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波動 : 「布の記憶/糸の時間」日中交流展 京都芸術センター

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Academic year: 2021

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制作概要 

 

 足下の小さな虫から肉眼では見えない微 生物の存在を想像し、大地が無数の生命の 集まりであることに気づいた時、私の中で 生命がはっきりしたイメージを持ち始め作 品テーマとなった。細胞の集合体である人 間の身体や星々が生死のリズムを刻む宇宙 まで、イメージをミクロとマクロの世界に 行き来させながら生命を捉えている。素材、

技法に関してはこの数年、羊毛で作ったフェ ルトを裁断して小さなパーツを作り、繊維 の断面が見えるようにパーツをつなぎ合わ せて作品全体を創り上げている。表現の要 素であるイメージ、テーマ、素材、技法は どれが先行すると決まっているのではなく、

絡まり合いながら育っている。 

 今回の作品「波動」は、「布の記憶/糸 の時間  日中交流展」のために制作したも のである。制作は、展覧会のタイトルにあ るように、改めて布や糸、即ち素材である 繊維を考える機会となった。悠久の時を人 間に寄り添うように存在し、触覚を通して 私たちの深い記憶に刻まれている繊維。私 はこの繊維が持つしなやかさと静かな強さ そして存在感に惹かれる。繊維はフェルト になっても、けっして一本一本の存在は変 わらない。作品では繊維の束が断面として 現れ、近づいた時には一本一本の存在がはっ きりと確認できる。細部に全体と同じ存在 感があり、全体がさらに大きなものの存在 を予感させる作品を制作したい。 

 なお「布の記憶/糸の時間 日中交流展」

は、日本側出品者5名が実行委員として立 ち上げ、中国側から4名が出品して、京都 芸術センターの共催で2009年6月13日から 7月5日まで開催した。前年12月には中国 天津美術学院で日本側5名と中国各地から 27名が出品し「布的記憶/絲的時間  中日 繊維芸術交流展」を開催し、テキスタイル を通じて国際交流を行っている。 

六村 眞規子 

「波動」 

布の記憶 / 糸の時間 日中交流展  京都芸術センター 

― 9 ―  Shukugawa Gakuin College

NII-Electronic Library Service

(2)

羊毛を染色し、縮絨させてできたフェルト板をスライスして  ピースをつくり、断面が見えるように貼り合わせる  繊維の束が現れる 

各々のフェルトのピースには細胞の核のように丸い形が見える  全てのピースが存在を主張し、それを追う視線が動き続ける  眼で触れているように 

視覚が触覚を呼び覚ます  白い壁の表に湧き出てきたように設置する 

その奥には大きなうねりが存在するように  作品全体もまた大きな存在の部分であるように 

細部に輝く生命を見るような存在感が欲しい  繊維一本一本のしなやかで強い存在感を求めて 

Shukugawa Gakuin College

NII-Electronic Library Service

(3)

六村 眞規子 

― 波動 ― 

2009年 275(w)×300(h)×10(d)cm 

羊毛、酸性染料、麻糸、反応染料、接着剤、不織布  布の記憶/糸の時間 日中交流展 

京都芸術センター  Photographed by YANO,Makoto

Shukugawa Gakuin College

NII-Electronic Library Service

参照

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