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対面教育と遠隔教育─演習と実習に関する一考察─

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− 71 − 対面教育と遠隔教育

高等教育においては教育内容が高度化・複雑 化するとともに、入学する学生の学力の多様化 も進んでいる。このような中で、各高等教育機 関は効果的・効率的な教育が求められており、

この解決方法の一つとして情報コミュニケー ション技術(ICT)の活用が期待されている(大

ICT 推進協議会,2019)。また、実践報告もな

されるようになった(松本,2014)。一方、大学

ICT

推進協議会の調査結果(2019)によると、

大学学部研究科のインターネットを用いた遠隔 教育のリアルタイム型の導入状況は、「0%の科 目(導入していない)」と回答した学部研究科は 70.3%、オンデマンド型の導入状況においては 50.7%であった。

この度の新型コロナウイルス感染症の影響を 受けて、全体の 9 割の大学等において新年度の 授業開始を延期し、遠隔講義の実施が検討され ている(文部科学省,2020)。しかしながら、遠 隔教育の導入状況に鑑みると、問題や課題は少 なくない。したがって、本稿では看護学を学修 する上で必須である実習・演習学修について対 面教育と遠隔教育の視点から考察を試みた。

まずは、対面教育と遠隔教育の各々の利点を 考えてみる。対面教育については、これまで開 発されてきた教材は、原則として対面教育で講 義又は演習、実習が実施されることを想定した ものとなっており、豊富な教材資源が存在する。

また、学生は教師の説明に対して抱いた疑問を、

その場で提起し、その疑問に対する教師の見解

又は回答を得ることができる(情報処理推進機 構,2013)。遠隔教育については、繰り返し視聴 するなど、自分のペースに合せていくらでも学 習ができる。さらに、場所にとらわれることな く遠隔地からも受講できるなどの利点が挙げら れる。一方、対面教育と遠隔教育の各々の欠点 を考えていく際は、前述した利点の裏返しが欠 点として挙げられる。つまり、対面教育につい ては場所の課題、遠隔教育については学生の表 情や些細な変化を捉えにくいなどの欠点が挙げ られ、教育を進めていく上では、これら欠点が 及ぶす影響を最小限にする方法を考えていくこ とが重要となる。

続いて、これらの特徴を捉え演習・実習教育 について述べる。演習とは模擬的作業を対象と して体験を通して学修をしていくことである。

松本(2014)は、演習学修の過程をオンデマン ド型の遠隔教育で行うことを試みている。遠隔 教育では対面教育と比較し、技術の模範を見せ ることや学生の手元や作業対象を見ながら適宜 助言を行うことが難しい。そこで教員は、この 過程を疑似的に「見る」ために、学生は授業コ ンテンツを視聴しながら模範と同じ作業を行う。

さらに、完成した成果物とその過程の作業報告 を記述し教員へ提出する。対面授業に勝る部分 として、掲示板を利用した学生の発言数の多さ や繰り返し授業内容の確認ができる点が挙げら れ、弱点を補う演習方法として報告されている。

教員・学生の双方で学修過程を客観視できる演

対面教育と遠隔教育

─演習と実習に関する一考察─

中島 優子

京都看護 第 4 号

短  報

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− 72 − 中島 優子

習方法であり、一定の評価はできる。一方、実 習は直接的体験を通して動機付けや対人関係能 力、経験知を養う学修である。そのため、対面 教育・遠隔教育に関わらず演習のみで実習内容 を補うには限界がある。しかし、これまで以上 に実務に精通した講師と連携を図り、講義の参 画や疑似体験等の学修を積極的に取入れること で、学修効果を高めていくことは期待できると 考える。

この度の新型コロナウイルス感染症の実習・

演習学修への影響に鑑みて対面教育と遠隔教育 について追考した。結果、各教育方法の利点と 限界の一端を知ることができた。また、この緊 急事態に教育をどのように進めていくのか、教 育方法を再考する機会であったと捉えることも できる。一方、看護師養成施設は 1032 校 1078 課程に上る(厚生労働省,2020)。こうした緊急 事態に、一定の教育の質が担保できるよう、対 応を整備していくことが今後の課題であると考 える。

文献

厚 生 労 働 省(2020). 医 療 関 係 職 種 養 成 施 設

(https://youseijo.mhlw.go.jp/) < 2020 年 5 月 19 日アクセス>

独立行政法人情報処理推進機構

IT

人材育成本部 イノベーション人材センター(2013).実践 的講座構築ガイド −産学連携教育の自立的 展開を進めるために− 第 3 部 遠隔教育編 大学

ICT

推進協議会.高等教育機関における

ICT の利活用に関する調査研究

(https://axies.jp/ja/ict) < 2020 年 5 月 6 日 アクセス>

松下毅(2017).大学教育における

e

ラーニング の展開−導入の先に目指すもの−.広島大 学高等教育研究開発センター大学論集,50,

193−208

松本早野香(2014).フルオンライン大学におけ る演習授業に関する実践報告.eラーニング 研究,第 3 号

文部科学省(2020).新型コロナウイルス感染症 対 策 に 関 す る 大 学 等 の 対 応 状 況 に つ い て

(https://www.mext.go.jp/content/20200413-

mxt_kouhou01-000004520_2.) < 2020 年 5

月 6 日アクセス>。

参照

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