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[卒業研究要旨]中学生を対象としたICT教材の提案ー被服製作実習を中心としてー

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Academic year: 2021

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生活環境学研究 No.8 2020

中学生を対象とした ICT 教材の提案

ー被服製作実習を中心としてー

キーワード:デジタル教材,ICT教育,教材の提案,中学校,家庭科教材

高谷 奏

[指導教員:武庫川女子大学准教授 末弘 由佳理]

1. 研究の背景と目的  昨今,日本では産業の発達により1),既製服を購入する人 が多く,衣服を家庭で製作する機会が減り,ミシンを置く家 庭も減ってきているように感じる。そのため,布を用いた製 作までもが人々から疎遠になってきている。自身が経験し た中学校の教育実習での被服製作実習の指導途中,鉛筆型の チャコペンと竹定規で布にしるしをつける工程で大半の生徒 が躓いており,次の工程へ進めない場面に直面した。道具の 使い方や製作工程の順序における困難さが軽減されると被服 製作実習に意欲的に取り組めるのではないかと考えた。教 師一人が,40人弱の生徒を一人一人見るのは困難であるた め,生徒が授業の予習・復習を行うとスムーズな授業展開が 期待できる。  本研究では,平成29年に告示された学習指導要領2)のキー ワードである「主体的,対話的で深い学び」を実現すること で,布を用いた製作の知識が身につき,また,一時間の授業 をプログラミングする力が「生きる力」につながると考え, 教材の提案に至った。  近年,ICT教育が全国的に広がり,各学校一クラスの生徒 分のタブレット,また普通教室に一台の電子黒板が設置され ている小・中学校が多く,将来的には,一人一台のタブレッ トを使用し,製作工程でわからないことがあるときに,デジ タル教材を活用できることを想定し,作成に至った。説明書 やデジタル教材を活用することで,スムーズに作業が行われ ると考えられることに加えて,製作物が完成した時の達成感 を感じられるような教材の提案を行った。 2. 家庭科教育の目標及び ICT 教育  平成29年に改訂された学習指導要領2)による技術・家庭 科 家庭分野の目標は,「生活の自立に必要な基礎的な理解 や技術を身につけること」と「生活の中から問題を見出して 課題を設定し,これからの生活を展望して課題を解決する力 を養う」ことである。これらの目標を達成するために,「A 家族・家庭生活」,「B衣食住の生活」,「C消費生活・環 境」の三つの内容について知識・理解を深め生活に生かすこ とを目的としている。  このような学習を実現する手段の一つとしてICT教育が挙 げられ,ICT教育とは,タブレット端末やインターネット等 の情報通信技術を活用した教育の手法3)のことで,これらを 活用することで,生徒の学習への興味・関心を高め,確かな 学力の育成につながるのである。さらに,ICTの効果的な活 用によって,生徒の主体的・協働的な学びや学力の向上を実 現すること4)が目的である。白黒のプリントで授業を展開す るより,ICTを活用し,写真や動画をカラーで示す方が印象 に残りやすくなり,このことから学習効果に反映されている と考えている。さらに,学習に困難がある生徒も板書をノー トに写しやすくなり,また,タブレットを使用して授業を展 開することで,個々の考え方を全体に表現することや他者共 有することが容易となったため,生徒の学習意欲の向上によ る教育的効果が期待できる。 3. 被服製作実習における教材の提案 3-1 デジタル教材の目的及び対象者  本研究で提案する教材の対象者は,付属の説明書や教師の 口頭説明だけでは作業することに困難のある中学生を始めと した全ての中学生である。  本研究では,株式会社文溪堂 クロッサム5)による「リ バーシブルトートバッグ」を教材として用いることを想定し て,付属の説明書をもとに,イラストを足してより詳細な説 明をした授業プリントを作成し,各工程にQRコードを入れ ることで,生徒の学習のニーズに応じてデジタル教材を活用 することを目的とする。また,製作したデジタル教材は,視 覚支援に重点を置いたため,聴覚的な情報は授業内で,口頭 で説明することを想定して作成した。 3-2 動画の撮影及び授業プリント  株式会社文溪堂 クロッサム5)による「リバーシブルトー トバッグ」の付属説明書に則り,製作におけるすべての作業 工程を撮影し,撮影した動画は編集した後,任意の動画サイ トに貼り付け,QRコード化した。主に授業中に活用する教 材であることから,聴覚的な情報は入れずに作成した。折れ にくく,かつ,削る必要のないシャープペンシル型のチャコ ペン(図1)を使用することでしるしつけがしやすくなり, また,布が透けて見えるように透明のプラスチック定規を使 用し,リバーシブルのトートバッグなので裏表がはっきりわ かるように,表布は付属の説明書と同じ黒色の布を使用し, 裏布には,表側と明確な差が出るように,白地にドット柄の 布を使用した。テロップなどの説明は入れず,手元がはっ きりと見えるようなアングルから撮影を行った(図2)。ま た,作成したデジタル教材は授業プリントの各工程に図3の ようにQRコードを貼り付けることで,授業中に作業内容が 確認できることを想定した。 図1 シャープペンシル型のチャコペン 卒 業 研 究 要 旨 ( 論 文 ) 04_卒業研究要旨.indd 24 04_卒業研究要旨.indd 24 2020/12/07 11:462020/12/07 11:46

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生活環境学研究 No.8 2020 図2 デジタル教材の一部 図3 QRコードを挿入した授業プリント 3-3 指導の流れ  授業1コマ当たり50分とし,トートバッグの製作実習に 充てる時間は11コマとし,被服製作における技術を身に付け ることに加えて,安全を第一に意識する授業を展開する。授 業で必要な道具は,すべて貸し出すことを想定し,製作場所 は被服実習室に設定した。毎授業の終わりには,振り返りを 行う。何ができて,何ができなかったかを明確にすることで 生徒自身の到達点が明らかにするとともに,指導方法の改善 につながるため,実施することとする。  最終的に,トートバッグ製作と衣服を製作する作業工程は 同じであることを理解させることをねらいとしている。 4. まとめ及び今後の課題  本研究は,中学校で被服製作実習の指導を行う際に用いる 教材を作成することが目的であるため,提案した教材を用 いて中学生に授業を行うことは,将来,教壇に立った際に検 討する。本研究で作成したデジタル教材は,学校や家庭で簡 単に,被服製作実習における予習・復習を行えるため,授業 効率が上がりスムーズな授業展開が期待できる。さらに,従 来,被服製作実習で用いられていた道具を,中学生の実態に 合わせて使いやすい道具にかえることで,作業における困難 さが軽減できると考えている。  近年,中学校,高等学校では衣服を製作する授業が減って きている。平成元年改訂の学習指導要領により家庭科が男 女共修になり,また,技術科と家庭科が合科であるため,結 果として家庭科の授業時数が減少する中で,男女ともに一定 の技術を身に付けなければならないことから,トートバッグ 等,主に平面で構成される身の回りの小物の製作が行われて いる。このことから,最低限の裁縫の技術を身に付ける授業 カリキュラムを提案することが教員の任務であると強く感じ た。  今後は,自身が指導する中学生の実態を把握する中で,そ の生徒達に即した授業展開やデジタル教材を改良することを 努める。また,生徒の教育的ニーズに応じた授業を展開する ことで,生徒一人一人に「生きる力」を確実に育成すること ができ,ICT教育の発展と充実に力を入れることで,より良 い授業が展開できると考えている。 参考文献 1) 鹿児島純心女子短期大学研究紀要「戦後における小・中・高等学 校の家庭科教育の変遷」 2) 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 技術・ 家庭編」(2019年) 3) weblio国語辞, https://www.weblio.jp/(最終閲覧日:2019/12/14) 4) 文部科学省「ICTの活用の推進」, http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab201501/det-ail/1362043.htm(最終閲覧日:2019/12/14) 5) 株式会社文溪堂 家庭科教材クロッサム, http://www.clossom.com/(最終閲覧日:2019/12/14) 卒 業 研 究 要 旨 ( 論 文 ) 04_卒業研究要旨.indd 25 04_卒業研究要旨.indd 25 2020/12/07 11:462020/12/07 11:46

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