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博士(理学)押田龍夫 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(理学)押田龍夫 学位論文題名

Phylogenetic Relationships between Flying Squirrels and     Non‑flying Squirrels Distributed in Asia and AmerlCa . WithSpeci 甜 ReferenCetOK 邨 ′ OtyplCandMoleCularEVoludon      (アジアおよびアメリカに分布する滑空性および非滑空性リス類の      系 統 関 係 、 特 に 核 型 お よ び 分 子 進 化 に 関 し て )

学位論文内容の要旨

  リ ス 科 齧 歯 類 は 、 オ ー ス ト ラ リ ア 、 ニ ュ ー ギ ニ ア 、 両極 地 域 等 を 除 いて ほ ぼ 全 世 界に 分 布 し て おり 、 現 在 ま で に 記 載 さ れ て い る そ の 種 数 は お よ そ250に の ぽ る 。 こ れ ら は 形 態 的 お よ び 生 態 的 特 徴 か ら 、 (1)樹 上 で の 生 活 に 適 応 し て い る が 地 上 を も 生 活 環 境 とし て 利 用 す る樹 上 性 リ ス 類 、(2) 樹 上 での 生 活 に 完 全 に 適 応 し 前 肢 と 後 肢 の 間 に 発達 し た 飛 膜 構造 を 用 い て 滑空 移 動 を 行 う滑 空 陸 リ ス 類 、お よ び (3) 地 上 生 活 に 完 全 に 適 応 し た 地 上 性 リ ス 類 の 三 っ に 大 別 す る こ と が 出 来 る 。 こ れ ま で に り ス 科 齧 歯 類 を 対 象 と し て 、 生 態 学 的 ・ 行 動 学 的 、 ま た 形 態 学 的 に 多 く の 報 告 が な さ れ て い る が 、 系 統 学 ・ 進 化 学 的 視 点 か ら は 殆 ど 研 究 が 行 わ れ て お ら ず 、 そ の 系 統 関 係 に つ い て は 多 く の 問 題 が 残 さ れ て い る 。 特 に 、 特 徴 的 な 形 態 を 有 す る 滑 空 性 リ ス 類 と そ の 他 の 非 滑 空 性 リ ス 類 ( 樹 上 性 リ ス 類 ‐ 地 上 性 リ ス 類 ) と の 系 統 関 係 に つ い て は 不 明 な 点 が 多 く 、 リ ス 科 齧 歯 類 の 進 化 の 過 程 を 解 明 す る 上 で 重 要 な 課 題 の ー っ で ある 。

  そ こ で 本 研 究 で は 、 滑 空 性 リ ス 類 と 非 滑 空 性 リ ス 類 との 系 統 関 係 を 明ら か に す る こと を 目 的 と して 、 染 色 体 の 分 染(G. ,C・ ,Ag‑NOR‑バ ン ド ) バ ター ン の 比 較 分析 お よ ぴtrRNA遺 伝子 の 染 色 体 マッ ピ ン グ な ど に 基 づ く 核 型 進 化 と さ ら に ミ ト コ ン ド リ アDNAの12S rRNA遺 伝 子 お よ び チ ト ク ロ ー ム6遺 伝 子 の 塩 基配 列に 基づぃ た分子 系統学 的解 析を行 った。

  核 型 の 比 較 に は 滑 空 性 リ ス 類 グ ル ー プ と し て ム サ サ ピ 属(Petaurista)お よ びモ モ ン ガ 属(Pteromys) の2属 、 樹 上 性 リ ス 類 グ ル ー プ とし て り ス 属(Sciurus)お よ びタ イ ワ ン リ ス属 (C.allosc血rUs) の2属 、 さ ら に 、 生 態 学 的 に 樹 上 性 ・ 地 上 性リ ス 類 の 中 間に 属 す る 半 樹上 性 リ ス 類 のシ マ リ ス 属 ( 丁amjas) を 用 い た 。 そ の 結 果 、 滑 空 性 リ ス 類 で は 、 染 色 体 数は2n二 ニニ38と 一 定し て い た が 、常 染 色 体 の 腕 数(FN) は68・72本 を 示 し た 。 両 属 間で 全 体 的 か また は 部 分 的 にG. バ ン ド バタ ー ン が 相 同性 を 示 す 染 色 体の 割 合 は 約60% で あ っ た 。 樹 上 性 リ ス 類 で は 、2n ̄40、FN=70.72で あ り 、 グ ル ー プ 内 で 相 同 な 染 色 体 の 割 合 は 約70% で あ った 。 染 色 体 数、 染 色 体 腕 数 およ びG. バ ンド バ タ ー ン の保 存 ´ 陸か ら、而 グルー プは 、 各 々 の グル ー プ 内 で 単 一の 祖 先 か ら 分岐 を 遂 げ た こと が 示 唆 さ れた 。 一 方 、 シ マリ ス 属 は2n二 二 ニ38、FN

=58で あ り 、 染 色 体 腕 数 が 前2者 と 大 き く 異 な っ て い た 。 さ ら に 、 シ マ リ ス 属 と 、 滑 空 陸 リ ス 類 お よ び 樹 上 性 リ ス 類 と のG・ バ ン ド バ タ ー ン の 相 同 性 は 各 々 約25% お よ び 約30% で あり 、 シ マ リ ス 属は 他 の り ス 類 か ら 早 期 に 分 岐 し た も の と 思 わ れ る 。 非 滑 空 性 リ ス 類 グ ル ー プ ( 樹 上 性 リ ス 類2属 お よ び シ マ リ ス 属 ) の 中 で は 、 タ イ ワ ン リ ス 属 のG. バ ン ド パ タ ー ン が 最 も 滑 空 性 リス 類 に 類 似 して お り 、 相 同 な 染色 体の 割合は 約50%で あっ た。

  ミ ト コ ン ド リ アDNAの12SrRNA遺 伝 子 お よ び チ ト ク ロ ー ム6遺 伝 子 領 域 の 塩 基 配 列 に 基 づ ぃ た 分 子 系 統 樹 は 、 ア ジ ァ 産 お よ び ア メ リ カ 産 の 樹 上性 リ ス 類 と して り ス 属 (Scfu′us) 、 タ イ ワン リ ス 属 (

(1´aJJoscjur s)、アメリカアカリス属(丁amjascjurus)、シマヤシリス属(Fu亅1 皿6凵 s)の4属、滑空性

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リ ス類としてムササビ属(Peta ur活釧、モモンガ属(Pね′〇mys)、アメリカモモンガ属(da com卩)の3 属 、およびシマリス属(丁amjas)を材料として作成した 。その結果、滑空性リス類のグループは単一の ク ラ スタ ーを 形成 し 、こ れら が進 化の 過程にお いて単一の祖先から分岐し た単系統であること、さら に シ マリ ス属 が他 の りス 類か ら早 期に 分岐を遂 げたことが示唆された。ま た、非滑空性リス類の中で は タ イワ ンリ ス属 が 最も 滑空 性リ ス類 に近縁で あることが示された。これ らは、核型進化の結果と一 致 していた。以上の分析結果 から、(1)滑空性リス類は 単一の祖先を有し単系統であ る、(2)半樹上 性 の シマ リス 属は他 のりス類から早期に分岐を 遂げた、(3)今回分析を行 った非滑空性リス類の中で は 、 夕イ ワン リス 属 が最 も滑 空性 リス 類に近縁 であるされた。従って、滑 空性および非滑空性リス類 に おける系統関係に新たな知 見を得た。

  リ ス科 齧歯 類に は 系統 学的 に解 析さ れていな い多くの種が含まれており 、今後さらにこれらの種を 細 胞 遺伝 学的 ・分 子 系統 学的 に解 析す ることに よってりス科における系統 進化の道筋が明らかになる も のと思われ、本研究はその 先駆的なものである。

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学位論文審査の要旨

主 査

  

教 授

  

吉 田 廸 弘 副 査

  

教 授

  

片 倉 晴 雄

副 査

  

教 授

  

大 泰 司 紀 之 ( 大 学 院 獣 医 学 研 究 科 ) 副 査

  

助 教 授

  

阿 部 周 一 ( 大 学 院 地 球 環 境 科 学 研 究 科 )

学 位 論 文 題 名

 Phylogenetic Relationships between Flying Squirrels and     Non‑flying Squirrels Distributed in Asia and America, with Special Reference to Karyotypic and Molecular Evolution

( ア ジ ア お よ び ア メ リ カ に 分 布 す る 滑 空 性 お よ び 非 滑 空 性 リ ス 類 の

    

系 統 関 係 、 特 に 核 型 お よ び 分 子 進 化 に 関 し て )

  

著 者 は り ス 科 齧 歯 類 の 滑 空 性 お よ び 非 滑 空 性 リ ス 類

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種 を 対 象 と し て , 細 胞 遺 伝 学 的 お よ び 分 子 生 物 学 的 手 法 に よ り , こ れ ま で 不 明 で あ っ た こ れ ら り ス 類 の 系 統 関 係 を 明 ら か に し た 。 特 に , 染 色 体 の 種 々 の 分 染 法 に よ る 核 型 比 較 お よ び ミ ト コ ン ド リ ア に お け る

12S rRNA

お よ び チ ト ク 口 ー ム

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遺 伝 子 の 塩 基 配 列 に 基 づ ぃ た 分 子 系 統 樹 を 作 成 し , 各 系 統 間 の 近 縁 度 や 遺 伝 距 離 の 解 析 を 行 い , 分 子 系 統 と ぃ う 新 た な 観 点 から 系統 分類 を行 った 。 そ の 結 果 , 滑 空 性 リ ス 類 は 単 一 の 祖 先 を 有 し 単 系 統 由 来 で あ り , 非 滑 空 性 で あ る 半 樹 上 性 の シ マ リ ス 属 は 他 の り ス 類 か ら 早 期 に 分 岐 を 遂 げ た も の で , さ ら に , 今 回 分 析 を 行 っ た 非 滑 空 性 リ ス 類 の 中 で は タ イ ワ ン リ ス 属 が 最 も 滑 空 性 リ ス 類 に 近 縁 で あ る と ぃ う 新 た な 知 見 を 得 た 。 こ れ ら の 成 果 は 高 い 評 価 を 受 け て お り , 今 後 の 展 開 に も 大 き な 期 待 が 寄 せ ら れ て い る と と も に , こ の 分 野 の 研 究 に 貢 献 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る 。

  

さ ら に , 参 考 論 文 は 主 論 文 の 内 容 に 直 接 関 与 し た

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編 の 論 文 ( 英 文 ) の 他 に , ゲ ノ ム 解 析 に 関 し た

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編 の 論 文 が 国 内 外 の 国 際 学 術 専 門 誌 に 公 表 し , そ れ ら の 内 容 は い ず れ も 新 知 見 を 含 む も の と し て , 関 連 分 野 に お い て 評 価 さ れ て い る 。

  

よ っ て 著 者 は , 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

参照

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