水比抵抗測定による地すべり調査について ∵.(第,Z報)
● ・I ㎜ ・. ” `ザ
’ ゛ ’二”:: ‘ ”・ On the Investigation of La!id Creep by the Measurement
of Water-Spe ・ic-Resistance (2nd Report)
岡
崎 寿 (農学部防災林学研穿室)彦
要 ・ 約
降水が地表に到達して,いろいろな経路を通って河水となる道程で,無機電解質を溶解すること
により,その電気比抵抗を減少していくことは容易に推察されるのであるが,特に山地水源に近い
小集水地域では,その比抵抗値を左右する因子が単純で,・主として水温と岩質によるものと考えら
れる.
・水温と比抵抗との関係は,厳密には双曲線で示されるが,10°C∼30°Cの間では直線で近似表現
して差支えないようで,15°Cの比抵抗値を1.00とする温度補正係数は,実測の結果 y・=
-0.022x
+ 1.330 (y ;補正係数,x;水温゜C)となった.(第1報参照)
こうして,コーラウシュブリッジと,自製の測定容器を用い,現地で1ヵ所約200
cc の水を採
取,比抵抗を測定した結果を,ボーリング,トンネルないしは電探による地質断面とにらみ合せな
がら,地下水の経路を判定することによって,地すべりの原因,ひいては防止工法の選定に役立た
せようとするものである.
ここに破砕帯地すべり地として,吉野川水系南小川の沖野々崩壊地を調査した結果,この地区の
地表水の比抵抗は2.0×104皿cm以上で,多少とも地中を経て来たものは1.5×104£?-cin内外であ
ることか判った.同様に吉野川水系祖谷川においても若干の測定考察を行ったものである.
沖 野 野 地 区 §1 周辺地域の水比抵抗的変勁解析 本地域の南縁は,物部川との分水界で, 1,400 m 内外の連峯で境されているが,この最高地点 (1,443・.3m)から北北西に分岐する支脈の突端部に,俗称天狗塚(1,240 m)がある. 今次調査は,この天狗塚を頂点とし,放射状に測線を設定し,これに沿って51ヵ所から水を採取 した.測線はFig. 1に示すように, ABCDEFGA'の8本をとったが,沖野々地区に関連する ものはABCDEFとGの一部である, 1 地形的分布 天狗塚を中心とし,採水個所の距離別,標高別の相関表を作ると, Tab丿のように,ほぽ逆相関・ を示していることは,天狗塚を頂点として調査地域が,半錐体に近い地形であることが判る. 2 変動状況 ト Tab. 1によって,その水比抵抗の標高別平均値について比較すると,標高800m前後にお,いて,. 顕著な不運続点を示しながら,F方に向,うて漸次下降している. Tab. 2で,標高差100mを階級幅とする水比抵抗値の平均とその標準偏差を求め,t二検定によ る有意差判別を行った結果は,やはり700 m と800 m, 800 m と900 m の間には,有意の差がある ことが示され,湧水の流下に伴う水比抵抗値の自然下降以外の要因か存在していることが判明し た.ろ2 高知大学学術研究報告 第9巻 ・自然科学 n_第5号 Tab 1 南小川左岸中流地.区水比抵抗-・覧表 (天狗塚を起点とする)(水比抵抗単位 ×104 Q-cm)
二匹ピ)
(350∼ . 450) 400 (450∼ 550) 500' C550∼ 650) 600 (650∼ 750) 700 (750∼ , .850) 800 (850∼ 9、50) 900 (950∼ 1050) 1000 (1050∼ 1150) 1100 C1150∼ 1250) 1200 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400 2600 2800 3000 3200 ■3400 3600 3800 4000 4200 4400' 4600−
−
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2.112
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1.536
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1.472
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1.728
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1.344
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2.624
−
2.752
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− − − − − − − − に 2.112 門 2.112 − − ・ 〃 − − − − − − − − ゝ ● − − − − 3.072 1.728 2.624 腿 一 二2 − − − .− − − − − − − −−
−
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2.368
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2.496
−
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− 一 指 − − − − − − 2.752 − − 3.648 − − − 3.328 − − − − − − 2.816 − − − − − − − − − − − − −・ − -− 3.200 − − − − − −3 推 定
地形的に本地区を概観すると,標高800m以上は急斜地となり,これより下方は,数段の緩急斜
面か交錯した縦断面を示し,いいわゆる破砕帯地すべりの一般的性状として,往昔の大崩壊ないし
火成岩逍入に伴う擾乱による崩積土が,さらに地下水の惨入に起因した二次的地すべり性崩壊をく
り返したとみられる地形であり,現段階において,
800 m 附近に地下湧水が顕著で,変動の上端部
ではないかという大勢がうかがわれるのである.
以上の概括的考察に基き,沖野々変動地を詳細に検討してみよう.
§,2 沖野々地すべり地の地下水動態 ,
1 概 説
南小川の吉野川本川との合流点を,約6km遡上した漉長対岸に,南小川本流とほぽ直角に,南
水比抵抗測定による地すべり調査について第2報(岡崎)
Tab. 2 標高別水比抵抗値比較表 (Fig.・1による)
(水比抵抗単位 ×104p-cm)
ろろ 標 高(m) 平均標高(m) 1150∼1250 1200 1050∼1150 1100 950∼1050 1000 850∼950 900 750∼850 800 650∼750 700 550∼650 600 450∼550 500 水 比 ・抵 抗 値 (15°C換算) 2.82 3.20 2.43 − − − − − − − 3.33 3.46 3.43 2.25 3.65 3.33 2.37 1.92 2.50 − 1.86 2.75 2.24 2.43 1.73 2.69 2.69 3.07 3.71 2.75 3.07 3.62 2.43 . 2.56 2.30 − − − − − 2.11 2.11 2.18 2.37 1.73 2.50 2.75 − − − 2.24 1.98 1.54 2.62 1.60 1.54 1.47. 1.'34 − ゛=& 1.60 1.47 − − ÷ 皿 − − − − − 1.92 1.92 1.15 1.54 1.54 2.11 − − − − , (51) 計 平 均 Σが S2=2't;Vn-l S (3) 8.45 2.82 0. 2965 0. 1483 0.385 (9) 25.74 2.86 2.8762 0.3595 0.600 (10) 25.92 2.59 2.9766 0.3196 0.565 (6) 15.54 2.59 0. 3428 0.0686 0.262 (7) 15.75 2.25 0.3710 0.0618 0.249 (8) 14.33 1.79 1.3945 0. 1992 0.446 (2) 3.07 1.54 0. 0085 0. 0085 0.092 (6) 9.18 1.53 0.7852 0.1570 0.396 900mと800mとの差の検定 t= 12159-2.251 0.255 。 = 2. 39>Pii(0:05) = 2. 20 800°と700mとの差の検定 t° 122§テj4791 y:FyF°2. 39>Pi3(0. 05) = 2.16 ○ 『o ̄1』こ五言イ⊇元二 s2J(鯛2三谷 ̄7)2)流する左支沖野々川を約1km上った右岸に,今次調査の対象となる地すべり地がある.
現崩壊地は約2
ha, 危険区域13.4
ha, 地すべり防1ヒ区域は36.
4 haである.
地質はいわゆる御荷鉾破砕帯に属し,全域緑色岩類で占められ,粘土化の容易な緑泥千枚岩を多,
く含んでいる.
咋34年度調査の結果,営林局直轄施行の下で,一応変動地域の下流部,県砂防課施設の貯砂ダム
の堆砂上限附近に,床固ダムー基を設けて,崩壊の根固めとしての目的を達するとともに,上部変
動地内の排水工作を主眼として,ボーリング,トンネルの掘さくを計画し,一部はすでに実施中で
あるが,地下水脈の確認の補助手段として,水比抵抗調査を行ったものである.
2 採水状況
34年9月12日本地区の採水を実施したか,途中降雨のため中止のやむなきに至り,つづいて9月
21日28ヵ所の水を採取25日測定した結果をFig.
2 , Tab. 3に示す.
床固ダムの位置は,標高500
m で,これが崩壊の下流縁となり,これから顕著な谷が東方に出
て,標高800m附近にその源泉を求めることが出来る.これより上流側に,崩壊は500m∼600m間
に現われ, 550 m∼600m間に数多い湧水力所が認められる.崩壊地の上方650
m∼700 m 附近にも
湧水地点があり,これは地表流となって前述の谷に流入している,この谷を仮にA谷と名付けてお
く.
次に,沖野々川のダム地点より,約1km上流に入る小谷が,標高700m∼770
m 地点で,本変動
地の上方に位置しているが,これを便宜上B谷と呼んでおこう.
ろ4 高知大学学術研究報告 第9巻 自然科学 n 第5号 Tab. 3 高知県長岡郡大豊村柚ノ木 水比抵抗測定一覧表
採 取
年月日
採 取 N0.採取時
水 温
種別
摘 要
測 定
月 日
U
比抵抗
15°C換算比 抵 抗 34 9.21 Z/ ノ/ // /Z /Z // /Z // /y // // // Z/ // Z/ /Z // /Z // // // // // /y // Z/ // 6 7 8 9 10 17 18 19 20 29 30 50 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 ゜C 14.8 16.3 17.0 14.0 15.8 13.0 13.6 12.4 12.6 14.0 13.6 13.8 13.3 13.2 15.6 15.5 14.5 14.5 15.8 15.2 17.5 17.5 15.9 15.7 17.5 14.5 14.2 13.7 G G S G G G S G G S S G G G S G G S S G G S G G G G G G G・‥地下水 前田氏宅前湧水 S…地表水 /z 炊用樋水 発電用水路水 呑 水 No. 4 ボーリング孔水 No. 1 // 沖野々川本流 No. 3 ボーリング孔水 No. 2 )/ 計 28ヶ所 9.25 /Z /Z /y // /y // /Z // /Z // 〃 Z/ /y // // /y Z/ /Z /Z ZZ // /y // // // Z/ // ゜C 25.0 // /Z // // Z/ // /y // 〃 Z/ Z/ // // // Z/ // Z/ Z/ /Z // Z/ /y // Z/ Z/ Z/ /Z ×lC-O-cm 1.250 2.000 1.250 1.050 1.150 1.350 1.850 1.500 1.300 1.700 1.650 1.700 1.600 1.550 1.150 1.100 1.100 1.150 1.200 0.680 0.490 1.650 1.650 1.000 0.370 1.050 1.300 1.200 ×104 1?-cm 1.600 2.560 1.600 1.344 1.472 1.728 2.368 1.920 1.664 2.176 2.112 2.176 2.048 1.984 1.472 1. 408 1.408 1.472 1.536 0.870 0.627 2.112 2.112 1.280 0.476 1.344 1.664 1.536 3 解 析 採取された水は,大別して地表水と地下水とになるが, このように水源に近い山地では,両者の 区別はあまり意味がない.問題は,地下水経路の延長であって,図表に示すように同一ヵ所で地表 水,地下水の比抵抗値が近似しているのは,湧水直後の,地表流であることを示しているのである, 今一つ,ボーリングパイプから採取した永の比抵抗値が,極端に小さいのは,固形物混入による もので,いわゆる濁水は,このように比抵抗を著しく低下させるので,比較の対象にならない.従 ってこの4本のボーリング孔からの採取水は解析から除外する. 以上の注意の下に,データーを概観すると,標高800m附近のものは, (29),SO), (59)バ60)で,水比 抵抗値は大体2.0×104オーム・センチ前後で,いずれもA谷の水源となっている. 普通,純粋の地下水は,2×103∼1.2×104オーム・センチの範囲にあるもので,山地のいわゆ る地下水というのは,平地帯のそれとは異り,湧水とでもいわれる中間伏流的のものをさしている ので,ここでも地下水といっても,このようなものをさしている`のである. 次に,B谷上方750m∼780m地点で採取した水は, m, (19),(2o:レ(30)の4ヵ所であるが,(19)は地下 水, 1.92×104オーム・センチ, (30)は地表水, 2.112×104オーム・センチで,後者かわずかに高い, これは800m附近から浸入した水と,地表流下水との差があらわれたと考えられる.このことは(20) の地下水が, (19)の約50m斜下方で, 1.664×104オーム・センチと更に低下している点からも首肯さ れる.㈲の地表水は, 2.368〉く104オーム・センチと明らかに異質の比抵抗値を示しているのは,こ の水は発電用水路のタンクから採取したもので,その水源が,南小川の水源である,小桧曽川の上水比抵抗測定による地すべり調査について第2報(岡崎) ろ5 流地点の谷水であるためで,このことは,水比抵抗の差による水源状況の相異を端的に物語るもの であろう. A谷とB谷の中間,標高750m附近で採取した2ヵ所では旧湧水1.472××104オーム・センチ, ㈲湧水1.728×104オーム・センチで,前者はB谷の(20)と対応しているが,地形はA,B両谷にはさ まれた凹所であるから,水源は同じでも地下水の経路としては,別の水豚であると思われる. A谷の700m附近に,数力所の湧水地点があり,ここの1ヵ所(6)湧水は1.600×104オーム・セン チで,これは(17)附近の地下水と関連しているようである. ao)の下方700m附近の湧水は, (6)で1.344×104オーム・センチとこれはao)と同系統と思われる. B谷の石岸側,稜線上に家があって,ここに樋でとった水が, (8)で地表水として1.600×104オー ムセンチを示し> (7)は湧水であるが, 2.500×104オーム・センチを示しているのは,至近距離の稜 線の浸入水で,上方からの地下水とは関係ないようである. A,B両中間の凹所(9), ao)地点の下方670m附近にも数力所の湧水点があり,腿地下水1.408×104 オーム・センチ,剛地表水1.472×104オーム・センチとなって,いずれも同質の値を示し,かつ(9) 点より若干高い値であることから, (6), (17)の線からの湧水経路と考えられる.さらに下方650mで の地表水剛1.472×104オーム・センチは,上方剛と同質のものである. 630m∼640m附近が,崩壊の頭部となる.崩壊地内での水比抵抗は,前述の理由で,ボーリング 孔よりの採水は除外して, 570m∼580m地点に,最も優勢な湧水地帯があるが,剛の地下水1.536× 104オーム・センチ, (73)の地下水1.664×104オーム・センチ, (74)の地下水1.536×104オーム・セン チ等いずれも,崩壊地上方の湧水より高い比抵値を示している.このことは崩壊地内の湧水は,そ の上方の地下水詠とは一応無関係で,別に給水源の所在を示唆していると考えざるをえない.これ は結局,崩壊地頭部並に側方への,降水の浸出とみるべきであろう. ボーリングB2附近の地表水(65)1.536×104オーム・センデは,その上方㈲湧水1.536×104オー ム・センチと同質である. 崩壊地上流端に入る小谷の水源湧水は, (72)1.344×104オーム・センチで,崩壊地内とは別の経路 のものと思われる. ボーリングB1附近,つまり沖野々川本流の河水は. (68)2.112×104オーム・センチで,本川上流 方面の水源関係を示すもので,この上流には優勢な地下湧水が存在しないことを物語っているので はあるまいか. 4 考 察 本崩壊地は,標高500mから630mに及ぶが,その中間570m∼58Cmの線に沿って有力な湧水帯か おり,これが現在の変動を生じた主因と目される.この湧水は上述の如く,その給源をはるか上方 に求めるまでもなく,変動地附近の降水の浸入によるものと,A谷上方よりの浸入水によることが 推定される.更に今後の変動の拡大予想としては,700m附近の湧水帯に注目すべきであろう.
§3 対策所見
昭和33年度南小川地すべり対策調査報告徊:で,ボーリングおよび電探による地質断面図を作製し
たのであるが,今次水比抵抗測定の結果は,この断面図が概ね妥当であることを裏書きしているの
であって,対策としては別に補足することもないのであるが,以下気付いた点を2,3列記してお
く.
1.標高570m∼580m,変動地帯の湧水帯は,将来これより上方650m附近よりの崩壊を,さらに
拡大しようとする地下水の末端であり,かつ変勁地内に浸入して,下方の変動を助長するおそれも
十分あるので,この水を変勁地外に誘導排除する施行が先決であろう.
2.標高700m附近の湧水が,将来さらに上方の崩壊を誘発し,下方に浸入して,変動加速の誘
ろ6 高知大学学術研究報告 第9巻 自然科学 n 第5号 −
因となることも予想されるのでB3地点附近で集水してA谷への水路補強による排水の万全策が望
ましい.
3.横孔ボーリング排水よりも,トンネル,暗渠排水がより適当であろうと思われる.
菅 生 地 区
§4 概 説 `1
1 変動概況
本地域は徳島県三好郡東祖谷村菅生地内,県道沿いに発生した,地すべり性崩壊地で,吉野川中
流の右文祖谷川上流部にあって,昭和33年度高知営林局で,トンネル排水ならびに集水管排水を含
む,水路工による変動防止工事を実施して,概ね成功を収めたのであるが,さらに上流側に,変動
の兆を認め,翌34年度に,前年同様の施設を行ったところ,排水の不完全のためか,変動を阻止す
るに至らず,中腹部の工作物が亀裂を生じ,一部は倒壊寸前に立至ったので,その補強工作のた
め,さらに深部の状況を確認して,工事の完璧を期するため,電探調査を実施したのであるが,そ
の際この調査の補助手段として,変動地内の湧水等を採取に水比抵抗を測定したのである.
2 地 質
本地域は,三波川変成岩地帯の南縁に相当し,御荷鉾破砕帯を含み,石英豚を爽む梢硬質の緑色
岩で,輝緑岩質のもの多く,緑泥片岩の風化による粘土化か認められる.地表踏査よりみれば,崩
壊地内には大転石が随所に散在し,変動は相当深部にまで及んでいるものと推察された.
(Fig.
3
参照)
3 電探による地表解析
Fig. 4のように,電探による地質縦断面は,基岩までの深度10m∼25mで,この境界線に地下水
の存在が認められる.この地下水はこの地区の頭部から上流側に囲饒するクラック性の谷から,浸
入供給されるのではないかという想定のもとに,水の比抵抗を測定したものである.
§5 水比抵抗測定による解析
本地区内ならびに,下方は祖谷川本流から,上方は崩壊地上方,側方の小谷等から,25ヵ所の水
を採取し,その比抵抗を測定し,温度補正したものがTab.
4で,これはFig.
3に採取位置ととも
に記入してある.
まず,河流の本地上下流で採取したものが,上流(21)で1.32×104オームセンチ,下流(22)1.65×104
Tab. 4 徳島県三好郡東祖谷村菅生 水比抵抗測定一覧表
取日 月採年 34 12.22 // // // /y μがμがμ μμμμか 採取 N0. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 11 12 13 14 15 採個 取所 ゜C 11.5 11.0 11.1 11.0 11 1 1 1 1 0 1 9 0 0 o O ] L T i s o O 0 0 0 5 0 0 0 0 C ︱ O ^ < ノ ` O 1 1ル路水ル
、バ ザ
ト水湧ト
管谷 水 集小 路 ″谷 水 腹路管腹 ″ 水 山水築山 摘 -34年度施行 トンネル上 33年度施行 崩壊地内 // Zy 水 抜 水 抜 要 勁∼。 自一″″ /■ (小白濁) 約20m上流側 約50m上流側 (小白濁) (小白濁)粁
4 3 12.27 // .Z/ Z/ Z/ // Z/ // Z/ // Z/ // // // Z/ 測 定 水 温 - ゜C 10.5 11.0 13.0 13.5 12.0 . u r j o O L o c s 一 I 1 1 1 1 J I l l o 1 1 1 1 1 10.0 11.0 14.0 10.0 14.0 比抵抗 -×10*<?-cO L O U -J U -1 C 5 O f V l O n C 3 O C = > O L O L T l C D C D c r > . o o c ︱ C O c r ≪ 1 2 2 3 1 L O O O L O C 3 O n t ︱ v O C T ^ C 3 O 一 一 響 1 1 1 1 1 1 1 15°C換算 比 抵 抗 ×10''.Q-cm3 7 7 9 8 7 0 8 7 8 I 一 曲 欄 曲 2 2 1 1 1 1 2 2 3 1 / O r v i C O c ︱ ︱ H 8 6 5 0 7 6 6 7 6 6 7 5 5 7 7 I I 摯 一 一 1 1 1 1 1水比抵抗測定による地すべり調査について第2報(岡崎) 37
恥晋
採取 N0. 採取時 水 温採 取
個 所
摘 要
測 定
月 日
N
比抵抗
15°C換算比 抵 抗 Z/ /Z // /Z ZZ //35.1.14 /z // /y 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 6.6 5.5 5.0 9.0 6.6 6.5 3.0 − − 4.4 小 谷 山 版 本 川 本 川 山 版 小 谷 崩壊地より莉10m上流側 /z 5m // // 10m // 水 抜 下 流 上 流 下 流 湧 水 z/ (小白濁) Z/ /Z /Z /Z /Z’ //35.1.14 z/ /z /z 10.3 − − 13.0 − 14.0 9.5 9.5 9.5 9.5 2.70 − − 1.65 − 1.35 1.85 2.00 2.40 2.95 2.43 −(破損) −(・/) 1.58 −(破損) 1.32 1.65 1.78 2.14 2.63オーム・センチ,と下流側に高いのは,崩壊地上流側から流入する谷の地表水,例えば(9)のごとく
3.07×104オーム・センチ等が混入したものである.
崩壊地頭部附近では,上流側小谷で採取したものは,いずれも2×104オーム・センチを越え,
(8)
2.53×104オーム・センチ,
(25)2.63×104オーム・センチ. (7)2.62×104オーム・センチとなってい
るが,崩壊地内には入ると,
(1)がトンネル排水にかかわらず,
2.73×104オーム・センチとかなり
高い比抵抗を示しているのは,前記小谷上方の地表水が,直接トンネルに抜けているとみられる.
(2)の2.07×104オーム・センチは,水路工内の水であるが,これは第1号トンネル排水の比抵抗
が,第2,第3号トンネル排水のそれよりも,かなり低いことを示し,ある程度地下水を含むこと
を物語っていると見てよい.
以上の外,33年度施行地,34年度施行地の水比抵抗は略近似し,かつ下方にゆくに従って比抵抗
は低下する傾向のあるのは,同一源泉の水であることを示している.ただ,両施工地の中間の突起
部湧水が,いくらか高い値を示しているのは,水路に乗り切れない水が排出していると見られる.
つまり,崩壊地右上方の小谷から,崩壊地内への浸入水が,一部34年度施行の水路に乗らないで山
腹に湧出しているのであろう.例えば,
(24)2.14×104オーム・センチのようなものである.
§6 対策所見
電探解析結果は,トンネル排水工のトンネル内の地質構造を参考として導かれたもので,これに
よると,地表面下10∼25mのあたりに,すべり面とおぼしき,含水粘土の層が認められるが,この
粘土の含水比を低下せしめる第1次的方法としては,孔隙の多い崩土層を浸入する水を阻止するこ
とにあり,ついで更に地域外より入って来る,より深層の地下水を排除することが第2次的に考え
られる.この観点にたって見れば,上部トンネル排水工と,集水管式排水路工法は,大体において
正しい措置ということができる.
そこで34年度の施行の不備を補う意味で,更にトンネル排水と水路工の増設が要請される.この
ことは§5に示した水比抵抗測定による地中永の動態からみて,更に明確であり,またこれによっ
て施工量の決定にも資せられると考える次第である.
結 言
水比抵抗測定による,地中水の勁態解析が実用的に治山工事に応用できるか否かは,以上僅少な
例からは結論づけることは無理である.しかし,その方法の簡易さと,治山工事の特徴である山地
の限定された地域性という面から,本法の発展性は,かなり期待されてよいと思われる.
更に今後共,この種のデーターを集積して,治山調査特に地すべり対策調査の方法論的な確立を
期したいと思う.
終りに臨み,本調査に当って高知営林局治山課の田中課長,原技官,南小川治山事務所高橋主
ろ8 高知大学学術研究報告 第9巻 丿 自然科学 Ⅱ 第5号
任,祖谷第2治山事務所光明院主任,ならびに現地係官には格別の御便宜と御協力を受けたことを
記し深甚の謝意を表するものである.
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