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「 健 康 食 品 」 と 表 示 規 制

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(1)

研究ノート

梢極的表小が義務づけられるべき﹁健康食 はじめに 品ーり範団

︵ 心 健 康 食 品 し い 範 囲

︵ 梢 極 的 表 ぶ が 必 要 と な る

﹁ 随 康 食 品

り範囲

積極的表がが義務づけられるべき巾項

︵ 識 別 に 関 す る 事 項

1

(四) (:)  ︵

商 品 内 容 に 関 す る ポ 項 口 使 用 打 法 穿 に 関 す る 巾 項 積極的表ぷり方法

﹁ 健 康 食 品

﹂ り 販 尤 ル ー ト 口 販 売 ル ー ト ご と り 購 買 決 定 り ポ イ ン ト となる表ホ媒体 表ボ媒体ごとの積極的表ぷ事項

積極的表.がい義務づけの法的根拠

積極的表示の義務づけをめぐって

﹁ 健

康 食

品 ﹂

と 表 示 規 制

五 七

(2)

︱つ

に︑

インスタント食

今日︑﹁健康食品﹂はブームとなり︑当該産業は急成長をとげ

るに至っている︒そういったブームを支えてきたのは︑次のよ

うな事情であった︒

(l ) 

まず︑消費者側の事情としては︑次のようなものがあった︒

第一に︑成人病が増加したり︑半健康人が増加したということ である︒それは︑人口の急速な老齢化︑栄養の過剰・アンバラ するものであった︒そこで︑人々の間に健康志向が高まり︑食

第二

に︑

とくに女性の間で︑美への願望が強くなったという ことである︒そのため︑ダイエット食品が愛用されるようにな

第:一に︑科学技術の発達に伴い︑既存の食品に対する不安感︑

不伯感が強まったということである︒

品︑加工食品が氾濫するようになったということであり︑二つ に︑化学合成品︵食品添加物︑農薬︑化学肥料︑飼料添加物な

ど︶が多用されるようになったということである︒そこで︑人々

は︑自然食品︑天然食品︑ っ

た︒

人工的な合成物を含まないと考えら

品の健康化が求められるようになった︒ ン

ス︑

ストレスの増加︑運動不足による体力の低下などに起因

は じ め に

て︑消費者の注目をひくことができた︒ 第四に︑医薬品に対する不信感が強まったということである︒

それは︑医薬品の副作用による危害の発生を契機とするもので あった︒そこで︑人々は︑漢方薬とか伝承的な薬にみられるよ

うな︑自然がもつ神秘的な力に注目するようになった︒

(2 )  他方︑事業者側の事情としては︑次のようなものがあった︒

第一に︑事業者は︑当然のこととして︑消費者側の事情を利用

し尽くして︑﹁健康食品﹂の販売をおこなったということである︒

そこで︑単なる食品として販売したのでは消費者の注目をひき

そうにない食品も︑﹁健康食品﹂と銘打って販売することによっ

第二に︑食品と銘打って販売することによって︑薬事法上の 規制を免れることができるのではないかと事業者が考えていた ということである︒そこで︑薬事法上の承認を受けなければ製 造・販売することができないようなものも︑食品として製造・

販売されるようになった︒

(3 ) 

さらには︑事業者側に有利な事情もあった︒第一に︑﹁健康食

品﹂の販売に際しては︑既存の販売経路を利用することができ

たということである︒

つまり︑新たに販売経路を設定する必要

はなかったということである︒そこで︑店舗販売にあっては︑

自然食品店︑薬局︑デパート・スーパーの自然食品コーナー等 れる食品を愛用するようになった︒

五 八

(3)

「健康食品」 と表示規制(内田)

うになった︒ われるとともに︑

﹁健康食品﹂のプームの到来は︑こういった事情︑すなわち︑

消費者側の事情︑事業者側の事情︑事業者側に有利な事情の相 互作用に支えられていたということができる︒しかし︑﹁健康食

五 九

のみならず︑

それを通じて自ら宣伝をおこなうことができ 品﹂は︑通常の食品とは大きく異なるものであり︑

その表示に関しても︑種々問題がみうけられるよ

ところで︑﹁健康食品﹂の表示に関しては︑

なるかどうかという問題と︑ その安全性

それが不当表示と そもそもどういった表示をおこな わせるべきかという問題がある︒これらの問題のうち︑前者に

(4 ) 

ついては︑すでに別稿で検討を加えた︒そこで︑本稿では︑後

(5 )  者の問題について検討を加えることにする︒まず︑どういった

﹁健康食品﹂に対して積極的表示が義務づけられるべきであるの

か︑その範囲について検討を加えることにする︒続いて︑﹁健康 食品﹂についてどういった事項の表示が積極的に義務づけられ

るべきであるのかについて検討を加えることにする︒そして︑

こ ︒ そこで︑﹁健康食品﹂についても︑

マスコミによる報道がおこな

おいたので︑細部には立ち入ることができていない︒

( 1

)

富田勉・健康食品論(‑九八五年︶一八四ーニ0

三頁

︑﹁

﹃健

康食品﹄と消費者﹂︵昭和五九年七月一四日近畿弁護士会連合会主催シンポジウムレジュメ︶一頁︑﹁健康食品市場の現状と

行政指導の方向﹂国際商業一八巻︱二号二四︑二四ーニ五頁︵一九八五年︶︑林敏夫﹁健康食品プームの実態﹂国民生活一

三巻

三号

一八

︑一

九ー

1 0

頁︵

一九

八三

年︶

︑寺

松尚

﹁健

康食

品に

つい

て﹂

食品

衛生

研究

一二

二巻

七号

六︱

‑︑

六︱

‑I

一 三

頁(

‑九

八一

一年

︶参

照︒

( 2

)

寺松・前掲六一三頁参照︒

( 3

)

前掲

六︱

︱︱

︱ー

一四

頁参

照︒

( 4

)

拙稿﹁﹃健康食品﹄と表示規制ー﹃建康食品﹄という用語の

規制をめぐってー│̲﹂公正取引四︱二号六六頁(‑九八五

年︶

︑同

﹁﹃

健康

食品

﹄と

表示

規制

││

'不

当表

示規

制を

めぐ

てー﹂香川法学五巻四号五七九頁(‑九八六年︶参照︒

( 5

)

なお︑検討は本来︑食品一般に対してどういった表示が義務

づけられるべきであるのかという問題をふまえた上で︑﹁健康食品﹂に関する表示の義務づけはどうあるべきかというも

のでなければならない︒しかし︑本稿は︑前者の問題には深入りせず︑﹁健康食品﹂の特殊性に焦点をあてることによっ

て︑﹁健康食品﹂に関する表示の義務づけについて検討を加えることにとどまっている︒

第二

に︑

マスコミが充分に発達していたということである︒

いずれの検討も︑考え方の整理をすることに重点を

が利用されることとなった︒また︑店舗外販売にあっては︑訪 問販売︑通信販売等の販売経路が利用されることとなった︒

最後

に︑

そういった事項の表示がどういった方法で積極的に義 務 づ け ら れ る べ き で あ る の か に つ い て 検 討 を 加 え る こ と に す

る︒

なお

(4)

分けることができる︒ 品﹂の分類を紹介することにしよう︒ 今日︑﹁健康食品﹂とは何かについて︑確たる定義づけがおこなわれているわけではない︒それは︑様々に定義づけられたり概念づけられたりしている︒そこで︑まず︑みることによって︑﹁健康食品﹂の範囲を確定することから検討を始めることにしよう︒そしてそれに続き︑﹁健康食品﹂の性質に着目することによって︑積極的表示が必要となる﹁健康食品﹂

﹁ 健 康 食 品

﹂ の 範 囲

ます︑﹁健康食品﹂の定義・概念を紹介し︑続いて︑﹁健康食

﹁ 健 康 食 品

﹂ の 定 義

・ 概 念

﹁ 健 康 食 品

﹂ の 定 義

・ 概 念

は様々である︒しかし︑それらは︑大きく︑次の一二つの類型に

第/は︑事業者が消費者の健康志向に積極的に訴求すること に よ っ て 販 売 し て い る 食 品 と か

︑ 消 費 者 が 積 極 的 に 健 康 の 維

持・増進を図る目的で摂取している食品を広く包含するという の範囲を絞り込むことにしよう︒

いくつかの定義を

積極的表示が義務づけられるべき

﹁健康食品﹂の範囲

第二の類型は︑食品として通常用いられる素材からなり︑

か つ︑通常の形態および方法によって摂取されるものを︑第一の

(2 ) 

類型に入る食品から除いたものを包含するというものである︒

第三の類型は︑原材料が天然物でないものや︑化学的合成品 を使用したものを︑第二の類型に入る食品から除いたものを包

(3 ) 

含するというものである︒

﹁ 健 康 食 品

﹂ の 分 類

﹁ 健 康 食 品

﹂ は 一 般 に

︑ 広 義 の

﹁ 健 康食品﹂と狭義の﹁健康食品﹂に分けられている︒そして︑広

義の﹁健康食品﹂には︑一般に︑狭義の﹁健康食品﹂︑有機食品︑

自然食品︑ダイエット食品が含められている︒

もっとも︑﹁健康食品﹂の分類の仕方には︑違いがある︒それ

は︑狭義の﹁健康食品﹂を自然的なものに限るかいなか︑ダイ 狭義の﹁健康食品﹂を自然的なものに限らず︑

また︑ダイエ

ット食品を人工的なものに限らないという立場からは︑広義の

(4 ) 

﹁健康食品﹂は︑次の図lのように分類されている︒

それに対し︑狭義の﹁健康食品﹂を自然的なものに限り︑ エット食品を人工的なものに限るかいなかによる︒

(1 ) 

ものである︒

六 〇

た︑ダイエット食品を人工的なものに限るという立場からは︑

(5 ) 

広義の﹁健康食品﹂は︑次の図

2のように分類されている︒

(5)

「健康食品」 と表示規制(内田)

健 康 食 品 自 然 食 品

︵自

然的

︶ 叶 [ [ 有 機 食 品

ダイエット食品

︵人

工的

( 1

)

次のような定義・概念が入る︒

﹁事業者が消費者の健康志向に積極的に訴求する方法によっ

図 2

健康食品︵

広 義

図ー

ー健康食品

︵ 狭

義 ︶

有機農産物等

自然食品︵広義)]ー自然食品︵加工食品︶

一︵

狭義

ロダイエット的食品

0栄養補助食品

健康食品︵狭義)]ー伝承的食効食品

て販売している食品で医薬品以外のもの﹂︵﹁﹃健康食品﹄と消

費者﹂︵昭和五九年七月一四日近畿弁護七会連合会主催シン

ポジウムレジュメ︶四頁︶

﹁消費者が健康によいと︑積極的な効果を期待して摂取する

医薬品以外のもの﹂︵前掲︱

1

!

より

引用

﹁食生活の偏りを是正し︑栄養の不足を補うことによって︑健

康の維持増進を図る目的で用いられる食品﹂︵内山充﹁健康食

品﹂食品衛生研究ぞ三巻:一号一〇九五︑

:0

九六頁︵/九

八三

年︶

﹁通常の食品に比べて︑その常在成分に特徴があるというも

の︒すなわち︑通常の食品より積極的な意味での保健・健康

維持︑増進などの目的をもった食品︒少なくとも︑そうした

効果を期待させる商品︒﹂︵松吉康夫﹁健康食品について︵一︶﹂

都薬雑誌五巻九号四五︑四五頁(‑九八三年︶より引用︶

( 2

)

次のような定義・概念が入る︒

﹁事業者が消費者の健康志向に積極的に訴えることによって

販売している食品の中から︑食品として通常用いられる素材

からなり︑かつ︑通常の形態及び方法によって摂取されるも

のを除いた食品﹂︵経済企画庁国民生活局消費者行政第一課

︵編︶.﹁健康食品﹂の販売等に関する総合実態調査(‑九八四

年︶

三頁

﹁栄養成分を補給し︑又は特別の保健の用途に適するものと

して販売の用に供する食品︵食品として通常用いられる素材

から成り︑かつ︑通常の形態及び方法によって摂取されるも

のを除く︶﹂︵厚生省組織令八条一項九号︶

( 3

)

次のような定義・概念が入る︒

﹁①化学的合成品を使用していない︑②慣習上︑主食や副食と

して食卓の用に供されることが少ない︑③もっぱら︑積極的

(6)

﹁健康食品﹂の特徴および問題点 のような特徴をもっている︒第一に︑﹁健康食品﹂の中には︑食

(1)  こ

しよ

う︒

,1 と まず︑﹁健康食品﹂が一般の食品とどう異なるのか︑

般の食品と異なる結果︑

か︑明らかにしよう︒

どういったことがとくに問題となるの

そし

て︑

口 積 極 的 表 示 が 必 要 と な る

それに続き︑

食品﹂に積極的表示が必要となるのか︑

その範囲を確定するこ

﹁健

康食

品﹂

﹁健康食品﹂は︑次 の範囲 な健康の回復維持増進を目的として︑補食的にとられるもの︵

後略

︶﹂

︵松

吉・

前掲

︵注

l)

四五

ー四

六頁

より

引用

﹁天然物に︑抽出︑濃縮︑精製などの物理的操作を行い︑必要

あれば︑添加物を加え︑成型などの加工を施し︑調製したもので︑次の各号に該当するものであり︑かつ︑その使用方法

が主として味覚若しくは嗜好に訴えることなく︑嘩下するも

目的とするもの ①食生活の偏重により生ずる栄養素︑栄養成分の補給を の ︒

②その常在成分に特徴があり︑積極的な意味で︑人の健康維持若しくは健康増進を目的とするもの又はその認識を与えるもの」(松吉•前掲四七頁)

(4)加藤嘉昭﹁健康食品・自然食品とは何か﹂健康食品・自然食

品ガイド(‑九八五年︶︱二頁︒

( 5

)

宮田勉・健康食品論︵一九八五年︶三三貞゜

また

︑ どういった﹁健康

用経験のない新しい動植物︑微生物等を原材料にしたものがか

なり存在するということである︒第一一に︑﹁健康食品﹂は︑往々

にして︑過度の抽出・濃縮がおこなわれたり︑加熱・加工がお

こなわれたりしているということである︒第三に︑﹁健康食品﹂

の中には︑変質しやすい成分を濃縮したり︑単離したり︑加工

したりしているものがあるということである︒第四に︑﹁健康食

品﹂の中には︑

カプセル剤︑錠剤︑液状︑粉末状といった形態

そこで︑﹁健康食品﹂は︑次のような問題点をもっているとい

(6 ) 

うことができる︒第一に︑食品を見ただけでは︑その原材料が 何であるか容易に判別することができない場合があるというこ

とで

ある

︒ それは︑原材料が通常の食品とは異なるということ に起因するだけではなく︑食品の形態が通常の食品とは異なる

ということにも起因する︒第一︳に︑使用量がわからない場合が

あるということである︒それは︑食品の形態が通常の食品とは 異なることに起因する︒第三に︑常識的な摂取鼠をはるかに超 えて︑特定の成分の摂取がおこなわれる場合があるということ である︒それは︑加工方法が通常の食品とは異なるということ とともに︑食品の形態が通常の食品とは異なるということに起 因する︒第四に︑消費者の安全が害される場合があるというこ

とである︒それは︑原材料︑加工方法︑食品形態に起因する︒ をとっているものがあるということである︒

/¥ 

(7)

「健康食品」と表示規制(内田)

ところで︑この基準は︑﹁健康食品﹂の定義・概念の第二類型

に対応しているということがわかる︒それゆえ︑定義・概念の

第二類型に入る﹁健康食品﹂が︑積極的表示が必要となる﹁健

康食品﹂であるということになる︒

﹁健康食品﹂の分類に即していえば︑次のようにいうことがで

きる︒まず︑有機食品︑自然食品は︑積極的表示が必要となる

﹁健康食品﹂の範囲に入らない︒それに対し︑ダイエット食品は︑

積極的表示が必要となる﹁健康食品﹂の範囲に入るものと入ら

ないものがある︒狭義の﹁健康食品﹂は︑いうまでもなく︑積 で

ある

第五に︑消費者が︑医薬品的な効能効果を期待して︑利用する

場合があるということである︒それは︑原材料︑加工方法︑食

品の形態が通常の食品とは異なるということに起因する︒

② 積 極 的 表 示 が 必 要 と な る

﹁ 健 康 食 品

﹂ の 範 囲 の 確 定

﹁健康食品﹂がもつこういった問題点は︑積極的表示をおこなわ

せることによって︑かなりの程度︑克服することができるよう

に思われる︒そこで︑次のような﹁健康食品﹂には︑積極的表

示が義務づけられてしかるべきであるということになる︒すな

わち︑第一に︑原材料が通常の食品とは異なる﹁健康食品﹂で

あり︑第二に︑加工方法が通常の食品とは異なる﹁健康食品﹂

であり︑第三に︑食品形態が通常の食品とは異なる﹁健康食品﹂

( 6

)

経済企画庁国民生活局消費者行政第.課・前掲︵注

2)

六四

頁をも参照︒

﹁健康食品﹂に関して積極的表示が義務づけられるのは︑次の

(1 ) 

ような事項である︒すなわち︑第一は︑識別に関する事項であ

る︒第二は︑商品内容に関する事項である︒第三は︑使用方法

等に関する事項である︒

, 

日 識 別 に 関 す る 事 項

商品名︑事業者名・住所︑医薬品でない旨の表示といったも

のが︑識別に関する事項である︒

① 商 品 名 商 品 名 を 積 極 的 に 表 示 さ せ る こ と に つ い て

は︑異論はないように思われる︒問題は︑それが不当表示とな

(2 ) 

らないよう配慮させることである︒

', J 

2 事業者名・住所事業者名︵製造業者名︑輸入業者名

積極的表示が義務づけられるべき 事項

極的表示が必要となる﹁健康食品﹂の範囲に入る︒

(8)

それが医薬品ではなく食品である旨の表示を積極

(4 ) 

的におこなわせなければならない︒それに際しては︑ここでも︑

そ の 表 示 が 不 当 表 示 と な ら な い よ う 配 慮 さ せ な け れ ば な ら

(5 ) 

ない

( ︒

1)

い︒たしかに︑消費者は︑﹁健康食品﹂に対して何らかの効用  なお︑効用効果に関する表示は︑義務づけられるへきではな

効果を期待しており︑﹁健康食品﹂を摂取することによってどういった効用効果があるのか知りたがっている︒しかし︑. に対しては︑ う

こと

, 9  

一般的にいうことができるし︑

を積極的におこなわせなければならない︒

¥1 , 

医薬品でない旨の表示

消費者が て何らかの医薬品的な効能効果を期待している場合が多いとい

また︑表示の相互作

用の結果︑そうであるということもできる︒そこで︑﹁健康食品﹂

﹁健

康食

品﹂

この場合には︑事業者名をみて︑

に対し

その製造等に

﹁健

康食

品﹂

いても︑異論はないように思われる︒問題は︑

(3 ) 

とならないよう配慮させることである︒

なるのは︑医薬品業者が

る場合である︒

の製造業者等となってい

または販売業者名︶

それが不当表示

この

点︑

かかる﹁健康食品﹂が何らかの医薬品的な効能効果をもってい るのではないかと消費者が誤認するおそれが一般にある︒それ ゆえ︑消費者のその誤認を打ち消すために︑訂正のための表示

とくに問題と

および住所を積極的に表示させることにつ

この商品内容に関する事項は︑ 般的にいって︑特定の﹁健康食品﹂だけで健康の維持・増進がはかれるわけではない︒また︑効用効果に関する表示が不当表示となる︵あるいは薬事法違反となる︶可能性も大きいように思われる︒それゆえ︑効用効果について積極的表示を義務づけることには︑大いに疑問が残る︒

( 2

)

拙稿

﹁﹃

健康

食品

﹄と

表示

規制

││

'不

当表

示規

制を

めぐ

って

1│﹂香川法学五巻四号五七九︑五八五頁(‑九八六年︶参照︒

( 3

)

前掲

参照

( 4

)

特定の販売方法がとられることによって︑この点について積

極的表示をおこなわせる必要性かさらに高くなる︒薬局における﹁健康食品﹂の販売がそうである︒

( 5

)

拙稿・前掲︵注

2)

五八

九頁

参照

︒ 原材料︑製法︑形状︑成分名・成分含有斌といったものが︑

商品内容に関する事項である︒

成を明らかにする事項である︒

(6 ) 

次の点で重要である︒すなわち︑第一に︑

それによって消費者 が商品の品質や特性を知ることができるということであり︑第

それによって消費者が効用効果の真偽を判断することが

できるということである︒というのは︑﹁健康食品﹂については︑

外形等から商品の内容を判断することが容易ではないからであ

る︒そこで︑

このことから︑従来の食品にもまして︑適正な内

(7 ) 

容の表示をさせることが必要となってくる︒

口 商 品 内 容 に 関 す る 事 項

こし

らょ

いずれも︑食品の構

六四

(9)

「健康食品」 と表示規制(内田)

(4) 

成分名・成分含有量 にあるからである︒ で

ある

9 9  

︐ ' ︐  

製法 原材料

﹁健康食品﹂は︑往々にして︑過

﹁ 健 康 食 品

﹂ の 中 に は

︑ 食 用 経 験 の な い 新 し い 動植物︑微生物等を原材料にしたものがかなり存在するという ことからも︑通常の食品にもまして︑原材料を表示させること が必要になってくる︒問題は︑消費者が容易に理解することが できるように︑原材料をわかりやすく具体的に表ホさせること

﹁健康食品﹂は︑往々にして︑過度の抽出・濃縮

がおこなわれたり︑加熱・加工がおこなわれたりしている︒こ の点︑通常の食品とは異なるので︑製法について表示させるこ

とが必要となってくる︒問題は︑

どの程度の成分が含有されて いるかなど︑消費者が商品の内容について判断を下すことがで

きるように︑科学的具体的な表示をさせるということである︒

﹁健康食品﹂の中には︑カプセル剤︑錠剤︑液状︑3 

9 9  

粉末状といった形態をとっているものがある︒この点で︑﹁健康

食品﹂は︑通常の食品と大きく異なっている︒そこで︑形状に

形状

ついて表示させることが必要となってくる︒それとともに︑

の商品は医薬品ではなく食品である旨を消費者に認識させる表 示をおこなわせなければならない︒というのは︑消費者は︑一 般に︑こういった形態をとるものは医薬品であると考える傾向

(1) 

使用方法等に関する事項

りしている︒

六 五

度の抽出・濃縮がおこなわれたり︑加熱・加工がおこなわれた

そこで︑成分名・成分含有址を表示させることが 必要になってくる︒問題は︑消費者が理解することができるよ うにわかりやすく成分名を表示させたり︑商品中の単位あたり

の成分含有址を具体的に表.小させることにある︒また︑有害と

思われる成分を含む﹁健康食品﹂に関しては︑有害成分につい

(8 ) 

て菩告をさせることも必要となってくる︒

( 6

)

経済企画庁国民生活局消費者行政第一課︵編︶.﹁健康食品﹂

の販売等に関する総合実態調査︵:九八四年︶六七頁参照︒

( 7

)

中村陽子﹁﹃健康食品﹄の表示︑広告の実態﹂食品衛生研究三

四巻

0号八九三︑八九九貞(‑九八四年︶参照︒

( 8

)

内山充﹁新開発等食品の安全性評価法﹂食品衛生研究三四巻

七号六七七︑六八ニー八三頁(‑九八四年︶参照︒

(三)

使用方法・使用量︑製造年月日・保存方法・保存期間・賞味

期間といったものが︑使用方法等に関する事項である︒なお︑

内容量は︑使用方法等に関する事項ではないが︑若干かかわり

もあるので︑便宜上ここで検討を加えることにする︒

使用方法・使用量を積極的に表示 使用方法・使用量 させることについては︑強力な反対意見がある︒それは︑次の

(10)

すという役割を果たすことになるということである︒ )

0  

'  

かつ

︑ 安全性に危惧が

(9 ) 

三つの理由による︒第一に︑食品というものは︑個人の嗜好を 制限しないのが原則であるということである︒すなわち︑食品 というものは︑使用方法や使用量に関しては︑制約されること なく︑欲しいときに欲しいだけ口にすることができるものであ

分が必要であって︑

第二に︑使用方法・使用拭が問題となるのは︑本来︑ある成

その物を通じて摂取するほか摂取方法がな いものにのみ通用する考え方であるということである︒すなわ ち︑非常にたくさんの斌を一時に補給して急激に体を調整する といった︑医薬品的な使い方にのみ通用する考え方であるとい

うことである︒この点︑﹁健康食品﹂の成分は︑通常の食事で充

分安全に摂取することができるものが多い︒つまり︑﹁健康食品﹂

の大部分は︑必須のものではなく︑

ほかにいくらでも代替があ る︒それゆえ︑通常の食事で充分安全に摂取することができる ようなものについては︑使用方法・使用拭を表示すべきではな

第三に︑本来摂取する必要性がなく︑

残る﹁健康食品﹂を︑使用斌を限定して摂取させることは︑摂 取斌を少なくすることによって︑有害性を見かけ上おおいかく

しかし︑こういった反対意見には︑疑問がある︒その理由は︑ るということである︒

であ

る︒

次の通りである︒

第一に︑科学技術や食品工業の進展の結果︑食品の形態が伝 統的なものから新たなものへ変化してゆくのを否定する根拠を 見出すことはできないように思われるということである︒いい

かえれば︑食品の形態がカプセル剤︑錠剤等となるのであれば︑

第一一に︑使用方法・使用拭を表示させるということは︑医薬

品的な使い方にのみあてはまる考え方であると断言することは

できないように思われるということである︒食品がカプセル剤︑

表示させるのになじむ性格のものであるということができる︒

第一二に︑使用方法・使用址を表示させることによって︑危害

の発生を防止することができる場合があるように思われるとい

うことである︒というのは︑﹁健康食品﹂の中には︑原材料や加

工方法からみて︑変質︑変敗しやすいものがあったり︑食品形 態からみて︑過剰摂取の危険があるものが存在したりするから それゆえ︑使用方法・使用斌について積極的に表示させるこ

とは︑必要であるということができる︒問題となるのは︑第一 に︑使用方法・使用拭の表示が医薬品的な用法・用足の表示と

( 1 0 )  

ならないよう配慮させることであり︑第一1

に︑不当表示となら

錠剤等の形態をとるのであれば︑

それも︑使用方法・使用址を

それも認めざるをえないということである︒

六六

(11)

「健康食品」 と表示規制(内田)

( 9

)  

うにしなければならない︒

内容址

(2) 

内容量の表示は︑単位あたりの価格を知る上 ま

た︑

製造年月日・保存方法・保存期間・打味期間 品﹂の中には︑原材料や加工方法からみて︑変質︑変敗しやす

( 1 2 )  

いものがある︒

費者が実際のものよりも長期間保存が可能であるかのような錯 覚に陥ることも考えられる︒それゆえ︑製造年月日・保存方法・

保存期間・買味期間について表示をさせることが︑必要となっ てくる︒ここでも︑問題となるのは︑

( 1 3 )  

いよう配慮させることである︒

それが不当表示とならな

9 ,  

で重要であるばかりでなく︑使用量の表示とあいまって︑使用 単位あたりの成分含有量を把握する上でも重要である︒そこで︑

消費者が容易に理解することができるように︑成分含有址︑使 用植と対応関係のある単位で︑内容量の表示をおこなわせるよ

中村・前掲︵注7

︶九

0 ‑

頁︑内山充﹁健康食品と食生活﹂国民生活一四巻九号四︑八ー九頁(‑九八四年︶︑同﹁安全性

評価からみた﹃健康食品﹄﹂食品衛生研究三四巻八号七四七︑

七五三頁(‑九八四年︶︑同﹁健康食品﹂食品衛生研究︱二三巻

︱二

号一

〇九

五︱

10

三頁(‑九八三年︶︑林敏夫﹁健康食

品プームの実態﹂国民生活一三巻三号一八︑一九頁︵一九八

カプセル剤やびんづめ等の場合には︑消

( 1 1 )  

ないよう配慮させることである︒

﹁健

康食

年︶

参照

( 1 0 )

なお︑使用方法・使用拭を表ぷさせることに対しては︑それ

が医薬品的な用法・用拭を表ホさせることになるのではない

かと

の危

惧が

ある

しかし︑それに対しては︑使用方法・使用批を表.ホさせるこ

とは︑製造物責任の立場から当然であるとの︑モ張がおこなわ

れている︒松古康夫7健康食品について︵

. .

 

︶﹂

都薬

雑誌

五巻

‑ 0

号四五︑五

0

頁(‑九八こヰ︶参照︒

また︑使用方法・使用趾の表示がすべて︑医薬品的な用法・

用址の表示となるわけではないとの主張もおこなわれてい

る︒その主張によれば︑①調理目的のために定められた使用方法・使用拭︑②過批に摂取すると危害のおそれがあるとい

う理由で注意表示として上限が定められた使用址︑③栄養所

要拭を根拠に示された使用址の表示は︑医薬品的な用法・用

蚊の表示ではないとされる︒東内隆治﹁薬事法といわゆる健康食品﹂食品衛生研究三四巻一0

号九

0五︑九︱︱頁(‑九

八四

年︶

参照

( 1 1 )

拙稿・前掲︵注

2)

五八六︑五九0

頁参

照︒

( 1 2 )

以下︑中村・前掲︵注7

︶九

01

頁参

照︒

( 1 3 )

拙稿・前掲︵注

2)

五八九ー九

0

頁参

照︒

積極的表示の方法

紹介することにする︒次に︑

六 七

まず︑﹁健康食品﹂がどういったルートで販売されているのか︑

それぞれの販売ルートにおいて︑

(12)

であるのか︑検討を加えることにする︒そして︑最後に︑

いった法的根拠に基づけば︑そういった事項を積極的に表示さ

﹁健康食品﹂の販売ルートは︑大きく︑店舗販売ルートと店舗

(1 ) 

外販売ルートに分けることができる︒

①店舗販売ルート店舗販売ル—卜としては、「健康食

品﹂専門店︑薬局︑デパート・スーパーの﹁健康食品﹂

9 9  

販売ルート︑通信販売ルート︑紹介販売ルートなどがある︒

訪問販売ルートは︑さらに︑家庭訪問販売︑キャッチセール︑

(1

以下の分類に際しては︑次の文献を参賠した︒富田勉・健康

食品論(‑九八五年︶︱

‑ O

五ー一七頁︑﹁﹃健康食品﹄と消費 分けることができる︒ アポイントメントセール︑

S

F商

法︑

ホームパーティーなどに

店舗外販売ルート

店 舗 外 販 売 ル ー ト と し て は

︑ 訪 問

ーなどがある︒

コ ー ナ

(一)

﹁健

康食

品﹂

の販売ルート

せることができるのか︑明らかにする︒

どう 表示媒体において︑

どういった事項が積極的に表示されるべき

消費者は︑主としてどういった表示媒体に依拠して購買決定を おこなうのか︑検討を加えることにする︒続いて︑

それぞれの

者﹂︵昭和五九年︱一月一七日近畿弁護士会連合会主催シン

ポジウムレジュメ︶ニ︱︱ーーニ五頁︑中村陽子﹁トラプルの実態と問題点﹂国民生活一四巻九号︱二︑一三ー一四頁(‑九

八四

年︶

 

9 9  

表示媒体としては︑商品添付表示物︵ラベル・外箱︑中入書・

添付文書︶︑店頭配布広告物︵チラシ︑

リーフレット︑パンフレ ット︶︑個人向の商品説明資料︵商品購入時の説明に際して手渡 されたり︑資料請求により送付されたりするチラシ︑リーフレ 雑誌の記事︶︑新聞・雑誌等の広告︑商品販売時の演述などが

(2 ) 

ある︒それらの表示媒体のうち︑

ポイントとなるのか︑販売ルートごとに検討を加えることにし の単独のものまたは組み合わさったものが考えられる︒第一は︑

新聞・雑誌等の広告︑店頭配布広告物等によってあらかじめ商 品を認識し︑商品に接近するというものである︒第二は︑商品 販売時の演述によって商品を認識し︑商品に接近するというも

のである︒第一こは︑商品添付表ぷ物によって商品を認識し︑商 するアプローチは様々である︒しかし︑

およそ次の三つの類型

① 店 舗 販 売 ル ー ト 消 費 者 が 商 品 を 認 識 し

︑ 商 品 に 接 近

よう

どういったものが購買決定の

ット︑パンフレット︑

ニュースレター・会報︑市販の単行本・

販売ルートごとの購買決定のポイントとなる表示媒体

六 八

(13)

「健康食品」 と表示規制(内田)

通信販売ルート

でき

る︒

消費者が商品を認識し︑商品に接近

時の演述によるものであり︑副次的に︑個人向の商品説明資料

そこで︑ここでは︑セールスマンによる商品販売時の演述が︑

通常︑購買決定のポイントとなる表示媒体となるということが

︶ b ︵ 

するアプローチとしては︑次の二つの類型がある︒第一は︑新 聞・雑誌等の広告によって商品を認識し︑商品に接近するとい うものである︒第二は︑新聞・雑誌等の広告に基づいて資料請 求をし︑送付されてきた個人向の商品説明資料によって商品を 認識し︑商品に接近するというものである︒

そこで︑第一の類型にあっては︑新聞・雑誌等の広告が︑第 によるものである︒ するアプローチの主たるものは︑

セールスマンによる商品販売

,1 . 

9, ' 

紹介販売ルートに分けて︑

︶ ︵ 

訪問販売ルート

消費者が商品を認識し︑商品に接近

六 九

購 買 決 定 に 際 し て の 重 要 な 情 報 源 と な る も の で あ る か ら で あ

そこで︑第.の類刑にあっては︑新聞・雑誌等の広告︑店頭 杞布広告物が︑第

1.の類刑にあっては︑商品販売時の演述が︑

第.この類刑にあっては︑商品添付表ぷ物が︑購買決定のポイン .^の類型にあっては︑個人向の商品説明資料が︑購買決定のポ

するアプローチの︑E

たるものは︑紹介者の演述によるものであ そこで︑紹介者の演述が︑購買決定のポイントとなる表示媒

( 2

)

経済企画庁国民生活局消費者行政第一課︵編︶.﹁健康食品﹂

の販だ等に関する総合実態調査(‑九八四年︶二四頁参照︒

購買決定のポイントとなる表示媒体は︑販売ルートごとに異 なる︒このことから︑購買決定のポイントとなる表示媒体すべ てにおいて︑適切な積極的表示をおこなわせなければならない

ということが帰結する︒問題は︑それぞれの表示媒体において︑

ど う い っ た 事 項 を 積 極 的 に 表 示 さ せ な け れ ば な ら な い か で あ る︒以下︑この点について︑検討を加えることにする︒

① 商 品 添 付 表 示 物 商 品 添 付 表 示 物 は

︑ 積 極 的 表 示 の 媒 体として︑極めて重要である︒というのは︑第一に︑それは︑

口 表 示 媒 体 ご と の 積 極 的 表 示 事 項

検討を加えることにする︒体であるということができる︒

店舗外販売ルート

訪問販売ルート︑通信販売ルート︑

トとなる表ぷ媒体であるということになる︒

る ︒

紹介販売ルート

消費者が商品を認識し︑商品に接近 ィントとなる表ボ媒体となるということができる︒

品に接近するというものである︒

(14)

表ホさせなければならない︒ った新聞・雑誌等の広告においては︑

識別に関する事項︑商品

る︒

第一

一に

︑ それは︑商品購入者すべての目にとまるものであ り︑商品の使用に際しての重要な情報源ともなるものであるか らである︒そこで︑商品添付表示物においては︑識別に関する 事項︑商品内容に関する事項︑使用方法等に関する事項がすべ

' .

,  

の情報源となる性格が強いものである︒そこで︑店頭配布物に おいても︑識別に関する事項︑商品内容に関する事項︑使用方 法等に関する事項がすべて︑積極的に表示されなければならな

③ 個 人 向 の 商 品 説 明 資 料 買決定に際しての単独の情報源となる場合がある︒

人向の商品説明資料の提供に際しては︑識別に関する事項︑商 品内容に関する事項︑使用方法等に関する事項がすべて表示さ

9

の購入をさせようと意図するものにあっては︑ ︑固

, 1  

そこで

それが︑購買決 定に際しての単独の情報源となる場合がある︒そこで︑

そうし 内容に関する事項︑使用方法に関する事項をすべて︑積極的に

個人向の商品説明資料も︑購

それに対し︑新聞・雑誌等の広告によって資料請求をさせる ことを意図するものにあっては︑それは︑購買決定に際しての 重要な情報源となるわけではない︒そこで︑少なくとも︑識別 に関する事項︑商品内容に関する事項を表示させればよいとい

,. J 

9 ,  

際しての単独の情報源となる場合がある︒しかし︑他方︑媒体 としての制約もあり︑商品販売時の演述においてすべての事項

を積極的に表示させるわけにはいかない︒それにもかかわらず︑

少なくとも︑識別に関する事項のうちの︑医薬品でない旨の表

示だけは︑積極的におこなわせなければならない︒

積極的表示は︑購買決定のポイントとなる表示媒体すべてに

おいて︑義務づけられなければならない︒

また︑義務づけられ なければならない積極的表示事項は︑識別に関する事項︑商品 内容に関する事項︑使用方法等に関する事項に及ぶ︒

そこで問題となるのは︑広範囲にわたる媒体において︑また︑

広範囲に及ぶ事項を︑積極的に表示させることができる法的根 拠がはたして存在するのかということである︒この点︑考える

(l )

2

) 

ことができるのは︑景品表示法一〇条である︒

新聞・雑誌等の広告

新聞・雑誌等の広告だけで商品 れたものを︑

必ず含めさせなければならない︒

四 積 極 的 表 示 の 義 務 づ け の 法 的 根 拠

ヽ~゜

店頭配布物

店頭配布物は︑購買決定に際しての単独

商品販売時の演述 て︑積極的に表示されなければならない︒うことになる︒

商品販売時の演述は︑購買決定に

七 〇

(15)

「健康食品」 と表ボ規制(内田)

景品表ぷ法.

O

条 は

︑ 事 業 者 ま た は 事 哭 者 団 体 が

︑ 表 ぷ に 関 する事項について︑公正取引委員会の認定を受けて︑不山ーな顕

規約を締結し︑

ま た は 認 定 す る こ と が で き る 旨 定 め て い る

︒ そ 体的な内容は︑公正競争規約ごとに異なるが︑

表 小 事 項

︑ 特 定 事 項 の 表 ポ 基 準

︑ 特 定 用 語 の 使 用 基 準

︑ 不 当 表 ぶ の 禁 止

︑ 過 大 包 装 の 禁 止 な ど を

︑ そ の 実 体 的 な 内容としてい る︒また︑必要表.が事項については︑表示方法および表ぷ媒体

そこ

で︑

つまり︑景品表示法の文言およ び 公 正 競 争 規 約 の 実 体 的 内 容 か ら

︑ 次 の こ と が 判 明 す る

︒ す な わ ち

︑ 第 一 に

︑ 事 業 者 ま た は 事 業 者 団 体 は

︑ 表 示 に 関 す る 事 項 で あ れ ば ど の よ う な も の に つ い て で あ れ

︑ 公 正 競 争 規 約 を 設 定 す る こ と が で き る と い う こ と で あ る

︒ 第 二 に

︑ 積 極 的 表 示 を お こ な わ せ る こ と が で き る 媒 体 は

︑ 制 約 さ れ て い な い よ う に 思 わ

そこで︑﹁健康食品﹂の表示について公正競争規約を設定させ︑

そ れ を 通 じ て

︑ 購 買 決 定 の ポ イ ン ト と な る 表 示 媒 体 す べ て に お い て

︑ 識 別 に 関 す る 事 項

︑ 商 品 内 容 に 関 す る 事 項

︑ 使 用 方 法 等

れるということである︒

これらのことから︑ が︑特定されている︒ 品の表ぷに関して認定されている︒

般 に は

︑ 必 要

そ れ ら の 公 正 競 争 規 約 の 実

して︑実際にも︑

こ の 規 定 を 受 け て

︑ 多 数 の 公 正 競 争 規 約 が 食

客の誘引を防止し︑

公正な競争を確保するための︑

協定または

を図ってゆくことが必要である︒

九八六.

•三一)

に関する事項を積極的に表示させることは︑可能であるように 思われる︒また︑実際にも︑

そういった公正競争規約を設定さ せることによって︑﹁健康食品﹂についての消費者情報の適正化

( l

)

なお︑最品表ぷ法四条::号を根拠にして︑積極的表示を義務づけさせるということも考えられる︒しかし︑購買決定のポ

ィントとなる表ぷ媒体において︑識別に関する事項︑商品内

容に関する事項︑使用方法等に関する事項を表示しないこと

が︑ことごとく︑取引に関する事項について一般消費者を誤認させるおそれがあるということができるかどうか極めて

疑問である︒また︑﹁健康食品﹂の定義が不確定な状況のもと

で︑多様な媒体で多様な事項を積極的に表示させるために︑公正取引委員会がイニシアティプをとって指定をおこなう

ということにも︑疑問が残る︒そこで︑さしあたり︑景品表示法二〗条に基づく公正競争規約を設定させ、積極的表示の

義務づけを自主的におこなわせることが︑試みられなければ

なら

ない

( 2

)

そのほか︑積極的表示の義務づけの法的根拠として考えることができるのは︑食品衛生法︱一条︑農林物資規格表示法一

九条の三である︒しかし︑これらを根拠にして積極的表示を義務づけることには︑限界がある︒

まず︑食品衛生法︱一条を根拠にして積極的表示を義務づけ

ることには︑二つの問題がある︒すなわち︑第一に︑表示についての必要な基準の設定は︑公衆衛生の見地からおこなう

ことができるにすぎないということである︒そこで︑公衆衛

(16)

生とはかかわりのうすい事項の表示について︑必要な基準の

設定をおこなうことができるかどうかは︑疑問になる︒第二

に︑表示事項は︑容器包装または外装の見やすい場所に記載

することが求められるにすぎないのではないかということ

である︒そこで︑積極的表示が求められる媒体は限定され︑

積極的表示が本来必要となる表示媒体の一部においてのみ︑

積極的表示をさせることができるにすぎない︒

次に︑農林物資規格表示法一九条の三を根拠にして積極的表

小を義務づけることには︑次のような限界がある︒すなわち︑

ますもって問題となるのは︑﹁健康食品﹂が︑日本農林規格を

制定することができる性格のものであるのかどうか疑問が あるということである︒そこで︑そもそも日本農林規格が制 定されなければ︑品質に関する表示について製造業者または 販売業者が守るべき基準を定めることはできない︒次に問題

となるのは︑表小事項は︑.般に︑容器または包装に表ポす

ることが要求されているにすぎないのではないかというこ

とである︒そこで︑たとえ品質に関する表ぷ基準が定められ

たとしても︑積極的表.小か求められる媒体は限定され︑積極

的表小が本来必要となる表ぷ媒体の︸部においてのみ︑積極

的表小をさせることができるにすぎない︒

︹付出︺本稿︑﹁﹃健康食品﹄と表小規制不←ー表小規制をめく って﹂香川法学五巻四号五七九貞︵.九八六年︶および﹁心迂康食

P

と表.小規制心健康食品トという用語の規制をめくってー﹂

公正取引四

. . .  

号ぃハぃハ貞︵.九八五年︶において考えたことは︑﹁﹃健

康真晶しの販

t冗守に関する総合実態調在﹂のうちり﹁表小・広告に関

する実態調仔しを分担した﹁表ぷ等実態凋任委員会﹂における委員と して︑また︑近畿弁護じ会連合会︑E催の第

. . . .  

阿人権擁護大会シンポ ジウム第三分科会﹁﹃健康食品﹄と消費者﹂における助言者として︑多くの方々とおこなった議論に負うところが大きい︒ここに記して︑関係諸氏に感謝の意を表したい︒遅ればせながら︑また︑拙いものではあるが︑﹁健康食品﹂の表示規制のあり方について︑私見の概要を一応公表することができたことに︑今ぱ︑安堵している︒

参照

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