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コンクリートの水セメント比が塩化物イオンの浸透に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(1)

Influence of Water and Cement Ratio on Salt Permeability of Concrete Hidenori TAKAHASHI, Noboru YUASA and Isamu MATSUI

コンクリートの水セメント比が塩化物イオンの浸透に及ぼす影響

日大生産工(院) ○高橋英孝 日大生産工 湯浅 昇 日大生産工 松井 勇

1.はじめに

日本の建築界は、高度成長期、バブル経済 およびその破綻を経験し、安定経済成長ある いは低経済成長下にも強い産業構造への移 行、地球環境問題への対応、高度技術者減少 への対応を主眼に大きな変化の中にある。

スクラップ&ビルトからの脱却をベース に、既存構造物の維持保全、スケルトン(構 造体)の高耐久化、建設に供する資源の抑制 及び資源循環システムの構築が要である。

本研究は、このような視点から、鉄筋コク リート構造物の塩害に対する抵抗性を確保 し、スケルトンの高耐久化

を図ることを目的に、高水 セメント比から超水セメン ト比のコンクリートを製造 し、促進塩分浸透試験

1)

に より水セメント比が塩化物 イオンの浸透に及ぼす影響 を評価するものである。

なお、今回は促進塩分浸透試験結果のみで評 価しているが、同時に作製した試験体は、沖 縄・辺野喜海岸、北海道・泊海岸に暴露して いる。

2. 実験概要 2.1 試験体作製

表-1に示す材料を用いて、表-2に示す調合 で、水セメント比の異なるコンクリートを恒 温室(20℃)にて、100㎜×100㎜×200㎜の 鋼製型枠に打ち込み、図-1に示すように暴露 面(100㎜×100mm 2面)以外をウレタン樹

(%) (kg/m3) (kg/m3) (kg/m3) (kg/m3) (kg/m3) (kg/m3) (kg/m3) (kg/m3) (kg/m3) (cm) (cm×cm) (%) (℃) (N/㎜2) 細骨材

W/C

普通 20 しなの シリカフューム

プレミックスセメント シリカフューム プレミックスセメント 30 大井川 シリカフューム

プレミックスセメント

106.4 775 685 837

110.8

20 飯淵 155

775 685 837 155

43.4

567 572 1025 69.6

463

61.2×60.0 0.750

0.567 4.700

18.6 33.3 19.5

19.5 19.5

19.5 836 939

60 大井川 普通

ポルトラントセメント 185

170

671 976

大井川 普通

ポルトラントセメント 185 308

圧縮強度

(材齢28日)

AE 減水剤

高性能 AE減水剤P

高性能 AE減水剤T 空気量

調整剤 空気 消泡剤

スラ

ンプ 練り温

骨材

種類 セメント 水 セメント 粗骨材

化学混和剤

スランプ

フロー 空気量

7.6 9.9 18.0

4.4 4.5 3.2 6.7

20.5 21.7 22.3 20.8 976

1.850

― 0.578 0.771 865

231

40 大井川 普通

ポルトラントセメント 185 80

9.494 2.713 10.255

8.750 ―

― ―

― 0.769

― 1.156 1.041

61.4×59.4 77.2×74.4

材料 種類・品質

M社製普通ポルトラントセメント(3.16g/cm

3

) M社製シリカフュームセメント(2.20g/cm

3

大井川産(川砂)   表乾密度 2.63g/cm3 吸水率 1.45%

飯淵産(硬質砂岩)  表乾密度 2.62g/cm3 吸水率 1.46%

しなの産(硬質砂岩)  表乾密度 2.63g/cm3 吸水率 2.06%

大井川産(川砂)   表乾密度 2.64g/cm3 吸水率 0.95%

飯淵産(硬質砂岩)   表乾密度 2.65g/cm3 吸水率 0.55%

しなの産(硬質砂岩)  表乾密度 2.71g/cm3 吸水率 0.72%

粗骨材 細骨材 結合材

表-2 コンクリートの調合及び性状 表-1 使用材料

※100倍希釈溶液

(2)

脂で被覆し、暴露面は、恒温恒湿室(20℃

R.H60%)にて材齢3日から材齢28日まで開放 した。

2.2 促進塩分浸透試験(写真-1)

文献2)の大城・山田らの方法を参考に、試 験条件を表-3の通りとした。表-4は、促進試 験装置の仕様である。

2.3 塩化物イオン量の測定 暴露面から1cm間隔で切断し、

クラッシャー及び遊星ボールミ ルで150μm以下に微粉砕をして、

JIS A 1154に規定される電位差 滴定法により、全塩化物イオン量

(以下、全塩分量)を測定した。

更に、式(1)に示すフィックの第 2法則に基づいた拡散方程式によ り表面塩化物イオン量および見 掛けの拡散係数を求めた。

100mm 100mm

200mm

ウレタン樹脂 暴露面

100mm 100mm

200mm

ウレタン樹脂 暴露面

100 ㎜

100㎜

試験機外観 試験槽内部

試験機外観 試験槽内部

本体外寸:2615W×1420D×1645H㎜ 試験槽有効内寸:1500W×800D×600H㎜ 水槽内寸:1890W×1300D×480H㎜ 外装:SUS304

内装:SUS316L

塩水浸漬温度:+5℃~+60℃

乾燥温度:+5℃~+60℃

塩分濃度 MAX:4%NaCl

塩水浸漬時:循環ポンプ作動

制御情報記録:試験槽内温度、塩化物イオン濃度 操作切替情報サイ  クル情報

操作切替:コントロールパネルにより最小10分刻みで自動切換え可能 乾燥時:ファン作動(排気ダンパー有)

形状 材質 温度

その他の 仕様

 

 

 

 

 

 

=

a t D erf x C s

C i t x C

. 2 0 1

) ,

( (1)

こ こ に 、

X

: 表 面 か ら の 距 離

( c m ) t

: コ ア 採 取 ま で の

サ イ ク ル

( cycl e )

C ( x , t )

: 距 離

x

、 時 間

t

に お け る 塩 化 物 イ オ ン 量

( k g/ m

3

) C

0 s : 表 面 の 塩 化 物 イ オ ン 量

( k g / m

3

)

C

i : 初 期 ( 内 在 ) 塩 化 物 イ オ ン 量

( kg/ m

3

) D

a : 見 掛 け の 拡 散 係 数

( cm

2

/ c ycl e ) E rf

: 誤 差 関 数

平成19年8月24日より暴露

北海道岩内郡共和町字梨野舞納の海岸線から約40mの位置

(緯度43度1分,経度140度36分)

平成19年8月23日より暴露

沖縄県国頭郡国村字辺野喜の海岸線から約40mの位置

(緯度26度47分,経度128度15分)

促進試験

1サイクルの条件

Ⅰ.塩水浸漬過程3日(72時間)

  NaCl 3% 50℃(攪拌機能有)

Ⅱ.乾燥過程4日(96時間)

 50℃(熱風、脱気機能有)

北 海 道 沖 縄 自然環境暴露

写真-1 塩水乾燥浸漬試験機 表-3 実験概要

表-4 塩水浸漬乾燥試験機仕様

図-1 試験体寸法

(3)

2.4 暴露試験

日本における塩害環境として 比較的厳しい沖縄・辺野喜、北海 道・泊の2カ所の海岸(図-2、表-3) に、材齢1ヶ月で暴露した。

3.結果及び考察

図-3は、促進塩分浸透試験10 サイクル(W/C=80%のみ)、20 サイクル、40サイクル終了時に おける塩化物イオン量の分布 を示している。水セメント比が 大きいほど、塩分は中まで浸透 することがわかる。また、図-4 は、促進試験サイク

ルごとに、それぞれ の試験体の単位面積 当たりの塩分浸透総 量を示したものであ る。水セメント比が 大きくなる程、直線 的に浸透量は増大す ること、サイクルの 増加に対して浸透量

は比例的に増えるのではなく、若干増加が鈍 ることがわかる。

表-5は、図-3の結果をもとに算出した見掛 けの拡散係数である。なお、見掛けの拡散係 数は、単位をcm

2

/cycleとしたものと、1サ イクル7日であるので、値が1/7となる単位

をcm

2

/dayとしたものを併記してある。ここ

で、水セメント比を要因とする二元配置の分 散分析を行った結果、見掛けの拡散係数は、

0 2 4 6 8 10 12 14

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

促進10サイクル80%

促進20サイクル80%

60%

30% 40%

飯淵 20%

しなの 20%

a)促進10サイクル、20サイクル

/m3

É

É É Ç

Ç Ç Ç Å

Å Å

Å Å

Å Ü Ü

Ü Ü

Ü

Ü I

I

I I I

I

0 2 4 6 8 10 12 14

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

80%

60%

40%

30%

しなの 20%

飯淵 20%

b)促進40サイクル

/m3

コンクリート表面からの距離(cm) コンクリート表面からの距離(cm)

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

10 20 30 40 50 60 70 80

水セメント比(%)

10サイクル 20サイクル 40サイクル

単位面積当たりの塩分浸透総量

(k g /m

2

)

北海道泊海岸

沖縄県辺野喜海岸

海側 海側

北海道泊海岸

沖縄県辺野喜海岸

海側 海側

泊(北海道)

辺野喜(沖縄) 20km

5km

海 日本海

東シナ海

北海道岩内郡共和町字梨野舞納 緯度

43度1分

経度

140

36

沖縄県国頭郡国頭村字辺野喜 緯度26度47分

経度128度15分

北海道泊海岸

沖縄県辺野喜海岸

海側 海側

北海道泊海岸

沖縄県辺野喜海岸

海側 海側

泊(北海道)

辺野喜(沖縄) 20km

5km

海 日本海

東シナ海

北海道岩内郡共和町字梨野舞納 緯度

43度1分

経度

140

36

沖縄県国頭郡国頭村字辺野喜 緯度26度47分

経度128度15分 泊(北海道)

辺野喜(沖縄) 20km

5km

海 日本海

東シナ海

北海道岩内郡共和町字梨野舞納 緯度

43度1分

経度

140

36

沖縄県国頭郡国頭村字辺野喜 緯度26度47分

経度128度15分

図-3 コンクリートの塩化物イオン分布 図-2 暴露地概要

図-4 水セメント比と単位面積

当たりの塩分浸透総量

(4)

危険率1%で水セメント比による有意差が 認められた。更に、水セメント比と見掛けの 拡散係数の対数の関係(図-5)を見ると、

W/Cが80%のみである促進塩分浸透試験良 好な直線性が認められ、見掛けの拡散係数

D a (cm

2

/ cycle)は、水セメント比W/C(%)

により、式(2)で示される関係にある。相関 係数は、0.991であった。

D a =10

(0.551×W/C3.36)

(2)

今後、促進試験の結果と暴露試験の結果の 対応が図れれば、式(2)により塩害に対する耐 久設計が可能となる。

4.まとめ

鉄筋コンクリート造の塩害抵抗性に関連 して、水セメント比の遮塩性について検討し た結果は以下の通りである。

(1) 水セメント比が大きい程、塩分は中まで浸 透するが、コンクリートに浸透する総量の 増加は、サイクルの増加に対して鈍くなる。

(2)見掛けの拡散係数は、危険率1%で水セメ ント比による有意差が認められた。

(3)水セメント比と見掛けの拡散係数の対数 は、極めて良好な直線性が認められ、今後、

促進試験の結果と暴露試験の結果の対応 が図れれば、塩害に対する耐久設計が可能 となる。

【参考文献】

1)湯浅昇:コンクリートの塩化物イオン促進浸透試 験方法の検討、第6回日本大学大学院生産工学研究 科生命工学・リサーチ・センター研究発表講演会講 演概要、pp.21-24、2008.10

2)ソーンウィーラ、山田義智、杉山隆文、大城武:

フライアッシュを細骨材の一部として代替したコ ンクリートの遮塩性評価、日本建築学会構造系論文 集、No.560、pp. 17-25、2002.10

0.00 0.01 0.10 1.00 10.00 100.00

10 20 30 40 50 60 70 80

水セメント比(%) 10サイクル 20サイクル 40サイクル

cm2/cycle

表-5 コンクリート表面塩化物イオン分布及び見掛けの拡散係数

図-5 水セメント比と見掛けの拡散係数

10サイクル 20サイクル 40サイクル 10サイクル 20サイクル 40サイクル 10サイクル 20サイクル 40サイクル 80% 8.50 8.200 12.9 1.53 11.51 11.51 0.219 1.644 1.644

60% - 10.6 74.3 - 0.477 1.38 - 0.0681 0.197

40% - 14.8 16.6 - 0.0792 0.112 - 0.0113 0.0160

30% - 17.5 20.8 - 0.0188 0.011 - 0.00268 0.00151

しなの20% - 6.85 7.90 - 0.00805 0.00805 - 0.00115 0.00115

飯淵20% - 5.29 9.86 - 0.00479 0.00384 - 0.000685 0.000548 W/C

表面塩化物イオン量 C0s(kg/m3)

見掛けの拡散係数 Da(cm2/cycle)

見掛けの拡散係数 Da(cm2/day)

参照

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