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学習者のメタ認知情報に基づく授業改善の可能性 利用統計を見る

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学習者のメタ認知情報に基づく

授業改善の可能性

Learners' Metacognition and Possibile Teaching Improvement

佐藤博 進藤聡彦

SATOHiroshi SHINDOToshihiko     (技術職業科教室)         (心理学教室) 概要:教育評価のうち、授業改善のための評価の問題が取り上げられた。学生 による技術科領域の模擬i的な授業が行われた。教授者は学習者自身による授業 中の認知過程のモニター情報に基づき、授業の評価を行った。分析に当たって は、発話プロトコルと映像がリンクし、教授一学習場面を再現することが容易 な授業研究演習システムが用いられた。その結果、得られたモニタリング資料 は教授者の授業改善ための有効な資料となる可能性が示唆された。 キーワード:教育評価授業分析マイクロティーチング技術科教育メタ認知 1.問題と目的  授業を巡って行われる評価は、その評価を 行う主体と対象、目的の組み合せから3種の ものに分類される。まず、教師が学習者の理 解を対象に、学校運営上の目的で行う評価で ある。その結果は、指導要録の作成などに使 われることがある。次に、学習者自身が自ら の理解を対象に、以後の学習の指針を得る目 的で行う評価である。この場合、教師は発問 やテストの作成・採点などを通して、その援 助的役割を果たす。更に3番目として、教師 が自らの授業を対象に授業の調整や改善の目 的で行う評価が挙げられる。本稿では、ここ に挙げた3番目の授業の調整や改善のための 評価の問題を取り上げていく。  教師は授業の調整・改善を行うために、通 常はあらかじめ用意された指導計画に基づく 授業中の教示や発問に対して予想した学習者 の反応と実際の反応のずれ、また、教授目標 と授業後のテスト結果のずれを資料として教 授効果について判断を下す。しかし、そこで 得られる学習者の認識や認知過程に関する情 報は間接的なものである。そして、間接的で あるが故に、教師の主観によるバイアスが混 入する可能性がある。そこで、より直接的な 学習者の認知過程に関する情報を得るために、 授業中の学習者自身の認知過程をモニターさ せる方法が考えられる。森1)は、教授一学習 事態におけるメタ認知的知識が、教師の教授 行動を規定していると述べる。そこでいうメ タ認知とは、授業者自身の理解レベルや教授 方略に関わる自己モニターや教授行動の有効 性に関してモニターする教授行動モニターな どである。教授行動モニターでは学習者自身 の学習過程に関する認知と教師の推定する学 習者の認知のずれを正確に認識することが必 要である。本稿で取り上げられる学習者自身 の認知過程のモニター情報は、教授行動モニ ターを促進し、学習者自身の認知と教師の学 習者に対する認知のずれに関する情報を教師 に直接的にもたらすと考えられる。そこで、 以下では実際に授業を行い、そこで得られた 学習者のメタ認知情報の分析を通して、学習 者による学習過程のメタ認知により得られた 情報が、授業の改善に資する情報を教師にも たらし得るか、その可能性を探っていく。

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 このための環境の一つとして、授業研究演 習システムを用いる授業がある。このシステ ムは書換型ビデオディスクレコーダー(VD R)に録画した授業をパソコンにより制御し、 授業を分析しようとするものである。すなわ ち、具体的な方法としては授業の様子を映し 出した画面を基に、学習者自身に授業中の認 知活動についてモニターさせ、それをパソコ ン上に登録する。この方法は、従来の文字に よる授業記録に基づいてモニターさせた場合 に比べ、学習文脈がよりリアルに提示される ことになり、学習状況の文脈が記憶検索の手 掛かりとなる2)ことが考えられる。このこと により、より正確な再生が期待できる長所が ある。また、ビデオテープレコーダー(VT R)に比べ授業の特定場面の検索が容易であ る点も長所として挙げられる。  なお、今回の試みは学習者のメタ認知能力 に負うところが大きい。そこで、年少の者に 比べ比較的正確なメタ認知が可能だと推定さ れる大学生を被験者とした。 II.授業研究演習システムの概要  本システムは山梨大学教育学部附属教育実 践研究指導センターに設置されているもので ある。システムのユニットは,パソコンとV DRからなり,研究者用1ユニット、学習者 用6ユニットからなる。各ユニットはネット ワークでつながっている。研究者用ユニット から学習者用ユニットにフレーム単位(1/30 コマ)で同一情報がディスクコピーできる。 VDRはパソコンにより再生・逆再生・早送 再生・早戻再生・スロー再生・コマ送り再生・ 停止などが容易に制御できる。映像情報を見 ながら、本システムにより発話プロトコルを 作成し、その発話プロトコルに対応する場面 の映像情報(VDRの始めと終わりのフレー ム番号)をパソコンに入力する。このように してパソコン上にフレーム番号を入力すると、 発話プロトコルに対応した映像を即座に再生 することができる。またこのシステムでは2 台のVDRの同期再生が可能であるため、2 台のカメラで撮影した教授者と学習者の別々 の映像を同時に見ることができる。こうした 環境の下で教授者と学習者は映像と発話プロ トコルを手掛かりに、授業中の認知活動をモ ニターし、その結果をパソコンに入力する (以下、この課題を授業分析と呼ぶ)。なお、 本システムについては、参考文献3)に更に詳 しい説明がある。 皿.「シミュレーション授業」による実験 1.教材の選択  今回の授業では、技術科の専門領域の教材 が取り上げられた。先行研究において、ロー ルプレイング方式のマイクロテイーチングで、 現実の授業場面の中から一定の場面を抽出し、 大学生に中学生の役割取得を課す授業が行わ れている。その結果、対象となった大学生は 中学生の役割取得が困難であるという結論に いたった4)5)。そこで今回は、大学生用の授 業場面を設定し、大学生にとって適切な教材 を用いた教授一学習の過程を分析することに した。教材は、現在までに学生がその基本を 学習しており、授業を通して内容理解を深め られるものを検討した。その結果、技術科機 械領域の中のリンク機構の応用である「形削 盤のバイトの動きの仕組」を取り上げること にした。すべての学生は既に大学の授業で基 本的なリンク機構について教授されている。 これを踏まえ、VDRによる形削盤のバイト の動き(揺動スライダクランク)の機構を教材 として用いる方針が立てられた。 2.授業状況の設定  本実験は、中等技術科教育演習の授業の一 環として行われた。以下、この授業を「授業」 と呼び、実験として行われた授業を「シミュ レーション授業」と呼ぶことにする。「シミュ レーション授業」に参加したのは、山梨大学 教育学部中学校教員養成課程技術科の学生4

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名(男子2名、女子2名)であり、いずれも 「授業」の受講者であった。実験に割り当てら れたのは、平成7年10月から11月にかけての 「授業」7回分であり、その内容は、「シミュ レーション授業」、発話プロトコル入力、発 話プロトコルとVDRによる「シミュレーショ ン授業」中の認知活動に関するモニタリング の内容の入力であった。授業回ごとの概略を 以下に記す。

7回目学生教授者が3名の学生学習者に

「シミュレーション授業」を行った。教授時 間には20分間が用意された。「シミュレーショ ン授業」のようすをVTRカメラ2台に録画 した。その際、教授者と学習者全員が映し出 されるよう留意された。録画したテープ2本 は、2台のVDRで同期して見れるようにま とめられた。 2回目授業研究演習システムの説明が実験 者(佐藤)によって行われ、教授者と学習者は 実際にVDRとパソコンを用いて発話プロト コルを分担で入力する作業を行った。 3・4回目 完成した発話プロトコルと「シ ミュレーション授業」のようすが映っている ビデオ映像(教授者と学習者の映像が同期再 生する)を再生視聴しながら、教授者と学習 者は自らの認知過程をモニターし、それを発 話プロトコルに対応させてパソコンに入力し た。 5・6回目 教授者と学習者には、自身の発 話プロトコル記録及びモニタリング結果が記 載されている資料が配付された。他の者のモ ニター結果と併せ、パソコン上にまとめる課 題が与えられた。 7回目 「シミュレーション授業」とモニタリ ング結果について、技術科の教官である実験 者のうちの一人(佐藤)がコメントを加えた。 授業時間だけでは、「シミュレーション授業」 の分析が不十分だと判断されたので、最終的 な分析結果をレポートとして提出させること にした。 IV.シミュレーション授業 1.教授者と学習者  「シミュレーション授業」には「授業」の受講 者4名がいずれも参加した。既に述べたよう に、4名のうちの1名が教授者として、残る 3名が学習者(以下、T, U, Kと略す)となっ た。教授者が、3名の学習者に授業を行うと いう形式で「シミュレーション授業」が進めら れた。 2.教授者に与えられた課題  教授者役の学生に与えられた課題は以下の 通りであった。 (ア)「形削盤の揺動スライダクランク機構」に ついての授業案の作成。 (イ)「シミュレーション授業」の授業案につい ての授業前の評価。これは、学習者の理解を 促進するという観点から工夫したと考える点 (以下、工夫した点と略す)、わかりにくいか もしれないと考える点(以下、わかりにくい かもしれない点)、をそれぞれ箇条書きで挙 げる課題であった。また、学習者の理解につ いて7段階(1:全く理解できない∼7:非常に 理解できる)で推定する評定課題も併せて行 われた(この評定課題の結果については、今 回の分析の視点からは反れるため省略する)。 (ウ)「シミュレーション授業」の実施。 (エ)事前と同一課題からなる事後評価。 (オ)「シミュレーション授業」中の認知過程を モニターし、記録する授業分析課題。 (カ)学習者の分析課題の結果と併せ、一覧表 にした分析表の閲覧。 (キ)「シミュレーション授業」の分析後評価。 事前・事後評価と同一の課題であった。 3.「シミュレーション授業」の指導案  教授者の作成した「シミュレーション授業」 の指導案は、以下に示す3つの機構部分の説 明から構成されていた。 (a)円盤上のスライダの等角速度の説明 (b)一端を固定したリンクの揺動の説明 (c)揺動スライダクランク機構の説明

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 それぞれの説明部分に対応する図を図1に 示す。さらに図2にスライダとクランクの軌 跡を示す。図2の①∼⑫の数字はそれぞれの スライダとリンクが単位時間当りに移動した 軌跡に対応している。  あらかじめ教授者は、形削盤のバイトの動 きの仕組をスライダ部分とリンク部分に分割 した。そして、それぞれの分割部分の動きに ついてVDRによりコマどりした映像を動画 化し、ビデオテープに再録した。さらにスラ イダ部分とクランク部分を組合わせた揺動ス ライダクランク機構の動きについても同様に 再録した。それを教材として用いた。このビ デオテープを提示しながら(a)から(c)まで のリンク機構を説明した。  この後、「シミュレーション授業」の授業案 について、事前評価課題を行った。なお、 「シミュレーション授業」の指導案の作成に当 たって、教授者は教授内容とその要点を整理 しておいた。また、実施に先立ち、「シミュ レーション授業」が時間内に終わるようにリ ハーサルを行った。その際、どのような質問 を誰に当てるのか、またその時の回答の予想 を行った。更に、授業の調整のための発問を 誰に指名するのかについても詳細に決めてお いた。 4.学習者に与えられた課題  学習者は、1回目の「授業」で「シミュレー ション授業」を受け、終了後に授業を評価す る課題を行った。その内容は、授業者が学習 者の理解を促進するよう工夫して肯定的な評 価ができると考える点(以下、良かった点と 略す)と改善の余地があると考える点(同、改 善の余地がある点)を列挙することであった。 「授業」の2回目以降の学習者の活動は既に述 べた通りである。 回転運動

スライダ (a)円盤上のスライダの等速度運動の説明 1ンク(てこ) 振動運動 、 ●    ’ 、 ● ス 振動運動 ンク てこ)    (c)揺動スライダクランク機構の説明

図1 3つの機構

⑩   ⑥ ⑧⑦

十’

③②

y/

図2 揺動スライダクランク機構

   のスライダとリンクの軌跡

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V.教授者の授業評価  授業案作成に当たって授業者が工夫した点、 わかりにくいかもしれない点として挙げたの は、以下の表1に示す各3点であった。併せ て、表1に授業実施後と授業分析後の上記各 3点に関する評価も表1に示す。なお、表中、 1)工夫した点と2)わかりにくいかもしれな い点の①∼③は授業実施後の授業評価および 授業分析後の授業評価の番号とそれぞれ対応 している。また、授業分析後の評価の1)工 夫した点の③の記述中、「尾ひきの軌跡」とは リンクの単位時間当りの移動距離を示したリ ンクの軌跡のことである。 W.学習者のメタ認知と授業評価 1.教授者と学習者のメタ認知 表1 教授者の授業評価 1.授業前の授業評価 2.授業実施後の授業評価 3.授業分析後の授業評価 1)工夫した点 1)工夫した点 1)工夫した点 ①VTRを使用することにより、 軌跡を動画で提示する。これによ り、動きのイメージを形成した上 で、理論的な原理を説明したこと。 ①VTRによる説明が、授業への 関心を喚起した。そのことが、教 授者の意図通りに授業の展開につ ながった。 ①VTRの使用は、よかったと考 えられる。ただし、余計な説明が あった。 ②揺動スライダクランク機構を円 盤の部分の動きとリンク部分の動 きに2分割した上で、両者を統合 するという説明をしたこと。 ②VTRを利用して、分割する説明 は成功したように思う。最初の軌跡 の説明は分かりにくかったようだが、 2度目の目盛りと移動距離の関係が 分かったのではないかと思う。 ②軌跡と目盛りを使用して、単位 時間当りの進行距離を説明しよう とした意図は評価できるが、「尾 ひきの軌跡」は誤解されやすいよ うであった。省略した方が良かっ たのではないか。 ③発問、教示に際しては専門用語 や原理的な説明を排除して、理解 しやすくしたこと。 ③学習者の顔を見た限りでは、う まく理解されたように思う。 専門用語を排除した点が、話に引 き込まれるきっかけになったので はないか。 ③もう少し、レベルを上げた方が 良かったのかもしれない。また、 よかれと思ってやった専門用語の 排除が、少々まわりくどい説明で あったようであり、伝えたい内容 を分かりやすく伝えるのは難しい と思った。 2)わかりにくいと思われる点2)わかりにくいと思われる点2)わかりにくいと思われる点 ①受容学習的な形式の授業である ため、学習者の主体的な思考活動 が期待できない。このことが、理 解を深めるのに支障となる可能性 があること。 ①事前に危惧されたほど、一方的 になることはなかった。学習者の 顔をよく見ることが、この問題の 解決する一つの手段になったよう である。 ①一方的にはならなかったが、た またま授業の流れが自然にそうなっ たのだろう。 ②視聴覚のイメージの形成は、原 理的な説明と比較し、必ずしも論 理的に理解されるものではないた め、上記の工夫した点の①の意図 とは逆に、学習者に分かりにくい 可能性が残されること。 ②冒頭の軌跡の説明で既にイメー ジがうまく作れなかったようだ。 しかし、説明を繰り返すことで、 この問題は解決されたようである。 ②(該当する記述なし) ③難解な理論や用語を排除するこ とによって、必要な理論をも排除 してしまって、分かりにくくなっ てしまう可能性があること。 ③イメージ先行の授業ではあった が、分かりにくくなるということ はなかった。ただし、最初の説明 は退屈なように見うけられた。 ③事前に予想した通りになってし まった。事前に学習者のレベルを 知っておく必要を感じた。

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 分析に用いた発話プロトコルと発話プロト コルに対応した学習者T、U、 K及び教授者 のメタ認知的モニタリングの例を表2に示す。 表2は、VDRで提示された教授一学習過程 をみながら、各自がそれぞれの場面でどのよ うな認知をしていたのかについて分析を行っ た結果を一覧表にまとめたものの一部である。  10:52:19の「Tさん、この機械の名前は何 といいましたか」という発問に対して、Tは 「そんな簡単なことを聞くな」と考えながら 「セーバー」と回答しているが、Uは「シェー バーだっけ?セーバーだっけ?」と自問自答 している。Kは「なんだっけ?どわすれをし た」とし、教授者は「絶対、これは答えられ るに違いないそ」と推定している。それぞれ の認識に差異があることが分かる。 表3 学習者の授業評価 学習者U 学習者T 学習者K 1)良かった点 1)良かった点 1)良かった点 授業後○説明だけでは分かりにくい    機構を、それぞれの部品の動    きから説明するだけではなく、    ビデオを使うことによって目    で確認できるという点がよかっ    た。    ○ビデオを使うことで興味が    持てた。

OVTRやOHPを使って、

全員がいっせいに見ることが できた。 ○やはり言葉の説明に加え、 何週間もかけて作ったビデオ での説明で分かりやすい説明 になっていた。 分析後○説明が丁寧である。    ○ビデオの使用は形削盤を思    い出させるのに役立った。    OOHPの図がわかりやすかっ    た。 ○笑顔をたやさない。 ○ビデオを用いた。 ○教材の作り方、使用方法、 ゆっくりとした説明、時間を かけただけあってしっかりと した教材になっている。使用 方法は少しとろい面もあった が、部分部分でしっかりと把 握できるようになっている。 2)改善の余地がある点 2)改善の余地がある点 2)改善の余地がある点 授業後○簡単なところも難しいとこ    ろもすべて丁寧に教えていた    ので、簡単なところではあき    てしまう。    ○授業の中で一番の山はどこ    なのかよくわからなかった。    ○それぞれビデオを動かすと    きなどについて、時間をとり    すぎた。この時間を省いたら、    発展的な内容に入ることがで    きたのではないか。 ○全部が同じような時間配分 であったので、簡単な部分は 長すぎてあきてしまい、重要 な部分は短くて物足りない感 じがした。 ○電気をつけたりけしたりが 多いので目がつかれてくる。 ○細かく切りすぎているよう に感じられる。 ○言葉づかいがわかりにくい。 ○声が小さかったかなという点。 自分もちいさいので注意しな くてはいけないが、やはり聞 き取りにくかった。 ○壁に向かって説明する部分 もみられた。やはり受講者の 方を最初から最後まで見なく てはと思う。 ○ビデオでの色の指定をもう 少し考えなくてはと思った。 もう少し明るい色を使うなど を考えなくては? 分析後○わけのわからない言葉が多    すぎる。(まあ、あの一、など)    ○ビデオの使用回数が多すぎ    るため無駄な時間が(操作に    要する場間が)多くなってし    まっている。    ○難しい部分や簡単な部分で、    説明に変化がない。 ○ビデオであれだけ詳しくやっ ているのなら、別にOHPを用 いなくともよかったのでは? ○質問がわかりにくい。 ○説明中の言葉づかいがわか ‘J‘こくし、。 ○やはり「じゃ一」「あの一」 「んで」を少なくするようにす る点。「それ」「これ」「あの」 「その」などの代名詞や接続詞 などが多いので少なくしなく てはならないのでは?

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 10:53:19でビデオを使った回転円盤の説明 に対して、Tは「簡単なことなのにこんなに 長く説明しなくていいのに」と感じ、Uも同 様に「この説明、もっと簡単に言ってもわか るよ、つまんないな」と感じている。Kは教 授者の教材ビデオを見た感想を書いている。 これに対して教授者は、T、 Uが思っている ことが外見から読み取れないのか、「うまく 分かるかな?これくらいは分かって欲しいの だが…  」と不安を感じている。このよう にT、Uの認識と教授者がT、 Uの外面から 推定した認識では隔たりがある。  10:54:09で「ここまでだいじょうぶですね、 分かりますね」という確認の発問に対して、 Uは「ばかにしとんのか」という認識をもっ たことを記述した。TもUと同様に「ばかに するな」としており、Kはこの2人の態度に 驚いている。ここでようやく教授者は、Tと Uがどう感じているのかを知った。教授者は 導入の部分から丁寧に説明しようとしていた が、Uの発言やUの態度から「やはり面白く ないだろうな」という認識をもった。そして、 その次の機構説明部分について「もうすぐ分 からなくなるぞ」と推定している。  以上のように、教授一学習過程の各場面に 即応した十分な情報が得られ、具体的な発問 や教示とそれへの反応、そしてその場面ごと の認知の状態が明らかになるので、直接的な 学習者の認知過程と教授者自身の認知過程を 対応させた授業評価が可能になる。 2.授業評価  学習者が教授者の「シミュレーション授業」 に対して行った評価の結果を表3に示す。学 習者U、T、 Kそれぞれの授業後、分析後の 結果を示してある。授業後、分析後ともにビ デオのことを記述している。 w.考 察  授業案作成時に考えられた工夫した点、わ からないかもしれない点についてその変化を 事後評価、分析後評価、および学習者の評価 を対応させながら探っていく。以下の番号は、 先の番号に対応する。 ①VTRを用い、動画的なイメージの形成を 目論んだ結果は、授業後評価、分析後評価と 一貫して肯定的な評価であった。この点に関 しては、学習者もUとTの2名が「わかりや すい」とする肯定的評価をしている。 ②教材を小ステップに分割して提示する構成 自体については、授業後評価、分析後評価の いずれでも否定していない。ただし、それぞ れの部分について、授業後評価で「スライダ の動き」にふれ、分析後評価でより具体的に 「尾引きの軌跡」が学習者に分かりにくかった ことを指摘している。  このことについて、学習者Uが「山がどこ か分からなかった」、学習者Tが「細かに区 切りすぎている」、さらにこれら両名が「簡 単な部分と難しい部分を同等に扱っているた め、前者では飽き、後者では物足りない」と している。  これらに相当する分析表の記述は、円盤回 転の説明部分など、数カ所で学習者UとTが、 説明が冗長であることを指摘している。また、 最終部分で学習者TやKが説明が速すぎるこ とを挙げている。更に、ステップの構成が細 かすぎることに関しては、学習者Tの「また、 ビデオ見るのか」といった記述が見られる。  これらの点に関しては、工夫した点③に関 連しており、授業後評価では、肯定的な評価 をしているのに対し、分析後の評価では事前 に学習者のレベルを知っておくべきだったと したように、まわりくどい説明であったこと を反省している。これについては、学習者も 「言葉遣いが分かりにくい」や「不要な言葉 が多い」ことを挙げており、分析表でも度々 このことが触れられていた。  教授者がわからないかもしれない点として、 学習者とのコミュニケーションがとりにくい ことを挙げていたが、授業後、分析後のいず

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れの評価でも肯定的であった。しかし、学習 者Kが「壁に向かって説明した部分が見られ た」ことを指摘していた。この点に関する記 述は分析表には見られなかったものである。  以上の結果を踏まえ、今回の授業評価方法 の有効性について検討してみたい。 まず、教授者の授業評価の変化である。授業 後評価では、印象として部分のわかりにくさ を指摘しているのに対し、分析後評価ではよ り具体的な部分を指摘した評価をしている。 更に、専門用語等を排除した説明が授業後評 価までは、肯定的であるのに対して、分析後 評価では冗長であることを挙げた。これらは いずれも、分析表を閲覧することによって可 能になった評定であり、こういった点で今回 の試みに一定の効果をもたらしたことを示す ものである。  ただし、学習者のメタ認知的モニタリング がどの程度の精度をもっているのか、につい ての検討は今後必要になろうし、また、年少 の学習者についても実施の可否を検討してい く必要があろう。          文献 1)森陽二郎:『「教える」過程の評価に対する メタ認知的知識の役割』,認知・体験過程, 第3号(1993)pp.95−108. 2)Tulving,E.&Thomson,D.M.:Encoding specificity  and  retrieval processes  in episodic memory. Psツchologicαl Review, 80(1973),353−373. 3)澤本和子,佐藤博,並木信明,矢巻秀寿, 立中秀樹,小林薫,川口智之:『実践的力量 形成のための授業研究演習システムの開発1一 授業ビデオ解析のためのソフト開発一』,日 本教育工学会研究報告集,JET95−4(1995) pp.15−22. 4)佐藤博,澤本和子:『実践的力量形成の ための授業研究演習システムの開発ll一技術 科教育におけるケース・スタディー』,日本 教育工学会研究…報告集,JET95−4(1995) pp.23−30. 5)佐藤博,澤本和子:『教育のためのself− refrective methodの開発』,日本教師教育学 会年報,第5号(1996)pp.129−139.

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