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報告者氏名 小仲邦 三原雅史 望月秀樹

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)

神経変性疾患領域における調査研究班  (分担)研究報告書

臨床調査個人票を用いたパーキンソン病における認知症と関連因子の検討

報告者氏名  小仲邦  三原雅史  望月秀樹

A.研究目的

パーキンソン病患者の増加に伴い、進行期にお ける医療、社会資源の利用の問題点を把握する 必要性がある。

  進行期パーキンソン病は患者数が多い、療養 期間が長い、進行期特有の症状に対し専門的な 加療を必要とするといった特徴があり、神経難 病専門医と地域の一般内科医、介護、看護、リ ハビリテーションといった包括的なサポート体 制を長期に渡って維持、継続することが重要と なる。

  一昨年は当大学病院におけるHoehn&Yahrの 臨床重症度分類4度と5度の進行期パーキンソ ン病患者の療養の実態を調査したが昨年度はさ らに範囲を拡大し、全国の臨床調査個人票を集 め、本邦における進行期患者の療養の実態調査 を行った。Hoehn&Yahrの臨床重症度分類4度 では認知症が26.9%であることに比べ、5度で

は62.3%であり、急な増加を認めた。これよ

り、臨床調査個人票より認知症の出現に関連す る因子について薬剤を中心に検討し、また進行 期に問題となる症状について検討を行った。

B.研究方法 (倫理面への配慮)

本研究は当院の倫理審査にて承認がなされた。

2010~2014年度のパーキンソン病類縁疾患の臨

床調査個人票(更新分)147957件よりHoehn&

Yahrの臨床重症度分類3〜5度のパーキンソン 病患者を抽出し、パーキンソン病でかつ初回入 力で「痴呆症状なし」の項目に入力がなされた

96821例を対象とし、元々認知症を認めない患

者における認知症(痴呆症状)の出現との 関連を以下について検討した。

・Hoehn&Yahr重症度分類

・各薬剤との関連(L-DOPA製剤、ドパミン受 容体作動薬、抗コリン薬)

研究要旨

進行期パーキンソン病患者の増加に伴い、進行期における医療、療養状況、社会資源の利用の問題 点を把握する必要性がある。我々はこれまで当大学病院における進行期パーキンソン病患者の療養の 実態を調査さらには、2013 年度のパーキンソン病類縁疾患の臨床調査個人票(更新分)54471 件よ り、診療状況、療養状況について一部 2004 年の臨床調査個人票と比較し調査した内容を報告してき た。昨年度の結果ではHoehn&Yahrの臨床重症度分類Stage4における認知症が26.9%であることに

比し、Stage5では62.3%と大幅な増加を認め、本邦の進行期パーキンソン病患者の療養においては認

知症が問題と考えられた。今年度は過去5年のパーキンソン病類縁疾患の臨床調査個人票を用いて認 知症を認めない患者における認知症の出現との関連を Hoehn&Yahr の臨床重症度分類と抗パーキン ソン病薬について検討し、重症度が重いほど認知症の出現が多いこと、L-dopa製剤を「使用」または

「過去に使用」している患者に比べ、「未使用」の患者では認知症の出現が少ない結果であった。また うつ、認知症、精神症状、幻覚の中でいずれかが出現した患者で最も早く出現した症状を抽出したと ころ、認知症の割合が最も高い結果であった。パーキンソン病の臨床重症度が軽いほど、またL-dopa 製剤未使用の患者で認知症の出現が少なく、進行期の問題症状において認知症の割合が高いことが示 された。

(2)

 

244 解析方法はアウトカムを「認知症あり(痴呆症 状あり)」とした時のカプランマイヤー曲線を作 成し、Cox回帰分析を行った。

また「うつ」、「認知症」、「精神症状」、「幻覚」

の項目のうちいずれかが出現した患者の中で、

最も早く出現した症状(登録時に既に症状がある 患者含む)を抽出した。

C.研究結果

対象患者を図1に示す。

(図1)

⑴Hoehn&Yahr重症度分類について「認知症あ り(痴呆症状あり)」をアウトカムとした時の Hoehn&Yahr重症度分類3度、4度、5度につ いて作成したカプランマイヤー曲線を図2に示 す。

(図2)

Heohn&Yahr重症度分類ごとの比較では

Yahr3<Yahr4<Yahr5と症状がより重度の群で有 意に認知症の出現が多い結果であった。 

⑵L‑dopa 製剤について「認知症あり(痴呆症状 あり)」をアウトカムとした時の L‑dopa 製剤

「使用」、「過去に使用」、「未使用」について作 成したカプランマイヤー曲線を図 3 に示す。 

(図3)

L‑dopa 製剤を「使用」並びに「過去に使用」し ている患者が「未使用」の患者に比べ有意に多 い結果であった。 

⑶ドパミン受容体作動薬について「認知症あり

(痴呆症状あり)」をアウトカムとした時のドパ ミン受容体作動薬「使用」、「過去に使用」、「未 使用」について作成したカプランマイヤー曲線 を図 4 に示す。 

(図4)

ドパミン受容体作動薬では「使用」している患 者に比べ「未使用」並びに「過去に使用」の患 者では認知症に移行している例が有意に多い結 果であった。

⑷抗コリン剤について「認知症あり(痴呆症状 あり)」をアウトカムとした時の抗コリン剤「使 用」、「過去に使用」、「未使用」について作成し たカプランマイヤー曲線を図5に示す。

(図5)

(3)

 

245 抗コリン剤では「使用」している患者に比し

「未使用」並びに「過去に使用」の患者認知症 に移行している例が有意に多い結果でした。

⑸進行期に問題となる症状のうち最も早く出現 する症状を抽出し、図6に示す。

(図6)

認知症が最も割合多く、続いて精神症状、抑う つ、幻覚との順であった。複数の項目を合併す る症例もあり、項目が重複する例も含む。

D.考察

臨床重症度の増悪と認知症発症との関連が強 いことが示された。今回の結果からは、認知症 のリスクの高い患者でLdopaの使用頻度が高 く、ドパミン受容体作動薬、抗コリン剤の使用 頻度が低いことが示唆された。これらの結果 は、高齢・認知症患者に対してドパミン受容体 作動薬、抗コリン剤の使用を控えるように記載 している2011年のパーキンソン病ガイドライン の内容が日常臨床における処方行動に反映され ている可能性が考えられた。進行期に問題とな る症状として認知症が早期より出現する症状と して最も多いことが明らかとなった。

E.結論

進行期パーキンソン病患者において早期より

出現する問題症状として認知症の出現に注意が 必要である。

認知症の出現と臨床重症度、抗パーキンソン 病薬の関連性についてパーキンソン病類縁疾患 の臨床調査個人票を用いて示した。ドパミン受 容体作動薬、抗コリン剤における認知症出現の 割合の傾向がL-dopaと異なる点について、今回 の解析では単剤での検討であり、さらなる解析 が必要と思われる。

F.健康危険情報 特になし G.研究発表

(発表雑誌名巻号・頁・発行年なども記入)

1. 論文発表

進行期 Parkinson 病における通院・診療状況調査  神経治療33:276−279, 2016

2.学会発表

進行期パーキンソン病患者の実態及び療養状況 調査  第10回日本運動障害学会、京都、2016 H.知的所有権の取得状況(予定を含む)

1.特許取得  なし 2.実用新案登録  なし 3.その他

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