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論文 帯鉄筋に

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(1)

論文 帯鉄筋に PC 鋼より線を用いた鉄筋コンクリート橋脚の耐力および 変形性能

黒岩 俊之*1・大滝 健*2・下司 弘之*3・福手 勤*4

要旨:インターロッキング式配筋橋脚への適用を視野に入れ,従来の帯鉄筋の代替として

PC

鋼より線を横拘束筋に適用した橋脚の耐力および変形性能等を正負交番載荷実験によって 調べた。その結果,PC 鋼より線は,従来の帯鉄筋と降伏強度の比率で,横拘束筋の体積比 が等価となるように配置することによって,同等の曲げ変形性能を得られることが明らかと なった。また,インターロッキング式配筋において,フープ筋をフープ直径の

25%重ね合わ

せた場合では,部分的に重ね合わせたフープ筋は一体となってせん断力に抵抗し,せん断耐 力は道路橋示方書による計算値を上回った。

キーワード:インターロッキング式配筋,PC 鋼より線,横拘束筋,耐力,変形性能

1.

はじめに

インターロッキング式配筋とは,円形帯鉄筋 あるいは円形スパイラル筋を部分的に重ね合わ せて横拘束筋とするものである。既往の研究 1) によれば,インターロッキング式配筋を矩形断 面の橋脚に用いることにより,円形帯鉄筋の優 れたコンクリート拘束効果が期待できるため,

中間帯鉄筋を使用する在来型の配筋に比べて少 ない帯鉄筋量で,同等の変形性能を有すること が明らかになっている。

一般に,インターロッキング式配筋において 施工の省力化を図るためには,横拘束筋として 円形スパイラル筋を用いることが望ましい。し かしながら,国内における円形スパイラル筋に は,製造,加工上の制約があり,現状で使用可 能なスパイラル筋は,鉄筋径

D19

以下かつ直径

3.0m

程度以下となる。そのため,国内では数件 の大断面橋脚に対して施工実績があるものの,

通常の円形帯鉄筋を採用している。

筆者らは,大断面橋脚においても,インター ロッキング式配筋の構造的メリットを生かしつ つ,施工性の向上を図るため,円形スパイラル

筋の代替として,高強度かつ柔軟で長さにもほ ぼ制限のない

PC

鋼より線に着目し,耐力および 変形性能を検証する模型実験 2)を実施している が,設計にフィードバックするには実験データ が少ないのが現状である。

以上のことを踏まえ,本研究では,PC鋼より 線をインターロッキング式配筋に適用するため に必要な基礎データを得る目的で,PC鋼より線 の適切な補強量およびせん断耐力を検証するた めの実験を行った。

2.

実験概要

2.1

試験体

試験体諸元および形状・配筋図をそれぞれ表

1

および図-

1

に示した。

短辺方向のインターロッキング式配筋は,複 数の円形配筋の集合体と考えられることから,

1要素としての円柱試験体を用いて等価帯筋体 積比と曲げ性能の関係を検証した。No.1は,横 拘束筋に鉄筋を用いた比較用の試験体であり,

既往の研究1)を参考にして,塑性率(終局変位/

降伏変位)が 6 程度となるように帯筋体積比

*1

東急建設(株) 技術研究所土木研究室 工修

(正会員)

*2

東急建設(株) 土木エンジニアリング部課長 工博

*3

国土交通省関東地方整備局 横浜港湾空港技術調査事務所所長 工修

*4

東洋大学 工学部環境建設学科教授 工博

(正会員)

コンクリート工学年次論文集,Vol.28,No.2,2006

(2)

Dh

di/Dh=0.75 帯鉄筋 di

図-2 重なり合う 帯鉄筋の中心間隔

(ρs)を0.3%とした。No.2~4は,横 拘 束 筋 にPC鋼 よ り 線 及び ピ ア ノ 線

(以後,PC鋼線)を用いた試験体で あり,等価帯筋体積比3)(ρseq)を

0.15%, 0.30%, 0.45%の3種類とした。

また,No.5,6は,それぞれ

No.2,3

に対して等価帯筋体積比を同等とし て,PC鋼線の巻付け間隔を125mmか ら65mmに狭めた試験体であり,巻付 け間隔の影響を検討するものである。

長辺方向については,せん断耐力の 観点から,2連のインターロッキング 式配筋試験体(No.7)を用いてフープ 筋間のせん断伝達能力を検証した。等 価帯筋体積比は,破壊形式がせん断破 壊型になるように

0.25%とした。

なお,等価帯筋体積比は式(1)によ り算出した。

pc s s wy

pc eq wy

s

f

f ρ

ρ = × (1)

:円形帯鉄筋の降伏強      

鋼より線の降伏強度

     

鋼より線の帯筋体積比

     

:等価帯筋体積比 ここで、 

s wy

pc wy pc s eq s

f

f PC

ρ PC ρ

No.1~6

の断面寸法は,入手可能な

PC

鋼線と 等価帯筋体積比および試験機の性能を考慮して 直径

800mm

とした。また,No.7 は短辺長さ

800mm

の小判形とし,長辺長さは部分的に重ね

合わせたフープ筋の中心間隔がフープ直径の

0.75

倍(重ね合わせ量が

25%)程度となるよう

にした(図-2)。

軸方向鉄筋は,実構造物を参考にして,軸方 向鉄筋比が

1.8%程度になるように配置した。横

拘束筋の種別,径および巻付け間隔は,表-

2

に示す使用鋼材の引張試験結果に基づき,実験 パラメータに準じて決定した。実験時のコンク リート強度一覧を表-1に示した。コンクリート の粗骨材の最大寸法は

13mm

とした。

2.2

実験方法

図-3に試験装置を示した。試験体はフーチン

グ部を反力床に固定し,

試験体頂部に取付けた

1470kN

アクチュエー タによって正負交番漸 増載荷した。載荷サイ クルは,まず曲げひび

表-1 試験体諸元

幅 せい シアスパン コンク

B D a

径 鉄筋比 規格 等価体積比 リート (a/D) 規格 (体積比)圧縮強度

mm mm mm

本数 % 径@ピッチ

N/mm

2

SD295A 0.304 D10@125 (0.304)

3.5mm×1 0.157 φ3.5@125 (0.041)

D22 2.9mm×2 0.300

SD345 φ5.8@125 (0.057)

24本 2.9mm×3 0.433

φ6.25@125 (0.085) 2.3mm×1 0.146 φ2.3@65 (0.034) 3.5mm×1 0.302 φ3.5@65 (0.080) 2.9mm×2 0.250 φ2.9@150 (0.047)

注) ILP:インターロッキング式スパイラル配筋

41.6 39.1 40.3 36.8 41.0 38.5 39.2

1.89 5

φ 800

 

7

I L P

800 1

2 3 4

2700

(2.0)

2700

(3.4)

1350

1.85

6

横拘束鉄筋 軸方向鉄筋

No.

D22 SD345

46本

表-2 鋼材引張試験結果一覧

種類 呼び名 降伏応力度 引張強度 伸び

降伏ひずみ

ヤング係数

(N/mm

2

) (N/mm

2

) (%) (µ) (kN/mm

2

) SD345 D22 371 560 25 1890 196

SD295A D10 364 510 18 1960 186

SWP-B φ2.3 1729 1925 - 10780 197

SWP-A φ3.5 1403 1730 - 8860 205

SWPR2L

2.9mm2本より

1957 2015 8.3 10110 194

SWPD3L

2.9mm3本より

1897 2011 7.7 10430 224

注)ピアノ線・PCより線の降伏は、0.2%オフセット値

1x3.5@125 2x2.9@125 3x2.9@125 24-D22

24-D22

No.2 1x3.5@125 No.3 2x2.9@125 No.4 3x2.9@125

9802300800 8902300710

800

94 30

24-D22 No.1 D10@125 800

30

載荷方向

2x2.9@150

46-D22 2x2.9@150

46-D22 1350

800

550

30 92

8902300710

No.5 1x2.3@65 No.6 1x3.5@65 単位(mm)

No.2~4 No.7

図-

1

試験体配筋図

(3)

割れ荷重および初降伏荷重(Py0)の計算 値に達するまで各

1

回を繰り返し,続い て変位塑性率δ/δy=1,

2, 3, 4, 6, 8・・

の各変位において

3

回繰り返す方法とし た。降伏変位δyは,道路橋示方書 4)に基 づき式(2)により決定した。

0 0

y y

u

y

P

P δ

δ = ⋅ (2)

変位)

が降伏ひずみに達した       のひずみ

(最外縁主筋

:初降伏変位の実測値      

算値

:初降伏水平耐力の計      

:終局水平耐力の計算   

ここで、   

yo y0

δ P P

u

軸力は,上部工荷重と橋脚自重によって柱脚 断面に生じる軸圧縮応力度を想定し,圧縮応力 度(0.5MPa)を,PC鋼棒と油圧装置を用いて試 験体頂部に導入して一定となるように制御した。

3.

実験結果

3.1

円形試験体(No.1~6)

(1)

破壊性状

試験体の最終破壊状況を写真-1に,写真-2 に

PC

鋼線の破断状況を示した。

y までは,各試験体の曲げひび割れの発生,

曲げせん断ひび割れの発生などの進展状況に違 いはなかった。

y以降において,帯鉄筋を用いた

No.1

と等 価帯筋体積比および巻付け間隔が同等の

No.3

を 比較すると,No.3 のせん断ひび割れ幅がやや大 きく,また,No.1 は

yの繰返しで軸方向鉄筋 が座屈し,帯鉄筋のフックが抜出して柱脚部の コンクリートが広範囲に剥落したのに対して,

No.3

では

8 δ

yの

1

回目の繰返しで軸方向鉄筋が 座屈し,PC鋼線が破断して,柱脚部の曲げ破壊 に至った。これは,PC鋼線の破断伸びが鉄筋よ りも小さいことに起因している(表-

2

参照)。

等価帯筋体積比を

0.45%に増加させた No.4

は,

No.3

に比較してせん断ひび割れ幅が小さい傾向 を示したが,8 δy

2

回目の繰返しで

PC

鋼線が 破断して,曲げ破壊に至った。一方,No.3 に対 して巻付け間隔を狭めた

No.6

は,6 δy

3

回目 の繰返しで

PC

鋼線が破断して,座屈を伴いコン

クリートが剥落した。一般に,PC鋼線は線径が 太いものほど,折曲げ受けた状態での引張強度 の低下率が大きくなる性質を持っている。No.6 に用いた

PC

鋼線(線径

3.5mm)は,No.3

(線径

2.9mm)より太いこと,実験における PC

鋼線は,

試 験 体 の 寸 法 に 合 わ せ て 比 較 的 小 さ い 直 径

(740mm)で軸方向鉄筋に巻付けた状態にある ことから,座屈した軸方向鉄筋による折曲げを 受けた結果,引張強度が低下した可能性が考え られる。

また,等価帯筋体積比を

0.15%に減少させた No.2,5

は,曲げ降伏後,No.5 が

6 δ

y

1

回目 の繰返しで,

No.2

6 δ

yの

2

回目の繰返しで

PC

軸力用PC鋼棒 反力壁 軸力載荷用油圧ジャッキ

(一定軸力に制御)

固定用PC鋼棒 1470kNアクチュエータ

単位(mm)

3700

2500 反力床

1000

5000

2700

1200

1800

800

1000

図-

3

載荷装置(円形試験体)

載荷方向

- +

No.1 No.2 No.3

写真-

1

最終破壊状態

+ 載荷方向 

断面図 +載荷圧縮面 写真-2

PC

鋼線の破断(No.4)

PC

鋼線の破断

3

本よりの内

2

本の破断

(4)

鋼線が破断して斜めひび割れが増大し,せん断 破壊に移行した。

(2)

耐力および変形性能

表-3 に各試験体の耐力および変形性能の一 覧を示した。図-4に

No.1, 3

の荷重~変形の履 歴曲線を,図-5に各試験体の包絡線を示した。

各試験体の最大耐力は,等価帯筋体積比の違 いに関わらず,道路橋示方書により算定される 曲げ耐力とほぼ等し

くなった。

No.1, 3, 4,

6

が曲げ破壊,

No.2, 5

が曲げ降伏後のせん 断破壊という結果は,

道路橋示方書により 試算した破壊形式に 一致した。道路橋示方 書により算定した曲 げ耐力を下回る変位

を試験体の限界変位として評価した場合,等価 帯筋体積比の増加に伴い限界変形が増加する傾 向を示した(図-

6

)。また,等価帯筋体積比が

0.3%以上で,塑性率 6.0

以上を有する結果は,

インターロッキング式

RC

橋脚の実験1)において も報告されている。

一方,PC鋼線の巻付け間隔が耐力および変形 性能に及ぼす影響については,本実験において

表-3 実験結果一覧

曲げ耐力 降伏 降伏 限界変 塑性 破壊

(道示) 道示 土木学会 道示 土木学会 荷重**変位 位*** 形式

kN kN kN kN mm mm µ

1 424 505 552 1.19 1.30 365 16.8 470 (1.11) 126 7.5 F 2 424 400 439 0.94 1.04 363 17.5 444 (1.05) 99 5.7 FS 3 424 505 556 1.19 1.31 356 17.6 454 (1.07) 111 6.3 F 4 424 616 670 1.45 1.58 359 17.1 455 (1.07) 136 8.0 F 5 424 403 442 0.95 1.04 369 17.3 438 (1.03) 68 4.0 FS 6 424 511 558 1.21 1.32 366 17.1 438 (1.03) 102 5.9 F

*道示:道路橋示方書4),土木学会:a/Dの効果を考慮5)

<破壊形式>F:曲げ破壊、FS;曲げ降伏後のせん断破壊、S;せん断破壊

**降伏荷重は、変位16.5mm時点の荷重とした

***限界変位は、曲げ耐力(道示)を下回る時点の変位とした

せん断耐力*

No.

曲げせん断耐力比 最大荷重

(/曲げ耐力)

kN

-200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 -600

-500 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 500 600

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

荷重(kN)

水平変位(mm)

No.1

塑性率 δ/δy

-200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 -600

-500 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 500 600

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

荷重(kN)

水平変位(mm)

No.3

塑性率 δ/δy

-200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200

-600 -500 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 500 600

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

No.1(D10@125) No.2(3.5x1@125) No.3(2.9x2@125) No.4(2.9x3@125) No.5(2.3x1@65) No.6(3.5x1@65) 道路橋示方書(No.1)

荷重(kN)

水平変位(mm) 塑性率 δ/δy

注)塑性率は各試験体の平均値   δy=17.2mmを用いて算出

図-

4

荷重-水平変位の履歴(

No.1

No.3

) 図-

5

荷重-水平変位の包絡線

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

No.1(D10@125) No.2(3.5x1@125) No.3(2.9x2@125) No.4(2.9x3@125) No.5(2.3x1@65) No.6(3.5x1@65)

限界変位(mm)

等価帯筋体積比(%)

塑性 δ/δy

注)塑性率は各試験体の平均値   δy=17.2mmを用いて算出

0 200 400 600 800 1000 1200

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 φu:No.1

曲率(1/m)

柱高(mm)

No.1(D10@125) No.2(3.5x1@125) No.3(2.9x2@125) No.4(2.9x3@125)

柱脚

Lp

-500 0 500 1000 1500 2000 2500

-2000 0 2000 4000 6000

(+) (-)

軸方向鉄筋ひずみ(μ)

柱高(mm)

εy=1890μ

柱脚

hi セグメント i

l

δni δsi

変位計 全ネジボルト

緩衝材 軸方向鉄筋 アングル

i si

i nilh

δ φ =δ − 曲率: 

図-6 等価帯筋体積比と 図-7 曲率および軸方向鉄筋 図-8 曲率の 限界変位の関係 ひずみの分布(

y時) 計測方法

(5)

確認できず,前述した

PC

鋼線の折曲げ破断の影 響から,間隔を狭くした

No.6

の耐力低下を助長 する結果となった。

(3)

塑性ヒンジ長

図-7に

No.1~4

について,

6 δ

yにおける柱高 さ方向の曲率分布および軸方向鉄筋の引張ひず み分布を示した。図には,道路橋示方書による

No.1

の終局曲率(φu)および軸方向鉄筋の降伏 ひずみ(εy)を付記した。曲率は,図-8 に示 す方法により測定した。

曲率分布について,各試験体間で明確な差は 見られなかった。終局曲率を大きく超える曲率 は,道路橋示方書による塑性ヒンジ長の算定値

(Lp=400mm)の範囲に発生している。

軸方向鉄筋の引張ひずみは,等価帯筋体積比 の違いに関わらず,高さ方向に同様な分布形状 を示した。また,軸方向鉄筋のひずみが降伏ひ ず み に 達 し た の は , 橋 脚 基 部 よ り

1100mm

(1.4D:Dは断面高さ)の範囲であった。

(4)

帯鉄筋ひずみの分布

No.1~4

について,6 δyにおける帯鉄筋ひずみ の高さ方向の分布を図-9に示した。図には各試 験体に用いた帯鉄筋の降伏ひずみおよび載荷方 向とひずみ計測位置の関係を付記した。帯鉄筋 ひずみは,圧縮拘束面(主として軸方向鉄筋お よびコンクリートの拘束に起因するひずみ)お よび側面(主としてせん断ひび割れに起因する ひずみ)について計測した。

No.1

の帯鉄筋ひずみは,4 δyにおいて側面,

6 δ

yにおいて圧縮拘束面のひずみが降伏ひずみ に達したが,

No.3

の帯鉄筋ひずみは

6 δ

yまで弾 性域であり,ひずみレベル(ひずみ/降伏ひず み)は

No.1

に比べて小さくなった。同様な傾 向が既往の研究2)においても報告されており,

コンクリートとの付着の小さい

PC

鋼線のひずみが平均化している可能 性が考えられる。一方,No.2の側面 の帯鉄筋ひずみが増大しており,破 壊性状(曲げ降伏後のせん断破壊)

に一致した。

3.2

小判形試験体(No.7)

(1)

破壊性状

写真-

3

No.7

の最終破壊状況を示した。

No.7

は,曲げ降伏の後,せん断ひび割れが拡大して

PC

鋼線が破断し,3 δyにおいてせん断破壊に至 った。重ね合わせたフープ筋を分断する形状の ひび割れは観察されず,一体として挙動してい たと考えられる。

(2)

耐力および変形性能

表-4に

No.7

の最大耐力および道路橋示方書 によるせん断耐力の計算値を示した。図-10に

No.7

の履歴曲線を示した。

0 200 400 600 800 1000 1200

0 2 4 6 8 10 12

ひずみ(μ)

柱高さ(mm)

No.1(D10@125) No.2(3.5x1@125) No.3(2.9x2@125) No.4(2.9x3@125)

0 2 4 6 8 10 12

(+) (-)

(+) (-)

×10

3

ひずみ(μ)

D10

3.5x1 2.9x2

2.9x3

3.5x1 2.9x2

2.9x3 D10

×10

3

柱脚

a.圧縮拘束面のひずみ b.側面のひずみ

図-9 帯鉄筋ひずみの分布(6 δy時)

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 -1500

-1000 -500 0 500 1000 1500

-3 -2 -1 0 1 2 3

荷重(kN)

水平変位(mm)

No.7 道路橋示方書 土木学会

塑性率 δ/δy

写真-3 最終破壊 図-10 荷重-水平 状態(

No.7

) 変位の関係 表-4 実験結果一覧(No.7)

曲げ 降伏 最大 破壊

耐力 土木 荷重 荷重 形式

No.(道示) 合計

コンク 鉄筋 学会 道示 土木

(Ps0比)

kN Sc0+Ss

リートSc0

Ss

学会

kN kN

1337 (1.47)

*道示:道路橋示方書4),土木学会:a/Dの効果を考慮5)

<破壊形式>S:せん断破壊 道路橋示方書 Ps0

せん断耐力* (kN) 曲げせん断 耐力比

7 1396 908 540 369 975 0.65 0.70 1081 S

(6)

No.7

は道路橋示方 書による計算値以上の せん断耐力を有してい た。

図-11 に,3δyまで の試験体の全体変形に 対する曲げ変形とせん 断変形の関係を示した。

全体変形に占めるせん 断変形の割合は,せん 断破壊した

3 δ

yにおい

て増加している。また,せん断破壊に至るまで の全体変形に占めるせん断変形の割合は,既往 の実験 6)においてせん断破壊したインターロッ キング式

RC

橋脚の場合(20~30%)と概ね一致 した。

(3)

帯鉄筋ひずみ分布

帯鉄筋ひずみの高さ方向の分布を図-12に示 した。図には帯鉄筋の降伏ひずみおよび載荷方 向とひずみ計測位置の関係を付記した。

2 δ

y以降,側面のひずみが急激に増大し,重ね 合わせたフープ筋のひずみの増大点は,せん断 ひび割れの発生状況に合致した。同時にインタ ーロック部分(フープ筋が重なり合う部分)の ひずみが増大しており,重ね合わせたフープ筋 間のせん断伝達に対してインターロック部分が 有効に機能していたと考えられる。

4.

結論

本実験の条件下において,PC鋼より線を円形 スパイラル状にして横拘束筋として用いた鉄筋 コンクリート橋脚の耐力および変形性能は,帯 筋体積比を降伏強度の比率で換算することによ って,鉄筋を用いた場合と同様に評価すること が出来た。また,インターロッキング式配筋と した長辺方向のせん断耐力は,フープ筋をフー

プ直径の

25%重ね合わせた場合では,部分的に

重ね合わせたフープ筋は一体となってせん断力 に抵抗し,道路橋示方書の算定方法を用いて評 価することが出来た。

加えて,PC鋼線は折り曲げによる引張強度の 低下を防止する観点から,可能な限り素線の細 いものを用いることが望ましいと言える。

最後に,本研究は東京港臨海道路インターロ ッキング橋脚耐震性検討委員会の指導のもと実 施したものである。ここに,関係各位に感謝の 意を表します。

5.

参考文献

1)

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RC

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2)

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回年次学術講演会概要集

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3)

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回年次 学術講演会概要集

V,pp1122~1125,1998

0 5 10 15 20 25 30 35 40 0

5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

550 1 2 3

(+)載荷 (-)載荷

体変形めるせ断変形の割合(%)

全体変形(mm) 塑性率 δ/δy

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200

0 2 4 6 8 10 12

(-) (+)

NE SE

ひずみ(μ)

柱高さ(mm)

SE(1δy)

SE(3δy)

NE(1δy)

NE(3δy)

0 2 4 6 8 10 12

(-) (+)

NC SC

εy =10110μ

SC(1δy)

SC(3δy)

NC(1δy)

NC(3δy)

×10

3

ひずみ(μ)

εy =10110μ

×10

3

柱脚

図-11 せん断変形の割合 図-12 帯鉄筋ひずみの分布

参照

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