• 検索結果がありません。

Evolang XII 参加報告

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Evolang XII 参加報告"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Evolang は、言語の起源と進化に関心のある研究者が集う学会である。研究者の出身 分野は文化人類学・霊長類学・言語学・生物心理学など多岐に渡る。もともと私は言語 進化に興味を持ち、比較生物学の観点から何か示唆が得られないかと考えて小鳥の歌を 研究対象として選んだ経緯があるため、この学会をとても楽しみにしていた。 今年の開催地はポーランドである。私が今までに行ったことがある外国はアメリカ とインド、それぞれ一度ずつだ。飛行機に乗るというだけでも私にとってはいまだに一 大事業である。道中一人でないのがせめて救いだ。案の定、成田空港でチェックインを 済ませた後、保安検査があるということを失念していて、同行者から連絡がなければ飛 行機に乗り遅れるところだった。 言語進化について何を研究するかというと、まず挙げられるのは言語の「前駆体」 を探す試みだろう。ある者は音楽に、別の者はヒト以外の生き物のコミュニケーション にそれを見いだそうとする。またヘッケル(「個体発生は系統発生を繰り返す」)に倣っ てか、子どもの言語発達から言語の萌芽の手がかりを得ようとする者もいる。あるいは 手話と音声言語の共通部分から、言語の核となる認知能力とは何かを問う試みもある。 私が多く聴講したのはシミュレーション研究であった。これは化学物質の生成に例 えるとイメージしやすいかもしれない。言語という不思議な構造物、規則性にあふれる 一方で例外がいたるところで顔を出すこの捉えがたいものが、生成する条件とは何か。 過去をそのまま再現することはできなくても、パラメータ(エージェントの数、ネット ワークの疎密など)を色々と変更しシミュレーションを走らせることはできる。恐ろし く単純化されているからこそ、予測を得るには有用だ。そうした予測の妥当性が、実験 によって検討されることもある。人工言語を被験者に記憶させ、彼らがそれを別の被験 者へ伝達していくうちに、最初に与えた人工言語がどのような構造を獲得あるいは喪失 していくかを観察するのである。 印象に残ったのは、“linguistic accommodation”にまつわるシミュレーションで ある。“linguistic accommodation”とは、ある言語により精通した話し手がそうでな い話し手に対し、理解を促すためにあえて単純な文を発することを指す。大人が子ども にする語りかけや、外国語話者に対する発話などがこれに該当することがある。製造・ 医療の現場で外国人労働者の受け入れが進行する日本で、彼らや彼らの子どもたちは 日々どんな日本語を耳にしているだろうか。シミュレーションは1対1の状況で、より 熟達した話し手がそうでない話し手の「言語モデル」を想定する。話し手間の相互作用 のたびに「言語モデル」は更新される。今後、1対1ではなく多数のエージェントが相 互作用するシミュレーションや、実験室実験を行う計画だという。言語の起源からは少 し脱線してしまうが、グローバリゼーションが進む世界における言語の将来を垣間見る

(2)

参照

関連したドキュメント

さらに体育・スポーツ政策の研究と実践に寄与 することを目的として、研究者を中心に運営され る日本体育・ スポーツ政策学会は、2007 年 12 月

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

社会学研究科は、社会学および社会心理学の先端的研究を推進するとともに、博士課

世界規模でのがん研究支援を行っている。当会は UICC 国内委員会を通じて、その研究支

報告は、都内の事業場(病院の場合は病院、自然科学研究所の場合は研究所、血液

世界規模でのがん研究支援を行っている。当会は UICC 国内委員会を通じて、その研究支