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日蓮聖人における薬王品十喩の解釈について (第四十六回 日蓮宗教学研究発表大会要旨)

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Academic year: 2021

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(1)

周知のごとく、法華経の薬王品には法華最第一なるこ とを善えた歎法体の十噸と、法華経の抜苦与楽の利益を 唱えた歎法用の十二噸とがある。前者は十種称揚とも言 われ、法師品の已今当三説超過が縦に法華経の最尊なる を示すのに対し、横に法華経の最上なるを説示するもの と言われている。この薬王品の十噸について、天台と 伝教の解釈の相違を少しく考察してみると、まず智顔 は﹃文句﹄十下と﹃玄義﹄一上において十職を論じる中 で、五時八教判による法華醍醐思想に基づき、諸経と法 華経の勝劣に関する事細かな解説を示されている。一 方、最澄は﹃秀句﹄﹁仏説十嚥校量勝﹂で、第八噛中 の経文﹁有能受持是経典者亦復如是、於一切衆生中亦為 第一・﹂の文に着目し、法華宗の他宗に対する優位性を 明らかにしている。つまり、天台は所依の﹁経﹂の勝劣 判に、伝教は能依の﹁宗﹂の勝劣判に立脚していたので

日蓮聖人における

薬王品十瞼の解釈について

高森大乗

ある。これは、天台と伝教では破折の対象と目的が異なっ ていたためと推察でき、特に伝教の立場は後世の日蓮聖 人に影響を与えたと思われるのである。 聖人は佐前・佐後を通じて、天台の解釈と同様、薬王 品の十職を法華最勝の証文とされており、時には末法為 正の根拠として用いられている。このことは十嚥に基づ く経の勝劣判が聖人の生涯全体を通じて一貫したもので あったことを窺わせる。ところが佐後になると、これが 行者の勝劣判にも用いられるようになり、殊に﹃大田殿 許御書﹄︵八五四頁︶﹃四条金吾殿女房御返事﹄︵八五 六頁︶﹃撰時抄﹄︵一○五八頁︶等では、すでに第八職 のみならず、十職全体が教経勝劣の意から行者勝劣の意 へとその意義を転換されている。かくして薬王十職は経 典所説の元意に則って引用されたことが明らかであり、 聖人は天台・伝教らの釈義を踏襲しながらも末法の今と いう時代に立ってこれらを再び咀囎しなおし、自らの内 証と重ね合わされて、法華経に説かれる釈尊の御心を読 まれたものと拝受することができる。特に佐後において は、聖人の行者意識の高揚とも関連してか、第八職の二 十二字をもって行者最勝の証文とされるに至り、十輸を 経の浅深ではなく人の高下を判釈する物差しとして捉え (192)

(2)

﹃法華秀句﹄に示される最澄の即身成仏の最大の特徴 は、﹃観普賢菩薩行法経﹄の記述を展開して、上品利根 は一生、中品利根は二生、下品利根は三生迄に成仏する、 と規定し、隔生後の即身成仏をも認める点であろう。一 方天台は.生入住﹂を正意とし、普賢観経の三生に就 いての解説は見られない。更に、最澄には秀句以外にも 三生成仏の説示があり、その場合は必ずしも普賢観経を 典拠とするわけではない。即ち一般に三生成仏と言った であるかを披瀝されたのである。 に明かされる救済の世界をこの末法に具現する導師が誰 が位置付けられるのであり、これをもって聖人は法華経 度法華最勝が立証されるという構図のなかで薬王品十聡 者が最勝であり、その行者の出現と受難色読によって再 直されている。法華最勝なるが故に末法名字即凡夫の行

最澄の即身成仏論について

大乗文晴

場合には華厳義が想起され、最澄の教学的素養からもそ の影響が強調される場合があるが、仔細に検討すれば、 秀句では必ずしも華厳義に固執する必要はないと考えら れるのである。 先ず、天台における即身成仏は、﹃法華文句﹄﹃法華 文句記﹄の提婆達多品釈における﹃菩薩処胎経﹄による 竜女成仏の会通に始まる。種々の異同があるとはいえ、 秀句の﹁即身成仏化導勝八﹂も文句・文句記を敷術した にすぎない。この三生成仏に関しても、文句・文句記に おいては即身成仏は単に胎経によって﹁不捨身不受身﹂ の成仏と規定されるのみであって、時間的に現世︵一生・ 現生︶成仏に限定されているものではないから、この三 生に亙る隔生成仏、未来世の﹁現身成仏﹂を即身成仏と 呼ぶことは不当でないことになろう。即ちこの段階では ﹁即身成仏﹂即﹁一生成仏﹂ではないことである。 また秀句の記述では、﹁普賢菩薩に見えること﹂等を ︽成仏︾とし、また即身成仏や、﹁普賢菩薩勧発勝十﹂ における速疾成仏の会通は総て普賢菩薩勧発品と普賢観 経に依っている。従って、当然︽法華三昧︾との関わり を検討すべきであろう。即ち智顔の﹃法華三昧憤儀﹄、 慧思の﹃法華安楽行儀﹄は、速疾成仏のために勧発品。 (I93)

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