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嶽本剛平 論文内容の要旨

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Academic year: 2022

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(1)嶽本剛平. 論文内容の要旨. 主 論 文 Cleaning Materials and Methods for Effective Removal of Indoor Radioactive Contamination 屋内放射能汚染の効果的除染のための清掃用素材及び方法 嶽本剛平, 大沢一貴, 松田尚樹 Radiation Safety Management, Vol. 19 (49–57) 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻 (主任指導教員:松田尚樹教授) 緒. 言. 2011 年 3 月の東京電力福島第一原子力発電所(福島原発)事故により設定されている福 島県内の避難区域では、屋外の除染作業の進捗状況により、逐次避難指示の解除が行われて いる。一般に日本家屋は密閉性が低く、屋外の放射能は屋内に比較的容易に侵入することが 知られており、屋内の表面放射能密度は福島原発に近づくにつれ距離の2乗に比例して増加 することや、屋内表面汚染は個人被ばく線量全体の 3.0%あるいは 8.9%に相当するとの報告 もみられる。したがって、帰還区域における屋内の効果的な除染は、帰還住民の放射線防護 と不安の低減につながるものと考えられる。 放射線管理区域内で用いる除染剤及び除染方法は良く知られているが、一般家屋内の放射 能除染に適した素材と方法はこれまで示されていない。また、清掃用素材の清掃効果を比較 する標準的な実験系も確立されていない。本研究では、できる限り室内環境を再現した実験 系を開発し、住居内のセシウム-137(137Cs)放射能汚染の効果的除染のための清掃素材及び 除染方法を比較検討した。 対象と方法 住居内の壁、床、木製品などの比較的柔らかい表面素材のモデルとしてビニ-ル製床シー ト(厚さ 2mm)、窓ガラス、スチ-ル製家具、電化製品などの固い表面素材のモデルとしてガ ラス板(厚さ 3mm)を用いた。これらの素材表面に、137CsCl 水溶液(2 kBq/mL、200μL)に よる点状あるいは線状の汚染部位を作製し、一晩放置し乾燥させた後に、種々の清掃用素材、 及び新たに製作した小型モップにより汚染面を一定の圧力で拭き取った。清掃用素材には、 一般家庭でも比較的入手の容易な、ろ紙、セルローススポンジ、ポリエステルシート、ポリ エステル・ポリアミドシートを、また小型モップモデルの素材としては、床の清掃に用いら れているセルロース製スポンジ、ポリエステルマイクロファイバー製海綿状モップ、及び綿 糸モップを用いた。なお、小型モップを用いた実験では、137CsCl 水溶液で汚染させた固体粒 子(含水珪酸マグネシウム、タルクパウダー)も汚染モデルとして用いた。.

(2) 清掃用素材による拭き取り後に、光刺激ルミネセンス法(PSL、FLA-5100、Fuji Film)で 表面に残存する放射能を可視化、定量化し、除染率を求めた。小型モップモデルを用いた場 合は、モップ本体、及びモップの洗浄液に含まれる放射能をガンマカウンタ(Wizard2 、 PerkinElmer)で測定し、除染率を求めた。 結. 果 拭き取りによるセシウム-137 の除染効果は清掃用素材の水分量に大きく依存し、乾式(無 水)清掃では表面素材モデルに関わらず約 90%の放射能が表面に残存したのに対して、含水 量 20%以上の湿式清掃では、いずれの清掃用素材を用いても残存率は約 30%(ビニール製シ ート)、約 40%(ガラス板)まで低下した。家庭用洗剤(0.1%アルキルエーテル硫酸エステル ナトリウム含有)あるいは家庭用研磨剤の使用により、表面素材に応じて除染効果はさらに 向上したが、20%程度の放射能はなお残存した。一方、汚染直後のビニール製床剤モデルに おいては、いずれの清掃素材を用いても効果的な除染が可能で、残存する放射能は認められ なかった。 小型モップの使用は単なる拭き取りよりも良好な除染効果を示し、水含有のみで残存率は 6〜25%の範囲にあった。また、吸着面積の広い海綿状モップは水溶液が乾燥後の表面汚染、 汚染した固体粒子、のいずれに対しても良い除染効果を示した。 考. 察 避難解除区域への帰還住民の放射線被ばくは、主としてセシウム-137 による外部被ばく であり、それに比べて内部被ばくの寄与は十分小さいと推定されている。しかし、帰還前の 住居内の塵埃のセシウム-137 は最大で 1 kBq/g に達するとの報告もあり、これらの吸入摂 取、あるいは沈着による室内表面汚染は、内部被ばくのリスクを引き起こす。本研究では、 ほぼその放射能に近い 2 kBq/mL のセシウム-137 による表面汚染の除染効果を調べたが、そ の結果、①一般家庭でも入手可能な種々の清掃用素材によって、室内汚染は表面素材に関わ らず除染可能であること、②家庭用洗剤、研磨剤、吸着面積の広いモップ等を使用すること によりさらに高い除染効果が期待できること、③汚染発生直後ではほぼ全ての放射能を取り 去ることができること、が明らかとなった。したがって、必ずしも専門的な清掃に頼ること なく、一般的な清掃用素材および清掃法により、除染を心がけつつ住居内の清掃を日常的に 行うことが、帰還後の住民の放射線防護及び不安の低減に大きく寄与するものと考えられる。 今後、長期間汚染後の表面除染効果を高めるための清掃用素材及び清掃法の開発が望まれる。.

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