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図書館活用での「対話」を通した学習支援

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Academic year: 2021

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図書館の徹底活用術⑩

図書館活用での「対話」を通した学習支援

−Brunerの『可能世界の心理』に寄せて−

図書館活用での「対話」を通した学習支援

−Brunerの『可能世界の心理』に寄せて−

図書館活用での「対話」を通した学習支援

−Brunerの『可能世界の心理』に寄せて−

枝元 益祐

 皆さんの学習支援の為の図書館の有用な活用 方策についての周辺を毎回紹介をしています。

皆さんの学習活動を拡張する拠点である図書館 を有効に活用する為の窓口に於けるレファレン スサービスでの「対話」という実践活動や経験 を通した学びに焦点を当て前回は、Hallの「キャ リア」にその焦点を当てつつ、『学びの共同体』

として図書館員と利用者とが共に学び成長する ことへの眼差しの一端を示しました。

 そこでは、人間的な内面の在り方がその能力 形成に影響するということであり、学習支援者 である図書館員もまた学習する主体であるとい うことの重要性に言及しました。だからこそ、

利用者と共に学び成長する共同体の一員として 学習支援が成立するという認識に立脚して図書 館でのサービスや「対話」を、利用者と共に学 び成長しようとする実践活動の経験の一部とし て意識することの必要性にまで言及しました。

 このことを受けて今回は、この「対話」へ視 座を移したいと思います。そもそも「対話」と は大辞林などの辞書によると共通して「向かい 合って話すこと」などと定義されていますが、

これでは、 向かい合って「会話」 することと 大きな差はない状況です。

 教育学の世界では、この「会話」と「対話」

は明確に区別されています。ここには、「聞く」

と「聴く」のように意識的に相手の発するメッ セージやそのプロットを読み解こうとする主体 があるかどうかで大きく区別する場合が多いです。

詳細は、前回までの「対話」に関する説明を振 り返って見てください。この振り返りそのもの が省察を導く「対話」の真髄でもあります。

 この構造は、「対話」という経験を通して「暗 黙知」が生成することに着眼した  Polanyiにも 共通しています。そして今回みなさんに紹介し たいのは、ブルーナー(Bruner,J.S)の『可能 世界の心理』(田中一彦訳、みすず書房、1998)

です。ここでは、人間が相手に対して発話する 際の認知作用に着眼し2つのモードで説明して います。1つ目は、「論理・実証モード」です。

これは、科学的に合理的な性質があり、「ある 出来事についての陳述が、真か偽か?」という 問いが立てられ、そこから、真か偽かを明らか にする条件設定を経て実証によってどちらかの 解答が導かれます。2つ目は、「物語モード」で、

これは、「2つ以上の出来事が、どのように関 係づけられて陳述されるか?」に対して問いが 立てられ、それぞれの出来事がどのような意味 連関で結びつけられるかにその焦点が当てられ ます。どれが正しいかを決定することが問題で はないので、複数の解答(意味付け)が存在し 得ます。

 これらの認知作用に基づく2つの思考様式は、

相反し、どちらか一方を排他するオルタナティ ブのような関係ではありません。寧ろ、両者は 経験を秩序だて、現実を構築する異なるアプロ ーチであり、お互いに相補的であるデュアルな 関係であるということができます。

 この「物語モード」こそが「対話」の1つの 現れであるということができます。そこでは「対 話」を成立させる発話主体とそれを「聴く」主 体とが内面的に相手を受け入れようとする姿勢 が不可欠です。科学的且つ合理的な「論理・実 証モード」は所謂ディベートや討論のように自 己の主張を相手に誤解無く伝達する際に有効です。

ところが、図書館でのサービスやその利用とい う側面に鑑みると、相互の「対話」が重要であ ることは幾度も繰り返してきたことです。そこ で次回は、この「対話」をもう少し掘り下げて 説明することで、学習主体である皆さんたちの「対 話」を促したいと思います。

えだもと ますひろ(准教授・図書館学・教育学)

図書館運営委員からの寄稿

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