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レール継目での衝撃が箱断面上路鈑桁床組の疲労に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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構造工学論文集Vol. 67A (2021 年 3 月) 土木学会

レール継目での衝撃が箱断面上路鈑桁床組の疲労に及ぼす影響

Effects of impact load caused by wheel passing rail joint on fatigue at the deck system of a steel box girder

井上太郎†,小林裕介* Taro Inoue, Yusuke Kobayashi

工修,(公財)鉄道総合技術研究所,構造物技術研究部(〒185-8540 東京都国分寺市光町 2-8-38) *博(工),(公財)鉄道総合技術研究所,構造物技術研究部(〒185-8540 東京都国分寺市光町 2-8-38)

Due to an impact load caused by wheel passing rail joint, fatigue cracks tend to occur around rail joint. In order to evaluate effects of the impact load on fatigue at the deck system of a steel box girder, stress measurement was carried out at the existing bridge. As a result, the impact load at the rail joint generated two types of high frequency natural mode vibration of around 40 and 350 Hz. And, those vibrations increased the range and cycle of the stress at the welding joint of the deck system.

Key Words: rail joint, fatigue, joint between longitudinal and transverse ribs

キーワード:レール継目,疲労,縦リブ・横リブ交差部 1. はじめに レールとレールの連結部をレール継目と呼ぶ.レール 継目は,図-1 に示すような構造であり,一般的には 25m 間隔で配置され,レールの温度変化による伸縮を考慮で きる構造となっている.レール継目が配置された軌道は, レール継目を溶接により接合した軌道(以下,ロングレ ール)と比較して軌道新設時の初期コスト削減等のメリ ットがあるものの,継目上を車輪が通過する際の衝撃(以 下,レール継目での衝撃)は乗り心地の低下や軌道変位 を生じさせる要因1) ,2)となっている. 鋼橋の観点から見たレール継目は,疲労き裂の発生を 助長する因子の一つである例えば3),4).これは,レール継目 での衝撃が桁全体や部材局部の振動を励起することによ るものと考えられている.レール継目での衝撃は,ロン グレール化により解消することが可能である.一方で, ロングレール化は,それに伴うロングレール縦荷重の増 加による桁や橋脚の補強等が必要になる場合があり,費 用対効果の観点から困難な場合も多い. 鋼鉄道橋に生じる振動が疲労へ及ぼす影響については, 主に新幹線橋梁を対象とした高速走行下における連行荷 重が励起する振動に関する評価がなされてきた5)-9).レー ル継目での衝撃が励起する振動についても,上述の既往 の研究や疲労き裂の発生傾向に関する報告等3),4)から,疲 労へ及ぼす影響が大きいことは明らかである. レール継目での衝撃は,レールと車輪との相互作用に よるものであるため,橋梁におけるその影響はレールや まくらぎ等の軌道を支持する部材において特に大きいも のと考えられる.軌道を支持する部材としては,例えば 箱断面上路路鈑桁(以下,箱桁)の床組が挙げられる. 箱桁は,鉄道橋における溶接桁の普及から50 年以上が経 過し,経年による疲労き裂の発生も報告 3),10)-13)されてい る.一方で,箱桁の内部は密閉されているため軌道上か らの目視によるき裂の確認が不可能であり,日々の巡回 において疲労き裂の有無を確認することは困難である. これらの背景から,箱桁の検査精度の向上が求められて おり,その精度向上に資する,レール継目での衝撃によ って振動が励起されやすい部材や,その影響度や影響範 囲についての情報を,現象を含めて解明しておくことが 重要であると言える. 図-1 レール継目の構造(支え継ぎ) 橋まくらぎ 継目板 レール レール継目 レール レール締結装置 † 連絡著者 / Corresponding author E-mail: [email protected]

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本稿では,箱桁床組の主に縦リブ・横リブ交差部を対 象に,レール継目での衝撃が疲労に及ぼす影響(以下, レール継目の影響)を明らかにすることを目的として, レール継目での衝撃により振動が励起されている部材や そのモードを推定し,疲労への影響度を最大応力範囲と 繰り返し数の観点から評価する.さらに,レール継目で の衝撃によって生じる応力に対して,断面位置や列車速 度,レール継目からの距離等の諸因子が及ぼす影響につ いて評価を試みる. 2. 検討概要 レール継目の影響の評価は,実橋の応力測定により行 った.また,衝撃により振動が励起されている部材およ びそのモードの推定には,応力測定結果に加えて固有値 解析結果も参考にした.本章では,上記検討概要につい て詳細を示す. 2.1 対象橋梁 対象橋梁は,昭和40 年代に設計された在来線の橋梁で ある.レール継目の構造は図-1 に示すとおりであり, 軌道構造は橋まくらぎ式である.レール継目の支持方式 は,継目の直下を軌道パッドおよびレール締結装置を介 してまくらぎにより支える支え継ぎ形式である. 対象橋梁の一般図を図-2 に,構造条件を表-1 に示 す.構造形式は単線式の3 径間連続箱断面上路鈑桁であ る.桁高は2600mm,腹板中心間隔は 2000mm であり, 上フランジには橋軸直角方向に中心から端部へ 3%の排 水勾配が設けられている.断面が複数種類あり,1.4〜 1.8m 間隔で配置された横リブ数本毎に対傾構ありの断 面(図-2 (c) Cross-a)が存在する.本稿においては正曲 げ区間を対象とし,対傾構なしの断面(図-2 (c) Cross-b) における応力を後述の条件にて測定した. 2.2 対象継手 溶接ディテールと疲労き裂の発生状況を対象継手毎に 示す. (1) 縦リブ・横リブ交差部 縦リブ・横リブ交差部のディテールを図-3(a)に示す. 縦リブおよび横リブには平鋼が用いられており,板厚は それぞれ14mm,12mm である.横リブには下フランジ が無く,橋軸方向に貫通した縦リブに合わせて切り欠か (a)側面図 (b)平面図 Cross-a Cross-b (c)断面図 図-2 対象橋梁一般図(単位:mm) 表-1 対象橋梁の構造条件 構造形式 3 径間連続箱断面上路鈑桁 線別・線形 単線・直線 設計荷重 KS-18(軸重 18t) (単位:mm) (a)縦リブ・横リブ交差部のディテール (b)疲労き裂の発生状況の一例 図-3 対象橋梁の縦リブ・横リブ交差部のディテール と疲労き裂の一例 図-4 現行標準の縦リブ・横リブ交差部のディテール 35000 R.L. M 35000 46000 M M F 116000 RJ-1 RJ-2 b a a a a a a a a a a

CL

rail joint

b b b b b b b b b c c c c c c c c c c c b b b b b

rail joint

a b a b a b b a c b a a a a a a a a a a

CL

rail joint

b b b b b b b b b c c c c c c c c c c c b b b b b

rail joint

a b a b a b b a c b a a a a a a a a a a

CL

rail joint

b b b b b b b b b c c c c c c c c c c c b b b b b

rail joint

a b a b a b b a c 5300 9900 4900 15000 6600 150×14 200×12 2000 2600 130×12 150 × 10 500 150×14 200×12 2000 2600 130×12 150 × 10 500 19 横リブ200×12 200 150 縦リブ150×14 6 6 6 半円形の切欠き(g=1) r=t/2+g ※ ※縦リブはその附近でグラインダーで 角を落し切欠きに合うようにする. 疲労き裂の例 縦リブ 床版 g t g r=t/2+g r=t/2 床版 横リブ g=1mm以下 斜線部分はリブの交点付近で r=t/2となるように 徐々にグラインダーで 丸みを付ける 160 縦リブ 床版 160mm

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れている.縦リブと横リブはすみ肉溶接により接合され ており,横リブの上下部にはスカラップがない. 鉄道橋における鋼床版の縦リブ・横リブ交差部は,設 計当時の鉄道設計標準に基づいてディテールが決められ ている.現行の鉄道設計標準14)では,昭和58 年制定の建 造物設計標準解説15)で定められたディテールを踏襲して おり,当時までの技術的な検討を踏まえた改良を経て, 図-4 のようになっている.本稿の対象橋梁においては, 現行のディテールと類似した構造となっているが,前述 のとおり横リブには下フランジが無い.なお,疲労き裂 の発生が報告されている箱桁の縦リブ・横リブ交差部に は,下フランジが無いタイプが多いようである10),11) 橋梁の一部の縦リブ・横リブ交差部においても,横リブ 側止端を起点とした疲労き裂が発生しており,図-3(b) に示すように溶接部の下側から上下方向に進展していた. (2) 横リブ突合せ溶接部 横リブ突合せ溶接部のディテールを図-5(a)に示す. 横リブ突合せ溶接部は,板厚が9mm と 12mm とで異な る平鋼がレ型開先溶接により接合されている.なお,溶 接部の余盛はグラインダー処理により削除されている. 当該継手に発生した疲労き裂は,図-5(b)に示すように 横リブの突合せ溶接部下端を起点とし,斜め上方向へ進 展していた. (3) 垂直・水平補剛材交差部 垂直・水平補剛材交差部のディテールを図-5(a)に示 す.垂直補剛材には幅150mm,板厚 10mm,水平補剛材 には幅130mm,板厚 12mm の平鋼が用いられている.鉛 直方向に貫通した垂直補剛材に対して水平補剛材がすみ 肉溶接で接合されたディテールである.当該継手に発生 した疲労き裂は,図-5(b)に示すように垂直補剛材側の 上側溶接部止端を起点とし,水平方向に進展していた. 2.3 実橋の応力測定 現地応力測定は,レール継目直下の断面(以下,継目 部)とレール継目から5~10m 程度離れた断面(以下,一 般部)に対して数断面ずつ実施した.本稿では,表-2 に 記載のように,図-2(a)に示す継目 RJ-1 に対して継目部, 一般部で各1 断面,継目 RJ-2 に対して継目部で 1 断面, 一般部で2 断面,合計 5 断面の測定結果を用いてレール 表-2 測定断面の条件 No. 対象 継目 軌道 条件 継目から の距離 計測対象 測点 1 RJ-1 継目部 - A・B・C・D 2 一般部 5.4m A 3 RJ-2 継目部 - B・F・H 4 一般部 4.9m A 5 一般部 9.9m A 表-3 測定列車の条件 測定列車本数 空車の最大軸重 列車速度 6 本 89.2〜99.1kN 77〜105km/h 図-6 縦リブ・横リブ交差部応力の測定位置 図-7 横リブ突合せ溶接部,垂直・水平補剛材交差部 応力の測定位置 (単位:mm) (a)溶接部のディテール (b)疲労き裂の発生状況の一例 図-5 横リブ突合せ溶接部,垂直・水平補剛材 交差部のディテールと疲労き裂の一例 6 R=40 垂直補剛材150×10 水平補剛材130×12 t=9 20 8 45° G G 横リブ200×12 横リブ突合せ 溶接部 垂直・水平補剛材 交差部 疲労き裂の例 疲労き裂の例 ※溶接線直行方向で評価 測点(H) 10mm 上フランジ 横リブ下端 から5mm 横リブ 5mm 溶接止端 から10mm 測点(F) 測点D 測点C ()は終点方のゲージを示す 測点B 横リブ 溶接 水平補剛材 垂直補剛材 測点F 測点H 10mm 横リブ 上フランジ 溶接止端 から5mm 10mm 測点A(中央) 測点B(端部) 横リブ 縦 リ ブ 測点A

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継目の影響について評価する.表-2 には,後述する計 測対象測点も各断面で併せて示している.継目部の一部 の継手には既に疲労き裂が発生しており,RJ-1 の左右の 横リブ突合せ溶接部,RJ-2 の縦リブ・横リブ交差部(測 点A),左側の横リブ突合せ溶接部に疲労き裂が生じてい た.なお,測定時には疲労き裂に対してストップホール 等の応急的な措置がなされていた. 測定列車の条件を表-3 に示す.測定はバラつきを考 慮し,計6 本の列車通過に対して実施した.空車の最大 軸重は89.2〜99.1kN であり,列車速度は 77~105km/h 程 度であった.なお,乗車率は測定できていない. 縦リブ・横リブ交差部応力の測定位置を図-6 に,横 リブ突合せ溶接部および垂直・水平補剛材交差部応力の 測定位置を図-7 に示す.縦リブ・横リブ交差部応力の 水平方向は,疲労き裂が横リブ側止端から生じていたこ とを踏まえ横リブ上で測定した.位置は溶接止端から 10mm とした.鉛直方向の位置は,溶接止端の下端から 5mm 上とした.横リブ突合せ溶接部応力は,疲労き裂が 突合せ溶接部の下端を起点とし垂直補剛材側へ斜め上方 に進展していたことを踏まえ,溶接部から垂直補剛材側 へ10mm の位置で測定した.垂直・水平補剛材交差部応 力は,疲労き裂が垂直補剛材側止端から生じていたこと を踏まえ垂直補剛材上で測定した.測定位置は溶接止端 から10mm とした. 測定におけるサンプリング周波数は 1kHz とし,ひず みゲージはゲージ長5mm のものを使用した.横リブ突 合せ溶接部における疲労の評価は溶接線に直行する方向 で行った.なお,縦リブ・横リブ交差部の応力は,測定 点数の都合上,片面のみで測定した. 2.4 固有値解析概要 レール継目での衝撃により振動が励起される部材およ びそのモードの推定には,固有値解析結果についても参 考にした.固有値解析には,解析コードとしてNX Nastran, プリポストプロセッサとしてFemap 11.4.0 を使用した. 図-8 に解析モデルを示す.対象橋梁は連続桁である が,後述するレール継目の影響範囲等を踏まえて片側の 側径間のみをモデル化した.境界条件は単純支持とした. 使用要素は,4 節点シェル要素を基本とし,対傾構等の 一部では2 節点はり要素を用いた.要素分割は図-8 に 示すとおりであり,節点数は38266,要素数は 38880 で ある.なお,固有値解析はレール継目での衝撃により励 起される振動モードの変形形状を推定することを目的と しているため,レールやまくらぎ等の軌道はモデル化し ておらず,車両重量も考慮していない.材料特性値は表 -4 のとおりに付与し,各部材の断面諸元は財産図を基 に付与した. 3. 縦リブ・横リブ交差部の応力性状と発生要因 本章では,移動荷重により継目部の縦リブ・横リブ交 差部に生じた応力について,一般部と継目部の応力測定 結果から,応力の成分毎に発生要因となる変形モードを 推定する.なお,以降において列車条件について特に記 載の無い場合は,列車速度 105km/h,空車の最大軸重 99.1kN の条件で測定したデータを使用している. 3.1 一般部と継目部の応力 継目RJ-1 の一般部と継目部における,列車 1 編成(12 両)通過時の縦リブ・横リブ交差部(測点A)の応力波 形を図-9 に,図-9 を拡大した 2 台車通過時の応力波 形を図-10 に示す.図-9,図-10 より,一般部の応力 は 1 編成通過時に複数回発生しており,そのピーク数は 台車数(24 台),ピーク間隔は台車間隔(8.1m)と一致し ている.つまり,一般部の応力は台車毎に発生している ものと考えられる. 継目部の応力は,図-9,図-10 より,ピーク数,ピー ク間隔が一般部と一致しており,一般部の応力同様に台 車毎に発生しているものと考えられる.また,継目部の 応力は,台車毎に発生している応力に高周波成分が重畳 しているように見える.高周波成分は,台車毎に生じる 応力1 波につき 2 回発生しており,ピーク数は車軸数(48 軸),ピーク間隔は軸距(2.1m)と一致している.つまり, 高周波成分は車軸毎に発生しているものと考えられる. さらに,高周波成分の卓越断面は継目部のみであること から,高周波成分はレール継目での衝撃に起因するもの と考えられる. 以上より,縦リブ・横リブ交差部の一般部の応力は, 台車毎に発生しているものと考えられる.また,継目部 の応力は台車毎に発生する応力に,車軸毎に発生するレ ール継目での衝撃に起因する高周波成分が重畳している 図-8 固有値解析モデル 表-4 材料特性値 弾性係数(N/mm2 2.0×105 ポアソン比 0.3 鋼材の質量密度 (N/mm3(sec2/mm) 7.85×10-9

Fix

Move

A

A’

A-A’

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ものと考えられる. 3.2 台車毎に発生する応力 前述の台車毎に発生する応力を生じさせる変形モード をRJ-1 の継目部で測定した応力から推定する.同一断面 内の横リブ上で測定した応力について,1 台車通過時を 拡大した波形を図-11 に示す.図-11 には,横リブ上で 測定した応力(測点A・B)に加え,横リブと同一断面内 で部材として連続した垂直補剛材のコバで測定した応力 (測点C・D)も示している.図-11 より,横リブの応 力の発生時間は0.2sec 程度である.発生時間を影響線長 に換算すると6m 程度となる.つまり横リブは,横リブ を中心として起終点へ片側3m 程度の範囲に荷重が載荷 された際に床組として変形しているものと考えられる. また,断面内の応力は,横リブ上のA・B,垂直補剛材 上のC・D で波形形状が一致しており,応力の向きは A・ B が引張,C・D が圧縮の逆位相となっている.さらに, 横リブ上の応力の大きさは,端部B よりも中央 A で大き い.これは,横リブが両端固定の梁として,図-12 に示 すように断面内で台車毎に鉛直方向へたわむことに起因 するものと考えられる.つまり,本橋における横リブは 台車毎に起終点に3m 程度の範囲で床組としてたわんで いるものと考えられる. 3.3 車軸毎にレール継目での衝撃により発生する振動 車軸毎に生じるレール継目での衝撃により振動が励起 されている部材やそのモードを,RJ-1 の一般部と継目部 で測定した応力と固有値解析結果から推定する. (1) レール継目での衝撃により卓越した応力の周波数 1 編成通過時の応力波形から得られたフーリエスペク トルを図-13 に示す.図-13 から,卓越周波数は以下の 3 つに大別される.1 つ目は 10Hz 未満の成分(以下,成 分(ア)),2 つ目は 44.0Hz にピークを有する成分(以下, 成分(イ)),3 つ目は 353.8Hz にピークを有する成分(以 下,成分(ウ))である.上述の3 成分のうち,成分(ア) 図-10 1 編成通過時の応力波形拡大 図-9 1 編成(12 両)通過時の応力波形 図-11 1 台車通過時の応力波形 図-12 1 台車通過時の推定される変形モード 7.9 8 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 8.6 8.7 -90 -45 0 45 90 継目部 応力 (N/ mm 2 ) 時間 (sec) 7.9 8 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 8.6 8.7 -90 -45 0 45 90 一般部 応力 (N/ mm 2 ) 時間 (sec) 0.070sec(2.0m) 0.280sec(8.2m) 0.274sec(8.0m) 0 2 4 6 8 10 12 -90 -45 0 45 90 継目部 応力 (N/ mm 2 ) 時間 (sec) 0 2 4 6 8 10 12 -90 -45 0 45 90 一般部 応力 (N/ mm 2 ) 時間 (sec) 最大応力範囲:35.2N/mm2 最大応力範囲:84.4N/mm2 列車速度:v=105km/h 12両編成 応力波形拡大箇所 7.9 8 8.1 8.2 8.3 -90 -45 0 45 90 応力 ( N/ mm 2 ) 時間 (sec) A:横リブ(中央) B:横リブ(端部) C:コバ(上側) D:コバ(下側) A BC D 0.204sec(5.9m) A B C D 凡例:25N/mm2

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は一般部と継目部で振幅が概ね同程度であり,列車速度 と台車間隔から算出した台車毎に生じる応力の周波数と 一致している.つまり,成分(ア)は台車毎の横リブの たわみにより生じる準静的な応力成分(以下,準静的な 成分)であると考えられる. 一方で,成分(イ),成分(ウ)は一般部では振幅が比 較的小さく,継目部では振幅が比較的大きいことから, レール継目での衝撃により励起される振動により卓越し た応力成分であると考えられる. (2) 成分(ウ)を生じさせる振動 前述の成分(ウ)を生じさせる振動モードを推定する. 成分(ウ)は,鋼橋の構造物全体系の振動モードの一般 的な固有振動数よりも著しく高周波であることから,部 材単体の局部的な振動により生じているものと推察され る.部材単体の振動を横リブ単体の振動と仮定し,横リ ブを縦リブと上フランジに支持された長方形板とみなし て以下の式 16)を用いて横リブの固有振動数を算出する. fmn = π2√Dρ(m 2 a2+ n2 b2) (1) ここで,m,n は振動次数,ρ は単位面積あたりの質量,a,b は長辺,短辺の長さ,D は板の曲げ剛性であり,D は以 下の式(2)より算出される. D = Eh3 12(1-ν) (2) 式(2)中の E は弾性係数,h は板厚,ν はポアソン比 である.なお,試計算における境界条件は,横リブ高さ を2 倍とした 4 辺単純支持の板と仮定して算出した.式 (1)および式(2)から固有振動数を算出すると,横リ ブ単体の面外モードの固有振動数は336.5Hz となる.こ れは,図-13 に示す実橋で測定した応力のピーク周波数 と概ね同程度である.また,実橋のピーク周波数は,図 -14 に示す固有値解析から得られた横リブ単体の面外 振動モードの固有振動数とも概ね同程度であった. 以上より,レール継目での衝撃により励起される成分 (ウ)を生じさせる主たる振動は,横リブ単体の面外方 向の振動モード(以下,面外振動)であると推定される. なお,353.8Hz の他にも卓越する周波数が複数存在した のは,固有値解析の結果等から,連成する部材や範囲等 が若干異なる横リブの面外振動モードが存在していたか らであると推察される. (3) 成分(イ)を生じさせる振動 前述した成分(イ)を生じさせる振動モードを推定す る.成分(イ)は成分(ウ)よりも比較的低周波である が,鋼橋の全体系の振動モードよりは比較的高周波であ る.成分(ウ)が横リブ単体の振動であることを踏まえ ると,成分(イ)は横リブよりも大きい部材の振動等に より生じた成分であると推察される. 図-9 から成分(イ)をバンドパスフィルター(以下, BPF)処理(20-100Hz)により抽出した応力波形を図-15 に示す.断面内の応力は,横リブ上のA・B,垂直補剛材 図-13 1 編成通過時応力のフーリエスペクトル 図-14 横リブ単体の面外振動モード(361.3Hz) 図-15 BPF 処理(20-100Hz)した応力波形 図-16 箱断面の振動モード(41.2Hz) 0 100 200 300 400 500 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

振幅 (N/mm

2

/Hz)

周波数 (Hz)

一般部 継目部 0 2 4 6 8 10 0 1 振幅 周波数 353.8Hz 44.0Hz (イ) (ウ) (ア) (ア) 変位 視差方向(変形前) 7.9 8 8.1 8.2 8.3 -30 -20 -10 0 10 20 30 A:横リブ(中央) B:横リブ(端部) C:コバ(上側) D:コバ(下側) 応力 ( N/ mm 2 ) 時間 (sec) 継目での衝撃 変位 視差方向(変形前)

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上のC・D で波形形状が一致しており,A・B および C・ D で逆位相である.また横リブ上の応力の大きさは,中 央A の方が端部 B よりも大きい.これは,台車毎に生じ る準静的な応力(図-11)と同様の傾向であり,横リブ は断面内で床組としてたわんでいることが示唆される. さらに,成分(イ)の周波数帯と同程度の周波数帯に存 在する床組のたわみの固有振動モードは,図-16 に示す 箱断面の変形と連成した床組のたわみ振動モードであり, 図-15 の応力性状とも整合性がある. 以上より,レール継目での衝撃により励起される成分 (イ)を生じさせる主たる振動は,箱断面の変形と床組 のたわみが連成した振動モード(以下,箱断面の振動) であると推定される.なお,箱断面の振動成分にスペク トルのピークが比較的多数存在したのは,図-17 に示す ように腹板の変形次数や床組の橋軸方向の変形範囲が異 なった,横リブに対しては一次のたわみとなる固有振動 モードが比較的狭い周波数帯に複数存在していたからで あると推察される. なお,本橋梁においては,図-18 に示すようにまくら ぎと上フランジの橋軸直角方向の接触長さが 600mm で あり,腹板の板厚中心よりも内側の広範でまくらぎと上 フランジが接触していたことや,横リブに下フランジが 無く,床組としての剛性が低かったこと等が箱断面の振 動モードの励起へ影響している可能性がある.これらに ついては,今後分析の深度化を図っていく予定である. 4. レール継目での衝撃が疲労に及ぼす影響 本章では,箱桁床組の疲労に及ぼすレール継目の影響 を,最大応力範囲(Δσmax)と応力範囲(Δσ)の繰り返し 数に着目した三乗和(ΣΔσ3(以下,疲労損傷度)を評価 項目とし,継目での衝撃により励起される箱断面の振動 や面外振動の影響度,影響範囲等に着目して評価する. なお,応力範囲の頻度計数にはレインフロー法を用いた. また,衝撃により励起される各振動成分の抽出は,図- 19 に示すように行った.ここでは,窓関数を矩形窓とし たデジタルフーリエ変換により,周波数領域でフィルタ ー処理をした. 4.1 継目の影響の断面・継手種類・継手位置による傾向 (1) 断面毎の傾向 断面毎の傾向について,RJ-1 および RJ-2 の測点 B に 対する応力測定結果の比較により評価する.図-20,図 -21 に示すのは,RJ-1 および RJ-2 の継目部で測定した 縦リブ・横リブ交差部(測点B)における最大応力範囲 と疲労損傷度の増加率である.図-20 には縦リブ・横リ ブ交差部(測点A)における最大応力範囲を,図-21 に はRJ-1 の縦リブ・横リブ交差部(測点 A),RJ-2 の横リ ブ突合せ溶接部(測点F),垂直・水平補剛材交差部(測 点H)における疲労損傷度の増加率(ΣΔσ3/ΣΔσ(ア)3)を併 せて示している.図-20 の継目の影響とは,最大応力範 図-19 縦リブ・横リブ交差部の応力波形から各成分を抽出した方法 (a)41.2Hz 腹板2 次 (b)59.5Hz 腹板3 次 (c)75.4Hz 腹板4 次 図-17 箱断面の変形に起因する床組の固有振動 モード(黒線:変形前) 図-18 まくらぎと上フランジの接触長さ 図-18 まくらぎと上フランジの接触長さ 応力 時間 (ア) 応力 時間 (ア) 応力 時間 (イ) 応力 時間 (ウ) 応力 時間 測定値 準静的 10Hz以下 の成分 面外振動 200~500Hz の成分 箱断面の振動 20~100Hz の成分 DFTにより 周波数領域に対し フィルター処理 元波形の例 フィルター処理後の波形の例 左点線部拡大 1編成通過 準静的 +箱断面の振動 準静的 +面外振動 応力 時間 (イ) 応力 時間 (ウ) 応力 時間 (ア)+(ウ) 応力 時間 (ア)+(イ) 測定値 変位 まくらぎと上フランジの 橋軸直角方向の接触長さ

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囲について,図-19 に示す準静的な成分に対する測定値 の比を示したものである.また,図-21 の縦軸は,疲労 損傷度について,図-19 に示す準静的な成分に対する比 を準静的+箱断面の振動,準静的+面外振動,測定値(≒ 準静的+箱断面の振動+面外振動)について示したもの であり,図-20 同様に継目の影響を直接的に評価できる ようにした. 図-20 の断面が異なる RJ-1(測点 B),RJ-2(測点 B) の最大応力範囲は,準静的な成分は同程度であるのに対 して,測定値には20N/mm2程度の差が生じている.また, 図-21 の疲労損傷度の増加率は,RJ-1(測点 B)の測定 値で37.0 倍,RJ-2(測点 B)で 5.8 倍であり,RJ-1 と RJ -2 の断面では継目の影響に差異がみられる.最大応力範 囲,疲労損傷度の増加率について,箱断面の振動成分は RJ-1,RJ-2 で概ね同程度であるのに対し,面外振動成分 は最大応力範囲,疲労損傷度の増加率でRJ-1 と RJ-2 の 差異が大きい.つまり,継目の影響は断面毎の差異が大 きいと言え,本橋におけるRJ-1 と RJ-2 に生じていた継 目の影響の差は,面外振動の励起に起因するものと考え られる. なお,本測定でのサンプリング周波数は1kHz として いるが,これは疲労き裂の主たる原因が箱断面の振動の ように数十Hz 程度の部材振動であると当初想定してい たことによる.1kHz のサンプリングでは,350Hz 程度の 面外振動の個々の波の最大値まで捉えられておらず,図 -21 で示すような疲労損傷度については過少に評価し ている可能性があることを付記しておく. (2) 継手種類毎の傾向 同一断面内での継手種類毎の疲労損傷度の増加率を比 較し,継目の影響の傾向を評価する.図-21 に示す RJ-2 継目部における縦リブ・横リブ交差部(測点 B),横リ ブ突合せ溶接部(測点 F)および垂直・水平補剛材交差 部(測点H)の疲労損傷度の増加率は,本稿の対象橋梁 においては,垂直・水平補剛材交差部が他の継手と比較 してやや大きい傾向にあった.一方でその増加率は, 1 の縦リブ・横リブ交差部(測点 A・B)と比較して RJ-2(測点 B)のいずれの継手においても遥かに小さい.つ まり,継目の影響は継手種類毎に異なる傾向にあるが, 相対的には断面毎の傾向の方が影響は大きいと考えられ る. (3) 継手位置毎の傾向 継目の影響の継手位置毎の傾向を,同一断面(RJ-1) の横リブ中央(測点A)と端部(測点 B)における測定 結果から評価する.図-20 の最大応力範囲と図-21 の疲 労損傷度の増加率について,箱断面の振動成分は中央(測 点A)の方が大きく,面外振動成分は端部(測点 B)の 方が大きい結果となった.前者は前述の箱断面の変形と 床組のたわみが連成した振動モードが主成分であり,端 部と比較して中央で大きい傾向は床組のたわみの応力性 状と一致している.また,後者は横リブ単体の面外振動 が主成分であり,加振点であるレール継目に近い端部の 方が大きい傾向は整合性があると考えられる.つまり, 縦リブ・横リブ交差部の疲労損傷度の増加率は,結果と してRJ-1 の中央と端部で同程度であったが,箱断面の振 動と面外振動が与える影響度は継手位置毎に異なってい るものと考えられる. 以上より,レール継目の影響は,断面・継手種類・継 手位置毎に異なる傾向にあるが,特に断面毎の影響が支 配的であると考えられる.断面毎の影響の大きさは,横 リブ単体の面外振動の励起の程度と関係があると考えら れる.なお,横リブ単体の面外振動が励起される要因と しては,今後分析の深度化を図る必要があるが,RJ-1 と RJ-2 において横リブ直上のまくらぎ位置やその接触状態, レール継目条件等が異なっており,これらの条件の違い が因子の一つである可能性がある. 4.2 継目での衝撃に影響を及ぼす諸因子 以降では,レール継目での衝撃によって生じる応力に 影響を及ぼす諸因子について,その影響度や影響範囲を 縦リブ・横リブ交差部の最大応力範囲に着目して評価す る. (1) 列車速度 図-22 に,継目 RJ-1 および RJ-2 の測点 A,測点 B に おける最大応力範囲と列車速度の関係を示す.継目部の 最大応力範囲は,列車速度の上昇に伴い増加する傾向に ある.一方で,一般部の最大応力範囲は,列車速度が上 図-20 縦リブ・横リブ交差部の最大応力範囲 図-21 各継手の疲労損傷度の増加 35.4 33.3 30.9 29.8 21.0 14.7 48.6 54.3 17.6 84.4 72.3 50.8 RJ-1(測点A) RJ-1(測点B) RJ-2(測点B) 0 20 40 60 80 100 最大応力範囲 ( N/ mm 2 ) 評価位置 準静的 箱断面の振動 面外振動 測定値 RJ-1 RJ-2 2.4倍 2.2倍 1.6倍 継目の影響 継目の影響 継目の影響 5.7 2.8 3.2 3.8 3.3 18.0 30.6 3.1 1.7 3.8 32.5 37.0 5.8 5.7 9.3 RJ-1(測点A) RJ-1(測点B) RJ-2(測点B) RJ-2(測点F) RJ-2(測点H) 0 10 20 30 40 疲労損傷度の増加率 ΣΔσ 3 / ΣΔσ (ア ) 3 ) 評価位置 準静的+箱断面の振動 準静的+面外振動 測定値 縦リブ・横リブ交差部 横リブ 突合せ溶接部 補剛材交差部垂直・水平 RJ-1 RJ-2

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昇しても概ね同程度である.つまり,列車速度はレール 継目での衝撃に及ぼす影響が大きいと考えられる. 次に,列車速度の上昇に影響される振動モードについ て考察する.図-23 に示すのは,RJ-1 および RJ-2 の継 目部で測定した最大応力範囲と列車速度の関係であり, 図-19 のフィルター処理を施し,箱断面の振動,面外振 動の各成分について示している.図-23(a)より,箱断面 の振動成分は速度が上昇しても概ね一定であるが,図- 23(b)より,面外振動成分は速度の上昇とともに増加する 傾向にある.つまり,列車速度の上昇は,縦リブ・横リ ブ交差部の面外振動成分の増加に影響を及ぼしやすく, 結果として本橋梁の縦リブ・横リブ交差部の最大応力範 囲を増加させていたものと考えられる. (2) レール継目からの距離 図-24 に,RJ-1 および RJ-2 の測点 A に対する最大応 力範囲とレール継目からの距離の関係を示す.なお, RJ-2 の継目部(測点 A)においては,既に縦リブ・横リブ交 差部に疲労き裂が生じていたため測定点を設けていない. 継目部の最大応力範囲は,列車速度や軸重等の影響によ り幾分ばらついてはいるものの,一般部と比較していず れの測定試番においても大きい.つまり,レール継目か らの距離がレール継目での衝撃に及ぼす影響は大きいと 言える. 次に,振動の影響範囲について考察する.図-25 に示 すのは,図-19 に示すフィルター処理により抽出した各 振動成分の最大応力範囲である.最大応力範囲は,レー ル継目直下,5m,10m 位置でそれぞれ示している.前述 のとおり,レール継目からの距離が及ぼす影響は大きい と言え,その影響はレール継目からの距離が離れるに従 って低下するものと考えられる.図-25 の最大応力範囲 について,箱断面の振動成分は継目から5m,10m 位置で 同程度である.これは,箱断面の振動成分は,継目から 5m 位置において,継目の影響が十分に収束していること を示唆しており,図-16,図-17 に示す箱断面の振動に より生じる床組のたわみの変形範囲が,横リブを中心に 片側3~6m 程度であることと同様の傾向にある.また, 面外振動成分については,10m 位置の応力範囲よりも 5m 位置の方が若干大きいもののその差は僅かであり,レー ル継目での衝撃により概ね5m 程度の範囲にある横リブ 図-25 箱断面の振動成分,面外振動成分の影響範囲 図-22 列車速度の影響 (a)箱断面の振動成分 (b)面外振動成分 図-23 列車速度が与える各成分への影響 図-24 レール継目からの距離の影響 0 5 10 15 0 20 40 60 箱断面の振動 RJ-1(測点A) RJ-2(測点A) 面外振動 RJ-1(測点A) RJ-2(測点A) 最大応力範囲 ( N/ mm 2 ) レール継目からの距離 (m) 継目部※一般部 4.9m 9.9m 一般部 ※測点Aに き裂あり 継目部 一般部 5.3m RJ-1 RJ-2 0 20 40 60 80 100 120 0 20 40 60 80 100 継目部 RJ-1(測点A) RJ-1(測点B) RJ-2(測点B) 一般部 RJ-1(測点A) RJ-2(測点A) 最大応力範囲 ( N/ mm 2 ) 列車速度 (km/h) 継目部 一般部 0 20 40 60 80 100 120 0 20 40 60 80 100 継目部 RJ-1(測点A) RJ-1(測点B) RJ-2(測点B) 最大応力範囲 ( N/ mm 2 ) 列車速度 (km/h) 0 20 40 60 80 100 120 0 20 40 60 80 100 継目部 RJ-1(測点A) RJ-1(測点B) RJ-2(測点B) 最大応力範囲 ( N/ mm 2 ) 列車速度 (km/h) RJ-1 RJ-2 0 5 10 15 0 20 40 60 80 100 RJ-1(測点A) RJ-2(測点A) 最大応力範囲 ( N/ mm 2 ) レール継目からの距離 (m) 一般部 継目部 疲労限(F等級) 継目部※一般部 4.9m 9.9m 一般部 ※測点Aに き裂あり 継目部 一般部 5.3m RJ-1 RJ-2

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が影響を受け,面外振動を生じていたものと考えられる. ただし,振動成分の低下程度は,箱断面の振動よりも面 外振動の方が大きい傾向にあった.なお,図-25 中の 5N/mm2程度の応力成分は,車両動揺や軌道不整等の継目 での衝撃とは異なる影響による振動成分であると推察さ れる. 以上より,レール継目からの距離がレール継目での衝 撃に及ぼす影響は大きい.なお,レール継目での衝撃の 影響範囲は,本稿の対象橋梁においては箱断面の振動と 面外振動で概ね同程度であり,その影響は 5m 程度であ った. 本章では,箱桁床組の疲労に及ぼすレール継目の影響 を,断面・継手位置・継手種類毎に評価した.その結果, レール継目の影響は,断面毎の影響度の差が非常に大き く,その差は面外振動の励起と関係するものと考えられ る.面外振動の励起の程度は,継手位置や列車速度,レ ール継目からの距離等に応じて異なっており,箱断面の 振動と比較してレール継目での衝撃に影響を及ぼす諸因 子に対する感度が比較的高い可能性がある.これについ ては,今後分析を深度化していく. 5. 結論 本稿では,在来線の箱桁を対象に現地応力測定を行い, 一般部と継目部の応力性状の比較等により,レール継目 での衝撃が箱桁の床組の疲労に及ぼす影響を評価した. 本稿により得られた知見を以下に示す. 1) レール継目での衝撃は,台車の移動による横リブの たわみにより発生する応力に,衝撃に励起される振 動に起因すると考えられる比較的高周波の応力を 重畳させることで縦リブ・横リブ交差部をはじめと する床組の発生応力を増加させる. 2) レール継目での衝撃により励起される主な振動は2 つあり,1 つは横リブ単体の面外振動,もう 1 つは 箱断面の変形と横リブのたわみが連成する振動モ ードであると考えられる. 3) 箱桁床組の疲労に及ぼすレール継目での衝撃の影 響は,継手毎に異なっているものと考えられるが, 相対的には断面毎の差異が非常に大きい.本稿で対 象とした橋梁においては,横リブの面外振動の励起 による繰り返し数の増加がその要因となっていた ものと考えられる. 4) 列車速度は,レール継目での衝撃によって生じる応 力に影響を及ぼしている.本橋においては,速度の 上昇とともに横リブ単体の面外振動の励起の程度 が大きくなることで最大応力範囲が増加したもの と考えられる. 5) レール継目からの距離は,レール継目での衝撃によ って生じる応力に影響を及ぼしており,その影響は, レール継目からの距離が離れるに従い,振動モード に応じた低下傾向を示す. 謝辞 現地応力測定の計画・実施にあたっては,東日本旅客 鉄道株式会社 構造技術センターの石澤俊希氏,八王子土 木技術センターの関係者の皆様より多大なご協力を頂き ました.ここに記して心より謝意を表します. 参考文献 1) 桃谷尚嗣,堀池高広:車輪走行によるレール継目部の 衝撃荷重の評価,鉄道総研報告, Vol.19,No.2,pp.29-34,2005. 2) 寺下善弘,辰巳光正:レール継目部の継目落ちを改善 する,RRR,Vol.69,No.6,pp.24-27,2012. 3) 幸田真也,坂田鷹起:斜角を有する鋼鉄道橋箱桁の応 力調査,土木学会第74 回年次学術講演会,Ⅰ-202, 2019. 4) 丹間泰郎,野中大輔,中嶋啓助,田辺勉:在来線上路 プレートガーダーにおける疲労損傷調査,土木学会第 61 回年次学術講演会,Ⅳ-328,pp.653-654,2006. 5) 杉本一朗,三木千壽,市川篤司,伊藤裕一:高速走行 下での鋼鉄道箱桁の動的挙動と補剛材下端部の応力, 構造工学論文集,Vol. 43A,pp.1003-1012,1997. 6) 宮下剛,石井博典,藤野陽三,庄司朋宏,関雅樹:レ ーザー計測を用いた鋼鉄道橋の高速走行により発生 する局部振動の把握と列車速度の影響,土木学会論文 集A ,Vol. 63,No.2,pp.277-296,2007. 7) 田辺篤史,関雅樹,松浦章夫:3 次元動的解析を用い た鋼トラス橋梁における著大輪重の影響評価,構造工 学論文集,Vol. 56A,pp.806-816,2010. 8) 田辺篤史,関雅樹,松浦章夫:高速列車通過時におけ る著大輪重発生メカニズムと要因分析および鋼橋の 疲労に関する研究,構造工学論文集,Vol. 57A,pp.780-787,2011. 9) 藤川義人,金谷大樹,佐藤浩二:単連トラス橋におけ る歩道腕材取付部き裂の原因究明と対策,土木学会第 65 回年次学術講演会,Ⅰ-119,pp.237-238,2010. 10) 池頭賢,丹羽雄一郎,竹内傑,松本健太郎,七村和明: 鋼箱桁内部の変状調査と効果的な対策工法の検討,土 木学会第73 回年次学術講演会,Ⅰ-434,pp.867-868, 2018. 11) 佐々木真紀,小菅匠:鋼鉄道橋(箱型上路鈑桁)の内 部リブ等に複数発生したき裂変状の分析と対策,土木 学会第73 回年次学術講演会,Ⅵ-748,pp.1495-1496, 2018. 12) 山下雄也,窪田利幸:鋼鉄道橋の箱桁ダイヤフラムに 発生した疲労き裂について,土木学会第74 回年次学 術講演会,Ⅵ-726,2019. 13) 大島博之,窪田利幸:鋼鉄道橋の箱桁ダイヤフラム付

(11)

近に生じた変状の原因推定,土木学会第74 回年次学 術講演会,Ⅵ-727,2019. 14) 丸善:鉄道構造物等設計標準・同解説 鋼・合成構造物, 2009. 15) 土木学会:建造物設計標準解説,1983. 16) 共立出版:詳解 振動工学,2010. (2020 年 9 月 15 日受付) (2021 年 2 月 1 日受理)

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