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論文 硬化コンクリート中の全塩化物イオン濃度迅速測定法の開発

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(1)コンクリート工学年次論文集,Vol.32,No.1,2010. 論文 硬化コンクリート中の全塩化物イオン濃度迅速測定法の開発 後藤 年芳*1・近藤 英彦*2・野島 昭二*3 要. 旨:コンクリート構造物の維持管理計画策定のための調査や補修工事を行う際に,コンクリート中の塩. 化物イオン濃度を把握する必要性が増している。現場でも実施可能な方法としてドリル粉を用い可溶性塩化 物イオン濃度を測定し,全塩化物イオン濃度を推定する方法を提案してきたが,精度を高くするためには全 塩化物イオン濃度との関係を事前に得ておく必要があることや中性化の影響を受けた部位での全塩化物イオ ン濃度の推定誤差が出るなどの課題があった。本報告では,ドリル粉に炭酸塩を添加して溶出させることに より全塩化物イオン濃度と同等の分析値が得られる方法を開発し,実現場に適用した結果を示す。 キーワード:塩化物イオン濃度,ドリル粉,可溶性塩分,全塩分,炭酸塩,現場測定,電量滴定式塩分計 析方法を提案した 1)。しかしながら,塩素イオンの拡散. 1. はじめに 日本におけるコンクリート構造物は,塩害環境下に置. 予測で活用するためには,可溶性塩化物イオン濃度を全. かれる場合が多い。海岸付近に設置された構造物は,飛. 塩化物イオン濃度に換算する必要があり,各構造物でそ. 来塩分の影響を受け,除塩が不足した海砂を使用した構. の相関関係を確認する必要があった。また、中性化した. 造物では,内在する塩分が問題となる。近年では,冬季. 部位から採取した試料では,可溶性塩化物イオン濃度と. の交通確保を目的として散布する凍結防止剤(主に塩化. 全塩化物イオン濃度にほとんど差がない場合もあり推定. ナトリウム)が劣化外力となり塩害が発生している事例. 誤差が生じることがあった。. が多い。. そこで,迅速な可溶性塩化物イオン濃度の分析方法に. 塩害の劣化診断を適切に実施し,効果的な対策を提案 するためには,対象となったコンクリート構造物中の塩. おける塩素イオンの溶出方法に改良を加え,全塩化物イ オン濃度を直接分析する方法を開発した。. 化物イオンの浸入状態(面的,深さ的な範囲や濃度など) を把握することが重要である。. 本報告では,図-1に示すこれまでに検討してきたド リル粉,加熱蒸留水およびポータブル型の電量滴定式塩. また,最近の塩害対策では,補修工事にあわせて塩化. 分計を使用して可溶性塩化物イオン濃度を測定する方法. 物イオン濃度の調査を実施することも多く,この場合,. 1),2)3). 塩化物イオン濃度調査の時間を短縮することは,工事工. 全塩化物イオン濃度相当の分析値を得る方法を検討した. 程を短縮する上でも重要である。. 結果を示す。また,検討した方法を用い現場で測定した. 筆者らは,従前の塩分調査で課題であった分析時間の 短縮を目的として,可溶性塩化物イオン濃度の迅速な分. (以下,可溶性塩分迅速測定法と称す)を改良し,. 結果とコアやドリル粉を JIS 法で分析した結果と比較し, 実用性を確認した結果を示す。. 95℃ 保温. 可溶性塩化物イオン濃度(C)算定. C= ドリル粉採取. 100mlPP 広 口 ビ ン に 10g 計量し、計量値を記録する. 80℃以上の蒸留水を約(50g) 加え計量値を記録する. WW × S × 2,300 WS × 100. ここに,WW:加えた加熱蒸留水(g) WS:試料計り取り量(g) S :上澄み液の塩素イオン濃度(%) (コンクリートの単位体積質量:2,300kg/m3). 〔可溶性~全塩化物イオン含有量の関係〕 蓋をして1分ごとに振りな がら10分 分間溶出させる. 静置し50℃程度 以下を確認. 上澄液を塩分計で測定する. 全塩化物イオン濃度. 図-1 可溶性塩化物イオン含有量の迅速測定法の概要 *1(株)中研コンサルタント 関東支店 工博 (正会員) *2(株)中研コンサルタント 関東支店 技術部 課長代理 *3(株)高速道路総合技術研究所 道路研究部 橋梁研究室 主任研究員 (正会員). -785-.

(2) 2.3 炭酸塩を用いた基礎実験. 2. 塩化物イオン含有量の迅速測定方法の改良. 炭酸塩を用いた試料の炭酸化による固定塩素イオン. 2.1 可溶性塩分迅速測定法の特徴と課題 可溶性塩分迅速測定法は,図-1に示した手順で可溶 性の塩化物イオン濃度を測定する方法で特徴は以下のと. の可溶化の可能性および炭酸塩の添加量の把握を目的に, 手持ちのコアの粉砕粉末を用いて実験した。. おりである。 使用材料. 1). ドリル粉のままで測定する. 2). 80℃以上の加熱蒸留水で溶出させる. 3). 短時間で繰り返し測定可能な「電量滴定式塩分. をコンクリートの単位体積質量が 2300kg/m3 とした場合. 計」を用いる. の計算値を表-1に示す。. 1). 使用したコンクリート粉末試料の塩化物イオン濃度. 4). 溶出時間は 10 分である. 5). 測定値は JIS A 1154 の可溶性塩化物イオン濃度. 6) 7). 表-1 使用した試料の塩化物イオン濃度. (50℃溶出)よりも高い値となる. 試料. 塩化物イオン濃度(kg/m3). 測定値は JIS A 1154 の全塩化物イオン濃度と高い. No.1. 12.96. 相関を有する. No.2. 6.74. 中性化している部位の試料の分析結果は JIS A. No.3. 12.58. 1154 による全塩化物濃度と等しい. No.4. 9.97. No.5. 7.08. また,課題は次のとおりである。 1). 得られるのは可溶性塩化物イオン濃度であり,発 錆限界の判定などに用いる全塩化物イオン濃度 を知るには両者の関係を事前に求める必要があ. 2). 使用した炭酸塩粉末は次の 2 種類でいずれも特級試薬 である。. る. 炭酸水素ナトリウム(以下,炭酸塩 A と称する). 中性化している部分の塩化物イオン濃度は,可溶. 炭酸ナトリウム(以下,炭酸塩 B と称する). 性と全塩化物イオン濃度が等しく,非中性化部の 関係式を用いると推定値に誤差が出る. 2). 実験方法. 以上のような課題を解決するには,JIS A 1154 などの. 炭酸塩の添加の効果を確認するために,4つの実験を. 酸で溶解した場合に得られる全塩化物イオン濃度に相当. 実施した。可溶性塩分迅速測定法(図-1手順)および. する測定値が直接得られる方法を開発する必要がある。. 加熱蒸留水を添加する前に炭酸塩粉末を所定量計り取り ポリプロピレン広口ビンに加えた後加熱蒸留水を加えて. 2.2 可溶性塩分迅速測定法の改良方針. 溶出させる方法で塩化物イオン濃度を測定し,結果を比. コンクリート中の塩素イオンは,主にフリーデル氏塩. 較する方法を基本とした。. により固定されるとされている。このフリーデル氏塩は. 実験Ⅰ:試料 No.1および炭酸塩 A を用い,炭酸塩の. 中性化により分解され塩素イオンは可溶性となるとされ. 添加量を 0.5,1.0,1.5,2.0g として加熱蒸留水添加後 10. ている。この反応は式(1)で表される。. 分で上澄み水の塩素イオン濃度を測定する。 実験Ⅱ:試料 No.2,No.3 および炭酸塩 A,炭酸塩 B. 3CaO・Al2O3・CaCl2・10H2O+3CO2. を 1.0g 用い,加熱蒸留水添加後 5,10,15,20,30,60. → 3CaCO3+2Al(OH)3+CaCl2+7H2O (1). 分後に上澄み水の塩素イオン濃度を測定する。 実験Ⅲ:試料 No.4 および炭酸塩 A を用い添加する蒸. 中性化による可溶化の影響は,前項の可溶性塩分迅速. 留水の温度を 20℃および 50℃の場合について上澄み水. 測定法の特徴で示したように筆者らの測定でも確認され. の塩素イオン濃度を測定する。蒸留水添加後の測定時間. ている 1)。. を 5 分,10 分および 20 分とする。. 分析の過程でこのような反応を起こさせる方法とし. 実験Ⅳ:試料 No.5 および炭酸塩 A を用い,添加する. ては,炭酸ガスを吹き込む方法 4)が示されているが反応. 蒸留水の温度を 20℃として蒸留水添加後 10 分で上澄み. に時間を要する点や炭酸ガスボンベを運ぶ必要があるな. 水の塩素イオン濃度を測定した後,ポリプロピレン容器. ど迅速法としては採り入れ難い。このほか,無水酸を用. を沸騰水中に漬けて加熱した後に静置し,上澄み水を採. いる方法,炭酸塩粉末を用いる方法が考えられる。検討. 取して塩素イオン濃度を測定する。加熱時間は 1 分およ. 例が見当たらず,取り扱いが容易である炭酸塩を用いる. び 3 分とする。. 方法を検討することとした。. -786-.

(3) 3). 実験結果. 14 3. 塩化物イオン濃度(kg/m ). 実験Ⅰの結果を図-2に示す。 本試料では炭酸塩を添加しない場合は全塩化物イオ ン濃度よりも低い測定値であるが炭酸塩を 0.5g添加すれ ば全塩化物イオン濃度の測定値をやや上回る測定値が得 られた。また,炭酸塩添加量が増加しても測定値は変化 せずほぼ一定である。. 12 10. 全塩化物イオン濃度:12.96kg/m 3 試料. 8 6 4 2. 実験Ⅱの結果を図-3に示す。. 0. 試料 No.2 および No.3 ともに炭酸塩の添加により測定. 0. 0.5. 1 1.5 炭酸塩A添加量(g). 値は全塩化物イオン濃度に近付く結果が得られた。また, 加熱蒸留水添加後の経過時間が 10 分を標準としている. 2. 2.5. 図-2 炭酸塩添加量の測定値への影響. が 60 分までの測定値はばらつきもあるが変化は小さい. 14. とみなせ標準時間の測定でよいと考えられた。炭酸塩の. No.3全塩分 3. 塩化物イオン濃度(kg/m ). 12. 種類の差は小さいが A のほうがより全塩化物イオン濃度 に近い傾向が認められた。 実験Ⅲの結果を図-4に示す。 炭酸塩を添加して 80℃以上の蒸留水を添加した場合 には全塩化物イオン濃度相当の測定値が得られるが,蒸 留水温度が低いほど測定値は小さくなった。この結果か. 10 8. No.2 全塩分. 6 4. ら炭酸塩を添加する効果は添加する蒸留水温度が 80℃. 2. 以上で得られるのが確認できた。また,加熱蒸留水添加. 0. No.2炭酸塩なし No.2炭酸塩B1g No.3炭酸塩A1g. 0. 後 5 分でも効果は確認できた。 実験Ⅳの結果を図-5に示す。. 10. 20. No.2炭酸塩A1g No.3炭酸塩なし No.3炭酸塩B1g. 30 40 時間(分). 50. 60. 70. 図-3 炭酸塩添加時の測定値の経時変化. 炭酸塩を添加して室温(約 20℃)の蒸留水を加えても 全塩化物イオン濃度に比較して低い値しか得られないこ ごと加熱することによっても全塩化物イオン濃度に近い 測定値が得られる可能性が伺えた。 以上の実験の結果得られた主要な結果は以下のとお りである。 1). 炭酸塩粉末を試料 10g に対して 0.5~2g 添加する. 12 全塩分:9.97kg/m3. 塩化物イオン濃度(kg/m3). とは実験Ⅲと同様に確認できた。本実験ではその後容器. 10. 5分後 8. 10分後 6. 20分後 4 2 0. ことにより全塩化物イオン濃度に近い測定値が. 1.0g-20℃. 得られる。 2). 蒸留水添加後の測定時間は 10 分以降の変化は小. 1.0g-50℃ 1.0g->80℃ 測定条件. 0g-80℃. 図-4 蒸留水温度の測定値への影響. さい。 炭酸塩を添加しても蒸留水温度が 50℃では測定. 8. 値が全塩化物イオン濃度に比較して小さい値が. 7. がある。 4). 蒸留水温度が低い場合には容器ごと加熱するこ とにより炭酸塩添加の効果が得られる。 以上の結果,これまで検討してきた可溶性塩分迅速. 測定法の手順で,測定用試料計量後に炭酸塩を所定量. 3. 得られ,同等の値を得るには 80℃以上にする必要. 全塩化物イオン濃度:7.08 塩化物イオン濃度(kg/m ). 3). 6 5 4 3 2 1 0 室温混合直後. 加熱1分. 添加するだけで全塩化物イオン濃度相当の測定値が 図-5 溶出時加熱の影響. 得られると考えられた。. -787-. 加熱3分.

(4) 3. 現場適用による検証. 測定結果を図-8に,ドリル粉を用い現場で実施した炭. 3.1 試料採取および塩化物イオン濃度測定方法. 酸塩を添加する迅速法による各測点の深度方向の塩化物. 現場での適用性を確認するために,海岸に近接して建. イオン濃度を図-9に示す。表面の塩化物イオン濃度が. 設された道路橋の橋脚のから図-6に示すように鉄筋を. 中性化のために内部よりも低い部位が多く見られる。. 避けてコア(φ75×100mm)を採取し周辺の 4 箇所でド. P106 は表面付近の濃度の割には深部の濃度が高く他の. リル粉(φ20mm)を採取した。ドリル粉は深さ 2cm ご. 地点と異なる傾向を示した。近傍のひび割れの影響があ. とに採取し,4 箇所の試料を集めて 1 試料とした。試料. る可能性も考えられる。. の 0.15mm 通過百分率は. %であった。. ドリル粉はビニール袋内で混合し,分取した試料を用. 表-2 試料採取位置の概要と中性化深さ. い現地の車両中で炭酸塩 A を 2g 用いる迅速測定法に. 試料採取位置. より塩化物イオン濃度を測定した。コアは持ち帰り 2cm. 中性化深さ (mm). 概 要. ごとにスライスし,JIS A 1154 に従って全塩化物イオン. P105 山側海面. 浮き大,表面良. 25. 濃度を測定した。残ったドリル粉は室内に持ち帰り,JIS. P105 海側山面. 浮き,表面やや粗. 0. A 1154 従った全塩化物イオン濃度測定および可溶性塩. P105 海側西面. 浮き,表面良,上にひび割れ. 7. 化物イオン迅速測定を実施した。. P106 海側西面. 浮き,表面やや粗,ひび割れ. 5. 車両中の測定機器の配置を,写真-1 に示す。. P108 山側海面. 浮き,表面良. 6. 試料採取は 2 名が 2 日間で実施した。2 日目に車両中. P108 海側東面. 浮き,表面良. 1. で塩化物イオン濃度測定を 2 名で実施し,すべての試料. P110 山側海面. 浮き,表面良. 5. の測定を完了することができた。. P110 中央海面. 浮き,表面やや粗. 10. 3.2 測定結果. P110 海側海面. 浮き,表面粗. 3. P111 海側山面. 浮き,表面良. 10. コアおよびドリル粉の採取位置の状況とコアを用い て測定した中性化深さを表-2に示す。採取位置は,浮 きが発生している部分で近傍にひび割れが存在する場合. 12. もあり,中性化深さは最大 25mm であった。 コアを用いた JIS A 1154 による全塩化物イオン濃度 (コンクリートの単位体積質量:2300kg/m とした)の. ドリル. 10. 全塩化物イオン濃度(kg/m3). 3. コア. P-105山側海面 P-105海側山面 P-105海側西面 P-106海側西面 P-108山側海面 P-108海側東面 P-110山側海面 P-110中央海面 P-110海側海面 P-111海側山面. 11. 9 8 7 6 5 4 3 2 1. コアJIS法. 0. 0-20. 鉄筋. 20-40. 40-60 深さ(mm). 60-80. 80-100. 図-8 JIS 法によるコアの塩化物イオン濃度分布. 図-6 試料採取方法 12. P-105山側海面 P-105海側山面 P-105海側西面 P-106海側西面 P-108山側海面 P-108海側東面 P-110山側海面 P-110中央海面 P-110海側海面 P-111海側山面. 11. 塩分計 電気ポット. 電子天秤. パソコン. 塩化物イオン濃度(kg/m3 ). 10 9 8 7 6 5 4 3 2. pp ビン. 1. ドリル粉迅速法. 0 0-20. 20-40. 40-60. 60-80. 80-100. 深さ(mm). 写真-1 車両中の測定機器の状況. 図-9 迅速法によるドリル粉の塩化物イオン濃度分布. -788-.

(5) コアによる全塩化物イオン濃度の最大値は 11.11kg/m3 14. 図-8と図-9を比較すると傾向はほぼ同様である が最大値には差があるため,ドリル粉を微粉砕して JIS A 1154 により測定した。コアとドリル粉の測定値の関係を 図-10に示す。両者の関係は全体としては1:1の関 係に近いが,ばらつきが大きい結果となった。これは, 骨材の割合など試料の差によるものと考えられる。 図-11は,ドリル粉を用いた JIS 法と迅速法の関係 である。図中の可溶性迅速法は,従来の加熱水のみを用 いた可溶性塩分迅速測定法で,迅速法は炭酸塩を用いた 迅速測定法である。いずれも相関性は良く,炭酸塩を添. ドリル粉JIS法塩化物イオン濃度(kg/m3). であり,80~100mm の深さでも 0.5~2.0kg/m3 であった。. 12 10 8 6 y = 0.91x + 0.72 R2 = 0.81. 4 2 0. 加して測定することによりほぼ全塩化物イオン濃度に相. 0. 2 4 6 8 10 12 コアJIS法塩化物イオン濃度(kg/m3). 当する測定値が得られることが確認された。 迅速法と JIS 法の関係から迅速法の測定値(x)を得. 図-10 コアとドリル粉の全塩化物イオン含有量. て全塩化物イオン濃度(y)を推定する式を求める式(2). 14. (2). 図-12にコアを粉砕した試料の JIS 法と迅速法の測 定結果の関係を示す。迅速法による測定結果は,JIS 法 と等しいとみなせる程良く一致している。これは微粉砕 された試料では試料のばらつきが小さくなることと,炭 酸塩と粉末との反応が確実に進むことによると考えられ る。. 迅速法塩化物イオン濃度(kg/m3 ). のとおりとなる。 y=1.05 x -0.08. 迅速法 可溶性迅速法. 12 10. y = 0.95x + 0.08 R2 = 0.97. 8 6. y = 0.92x - 0.21 R2 = 0.98. 4 2 試料:ドリル粉. この場合の迅速法と JIS 法の関係から迅速法の測定値 0. (x)を得て全塩化物イオン濃度(y)を推定する式を. 0. 求める式(3)のとおりとなる。 y=1.02 x -0.03. 14. 2 4 6 8 10 12 JIS法全塩化物イオン濃度(kg/m3 ). 14. 図-11 JIS 法と迅速法によるドリル粉の. (3). 塩化物イオン濃度測定結果の関係 以上のように,ドリル粉に加熱蒸留水を加えて塩素イ. 14. オンを溶出させ電量滴定式塩分計で塩素イオン濃度を測 塩を添加して溶出させる迅速測定法によれば,JIS 法に よる全塩化物イオン濃度に相当する分析値が得られるこ とが確認できた。 可溶性迅速測定法の場合,全塩化物イオン濃度を推定 する際に中性化の有無を確認する必要があったが,本方 法によれば中性化の有無の判断をする必要がなく測定値 を全塩化物イオン濃度に準じて使用することができる。 本方法の手順を図-13に示す。炭酸塩を添加する工 程が加わるものの測定時間の増加はわずかであり,迅速. 試料:コアの粉砕粉 迅速法 塩化物イオン濃度(kg/m3 ). 定する可溶性塩分迅速測定法を改良し,ドリル粉に炭酸. 12 10 8 6 y = 0.98x + 0.03 R2 = 0.99. 4 2 0 0. に結果を得ることが可能である。 補修工事等で塩化物イオン濃度の測定値が短時間で 得られる必要のある場合には非常に有効であると考えら れる。. 2. 4. 6. 8. 10. 12. JIS法塩化物イオン濃度(kg/m3 ). 図-12 JIS 法と迅速法によるコア粉砕粉の 塩化物イオン濃度測定結果の関係. -789-. 14.

(6) 炭酸塩 2g. 95 ℃ 保温. 塩化物イオン濃度(C)算定. C= ドリル粉採取. 80℃以上の蒸留水を約(50g) 加え計量値を記録する. 100mlPP 広 口 ビ ン に 10g 計量し、計量値を記録する. WW × S × 2,300 WS × 100. ここに,WW:加えた加熱蒸留水(g) WS:試料計り取り量(g) S :上澄み液の塩素イオン濃度(%) (コンクリートの単位体積質量:2,300kg/m3). C ≒ 全塩化物イオン濃度 蓋をして 1 分ごとに振りな がら10分 間溶出させる. 静置し 50 ℃程度 以下を確認. 上澄液を塩分計で測定する. 図-13 塩化物イオン濃度迅速測定法の測定手順 関係式 : y = 1.02 x − 0.03. 4. まとめ 硬化コンクリート中の塩化物イオン濃度を迅速に測. 相関係数: 0.99. 定する方法として,ドリル粉を用い加熱蒸留水で塩素イ. このように迅速法の測定結果は全塩化物イオン濃度に. オンを溶出させ,ポータブル型の電量滴定式塩分計. ほぼ一致することが確認できた。. (SALMATE)で測定する迅速法において,炭酸塩を添. 6)全塩化物イオン濃度にほぼ一致する塩化物イオン濃. 加してフリーデル氏塩を分解し,全塩化物イオン濃度に. 度の迅速測定法は,結果が早期に得られることが求めら. より近い測定値を得るとの観点で基礎実験を実施した。. れる補修工事で非常に有効な方法となると考えられる。. その結果,期待した結果が得られることが確認できたた. 今後は,セメントペーストを用いた基礎的な検討も実. めに,現場で採取したドリル粉を用いて測定を実施した. 施し,本手法の有効性を確認するとともに,データの収. 結果,以下の知見が得られた。. 集・整理を実施していく予定である。. 1)炭酸塩の添加によるフリーデル氏塩の分解には,炭 酸塩をドリル粉 10g に対し 0.5~2.0g 添加し,80℃以上の. 謝 辞. 加熱蒸留水を添加して 1 分ごと手で振る方法で 5 分以上. 現場での試料採取ならびに迅速法による測定に際し,. 混合する必要がある。. 中日本高速道路(株)東京支社小田原保全・サービスセン. 2)海岸線に建設された道路橋橋脚から採取したドリル. ターならびに鹿島建設(株)の関係各位に協力をいただき. 粉 50 試料(10 箇所×5 深度)の炭酸塩を添加した迅速法. ました。ここに,感謝の意を表します。. による測定を現場の車両中で 1 日の間に実施することが 可能であった。. 参考文献. 3)コアとその周辺で採取したドリル粉の全塩化物イオ. 1). 後藤年芳・五寶光基・野島昭二:硬化コンクリート. ン濃度の測定値は全体としては対応したがばらつきがあ. 中の塩化物含有量の現場迅速測定法の検討,日本コ. り,相関係数は 0.81 であった。. ンクリート工学協会,コンクリート工学年次論文. 4)ドリル粉を用いた JIS 法による全塩化物イオン濃度 と炭酸塩を使用する迅速法による測定結果は相関が高く,. 集,pp.2095-2100,2009.7 2). 後藤年芳・松村也寸志・五寳光基:硬化コンクリート. 迅速法による塩化物イオン濃度(x)と全塩化物イオン濃. の塩化物イオン含有量の簡易測定法の検討,土木学. 度(y)の関係式および相関係数は以下のようであった。. 会第 63 回年次学術講演会,pp.431-432,2008.9. 関係式 : y = 1.05 x − 0.08. 3). 相関係数: 0.97. 五寳光基・村上裕信:硬化コンクリートの塩化物イ オン含有量の簡易測定法の適用,土木学会第 63 回. 迅速法による塩化物イオン濃度の測定結果が 3kg/m3 3. までであれば全塩化物イオン濃度との差は 0.1kg/m 以. 年次学術講演会,pp.433-434,2008.9 4). 内である。. 清水建設株式会社:硬化コンクリート中の塩分量簡 易測定法,特開2004-219150,2004.8. 5)コアを粉砕した試料の迅速法による測定結果と全 塩化物イオン濃度の関係はさらに相関が良く,両者の関 係式および相関係数は以下のようであった。. -790-.

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