る た め 、 これらの役職も「学校 管理職」と言え る。本 研究の事例の特 質に鑑 み 、対象を校 長、副校長に限 定する 。また 、本論の スクー ルリーダー教育 につい ては 、大学に おける学校管理 職の現 職研修として定 義する 。
(2) 8 頁の表 2 で 示し たように、中国 の学校 管理職研修制度 は初任 者研修以外に 、 向 上 研 修 、 高 級 研 修 、 特 定 テ ー マ 研 修 が あ る 。 本 論 は 中 国 の 向 上 研 修 ・ 高 級研 修・特定テーマ 研修を まとめて現職研 修とす る。
(3) 中国教育学 会教員 研修者連盟は、中国教 育学会の一部で あり、国内外の研修動 向に注目し、先進 事例 を整理し、全国の 教員 研修機関と連携 しなが ら、教員研修 の 資 源 の 共 用 シ ス テ ム を つ く る 機 関 で あ る 。 教 員 研 修 者 の 専 門 的 発 展 を 促 進す るために、土台 と課題 解決方案を提供 するこ ともある。 http://www.cse.edu.c n/index/detail.html?category=12&id=64(2020 年 2 月 20 日 確認)
(4) 当時の記事 に記載 されていた。 https://mp.weixin.qq.com/s/yGztkN6e2LjRwQ aJDJpSmA(2020 年 2 月 20 日確認)
(5)当時の記事 で記載さ れていた 。https://mp.weixin.qq.com/s/EZXGah0xuHw54F4x _xUXew(2020 年 2 月 20 日確認)
(6)後文で説明 するよう に校長人事異動 の形骸 化による影響で ある。
(7)張・鄭(2017)は 都 市・農村間は多様な経 済的・文化的な格差か ら影響を受け、
研修費用と人的 資源の 投入や研修機関・講師 の質、更に研修 のカリ キュラム内 容も、農村部よ り都市 部の方が優勢で あると 指摘した。
(8)8 頁の表 2 で示した 高級研修 である 。
(9)日本の財務 省に相当 し、財政を担当 する官 庁。
(10)中華人民共 和国国 務院組成部門の ひとつ 。2008 年に中華 人民共和 国人事部と中 華人民共和国労 働社会 保障部を合併し て設置 された。
(11)陳遠峰(2018)「『 双導師制』校長 培訓模 式的実践与思考 」『寧波 教育学院学報』
第 20 巻、第 3 期、39- 41 頁等。
(12)楊行(2017)「基於 需求導向的主題 式農村 校長培訓模式行 動研究 ―以 T 市「農 村義務教育階段 学校校 長培訓工程」為 例 ―」『 中国成人教育』 106-110 頁等。
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(13)「教育部『校長国 培計画』―2018 年 辺遠 貧困地域農村校 長助力 工程 東北師範大 学研修1班の研 修手冊 」によると 、2018 年度 の研修参加者は 、それ ぞれ中国広 西チワン族自治 区 R 県 S 郷などの小学 校の学 校管理職である 。
[ 引 用文 献]
馬喜・周亜文・梅秀娟( 2017)「中西 部農村小学 校発展的現実困 境研究 -基於『農村 校長助力工程 』中 38 位 参培校長専業成 長自伝 的分析」『 現代教育 科学 』第 8 期、
24-29 頁。
馬喜(2018)「農 村小学 校長国家級培訓 実効研 究 -以農村校長 助力工 程 D 研修班を例 として」修士論 文 (CNKI 公刊)。
中国教育部(2014 年)「小中学校長の 国家レ ベル研修計画に 関する 通知」 http://w ww.moe.gov.cn/srcsite/A10/s7034/201406/t20140611_170727.html(2020 年 2 月 20 日確認)
中国教育部(2013)「小 中学校長研修の 更なる 強化と改善のた めの意 見」http://ww w.moe.gov.cn/srcsite/A10/s7034/201309/t20130917_157965.html(2020 年 2 月 20 日確認)
中国教育部(2013)「農 村部校長の援助 プロジ ェクトの実施に 関する 通知」http://
www.moe.gov.cn/s78/A10/A10_gggs/A10_sjhj/201310/t20131016_158611.html
(2020 年 2 月 20 日確 認)
中国国務院(2018)「新 時代の教員集団 改革の 深化に関する意 見」http://www.moe.
gov.cn/jyb_xwfb/moe_1946/fj_2018/201801/t20180131_326148.html( 2020 年 2 月 20 日確認 )
張佳・郭平(2015)「 基 於『五位一体 』実践引 導的農村校長培 訓模式 創新―以教育部 農村校長助力工 程為例 ―」『中小学教 師培訓』 第1期 、26-27 頁。
張淼・鄭友訓(2017)「 中小学校長培訓 的未来 価値取向 ―基于 教育公 平視角」『教学 与管理』第 27 期、33-35 頁。
東北師範大学教 育学部 教師発展学院研 修団隊(2016)「『一体化四段 式』農村校長助 力工程培訓課程 資源建 設案例」(内部 資料)。
牛志奎(2017)「中国の 学校管理職養成 」『世界 の学校管理職養 成』ジ ダイ社 。 教育部「校長国 培計画」― 2018 年辺遠 貧困地域 農村校長助力工 程 東北 師範大学研修
23 1班の研修手冊 (内部 資料)。
王文杰・李華清(2017)「城郷校長教師交 流『三多三無』現象反 思」『 教本育人』第 32 期、55 頁。
孫中華・乞佳(2014)「城 鎮化背景下農村 中小学 校長専門発展面 臨的困 境与出路」『現 代教育管理』 第 6 期、23-28 頁。
深圳市教育局 2018 年校 長・教師培訓項 目申報 書 (内部資料)。
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鄭玉蓮・薛杉(2018)「輪岡政策背景下 的校長 任所職管理:問題 と可 能出路」『教育 発展研究』、第 4期、59-64 頁。