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「対話」という経験を通した学習支援

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Academic year: 2021

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図書館の徹底活用術⑦

「対話」という経験を通した学習支援

「行為の中の省察」の観点から

「対話」という経験を通した学習支援

「行為の中の省察」の観点から

「対話」という経験を通した学習支援

「行為の中の省察」の観点から

枝元 益祐

 皆さんの学習支援の為の図書館の有用な活用方 策の紹介をしています。皆さんの学習活動を拡張 する拠点である図書館を有効に活用する為の窓口 に於けるレファレンスサービスでの「対話」につ いてドナルド・ショーン(Donald  A.  Schon)

の「行為の中の省察」という観点から前回は言及 しましたが、今回はその続きとして更に考察を深 めることで、図書館での学習支援の一端を紹介し ていきたいと思います。

 「経験からの学び」にその焦点を当てながら、

そういった経験の内実である省察的実践(振り返 りや考察を伴い、それらを自己のものへと反映さ せるような実践の在り方)としての行為やそれに 伴う対話のという経験の中からの学びが専門性を 深めるということを強調しました。これを支える ものとして前回、以下のような3つの観点を挙げ て説明しました。それらは、第一に「行為の中の (knowing  in  action)」、第二に「行為の中の 省察(reflection  in  action)」、第三に「状況と の対話(conversation with situation」です。

 第一の「行為の中の知(knowing in action)」

ですが、これは「知」とは恰も人間の外側にあり それを誰かから伝達してもらうことを以って学び とする概念と対極的な学習観です。「知」とは人 間の内側に経験として存在しておりそれを「行為

(action)」の中で醸成させて行くという学習 観であり、ジョン・デューイが「なすことによっ て学ぶ(learning  by  doing)」といった概念を 根底に持っています。これは人は誰でも経験を持 っており、その経験こそが学びのリソースである という生涯学習論の本質的な議論をその前提とし ています。

 この点が、いわゆる知識伝達型教育とは異なっ た観点が端的に具現化しています。知識伝達型教 育では、学習者は知識を持っておらず、故に知識 を持っている教育者がその知識を伝達する、更に はその伝達の際の合理的な伝達方法も構築がなさ れるという特徴があります。人間を生得的にタブ ラ・ラーサ(tabula  rasa)という精神的白紙の 状態と見做し、そこに知識を注入するという教育 観は様々な議論を招きました。例えば、福沢諭吉

はその著『文明教育論』の中で「学校は人に物を 教へる所にあらず、唯其の天資の発達を妨げずし て能く之を発育する為の具なり、教育の文字甚だ 穏当ならず、宜しくこれを発育と称すべきなり」

と記し、いわゆる知識伝達型教育を否定しました。

また、石川啄木もその書簡集『林中書』において、

日本の教育者は「貨幣鋳造者である。何故となれ ば、彼らは、人はその顔の違ふが如く心も同じで ない事を忘れている」と同様の批判をしています。

 とは云え、「ゼロからはゼロしか生まれない」

ということも一方で世の中の純然たる事実です。

何をどのように経験するのか、そしてそれをどの ように形作っていくのかということが重要になり ます。その為に第二の「行為の中の省察(reflection  in  action)」という振り返りによる省察が必要 になります。Reflectionとは反射という意味で すが、メジロー(Mezirow)で云うところの「Self- Reflected  Learning」のように、行為の中で新 たに経験したことを自分自身へと反映していくこ と、換言すると、経験した未知の事柄を既知の事 柄と統合し新たな「知」を再構築することです。

こういった一連のプロセスは人間の内側で起こる 自己変革であり、外側にある「知」を系統化した カリキュラムやマニュアルでは導くことのできな い内的成長です。

 そして第三の「状況との対話(conversation  with  situation」ですが、上記のような自己変 革の「状況」を自身の問題として受け止めること により生成する当事者意識が非常に重要になります。

 ここで、視座を図書館へと移したいのですが、今 までみてきたように知識伝達型教育の場としてだ けではない図書館(特にレファレンス・サービス)

の活動は、正に自己変革の場であり、その為の学習 支援の場であるということがきます。皆さんたち が普段、何気に受けている図書館のサービスは、実 はこのような複雑な理念を背景として、利用者の 皆さん個々の学習の「行為」や「状況」を把握し、

そこに参画することで内的な「知」の醸成を支援 するサービスだということの一端を紹介しました。

えだもと ますひろ(講師・図書館学・教育学)

図書館運営委員からの寄稿

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参照

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