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有限要素解析による鉄筋腐食を伴う鉄筋コンクリート構造物の耐荷性能評価

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 有限要素解析による鉄筋腐食を伴う鉄筋コンクリート構造物 の耐荷性能評価 背 景 電力施設における既設コンクリート構造物の中には経年劣化事象が懸念されているものがある。これらの構 造物の健全性を合理的に評価するためには、経年劣化と構造性能の関係を明確にしていくことが重要な課題と なっている。こうした場合には、有限要素解析に基づく詳細な方法が有効となるが、材料劣化をモデル化して、 その影響を適切に考慮する必要がある。. 目 的 鉄筋腐食を伴う鉄筋コンクリート構造物の耐荷性能評価に用いる材料劣化の力学モデルを提案し、その適用 性を検証する。. 主な成果 1.鉄筋腐食に伴う材料劣化の力学モデルの提案 本力学モデルでは、まず、鉄筋については、鉄筋断面積と鉄筋の降伏強度を腐食量に応じてそれぞれ低減 することにより、腐食鉄筋の荷重変位関係とした。また、コンクリートと鉄筋の付着力低下をコンクリート の引張軟化曲線下の面積低減により考慮した(図 1)。さらに、鉄筋腐食に伴う腐食ひび割れを考慮するた めに腐食膨張ひずみを作用させることとした。 2.鉄筋腐食が生じた実規模鉄筋コンクリート構造物の載荷実験 載荷実験結果に基づいて、鉄筋コンクリート製(RC)ボックスカルバートでは、隅角部付近で鉄筋降伏 や斜めひび割れなどの損傷が生じても、塑性ヒンジが形成され荷重が再分配されるので、局所的な鉄筋腐食 が構造系の耐荷力に及ぼす影響は小さいことが分かった。 3.シミュレーション解析による適用性検証 上述の鉄筋腐食が生じた RC ボックスカルバートの載荷実験結果に対して、腐食量に応じた構成則パラ メータを設定した材料非線形解析コード(WCOMDver7.7)を用いて、シミュレーション解析を実施した。 この結果、本解析は、実験で観察されたひび割れ発生ならびに損傷状況、荷重変位関係における最大荷重な どを評価可能であった(図 2)。 4.パラメータ解析による鉄筋腐食の影響評価 前項で適用性が検証された解析手法を用いて、腐食程度(主筋の平均腐食量: 0 ∼ 20%)や腐食箇所(側 壁中間部、隔壁端部など)などが耐荷性能に与える影響を評価するために、海水管ダクト、取水路、取水 ピットを対象として、パラメータスタディを行った。これらの結果、腐食程度の増加に伴って曲げ耐力より もせん断耐力の低下割合が大きくなる傾向にあること、構造寸法が大きいほど腐食箇所はせん断耐力に与え る影響が小さいことなどが明らかにされた(図 3)。 本研究の一部は電力共通研究として実施したものである。また、本研究で得られた成果が「原子力発電所屋 外重要土木構造物の構造健全性評価ガイドライン」(土木学会、2008 年 7 月刊行)に反映された。 主担当者 関連報告書. 地球工学研究所 構造工学領域 主任研究員 松尾 豊史 「経年劣化した鉄筋コンクリート製地中構造物の構造性能評価に関する検討(その 1)─鉄 筋腐食に伴う材料劣化の力学モデルの提案─」電力中央研究所報告: N08002(2008 年 9 月) 「同(その 3)─鉄筋腐食が生じた RC ボックスカルバートの耐荷特性評価─」電力中央研 究所報告: N08023(2009年 3 月) 「同(その 6)─鉄筋腐食を考慮した照査用限界値推定法の提案─」電力中央研究所報告: N08083(2009年 4 月). 126.

(2) 9.電力施設建設・保全/構造性能評価技術. (a)引張軟化モデル. (b)付着係数と腐食度との対応関係. 図1 鉄筋とコンクリートの付着劣化のモデル化 一般に、鉄筋腐食が生じると、鉄筋とコンクリートの付着力は低下する。本研究では、コンクリートと鉄筋 の付着劣化については、コンクリートの引張軟化モデルにおいて、付着係数cにより考慮することとした。 数値が大きい方が引張軟化曲線下の面積は小さく、ひび割れ後に脆性的な挙動となる。. (a)ひび割れ状況. (b)荷重変位関係 図2 シミュレーション解析結果の一例. 腐食箇所は、実際に生じる可能性のある箇所を想定して、側壁中間部内側とした。実験では、腐食ひび割れ が進展して荷重低下したが、急激には低下せず、最大荷重に達した後に漸減し、鉄筋腐食してない左側壁が 最終的な破壊位置となった。解析結果によるひび割れ状況は実験と概ね同様であり、解析の荷重変位関係も 実験結果と概ね良好に対応している。. 9 (a)パラメータ解析で対象とした構造物. (b)実験結果とパラメータ解析の結果例. 図3 鉄筋腐食を考慮したパラメータ解析の概略 パラメータ解析では、海水管ダクト、取水路、取水ピットを対象とし、地震時を想定した正負漸増載荷を 行った。劣化条件は、腐食程度や腐食箇所をパラメータとした。例えば、検討の対象とした腐食程度の範 囲、すなわち、塩害環境下の劣化進行過程における加速期では、せん断破壊する取水路における最大荷重の 残存割合は最小で0.8となった。. 127.

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