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論 文

感性情報による小型モータの評価システム

大谷善哲 有泉均 関口芳廣

(平成9年8月29日受理)

Quality Appraisal System for a Small-sized Motor

by Human Sensitivity Simulation

YoshinoriOHTANI HitoshiARIIZUMI YoshihiroSEKIGUCHI

      Abstract   Reliable and objective quality appraisal systems based on human sensitivity model are required inwide area ofmanufacturing. This paper describes the design bf an automatic exami− nation in the quality appraisal system for sma11−sized motors. We implemented the sound diagnoses based on the human auditory sensitivity model. Thoughthe sound of rotating motors is a useful information about their quality, it has been used by only the skilled examiners to select the conformable motors sofar. Using the auto−correlation function of the mortor sound and simulating the human sensitivity, we can easily detect the nonconformance that is frequent− 1y observed as”fish−bone”shaped wave. 1.はじめに  生産工程において人間の感性に依存する品質検査の 分野では,自動化を進めるにあたって人間の感覚を評 価・計測に利用する技術が強く求められており,信頼 性や客観性をベースにした感性情報処理が新しいアプ ローチとして注目されているω.  現在,小型モータの生産工場では製品の性能評価と 品質検査のために回転数測定などいくつかの項目が必 要とされるが②,小型のステッピングモータでは外部 からのディジタル型駆動電源への回転などの応答を検 査することが中心となる.すなわち,小型モータ動作 時の振動や音などの数項目を熟練検品士が調べ,不適 当な製品を取り除き品質を管理している.ここでは, これらの検査作業の事例およびその自動化の方法につ *㈱富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ **d子情報工学科,Department of Electrical Engineering  and Computer Science いて述べる.動作音の音響的特徴から製品の状態を判 断し聴覚的に評価を行う方法は音響診断と呼ばれ,異 常な動作音がしている製品を選別する方法として大変 重要で分析結果やニューラルネットを利用した例が報 告されている(3)一一(7).  ビデオカメラ等に組み込まれるオートフォーカス用 小型モータの品質検査においては熟練者たちは動作音 に対して経験から得られた何らかの音響的特徴につい ての知識をもとに品質検査を行っているものと考えら れる.  したがって良品,不良品モータの動作音における音 響的特徴の違いを見つけられれば,モー一一タの良,不良 を判断する作業を自動化することが可能である.  本研究は人間の聴覚と感性による音響診断を計算機 で代替することを目指し,評価検査システムを構築す ることを目的としている.そこで評価検査システム構 築のための基礎研究として,モータ音の音響的特徴の 分析をした.また,分析結果を利用したアルゴリズム にもとついたシステムを構築した.本研究の第1段階

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として小型モータの不良品音響波形パターンの一つで ある“魚の骨状の波形〈FBW>”の認識および品質評 価システムの構築を目標に,異常音を検出可能な波形 認識アルゴリズムについて考察し,有効な方法である ことを確認した. 2.研究背景 2.1 背景∼小型モータの音響診断について∼  ビデオカメラのオートフォーカスなどに用いられる 小型ステッピングモータは,検品士の聴覚と経験的な 判定基準により良品または不良品と評価される.この ため,判定結果が検査に当たった検品士個人の感性に 大きく左右される.また,検品士の経験的学習から判 定基準が定められるため,音響的動作音診断は判定基 準が一定ではない.  聴覚によるモータ検品作業には熟練を要するため, 初心老と熟練者の判定結果では信頼性に差が出てしま う.しかし,品質管理の面からは一定の判定基準で検 査されることが望ましいため,工場側は個人の感性に 左右されない判定方法を探している.また,良品・不 良品を自動判定するシステムの出現が期待されてい る. 2.2 検品作業と問題点  現在,小型モータの生産工場では製品の品質検査と して,次の点を検品士が検査している. ●動作時の振動(触覚) ●動作時の音(聴覚) ●製品の形状および外観(視覚)  これらを検品士が自分の触覚,聴覚,視覚を用いて 調べ,不適当な製品を取り除き品質を管理している.  現行の小型モータの検査における聴覚的な音響診断 では,以下の問題点がある. ●初心者と熟練者の判定結果では信頼性に差がある. ●熟練検品士になるまでにはかなりの経験が必要とさ  れる. ●後継者の不足.  以上の問題点を解決する一方法として,音響診断の 自動化が考えられる.  本研究は人間の聴覚と感性による判別作業を計算機 で代替させることを目指すものである. 3.モータ動作音について 3.1 動作音の収録  検査対象とする小型モータ動作音の波形特徴を解析 する.解析にあたり次のようにして動作音データを用 意した. 3.1.1 小型モータと検査装置  使用した小型モータはビデオカメラのオートフォー カスなどに用いられるステッピングモータである.パ ルス信号を発生する駆動制御回路により定められた順 番でステータスコイルが励磁されると,そのたびに一 定角度だけステップ回転する構造をしたモータであ る.最初に基本分析用として軸長が15mmのモータ計 20個について駆動用検査装置を用い,動作時の音を録 音した.  検査装置によってモータは,一方向に10ステップ回 転,反対方向に10ステップ回転することを繰り返して いる.  このとき,検査装置は18msec毎に1ステップ回転 180msec毎に反転動作をさせるようになっている.

3.1.2 録音方法

 DAT(SONY製)ヘモータ音を収録するとき,マイ クには普通騒音計を用いた.この理由は,音楽用マイ クで録音した場合は,モータ動作音以外の環境音も大 きく拾ってしまうため,モータ音の振幅波形がはっき りと目立たない.一方,普通騒音計の場合ではAモー ド・50dBあるいは60dBを使用すれぽ,雑音が気にな らない適切な程度の音に押さえることができたためで ある.また,音源の音の大きさに合わせて,適切な録 音レベルにすることができる.ただし,騒音計の出力 端子をLINE入力に接続する必要がある.MIC端子に 接続した場合は雑音が拡大されて,歪んだモータ音が 録音されてしまう.  なお,録音したモータ音は騒音計のピックアップを モータから5mmほど離し収録した.  分析に使用したステッピングモータの動作音は次の 手順で,計算機に取り込んでいる.①最初にマイクロ ホンでDATに収録する.なお,マイクロホンには騒音

計を用いた.②次にDATから10 KHzのローパス

フィルタを通し,サンプリング周波数20KHzで計算 機に取り込み,振幅波形として分析に用いた. 3.2 動作音データの振幅調整  計算機に取り込んだ時点での振幅値が全体的に小さ かったので,波形特徴の視覚的分類のために全部の波 形データに対して,等しい倍率を掛けて拡大した(× 8倍).ただし,不良品波形には極端に振幅の大きいタ イプがいくつかあったので,それらの波形については 拡大しなかった.

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4.波形データの特徴解析 4.1 視覚的波形特徴による分類  振幅調整後の波形データについて,波形解析ソフト を利用して振幅と周波数成分を調べた.波形データは 軸長15mmの小型モータの検品士の判断による良品, 不良品を各10個ずつの動作音波形である.  ここでは検品士による判別の基準を推定するため に,これらの波形データの視覚的特徴について良品, 不良品とも5種類程度にグループ分けした.しかし, いくつかのモータは検品士によって判定されていた側 とは反対の特徴を示すものもあった. 4.2 波形パターンのタイプ(良品)  視覚的波形特徴により良品モータの動作音を分類す る.([]内はモータ番号) ●順,逆回転時の波形に対称性をもったピークのレベ  ルの大きなタイプ.[G8, G10] ●対称性をもっているがピークのレベルがやや小さい  タイプ.[G7] ●対称性をもっているがピークのレベルが小さいタイ  プ.[G3, G4] ●周期的にピークのレベルが変動しているタイプ.  [G6,G9] ●周期とピークのレベルが変動しているタイプ.[G1,  G5] ●ピークの波形がインパルス状でないタイプ.[G2] 4.3 波形パターンのタイプ(不良品)  視覚的波形特徴により不良品モータの動作音を分類 する. ●対称性をもったタイプだが,回転時のレベルが大き  なタイプ.[F6, F7] ●対称性をもっているが回転時に比べてピークのレベ  ルが小さいタイプ.[F1, F10] ●回転時のレベルが大きく,ピークのレベルも変動し  ているタイプ.[F3, F4,F9] ●回転時のレベルが大きくピークが存在しないいわゆ  る“魚の骨状”のタイプ.[F2, F5, F8] 4.4 良品の視覚的波形特徴  モータの回転音検査では回転方向を一定時間で反転 させる.このため,振幅波形には反転時に生じるイン パルス状の動作音が等間隔で観測される.また,一定 方向に回転している間の動作音の振幅値もほぼ一定で 小さな値となっている.反転動作音の前後での振幅値 はほぼ同程度で,インパルス状の部分に対して対称性 を示す.理由としては順逆回転ともほとんど同じ動作 音波形特徴であることが考えられる.このように回転 時のレベルが小さく,かつ対称性のある振幅波形を示 すものを良品モデルとした.インパルス状の反転動作 音は180msec間隔で観測される波形であること,およ び反転の前後の区間での振幅変化が少ないことが良品 の特徴である. 4.5 振幅と周波数成分の時間変化  周期的に出現している波形の中のインパルス的な部 分をはっきりみることができる.一定時間で繰り返さ れる反転が原因である.この部分をスペクトログラム でみると周波数成分は全域にわたりインパルス状波形 の特徴を示している.また,不良品ではあまり目立た ないピークが良品には9KHzを越えたところにみら れることもあった.ほとんどのモータ音では600Hz相 当の付近に最初のピークがあった.ステッピングモー タの180msec,18 msecの基本周波数成分はスペクト ログラムでは雑音に隠れて表示できないので,その高 調波成分と考えられる. 5.検品士による評価 5.1 検品士による評価と不良品モデル  動作音データについて,振幅波形の特徴と音による 評価の対応付けを調査するため,計算機に取り込んだ 20個のモータ動作音に対し評価してもらう聴取実験を 行った.被験者は工場で実際に検品にあたっている検 品士6名である.  この聴取実験の結果より,不良品として評価された /ξ soooo 劉mo 10eOO ・10000 一eeooo 一soooo wwdedeFO2 0    5000   teOOO   tsooe   20000   2SOOO         ㎞●1;a}.os me.cl 時間一振幅 geoeo   SSOOO   ㎝ 図1 異常波形:FWBモデル

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モータ音の波形的特徴は次のタイプであった.  ◇不良品と判定された波形の特徴    ・不規則に乱れている波形    ・魚の骨状の波形  このうち,図1のモータ音は検査時に排除すべき異 常動作音の代表的な波形パターンである.これを不良 品モデルと設定する.このタイプの動作音を波形の視 覚的特徴からrFBW:Fish Bone Wave(魚の骨状波 形)」と呼ぶことにする.

5.2 FBWモデルの波形特徴

 検査において不良品とされるモータ音の時間波形に ついて考察する. 図2 モータ波形.(良品:G8) 聴取実験より得た不良品の波形モデルFBWの振幅 波形では,インパルス状の異常動作音が等間隔で非常 に多く発生している.  これはステッピングモータの回転音の歪み等による 摩擦が原因で生じる異常音で,回転周期に同期して約 18msecの周期性を示している.  図2に示す良品モデルの周期特徴約180msecと比 較すると,非常に短い周期である.FBWモデルの波形 特徴としては,非常に周期が短いことおよび大きな振 幅値の分布が多い点である.このため,FBWを検出す るカギのひとつとして,ピーク間の時間を調べる方法 が考えられる. 6.波形判別アルゴリズム 6.1 波形判別アルゴリズム  本研究では,計算機上で入力動作音の判定方法とし て,入力動作音の振幅波形の周期性に着目しFBWを 識別する方法が有効であると考えた.そこで,モータ 音波形判別アルゴリズムでは,入力波形の周期を前述 の良品モデル,および不良品のFBWモデルと比較し 判別する.インパルス状の波形の分析にはフーリエ変 換などのスペクトル解析では周波数成分が全域にわた るので特徴が見つけにくい.ここでは周期抽出が目標 であるので,波形の自己相関関数φを次式で計算し φ(m)一

sXω・X(n+m)・・≦m≦N

ここで,X(n)は時刻nの原波形, Nはデータ数. 図3 自己相関関数による周期検出   〈左:良品,右:不良品〉

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そのピーク間隔(図3参照)に着目して,自動的に周 期を検出することにした.良品モデルと不良品モデル の自己相関関数の例を図4,図5に示す.自己相関関 数は雑音を含む波形を識別する方法として文献(8)でも 用いた方法である. また,不良品のうちFBWの振 幅値は良品に比べ大きな値となっている.これら2つ のポイントに注目して入力した波形の良・不良を判定 した. 1●◆1● 伽15 竃

!…

1

tSt● 質怜篭 weveClntctos ● eoee tOOOO       1●SOO tme剛6■“4 rcooo 図4 自己相関関数:正常〈良品モデル〉 ㎜ ⑱●oo●     “ooo ●■陣愈5■刈 図5 自己相関関数:FBW〈不良品モデル〉 6.2 波形認識アルゴリズムについて  本報告では,ピーク間の時間を計測し波形を評価す る方法を考えた.  FBWを検出する波形認識アルゴリズムには,ピー クが180msec間隔の反転動作音であるか,または回転 軸の歪みなどにより発生する18msec間隔の異常音で あるかを判別するアルゴリズムが必要である. 6.3 判別方法  このアルゴリズムでは入力動作音波形の自己相関関 数を検出する.その方法としては,①振幅値の自己相 関関数として18msec付近と180 msec付近を求める. ②二つの相関値の比を求める.3)この相関比が一定 の値(あらかじめFBWの標本から決められた閾値)

を越えれば18msecの周期が優勢であるとしてFBW

であると判定し,越えなければ180msecの周期が優勢 であり良品と判定する.比をとることは入力振幅の変 動に対処するためであり,閾値を設定することはモー タの種類が多様であるので他の機種にも対応できるよ うにするためである. 7.評価検査システム 7.1 モータ動作音評価検査システム  波形判別アルゴリズムを利用して検査システムの基 本部を構築した.本システムでは入力された動作音 データを「振幅正規化」,「周期検出」および「波形判 別」の3つのブロックで分析する.  「振幅正規化」は正規化によりさまざまな振幅値に対 応できるようにすると同時にモータから発生する音の 大きさも判定の条件に使えるようにしたものである. 「周期検出」では,自己相関関数のピーク間隔を調べ, 周期を自動検出する.「波形判別」では,先の2つの結 果と波形モデルを比較し,出荷させてはならない波形 であるFBWを識別し,判定結果を出力するものであ る.以上の処理により入力動作音は「良品」あるいは 「不良品」に判定される.

7.2 実行結果

 まず最初に,分析に用いた10個の良品モータと10個 の不良品モータの時間波形(G1∼G10, F1∼F10)を今 回作成した認識アルゴリズムに入力し判定させた.表 表1 小型モータの分析結果(波形成分相関比) 良 品 相関比 不良品 相関比 GO1 2.82 FO 1 3.97 GO2 4.30 FO2* 6.16 GO3 3.07 FO3 4.95 GO4 2.79 FO4 4.03 GO5 4.65 FO5* 24.4 GO6 3.97 FO6 4.23 GO7 2.74 FO7 2.24 GO8 0.29 FO8* 5.15 GO9 2.30 FO9 2.42 G10 1.53 F10 3.21 平均 2.84 平均 3.57 *FBW

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7.1に相関比の結果を示す.  今回の実行結果では絶対に取り除きたい3つのモー タ(F2, F5, F8)だけが確実に不良品として判定され た.表から次のことがわかった. ●サンプル中にFBWは3個存在した.システムの判  定結果も3個であり,FBWについてはすべて識別  された. ●自己相関関数を利用したアルゴリズムはFBWに対  して検出能力が高いと考えられる. ●良品の数は閾値により大きく変動する. ●検品士の判定と今回のアルゴリズムの判定が異なる  ものがある.  この基本実験では,波形パターンの相関比により閾 値を用いて判定しているため,FBW以外の製品には 十分対応しきれない場合があった.  この方法の信頼性を確認するために,データ数およ びモータの機種を変えて実験を継続する必要がある. 相 関 比 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0 良品5/0  4!1  3!2  2/3  114 不良品 図6 小型モータの分析(波形成分相関比)  図6は別のタイプで良品・不良品が検品士によって 判別済みのFBWを含む43個のモータについて実験し た結果である.横軸に検品士の判定(上段が良品,下 段が不良品と判定した人数),縦軸に相関比を示す.た だし,4個のFBWについては,相関比と検品士の判 定がそれぞれ34.5(0/5),8.1(1/4),7.9(2/3),5.2(3/ 2)と大きな相関比となったので図では省略している.  ここでは,基本実験で問題になったFBW以外の判 定の信頼性について検討した.最初に,製品の経年変 化や検品士の判定のバラツキを確認するために,検品 士による最初の判定結果と半年後の二回目の判定結果 を比較した.その結果,5名の検品士のうち3名以上 の判定結果で良・不良を表すと,良品→不良品が22個 のうち11個,不良品→良品が21個のうち9個と判定に変 化が生じていることがわかった.判定聴取実験が1回 目から半年経過しており,すでに本モータの製造が中 止されて新しい機種の製造に入っているため,検品士 の判定基準が変わってしまっている可能性があるが, 感性検査・計測の難しさを示している.今後の課題と したい.  図6によれぽ,相関比の傾向と検品士の判定には関 連性があることがわかるが,信頼性が高いとはいえな い.

7.3 考察

 モータ音波形の自己相関関数のピーク間隔を判定の 基準としてFBW(魚の骨状の波形)を認識するアルゴ リズムを作成した.このアルゴリズムを用いたシステ ムはFBWをすべて検出できた. FBWは検出作業の 中で完全に排除したいと,検品士と工場側は考えてい たので,第1目標としては成功である.もし,このア ルゴリズムによって検品作業が自動化された場合,適 切な動作音波形データであれば,工場側の最低限の要 求にも耐えうるシステムといえるであろう.しかし,

FBW以外の製品について完全に評価できるまでに

至っていない.検品士の信頼性を十分とするならば, さらに新たな音響パラメータを見つけなけれぽならな い.反転毎の相関値の平均や分散など複数の条件を組 み合わせる必要があると思われる.また,データ取得 のタイミングにおいても検品士が回転の立ち上げ時の 情報で判定しているが,計算機上では定常的な区間を 用いている違いもある.人間の感性をどの程度まで計 算機上で実現できるかは今後の課題としたい. 8.おわりに  本研究では,検査システム構築のための基礎研究と して,良品・不良品の動作音波形についての特徴を分 析した.また,検品士の評価と振幅波形特徴の対応を 調査するため,聴取実験を行い,実験結果から不良品 の波形モデルを決定した.  異常音波形パターンとしてFBWモデルを設定し, 振幅波形に着眼したモータ音の音響診断を行うことを 試みた.計算機上で入力動作音の時間波形についての 自己相関関数から,周期を自動検出し,FBWモデルを    t 識別するモータ音検査システムを構築した.本システ

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ムはFBWに対しては高い識別能力を持っているとい えた.  実際の判定システムではさまざまな録音レベルの モータ音が検品対称となってくるため,FBWモデル 以外のさらに細かな分類に判別可能なアルゴリズムが 必要であると考える.また,検品士の検品作業は非常 に素早く,次々と検査項目を検査していく.これに対 し,今回の計算機での検査はデータの取り込みに処理 時間がかなり必要であった.小型モータの検品作業を 自動化するためには,まだまだ解決しなければならな い課題がある. 謝 辞  本研究に際し,終始熱心なご支援を頂いた(株)エ ヌエフシステムの山田幸重氏,聴取実験にご協力をい ただいた検品士の方々および本研究室学生宮川元志君 に深く感謝いたします. (2)電気学会:“小型モータの分類と試験法の現状”,   技術報告,576(1996) (3)渡辺嘉二郎,豊田成人:“異常音による機械の診   断一軸受けの呼び番号の同定と故障の診断一”,計   測自動制御学会論文集,29,1,pp.94−101(1993) (4)滝瀬忠:“ボール・ベアリングを組み込んだ小型   機器の回転音による一診断法”,日本音響学会   誌,44,6,pp.419−424(1988) (5)滝瀬忠:“同(第2報)”,日本音響学会誌,46,6,   pp.497−504(1990) (6)滝瀬忠:“同(第3報)”,日本音響学会誌,46,8,   pp.609−616(1990) (7)岡田健:“機械系の音響診断”,日本音響学会   誌,43,6,pp.402−407(1987) (8)長田徹,有泉均:“指向性パターンを用いたEMI   ノイズ自動解析法”,山梨大学工学部研究報告,43,   pp.14t19(1992) 参考文献 (1)井口征士他:“感性情報処理”,オーム社(1994)

参照

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