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中華人民共和国民法〔草案〕・物権編(3)

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(1)中華人民共和国民法〔草案〕 ・物権編(3). 市川英一. 【前注・解説】 本稿は,独立した「物権法草案」として,中国の立法機関である全国人民代 表大会常務委員会で現在審議されている「中華人民共和国民法(草案)」 年12月23日上程)の■「第2編. (2002. 物権法」の全訳である。前々回(本誌第14巻. 第1号)では[総則].および[所有権]部分を,前回(本誌第14巻2号)では [用益物権]部分を紹介したが,今回は残りの[担保物権]および[占有]部 分を紹介する。前稿で述べた通り,. 2005年6月23日に作成された第三次審議. 草案が同年7月10日に各種メディアを通じて公表されているので1),今回も同 草案との異同を注記の形で明らかにしつつ,紹介していきたい。両者を比較す. ることiこよって,審議の過程や立法の方向性が明らかになると考えるからであ る。. 中国では,.担保物権は,物権法の範時に属する法分野の中でも,比較的法整 備が進んだ領域であるといえよう。物権法総論に関する法律が欠落し,用益物 権についても規定が様々な法律・行政法規に分散されている状況にあって, 1995年に仝7章96条から成る「中華人民共和国担保法」が公布・施行され2), 2000年には,同法施行以降の裁判実践の経験を踏まえて,担保紛争案件の審 159.

(2) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月). 理に係る法適用問題の解決に資するため,中国の最高裁に相当する最高人民法 院により,. 「『中華人民共和国担保法』に係る若干の問題の適用に関する解釈」. (仝7章134条). 3)が公布・施行されているからである4)。そしてそのような法. 整備を促したのは,. 1970年代末の改革開放政策を起点とする一連の経済体制. 改革による市場経済の進展である。 改革開放以降,重要な生産手段である土地の「使用権」の外資企業-の払い 下げが開始されて将来の有償譲渡化に道が開かれ,■. 1988年の憲法改正および. それに伴う一連の立法によって土地使用権の譲渡,担保権設定が認められるよ うになると(本誌第14巻第2号の【前注・解説】参照),担保物権に関する制 度構築および立法に対する要望が高まった。 さらに,近年,都市部住民の可処分所得の向上と住宅ローンの整備に伴うマ ンション購入ブームや,これまで"単位". 5)Lから無償で住宅が供与されていた. 態勢を改めて,一定の補助の下にローンを組ませて住宅購入を強制する政府主 導による「持ち家政策」を背景に,担保物権法制の整備や研究に対する需要は ますます大きくなっている。 第三次審議草案には,集合動産抵当,転質,根質等の規定も設けられており (〔注3〕〔注5〕参照),そのような制度を必要とするほどに,中国の経済が成 熟しつつあることを窺わせている。 占有(権)については,南京師範大学法学院撞荊専任講師のお話によれば, 中国ではかつて占有は「所有権」の-内容を表すものとして理解されていたが (これは,取得時効を認めない旧ソビエト民法を1950年代の中国民法典草案が 継受した影響もあったように思われる),現在では所有権とは別個独立の物権 を生ぜしめる法律要件と捉えることにつき異論はなく,物権法草案の学者起草 私案の段階から独立の辛が設けられて,規定が置かれている。 なお,. _「中華人民共和国担保法」は物的担保のみならず人的担保である「保 証」をも含むものであったが,その後1999年に「ヰ華人民共和国契約法」が 制定されて「保証契約」の項目が設けられたことに伴い, 160. 「中華人民共和国民.

(3) 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編(3). 法」では「保証」は第3編の「契約法」で規定されている。 付言すれば,物権法草案は本年3月開催の全国人民代表大会で採択されるこ とが有力視されていたが,本年度の重要立法計画には組み込まれたものの,昨 年に引き続き,再び採択が見送られ,継続審議に付された。その深層には,国 有資産の流出に対する危機感を背景に,物権法は国有資産保護に力点を置いて 公法的に構成されることを主張する公法学者を中心とする勢力と,地方政府に よる不法な土地収用等の権利侵害への危機感を背景に,物権法は,民法典の重 要な一翼を担うものとして,あくまで市民の権利保護に重点を置く私法として 構成されることを主張する私法学者を中心とする勢力との,せめぎあいが見ら れる6)。. (2006年7月7日脱稿). 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編7). (2002年10月全国人民代表大会常務委員会法制工作委員会起草). (目. 次). [総. 則]. 第1章. 一般規定. 第2章. 物権の設定,変更,譲渡及び消滅. 第1節. 不動産登記. 第2節. 動産の引渡し. 第3節. その他の規定. 第3章. 物権の保護 [所有権]. 第4章. 一般規定. 第5章. 国家所有権 161.

(4) 横浜国際経済法学第15巻第1号■(2006年9月). 第6章. 集団所有権. 第7章. 個人所有権. 第8章. 建物区分所有権. 第9章. 相隣関係. 第10章. 共. 第11章. 所有権取得に関する特別規定(以上第14巻第1号). 有. [用益物権] 第12章. 一般規定. 第13章. 土地請負経営権. 第14章. 建設用地使用権. 第15章. 宅地利用権. 第16章. 隣地使用権. 第17章. 典. 第18章. 居住権. 第19章. 試掘権・採掘権. 第20章. 取水権. 第21章. 漁業権. 権. (以上第14巻第2号) [担保物権]. 第22章. 一般規定. 第23章. 抵当権. 第1節. 普通抵当権8). 第2節. 根抵当権. 第24章. 質. 権. 第1節. 動産質. 第2節. 権利質. 第25章. 留置権. 第26章. 譲渡担保権 [占. 162. 有]. (以下本号).

(5) 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編(3). [担保物権]. 第22章. 一般規定9). 第235条(担保権の設定・担保の種類). 1債権者は,消費貸借,売買,貨物運送,加工請負等の経済活動において, 担保に.′より自らの債権実現を保障することを要するときは,本法その他の法律 に基づき,担保権を設定することができる。 2. 本法に定める担保権は,抵当権,質権,留置権及び譲渡担保権である。. 第236条(被担保債権の範囲) 担保物権により担保される債権の範囲には,主たる債権並びに利息,違約金,. 損害賠償金及び物権実現に要する費用が含まれる。なお,担保契約に別段の約 定がある場合は,.その約定に従う。 第237条(復担保) 1第三者を債務者として債権者に担保を提供するときは,債務者に復担保 の提供を要求することができる。 2. 復担保には,本法の担保の定めが適用される。. 第238条(担保契約の付従性・担保契約無効の効果) 1担保契約は,主たる契約に付従する契約であり,主たる契約が無効なと きは,従たる契約も無効となる。但し,担保契約に別段の約定がある場合は, その約定に従う・。 2. 担保契約の無効確認がなされた琴合において,債務者,担保権者及び債. 権者に故意・過失があるときは,それぞれの故意・過失の程度に応じて,各自 が応分の民事責任を負わなければならない。 第239条(優先弁済的効力). 担保物の穀損・滅失又は収用等に際して,権利者は,当該担保物に係る保険 金,賠償金,補償金等から,優先的に弁済を受けることができる。被担保債権 163.

(6) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月). の弁済期が到来していないときは,権利者は,当該担保物に係る保険金,賠償 金,補償金等の供託を請求することができる。. 第23章. 第1節. 抵当権. 普通抵当権10). 第240条(抵当・抵当物の意義,優先弁済権) 1本法にいう抵当とは,債務者又は第三者が,財産の占有を移転すること なく,当該財産を債権の担保とすることである。債務者が債務を履行しないと き,債権者は,本法の定めに従い,当該財産を換価して,又は当該財産の競売 若しくは換金により得られた代金より,優先的に弁済を受ける権利を有する。 2. 前項に定める債務者又は第三者を抵当権設走者とし,債権者を抵当権者. とし,担保として提倶される財産を抵当物とする。 第241条(抵当権設定可能な財産) 1以下の財産は,これを抵当に入れることができる。 (1)抵当権設走者が所有する住宅その他地上の定着物 (2)抵当権設定者が所有する機器,交通運輸用具その他の財産 (3)抵当権設走者が法の定めるところにより処分権を有する国有土地使用 権,住宅その他地上の定着物 (4)抵当権設走者が法の定めるところにより処分権を有する国有機器,交 通運輸用具その他の財産. (5)抵当権設定者が法の定めるところにより請負経営し,かつ抵当に入れ ることにつき集団経済組織1‡)の同意を得た荒れた山,谷間,丘,砂浜 等の荒地の土地使用権 (6)その他法の定めるところにより抵当に入れることができる財産 2 164. 抵当権者設走者は,前項記載の財産を一括して,これを抵当に入れるこ.

(7) 中華人民共和国民法〔草案〕. とができる。. ・物権編(3). .. 第242条(被担保債権の限度) 1抵当権設走者の被担保債権は,自らの抵当物の価値を超えることはでき ない。 2. 財産が抵当に入れられた後,当該財産の価値が被担保債権の残高を上回. るときは,再度これを抵当に入れることができる。p但し,その残高を超えるこ とはできない。. 第243条(不可分性) 1法の定めるところにより取得した国有土地上の住宅が抵当に入れられる. とき,当該建物が占用する範囲内の国有土地使用権も,同時に抵当に入れられ る。権利創設により取得した国有土地使用権が抵当に入れられるときは,抵当 権設定時の当該国有土地上の住宅も,同時に抵当に入れられなければならな い。. 2. 郷_(鎮). ・村営企業の土地使用権は,これを単独で抵当に入れることが. できない。郷(鎮). ・村営企業の工場建屋等の建物が抵当に入れられるときは,. それが占用する範囲内の土地使用権も同時に抵当に入れられる。 第244条(抵当権設定登記) 当事者の合意により建設を要する又は現在建設中の建物その他価値が比較的 大きい財産に抵当権が設定されるときは,本法の定めに従い,予告登記がなさ れなければならない。予告登記された当該建物その他価値が比較的大きい財産 は,完工後合理的な期間内に,正式な登記がなされなければならない。 第245条(抵当権設定禁止財産) 以下の財産は,これを抵当に入れることができない。 (1)土地所有権 (2)耕地,敷地,自留地,自留山12)等の集団が所有する土地使用権。但し, 本法第241条第(5)号及び第243条第3項に定めるものについては, この限りではない。 165㌔.

(8) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月). (3)学校,幼稚園,痛院等公益を目的とする事業単位又は社会団体か設置 する教育施設,医療衛生施設その他の社会公益施設. (4)所有権若しくは使用権が不明な財産又は係争中の財産 (5)法の定めるところにより差し押さえられ,押収され又は監督管理され ている財産 (6)その他法の定めるところにより抵当に入れることが禁じられている財 産. 第246条(抵当権設定契約) 抵当権設走者と抵当権者は,書面により抵当権設定契約を締結しなければな らない。. 第247条(抵当権設定契約の必要的記載項目) 1抵当権設定契約には,以下の項目が含まれなければならない。. (1)担保される主たる債権の種類及び金額 (2)債務者の債務履行期 (3)抵当物の名称,数量,品質,状況,所在地,所有権の帰属又は使用権 の帰属 (4)抵当権により担保される範囲 (5)その他当事者が約定を要すると判断する事項 2. 抵当権設定契約が前項所定の項目を完備していないときは,これを補正. することができる。. 第248条(流抵当の禁止) 抵当権者および抵当権設走者は,抵当権設定契約の締結に際し,契約の中で, 債務の履行期満了時に抵当権設走者が債務を弁済しないときは抵 当物の所有権 が債権者に移転する旨を,約定することはできない。 第249条(必要的抵当権設定登記) 当事者は,以下の財産を抵当に入れるときは,関係部門において抵当権設定 登記をしなければならない。 166.

(9) 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編(3). (1)地上に定着していない物の土地使用権。この場合の関係部門は,土地 使用権証を発給した土地管理部門である。 (2)都市の不動産又は郷(鎮). ・村営企業の工場建屋等の建物。この場合. の関係部門は,県レベル以上の人民政府所定の部門であ.る。 (3)立木。この場合の関係部門は,県レベル以上の立木の所管部門である。 (4)航空機,船舶及び車両。この場合の関係部門は,運送用具の登記部門 である。. (5)企業の設備その他の動産。この場合の関係部門は,財産所在地の工商 行政管理部門である。 第250条(任意的抵当権設定登記) 当事者は,前条所定の財産以外の財産を抵当に入れ_るときは,自らの意思に より抵当権設定登記をすることができる。この場合の登記部門は,抵当権設走 者の所在地を管轄する公証部門である。 第251条(登記申請提出書類) 抵当権設定登記の申請に際しては,以下の書類又はその副本が登記部門に提 出されなければならない。. (1)主たる契約及び抵当権設定契約の書面 (2)抵当物の所有権証又は使用権証 第252条(抵当権の効力発生時期). 不動産が抵当に入れられるとき,抵当権は登記簿に記載された時から効力が 生じる。動産が抵当に入れられるとき,抵当権は抵当権設定契約が成立した時 に効力が生じる。但し,未登記の場合は,第三者に対抗することができない。 但し,法律に別段の定めがある場合は,その定めに従う。 第253条(登記資料の閲覧等). 登記部門やゞ登記した資料については,閲覧,筆写又は複写が許可されなけれ ばならない。. 第254条(抵当物の果実) 167.

(10) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月). 1債務の履行期が到来した場合において,債務者が債務を履行しないため 抵当物が法の定めるところにより人民法院により差し押さえられるとき,差押 えの日より,抵当権者は,抵当物から分離した天然果実及び抵当権設走者が抵 当物につき受け取ることができる法定果実を,受け取る権利を有する。抵当権 設定者が抵当物が差押えられた事実を法定果実の弁済を要する義務者に通知.し なかったときは,抵当権の効力は当該果実に及ばない。 2. 前項の果実は,まず果実の受取費用に充当されなければならない。. 第255条(賃貸財産に対する抵当権設定) 抵当権設走者は,すでに賃貸されている財産を抵当に入れるときは,書面に より賃借人に.これを告知しなければならない。この場合においても,原賃貸借 契約は引き続き有効である。. 第256条(抵当物の譲渡) 1抵当権設走者は,抵当権設定期間中に登記済抵当物を他に譲渡するとき は,抵当権者にこれを通知し,かつ譲渡物がすでに抵当に入れられている事実 を譲受人に告知しなければならない。抵当権設定者が抵当権者に通知しないと き又は譲受人に告知しないときは,当該譲渡は無効である。 2. 抵当物の譲渡価格がその価値より明らかに低いとき,抵当権者は,抵当. 権設定者に応分の担保の提供を要求することができる。抵当権設走者が担保を 提倹しないときは,抵当物を譲渡することはできない。 3. 抵当物の譲渡により取得する代金については,抵当権設定者は,被担保. 債権につき期間満了前に抵当権者にこれを弁済し,又は抵当権者と約定した第 三者にこれを供託しなければならない。債権額を超える部分については,抵当 権設走者に帰属する。不足部分については,債務者がこれを弁済する。 第257条(抵当権の付従性) 抵当権は,債権から切り離して単独でこれを譲渡すること,または他の債権 の担保とすることはできない。. 第258条(抵当物の価値の減少) 168.

(11) 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編(3). 1抵当権設定者の行為により抵当物の価値が減少するとき,抵当権者は, 抵当権設走者が当該行為を停止することを要求する権利を有する。抵当物の価 値が減少したときは,抵当権者は,抵当権設走者が抵当物の価値を回復するこ と,又は価値の減少分に相当する担保を提供することを要求する権利を有す る。 2. 抵当物の価値の減少につき抵当権設定者に故意・過失がないとき,抵当. 権者は,抵当権設定者が当該損害により取得する賠償金の範囲内で,担保の提 供を要求することができるのみである。抵当物の価値が減少していない部分に ついては,引き続き債権の担保とされる。 第259条(抵当権の随伴性). 債権が譲渡されるとき,当該債権を担保する抵当権もそれに従い譲渡される。 但し,当事者に別段の約定がある場合は,この限りではない。 第260条(抵当権の放棄,抵当権順位の譲渡・放棄) 1抵当権者は,抵当権の放棄又は抵当権の順位の譲渡若しくは放棄をする ことができる。 2. 抵当権者が抵当権の放棄又は抵当権の順位を譲渡若しくは放棄をする場. 合において,当該抵当権に担保されている債権に別途保証が付されているとき は,保証人は,一抵当権者が喪失した優先弁済を受ける利益の範囲内で,保証責. 任を免除される。但し,保証人が抵当権者による抵当権の放棄又は抵当権順位 の譲渡若しくは放棄に同意する場合は,この限りではない。 第261条(抵当権の消滅) 抵当権と被担保債権が同時に存在するときは,債権が消滅すると抵当権も消 滅する。. 第262条(抵当物の換価,競売・転売) 1抵当権者は,債務の履行期が到来レても債務の弁済を受けないときは, 抵当権設定者と協議の上,これを換価し又は当該抵当物を競売若しくは転売し て得られた代金から弁済を受けることができる。協議が不調に終わるときは, 169.

(12) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月). 抵当権者は人民法院に提訴することができる。 2. 抵当物が換価され又は競売若しくは転売された後,その代金が債権額を. 超える部分については,抵当権設走者に帰属する。不足する部分については, 債務者がこれを弁済する。 第263条(複数の債権者のための抵当権設定) 同一の財産が二人以上の債権者のため抵当に入れられるとき,抵当物の競売 又は転売により取得される代金については,以下の定めに従いこれを弁済す る。. (1)抵当権設定登記が効力を生じているときは,抵当権設定登記の順序の 前後により,これを弁済する。同一順位のときは,債権の割合に応じ てこれを弁済する。. (2)抵当権設定契約成立時より抵当権が効力を生じている場合において, 当該抵当物が登記済みのときは,本条第(1)号の定めにより,これを 弁済する。未登記のときは,契約の発効時期の前後により,これを弁 済する。同一順位のときは,債権の割合に応じて,これを弁済する。 抵当物が登記済みのときは,未登記のものより優先してこれを弁済す る。. 第264条(抵当権設走者破産の効果) 債権の弁済期が到来してない場合において,抵当権設走者が破産宣告を受け たときは,抵当権者は抵当権を行使することができる。. 窮265条(都市不動産・農村土地使用権に対する抵当権実行) 1都市の不動産に係る抵当権設定契約が締結された後に土地に新築された 住宅は,抵当物に含まれない。抵当に入れられた不動産の競売を要するときは, 法の定めるところにより,当該土地上に新築された住宅と抵当物を一括して競 売することができる。但し;新築された住宅の競売により取得される代金につ いては,抵当権者は優先弁済を受ける権利を有しない。 2 170. 本法の定めに従い,請負経営された荒れ地の土地使用権が抵当に入れら.

(13) 中華人民共和国民法〔草案〕. れる場合,又は郷(鋲). ・物権編(3). ・村営企業の工場建屋等の建物が占用する範囲内の土. 地使用権が抵当に入れられる場合において,抵当権が実現された後は,法定の 手続きを経ることなく,土地所有の帰属主体(集団)又は土地の用途が変更さ れてはならない。. 第266条(割当国有土地使用権13)の競売) 割当国有土地使用権の競売により取得される代金については,法の定めると. ころにより納付を要する土地使用権設定料に相当する金額が納付された後に, 抵当権者は優先弁済を受ける権利を有する。 第267条(抵当権設走者と債権者との悪意通謀) 債務者に複数の債権者がいる場合において,債務者とそのうちのいずれかの 債権者が悪意で通謀し,財産のすべて又はその一部につきその債権者のために. 抵当権を硬志したため,他の債権者の合法的な権利・利益に損害を及ぼしたと きは,他の債権者は,当該抵当権設定の取消しを人民法院に請求することがで きる。. 第268条(複数の抵当物による債権担保) 二つ以上の抵当物により同一債権が担保されるとき,抵当権者は,そのうち の一つ又はすべてについて,抵当権を行使することができる。但し,当事者に 別段の約定がある場合は,この限りではない。 第269条(抵当権設定者の求償権) 債務者のために担保を提供して抵当に入れる第三者は,抵当権者が抵当権を 実現した後,債務者に求償する権利を有する。 第270条(抵当権の消滅). 抵当権は,抵当物の滅失により哨滅する。抵当物の滅失により取得される賠 償金は,抵当財産とされなければならない。. 171.

(14) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月). 第2節. 根抵当権14). 第271条(根抵当の定義) 本法にいう根抵当とは,抵当権設定者と抵当権者の合意により,債権の極度 額の範囲内で,抵当物をもって,一定の期間内継続して発生する債権の担保と することである。. 第272条(根抵当権設定契約を付することができる契約) 1消費貸借契約には,根抵当権設定契約を付することができる。 2. 債権者および債務者は,特定の商品につき,一定の期間内継続して行わ. れる取引について締結される契約において,根抵当権設定契約を付することが できる。.. 第273条(根抵当により担保される主たる契約債権譲渡の禁止) 根抵当により担保される主たる契約債権は,これを譲渡することができな い。. 第274条(根抵当により担保される極度額等の変更) 根抵当により担保される債権の元本が確定されるまで,債権者および抵当権 設定者は,債務者,根抵当により担保される債権の範囲及び担保される債権の 極度額の変更について,合意することができる。債権者および抵当権設走者は, 担保される極度額の変更を合意するときは,後順位の抵当権者に対抗すること ができない。. 第275条(元本の確定) 根抵当により担保される債権の元本は,以下の場合に確定される。. (1)根抵当権設定契約に約定された担保期間が満了したとき。 (2)根抵当権設定契約に担保期間の約定がない場合において,抵当権設走 者が当該契約成立の日から3年を経た後に,根抵当により担保される 債権の元本確定請求の権利行使を行い,かつ当該請求が行われた日か ら10日を過ぎたとき。 172.

(15) 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編(3). (3)抵当権者が訴訟により抵当権を行使したとき,又は抵当物が差し押さ えられたとき。. (4)債務者又は抵当権設定者が破産宣告を受けたとき。. (5)不特定の被担保債権がもはや発生する可能性が消滅したとき。 第276条(元本確定後の根抵当権行使) 根抵当により担保される債権の元本が確定した後,根抵当権者は根抵当権を 行使することができる。確定された債権の元本が約定された極度額を上回ると き,超過部分については優先弁済的効力を有しない。確定された債権の元本が 約定された極度額を下回るとき,抵当権者は確定した債権の元本につき,優先 的に弁済を受ける。 第277条■ (普通抵当規定の準用) 本節に定めがないときは,本法の普通抵当権に関する定めが適用される。. 第24章. 第1節. 質権. 動産質15). 第278条(動産質の定義) 1本法にいう動産質とは,債務者又は第三者が自らの動産の占有を債権者 に移転して,当該動産を債権の担保とすることである。債務者が債務を履行し ないとき,債権者は,本法の定めに従い,当該動産を換価して又はこれを競売 若しくは転売して得られた代金から,優先的に弁済を受ける権利を有する。 2. 前項に定める債務者又は第三者が質権設走者であり,債権者が質権者で. あり,占有が移転される動産が質物である。 第279条(質権設定契約) 1質権設走者および質権者は,書面により質権設定契約を締結しなければ ならない。 173.

(16) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月) 2. 質権設定契約には,以下の項目が含まれなければならない。 (1)担保される主たる債権の種類及び金額 (2)債務者の債務履行期. (3)蛮物の名称,数量,品質及び状況 (4)質により担保される範囲 (5)質物の占有移転時期 (6)その他当事者が約定しなければならないと判断する事項 3. 質権設定契約が前項所定の項目を完備していないときは,これを補正す. ることができる。. 第280条(流質契約の禁止). 質権設走者および質権者は,契約の中で,債務履行期到束後も質権者が債務 の弁済を受けないときは,質物の所有権は質権者に移転することを約定するこ とはできない。. 第281条(質権の成立時期・設定者による代理占有の禁止) 質権は,質権設走者が質物の占有を質権者に移転した時に,効力を生じる。 当事者は,質権設定契約の中で,質権設定者が質権者に代わって質物を占有す ることを約定することはできない。. 第282条(果実の収取) 1質権者は,質物から発生する果実を収取する権利を有する。但し,質権 設定契約に別段の約定がある場合は,その約定に従う。 2. 前項所定の果実は,まず果実受取費用に充当されなければならない。. 第283条(質物の使用・処分の禁止) 質権者は,質権設定期間中,質物を使用し又はこれを処分することはできな い。但し,法律に別段の定め又は当事者に別段の約定がある場合は,この限り. ではない。. 第284条(質物保管義務) 1質権者は,質物を適切に保管する義務を負う。保管が不適切であったた 174.

(17) 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編(3). めに質物が滅失し又は穀損するとき,質権者は民事責任を負わなければならな い。. 2. 質権者が質物を適切に保管できないため,質物が滅失又は敦損する恐れ. があるときは,質権設走者は,質権者が質物を供託すること又は履行期前に債 務を弁済して質物を返還することを,要求することができる。. 第285条(質物の損壊・明白な価値減少の可能性がある場合の取り扱い) ・一質物が損壊又はその価値が明らかに減少する恐れがあるため,質権者の権利 を危険にさらす可能性が高いときは,質権者は,質権設走者が応分の担保を提 供することを要求することができる。質権設走者が担保を提供しないときは, 質権者は,質物を競売又は転売し,かつ質権設走者と合意の上競売又は転売に より取得した代金を被担保債権の期限前弁済に使用すること又は質権設走者と 約定した第三者に供託することを,合意することができる。 第286条(質権の消滅) 質権者が質権設定期間中に質物を返還するとき,当該質権は消滅する。 第287条(質権の放棄) 質権者は質権を放棄することができる。質権者が質権を放棄する場合におい て,.その質権に担保されている債権に別途保証が付されているときは,保証人. は,質権者が優先弁済を受ける利益を喪失した範囲内において,保証責任を免 除される。但し,保証人が質権者による質権の放棄に同意した場合は,この限 りではない。 第288条(質物の返還・質権の実行) 1債務の履行期間が満了して債務者が債務を履行するとき,又は質権設走 者が履行期前に被担保債権を弁済するときは,質権者は質物を返還しなければ ならない。 2. 質権者は,債務の履行期間満了後も債務の弁済を受けないときは,質物. の換価,および法の定めるところによる質物の競売又は転売について,質権設 走者と合意することができる。 175.

(18) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月) 3. 質物が換価され又は競売若しくは転売された後,そめ代金が債権額を超. えている部分については質権設走者に帰属する。不足している部分については, 債務者がこれを弁済する。 第289条(質権者の権利不行使の効果) 質権設走者が債務履行期間満了前又は履行期間満了後に質権者に遅滞のない 権利行使を請求したにもかかわらず,質権者が権利行使を怠ったため被った損 害については,質権者が負担する。 第290条(質権設走者の求償権) 債務者のために質に出して担保を提供する第三者は,質権者が質権・・を実現し た後,債務者に求償する権利を有する。 第291条(質権の消滅) 質権は質物の滅失により消滅する。滅失により取得される賠償金については, 質財産とされなければならない。 第292条(質権の付従性) 質権と被担保債権が同時に存在する七きは,債権が消滅すれば質権も消滅す る。. 第2節. 権利質16). 第293条(質入可能な権利) 以下の権利は,これを質入することができる。 (1)為替手形,小切手,約束手形,債券,預金通帳,倉人伝票,貨物引換 証 (2)法の定めるところにより譲渡可能な株式及び株券 (3)法の定めるところにより譲渡可能な商標専用権,特許権及び著作権中 の財産権 (4)道路,橋梁,トンネル,渡し場等の不動産収益権 176.

(19) 中華人民共和国民法〔草案〕 ㌧、. ・物権編(3). -(5)その他法の定めるところにより質入することができる権利 第294条(質権の発効時期) 為替手形,小切手,約束手形,債券,預金通帳,倉人伝票又は貨物引換証が 質入されるときは,契約に約定された期間内に,権利証凌が質権者に引き渡さ れなければならない。質権は,当該権利証凌が質権者に引き渡された時に,効 力が生じる。 第295条(質入証債権利行便期日が債務の履行期に先んじる場合の取り扱 い) 現金引換期日又は荷物引取期日が明記されている為替手形,小切手,約束手 形,債券,預金通帳,倉人伝票又は貨物引換証が質入される場合において,こ れらの証潰の現金引換期日又は荷物引取期日が債務の履行期に先んじるとき は,質権者は,債務の履行期間満了前に現金の引き換え又は荷物の引取りを行 い,かつ現金に引き換えた代金又は引き取った貨物を被担保債権の履行期前の 弁済に使用すること又は質権者と約定した第三者に供託することを,質権設定 者と合意することができる。 第296条(譲渡可能な株式・株券の質入) 1法の定めるところにより譲渡可能な株式が質入されるときは,質権設定 者および質権者は,書面により契約を締結しなければならない。上場会社の株. 式が質入されるときは,質椎は,証券登記機関が質棒の設定登記を行った時に, 効力が生じる。非上場会社の株式が質入されるときは,質椎は,株式の質権設 定が株主名簿に記載された時に,効力が生じる。 2. I. 株券が質入された後は,これを譲渡することはできない。但し,質権設. 走者および質権者が協議の上合意すれば,これを譲渡することができる。質権 設走者が株券譲渡により取得した代金については,被担保債権について履行期 前に質権者に弁済され,又は質権者と約定した第三者に供託されなければなら ない。. 第297条(譲渡可能な知的財産権の質入) 177.

(20) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月). 法の定めるところにより譲渡可能な商標専用権,又は特許権若しくは著作権 中の財産権が質入されるときは,質権設定者および質権者は,書面により契約 を締結しなければならない。質権は,関係する管理部門が質権設定登記を行っ た時に,効力が生じる。 第298条(質入された権利の他人への譲渡・使用許可) 前条の定めにより権利が質入された後は,質権設走者は,これを譲渡し,又 は他人がこれを使用することを許可することはできない。但し,質権設定者お よび質権者が協議の上合意すれば,これを譲渡し又は他人がこれを使用するこ とを許可することができる。質権設走者が取得したロイヤルティ又はライセン ス実施料については,質権者への期限前の被担保債権の弁済に使用され,又は 質権者と約定した第三者に供託されなければならない。 第299条(道路等の不動産収益権の質入) 道路,橋梁,トンネル,渡し口等の不動産収益権が質入されるときは,当該 不動産の所在地を管轄する県レベル以上の交通所管部門において,登記がなさ れなければならない。. 第300条(他の関連規定の準用) 権利質には,本節の規定が適用されるほか,本法の他の関連税走が準用され る。. 第25章. 留置権17). 第301条(留置権の定義) 本法にいう留置権とは,債権者が合法的に債務者の動産を占有し,債務者が 債務を履行しないときには,債権者は当該財産を留置し,当該財産を換価し,. 又は競売若しくは転売することにより取得された代金から優先的に弁済を受け る権利のことである。 第302条(留置権の被担保債権・留置禁止物) 178.

(21) 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編(3). 1寄託契約,運送契約又は加工請負契約から生じる債権について,債務者 が債務を履行しないときは,債権者は留置権を有する。 2. その他法律の定めにより留置することができる契約については,前項の. 定めが準用される。 3. 当事者は,契約の中で,留置が禁止される物について,約定することが. できる。. 第303条(債務者が弁済能力を喪失した場合の留置権の帰趨) 債務の弁済期が満了する前に債務者が弁済能力を喪失したとき,債権者は, 合法的に占有している債務者の動産について,当該財産を留置する権利を有す る。. 第304条(留置物の価値と債務額の一致) 留置財産が分割可能な物であるときは,留置物の価値は債務額に相当するも のでなければならない。. 第305条(保管義務). 留置権者は,留置物を適切に保管する義務を有する。保管が不適切であった ため留置物が滅失し又は段損するときは,留置権者は民事責任を負わなければ ならない。. 第306・条(果衰の収取) 留置権者は,留置物の果実を収取する権利を有する。 第307条(留置期間) 債権者および債務者は,契約の中で,債権者が債務者の財産を留置した後, 債務者は2カ月を下回らない期間内に債務の弁済を要することを約定しなけれ ばならない。債権者および債務者が契約の中で約定しないときは,債権者は, 債務者の財産を留置した後,. 2カ月以上の期間を定めて,債務者が当該期間内. に債務を弁済することを通知しなければならない。債務者が弁済期を過ぎた後 も債務を弁済しないときは,債権者は,留置物を換価すること,及び法の定め るところによりこれを競売し又は転売することについて,債務者と合意するこ 179.

(22) 横浜国際経済法学第15畢第1号(2006年9月) とができる。. 第308条(留置物の換価等による代金と債権額の差額分の帰属) 留置物が換価され,又は競売若しくは転売された後,その代金が債権額を超 える部分については,債務者に帰属する。不足部分については,債務者がこれ を弁済する。 第309条(留置権の消滅) 債権が消滅したとき,又は債務者が別途担保を提供しかつ債権者がこれを受 け取ったときは,当該留置権は消滅する。 第310条(留置権と質権・抵当権の優劣) 質権又は抵当権が設定されている物が留置されたときは,行使される留置権 は質権又は抵当権に優先する。但し,法律に別段の定めがある場合は,この.限 りではない。. 第26章. 譲渡担保権18). 第311条(譲渡担保の意義) 譲渡担保とは,債権の実現を担保するため,債務者又は第三者の財産を債権 者に譲渡し,債務が履行された後は,債権者は当該財産を債務者又は第三者に 返還しなければならず,債務が履行されないときは,債権者は当該財産から優 先的に弁済を受ける権利を有することをいう。 第312条(譲渡担保契約) 当事者は,譲渡担保契約を締結するときは,書面によらなければならない。 第313条(譲渡担保権の発効時期) 動産をもって譲渡担保の目的物とするとき,譲渡担保権は,当該動産上に譲 渡担保の標識が付された時に,効力が生じる。不動産又は権利をもって譲渡担 保の目的物とするときは,譲渡担保権の設定は,本法の不動産抵当権及び権利 質に関する定めが準用される。 180.

(23) 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編(3). 第314条(譲渡担保物の収益権) 譲渡担保権設定期間中は,担保物の占有者が当該担保物を収益する権利を有 する。但し,当事者に別段の約定がある場合は,この限りではない。. 第315条(譲渡担保物の処分の禁止) 、譲渡担保権設定期間中は,担保物の占有者及び譲渡担保権者は,当該担保物 を処分することができない。但し,当事者に別段の約定がある場合は,この限 りではない。. 第316条(譲渡担保権者の異義提出権) 譲渡担保権設定期間中に担保物が差し押さえられ又は押収されるとき,譲渡 担保権者はこれに異議を述べる権利を有する。 第317条(譲渡担保物の占有者・譲渡担保権者破産の場合の担保物の帰趨) 1譲渡担保権設定期間中に担保物の占有者が破産する場合において,担保 物の占有者が弁済期前に債務を弁済したときは,当該担保物は破産財産を構成 する。担保物の占有者が債務を弁済しないときは,譲渡担保権者は,当該担保 物から優先的に弁済を受ける権利を有する。 2. 譲渡担保権設定期間中に譲渡担保権者が破産する場合において,担保吻. の占有者が弁済期前に債務を弁済したときは,譲渡担保権は消滅する。担保物 の占有者が債務を弁済しないときは,当該担保物は破産財産を構成する。. 第318条(譲渡担保権者の優先弁済を受ける権利) 債務の弁済期満了後も債務者が債務を弁済しないとき,譲渡担保権者は,約 定された方法により,優先的に弁済を受ける権利を行使することができる。優 先弁済の方法につき約定がなく又は約定が不明確なときは,譲渡担保権者は, 合理的に優先弁済を受ける権利を行使しなければならない。. 181.

(24) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月). [占有]. 19). 一第319条(占有の定義) 本法にいう占有には,債権関係に基づく占有及び無権限による占有が含まれ, 占有者が不動産又は動産を実際に管理しこれを支配することである。 第320条(債権関係に基づく占有) 債権関係に基づく占有の場合における不動産又は動産の使用,収益,紛争解 決方法等については,法律の定め又は契約の約定に従う。 第321条(無権限による占有) 無権限による占有には,善意による占有と悪意による占有が含まれる。. 第322条(善意の占有者の使用収益権) 善意の占有者は,占有不動産又は動産を使用しこれを収益することができる。 当該不動産又は動産がその使用により損害を受ける場合においても,善意の占 有者は損害賠償責任を負わない。 第323条(占有不動産・動産の返還) 不動産又は動産が善意の占有者により占有されているとき,占有物の権利者 は,善意の占有者に原物の返還を請求することができる。善意の占有者は,当. 該不動産又は動産を適切に保管するために支出した費用から占有期間中に取得 した収益を控除した差額の返還を,権利者に請求する権利を有する。 第324条(占有不動産・動産が穀損・滅失した場合の取り扱い) 占有されている不動産又は動産が段損又は減失する場合において,当該不動 産又は動産の権利者が賠償請求をするときは,善意の占有者は,敦損又は滅失 により取得した収益を権利者に返還しなければならない。 第325条(占有不動産等の権利者の悪意占有者に対する原物返還請求権) 不動産又は動産が悪意の占有者により占有されているとき,占有物の権利者 は,悪意の占有者に対し,原物及びその果実の返還を請求することができる。 但し,当該不動産又は動産を適切に保管するために支出された費用については, 182.

(25) 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編(3). 悪意の占有者に支払われなければならない。 第326条(悪意占有者の損害賠償義務) 占有されている不動産又は動産が敦損又は滅失する場合において,当該不動 産又は動産の権利者から賠償請求を受けたとき,悪意の占有者は,自らの故 意・過失により生じた当該不動産又は動産の敦損又は滅失について,損害賠償 責任を負わなければならない。 第327条(所有権者の推定) 不動産又は動産の所有権者が不明なとき,当該不動産又は動産を占有する占 有者を所有権者と推定する。 t. 第328条(善意占有の推定) 占有者の占有が善意によるものなのか悪意によるものなのか不明なときは, 善意による占有と推定する。 第329条(占有者の占有物返還・妨害排除請求権,消滅時効) 1占有不動産又は動産が侵奪されるとき,占有者は占有物の返還を請求す る権利を有する。占有が妨害されるときは,占有者は妨害排除を請求する権利. を有する。侵奪又は妨害により損害を受けるときは,占有考は損害賠償を請求 する権利を有する。 2. 前項所定の請求権が侵奪又は妨害が行われた日から1年以内に行使され. ないとき,当該請求権は消滅する20)。. 1)その後第四次審議草案が作成され,本年6月6日にも新たに修正草案が作成されている。後 者の評釈として,梁慧星「対物権法草案(2006年6月6日修改稿)的修改意見」 (www.iolaw.org.cn/showarticle.asp?id-1862). o. 2)邦訳は多いが,信頼性の高いものとして,森川伸吾「中国における担保法の制定」国際商事 法務第23巻第10号-第11号(1996年)所収 3)邦訳として,森川伸吾「逐条解説. 中国担保法司法解釈(1). -. (6. ・完)」匡‖祭商事法務第. ?9巻第3号/-第8号(2001年)所収 4)立法施行後に明らかになった法的問題に対する裁判上の解決指針として司法解釈を制定する. という中国独特の法規範構築は,司法によ■る法創造として批判も少なくかザ,紛争解決に 向けた横動的な対処方法として,一定の評価が与えられてもよいように思われる。 183.

(26) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月) 5)中国の都市部住民の身分証明書には,必ず"工作単位"の欄が設けられている。. "工作単位". は日本語に訳せば「勤務先」であるが,ここでいう"単位"は単なる職の帰属先を意味する にとどまらず,都市部住民にとっての「仝生活生存空間」. (経済生活も社会生活も"単位". の中で完結した)であり,社会主義中国が編み出したある種の「続治機構」. (統治階層は. "単位''を通じて政治思想教育を行った)でもあった(李路路-李漠林『中国的単位組織 資源,権力与交換』 "社区". 〔新江人民出版社・. 2000年〕 1頁以下参照)。現在では,. (コミュニティ)への移行現象が見られるとのことであるが,. "単位"から. "単位"は中国人の意. 識の中に根強く残っていると言われる。 これが,本稿において,筆者が"単位"に「団体」. 「組織」 「部門」等の無味乾燥な訳語を. 当てない理由である。 6)昨年(2005年). 8月には,憲法学者であり中国共産党貝でもある肇献田北京大学教授による. 「物権法草案違憲説」が提起され,大きな波紋が投げかけられた。この点については別稿を もって論じたいと考えている。 7)訳文中の1,. 2,. 3・. ・は第1項,第2項,第3項を表す点,原文は中国思想ネット (Ⅵww.law-thinker.com)からダウンロードした点,過去二回の才出訳同様である。. 8)過去二回の拙訳では, 誌編集委員会から,. 「一般抵当権」というタイトルを付していたが,この点について,本 「日本では,債務者の一般財産を目的とする物的担保を一般抵当と呼ん. でいる。特定財産を目的とするものを『一般抵当権』とするのであれば,誤解を招くおそれ があるのではないか」とのご指摘を受けた。 なるほど,. 「債務者の現在及び将来の総財産から優先弁済を受ける権利」を「一般抵当. (権)」と呼ぶのが通常の慣わしであり(有斐閣『新法律学辞典(第2版)』),目的物の占有 を権利者に移転することなく特定財産から優先弁済を受ける権利が抵当権であり,その内, 通常の抵当権を根抵当権と区別するために「普通抵当権」という用語が用いられる(我妻 柴・有泉亨〔清水試補訂〕. 『コンメンタール担保物権法〔第3版〕』. 〔日本評論社・ 2004年〕. 202頁)。 そうだとすれば,ここでトー般抵当権」という用語を用いたのは不適切の誇りを免れない。 筆者の不明による訂正をお許し頂きたい。 9)本章の主な修正点としては,以下の点が挙げられる。 第一に,第三者による担保提供の場合は,債権者が債務者による債務の譲渡を許可すれば, 書面による同意なしに,担保権設定者はもはや担保責任を負わない旨の規定が新設された (第197条)。 第二に,被担保債権に人的担保と物的担保の双方が付されている場合は,債権実現に際し ては当事者の約定を基準とすべきであり,約定の不存在または不明確の場合には,債務者が 自ら物的担保を提供したときは,債権者は当該物により債権を実現し,物的担保の提供者が 第三者のときは,債権者は当該物によることも,保証人への保証責任履行要求によることも できる旨の規定を新設した(第198条)0 第三に,担保物権者が主たる債権の訴訟時効期間が満了した後も担保権を行使しな\、とき は,担保物権は消滅するが,担保物権者が当該担保を占有しているときには,担保権設走者 184.

(27) 中華人民共和国民法〔草案〕. ・物権編(3). は担保物権者が担保物権を行使するよう要求することができ,担保物権者がこれを行使し.な いときは,担保権設走者は人民法院に担保財産の競売又は転売,及び債権超過部分の返還を 要求することができる旨の規定が新設された(第199条)0 (1)主たる債権の消滅,. 第四に,担保物権の消滅事由が定められ, (3)債権者による担保物権の放棄,. (2)担保物権の実現,. (4)その他法律所定の担保物権消滅事由が挙げられてい. る。. 10)本節の主な修正点としては,以下の点が挙げられる。 まず目を引くのが,集合動産抵当に道を開く規定が新設されたことである。すなわち,第 三次草案第204条は次のように定める。. 「当事者の書面による合意を経て,企業,個人商工. 業者,農村請負経営者は,現在保有する動産及び将来保有する動産を抵当に入れることがで きる。債務者が債務を弁済しないときは,債権者は,抵当権実現を約定した動産から,優先 的に弁済を受ける権利を有する」。そして,この点に関連して,これらの集合動産への抵当 権設定の場合は,. 「たとえ登記を受けている場合においても,正常な経営活動の中ですでに. 対価を支払っており,かつ抵当権設定財産を取得している買主に対抗できない」旨の規定 (第211条),およびこれらの場合の被担保財産の確定事由としては, 了したにもかかわらず,債務が弁済されないこと, と又はこれを取り消されたこと,. (1)債務の弁済期が満. (2)抵当権設走者が破産宣告を受けたこ. (3)その他債権の実現に重大な影響を及ぼす事由を挙げる. 規定(第220条)が新設された。 第二に,抵当権と賃貸借の関係について,原草案では賃貸財産への抵当権設定が原賃貸借. 関係に影響を及ぼさない旨を定めていたが(第255条),第三次草案では,これに加えて, 抵当権設定後における抵当財産の賃貸借の場合は,. 「登記済みの抵当権は当該賃貸借関係の. 影響を受けない」旨の規定が設けられた(第213条)。 第三に,抵当権設定契約の内容と登記簿の内容が一致しないときは,後者を基準とする旨 の規定が新設された(第212条)0 第四に,抵当権者による抵当権等の放棄については,原草案では被担保債権の保証人との 関係で規定が設けられていたが(第260条),第三次草案では,後順位抵当権者や他の担保 権者との関係で規定を置いている。すなわち,抵当権の内容の変更は,他の抵当権者の書面 による同意がない限り,それらの者に不利な影響を及ぼしては■ならないし(第217条第1項), 抵当権者による抵当権の放棄・変更等の場合は,他の担保権者による引き続き担保を提供す ることについての承諾がある場合を除き,他の担保権者は,抵当権者が優先的に弁済を受け る権利利益を喪失した範囲内で,担保責任を免除される(同条第2項)。 その反面,不動産登記に関する原草案第244条,第249条ないし第251条,および債権者 が複数存在する場合や抵当物が複数存在する場合等に関する第266条ないし第270条は,す べて削除された。 ll)日本民法の請負契約では「注文者」. 「請負人」という用語が用いられているが,ここでいう. 請負契約は,対等な当事者間の契約ではなく,主とし_て村民委員会という農村部の自治経滴 組織が傘下の農民に土地経常を請け負わせる,支配被支配の関係に立脚した契約を意味して おり,通常の請負契約とは異なるため,. 「集団経済組織」と実質的に訳出した。 185.

(28) 横浜国際経済法学第15巻第1号(2006年9月). 12)農家が自主的に経営する,集団から分配された土地や山をいう(『岩波現代中国事典』. 〔岩波. 書店. 1999年〕の「自留地」の項目〔厳喜平氏執筆部分〕参照)0 13)計画経済の時代には,土地使用権は,国や"単位"から無償で割当てられていたが,改革開 放後は土地使用権の有償譲渡が認められるようになったことにより,無償による■「割当土地 使用権」と有償による「払い下げ土地使用権」が並存するところとなった。現在は,前者を 後者に転換するための様々な政策が取られている。 14)本節の主副参正点としては,以下の点が挙げられる。 まず,根抵当権設定前にすでに存在する債権も,当事者の同意を条件に,根抵当権の被担 保債権に繰り入れられることを認める規定が新設された(第225条第2項)。 次に,当事者に別段の約定がある場合を除き,根抵当権の被担保債権の元本確定前に債権 の一部が譲渡された場合においても,根抵当権はこれを譲渡することができない旨の規定が 新設された。 さらには,元本確定事由の一つとして原草案に挙げられていた(第275条第2号),債権存 続期間の約定の不存在または不明確な場合における根抵当権設定日からの経過年数が, から2年に変更された(第228条第2号)。 その反面,元本確定後の根抵当権行使に関する原草案第276条等は削除された。 15)本節の主な修正点としては,以下の点が挙げられる。 まず目に付くのが,転質と根質(原語:最高額質権)に関する規定が新設されたことであ る。すなわち,転質に関する第239条,根質に関する第243条第1項は,次のように定める。 「質権者は,質権の存続期間中は,質権設走者の同意を得て,これを転質することができる。 転質権者の故意・過失により質権設定財産が敦損又は滅失したときは,質権者は質権設走者 に対し民事責任を負わなければならない。」 根質権を設定することができる。」. (第239条). 「質権設定者と質権者は,協議の上. (第243条第1項). 次に,質権者は,質権設走者の同意を得ずに質権設定財産を使用,賃貸又は処分して「質 権設定者に損害を及ぼしたときは,民事責任を負わなければならない」旨の規定が新設され た(第235条)。 さらには,第三次草案では,質権者が質権設走者に応分の担保の提供を要求する権利を有 するのは,. 「質権者の責めに帰すことができない事由により」質権設定財産を穀損したとき. 又はその価値を明らかに減少させたときであるという限定が付された(第237条)0 その反面,質権設定契約における質権設走者による質物の代理占有の約定禁止について定 めた原草案第281条後段,求償権や質権の消滅事由について定めた原草案第290条ないし第 292条は削除された。 16)本節の主な修正点としては,以下の点が挙げられる。 まず,質入可能な権利は「債務者又は第三者が処分権を有するー」. (第244条本文)もので. なければならないという条件が付加された。 次に,原草案で質入可能な権利の--一つとして挙げられていた不動産収益権(同条第4号) が,第三次草案では「費用徴収権」. (第244条第6号)に改められた。その上で,この費用徴. 収権は,質権設定者と質権者が協議の上合意する場合を除き,譲渡できない旨の規定が新設 186. 3年.

(29) 中華人民共和国民法〔草案〕. .物権編(3). された(第249条第2号)。 17)本章の主な修正点としては,以下の点が挙げられる。 まず,第三次草案では,. 「債権者が留置する財産については,債権と同一の法律関係に属. (第251条第2項) .さなければならか、。但し,企業間の留置については,この限りではない」 という規定が新設されたことが目に付く。次に,第三次草案では,留置権者が果実の収取権 (第254. を有することに加えて,当該果実は「まず収取費用に充当されなければならか、」 条第2項)という規定が新たに設けられた。さらに,留置権の消滅原因として,原草案では 債権の消滅と債務者による担保の提供が挙げられるのみであったが(第309条),第三次草. 案では,債権の消滅が「留置財産に対する占有の喪失」に取って代わられた(第258条)。 その反面,債務者が弁済能力を喪失した場合の留置物の帰趨に関する原草案第303条,留 置物の価値と債権額の一致に関する原草案第304条は,第三次草案では削除された.. 18)前回の【前注・解説】にも書いた通り,本章は第三次草案では削除された。 19) [占有]の編の主な修正点としては,以下の点が挙げられる。 まず,原草案では不動産または動産の所有権者が不明なときは,当該財産の占有者をもっ て所有権者と推定すると規定され七いたが(第327条),第三次草案では,不動産.動産の 占有は, 「反証のない限り,権限を有する占有と推定する」. (第260条)と改められた。この. 点に関連して,善意占有か悪意占有か不明な場合の取り扱いも,原草案の「善意占有と推定 する」. (第328条)から第三次草案の「反証のない限り,善意占有と推定する」. (第261条). に改められた。 次に,原草案でほ,占有不動産・動産の使用により当該財産に損害を与えても,善意占有 者は損害賠償責任を負わない旨規定されていたが(第322条),第三次草案では,悪意占有 者の場合は損害賠償責任を負わなければならない旨の規定が新設された(第262条)。 さらに,原草案では,占有不動産・動産の権利者は善意占有者に対して認められる請求と して原物返還しか挙げられていなかったが(第323条),第三次草案では,占有の善意悪意 を問わず,果実についても請求可能な返還対象に含められた(第263条)0 20)このほか,第三次草案では,新たに附則が設けられ,用語の意味が明らかにされた(第266 「公民,個人商工業者,農村. 条)。例えば,物権法華案全体に係る用語である「私人」には, 請負経営者,外国人,国籍を有さない者」に加えて,. 「独資企業,外資企業等」が含まれる. ことが規定された。外資企業の物権保護に対する要望を考慮したためと思われる。また, 「果実」には天然果実と法定果実が含まれ,前者の具体例としては「木の実,雌の家畜の子 等」が,後者の例としては「賃料,利息」等が挙げられている。 また,附則の第267条前掛こは,. 「法律または行政法現に不動産の統一された登記につい. ての規定が置かれるまでは,当事者は,不動産登記機関または土地登記機関に村し,都市住 宅所有権および土地使用権登記を一括して処理することを申請できる」という規定が設けら れている。不動産登記法の早急な立法化が待たれるところであろう。. 187.

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