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非球面音響反射板を用いた音場収録
Sound Field Recording with Aspherical Acoustic Reflector
1W090552-4 栁沼 啓太 指導教員 及川 靖広 教授
YAGINUMA Keita
Prof. OIKAWA Yasuhiro
概要: 本研究は,光学レンズの収差補正によく用いられている非球面形状を音響反射板に応用することにより,反射 波の交点のずれ,すなわち音波の「収差」を補正し,より音場収録に適した音響反射板を設計したものである.具体的 には,光学の設計手法に則り,幾何光学における収差係数を
DLS
法(Damped Least Squares method)によって最適化す ることにより,非球面形状を設計した.さらに,設計した非球面反射板の有用性について検討するため,実際に非球面 音響反射板を製作し,製作した非球面音響反射板を用いた音場収録実験を行い,パラボラリフレクタとの比較を行った.キーワード: 音響反射板,非球面形状,音場収録
Keywords: Acoustic reflector, Aspherical shape, Sound field recording
1.
はじめに本研究室では,音響テレビなど,音響反 射板を用いた音場情報の収録手法が研究 されてきた[1].音響反射板による音場収 録の利点として,観測したい範囲に対して 実際に収録が必要な範囲が狭くて済むこ と,音の到来方向という情報を保持したま ま収録ができることが挙げられる.しかし,
従来用いられてきたパラボラリフレクタ は,反射板によって集束される音波が一点 に集束せず,音波の収差が発生している.
本研究では,音響反射板に非球面形状を応 用することにより音波の収差を補正し,音 場の収録に適した音響反射板の設計を目 指した.
2.
非球面反射板非球面とは多項式で表わされる球面で ない曲面のことで,放物面や双曲面,楕円 面,4次曲面などのことである.
非球面形状は,回転軸からの距離
h
を用 いて,
C
ih
ir h k r z h
2 2 2
) 1 ( 1
1 (1)
のように表わすことができる.これを非球 面式という.
式(1)の右辺第
1
項はおおまかな曲面の 形状を表す項で,rは中心における曲率半 径である.また,kは円錐定数と呼ばれる 無次元量であり,その値によって,式(1)の右辺第
1
項が表す曲面の形状が
) 1 (
) 1 (
) 1 (
k k k
双曲線 放物線 楕円(2)
のように決定される.
式(1)の右辺第
2
項は主に曲面の外縁の 形状に関わる項であり,この項の係数,及 び指数を最適化することにより,収差を小 さくすることができる.また,式(1)のパラメータによって幾何 光学における収差係数が決定され,光学レ ンズの自動設計においてよく用いられて いる
DLS
法[2]を用いてパラメータの最適 化を行った.3.
設計した非球面音響反射板式(1)において
k=-1
とし,基本形状を放 物面とした.また,i=4なる4
次の補正項 を用い,4 4 2
2 r C h
z h (3)
と表わされる形状とした.最適化の結果,
r=22.16, C
4=1.66×10
-8と決定した.また,比較のため用いたパラボラリフレクタは,
式(3)より補正項を除いた形状である.
3D
プリンタを用いて非球面音響反射板 とパラボラリフレクタを製作した.4.
収録実験図―1に示すように,スピーカを反射板
2
の中心から正面1m
の位置に設置した.ツ イータから中心周波数4kHz
のオクターブ バンドノイズを流し,マイクロホンを移動 させながら図―1に示す6×6
点における 音圧レベルを記録した.実験風景を図―2 に示す.図―1 実験装置概要図
図―2 実験風景
実験結果を図―3に示す.ただし,ここ での音圧レベルは観測された音圧レベル の実効値である.
非球面反射板により集束された音波は 特に図―1の
x
方向の音圧レベルに大き な変化が見られ,音圧レベルのピークがよ り狭くなっている様子が確認できた.実験 結果より,今回設計した非球面音響反射板 によって集束された音波は,パラボラリフ レクタによって集束された音波に比べ,よ り収差が少なくなっていると言える.(a)非球面音響反射板
(b)パラボラリフレクタ
図―3 観測された音圧レベルの実効値
5.
むすび今回,音波の収差の補正を目指し非球面 音響反射板を設計し,音場収録実験による 評価を加えた.その結果,音圧レベルの分 布から音圧のピークがより狭くなってい ることが確認でき,音波の収差を補正でき たと言える.
光学レンズの収差補正にレンズの組み 合わせがよく用いられていることから,音 波においても反射板の組み合わせによっ て音波の収差の補正が可能であると考え られる.
参考文献