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MRI で脳動脈瘤再破裂を捉えた1例  

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Academic year: 2021

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(1)

21 函医誌 第27巻 第1号(2003)

 クモ膜下出血(subarachnoid hemorrhageSAH は年間10万人あたり12人の発症率で,今日でもなお予後 が有意に改善していない疾患である1)。その主な原因は 脳動脈瘤の破裂による出血である。今回脳動脈瘤破裂に よるSAH患者で,MRI T強調画像(T-weighted MR imageT-w)を用いて再破裂を示す所見を認め た症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告す る。

症     例

<症 例>54歳女性。

<既往歴・家族歴>特記すべきことなし。

<現病歴>平成14年7月29日,仕事中に突然意識を消失 し,当院救命救急センターに搬入となった。

<搬入時神経学的所見>JCS 200GCSE:1,V 1,M:5),瞳孔は右5mm,左4mmで左右とも対 光反射はなく,除脳硬直様肢位であった。

<神経放射線学的所見>搬入時のCT(発症1時間後)

では右シルビウス裂のSAHと右側頭葉内側に軽度の周 囲浮腫を伴う広範な血腫を認めた。血腫の一部は側脳室 と第3脳室に穿破していた(図1)CT撮像30分後に施 行したMRAで右中大脳動脈分岐部に動脈瘤を認め,血 腫とSAHの局在からこの動脈瘤が破裂したと診断した

(図2 a。またMRIで血腫はT1強調画像でほぼ一様な 等信号を示し,T2強調画像で中心が不均一な高信号,

周囲に帯状の低信号域を認め,さらにその外側に均一な 高信号を呈していた。周囲浮腫ははっきりしなかった。

T-wでは中心に不均一な高信号,中間に帯状の低信 号,最外側に均一な高信号の3層に明瞭に分かれてお り,搬入時のCTよりも血腫容積は増大していた。また 左側脳室後角に低信号域を認めた(図2 b。搬入2時間 後のfollow up CTではMRIの所見に一致する血腫の拡 大を認めた(図3)

<入院後経過>保存的に加療したが,意識レベルの改善 は見られず8月3日に死亡した。

MRI で脳動脈瘤再破裂を捉えた1例  

堀田 祥史 橋本 祐治  今泉 俊雄 丹羽  潤

A Case of Re-rupturing cerebral Aneurysm detected by T2 -weighted MRI

Yoshifumi HORITA,Yuji HASHIMOTO Toshio IMAIZUMI,Jun NIWA

Key  words:Subarachnoid hemorrhage ―― Re-rupture        ―― Deoxyhemoglobin ―― MRI

 症例報告 

 市立函館病院 脳神経外科

図1 搬入時のCT(発症1時間後)

右シルビウス裂に軽度の周囲浮腫を伴う広範な血腫と 脳室内への穿破を認め,中心線は偏位している。

(2)

22 函医誌 第27巻 第1号(2003)

考     察

T強調画像(T-w)は,磁場の不均一性により 真のT2値より短縮した見かけ上のT2であるTを,

gradient echo法でT2強調画像に近い画像となるよう に撮像したものである。T-wは鉄イオンなどの常磁 性体を含む病変を低信号域として検出する鋭敏な撮像法 で,慢性期のみならず急性期の脳出血の診断,すなわち hemosiderindeoxyhemoglobinの検出にすぐれてい 2,3)T-wは他に空気,石灰化,メラニンなども 低信号として描出する。T-wは出血の大きさの評価 はできないが,これらの特徴を生かして,cavernous angiomamelanoma,出血を伴う腫瘍,diffuse axonal injury,出血性梗塞の検出に有用であり,近年特に微小 脳出血(microbleed)のscreening modalityとして注 目されている2,4,5)

 一般に急性期の出血性病変の診断においてはCTの方 がすぐれており,血腫の経時的変化を描出するにはMRI の方が有用であるとされている。しかしAtlasらは発症 24時間以内の脳出血のMRI所見を検討し,T-w CTに劣らずに急性期の出血性病変を検出することがで きる検査法であるとしている3)。彼らによると血腫はT 1強調画像で等信号を,T2強調画像で著明な高信号を 呈し,その際高信号域の周囲に縁状の低信号域を認めた と報告している。この所見はT-wにおいてより明瞭 に認められるとしている。病理学的にT-wで描出さ れる高信号域はoxyhemoglobinで,低信号域はdeoxy- hemoglobinであり,両者の磁化率の違いからT-w ではより明瞭に帯状の低信号を呈するとしている。また 血腫のdeoxygenationは中心からではなく辺縁より始 まるとしている3)

 本症例において,発症1時間30分後のT-wで血腫 中間に見られた帯状の低信号域はdeoxyhemoglobin 示しており,その内側のやや不均一な高信号域が徐々に deoxygenationされていることを示し,最外側の著明な 図2a 発症1時間30分後のMRA

右中大脳動脈に嚢状の動脈瘤を認める。

図2b 発症1時間30分後のMRI

血腫はT1強調画像でほぼ均一な等信号を示し(上 段)T2強調画像で中心部は不均一な高信号,周囲 に帯状の低信号域を認め,さらにその外側で均一な 高信号を呈していた(中段)T 強調画像では血腫 は中心部から不均一な高信号・帯状の低信号・均一 な高信号域の3層に明瞭に分かれている。また側脳 室後角にも低信号域を認めている(下段)

図3 発症2時間後のCT

血腫を示す高吸収域は増大し,中心線の偏位も強く なっている。

(3)

23 函医誌 第27巻 第1号(2003)

高信号域がより新しい出血を表している。この所見が再 出血を示しているのは前後のCTより明らかである。ま た左側脳室後角の低信号域は,脳室内穿破した出血が deoxyhemoglobinに変化したものと思われる。

T-wは撮像時間が3分程度と短時間であり,救急 患者における頭蓋内疾患のスクリーニングにも十分応用 できると思われる。搬入までに嘔吐や急激な血圧上昇を 示したSAHや脳出血患者において,再出血の有無や手 術適応の判定,予後の予測などにT-wはきわめて有 用と思われる。

T強調画像により脳動脈瘤再破裂の所見を捉えた 1例を報告した。T強調画像は急性期の出血性病変の 検出と血腫の経時的変化を描出するのに有用と思われた。

文     献

1)谷中清之,兵頭明夫:脳血管障害の自然歴に対する

新しい認識,菊池晴彦編,脳血管障害の最新医療,先 端医療技術研究所,東京,2002p 26-29.

2)Atlas SWMark ASGrossman RIet al Intracranial hemorrhage, gradient-echo MR imaging at 1. 5T, comparison with spin-echo imaging and clinical applications. Radiology, 1988 168803-807.

3)Atlas SWThulborn KRMR detection of hyperacute parenchymal hemorrhage of the brain. AJNR Am J Neuroradiol, 1998191471- 1477.

4)森岡隆人,西尾俊嗣,三原 太ほか:頭部外傷慢性 期の画像診断におけるMRT 強調画像の有用性.脳 と神,199951703-708.

5)堀田祥史,今泉俊雄,丹羽 潤ほか:脳ドックにお ける微小点状ヘモジデリン沈着の検討.脳神外科, 200331263-267.

参照

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