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抗力測定のための回転水槽とその測定法
著者 岡崎 良吉
雑誌名 奈良学芸大学紀要. 自然科学
巻 11
ページ 39‑42
発行年 1963‑02‑28
その他のタイトル New Type of Rotating Water Tank for the Measurment of the Drag and the Method of Measuring
URL http://hdl.handle.net/10105/3480
抗力測定のための回転水槽とその測定法
岡 崎 良 書 (自然科学教育教室) (昭和37年9月24日受理)
New Type of Rotating Water Tank for the Measurment of the Drag and the Method of Measuring,
Ryokichi OKAZAKI
(Depertment of Science Education) Abstract
For measuring the drag against a moving body in water, a long water pool or tank is generally used. But in this case, the material to be tested must be moved at high speed in the weter. If it is possible that the material can be placed on a fixed point in the stream of water caused by turning screw in such a method as it is carried out in the wind tunn‑
el, the measurment will be very convenient. But in case that the stream line of water is caused in such a way as above‑mentioned, the flow becomes turbulent, so that the meas‑
urment will be difficult.
However the newly‑devised type of rotating water tank makes the flow regular circulat‑
ing stream without turbulence at all. Consequently the material to be tested can be fixed on the optional point in this tank and the measurment of the drag by a simple balance and the observation of the phenomena around it will be possible without difficulty.
1.は し が き
水中を動く物体にはたらく抗力は、従来は長い水槽中で物体を引っぼりながら測定する。また 筆者は前に静止円筒に水を充し、この中で物体を引き上げるのに、 Atwoods machineのように 物体と重錘とを糸の両端につけて滑車にかけ、落下する重錘のStorobo写真からいろいろの速 度での抵抗を算出した。何れの方法によっても、大きい速度での抗力を測ろうとすれば、長い水 槽なり円筒が必要になってくる。また前者では試料を高速度で動かさねばならないから、測定装 置が大仕掛けになる。後者では写真から算出する関接法であるから、直ぐには結果が判明しな い。もし還流風洞と同じ形式でプロペラまたはスクリューを回して循還水流をつくり、この中に 試料をおき、これにはたらく抗力を天秤で測ることができれば非常に便利である。しかし水の場 合に、この方法では乱れが著しく伴い、静水中を物体が動く場合と同一条件にならない。またこ の方法で高速水流を得ることは困難である。筆者は水を入れた平な円筒を回転して循還水流をつ くる方法を提案し、終戦前に特許局に出願したが遠心力がほたらくとの理由で却下になった。し かし、水圧が遠心方向にはたらいて試料をおすことは考えられるが、この圧力と抗力とは直角で 互に影響しないはずである。そこで静止水槽中で試料を動かして測った抵抗とこの回転水槽中で 測った抵抗とを比較して、回転水槽が実際に抵抗測定に使用して支障ないか否かを検討すること
40 岡 崎 良 書 にした。
2.装置及び実験とその結果
装置(Fig.1)は直径60cm、深さ15cmの平な円筒型水槽の軸につけた滑車とモーター軸とをベ ルトで連ねて水槽を回すようにした。モータ‑には100V‑5am、誘導モータ‑を使い、スライ
Fig.1回転水槽による抵抗測定装置 ダックで回転速度を変えるようにしたが、
これでは十分な速度調節は無理である。水 槽下部の滑車の直径14cm、モ‑クー軸部 の滑車の直径18mm(a)、 28mm(b)の2種を 備え、 (a)を使用したとき水槽の外壁から 5cm内側での流速は最大5.6m/s、 (ち)を使
用したときは7.6m/s得られた。水槽の径 を増せば流速を更に増すこともできるが、
回転が速くなり、更に比較的大きい試料を 入れると装置の振動や動揺を伴うから頑丈 に作る必要がある。
流速の測定にはピトー管を使った。なる べく流線を乱さないために内管には注射針 を使い、外管の外径を3.25mmの小型につ
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Fig.2 圧力差(水銀柱)と流速との関係
くった。ピト‑管の内外管は水銀を入れたU字型圧力計に連ねたO この圧力差をPl‑Pj、水銀 の密度をβ、流速をⅤとすれば
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である。ここで水銀柱の高さの差がhmmとすれば
Pi ‑ P3 ‑ h x 13.6 kg/m望、 p‑1000/9.8kg.s3‑m‑*‑102kg‑s望・m‑4
したがって
h x 13.6‑ ÷ ×102V2
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Fig.3 流速一抵抗曲線
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となる。hのいろいろの値 に対するVを上式から計算 し、 Fig.2のようなグラフを つくっておけば便利である。
抗力はFig.1に示された ような簡単なbalanceを使っ て測ることができる。すなわ
ち R.45‑w^ から R ‑ w /45 g を求める。また抵抗体の断面 積をScm2 とすれば、断面積 Icm2 に対する抵抗は R/S g/cm"、したがって(R/S)
×10 kg/m2となる。
これによって≠2.1cmの球 の流速一抵抗曲線を出すと Fig.3のようになる。図中波 線で示された曲線は水を充し た直立円筒中すなわち静水中 で同一の球を動かしたときの 流速一抵抗曲線である。この 図から明かなように、 2っの 曲線は殆んど合致しているo
このことから静水中で試料 を引っぼって抵抗を測る代り に、回転水槽を使って循還水 流をつくり、この中に試料を 支え、これにはたらく抗力を 流 速 vs 測っても全く同一結果が得ら4 れることが明かになった。こ
岡 崎 良 書
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Fig.4.球と錐体にはたらく抵抗の比較
の曲線で流速およそ3m/s附近 から先の部分が全体として下に それているのは、限界Reynold 数以上の状態になるためと考え られる。錐体についてしらべる と少くも5m/s附近までには抵 抗の急激な減少が現われない。
この関係はFig.4に示すようで ある。したがっ̲て球体につき、
静水中では3m/s以上の流速に ついては実験できなかったが、
3m/s 以下の波線を延長したも のが、回転水槽で実験した線と 合致しないのは上記の点による と考えられ、静止水槽と還流水 槽の異りによるものではないと 考えられる。
3.緒 言 (1)前記実験の結果、水中 を動く物体にはたらく抗力の測 定には回転水槽を使っても支障 ないo この場合水にはたらく遠 心力が物体に圧力を及ぼすと考 えられるが、抗力そのものには 全く影響しない。
(2)回転水槽を使うと、抗力の測定が容易であり、抗力測定天秤の構造も簡易ですむ。小型 の割に高速水流をっくることができる。乱れが伴わない。物体のまわりの各種の現象の観察・測 定が容易であるなどの利点がある。
(3)試料を入れたとき、この影響によって水槽中心軸のまわりの水量の分布がずれ、装置が 振動し出す。ことに流速をましたときに著しい。これは最大の欠点である。僅かの振動が装置の 共振を引き出し互に助長する傾向があるから、なるべく最初の振動や動揺が起きないように、流 速の増減を徐々行うように注意する。また全装置を頑丈につくる必要がある。
」‑^^^^E3 日 間
岡崎 良書(1962) :水中で動く物体にはたらく抵抗の細定 奈良学芸大学紀要第10巻第2号