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と 表 示 規 制

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(1)

目はじめに

効用効果に関する表示

H

効用効果を明示する場合

口 効 用 効 果 を 暗 示 す る 場 合

安全性に関する表示

H

﹁健康食品﹂それ自体の安全性からみてそもそも問題がある場合

口表示内容によって問題が生じてくる場合

立証問題

日 効 用 効 果 に 関 す る 不 当 表 示 口 安 全 性 に 関 す る 不 当 表 示 曰 実 務 上 の 扱 い

﹁ 健

康 食

品 ﹂

と 表 示 規 制

不当表示規制をめぐって

9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 ,

' , .  

5‑4‑579 (香法'86)

(2)

﹁健康食品﹂の表示に関しては︑

かという問題と︑ それが不当表示となるかどう

そもそもどういった表示をおこなわせるべき

かという問題がある︒しかも︑前者に関しては︑﹁健康食品﹂と

いう用語それ自体が不当表示となるかどうかという問題と︑﹁健

康食品﹂という用語以外の︑その取引についての表示が不当表

示となるかどうかという問題がある︒

これらの問題のうち︑﹁健康食品﹂という用語それ自体が不当

表示となるかどうかという問題については︑すでに別稿で検討

(1 ) 

を加えた︒本稿では︑それに続き︑﹁健康食品﹂という用語以外

の︑その取引についての表示が︑不当表示となるかどうかとい

(2 ) 

う問題について検討を加えることにする︒

さて︑景品表示法四条一号は︑事業者がその供給する商品の

取引について︑次の表示︑すなわち︑商品の品質︑規格その他

の内容について︑実際のものまたはその事業者と競争関係にあ

る他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者

に誤認される表示をおこなうことを禁止している︒そこで︑﹁健

康食品﹂についての表示が︑ここでいう商品の内容についての

優良誤認表示であるということになれば︑それは︑不当表示と

は じ め に

して禁止されることになる︒また︑景品表示法四条二号は︑事

業者がその供給する商品の取引について︑次の表示︑すなわち︑

商品の価格その他の取引条件について︑実際のものまたはその

事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相

手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示をおこ

なうことを禁止している︒そこで︑﹁健康食品﹂についての表示

ということになれば︑ が︑ここでいう商品の取引条件についての有利誤認表示である

それは︑不当表示として禁止されること

になる︒結局︑﹁健康食品﹂についての表示は︑﹁健康食品﹂の

どういった側面について表示をおこなったものであれ︑それが

商品の内容についての優良誤認表示または商品の取引条件につ

いての有利誤認表示であるということになれば︑不当表示とし

ところで︑﹁健康食品﹂の表示のうち︑不当表示がとくに問題

になるのは︑効用効果に関する表示と︑安全性に関する表示で

(3 ) 

あるように思われる︒そこで︑以下︑効用効果に関する表示と︑

安全性に関する表示に焦点を紋って検討を加えることにする︒

なお︑効用効果に関する表示にしても︑安全性に関する表示に

して

も︑

それが真実であるかどうかを立証するのは容易ではな

い︒そこで︑﹁健康食品﹂の効用効果に関する不当表示および安

全性に関する不当表示の立証問題についても︑あわせて検討を て禁止されることになる︒

七 四

5‑4 ‑580 (香法'86)

(3)

効用効果に関する表示

(l)拙稿「『健康食品』と表示規制ー~『健康食品』という用語の規

制を

めぐ

って

││

'﹂

公正

取引

四︱

二号

六六

頁(

‑九

八五

年︶

参照

( 2

)

なお

︑﹁

健康

食品

Lに関して︑そもそもどういった表示をおこなわせるべきかという問題については︑後日︑検討をおこな

︑ ︒

たし

( 3

)

なお︑商品名・事業者名の表示︑食品としての表示︑医薬品でない旨の表示︑原材料・製法の表示︑成分名・成分含有量

の表示︑製造年月日・保存方法・保存期間・賞味期間の表示︑

使用方法・使用量・使用期間の表示︑天然・無添加の表示︑価格・内容量の表示といった表示それ自体についても︑不当表示が問題になる︒本稿では︑それらが効用効果または安全性にかかわる限りで︑効用効果に関する表示または安全性に関する表示として︑取り上げることにする︒

効用効果に関する表示は︑医薬品的な効能効果に関する表

(l ) 

示と︑その他の効用効果に関する表示に分けることができる︒

そのうち︑医薬品的な効能効果に関する表示は︑薬事法による

( 2 )  

規制の対象となる︒しかし︑景品表示法は︑規制対象を何ら限 おこなうことにする︒

(一)

七 五

定していないので︑薬事法によって規制される表示であっても︑

それが商品の内容についての優良誤認表示であれば︑それも景

( 3 )   品表示法上の不当表示として禁止されることになる︒結局︑効 用効果に関する表示は︑商品の内容についての優良誤認表示と

なる限りで︑医薬品的な効能効果に関する表ボであれ︑

の効用効果に関する表示であれ︑不当表示として禁止されると

いうことができる︒ その他

そこで︑以下では︑医薬品的な効能効果に関する表示と︑そ の他の効用効果に関する表示を区別することなく︑効用効果に 関する表示として︑その規制について検討をおこなうことに

(4 ) 

する︒まず︑効用効果を積極的に明示する場合について検討し︑

続いて︑効用効果を暗示する場合について検討する︒

効用効果を明示する場合 これは︑直接的に効用効果を表示する場合である︒直接的な

効用効果の表示としては︑﹁

OO

食品には

x x

病を予防する効果

がある﹂というものをあげることができる︒

そういった表示が積極的におこなわれる場合︑そういった表 示をおこなうだけの合理的な根拠を事業者がもっていなけれ

ば︑その表示は不当表示として問題になるということができる︒

5‑4 ‑581 (香法'86)

(4)

( 1

)  

( 2

)  

その物の容器︑包装︑添付文書ならびにチラシ︑パンフレッ

ト︑刊行物等の広告宣伝物あるいは演述によって︑次のような効能効果が表示説明されている場合には︑医薬品的な効能効果が標ぼうされているものとみなされる︵なお︑名称︑含

有成分︑製法︑起源等の記載説明において︑これと同様な効能効果を標ぼうし︑または暗示するものも同様とされる︶︒

①疾病の治療または予防を目的とする効能効果︵ガンが

よく

なる

等︶

②身体の組織機能の一般的増強︑増進を主たる目的とす

る効能効果︵ただし︑栄養補給︑健康維持等に関する表現は︑この限りでない︶︵疲労回復等︶﹁無承認無許可医薬品の指導取締りについて﹂︵昭和四六年六

月一日薬発四七六号通知︵一部改正昭和五八年四月一日薬発

二七三号通知︶︶参照︒なお︑﹁無承認無許可医薬品の指導取

締りの徹底について﹂︵昭和五九年五月ニ︱日薬監四三号通

知︶をも参照︒薬事法六八条は︑製造の承認を受けていない医薬品について

効能効果に関する広告をおこなうのを禁止している︒何が医薬品であるかについては︑薬事法二条に定義がある︒

それによれば︑①日本薬局方に収められている物︑②人また

は動物の疾病の診断︑治療または予防に使用されることが目的とされている物であって︑器具器機でないもの︑③人また

は動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的

とされている物であって︑器具器械でないもの︑が医薬品で

ある︒ところで︑人が経口的に服用する物が︑②⑤︶にいう医薬品に該当するかいなかは︑その物の成分本質︑形状︵剤型︑

容器︑包装︑意匠等をいう︶およびその物に表示された使用目的︑効能効果︑用法用量ならびに販売方法︑販売の際の演 述等を総合的に判断して︑②⑤︶に掲げる目的をその物が有するという認識を通常人が得るかどうかによって判断される︒人が経口的に服用する物が︑医薬品に該当するかいなかは︑個々の製品について個別的に判断されなければならないが︑成分本質︑形状︑用法用量および効能効果をよりどころにして類型化をすれば︑一般的には︑次のようにいうことができる ︒

Rその成分本質が専ら医薬品として使用されるもの︵消 化酵素︑ジャコウ等︶効能効果︑形状および用法用量のい

かんにかかわらず︑この分類に属する成分本質のものが配合または含有されているものは︑医薬品とみなされる︒

Rその成分本質が主として医薬品として使用されるも の︵ビタミン︑朝鮮ニンジン等︶⑦医薬品的な効能効果を

標ぽうするもの︑または︑④形状および用法用量が医薬品的

であるもの︵なお︑形状が明らかに医薬品とみなされる場合

は︑用法用量のいかんにかかわらない︶は︑医薬品とみなさ

れる

@その成分本質が医薬品として使用されているが︑通常 ︒

の食生活において食品としても使用されるもの︵ニンニク︑

ローヤルゼリー等︶⑦医薬品的な効能効果を標ぼうする

もの︑または︑④形状および用法用量が医薬品的であるもの︵なお︑形状が明らかに医薬品的とみなされる場合は︑用法用量のいかんにかかわらない︶は︑医薬品とみなされる︵ただ

し︑④にあっては︑錠剤︑丸剤等の剤型としたものであって

も︑品質保全等のためにその剤型とする必要性が客観的にあると認められるもので︑かつ︑容器または被包の意匠および形態等が医薬品的な認識を与えないと認められるものは︑医

薬品とはみなされない︶︒

七 六

5‑4 ‑582 (香法'86)

(5)

@その成分本質が伝承慣行等により医薬品的な効能効

果を有するものと期待して使用されるものであるが︑通常の食生活において食品の範囲とは認められないもの︵コンフリ

ー︑熊笹等︶⑦医薬品的な効能効果を標ぼうするもの︑ま

たは︑①形状および用法用量が医薬品的であるもの︵なお︑形状が明らかに医薬品的とみなされる場合は︑用法用量のい

かんにかかわらない︶は︑医薬品とみなされる︒

⑥)その成分本質が伝承慣行等により医薬品的な効能効

果を有するものと期待して使用されるものであって︑通常の

食生活において食品の範囲と認められるもの︵小麦胚芽等︶

⑦医薬品的な効能効果を標ぼうするもの︑または︑①形状および用法用量が医薬品的であるもの︵なお︑形状が明らかに

医薬品的とみなされる場合は︑用法用量のいかんにかかわらない︶は︑医薬品とみなされる︵ただし︑cにあっては︑錠剤︑丸剤等の剤型としたものであっても︑品質保全等のため

にその剤型とする必要性が客観的にあると認められるもの

で︑かつ︑容器または被包の意匠および形態等が医薬品的な

認識を与えないと認められるものは︑医薬品とはみなされな

い ︶ ︒

①その成分本質が社会通念上およそ医薬品とも食品と も認められていないもの︵木灰︑岩石の粉等︶⑦医薬品的

な効能効果を標ぽうするもの︑または︑④形状および用法用量が医薬品的であるもの︵なお︑形状が明らかに医薬品的と

みなされる場合は︑用法用量のいかんにかかわらない︶は︑

医薬品とみなされる︒したがって︑﹁健康食品﹂は︑以上に述べたRないし①に該当する限り︵なお︑それが︑日本薬局方に収められている物で

ある場合にはいうまでもない︶︑食品ではなく︑医薬品である

( 3

)  

七 七

ということになる︒そこで︑﹁健康食品﹂が医薬品の範囲に入る限りで︑﹁健康食品﹂について医薬品的な効能効果に関する

表示をおこなうことは︑薬事法六八条にいう医薬品についての効能効果に関する広告をおこなったことになる︒しかし︑

﹁健康食品﹂が︑医薬品として製造の承認を受けているとは考えられない︒それゆえ︑﹁健康食品﹂について医薬品的な効能

効果に関する表示をおこなうことは︑禁止される︒

もっとも︑①野菜︑果物︑菓子︑調理品等その外観︑形状等よりみて明らかに食品と認識される物︑②栄養改善法︱二条

の規定に基づき許可を受けた標示内容を標示する特殊栄養

食品は︑医薬品に該当しないものとされている︒そこで︑こういった物は︑たとえ医薬品的な効能効果に関する表示がお

こなわれるとしても︑医薬品ではないので︑薬事法上の規制

を受けることはない︵①の範囲に入る物に関しては︑不当表示として景品表示法上の規制がおこなわれる場合があるこ

とは

いう

まで

もな

い︶

なお︑本注の解説は︑経済企画庁国民生活局消費者行政第一課︵編︶.﹁健康食品﹂の販売等に関する総合実態調査(‑九

八四年︶一四三ー四五頁に依拠するところが大きい︒また︑「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」•前掲参照。

この点︑実務では︑次のような取扱がおこなわれている︒す

なわち︑薬事法の規制が及ぶ表示については︑薬事法で規制をおこない︑薬事法の規制が及ばない表示については︑景品

表示法による規制の対象とするということである︒その理由

は︑次のところにある︒第一は︑薬事法においては︑景品表示法とは異なり︑効能効果の表示がおこなわれたということ

だけから法違反を問うことが可能であるということである︒第二は︑薬事法においては︑景品表示法とは異なり︑法違反

5 ‑4‑583 (香法'86)

(6)

二)

に対する罰則規定が設けられているということである︒要す

るに︑薬事法違反の案件は︑景品表示法によって規制するよりも︑薬事法によって規制する方が効率的であるということにある︒もっとも︑薬事法による規制が可能な案件であって

も︑景品表示法による規制の方が公正な競争を確保するため

に効率的であると考えられる場合には︑景品表示法による規

制がおこなわれることになる︒酒井享平

1 1

村豊

﹁﹃

痩身

効果

等を標ぼうするいわゆる健康食品の広告等の注意点﹄の概要﹂公正取引四一八号九︱ニー一三頁(‑九八五年︶参照︒

(4)なお︑﹁痩身効果等を標ぽうするいわゆる健康食品の広告等

の注

意点

﹂︵

昭和

0

年六月二八日公取指一三一号通知︶にお

いて︑痩身効果︑伸長効果︑豊胸効果を標ぽうする﹁健康食

品﹂に限ってではあるが︑医薬品に該当するために薬事法に

よって規制することができる広告と︑医薬品に該当しないために薬事法によって規制することはできないが景品表示法

の規制対象となる表示の例が︑それぞれ示されている︒この点については︑酒井

1 1

村・

前掲

OI

一六

頁を

も参

照︒

効用効果を暗示する場合 これは︑間接的に効用効果を暗示する場合である︒間接的な 効用効果の表示としては︑効用効果を認識させる個別具体的な 積極的表示と︑個別具体的な積極的表示とはいえないが︑なお 効用効果を認識させる表示とがある︒

① 効 用 効 果 を 認 識 さ せ る 個 別 具 体 的 な 積 極 的 表 示 効 用 効果を認識させる個別具体的な積極的表示としてかかわりがあ

効果があると判断する︒ るのは︑次のような表示︑すなわち︑含有成分の表示・説明︑

名称・キャッチフレーズ︑製法の説明︑起源・由来等の説明︑

新聞・雑誌等の記事︑医師・学者等の談話︑学説経験談などの 引用・掲載︑特定の人に推奨する表示︑使用量・使用期間の表 示などである︒これらの表示が積極的におこなわれるとき︑

のような内容の場合にそれらが不当表示として問題になるので

(5 )( 6)  

あろうか︒以下︑この問題について検討を加えることにする︒

不当表示として問題になりう

、‘~a ︵ 

るのは︑﹁△△成分が不足すると

x x

病になる︒

00

食品には△

△成分が含まれている︒﹂というような表示である︒それは︑﹁

O

含有成分の表示・説明

〇食品には

x x

病を予防する効果がある﹂と直接的に効用効果

を表示しているわけではない︒

しか

し︑

なわれれば︑消費者は一般に︑

00

食品には

x x

病を予防する ところで︑この判断が正しいということができるためには︑

(7 )  次のことがすべて妥当しなければならない︒すなわち︑①△△

成分が不足すると

x x

病になるということ︑②

00

食品には△

△ 成 分 が 含 ま れ て い る と い う こ と

③ 通 常 の 食 生 活 に お い て

x

x

に な る ほ ど

△ 成 分 が 不 足 し て い る と い う こ と

x

x

病の予防効果を発揮するのに充分な量の△△成分を

00

食品から摂取することができるということ︑⑤

00

食品を摂取

Jういった表示がおこ

七 八

5 ‑4 ‑584 (香法'86)

(7)

がで

きる

る﹂ 不当表示として問題になりうるのは︑﹁有 することによって︑

x x

病の予防効果を発揮するのに充分な量

の△△成分を吸収することができるということ︑

それ

ゆえ

︑ そういった表示が積極的におこなわれる場合︑以 上に述べたことの︱つについてでも事業者が合理的な根拠をも

っていないということになれば︑

などである︒

その表示は不当表示として問

題になるということができる︒

⑮ 名 称

︑ キ ャ ッ チ フ レ ー ズ

l

﹂ ﹁

OO

長命食﹂といった商品名︑﹁

OO

クリニック﹂といっ

た事業者名︑﹁宿便をとって肌をきれいに﹂﹁慢性病を追放する ﹁

00

頭脳食﹂﹁

OO

ドクタ

なりうるということができる︒たしかに︑ ために﹂といったキャッチフレーズが︑不当表示として問題に

それらは︑効用効果 を直接的に明示するものではないが︑効用効果を認識させる個

別具体的な積極的表示であるということができる︒

そういった表示が積極的におこなわれる場合︑そういった表

示をおこなうだけの合理的な根拠を事業者がもっていなけれ

ば︑その表示は不当表示として問題になるということができる︒

い 製 法 の 説 明 効成分を純粋な形で抽出した﹂というような表示である︒これ も︑効用効果を直接的に明示するものではないが︑何らかの効 用効果を認識させる個別具体的な積極的表示であるということ

そういった表示が積極的におこなわれる場合︑

示をおこなうだけの合理的な根拠を事業者がもっていなけれ

ば︑その表示は不当表示として問題になるということができる︒

起源︑由来等の説明

︑ ̀ / d 

, \  

のは︑次のような表示︑すなわち︑﹁

OOO

という古い自然科学

書をみると胃を開き︑鬱を散じ︑消化を助け虫を殺し︑痰など も無くなるとある︒こうした経験が昔から伝えられたが故に食

膳に必ず備えられたものである︒﹂といったような表示である︒

これも︑効用効果を直接的に明示するものではないが︑

効用効果を認識させる個別具体的な積極的表示であるというこ

そういった表示が積極的におこなわれる場合︑

示をおこなうだけの合理的な根拠を事業者がもっていなけれ

ば︑その表示は不当表示として問題になるということができる︒

̀

︵  e  l

などの引用・掲載

七 九

そういった表 そういった表

新聞・雑誌等の記事︑医師・学者等の談話︑学説経験談

る場合︑不当表示として問題になりうるということができる︒

医学博士

0

000

の談︒﹁昔から赤飯に

0 00

をかけて食べると

癌にかからぬといわれている︒癌細胞の脂質代謝異常ひいては 糖質︑蛋白代謝異常と

0 0

が結びつきはしないかと考えられ

とができる︒

たとえば︑次のような表示がおこなわれ

一定

不当表示として問題になりうる

5 ‑ 4 ‑585 (香法'86)

(8)

る ︒ 的表示であるということができる︒ い

︒し

かし

たしかに︑これは︑効用効果を直接的に明示するものではな

これも︑効用効果を認識させる個別具体的な積極

そういった表示が積極的におこなわれる場合︑

示をおこなうだけの合理的な根拠を事業者がもっていなけれ

ば︑その表示は不当表示として問題になるということができる︒

① 特 定 の 人 に 推 奨 す る 表 示 不 当 表 示 と し て 問 題 に な り

うるのは︑﹁動脈硬化が気になる人﹂﹁コレステロールや中性脂

肪が気になる人﹂に推奨するというような表示である︒これも︑

効用効果を直接的に明示するものではないが︑一定の効用効果

を認識させる個別具体的な積極的表示であるということができ

そういった表示が積極的におこなわれる場合︑ そういった表

そういった表

示をおこなうだけの合理的な根拠を事業者がもっていなけれ

ば︑その表示は不当表示として問題になるということができる︒

⑧ 使 用 量

︑ 使 用 期 間 の 表 示 不 当 表 示 と し て 問 題 に な り

うるのは︑﹁毎日根気よく一日の回数を決めずに一\六か月は飲

んでみて下さい﹂というような表示である︒これも︑効用効果

を直接的に明示するものではないが︑何らかの効用効果を認識

させる個別具体的な積極的表示であるということができる︒

そういった表示が積極的におこなわれる場合︑そういった表 こういった表示はとくに規制されな

示をおこなうだけの合理的な根拠を事業者がもっていなけれ

ば︑その表示は不当表示として問題になるということができる︒

②個別具体的な積極的表示以外の効用効果を認識させる表 示そういった表示としては︑次のようなものをあげること

(8 ) 

ができる︒すなわち︑医薬品的な効能効果を認識させる剤型︑

容器︑包装︑意匠といった︑消費者が先見的にもっているイメ

ージを刺激することによって︑医薬品的な効能効果を認識させ

る表示である︒

これらの表示は︑たしかに︑効用効果を明示する表示ではな

く︑また︑効用効果を認識させる個別具体的な積極的表示でも

これらの表示は︑また︑効用効果を暗示する表

示であるということができる︒というのは︑明示の表示または

効用効果を認識させる個別具体的な積極的表示がおこなわれて

いなくても︑消費者は︑これらの表示と自らがもっている先見

的なイメージとを結合することによって︑﹁健康食品﹂が医薬品

的な効能効果をもっていると認識するに至るからである︒そこ

で︑消費者のその判断がまちがっているということになれば︑

その表示は不当表示として問題になるということができる︒

﹁健

康食

品﹂

に関

して

は︑

ければならない︒ な

い︒

しか

し︑

というのは︑﹁健康食品﹂については︑通常の

食品には存在しない効用効果︑とくに医薬品的な効能効果が存

八 〇

5 ‑4 ‑586 (香法'86)

(9)

不当表示が問題となる安全性に関する表示には︑﹁健康食品﹂

それ自体の安全性からみてそもそも問題があるものと︑安全性 にかかわりのある何らかの表示を積極的におこなうことによっ

(l ) 

てはじめて問題が生じてくるものとがある︒

= 

""""""' 

安全性に関する表示

ジを事業者が利用する可能性が大きいからである︒また︑こう いった表示の規制が充分におこなわれないとすれば︑﹁健康食 品﹂にかかる表示の規制は極めて不充分なままにとどまるよう

に思われるからである︒

( 5

)

なお

︑こ

の点

につ

いて

の検

討は

︑﹁

健康

食品

﹂に

つい

てど

うい

った表示を積極的におこなわせるべきであるのかという論点の検討と合わせおこなう必要があるが︑後者の検討は後送

りと

して

いる

( 6

) なお︑以下にあげる積極的表示の例は︑﹁無承認無許可医薬品

の指導取締りについて」•前掲(注l)および経済企画庁国民生活局消費者行政第一課・前掲︵注

2)

から

引い

た︒

( 7

)

経済企画庁国民生活局消費者行政第一課・前掲六五頁参照︒

( 8

)

前掲

六六

頁参

照︒

在するかのようなイメージを消費者はもっており︑そのイメー

4 0

/¥ 

る場合

﹁健康食品﹂に関しては︑次のような場面での安全性が問題に

なるということができる︒すなわち︑①原材料そのものの安全 性︑②加工段階で発生する安全性︑③変質に伴い発生する安全

性︑④形態に由来する安全性︑である︒そこで︑﹁健康食品﹂の

安全性に関する表示がどういった場合に不当表示として問題に

なるのかということについても︑﹁健康食品﹂の安全性が問題と

(2 ) 

なる場面に即して︑検討を加えることにしよう︒

①安全性についての疑問が原材料そのものにある場合の安 全 性 に 関 す る 表 示 天 然 の 動 植 物 の 中 に 存 在 す る 有 毒 物 質 に ついては︑現在のところ︑ごく一部のものを除いて︑ほとんど 知られていない︒しかし︑常日頃食べている動植物は︑二

00

ないし三

00

種にすぎないが︑長年にわたる人間の歴史の中で

の試行錯誤の結果︑適当な加工方法や調理方法があみ出され︑

安全で有益な食品として使用されるに至っていると考えられて

いる

それに対し︑﹁健康食品﹂の中には︑食用経験のない新しい動 ︒

植物︑微生物等を原材料にしたものがかなり存在する︒それら の安全性については︑われわれは︑ほとんど経験をもっていな

(一)

﹁健康食品﹂それ自体の安全性からみてそもそも問題があ

5‑4 ‑587 (香法'86)

(10)

示す

れば

︑ その表示は︑不当表示として問題になるということ

,' , 

性に関する表示 安全性についての疑問が加工段階で発生する場合の安全

すべての食品は︑何らかの汚染物を含んで いる︒しかし︑食品の中に有害物質が存在するということと︑

それが有害であるということとは全く別のことであり︑現状で 一般の食品に関するかぎり︑汚染物が健康に悪影響を及ぽ

それに対し︑﹁健康食品﹂は︑往々にして︑過度の抽出・濃縮

がおこなわれたり︑加熱・加工がおこなわれている︒そのよう な場合には︑汚染物が濃縮されたり生成されたり︑また︑成分

それ

ゆえ

バランスの崩壊によって安全性が失われたりすることが考えら れ︑結果として︑健康に悪影響を及ぼすことが考えられる︒

そこで︑抽出・濃縮︑加熱・加工が過度におこなわれる﹁健 康食品﹂は︑安全性が確保されているということはできない︒

そういった﹁健康食品﹂を安全であると表示すれば︑

その表示は︑不当表示として問題になるということができる︒

' ︑

’~_し

安全性についての疑問が変質に伴い発生する場合の安全

すことはないと考えられている︒

(4) 

がで

きる

安易に濃縮したり︑単離したり︑加工したりして︑﹁健康食品﹂

として使用しようとすると︑有害物質に変わるおそれが大であ

できない︒そこで︑ ている﹁健康食品﹂は︑安全性が確保されているということは

そういった﹁健康食品﹂を安全であると表

示す

れば

安全性についての疑問が形態に由来する場合の安全性に ︑ 関する表示

その表示は︑不当表示として問題になるということ

におい︑色による判断︶

日常の食生活においては︑われわれは︑満腹に

なればやめるという食習慣︵食欲による制御︶や官能検査︵味︑

によって︑有害物の摂取をおさえ︑有

害物から身を守っている︒

なり

︑ しかし︑﹁健康食品﹂の多くは︑通常の食品形態とは大きく異

カプセル剤︑錠剤︑液状︑粉末状といった形態をとって

いる︒そこで︑そういった﹁健康食品﹂は︑

その摂取を制御す

よ ︑

 

そこで︑変質成分を濃縮したり︑単離したり︑加工したりし

ると考えられている︒

がで

きる

しかし︑変質しやすい成分を︑大切な成分だからといって︑ 御物質を備え︑変質から守っている︒ できない︒そこで︑

それゆえ︑食用経験のない新しい動植物︑微生物等を原材料 とした﹁健康食品﹂は︑安全性が確保されているということは

そういった﹁健康食品﹂を安全であると表

食品は︑常に変質し︑その安全性は時々刻々

そこなわれている︒動植物の成分で必須のものの中には変質し

やすいものが多いが︑動植物は︑体内に︑変質を防ぐための防 性に関する表示

J¥ 

5 ‑ 4 ‑588 (香法'86)

(11)

不当表示として問題になるということができる︒ を含んでいるということができる︒ る要素を内在しておらず︑有害物をも多量に摂取させる可能性

ゆえに︑通常の食品形態とは大きく異なる﹁健康食品﹂は︑

安全性が確保されているということはできない︒そこで︑そう いった﹁健康食品﹂が安全であると表示されれば︑その表示は

( l

)

﹁健康食品﹂についての安全性に関する表示を規制するためには︑本稿で問題としている景品表示法のほかに︑食品衛生法を援用することができる︒すなわち︑︱つに︑ご一条を援用して︑公衆衛生に危害を及ぽすおそれがある虚偽表示等を禁止することであり︑二つに︑一一条を援用して︑公衆衛生の見地から︑表示について必要な基準を定め︑それを遵守させることである︒この点については︑森島昭夫﹁健康食品の

原状

から

見た

法的

規制

﹂国

民生

活一

四巻

九号

二二

︑二

七頁

︵一

九八

四年

︶を

も参

照︒

( 2

)

﹁健康食品﹂の安全性にかかる叙述は︑主として︑内山充﹁健康食品と食生活﹂国民生活一四巻九号四︑五ー八頁(‑九八四年︶に依拠した︒また︑内山充﹁安全性評価からみた﹃健

康食

品﹄

﹂食

品衛

生研

究三

四巻

八号

七四

七頁

(‑

九八

四年

︶︑

同﹁新開発等食品の安全性評価法﹂食品衛生研究一二四巻七号六七七頁(‑九八四年︶︑同﹁健康食品﹂食品衛生研究三三巻︱二号一〇九五頁(‑九八三年︶をも参照した︒

安全性にかかわりのある表示としては︑次のようなもの︑すな わち︑医薬品でない旨の表示︑保存方法の表示︑保存・賞味期 間の表示︑使用量の表示︑使用期間の表示︑副作用についての

表示

} ¥  

天然・無添加の表示︑安全性確認の表示などがある︒こ

れらの表示が積極的におこなわれたとき︑

どういった内容の場

合にそれらが不当表示として問題になるのであろうか︒以下︑

(3 )

4

) 

この問題について検討を加えることにする︒

医薬品でない旨の表示

, ' ︐  

極的に表示している場合には︑その表示が不当表示として問題

医薬品ではないことだけを積

になることはないと一般にいうことができる︒しかし︑﹁医薬品

ではないので安全です﹂とか﹁医薬品ではないのでいくら食べ ても大丈夫です﹂といった︑安全性にかかわりのある表示が積 極的におこなわれる場合には︑その表示は不当表示として問題

になるということができる︒というのは︑すでに述べたように︑

﹁健康食品﹂はそれ自体︑安全性が問題になるものが多いからで

② 保 存 方 法 の 表 示

﹁ 開 封 後 は 冷 蔵 庫 に 保 管 し て 下 さ い

﹁高温・湿気を避けて保管して下さい﹂﹁直射日光を避けて冷暗

所に﹂というように︑保存を積極的にすすめている場合には︑

その表示が不当表示として問題になることはあまりないという あ

る︒

口 表 示 内 容 に よ っ て 問 題 が 生 じ て く る 場 合

5‑4‑589 (香法'86)

(12)

ことができよう︒しかし︑﹁冷蔵庫に保存する必要はありません﹂

﹁常温で長期間保存しても腐敗︑変質しません﹂というように︑

特別の保存方法をとる必要がない旨を積極的に表示する場合に は︑その表示は不当表示として問題になる場合があるというこ

とが

でき

る︒

﹁健康食品﹂の性質からみればとりわけ︑安全性に疑問が残るか

らで

ある

③保存・賞味期間の表示

い﹂﹁自然食品ですからなるべく二か月以内にお召上り下さい﹂

といった保存・賞味期間の表示は︑﹁健康食品﹂の安全性にかか

わりがあるものである︒そういった表示が積極的におこなわれ

る場

合︑

というのは︑食品一般の性質からみても︑

そういった表示をおこなうだけの合理的な根拠を事業

者がもっていなければ︑

その表示は不当表示として問題になる

ということができる︒というのは︑﹁健康食品﹂の性質からみて︑

安全性に疑問がでてくるからである︒

④ 使 用 量 の 表 示

﹁ 一 日 二

\ 三 回 食 事 の あ と に

﹁ 一 日 に

添付スプーンで三杯を﹂﹁毎日六粒程﹂といった︑規定量を毎日

飲食するようにすすめる表示や︑目安等によって使用量を抽象 的に示す表示は︑不当表示として問題になることはほとんどな

いということができるように思われる︒

表示

は︑

A

こ ︑

t

しカ

とい

うの

は︑

また

それらの

その使用量によっては消費者の安全が侵害

﹁開封後一か月位でお食べ下さ

った

﹁毎日続けてお飲み下さい﹂といっ

されることはないということを暗示するが︑使用期間を問題に

しないということを前提とすれば︑その使用量だけで消費者の

安全が侵害されるということはほとんど考えられないように思

それに対し︑﹁医薬品ではないのでとくに量に制限はありませ

ん﹂﹁健康食品ですのでとくに量に制限はありません﹂といった︑

無制限に飲食することを積極的にすすめる表示や︑﹁化学薬品で

はないので毎日飲んでも量を多く飲んでもさしつかえありませ

ん﹂﹁少量よりも多量に﹂といった︑多量に飲食することを積極

的にすすめる表示は︑﹁健康食品﹂の性質を考えると︑不当表示

として問題になる場合があるように思われる︒というのは︑そ の使用量によって︑消費者の安全が侵害される場合があるよう

に思われるからである︒

⑤ 使 用 期 間 の 表 示

た︑長期間継続して使用することをすすめる表示は︑﹁健康食品﹂

の性質を考えると︑不当表示として問題になる場合があるよう

に思

われ

る︒

とい

うの

は︑

われるからである︒

その期間使用することによって︑消 費者の安全が侵害される場合があるように思われるからであ

る︒また︑﹁毎日根気よく一\六か月は飲んでみて下さい﹂とい

一定期間使用することをすすめる表示も︑不当表示とし

て問題になる場合がないとはいえないように思われる︒

八四

5 ‑ 4 ‑590 (香法'86)

(13)

2  

用と思われる反応﹂﹁健康を守るための反応﹂を示す︑発熱︑発

疹︑目やに︑下痢︑便秘等の症状がでることがあっても︑それ

らの症状は︑﹁一時的なもの﹂﹁効果が現われている証拠﹂﹁体調

が改善されつつあることを示すもの﹂であり︑別段心配するに

は及ばないので︑飲食を続けるようにとの表示は︑安全性との

かかわりがとくに大きい︒それらの表示が積極的におこなわれ

る場

合︑

者がもっていなければ︑ そういった表示をおこなうだけの合理的な根拠を事業

その表示は不当表示として問題になる

ということができる︒

もっていなければ︑

うことができる︒

とい

うの

は︑

の安全が侵害される場合があるように思われるからである︒

,̲ , 

天然・無添加の表示

とい

うの

は︑

副作用についての表示

その表示によって︑消費者

天然のものであるので安全であ

るという表示だけではなく︑﹁天然素材による﹂﹁天然植物を素

材に使った純度一

00

パーセント﹂といった︑天然のものを素

材とした加工品であることを強調している表示や︑﹁合成着色 料・保存料の添加物を一切使っていない﹂といった︑添加物が

使用されていないことを強調している表示も︑安全性にかかわ

りのある表示である︒それらの表示が積極的におこなわれる場

合︑そういった表示をおこなうだけの合理的な根拠を事業者が

その表示は不当表示として問題になるとい

その表示によって︑消費者の安

﹁瞑

眩反

応﹂

﹁好

転反

応﹂

﹁副

ある

(8) 

安全性確認の表示 われるからである︒

八 五

全または安全性に対する期待が侵害される場合があるように思

﹁急性毒性︑亜急性毒性試験などを

十分に済ませている﹂といった︑科学的に安全性の確認がなさ

れていることを強調する表示が積極的におこなわれる場合︑

i

ォ'

る︒というのは︑ そ

の表示をおこなうだけの合理的な根拠を事業者がもっていなけ

その表示は不当表示として問題になるということができ

その表示によって︑消費者の安全または安全

性に対する期待が侵害される場合があるように思われるからで

( 3

)

なお

︑こ

の点

につ

いて

の検

討は

︑﹁

健康

食品

﹂に

つい

てど

うい

った表示を積極的におこなわせるべきであるのかという論点の検討と合わせおこなう必要があるが︑後者の検討は後送

りと

して

いる

(4

)

なお︑以下にあげる積極的表示の例は︑経済企画庁国民生活

局消

費者

行政

第一

課︵

編︶

.﹁

健康

食品

﹂の

販売

等に

関す

る総

合実

態調

査(

‑九

八四

年︶

から

引い

た︒

5‑4‑591 (香法'86)

(14)

とにする︒そして︑最後に︑この立証問題に関する実務上の扱 不当表示に分けて︑Jの立証問題についての検討をおこなうこ

立 証 問 題

不当表示の禁止に際しては︑当該表示が商品の内容について

優良であると誤認させるとか︑商品の取引条件について有利で

あると誤認させるということを︑公正取引委員会の方が立証し

なければならない︒それでは︑このことは︑当該表示が真実で

はないということを立証することによって︑その表示の誤認性

を公正取引委員会が究極的に立証しなければならないというこ

とを意味するのであろうか︒この点︑効用効果に関する表示に

しても︑安全性に関する表示にしても︑それが真実であるかど

うかを立証するのは容易ではない︒そこで︑当該表示が真実で

ないということを公正取引委員会が立証しなければならないと

すれば︑﹁健康食品﹂についての表示を不当表示として規制する

ことは極めて困難になる︒そうではなく︑当該表示が真実では

ないということを公正取引委員会が立証するまでもなく︑

その

表示の誤認性を立証することができるのであれば︑﹁健康食品﹂

の不当表示規制はかなり容易になるように思われる︒

そこで︑以下︑効用効果に関する不当表示と安全性に関する

そこで︑特定の食品が一般の食品に比して特定の効用効果を

もつと積極的に表示する場合には︑

う者

が︑

その表示が真実であるということを確証していなけれ

ばならないということができる︒

がもつ性質からみて︑そういった表示をおこなうだけの合理的

な根拠を事業者がもっているにちがいないと考えるからであ

る︒消費者のこの期待に反して︑事業者が合理的な根拠をもた

ずに効用効果について積極的な表示をおこなうことは︑効用効 性をもっているとさえいわれる︒ 効用効果に関する不当表示

9 ,   , ' 

食品はすべて︑何らかの意味で︑健康の維持・増進に︵ある

(1 ) 

いは疾病の予防・治療にとっても︶有用なものである︒われわ

れは

日常の食生活のメニューを改善し︑こういった食品を多

種類︑過多にならない量だけ摂取することによって︑

健康の維持・増進をはかることが可能になっている︒

︱つの食品だけを摂取することによって︑健康の

維持・増進をはかることができるわけではない︒﹁健康食品﹂を

通じて特定成分を補給することは︑真に必要な不足をうまく補

う可能性よりも︑ わ

れわ

れは

いについてふれることにする︒

ようやく

むしろ︑偏りと過食をますます助長する可能

その表示を積極的におこな

というのは︑消費者は︑食品

八 六

つま

り︑

5 ‑ 4 ‑592 (香法'86)

(15)

安全性に関する不当表示

われわれが日常食べている食品は︑一応安全であると考えら

( 2 )  

れている︒それは︑次のような理由による︒第一は︑われわれ

が日常食べている食物は二

00

ないし三

00

種の動植物である

が︑それらは︑長い人間の歴史の中で試行錯誤を経て︑何百万

種かの動植物の中から選ばれ︑適当な加工方法や調理方法があ

み出されてきたということである︒第二は︑われわれが日常食

(二)

果があるかどうか不明なものを︑あたかも効用効果があること

が確実であるかのように表示することになる︒その結果︑消費

者は︑商品の内容が優良であると誤認するに至る︒

以上のことから︑﹁健康食品﹂に関しては︑事業者が合理的な

根拠をもたずに効用効果について積極的な表示をおこなうこと

が︑即︑不当表示となるということができる︒それゆえ︑効用

効果についての表示が不当表示となるかどうかを判断するに際

しては︑公正取引委員会は︑事業者が︑効用効果について積極

的な表示をおこなうだけの合理的な根拠をもっていないという

(l

)

以下の叙述は︑内山充﹁健康食品と食生活﹂国民生活一四巻

九号

四︑

五頁

(‑

九八

四年

︶に

依拠

した

ことを立証しさえすればよい︒

八 七

べている食品は︑官能検査によって良否が判断されたり︑食欲

と満腹感によって摂取量のコントロールや偏食の防止がおこな

われたりしているということである︒第三は︑われわれの自己

判断によって︑食品の種類や量の偏りが補正されているという

ことである︒第四は︑長年にわたる経験や実証的な研究を通じ

て確立された手法を用いて︑食品の毒性についての試験が実施

それに対して︑﹁健康食品﹂の安全性には疑問がある︒その根

( 3 )  

拠は次の通りである︒すなわち︑第一は︑原材料そのものの安

全性に疑問があるものがあるということである︒第二は︑加工

段階で安全性に疑問が生じてくるものがあるということであ

る︒第三は︑変質に伴い安全性に疑問が生じてくるものがある

ということである︒第四は︑形態によって安全性に疑問が生じ

てくるものがあるということである︒第五は︑新材料を用い︑

新しい加工工程を経︑新しい食べ方をすすめる﹁健康食品﹂に

ついては︑その安全性を確かめる試験方法が完備しているとは

(4 ) 

いいがたいということである︒

それにもかかわらず︑消費者は︑次のような理由で︑﹁健康食

品﹂の安全性は確証されているものと考える︒すなわち︑第一

は︑長年にわたる経験を通じて︑食品というものは一応安全な

ものであると消費者が考えるに至っているということである︒ されているということである︒

5‑4 ‑593 (香法'86)

(16)

ヽ~゜

 

の内容が優良であると誤認するに至る︒ いった表示をおこなうだけの合理的な根拠を事業者がもってい 第二は︑食品が﹁健康食品﹂として提供されるからには︑そう

(5 ) 

るにちがいないと消費者が考えるということである︒

そこで︑事業者が︑合理的な根拠をもっていないにもかかわ

らず︑﹁健康食品﹂が安全であるかのように表示することは︑安

全であるかどうか不明なものを︑あたかも安全が確証されてい るかのように表示することになる︒その結果︑消費者は︑商品

以上のことから︑﹁健康食品﹂に関しては︑事業者が合理的な

根 拠 を も た ず に 安 全 性 に つ い て 積 極 的 な 表 示 を お こ な う こ と が︑即︑不当表示となるということができる︒それゆえ︑安全 性 に つ い て の 表 示 が 不 当 表 示 と な る か ど う か の 判 断 に 際 し て は︑公正取引委員会は︑その表示の真実性を立証するまでもな く︑事業者が安全性について積極的な表示をおこなうだけの合 理 的 な 根 拠 を も っ て い な い と い う こ と を 立 証 し さ え す れ ば よ

( 2

)

内山・前掲六︑八10頁︑同﹁安全性評価からみた﹃健康

食品﹄﹂食品衛生研究三四巻八号七四七︑七四九︑七五三ー五四頁(‑九八四年︶︑同﹁新開発等食品の安全性評価法﹂食品衛生研究三四巻七号六七七︑六七八頁(‑九八四年︶︑同﹁健

康食品﹂食品衛生研究三三巻︱二号一〇九五,︱

I O

I

︑ 一

実務上の扱い

公正取引委員会は︑﹁健康食品﹂等の効能効果表示について景

品表示法による迅速かつ的確な規制をおこなうことを目的とし

て︑﹁いわゆる健康食品等の効能効果表示に関する不当景品類及

(6 ) 

び不当表示防止法違反事件関係事務処理細則﹂を定めている︒

それは︑﹁健康食品﹂等の効能効果表示関係の申告が増加する一

方︑効能効果については公的または客観的な鑑定等が得にくい ため︑事件処理が迅速かつ的確におこないがたいということに

(7 ) 

対応するものであった︒

その処理細則によれば︑まず第一に︑①効能効果表示の内容

が合理的な根拠に基づいていないと考えられる場合であって︑

かつ︑②効能効果表示の内容がその表示に接する消費者の相当 部分に誤認されると考えられるときまたはその効能効果表示が 正常な事業活動をおこなっている競争事業者の事業活動に影響

10

三頁

(‑

九八

三年

︶参

照︒

( 3

)

なお︑第一ないし第四の根拠については︑前述三日参照︒

( 4

)

この点については︑内山・前掲︵注

1)

10頁︑同﹁健康食

品﹂

・前

掲︵

2)

︱1

0三

ー0

四頁

参照

( 5

)

消費者が常にもっていると思われる︑安全性に対する一抹の

不安は︑宣伝︑添付文書︑一見専門家にみえる販売者のことば︑学者の推奨文などを通じて︑取り除かれうる︒内山・前

掲︵

﹁健

康食

品﹂

︶一

〇九

八頁

参照

¥1

Jl

5 ‑4 ‑594 (香法'86)

(17)

れるということである︒ うことである︒第二は︑ い

る︒

調査がおこなわれることになっている︒ を与えるおそれがあると考えられるときに︑景品表示法違反の疑いがあるとされている︒そして︑うことが端ちょによって認められ︑

あると認められる場合の第 そういった疑いがあるといか

つ︑

その事件が他に移送

すべきものでない場合に︑違反事実および関連事実について本

その処理細則によれば︑第二に︑事件の軽重等により三通り

(8 ) 

の調査方法が選択的に用いられるべきことになっているが︑排

除命令に相当すると予想される重要事件以外の一般事件におい

(9 ) 

ては︑まず関係者から表示内容に合理的な根拠があるかいなか

について疎明を求める任意調査の方法を活用することになって

この処理細則で注目しなければならないのは︑次の点である︒

すなわち︑第一は︑効能効果表示の内容が合理的な根拠に基づ

( 1 0 )  

いていないと考えられる場合が︑景品表示法に違反する疑いが

の要件としてあげられているとい

一般事件においては︑表示内容に合理

的な根拠があるかいなかについて関係者に対して疎明が求めら

そこで︑合理的な根拠に基づかずに事業者が効能効果表示を

おこなえば︑景品表示法に違反する疑いがあるとして規制手続

が開始されうるということになる︒また︑事業者は︑公正取引

る ︒ れるわけでもない︒

八 九

︵一 九八 五・

この処理細則は︑事業者が合理的な根拠に基づか るかいなかについて疎明しなければならなくなる︒ 委員会が求めた場合には︑表示内容について合理的な根拠があ

もっ

とも

ずに効能効果表示をおこなったということがただちに景品表示

法に違反するということを前提としているわけではない︒それ

は︑事業者が合理的な根拠に基づかずに効能効果表示をおこな

ったと考えられる場合には︑景品表示法違反の疑いが生じるの

で︑違反事実および関連事実について本調査がおこなわれると

いうことを述べているにすぎない︒その事業者が景品表示法に

違反しているかどうかは︑改めて︑公正取引委員会が立証しな

ければならない︒そこで︑事業者が表示内容について合理的な

根拠があったかいなかについて疎明できなかったとしても︑そ

のことによってただちに︑その事業者が景品表示法違反に問わ

しかし︑この処理細則は︑﹁事業者が根拠となる資料を持たず

に効能効果表示を行うことを︑戒めたものともいえる﹂という

( 1 1 )  

評価が与えられていることからみても︑単なる事務処理細則に

( 1 2 )  

とどまるものではないということができる︒この点で︑この処

理細則は︑積極的な評価に値するものであるということができ

一・ 三

0 )

5‑4 ‑595 (香法'86)

(18)

( 6 )

昭和五九年五月二四日公取監三八五号通知︒

( 7

)

以下︑解説は︑次の文献によった︒荒井登志夫﹁﹃健康食品﹄

等の効能効果表示に関する景品表示法違反事件処理細則の

概要﹂公正取引四

0

五号五五頁(‑九八四年︶︒

( 8

)

すなわち︑①試買︑分析調査︑鑑定依頼等の方法︑②関係者に対して報告︑出頭︑物件の提出等を依頼する任意調査の方

法︑および︑③独占禁止法四六条の規定による立件調査の方

法︑

であ

る︒

( 9

)

なお︑重要事件においては︑前注にあげた①および③の調査方法が用いられる︒

( 1 0 )

この点については︑解釈通知が発せられている︒それによれ

ば︑①表示の根拠となる成分︑物質が全く入っていないかまたはほとんど入っていないとみられる場合︑②元怠5の根拠と

なる含有成分または機能が︑通常のものと比べて優良であるかのように表示しているが︑実際には︑ほとんど変わらない

とみられる場合︑③他人が作成した論文等から自己に都合の

よい部分のみを引用して表示しているとみられる場合︑④専門家の推せん︑購入者の体験談等を事実に反して表示しているとみられる場合︑⑤効能効果がきわめて短時間に容易に達

成できるかのように表示しているが︑経験則から考えて到底

達成不可能であると思われる場合が︑効能効果表示の内容が

合理的な根拠に基づいていないと考えられる場合に該当す

る例としてあげられている︒﹁いわゆる健康食品等の効能効

果表示に関する不当景品類及び不当表示防止法違反事件関

係事務処理細則の解釈について﹂︵昭和五九年五月二四日公取監二九一二号通知)参照。また、荒井•前掲(注7)五六ー五八頁をも参照︒荒井・前掲五八頁︒

( 1 1 )

 

( 1 2 )

特定の文言を用いることによって︑当該商品がとくに優良で なお︑公正競争規約の中には︑客観的な根拠に基づかないで 

あるかのように誤認されるおそれがある表示を︑不当表示と

して禁止しているものがある︒生めん類の表示に関する公正競争規約六条六号︑トマト加工品の表示に関する公正競争規約六条四号︑コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約七

条四号︑はっ酵乳︑乳酸菌飲料の表示に関する公正競争規約

六条四号︑殺菌乳酸菌飲料の表示に関する公正競争規約六条

四号

等参

照︒

九 〇

5 ‑ 4 ‑596 (香法'86)

参照

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