シロイヌナズナ熱ショック転写因子HsfA2の機能解 析
著者 小川 大輔
著者別名 Ogawa, Daisuke
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科
巻 平成20年6月
ページ 14‑17
発行年 2008‑06‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/26787
小川大輔
博士(理学)
博甲第939号 平成19年3月31曰
課程博士(学位規則第4条第1項)
シロイヌナズナ熱ショック転写因子HsfA2の機能解析 山口和男(学際科学実験センター・教授)
岩見雅史(自然科学研究科・教授),星名哲(自然科学研究科・准教授),
西内巧(学際科学実験センター・准教授),金森正明(自然科学研究科。講師)
氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の曰付 学位授与の要件 学位授与の題目 論文審査委員(主査)
論文審査委員(副査)
Heatshocktranscriptionfblctm(HsfS)arethecentralreguIatorsoftheheatshock(HS)stress泥sponseinall eukaryoticorganisms、HS/S42isoneofthMmbiaOpsisclassAHヅォリandtheinductionofH1f42expression inresponsetoHSstressishighestamongthoseoMmbidbpJなZ1differentHn/3.HOwev則1ittleisknown HsfA2tmnscriptionaltargetgenesandfUnctionsinAmZMOp血InthisstudybwegeneratedHb[j942 ove1℃xpressingtransgcnicA肋iとlopsiJplantsC5S::HSf42)anddominant-pegativemutantsofHヅiA2 (J5SJfHE/54Ma解)The35S:fHff#l2plantsexhibitedadwaIfphenotypeandremarkablebothbasaland acqui1℃dtheTmotolerance・Bycontmst,the3殿fHq/:A2△a解plantsdisplayedreducedboth thelmotolerance,Wecarriedoutmicroarrayanalysisofthe弱SF:H1/,42plantsandidentifiedcandidategenes regulatedbyHsfA2,whichexhibitedHSstress-inducedexpressionasweIlasHE/'42.FUrthermore,wefbund thattheexpressionofHYノシ42wasalsoinducedbysaItandosmoticstlesMndthe新SF:Hロノシl2p1antsalso showedtolerancetothesestress・Interestingly’3凧PH51942and35SfJHZfA24C2解plantsexhibibed enhancedanddecreasedcallusgrowth,respectively・TheseresultslevealthatHsfA21℃gulatesavarietyof genesrelatedtostressresponseandplaysanimportantroleinplantmultiples舵sstoleranceandsuggestthat HsfAZisaIsoinvoIvedindeveIopmentalplocess.
自然界において植物は様々な環境ストレスに曝される。動物と違い移動することができない植物 は、環境ストレスに対抗しその環境に適応しなければ生き延びることができない。そのため植物は これらの環境の変化をいち早く感じとり、環境に適応する応答機構を進化の過程で獲得してきたも のと考えられる。生物が高温ストレスに曝されるとタンパク質の損傷、変性による機能障害が起こ る。そのため、生物はタンパク質の構造を維持し、変性タンパク質の凝集を妨げるために熱ショッ クタンパク質(HSP)と呼ばれる分子シャペロンを発現させる。真核生物ではH3p遺伝子などの熱シ ョック(HS)ストレス応答性遺伝子の転写は、それらのプロモーター領域に存在するHS応答性シス エレメント(HSE)を認識する熱ショック転写因子(HSf)によって制御される。
シロイヌナズナゲノムには21個のHV遺伝子が存在する。その中でもHS7542は最も著しいHSス トレス応答`性が示されていることから、シロイヌナズナのHSストレス応答に重要な役割を果たす のではないかと考えられる。しかし、これまでHsfidL2タンパク質が植物体内でどのような機能を持 つかは調べられていなかった。そこで本研究において、私はmy,42の過剰発現植物体、TDNA挿 入変異植物体、及びドミナントネガティブ変異植物体を作出または入手し、それらの解析を行うこ
とでHSfA2の機能を明らかにすることを試みた。
まず、HIV,42の発現様式を明らかにするために、半定量的RITCR法によりHSストレス時のHVz42 発現量の変化を検証した。そして、HM42はHSストレスに対して急速な応答を示し、それは一過
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的なものであることを明らかにした。また、flM42遺伝子上流にはHSEの存在が認められたため、
この領域とレポーター遺伝子GUS「との融合遺伝子を作製し、植物内で発現させることにより、HS ストレスに応答したGUSの発現が起こること、つまりHQ/,42プロモーターの転写活性はHSストレ スに依存していることを明らかにした。
次に、植物内での高発現プロモーターで
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ロモーター制御下でHs/》42を過剰発現する トランスジエニツク植物(3鮒'Hv/,42>を作 出し、その表現型の観察を行った。作出し
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解析の結果から、この植物体の綾化は鱈)鰭翻後3週綴喜の野生麹隷よび3鐙:擬…纏鞠。地上観のみ篭示藻スケールパー鰭
l1CIWHV542発現量と相関があることがわかった
(卿1A,B)。J5SjfHs/312植物の高温耐性試
験を行しwh:/,ィ12mRMの蓄積が繍臘耐`憐に聯える影響を調べた。その結果、3jx1MZW:42植物は野生 型植物と比較して、高温耐性が馨しく向上していた(図2).また、植物体に弱いHSストレスを与 え耐'雛を獲得させる処理(馴化処理)後の高温耐`性(獲得性高温耐性);こおいても、濁様の結果が得 られた。これらの結果から、瓢sfA2が轤物の高臘耐`朧に蕊蕊な役霧Iを果たすこと菱明らかにするこ とができた.HsfA2は転写活`朧化lilil子であることが示唆されていたが、その標的選伝子は未知であ った。そこでHsfA2標的遺伝子を明らかにするため、汀AWflUfJ2植物のマイクロアレイ解析を行っ た.その結繋、野生製植物に比べ発現f蕊がZ傭以上に上昇している遺伝子・として243個の遺伝子・を 得ることができた。その頃'.にはn町1,など多数のストレス応鱒鵬朧遺伝子をj;iL出すこ左ができた。これ らの遺伝子の多くはその上流配列にHSEの存在が認められ、マイクロアレイデータベースの検索 からHSストレス挺応簿することが明らかとなった。また、この中の複数の遺伝子について発現解 析を行い(鰯3)、それらの発現蝋が胸躯発現鍵に依存していること、11sストレスに対してHiγ242
とよく似たパターンで応答することを鯛らかにした。
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トレス《37℃、1鋳悶)遜璽を行い、
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次に、磯磁2機能欠損による影響を調べるためにH17,42紅DM挿入変異体(A鯛2-J)を入手し、そ の表現蝋の解析を行ったが、種子観の高温繍秘'Zがわずかに低下していること以外には野生型植物との 違い!±見いだせなかった。そのため、シロイヌナズナゲノム中にHwLと機能的に重複した遺伝子 が存在している可能徹を湾え、Fミーノツトネガティブ型タンパク質を利鋼して内在性HsfA2及び H圏fAZと機能;露複したHsfの機能を剛霧することを試みたMliZS/jX2の|§ミナントネガティブ型とし てMs融2タンパク霞C末端に存在する転騨i露,雛化領域及び核外移行シグナルを欠失したHsfM△
C264を過剰に発現する植物(351MツSjflfM□御)を作出したく図4A)。解析の結果、J鰍:HV54M
⑰解植物は高臘耐性、獲得性高温耐性の低下を示すことを明ちかにした(鰯4Bc)。また、発現 解析によりゴゴlWY[ViX(2△c2解植物ではHs圦2標的遺伝子の鵬ストレス応響が鱗下していることを
明ちかにした(図5九
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さら;こ、H1ij/》312の発現が蝋ストレス、溌透)〔flHHストレスにより誘導されること、JjiWX”2植物で はこれらのストレス;こよる生瀞阻霧が綴和されることを兇出した側6)。この結果感HVlki2が高#擬 耐性以外に、塩耐性、浸透圧耐性{こも関ムチすることを示しており、植物のHVがそのようなストレ ス応響に関癖することを示したのは本研究が初いてである。また、ストレス応籍以外の畿現型とし て、ゴゴAMP!Mil2獺物では根外繍片か影のカルス形成、増殖が促進されていることV対照的に
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3耐;Wh1/Z;12△CW2解では遅延するという結果が縛られた(|割
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7)。このことはKMl2がストレス応答以外に細胞の分化、
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本研究での結果から、HM42が高温ストレスをはじめとする様々なストレス応答において、特に その耐`性獲得に非常に重要な役割を担っていることが明らかになった。また、ストレス応答だけで なく細胞の分化、増殖にも関与することを示唆する結果も得られた。同時に、動物とは対照的に多 数のHV遺伝子を有する植物ではこれらが複雑なネットワークを構築し、多様な環境ストレスに対 応していることが、特に液ミナントネガテイブ型H1fX2産生植物の実験から強く示唆された。これ らの結果はシロイヌナズナに存在する他のHVの研究、さらにはシロイヌナズナ以外の植物におけ るnV研究にも大いに役立つものと期待される。
学位論文審査結果の要旨
植物は様々な環境ストレスに適応する巧妙な機柵を進化の過程で獲得してきた。熱ショ ック(HS)ストレス応答もその一つで、シロイヌナズナゲノムには21個の熱ショック転写 因子遺伝子(H帥が存在する。中でもHMUはもっとも著しいHSストレス応答性が示さ れているが、植物体内での機能についてはほとんど解析されていなかった。本研究はこの Hsi2uについて各種の変異植物体を作出し、その機能の解明を進めたものである。
H三Z42のプロモーター解析、HSm2の過剰発現植物体、H三fXL2のノックアウト株、及び HsfA2タンパク質の転写活性化領域の欠失によるFミナントネガテイブ型HsfA2産生植 物の高温耐性などの解析、更にHSm2過剰発現植物体のDNAマイクロアレイによる網羅 的遺伝子発現解析、などを通して、H己12212が植物体の高温耐性及び獲得性高温耐性に重要 な役割を果たしていることを初めて明らかにした。また転写調節因子としてのHsfA2の標 的遺伝子を多数同定した。更にHm242は植物体の高温耐`性ばかりでなく、浸透圧ストレス や塩ストレスなど様々なストレス耐性や細胞の分化・増殖にも関与するなど多様な機能を 持つことを明らかにした。
以上のように、本研究はHM42遺伝子のHSストレスを初めとする多様な機能に関して 多数の新事実を明らかにしており、博士論文として充分評価できるものである。
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