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博士 (地 球 環境 科学 ) 鈴木哲生

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Academic year: 2021

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博士 (地 球 環境 科学 ) 鈴木哲生

学 位 論 文 題 名

ア ル カ ン 変 換 の た め の 固 体 酸 の 設 計 と 反 応 機 構 の 解 析 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  n. アルカンの骨格異性化は,直鎖アルカンを分岐 アルカンに変換する反応であり,触媒に は液 体お よび 固 体強 酸が 用い られている.これら分 岐アルカン類はクリーンガソリン,ガソ リン 添加 剤MTBE,メ タク リル 酸等 の原 料と して 極め て重 要な もの であ る .骨 格異 性化反応 の速 度や 目的 生 成物 の選 択性 は,固体酸の物性,例 えば酸強度,密度,酸化カおよび細孔構 造に 敏感 であ り ,そ れら の物 性は反応機構の支配因 子である,従って,効率よく目的生成物 を得 るた めの 触 媒設 計に は, これらの物性と反応機 構の関連を正しく理解することが不可欠 である.

  ア ルカ ンの 骨 格異 性化 の反 応機構fま,反応条件により単分子機構と2分子機構いずれかが 進行 する と考 え られ てい るが 未だ議論が多い.本研 究では本反応に有効な固体酸および二元 機能触媒上のアルカン骨格異性化の反応機構を検討した.

  単 分子 機構 は モノ マ― のカ ルベニウムイオン中間 体を経てメチル基が分岐することにより 進行 し,2分子 機構 では モノ マー のカ ルベ ニ ウム イオ ンと オレ フィ ンか ら形 成さ れた2量体 カル ベニ ウム イ オン が分 岐を 経て ,ロ 開裂 によ って イソ アルカンが生成する,2分子機構で は2量化 中間体のアルキル基組み替えが比較的容易であり,13Cで標識したl,4.13C2.ri.ブタン を原 料に 用い る と, 生成 した イソ ブタ ンに は13Cが0‑4個 含ま れ, それ ら は平 衡分 布に近い 分布 をす ると 予 想さ れる ,一 方, 単分 子機 構でfま分 子間 の13Cの移動が起こら ないためloC が 2っ 含 ま れ た イ ソ ブ タ ン の み が 生 成 し , 両 者 を 区 別 す る こ と が で き る .   反応は閉鎖循環式反応装置を用い た,1,4一13C2.n‑ブタンを原料に固体酸上で骨格異性化反 応を行い,生成物をガスク口マトグ ラフィーで分析すると同時に,皿・ブタンおよびイソブタ ンを 分離 精製 レ ,FI‑MS測定 する こと で13C分布 を解 析し た. また ,固 体 酸にPtを 担持した 二元機能触媒を用い,水素中での1,4‑13C2一ri一ブタンの異性化を行い反応機構の比較を行った.

リアクタントによる反応機構の違い を調べるため各触媒上でのロ・ペンタンの骨格異性化反応 も行った,

  代 表的な固体酸である 硫酸処理2r02および純粋なプ口トン酸であるCS2.sHo.sPWi2040を触 媒 と し て 用 い , 反 応 温 度423Kで 生成 した イソ ブタ ン中 の13C分布 を観 察し た, 両触 媒上 と もに ,生成したイソブタ ン中に平衝分布に近い13C分 布が得られた.従ってロ・ブタン骨格異 性 化 は ,423Kで は 主 に2分 子機 構で 進 行す ると 結論 でき る. また ,反 応温 度を 高く する と 両触媒上で徐々に単分子機構の寄与 が増加した. CS2.sHo.sPW12040を523Kで使用した場合,

単分 子機 構の 寄 与の 割合 が40%まで増加し,この温 度では両反応機構が同時に進行している こと が分 かっ た ,高 温ほ ど単 分子機構が増加した理 由は,両反応機構の活性化エネルギーを 比較 する と説 明 可能 であ る, っま り, 単分 子機 構で は不 安定な1級のカルベニウムイオン中 間体 を経 由す る ため ,高 温で なけ れば 反応 速度 が遅 いと ため と解 釈し た .さ らに 硫酸処理 2r02上ではCS2.sHo.sPWi2040上より2分子機構の寄 与が大きく,触媒表面の酸化脱水素能に

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よ り生 じた ブテ ンが2量化 を促 進し ,2分子 機 構を 起こ りや すく して いる こと が示 された.

マ イク 口孔 を有 する ゼオ ライ ト,H‑ZSM‑5上 でも2量体 が形 成さ れる が, その 立体 的な障害 に よル バル キー なア ルキ ルシ フトのみ が制限を受け,イソブタンの生成が妨げられることが 示された.固体酸上で の口・ブタンの骨格異性化は固体酸の種類によらず,イソブタン選択性 が 最大90% 程度 であ り,2分子 機構 が起 こり やす い条 件で は100%に 近い イソ ブタ ン選択性 は期待できない,

  二元機能触媒を用いた同様の実験から,十分な水素圧下では口・ブタンは主に単分子機構で異性 化 する こと が分 かっ た.Pt担 持CS2.sHo.sPWi2040およびPt担持硫酸処理2r02上で,反応温 度423K,1,4.L3C2‑ロ ーブタン(40 torr),H2(200 torr)の条件では,生成したイソブタン中 の90% 以上 が13Cを2っ含 むも ので あり ,主 に 単分 子機 構で 異性 化が 進行 する こと が明らか に なっ た. 反応 温度 が高 くな ると 単分 子機 構 の寄 与が 減少し,2分子機構の寄与が少し増加 し た. これ は固 体酸 上の 傾向 とはまっ たく逆であるが,担持したPtの水素化触媒能により説 明 でき る. 高温 では パラ フィ ンとオレ フィンの平衡はオレフィン側に移動する.っまり高温 ほ どオ レフ ィン 濃度 が高 く,2分子 機構 にな りや すい とい える,この場合,共存水素濃度を 増 加さ せれ ばオ レフ ィン 濃度 を滅らす ことができ,単分子機構が増加すると考えられる,そ こ で 実 際 に 水 素 圧 を200 torrか ら500 torrに 増 加 さ せ て , 反 応 温 度523KでPt担 持 C02.sHo.sPWi2040上で1,4‑13C2.ri‑ブタンの骨格異性化を行ったところ,単分子機構の割合が 65%か ら85%以 上に 増加 した ,従って 高温では単分子機構に必要な水素圧が高いことが明ら か にな った .ま た, 単分 子機 構が主な 異性化経路である場合,イソブタン選択性は95%程度 で あった, 以上の結果から,固体酸上での皿・ブタンの骨格異性化 は主に2分子機構,二元機 能触媒系では主に単分子機構で進行することが証明された.

  口・ペンタンの固体 酸上での骨格異性化反応はイソペンタン選択性が低く,逆に二元機能触 媒 系では100%に近い選択性を示した. これはロ・ブタンの異性化で見られたように,両反応 系 で反 応機 構が 異な るた めと 考え られ る.2分子 機構 で見 られるカルベニウムイオンからの p開裂 は,3級カ ルベ ニウ ムイ オン が生 成す る 様式 が選 択的に起こ る.もし,ペンタンの2量 体 のcioか らロ 開 裂が 起こ る場 合,3級 カル ベ ニウ ムイ オンが生成 するのはC5‑C5のぺアだけ で なく ,C4℃6の ぺア も考 えら れる(n‑ブタ ン の場 合は ,2量体 のC8から は3級 カル ベニウム イオンができるロ開裂様式はC4‑C4のぺアだけ).その結果,固体酸上のロ・ペンタンの骨格異性 化ではイソブタンがイソペンタンと同程度生成し,cioからのイソペンタン選択性を低下させる.

このため両反応機構で イソペンタン選択性が大きく異なり,反応機構を予想できる.二元機能触 媒系でn.ペンタンの骨格異性化を行うと,イソペンタンの選択性が増加した.これはロ・ブタンの 場合と同様に単分子機構の増加を意味する.

  単分子機構はロ・ブタンの場合はエネルギー的に不安定な1級のカルベニウムイオンを経由し,

ロ・ペンタンの場合は2級のカルベニウムイオンを経由する.従って,後者の方が反応速度が速い と予想される.実際に 単分子機構が選択的に起こる条件で比較すると,後者の反応速度は前者よ り1桁大きかった.従って,ここまで13Cを用いて明らかにしてきたロ‐アルカンの骨格異性化機 構 は , 従 来 の 速 度 論 的 な 考 察 と な ん ら 矛 盾 し な い こ と が 明 ら か に な っ た .   以上本研究で得られ た知見は,アルカンの変換反応における固体酸の触媒設計に重要な指針と なるものであり,これ らの知見をゼオライト等の高表面積な材料に適用することで,効率的な新 規アルカン変換触媒の開発が可能になると期待される,

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(3)

学位論文審査の要旨 主査   教

副査   教 副査   教 副査   教

授 授 授

奥原敏夫 長谷部  清 服部  英

(エネルギー先端工学研究センター)

松田冬彦

学 位 論 文 題 名

アルカ ン変換 のための固体酸の設計と反応機構の解析

  天 然ガ スな どに 含 まれ る飽 和炭 化水 素アル カンを有用な物質に変換する技術開発が望まれ てい る。 特に 直鎖 ア ルカ ンを クリ ーン なガソ リンの成分である分岐アルカンへの効率的変換 は、 エネ ルギ ―や 地 球環 境改 善技 術と して重 要である。すでに触媒によって骨格異性化する 方法 があ るが 、液 体 酸を 用い る場 合は 、有害 廃棄物が多く産出する問題があり、また、金属 添 加 固体 酸を 用い る方 法 では 高温 で加 圧す る必 要が あり 、大 きな エネ ルギ 一消 費 を伴 う。

  本 研究 は、 より 効 率的 にア ルカ ンを 変換で きる触媒の開発を目指している。その触媒設計 には 反応 機構 と触 媒 物性 との 関連 を解 明する ことが不可欠であるが、反応機構は未だ解明さ れて いな ぃ。 本研 究 では アル カン 骨格 異性化 反応に有効な固体酸およびPt担持固体酸を触媒 とす るn− ブタ ン異性化の反応機構の解明を目 的としている。とくに、反応機構を定量的に解 析 す るた めに 、炭 素13同 位体 を含 むブ タン を用 い、FI質 量分 析法 で同 位体 解析 し てい る。

  n‐ ブタ ンの 骨格異性化の機構にはメチルシ クロプロピルカチオンを中間体とする単分子機 構とオクチルカチオンを中間体とする2分子機構が考えられる。13C ‑ri‑ブタンを原料とすると、

単分子機構では 13)‐イソブタンのみが生成し、2分子機構では平衡分布に近いイソブタンが生 成す ると 予想 され る。従って生成物の1℃分布 の解析によって、反応経路を定量的に決定する        ,

ことが可能である。

  代 表 的 な 固 体 酸 で あ る 硫 酸 処 理ジ ルコ ニア とへ テ ロポ リ酸 のQ酸性 塩で は、 両 触媒 上と も反 応は 主に2分子 機構 で進 行し てい るこ とを 明 らか にし てい る。 さらに、これらにPtを添 加し た二 元機 能触 媒 上で は主 に単 分子 機構で 進行していることを解明した。Ptの水素化能に よっ てオ レフ イン 濃 度が 減少 した ため と解釈 している。これらの触媒による反応機構の違い を酸 性の みな らず 、 水素 化能 など の表 面特性 と関連ずけて説明できたのは、この系で初めて であ る。 さら に、 こ れら の知 見を 生か して、 高機能触媒の設計が可能になると期待される。

  審 査員 一同 は、 こ れら の成 果を 高く 評価し 、また研究者として誠実かつ熱心であり、大学 院課 程に おけ る研 鑽 や取 得単 位な ども 併せ申 請者が博士(地球環境科学)の学位を受けるの に十分な資格を有するものと判定した 。

参照

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