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鉄筋コンクリート橋脚の配筋合理化技術の設計・施工方法に関する基礎研究

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U.D.C 624.041.6

鉄筋コンクリート橋脚の配筋合理化技術の設計・施工方法

に関する基礎研究

黒岩 俊之

* 要 約: 本研究の目的は,耐震性を確保するために過密になるRC橋脚の配筋を合理化し,より経済的かつ効率的に構築する手法を提 案することである。まず本研究で着目したのは,降伏強度の高い高強度鉄筋を利用することで,より細径の鉄筋に置き換えるこ とである。土木学会示方書では,高強度鉄筋をせん断補強鉄筋として使用する場合に,その降伏強度に制限値を設けているが, コンクリート圧縮強度が 60N/mm2以下の場合の算定精度が十分でなかった。本研究で制限値の再検討を行った結果,せん断補 強鉄筋の降伏強度の上限値をコンクリート圧縮強度の25 倍とすると,精度よくせん断耐力を評価できることを示した。次に本研 究では,RC橋脚の横拘束を効果的に行う手法として,インターロッキング型式の配筋方法に着目した。インターロッキング型 配筋構造は,円形フープ筋もしくは円形スパイラル筋を部分的にラップさせて矩形断面(小判形断面)の横拘束筋とするもので ある。本研究では,実験結果と国内外の実験データを基に,変形性能を適切に評価できる方法を提示した。また,インターロッ キング式橋脚をスパイラル筋で施工する方法を考案し,実大施工試験を行い,橋脚全体で 83%に施工を省力化することを示した。 キーワード: 鉄筋コンクリート橋脚,配筋合理化,高強度鉄筋,インターロッキング式配筋,耐震性能 目 次: 1.はじめに 4.インターロッキング式橋脚の施工 2.高強度鉄筋を用いた場合のせん断耐力評価 5.インターロッキング式橋脚への高強度材料の適用 3.インターロッキング式橋脚の耐震性能評価 6.おわりに 1. はじめに 平成 7 年の兵庫県南部地震による被災の教訓から, 鉄筋コンクリート橋脚(以後,RC橋脚)の変形性能 を確保するための横拘束の重要性が再認識され,横拘 束を高める方法として,中間帯鉄筋を配置するように 多くの耐震設計基準が改定されている。こうした配筋 構造は,RC橋脚に十分なじん性能を与えるには有効 であるが,断面の形状寸法によっては過密な配筋とな り,経済性の低下を招くだけでなく,コンクリートの 締固め作業を困難にしている。このような背景から, 耐震性を確保しつつ,経済的かつ効率的にRC橋脚を 構築する手法が望まれている。そこで本研究の目的は, 必要な耐震性を確保するために過密になる傾向にある RC橋脚の配筋を合理化し,より経済的かつ効率的に 構築する手法を提案することとした。 2. 高強度鉄筋を用いた場合のせん断耐力評価 まず本研究で着目したのは,通常の鉄筋に比較して 降伏強度の高い高強度鉄筋を利用することで,より細 径の鉄筋に置き換えることである。しかしながら,高 強度鉄筋をせん断補強鉄筋として使用すると,終局状 態における斜めひび割れ幅が過大になり,せん断耐力 が低下する。この現象を防止するため,コンクリート 標準示方書 構造性能照査編 1) (以後,土木学会示方 書)では既往の梁部材による研究等 2)3)4)を踏まえ,せ ん断耐力の算出時に,①コンクリート圧縮強度 f’c が 60N/mm2以上の場合,せん断補強鉄筋の降伏強度 fwy 800N/mm2以下とする,②普通強度コンクリート (コンクリート圧縮強度 f’c<60N/mm2)を使用する場 合, fwy を 400 N/mm2以下とする制限値が設けられて いる。一方,f’c<60N/mm2の場合に,fwy≦400N/mm2 とするせん断耐力の計算では実験結果を過小評価する *土木総本部 土木技術部 表 2.1 試験体諸元 No. b h d a a/d 引張鉄筋 せん断補強鉄筋 f’ck (mm) (mm) (mm) (mm) 規格 本数 pt (%) 規格 ピッチ pw (%) (N/mm2) 1 SD785-D6 300 0.07 21 2 SD785-D6 150 0.14 21 3 300 450 400 1200 3.0 SD490 4 2.14 SD785-D6 100 0.21 21 4 -D29 SD785-D6 300 0.07 30 5 SD785-D6 150 0.14 30 b:断面幅 h:断面高さ d:有効高さ a:せん断スパン長 pt:引張鉄筋比 pw:せん断補強鉄筋比 f’ck:コンクリート圧縮強度の目標値 SD785:引張降伏強度が 785N/mm2相当の鉄筋 *土木総本部 土木技術部 U.D.C 624.041.6

鉄筋コンクリート橋脚の配筋合理化技術の設計・施工方法

に関する基礎研究

黒岩 俊之

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2.2 によると,f’c が 20~32N/mm2の範囲でせん断 補強鉄筋が降伏していないものは,f’c の低下に伴い fwyEXP が減少する傾向が見られる。これに対して, A―B の制限値ではすべての範囲で実験値を過小評価し, C―D では 20~32N/mm2の範囲において実験値を過大 評価することがわかる。一方,E―F は 20~32N/mm2の 範囲において fwy が減少する傾向を概ね評価している。 fwy ≦25 f’c の制限値を設けることによって,f’c が 30N/mm2以下の領域を含めた実験データを適切に評価 することが出来ると考えられる。 f’c と VyEXP/VyCAL の関係を図 2.3 に示す。 VyCAL は,コンクリート圧縮強度の一次関数 25・f’c 以下とした fwy を,800 N/mm2で頭打ちとして計算し たせん断耐力である。図より, 32≦ f’c <60 N/mm2 の範囲では,平均値μおよび変動係数C.V.は,μ=1.20, C.V.=14.0%となった。同様に,f’c が 60 N/mm2以上の 場合,μ=1.37,C.V.=14.9%であり,概ね実験値を妥 当に評価している。 以上のことから,土木学会示方書に準拠して棒部材 のせん断耐力を算定する場合,せん断補強鉄筋の降伏 強度の上限値をコンクリート圧縮強度の 25 倍とするこ とで,精度よくせん断耐力を評価できることが分かっ た。 図2.4 は,提案した上限値を用いてせん断耐力を試算 した結果と,土木学会示方書に従い計算した結果の関 係を,f’c=30N/mm2とした場合の土木学会示方書によ る計算値を基準として,その耐力比で示したものであ る。提案した上限値を用いた計算値は,コンクリート 圧縮強度がf’c=16 N/mm2以上から,60N/mm2において 土木学会示方書の計算値にすりつくまで,土木学会示 方書による計算値を上回る結果となる。 なお,本研究の成果は「鉄道構造物等設計標準・コ ンクリート構造物」7)に採り入れられている。 3. インターロッキング式橋脚の耐震性能評価 次に本研究では,RC橋脚の横拘束を効果的に行う 手法として,諸外国で採用されているインターロッキ ング型式の配筋方法に着目した。インターロッキング 型配筋構造とは,従来のように矩形の帯鉄筋と中間帯 鉄筋とを併用する替わりに,円形フープ筋もしくは円 図 2.2 f’c と fwyEXP の関係 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 10 20 30 40 50 60 70 f'c (N/mm2) fwy EX P  ( N /m m 2 ) SD685相当 SD785相当 SD1275相当 25 f'c A B C D E 黒塗り:せん断補強鉄筋の       降伏が確認されて       いないもの F 図 2.3 f’c と VyEXP/VyCAL 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 0 20 40 60 80 100 120 f'c (N/mm2) V yE X P/ V yC A L5 ◇ f'c<32N/mm2 △ 32≦ f'c<60N/mm2 × 60≦f'c<100N/mm2 図 2.4 せん断耐力試算結果 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 0 20 40 60 80 100 f'c (N/mm2) V y / Vy ( f'c = 3 0 N/mm 2 ) fwy≦25・f'c fwy≦800N/mm2 土木学会示方書 f'c<60N/mm2→fwy≦400N/mm2 f'c≧60N/mm2→fwy≦800N/mm2 fwy=800N/mm2 pt=1.0%,pw=0.2% d=1.0m,a/d=3.0 (a) 一般的な矩形橋脚の配筋の例 (b) インターロッキング形式の配筋の例 図 3.1 RC 橋脚の配筋例 1 .0 m 以 下 1.0m 以下 中間帯鉄筋 帯鉄筋 インターロッキング領域 フープ筋もしくは スパイラル筋 9 との報告 3)があることなどからも,高強度せん断補強 鉄筋を有効に活用するためには,設計上考慮するせん 断補強鉄筋の降伏強度の制限値を再検討する必要があ るといえる。 以上のことから,これまで高強度鉄筋の研究として 検討されることが少なかった,コンクリート圧縮強度 が20~30N/mm2程度のRC 梁部材のせん断実験を行い, 既往の研究データ 2)~6)を加えて,高強度せん断補強鉄 筋の補強効果に及ぼすコンクリート圧縮強度の影響に ついて検討した。 表2.1 に試験体諸元を示す。試験体は単純梁試験体と し,せん断破壊を生じるように設計した。その形状を 図2.1 に示す。載荷方法は,2 点集中の単調載荷とした。 土木学会示方 書のせん断耐力算定方法を式(2.1)~ (2.3)に示す。 s c y

V

V

V

(2.1) ここで,Vc:せん断補強鋼材を用いない棒部材のせ ん断耐力 Vs:せん断補強鋼材により受け持たれる棒 部材のせん断耐力

 

 

b a p d vc c

f

b

d

V

/

(2.2) ここで, a d p d f f a t p d c vc / 4 . 1 75 . 0 5 . 1 100 5 . 1 / 1000 2 . 0 3 4 3         

:せん断スパン長 :有効高さ La d 度 :コンクリート圧縮強c f  :引張鉄筋比t p γb:部材係数で,一般に 1.3。本検討では 1.0 とする。

w wy s s s

b s

A

f

s

z

V

sin

cos

/

/

(2.3) ここで,Aw:区間 ssにおけるせん断補強鉄筋の総 断面積 fwy:せん断補強鉄筋の降伏強度 αs:せん断補強鉄筋と部材軸とのなす角 度 ss:せん断補強鉄筋の配置間隔 z:応力中心間距離で,d/1.15 γb:部材係数で,一般に 1.1。本検討で1.0 とする。 2.1 にコンクリート圧縮強度と,VsEXP と VsCAL の比の関係を示す。VsEXP は,せん断耐力の実験値VyEXP)から,式(2.1)により算定した Vc を差し引い た値とし,VsCAL は,fwy を材料試験から求めた降伏 強度として式(2.3)により算定した。図によれば,コン クリート圧縮強度が減少するに従い,実験値と計算値 の 比 が 小 さ く な る 傾 向 が 見 ら れ る 。 ま た ,f’c が 40N/mm2以下の試験体の多くが 1.0 を下回っており, せん断補強筋により受け持たれるせん断耐力を過大評 価している。f’c が 40N/mm2程度以下のRC 梁部材に対 して,高強度せん断補強鉄筋の補強効果を低減する必 要性があるといえる。 図2.2 にコンクリート圧縮強度と fwyEXP の関係を示 す。fwyEXP は,実験により得られたせん断耐力 VyEXP を用いて式(2.4)から算出した,最大荷重時のせん断補 強鉄筋の応力度である。

z

A

s

V

EXP

V

EXP

f

w s c y wy

(2.4) また,図中には,せん断補強鉄筋が降伏しなかった 試験体データを黒塗りの凡例で示し,以下の制限値を 併記している。 A―B : fwy ≦400 (単位:N/mm2) C―D : fwy ≦800 E―F : fwy ≦25 f’c 図 2.1 f’cVyEXP/ VyCAL の関係 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 10 20 30 40 50 60 70 f'c (N/mm2) V sE X P / V sC A L ◇ pw=0.07% □ pw=0.14% ○ pw=0.16% * pw=0.18% △ pw=0.21% × pw=0.23% 黒塗り:せん断補強鉄筋     の降伏が確認さ     れなかったもの 図 2.1 試験体形状 50 300 SD490 D29-4本 SD345-D16-2本 SD345-D10  SD785-D6  側面図 400 11 2. 5 11 2 .5 22 5 6@50=300 300 3400 断面図 300 200 6@50=300 8@150=1200 1200 8@150=1200 1200 4@100=400 100 45 0 4 00 9mm鋼板に溶接 せん断補強鉄筋ひずみゲージ 50 8

(3)

2.2 によると,f’c が 20~32N/mm2の範囲でせん断 補強鉄筋が降伏していないものは,f’c の低下に伴い fwyEXP が減少する傾向が見られる。これに対して, A―B の制限値ではすべての範囲で実験値を過小評価し, C―D では 20~32N/mm2の範囲において実験値を過大 評価することがわかる。一方,E―F は 20~32N/mm2の 範囲において fwy が減少する傾向を概ね評価している。 fwy ≦25 f’c の制限値を設けることによって,f’c が 30N/mm2以下の領域を含めた実験データを適切に評価 することが出来ると考えられる。 f’c と VyEXP/VyCAL の関係を図 2.3 に示す。 VyCAL は,コンクリート圧縮強度の一次関数 25・f’c 以下としたfwy を,800 N/mm2で頭打ちとして計算し たせん断耐力である。図より, 32≦ f’c <60 N/mm2 の範囲では,平均値μおよび変動係数C.V.は,μ=1.20, C.V.=14.0%となった。同様に,f’c が 60 N/mm2以上の 場合,μ=1.37,C.V.=14.9%であり,概ね実験値を妥 当に評価している。 以上のことから,土木学会示方書に準拠して棒部材 のせん断耐力を算定する場合,せん断補強鉄筋の降伏 強度の上限値をコンクリート圧縮強度の 25 倍とするこ とで,精度よくせん断耐力を評価できることが分かっ た。 図2.4 は,提案した上限値を用いてせん断耐力を試算 した結果と,土木学会示方書に従い計算した結果の関 係を,f’c=30N/mm2とした場合の土木学会示方書によ る計算値を基準として,その耐力比で示したものであ る。提案した上限値を用いた計算値は,コンクリート 圧縮強度がf’c=16 N/mm2以上から,60N/mm2において 土木学会示方書の計算値にすりつくまで,土木学会示 方書による計算値を上回る結果となる。 なお,本研究の成果は「鉄道構造物等設計標準・コ ンクリート構造物」7)に採り入れられている。 3. インターロッキング式橋脚の耐震性能評価 次に本研究では,RC橋脚の横拘束を効果的に行う 手法として,諸外国で採用されているインターロッキ ング型式の配筋方法に着目した。インターロッキング 型配筋構造とは,従来のように矩形の帯鉄筋と中間帯 鉄筋とを併用する替わりに,円形フープ筋もしくは円 図 2.2 f’c と fwyEXP の関係 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 10 20 30 40 50 60 70 f'c (N/mm2) fwy EX P  ( N /m m 2 ) SD685相当 SD785相当 SD1275相当 25 f'c A B C D E 黒塗り:せん断補強鉄筋の       降伏が確認されて       いないもの F 図 2.3 f’c と VyEXP/VyCAL 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 0 20 40 60 80 100 120 f'c (N/mm2) V yE X P/ V yC A L5 ◇ f'c<32N/mm2 △ 32≦ f'c<60N/mm2 × 60≦f'c<100N/mm2 図 2.4 せん断耐力試算結果 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 0 20 40 60 80 100 f'c (N/mm2) V y / Vy ( f'c = 3 0 N/mm 2 ) fwy≦25・f'c fwy≦800N/mm2 土木学会示方書 f'c<60N/mm2→fwy≦400N/mm2 f'c≧60N/mm2→fwy≦800N/mm2 fwy=800N/mm2 pt=1.0%,pw=0.2% d=1.0m,a/d=3.0 (a) 一般的な矩形橋脚の配筋の例 (b) インターロッキング形式の配筋の例 図 3.1 RC 橋脚の配筋例 1 .0 m 以 下 1.0m 以下 中間帯鉄筋 帯鉄筋 インターロッキング領域 フープ筋もしくは スパイラル筋

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求めた帯筋体積比と最大塑性率の関係を図3.6 に示す。 これによれば,インターロッキング式橋脚の変形性能 は,帯筋体積比の増加により改善し,少なくとも 0.3% 以上の帯筋体積比であれば,じん性能として,塑性率 で6 以上を確保できると考えられる。 3.7(b)にインターロッキング式橋脚(UNIT2)に対 して,塑性率を 6 として算定した道路橋示方書による 荷重-変位関係と,実験で得られた包絡線の比較を示 す。また,図には実際の設計領域である許容塑性率に 相当する変位と,実験時にかぶりコンクリートが剥落 した載荷ステップを併記している。正負交番実験の繰 り返し回数は 3 回であり,道路橋示方書ではタイプⅡ 地震動に対応すると考えられる。したがって,許容塑 性率μa は安全係数α=1.5 として,式(3.1)によって算 出した。 y y u a

1

(3.1) ここで,δu:終局変位(本検討では,δu=6δy と して算定) δy:降伏変位 α:安全係数。 図 3.7(b)より,塑性率を 6 とした場合の計算値は, UNIT2 の変形性能を精度よく評価している。また,安 全係数を1.5 として許容塑性率を算出することによって, 比較対象と示した図 3.7(a)の矩形橋脚(UNIT0)と同様 に,かぶりコンクリートが剥落する前の状態に損傷を 図 3.6 帯筋体積比と最大塑性率の関係 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 UNIT4~6 UNIT1~3 μ6 0.3% 橋軸直角方向 橋軸方向 最 大 塑 性 率   μ m a x 帯筋体積比 ρs (%) 図 3.5 塑性率と等価粘性減衰定数の関係 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 5 10 15 20 25 30 p g ( ) UNIT0 (s=0.88%) UNIT1 (s=0.19%) UNIT2 (s=0.29%) UNIT3 (s=0.52%)

Modified Takeda Model

 塑性率 μ 等 価 粘 性 減 衰 定 数 h eq ( % ) 表 3.1 せん断耐力の比較 UNIT 最大耐力 破壊形態 曲げ耐力 せん断耐力 破壊形態 せん断耐力 破壊形態 Vexp Vu Vs Vs 4 532 485 454 551 (Vs/Vexp) (0.85) (1.04) 5 493 480 300 394 (Vs/Vexp) (0.61) (0.80) 6 529 曲げ→ 480 223 322 (Vs/Vexp) せん断破壊 (0.42) (0.61) 実験値 道路橋示方書(タイプⅡ) 土木学会 曲げ破壊 曲げ破壊 曲げ破壊 せん断破壊 せん断破壊 せん断破壊 せん断破壊 せん断破壊 (a) UNIT0(ρs=0.88%) (b) UNIT2(ρs=0.29%) 図 3.7 設計塑性率の検証 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 水 平 力   ( k N ) 道示Ⅴ 実験値 (ρs=0.88%) 許容塑性率 設計範囲 (安全係数α=1.5) かぶり剥落 かぶり剥落 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 水 平 力   ( k N ) 塑性率μ=6 実験値(ρs=0.29%) 許容塑性率 設計範囲 (安全係数α=1.5) かぶり剥落 かぶり剥落 形スパイラル筋を部分的にラップさせて矩形断面(小 判形断面)の横拘束筋とするものである(図 3.1 参照)。 コンクリートの拘束効果が高く,軸方向鉄筋の座屈防 止にも有効であることから,中間帯鉄筋を配置しなく とも,十分な拘束効果が得られるといわれ,中間帯鉄 筋を併用する場合に比べて帯鉄筋量が低減され,組立 作業の大幅な簡略化につながる。しかしながら,道路 橋示方書 8)に紹介されてはいるものの,具体的な設計 方法に関しては示されていない。 本研究では,インターロッキング式橋脚を設計する 上で必要となる知見を得るために,橋軸および橋軸直 角方向に対して帯鉄筋量を変えた試験体を作製して実 験を行い,帯鉄筋量の違いが橋脚の破壊モード,塑性 変形能等に及ぼす影響を検討した(図3.2,図 3.3 参照)。 その結果,インターロッキング式橋脚のスパイラル 筋は,軸方向鉄筋の座屈防止効果に優れ,帯筋体積比 が 0.3%程度(UNIT2)でも,標準的な矩形配筋構造 (帯筋体積比 0.86%:UNIT0))と同等の耐震性能を発 揮した(図3.4 参照)。 また,塑性ヒンジ長,エネルギー吸収性能等は,既 往の計算式8),9)で評価できること(図3.5 参照),せん断 耐荷性能は従来の設計方法によって安全側に評価し得 ることが分かった(表 3.1 参照)。しかし,道路橋示方 書の算定式では,変形性能を小さく評価する可能性が あるため,インターロッキング型配筋の拘束効果の評 価手法については今後検討する必要がある。 本研究の実験結果と国内外の実験データ 10)~14) から (a) 橋軸方向試験体 (b) 橋軸直角方向試験体 図 3.2 試験体の概要 スパイラル筋 D6(UNIT1,2) D10(UNIT3) スパイラル筋 D6-@120 (UNIT1) D6-@80 (UNIT2) D10-@100 (UNIT3) 軸方向鉄筋 32-D16 中間帯鉄筋 D6-@80 帯鉄筋 D6-@80 UNIT 0 UNIT 1,2,3 軸方向鉄筋 38-D16 D6-@50 (UNIT4) D6-@100 (UNIT5) D6-@200 (UNIT6) 帯鉄筋 (D6) 軸方向鉄筋 36-D13

(a) 橋軸方向:UNIT0~3 (b) 橋軸直角方向:UNIT4~6 図 3.3 実験装置及び測定方法の概要 1500kN アクチュエータ 500kN ジャッキ 変位計 反力床 反力壁 加力方向 測定柱 変 位 計 軸力導入用 PC鋼棒 加力方向 変位計 測定柱 軸力導入用 PC鋼棒 1500KN アクチュエータ 反力床 反力壁 500KN JACK 図 3.4 荷重-変形包絡線 -250-200-150-100 -50 0 50 100 150 200 250 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 IS-W0 IS-W1 IS-W2 CH-W1 JRA-CODE 30mm LVDT Col um n 水平変位 (mm) 水 平 荷 重 ( k N ) UNIT0 UNIT3 UNIT2 UNIT1 道示タイプⅡ

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求めた帯筋体積比と最大塑性率の関係を図3.6 に示す。 これによれば,インターロッキング式橋脚の変形性能 は,帯筋体積比の増加により改善し,少なくとも 0.3% 以上の帯筋体積比であれば,じん性能として,塑性率 で6 以上を確保できると考えられる。 3.7(b)にインターロッキング式橋脚(UNIT2)に対 して,塑性率を 6 として算定した道路橋示方書による 荷重-変位関係と,実験で得られた包絡線の比較を示 す。また,図には実際の設計領域である許容塑性率に 相当する変位と,実験時にかぶりコンクリートが剥落 した載荷ステップを併記している。正負交番実験の繰 り返し回数は 3 回であり,道路橋示方書ではタイプⅡ 地震動に対応すると考えられる。したがって,許容塑 性率μa は安全係数α=1.5 として,式(3.1)によって算 出した。 y y u a

1

(3.1) ここで,δu:終局変位(本検討では,δu=6δy と して算定) δy:降伏変位 α:安全係数。 図 3.7(b)より,塑性率を 6 とした場合の計算値は, UNIT2 の変形性能を精度よく評価している。また,安 全係数を1.5 として許容塑性率を算出することによって, 比較対象と示した図 3.7(a)の矩形橋脚(UNIT0)と同様 に,かぶりコンクリートが剥落する前の状態に損傷を 図 3.6 帯筋体積比と最大塑性率の関係 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 UNIT4~6 UNIT1~3 μ6 0.3% 橋軸直角方向 橋軸方向 最 大 塑 性 率   μ m a x 帯筋体積比 ρs (%) 図 3.5 塑性率と等価粘性減衰定数の関係 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 5 10 15 20 25 30 p g ( ) UNIT0 (s=0.88%) UNIT1 (s=0.19%) UNIT2 (s=0.29%) UNIT3 (s=0.52%)

Modified Takeda Model

 塑性率 μ 等 価 粘 性 減 衰 定 数 h eq ( % ) 表 3.1 せん断耐力の比較 UNIT 最大耐力 破壊形態 曲げ耐力 せん断耐力 破壊形態 せん断耐力 破壊形態 Vexp Vu Vs Vs 4 532 485 454 551 (Vs/Vexp) (0.85) (1.04) 5 493 480 300 394 (Vs/Vexp) (0.61) (0.80) 6 529 曲げ→ 480 223 322 (Vs/Vexp) せん断破壊 (0.42) (0.61) 実験値 道路橋示方書(タイプⅡ) 土木学会 曲げ破壊 曲げ破壊 曲げ破壊 せん断破壊 せん断破壊 せん断破壊 せん断破壊 せん断破壊 (a) UNIT0(ρs=0.88%) (b) UNIT2(ρs=0.29%) 図 3.7 設計塑性率の検証 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 水 平 力   ( k N ) 道示Ⅴ 実験値 (ρs=0.88%) 許容塑性率 設計範囲 (安全係数α=1.5) かぶり剥落 かぶり剥落 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 水 平 力   ( k N ) 塑性率μ=6 実験値(ρs=0.29%) 許容塑性率 設計範囲 (安全係数α=1.5) かぶり剥落 かぶり剥落 形スパイラル筋を部分的にラップさせて矩形断面(小 判形断面)の横拘束筋とするものである(図 3.1 参照)。 コンクリートの拘束効果が高く,軸方向鉄筋の座屈防 止にも有効であることから,中間帯鉄筋を配置しなく とも,十分な拘束効果が得られるといわれ,中間帯鉄 筋を併用する場合に比べて帯鉄筋量が低減され,組立 作業の大幅な簡略化につながる。しかしながら,道路 橋示方書 8)に紹介されてはいるものの,具体的な設計 方法に関しては示されていない。 本研究では,インターロッキング式橋脚を設計する 上で必要となる知見を得るために,橋軸および橋軸直 角方向に対して帯鉄筋量を変えた試験体を作製して実 験を行い,帯鉄筋量の違いが橋脚の破壊モード,塑性 変形能等に及ぼす影響を検討した(図3.2,図 3.3 参照)。 その結果,インターロッキング式橋脚のスパイラル 筋は,軸方向鉄筋の座屈防止効果に優れ,帯筋体積比 が 0.3%程度(UNIT2)でも,標準的な矩形配筋構造 (帯筋体積比 0.86%:UNIT0))と同等の耐震性能を発 揮した(図3.4 参照)。 また,塑性ヒンジ長,エネルギー吸収性能等は,既 往の計算式8),9)で評価できること(図3.5 参照),せん断 耐荷性能は従来の設計方法によって安全側に評価し得 ることが分かった(表 3.1 参照)。しかし,道路橋示方 書の算定式では,変形性能を小さく評価する可能性が あるため,インターロッキング型配筋の拘束効果の評 価手法については今後検討する必要がある。 本研究の実験結果と国内外の実験データ 10)~14) から (a) 橋軸方向試験体 (b) 橋軸直角方向試験体 図 3.2 試験体の概要 スパイラル筋 D6(UNIT1,2) D10(UNIT3) スパイラル筋 D6-@120 (UNIT1) D6-@80 (UNIT2) D10-@100 (UNIT3) 軸方向鉄筋 32-D16 中間帯鉄筋 D6-@80 帯鉄筋 D6-@80 UNIT 0 UNIT 1,2,3 軸方向鉄筋 38-D16 D6-@50 (UNIT4) D6-@100 (UNIT5) D6-@200 (UNIT6) 帯鉄筋 (D6) 軸方向鉄筋 36-D13

(a) 橋軸方向:UNIT0~3 (b) 橋軸直角方向:UNIT4~6 図 3.3 実験装置及び測定方法の概要 1500kN アクチュエータ 500kN ジャッキ 変位計 反力床 反力壁 加力方向 測定柱 変 位 計 軸力導入用 PC鋼棒 加力方向 変位計 測定柱 軸力導入用 PC鋼棒 1500KN アクチュエータ 反力床 反力壁 500KN JACK 図 3.4 荷重-変形包絡線 -250-200-150-100 -50 0 50 100 150 200 250 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 IS-W0 IS-W1 IS-W2 CH-W1 JRA-CODE 30mm LVDT Col um n 水平変位 (mm) 水 平 荷 重 ( k N ) UNIT0 UNIT3 UNIT2 UNIT1 道示タイプⅡ

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ため,円形スパイラル筋の代替品として,高強度かつ 柔軟で長さにもほぼ制限のないPC 鋼より線が挙げられ る 17)。同様に,インターロッキング式配筋構造と高強 度材料を組み合わせることは,さらなるRC橋脚の配 筋合理化につながる可能性がある。そこで,①PC 鋼よ り線の適切な補強量およびせん断耐力を検証するため の実験,②軸方向鉄筋,帯鉄筋およびコンクリートを 高強度化したインターロッキング式橋脚の実験 18)を行 い,耐力および変形性能等の基本的耐震性能が保持さ れていることを確認した。 図5.1 に示す PC 鋼より線を円形スパイラル状にして 横拘束筋として用いた鉄筋コンクリート橋脚の耐力お よび変形性能は,式(5.1)に示すように帯筋体積比を降 伏強度の比率で換算することによって 19),鉄筋を用い た場合と同様に評価することが可能であることを示し た(図 5.2 参照)。また,インターロッキング式配筋と した長辺方向のせん断耐力は,本実験の範囲内では, 道路橋示方書の算定方法を用いて評価できることを確 認した。 pc s s wy pc wy eq s

f

f

(5.1) 度 :円形帯鉄筋の降伏強       鋼より線の降伏強度 :       鋼より線の帯筋体積比 :       :等価帯筋体積比 ここで、  s wy pc wy pc s eq s f f PC PC

一方,曲げ耐力を同等としてコンクリートおよび軸 方向鉄筋を高強度化した場合には,降伏変位が大きく なるものの限界変形はほぼ同等であること,道路橋示 方書による算定値は,曲げ耐力および終局変位に対し て安全側の評価を与えること,高強度軸方向鉄筋の塑 性化領域は,帯鉄筋の強度および間隔にかかわらず 2.0D の範囲に及び,曲率の塑性化領域は 0.5~0.75D 程 度になることなどの知見を得た。 6. おわりに 本研究では,高強度せん断補強鉄筋を用いる場合の せん断耐力評価方法やインターロッキング式橋脚の変 形性能およびせん断耐荷性能を示し,設計法を提案し た。インターロッキング式橋脚について,当面の設計 において,その変形性能を適切に評価できることを提 示した。また,インターロッキング式橋脚をスパイラ ル筋で施工する方法を考案し,実大施工試験を行い, 橋脚の構築全体で 83%に施工を省力化することを示し た。より合理的な設計とするために検討すべき課題と して,フープ筋による拘束効果の定量的評価や,イン ターロッキング領域の配筋状態とせん断耐荷性能の関 係が挙げられる。 謝 辞 本報告は,学位論文の概要を示したものである。ここに関係各位に感謝の意を表します。 参考文献 1)土木学会編:2002 年制定・コンクリート標準示方書(構造性能照査編),2002 2)下野一行,佐藤勉,松岡茂:高強度材料を用いた RC 梁部材に関する実験的研究,コンクリート工学年次論文報告集,Vol.20,No.2, No.2~4 No.7 図 5.1 試験体の概要 1x3.5@125 2x2.9@125 3x2.9@125 24-D22 24-D22 No.2 1x3.5@125 No.3 2x2.9@125 No.4 3x2.9@125 98 0 23 00 80 0 89 0 23 00 7 10 800 94 30 24-D22 No.1 D10@125 800 30 載荷方向 2x2.9@150 46-D22 2x2.9@150 46-D22 1350 8 00 550 30 92 89 0 23 00 7 10 No.5 1x2.3@65 No.6 1x3.5@65 単位(mm) 図 5.2 等価帯筋体積比と限界変位の関係 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 No.1(D10@125) No.2(3.5x1@125) No.3(2.9x2@125) No.4(2.9x3@125) No.5(2.3x1@65) No.6(3.5x1@65) 限 界 変 位 (m m ) 等価帯筋体積比(%) 塑 性 率   δ / δ y 注)塑性率は各試験体の平均値   δy=17.2mmを用いて算出 13 抑えられることがわかる。 上記の結果を踏まえて本研究では,当面の設計にお いて,道路橋示方書のタイプⅡ地震動に対して,暫定 的に帯筋体積比が 0.3%以上のインターロッキング式橋 脚の塑性率を 6 とすることにより,その変形性能を適 切に評価できることを提示した。なお,本研究の成果 は「設計要領 第二集 橋梁建設編」15)に採り入れら れている。 4. インターロッキング式橋脚の施工 インターロッキング式配筋を,高さ 10~20m クラス の橋脚に適用する場合,そのフープ筋の直径は 2mを超 えると想定される。したがって,スパイラルフープ筋 を用いてインターロッキング式橋脚を構築するには, 大断面におけるスパイラルフープ筋の施工方法の検討 は不可欠である。そこで,インターロッキング式橋脚 をスパイラル筋で施工する方法を考案し,実大施工試 験を行い,スパイラル筋の組立が実際に行えるかの確 認,施工効率および施工精度を確認した16)。 一連の施工手順を図4.1 に示す。考案した施工方法は, 設計寸法に加工したスパイラル筋を,所定のピッチを 保持しながら円筒形に吊上げ,簡易な治具を使用して 重ね合わせた後,予め配置された軸方向鉄筋に落とし 込むものである。施工試験では,図4.2 に示すように, 治具を工夫することで,スパイラル筋を使用したイン ターロッキング形式の配筋を効率良く施工できること, 軸方向鉄筋の継手や組立誤差の影響を受けず,必要十 分な精度で施工できることを示した(写真4.1 参照)。 本施工実験の条件下では,インターロッキング式橋 脚の帯鉄筋の施工効率は1.4 人・日/ton であり,在来 矩形橋脚における施工効率 3.1 人・日/ton の約 2.2 倍 に向上するものと試算された。その結果,足場,鉄筋, 型枠,コンクリート打設など橋脚の構築全体で 83%に 施工を省力化することを示した。 5. インターロッキング式橋脚への高強度材料の適用 大断面橋脚においても,インターロッキング式配筋 の構造的メリットを生かしつつ,施工性の向上を図る 図 4.2 インターロッキング用吊治具 ①吊り上げた状態 ②重ね合わせた状態 写真 4.1 施工試験の状況 ①軸方向鉄筋の建込み・継手 ②帯鉄筋の重合せ ③帯鉄筋の建込み・結束 図 4.1 施工方法

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ため,円形スパイラル筋の代替品として,高強度かつ 柔軟で長さにもほぼ制限のないPC 鋼より線が挙げられ る 17)。同様に,インターロッキング式配筋構造と高強 度材料を組み合わせることは,さらなるRC橋脚の配 筋合理化につながる可能性がある。そこで,①PC 鋼よ り線の適切な補強量およびせん断耐力を検証するため の実験,②軸方向鉄筋,帯鉄筋およびコンクリートを 高強度化したインターロッキング式橋脚の実験 18)を行 い,耐力および変形性能等の基本的耐震性能が保持さ れていることを確認した。 図5.1 に示す PC 鋼より線を円形スパイラル状にして 横拘束筋として用いた鉄筋コンクリート橋脚の耐力お よび変形性能は,式(5.1)に示すように帯筋体積比を降 伏強度の比率で換算することによって 19),鉄筋を用い た場合と同様に評価することが可能であることを示し た(図 5.2 参照)。また,インターロッキング式配筋と した長辺方向のせん断耐力は,本実験の範囲内では, 道路橋示方書の算定方法を用いて評価できることを確 認した。 pc s s wy pc wy eq s

f

f

(5.1) 度 :円形帯鉄筋の降伏強       鋼より線の降伏強度 :       鋼より線の帯筋体積比 :       :等価帯筋体積比 ここで、  s wy pc wy pc s eq s f f PC PC

一方,曲げ耐力を同等としてコンクリートおよび軸 方向鉄筋を高強度化した場合には,降伏変位が大きく なるものの限界変形はほぼ同等であること,道路橋示 方書による算定値は,曲げ耐力および終局変位に対し て安全側の評価を与えること,高強度軸方向鉄筋の塑 性化領域は,帯鉄筋の強度および間隔にかかわらず 2.0D の範囲に及び,曲率の塑性化領域は 0.5~0.75D 程 度になることなどの知見を得た。 6. おわりに 本研究では,高強度せん断補強鉄筋を用いる場合の せん断耐力評価方法やインターロッキング式橋脚の変 形性能およびせん断耐荷性能を示し,設計法を提案し た。インターロッキング式橋脚について,当面の設計 において,その変形性能を適切に評価できることを提 示した。また,インターロッキング式橋脚をスパイラ ル筋で施工する方法を考案し,実大施工試験を行い, 橋脚の構築全体で 83%に施工を省力化することを示し た。より合理的な設計とするために検討すべき課題と して,フープ筋による拘束効果の定量的評価や,イン ターロッキング領域の配筋状態とせん断耐荷性能の関 係が挙げられる。 謝 辞 本報告は,学位論文の概要を示したものである。ここに関係各位に感謝の意を表します。 参考文献 1)土木学会編:2002 年制定・コンクリート標準示方書(構造性能照査編),2002 2)下野一行,佐藤勉,松岡茂:高強度材料を用いた RC 梁部材に関する実験的研究,コンクリート工学年次論文報告集,Vol.20,No.2, No.2~4 No.7 図 5.1 試験体の概要 1x3.5@125 2x2.9@125 3x2.9@125 24-D22 24-D22 No.2 1x3.5@125 No.3 2x2.9@125 No.4 3x2.9@125 98 0 23 00 80 0 89 0 23 00 7 10 800 94 30 24-D22 No.1 D10@125 800 30 載荷方向 2x2.9@150 46-D22 2x2.9@150 46-D22 1350 8 00 550 30 92 89 0 23 00 7 10 No.5 1x2.3@65 No.6 1x3.5@65 単位(mm) 図 5.2 等価帯筋体積比と限界変位の関係 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 No.1(D10@125) No.2(3.5x1@125) No.3(2.9x2@125) No.4(2.9x3@125) No.5(2.3x1@65) No.6(3.5x1@65) 限 界 変 位 (m m ) 等価帯筋体積比(%) 塑 性 率   δ / δ y 注)塑性率は各試験体の平均値   δy=17.2mmを用いて算出

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U.D.C 691.328.4

組立て式補強鋼材と吹付けモルタルによる

RC 柱の

耐震補強に関する実験的研究

北沢 宏和

*

黒岩 俊之

**

前田 欣昌

*

前原 聡

***

早川 健司

***

伊藤 正憲

** 要 約: 筆者らは,既設鉄筋コンクリート柱の新しい耐震補強工法として,分割帯鉄筋と吹付けモルタルを用いて既設柱を補強する CB フープ工法(Combination Hoop)を開発した。本工法は,鉄筋コンクリート柱に分割した帯鉄筋を配置し,これらを固定用鋼 材を用いて一体化させ,吹付けモルタルを施工するRC 巻立て工法である。 本研究は,CB フープ工法の耐震補強効果を検証するために,本工法を適用した柱試験体を作製し正負交番載荷を実施した。 その結果,縮小試験体を用いた載荷実験により,既往のせん断耐力式を用いて補強後のせん断耐力を安全側に評価できることを 明らかにした。さらに,本工法で補強することにより,破壊性状をせん断破壊型から曲げ破壊型へ移行できることを実大試験体 により示し,変形性能についても既往の評価式を用いて妥当に評価できることを確認した。 キーワード: CB フープ工法 RC 柱 耐震補強 分割帯鉄筋 目 次: 1.はじめに 3.実験内容 5.まとめ 2.CB フープ工法の概要 4.実験結果 1. はじめに 将来,発生が予想される巨大地震に対して,古い設 計基準に従って設計された高架橋の耐震補強工事が, 現在も進められており,代表的な耐震補強工法に鋼板 巻立て工法がある。この工法は,補強効果が高く,広 く一般的に用いられているが,施工に重機を用いるた め広い作業スペースが必要である。しかしながら,道 路や他の構造物などと近接する,特に都市部の高架橋 では,重機を設置する広い作業スペースを確保するど ころか,十分な作業スペースを確保することさえ非常 に困難な状況がある。 そこで,このような施工条件に対応できる新しい耐 震補強工法(以後,CB フープ工法)を開発した。本論 文は,工法の概要に加え,開発の過程で実施した構造 性能確認実験について報告する。 2. CB フープ工法の概要 2.1 工法の特長 図1にCB フープ工法の補強の概略を示す。CB フー プ工法は分割した帯鉄筋を柱周りに配置し,これを躯 体隅角部にて固定アングルと連結ピン(丸鋼),結束金 具を用いて一体化させ,閉合フープ筋と同等の性能を 有するようにしたものである。なお,CB フープ工法は 下記のような特長を有している。 (i) 低コスト CB フープ工法は,入手性が良い一般的な材料を用い ることで材料コストを抑えた RC 巻立て工法である。 なお,分割帯鉄筋を固定用鋼材により組立てるので, 特別な技能を有する作業員を必要としない。 (ii) 施工性 本工法は,鋼板巻立て補強のように重機を必要とせ ず人力で組立てられ,狭隘部でも施工できるように, 分割帯鉄筋を使用している。すなわち,材料の軽量化 により施工性が向上している。 (iii) 短期施工 型枠を省略し,吹付けモルタルを使用することで工 程の短縮を図っている。また,鉄筋の組立てに「ラッ ク状の組立治具」を使用することにより,組立速度が 向上している。 図1 CB フープ工法の補強の概略 分割帯鉄筋 結束金具 固定アングル 連結ピン (分割タイプ) (連続タイプ) 固定アングル 吹付けモルタル *土木総本部 土木設計部 **土木総本部 土木技術部 ***技術研究所 土木研究室 pp.1039-1044,1998 3)下野一行,柏原茂,佐藤勉,松岡茂:高強度材料を用いた RC 梁部材のせん断耐力に関する実験的研究,コンクリート工学年次論 文報告集,Vol.21,No.3,pp.175-180,1999 4)原夏生,三島徹也,山田尚義,近藤眞生:自己充填型高強度高耐久コンクリートを用いた RC 梁のせん断耐力,コンクリート工学 年次論文報告集,Vol.23,No.3,pp.925~930,2001 5)黒岩俊之,佐藤勉,岡本大,吉田幸司:高強度材料を用いた RC 梁のせん断耐力に関する実験的検討,コンクリート工学年次論文 集,Vol.24,No.2,pp.733~738,2002 6)土屋智史,山田尚義,原夏生,三島徹也,前川宏一:コンクリートの自己充填性の有無がせん断補強筋の補強効果に及ぼす影響に 関する検討,土木学会第57 回年次学術講演会,2002 7)国土交通省鉄道局監修・鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説 コンクリート構造,2004.4 8)(社)日本道路協会:道路橋示方書・同解説Ⅴ 耐震設計編,2002.3

9)Otani, S.:Inelastic Analysis of R/C Frames Structures,J. Struct. Div.,ASCE,100, ST7,pp.1433-1449,1974

10)Tanaka, H.,Park, R.:Seismic Design and Behavior of Reinforced Concrete Columns with Interlocking Spirals, ACI Structural Journal, pp.192-203, March-April 1993

11)Buckingham, G.C.:Seismic Performance of Bridge Columns with Interlocking Spiral Reinforcement,M.S. Thesis,Washington State University,May,1992 12)柳下文夫,田中仁史,Park, R.:インターロッキングスパイラル鉄筋を有する鉄筋コンクリート柱の繰り返し荷重下における挙動, コンクリート工学年次論文報告集,Vol.19,No.2,pp.951-956,1997 13)藤倉修一,川島一彦,庄司学,張建東,武村浩志:インターロッキング式帯鉄筋を有する RC 橋脚の耐震性,土木学会論文集, No.640/Ⅰ-50,pp.71-88,2000.1 14)柳下文夫,田中仁史,Park, R.:インターロッキングスパイラル鉄筋を有する鉄筋コンクリート橋脚の耐震性能,土木学会論文集, No.662/Ⅴ-49,pp.91-103,2000.11 15)東日本高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社:設計要領 第二集 橋梁建設編,2006.5 16)黒岩俊之,宮城敏明,大滝健,水上善晴:インターロッキングスパイラル配筋による RC 橋脚の合理化工法,コンクリート工学年 次論文集,Vol23,No.2,pp.1279-1284,2001.7 17)下司弘之,正岡孝,北川俊治,奈良正,服部尚道,大滝健:PC 鋼より線を用いたインターロッキング橋脚の破壊性状,土木学会 第59 回年次学術講演会概要集 V,pp.827-828,2004 18)(独)土木研究所:高じん性鉄筋コンクリート構造の配筋合理化技術に関する共同研究報告書(その2),pp.71-91,2005.2 19)水口和之,広長周治,中須誠,大内一,田中浩一,平櫛督彦:ストランドフープ工法による木曽川橋下部工の設計と施工,橋梁と 基礎,pp.29-38,2000.2

STUDY ON DESIGN AND CONSTRUCTION OF RC PIERS WITH RATIONAL TRANSVERSE

REINFORCEMENT

T.Kuroiwa

In this study, we examined the high strength shear reinforcement and the interlocking spiral/hoop columns.

In order to investigate the shear strength of reinforced concrete beams using high strength materials, we performed loading tests on the beams with high strength shear reinforcement. Based on the test results together with previous studies, shear capacity of high strength reinforced concrete beams was evaluated and the adequacy of the shear design equation in the JSCE model code was discussed.

The objectives of this study were to experimentally investigate the performance of columns with interlocking spirals/hoops under flexural and shear loading. It was confirmed that the seismic performance of the interlocking spiral/hoop columns was quite comparable to that of the conventional rectangular columns. It is also found that the volumetric confinement ratio necessary for the interlocking columns to have ductile behavior could be at least 0.3% for the design with an adequate safety margin.

14 14

図 2.2 によると, f’c  が 20 ~ 32N/mm 2 の範囲でせん断 補強鉄筋が降伏していないものは, f’c  の低下に伴い fwyEXP が減少する傾向が見られる。これに対して, A―B の制限値ではすべての範囲で実験値を過小評価し, C―D では 20 ~ 32N/mm 2 の範囲において実験値を過大 評価することがわかる。一方, E―F は 20 ~ 32N/mm 2 の 範囲において fwy  が減少する傾向を概ね評価している。 fwy  ≦ 25  f’c  の制限値を設けることによ
図 2.2 によると, f’c  が 20 ~ 32N/mm 2 の範囲でせん断 補強鉄筋が降伏していないものは, f’c  の低下に伴い fwyEXP が減少する傾向が見られる。これに対して, A―B の制限値ではすべての範囲で実験値を過小評価し, C―D では 20 ~ 32N/mm 2 の範囲において実験値を過大 評価することがわかる。一方, E―F は 20 ~ 32N/mm 2 の 範囲において fwy  が減少する傾向を概ね評価している。 fwy  ≦ 25  f’c  の制限値を設けることによ

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