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そこで音響トモグラフィ探査1) 2)を用い て設計基面の特定を行った

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Academic year: 2022

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音響トモグラフィ探査を用いた鋼管矢板根入れ長の基面評価方法について

大成建設(株)関西支店 正会員 ○谷地 宣之 正会員 有働 敬天 正会員 蒲谷 大輔

(株)地域地盤環境研究所 正会員 植田 康宏

1.はじめに

京都府宇治市に位置する天ヶ瀬ダムのトンネル再開発工事のうち、流入部建設工事において鋼管矢板工の計 画、施工を行っている。当該工事のうち、前庭部と呼ばれる土砂侵入防止部は、事前調査のボーリングデータ が不足していることから、地層確認のために鋼管矢板打設位置の4隅において追加の調査ボーリングを行った。

しかし、調査ボーリングで得られる結果はあくまでも点のデータであり、岩盤が傾斜し褶曲しているため鋼管 矢板の根入れに必要となる設計基面を特定することは困難であった。そこで音響トモグラフィ探査1) 2)を用い て設計基面の特定を行った。本稿はその結果について報告するものである。

2.工事概要及び地盤概要

図-1に示すように、本工事はトンネル放流設備の うち最上流の流入部(呑み口部)工事であり、立坑 部の流入部と土砂侵入防止部の前庭部からなる。流 入部は鋼管矢板で締切り(内径 28m)、鋼管矢板内 を掘削し、トンネルが接続される立坑が構築される。

一方、前庭部(21.3m×17.8m)は自立式鋼管矢板で 仕切り、トンネルへの放流水が流れ込む際の土砂の 流入を防止するものである。

当該地の地層構成は、中・古生代の泥岩を主体と して、これに砂岩、チャート、緑色岩の小規模なク ラストを含むとともにひん岩岩脈の貫入が見られ る岩盤であり、亀裂や破砕帯が多く発達している。

周辺の調査結果からも、当該地の地質構造は概ね走

向NW-SE方向で、傾斜は急角度の南落ちを示す。

図-2にL-10断面での当初調査による想定地質断 面図を示す。当初は前庭部中央の1箇所でしか調査 ボーリング行われておらず、流入部側のボーリング データ等から推測した地層縦断図を基に鋼管矢板が 設計されていた。しかし、その不確実さが大きいこ と、自立式矢板のため根入れ基面(CL 級岩盤線)

の評価が重要であることから前庭部の4隅に追加の ボーリング調査を行った。この結果をもとに、当初 の想定地質縦断図を修正した L-10 断面の結果を図 -3に示す。ところが、4か所のボーリング調査結果 をもってしても、施工基面の高さ等を一義的に特定

キーワード 鋼管矢板、根入れ長、施工基面、物理探査、音響トモグラフィ探査、可視化

連絡先 〒611-0021 京都府宇治市宇治金井戸 15-4 大成建設(株)天ヶ瀬ダム放流設備建設工事作業所 TEL:0774-22-8277

前庭部 23m 流入部 内径 28m

前庭部 流入部

鋼管矢板

図-2 既存の想定地質縦断図(L-10断面)

OP+m

前庭部 流入部

L-10→

R-10→

図-1 工事概要平面図(前庭部と流入部)

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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することはできず、その不確実性を排除できる結果では なかった。

3.音響トモグラフィ探査の原理

音響トモグラフィ探査は、孔内発振器と多連受信器を 2つの孔に配置して、この孔間の地盤情報を可視化する 技術である。本手法は、超音波と地震波の中間の周波数 帯域である音響波(数100Hz~数 10kHz)を用い、か つ連続波の一種である疑似ランダム波を用いることで、

ボーリングに近い精度を維持しつつ従来の弾性波探査 と同等の探査距離を可能にしている。

受信器を所定の深度に設置し、発振器を任意のピッチ で移動させていくことにより、音の走査線が対象断面全

体を切るように計測を行う。この時の到達時間とその振幅デー タから逆計算により、地盤の状態(固さや開口の有無等)を解 析するものである。

今回は既往のボーリング調査孔4点を用いて行い、発振器側 を50㎝ピッチで移動させて計測した。特に基面付近では25㎝ピ ッチとして対象断面を切る線を増やすことでより精度の高い データを収集することができた。

4.音響トモグラフィ探査結果に基づく基盤面の決定

図-4 に、音響トモグラフィ探査結果に基づく工学的基盤面

(根入れ基面)の決定方法を図示する。図-5にはL-10断面の 音響トモグラフィによる速度分布、および図-4に従い特定した 工学的基盤面(根入れ基面)を示す。図-5の結果は、柱状図と の対比から基面に対応する速度値を設定し、断面内や隣 接断面との整合性を考慮して工学的基盤面(根入れ基 面)を決定したものである。今回のように急角度の傾斜 構造を持つ地層構造に対しては、地質構造区分を音響ト モグラフィ探査で求めることはできないが、本調査の目 的である鋼管矢板の根入れ設計のための基面を決定す ることは十分可能であることが分かった。

5.おわりに

本調査では、前庭部におけるボーリング調査孔を利用 して音響トモグラフィ探査を実施した。探査の結果、ボ ーリング調査では得られない地盤の面的情報をもとに、

鋼管矢板の根入れ基面の位置を想定できた。今後、この ように複雑な地層構成を示す地盤に対して、設計基面を 決定する際の有効な手法として音響トモグラフィ探査 が活用できるものと考える。

参考文献 1)榊原淳一:音響トモグラフィを用いた新しい地盤評価技術、基礎工、Vol.33、No.9、pp.81~83、

2005. 2)山内淑人・譽田孝宏・榊原淳一・吉塚守・睦角英夫:音響トモグラフィを用いたトンネル施工地盤

詳細評価、土木学会第63回年次学術講演会講演概要集、pp.551~552、2008.

図-3 修正された想定地質縦断図(L-10断面)

OP+m

OP+m

工学的基盤面

図-5 速度値に基づく想定基盤面図(L-10断面)

調査ボーリング

柱状図・コア試料

地層状況

(岩級区分)

音響トモグラフィ探査

速度分布 減衰率分布

基盤面に対応する速度値

地盤状況の詳細検討

・探査断面内の変化

・探査断面間の整合性

基盤面の決定

図-4 工学的基盤面の決定方法 土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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参照

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