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結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科

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Academic year: 2022

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(1)

骨関節系細胞に発現するγ‑アミノ酪酸シグナリン グ機構解明に関する分子薬理学的研究

著者 藤森 さゆ美

著者別名 Fujimori, Sayumi

雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査

結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科

巻 平成19年3月

ページ 360‑366

発行年 2007‑03‑01

URL http://hdl.handle.net/2297/14639

(2)

ダダ

藤森さゆ美 博士(薬学)

博甲第811号 平成18年3月22日

課程博士(学位規則第4条第1項)

骨関節系細胞に発現するγ-アミノ酪酸シグナリング機構解明に関する分子薬

理学的研究

米田幸雄(自然科学研究科・教授)

宮本謙一(医学部附属病院・教授),山田清文(自然科学研究科・教授),

田熊一敞(自然科学研究科・助教授),

松下良(自然科学研究科・助教授)

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目 論文審査委員(主査)

論文審査委員(副査)

SUMMARY

Intllecentralnervoussystem(CNS),glutamate(Glu)and

Y-aminobutyricacid(GABA)areinajorexcitatoryandinhibitory

neurotransmitters,reSpectivelyPreviousfinClingsthatcentralG1usignaling macllineriesmediateintercenularcommumcationinbone,ledustoexamne thepossibleexpressionofGABAsignalingsysteminbonecells、Inthe presentstudy;wehaveinvestigatedthepossiblefimctionalexpreBsionof GABAreceptorS(GABAR)anClGABAtransporters(GAT)requireClfbr transmissionatcentralGABAergicsj7napsesincultureCIratcalvarial osteoblasts、IWPCRanalysisrevealedconstitutiveexpressionof metabotropicGABABreceptor(GABABR)1sUbumtsinadClitiontothe particularGATsubtypesBGT1,inosteoblastsculturedfbr4to2Sdaysin vitro・TheGABABRagomstbaclofminhibitedthefbrmationofcAMPby fbrskolininamannersensitivetotheantagomst2-hydrocxysaclOfen,While sustainedexposuretobaclofbnfbr3to28DⅣresultedmsignificant reductionoftheactivitiesofalkalinepllosphataseandofCa2+accumulation inadditiontothesuppressionofthemRNAexpressionofbonemarkerssuch asRunx2anClosteopontinmculturedratosteoblasts・Tlleseresultssuggest thatGABAmayplayahithertoumdentifieClrole、mechanismsassociated witllcenularprolifbration,differentiationanCl/ordevelopmenttllrough centralGABAsignalingmacllineriesexpressedinculturedratcalvarial

(3)

骨格系は、軟骨内骨化による骨新生後も、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞に よる骨形成を絶えず繰り返して、再構築(リモデリング)を営むことにより骨 の形態と機能を維持している。骨格系の質と量は、骨吸収と骨形成の間に平衡 関係が保たれることにより維持されるが、これらのバランスが破綻すると、骨 粗議症をはじめとする様々な骨代謝性疾患が発症する。これら骨代謝性疾患に 対する診断および有効な治療法の開発には、骨形成を担う骨芽細胞と骨吸収を 担う破骨細胞の成熟と機能の調節機構、および両者の相互連関に基づくリモデ リング制御機構の解明が必要である。近年、脳内興奮`性伝達物質として働くグ ルタミン酸(G1u)のシグナル伝達機構に関する研究が進み、破骨細胞および骨芽 細胞の両細胞にG1uレセ,プターおよび同トランスポーターの機能的発現が確認 されて、G1uが両細胞の分化・増殖p成熟プロセスにおいて、重要な生理学的 あるいは病態生理学的役割を果たす可能性が示されている。一方、脳内神経細 胞間ネットワークにおける情報シグナリングには、興奮'性のG1uと抑制性のγ‐

アミノ酪酸(GABA)のバランス維持が深く関与するので、骨組織においても G1uシグナル伝達機構と、GABAシグナル伝達機構が随伴して存在する可能`性 が考えられる。したがって、本研究では骨芽細胞における機能的GABAシグナ リング機構発現の可能性探索とともに、軟骨細胞や破骨細胞におけるGABAシ グナリング機構発現の可能`性を追究し、各細胞における同シグナリング機構の 病態生理学的および治療学的意義の解明を目指す先駆的研究に着手することと

した。

我々は以前に、ラット新生仔頭蓋冠由来初代骨芽細胞において、中枢神経系 に存在するGABAシグナル伝達分子の発現解析を行った。その結果、ラット初 代培養骨芽細胞には、GABA入力系のGABA受容体のうち、メタボトロピック 型GABABレセプター(GABABR)を構成する、GABABR1aおよび1bの両サブユ ニット発現が、mRNAおよび蛋白質レベルで確認された。一方で、これまでの ところ、脳内での機能的GABAB受容体の形成には、GABABR1サブユニットと ともにGABABR2サブユニットの発現が不可欠だと考えられているが(Joneset aL,1998;Kaupmanneta1.,1998)、初代培養骨芽細胞にはGABABR2受容体の mRNAの発現は認められなかった。しかしながら、骨芽細胞内のcAMP濃度測 定の結果、GABABRアゴニストである(ID-baclofmは、fbrskolin刺激で誘導さ れる細胞内cAMP生成を有意に抑制し、この抑制効果はアンタゴニストである 2-1]ydroxysaclofenの同時添加により阻害された(FUjimorieta1.,2001)。したが って、骨芽細胞にはGABABR2の発現は認められないものの、cAMP応答性反 応を示す機能的なGABABRが存在する可能性が示唆された。今回は骨芽細胞に 発現するGABABRを介するシグナル伝達機構についてさらに詳細な解析を試み

るとともに、他のGABAシグナル伝達分子についても解析を行った。

(4)

GABABRアゴニスト存在下または非存在下で、3日間から28日間培養した骨 芽細胞について、骨形成マーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)活 性の測定、および骨芽細胞成熟化マーカーとしてCa蓄積量の測定を行い、骨形 成に対するGABABR刺激の効果を検討した。また、骨芽細胞の分化において重 要な役割を果たすことが知られる転写因子Runx2やOsterixおよびATF4、ま た、骨基質であるオステオポンチンやオステオカルシン等の骨形成マーカーに ついても、それぞれのmRNA発現をノーザンブロッテイング法により確認した。

その結果、培養7日から21日目までの骨芽細胞では、骨芽細胞の分化・成熟と ともに増加するALP活性が、baclofmの濃度依存的に著しく抑制された (Fig.1A)。また、同条件下で測定した骨芽細胞について、細胞内のCa蓄積量を 測定したところ、通常は培養14日目以降から28日目にかけて急激に増加する 細胞内Ca蓄積量は、100ILMから1,Mのbaclofm濃度に依存して有意に抑 制された(FiglB)。また、ノーザンブロッティング解析の結果、baclofmの持続 添加により、培養14日目および28日目において骨芽細胞分化に必須の因子と

して知られるRunx2や、骨基蛋白であるosteopontinのmRNA発現の低下が 認められた。一方で、近年骨基質産生において重要な役割を示すことが示され

たATF4のmRNA発現はbaclofen添加群の骨芽細胞において増加した。

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(5)

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fiPomeachcontrolvalueobtamedmtheabsenceofbaclofbn.

また、GABABR1サブユニット安定発現細胞株を樹立し、骨芽細胞分化およ び成熟化に対する影響を検討した。その結果、GABABR1安定発現細胞におい ては、培養日数の経過とともに、対照群と比べてALP活性およびCa蓄積量の 有意な低下が認められた。一方で、GABABR1安定発現株細胞の増殖能におい ては、対照群と比べて有意な変化は認められなかった。また、GABABR1安定 発現細胞における各種骨形成マーカーの発現についてノーザンブロッテイング 法により解析した結果、培養14日目から28日目にかけて、GABABR1安定発 現細胞においてtypelcollagen、osteopontmおよびosteocalcinのmRNA発現 が有意に抑制された。また、osterixおよびATF4のmRNA発現は培養7日目 から28日目の培養期間を対照群におけるmRNA発現に比べて著しく抑制され た。一方でRmⅨ2発現は、培養21日目以降のGABABR1安定発現細胞株で mRNA発現の低下が認められた。GABABRに関するこれまでの結果より、骨芽 細胞においてはGABABR1サブユニットの発現が認められ、GABABRアゴニス ト添加によって骨基質産生が抑制されること、また、GABABR1サブユニット

(6)

の発現は、骨芽細胞に発現する転写因子の発現を介して骨形成を抑制する事実

が明らかとなった。

次にラット新生児由来初代骨芽細胞を用いたトランスポーター解析では、

[3H]GABAを用いた取り込み活性測定を行うとともに、各種阻害剤を用いて [3H]GABA取り込みの薬理学的性質について検討した。ラット由来初代骨芽細 胞においては、GABAトランスポーターについて、GAⅢL1,GAT2およびGAP3 いずれのサブタイプmRNA発現も認められなかったのに対して、BGT1サブタ イプのmRNA発現がみとめられた。また、BqlL1のmRNA発現は骨芽細胞の 培養日数に従って増加することが明らかとなった。培養7日目の骨芽細胞では、

Na+およびClイオン依存性の温度依存性[3HlGABA取り込みが観察された。こ の[3H]GABA取り込み活性は、Hanes-Woolfplot解析の結果、Km値が7896士

9.011M、またVmax値が4.4士0.1mol/min/mgproteinとそれぞれ算出され

た。また、GABAトランスポーター各種阻害剤を用いた薬理学的解析の結果、

骨芽細胞における[3H]GABA取り込みは、taurine(IC5o=446士9.01M、

l3-alamne(IC5o=45.7士7.5ILM)で強い阻害効果が認められ、また、mpecotic acid(IC5o=1.7士0.4,M)andL-DABA(IC5o=41士O7mM)によっても阻害さ れた。しかしながら、L-promneおよびbetaineは、何れも[3H]GABA取り込み 活`性に著名な影響を与えなかった。ラット初代培養骨芽細胞においては、GABA を基質として取り込むtaurineトランスポーター(I1au1DのmRNA発現が認め られたが、骨芽細胞におけるEluTのmRNA発現は骨芽細胞の培養日数によっ て変化しなかった。また、ラット初代培養骨芽細胞を高浸透圧条件下で培養す

ると、培養28日目の細胞において、著しい[3HlGABA取り込み活性の増加が 観察された。このとき、BGT1mRNA発現は有意に増加したが、BLuTmRNA 発現には変化が認められなかった。以上のことより、骨芽細胞に発現するBGT1 は浸透圧応答`性のトランスポーターであり、骨芽細胞の浸透圧調節に特定の役 割を果たす可能性が考えられた。

糖尿病`性骨粗議症のinvitroモデルとして、高グルコース条件下で骨芽細胞 を培養する細胞系が考えられている。この様な細胞を用いて、[3H]GABA取り 込み活性を測定した結果、高グルコース条件下で7日間培養した骨芽細胞にお いては、[3HlGABA取り込み活`性に有意な差は認められなかったが、14日間高 濃度のグルコースを添加して培養した骨芽細胞については、対照群および浸透 圧対照群に比して、[3H]GABA取り込み活`性の有意な増加が認められた。同様 の条件下で培養した骨芽細胞を用いて、[3H]G1utamate(G1u)活性の測定を行っ た結果、[3H]GABA取り込みとは異なり、[3H]G1u取り込み活性は培養7日目 および14口目の何れの骨芽細胞においても、高グルコースによる変化を示さな かった。また、高グルコース条件下で培養した骨芽細胞における[3H]GABA取

(7)

り込み活性のKm値にほとんど変化は認められなかったが、Vmax値の有意な 増加がみとめられた。BdlL1mRNAについて半定量RTPCRにより検討した結 果、培養14日目のBGTmmRNA発現はグルコース添加では有意な変化がみと められなかった。この様に初代骨芽細胞に存在するGABA取り込みは,グルコー ス存在下で選択的に冗進し、糖尿病`性骨粗霜症の病態に深く関与する可能性が

考えられる。

以上の結果より、培養骨芽細胞に発現するGABAシグナル分子、GABABR1 およびBGT1が骨芽細胞における基質産生の調節を介して骨芽細胞機能に特定

の役割を果たす可能性が考えられる。

引用文献

LJones,KA.,BorowskyiB.,Elmm,』.A、,Craig,nA.,Durkin,M、M”Dai,M、,Yao,W J.,Johnson,M、,Gunwaldsen,0,Huang,LX,Iblng,0,Shen,Q,Salon,』.A、,Morse,

K、,Laz,'、,Smitl1,K.回.,Nagarthnam,,.,Noble,S、A、,Branchek,nA.,Gerald,0.

(1998)GABABreceptorsfilnctionasaheteromerlcassemblyofthesubunits

GABABR1anClGABABR2.ハノZYtmle396,674-679.

2.KaUpmann,K、,Malitschek,B、,SchulenV,Heid,』.,Froest1,W,Beck,E,Mosbacher;

』.,Bischoff;8,Kulik,A、,Shigemoto,R、,Karschin,A、,Bettler〉B・(1998)GABAB receptorsubtypesassembleintofimctionalheteromerlccomple主es、J1厄2tuz9e396,

683-687.

3.F1】jimori,S、,Hinoi,Ⅱ.,andYUkioY(2002)FunctionalGABA-Breceptorsexpressed inculturedcalvarialosteoblasts・Bibchem・BZqmy&況色aCbmm肌293,1445-1452

(8)

学位論文審査結果の要旨

本研究では、脳内神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)シグナル伝達関連分子の骨関節系細胞に おける機能的発現の可能性を検討した。

ラット初代培養骨芽細胞には、メタポトロピック型のGABABレセプター(GABABR)を構成するGABABR 1aおよび1bの両サブュニット発現が、mRNAおよび蛋白質レベルで確認されたが、GABABR2サブユ ニットmRNAの発現は認められなかった。しかしながら、細胞内cAMP濃度測定の結果、GABABRアゴニ ストのbaclofenは、fbrskolin刺激誘導性cAMP生成を有意に抑制し、この抑制効果はアンタゴニストの a-hydroXysaclofen同時添加により阻害された。GABABRアゴニスト存在下で長期間培養した骨芽細胞で は、骨形成マーカーであるアルカリフオスファターゼ活性、および骨芽細胞成熟化マーカーのCa蓄積量が、

baclofen濃度依存的にともに著しく抑制された。また、ノーザンブロッティング解析の結果、baclofenの持 続添加により、細胞分化の必須因子であるRunx2や、骨基質蛋白であるosteopontinのmRNA発現の低下

が認められた。次いで、GABAトランスポーターの解析を行ったところ、骨芽細胞には4種類のGABAトラ ンスポーターのうち、BGT1サブタイプの発現が認められるとともに、Na+およびCl~イオン依存性および 温度依存性を示す[3H]GABA取り込み活性が検出された。糖尿病性骨減少症のinvitroモデルとして、高 グルコース条件下で骨芽細胞を培養したところ、[3H]GABA取り込み活性の有意な増加が認められた。し たがって、培養骨芽細胞に発現するGABAシグナル伝達関連分子が、骨芽細胞機能に特定の役割を果たす可

能性が考えられる。

以上の研究成績は、骨芽細胞におけるGABAシグナル伝達系発現に関する世界初の発見であるとともに、

各種骨関節系疾患の発症機序解明を通じて、その予防あるいは治療創薬戦略の展開が期待される点で高く評 価されるので、論文審査委員会は本論文が博士(薬学)に値すると判断する。

参照

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