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シャトルコミュニケーションの質的データ分析法に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

シャトルコミュニケーションの質的データ分析法に

関する研究

著者

斐品 正照

9

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

教情博第47号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00128567

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教情 4 ひ しな まさ てる

斐 品 正 照

学 位 の 種 類 博士(教育情報学) 学 位 記 番 号 教情博 第 47 号 学位授与年月日 令和元年 10 月 9 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条 1 項該当 研 究 科 ・ 専 攻 東北大学大学院教育情報学教育部(博士課程後期3年の課程) 教育情報学専攻 学 位 論 文 題 目 シャトルコミュニケーションの質的データ分析法に関する研究 論 文 審 査 委 員 (主査) 准教授 三 石 大 教 授 熊 井 正 之 教 授 小 嶋 秀 樹 助 教 大 河 雄 一

< 論 文 内 容 の 要 旨 >

本論文は、手紙や電子メール等、2者ないしは少人数の話者間で非同期的に双方向に取り 交わされるシャトル型のコミュニケーション(シャトルコミュニケーション)を対象とした 質的分析を行うための新たな分析手法を開発することを目的とする。特に本論文では、一定 期間継続的に取り交わされるシャトルコミュニケーションにおいて、時間経過に伴う話題や 様態の変化や、複数の話者ペアによる同様のコミュニケーションにおいて、話者ペアによる 違いや共通性を確認できる分析手法を明らかにすることを目的としている。 一般に教育機関では、教員と学習者との密なコミュニケーションを目的に、1対1のシャ トルコミュニケーションが行われる機会が多い。特に、情報通信技術の発展に伴い、大学等 の高等教育機関においても、教員と受講生との信頼関係の構築や学習動機づけ、個別的な指 導等を目的として電子メールや学習支援システムなどを利用したシャトルコミュニケーシ ョンを行う機会が増えつつある。 一方、このようなシャトルコミュニケーションにより、話者がどのような対話を要望し、 また、どのような対話が話者の意識やその後の行動に影響を与える可能性があるのか等の詳

(3)

教情 5 細は、これまで必ずしも十分に確認されていない。特に、どのような文脈でどのような対話 が行われ、話者らがどのように感じたのかを明らかにするためには、コミュニケーション中 の発話内容の質的分析が必要となるが、既存の質的分析手法の多くは、発話内容の中心的な テーマや潜在する意識の抽出に主眼が置かれており、発話全体を網羅的に対象とし、また、 発話時期や話者による表現の揺れを考慮した分析はあまり想定されていない。このため、一 定期間継続的に行われるシャトルコミュニケーションでの時間経過に伴う話題や様態の変 化や、異なる話者ペアによる違いや共通性の確認がそのままでは難しい。 そこで本論文では、授業期間中に教員と受講生との間で交わされるシャトルコミュニケー ションを例に、当該コミュニケーションの実施とその記録を行うための情報システムを新た に開発し、分析対象とする発話データを取得するとともに、当該データの分析を通じてシャ トルコミュニケーションの質的分析に必要な要件を確認し、話者間で交わされる話題とその 展開の網羅的かつ一貫性の高い分析、ならびに、これらの定量化を可能とする新しい質的分 析手法を提案し、その有効性を確認した。 具体的には、先ず、第 2 章において、本論文が対象とするシャトルコミュニケーションの 1つとして、一般に大福帳と呼ばれ、担当教員と受講生との間で授業期間を通じて交わされ るコミュニケーションを例に取り、教員、受講生の双方が負担なく効果的にコミュニケーシ ョンを遂行し、発話内容を記録できるよう、インターネットを介したオンラインでのコミュ ニケーションが可能な iConversation システムを設計、実装した。当該システムを実授業に 適用した実践結果から、本システムにより大福帳としてのシャトルコミュニケーションを適 切に実施でき、発話内容も正しく記録できることを確認した。 続く第 3 章では、第 2 章のシステムにより記録された発話の分析を通じてシャトルコミ ュニケーションの質的分析に必要な要件を確認し、これに基づき、シャトルコミュニケーシ ョンを対象とした新しい質的分析手法として KeyPaSS を提案し、その詳細を明らかにした。 ここでは、既存の分析手法の 1 つである SCAT をベースとしつつ、発話全体の概念化と関 連する発話内容間の連鎖を記録する分析シート、ならびに発話中の語句の表現の違いに依ら ない概念化のための確認シートを導入し、シャトルコミュニケーションの分析で必要となる 網羅的かつ一貫性の高い概念化と話題展開の確認を可能としている。 また、第 4 章では、本論文で提案する KeyPaSS を複数ペアによるコミュニケーションに 適用し、有用性評価を行った。ここでは、第 2 章で開発したシステムにより記録された複数 ペアによる発話を対象に KeyPaSS による概念化とパターン化を行うとともに、時系列変化 や話者ペアによる違いを定量的に確認し、当該コミュニケーションの現場である授業の内容 と照らすことで、授業中の事象がコミュニケーション内容に与えた影響や話者の発話意図を 推察できることを確認した。 以上の結果に基づき、第 5 章では、本論文で提案する KeyPaSS はシャトルコミュニケー ションの網羅的かつ一貫性の高い質的分析を可能とし、また、時間経過に伴う変化や話者ペ アによる違いを確認できる分析手法であることを確認した。一方、提案手法では分析シート と確認シートの確認と修正の繰り返しを要し、作業量の増大が課題であることも確認され、 今後、何らかの支援ツールの開発が必要であることも確認した。

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教情 6

< 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 >

主査および副査により論文の内容を精査するとともに、令和元年 7 月 26 日に、教育情報 基盤センターにて 50 分の口頭発表および 30 分の質疑応答による博士論文本審査会を実施 した。 その結果、本論文は、1対1ないしは少人数間で非同期的に双方向に取り交わされるシャ トルコミュニケーションを対象とした新しい質的分析手法を明らかにすることを目的とす るものであり、以下に示す事項が確認された。 1) 従来手法の多くは、発話内容の中心的なテーマの抽出を主眼とし、一定期間継続的に 展開されるシャトルコミュニケーションの発話内容全体の網羅的な確認が容易ではな い上、発話時期や話者による表現の揺れにより、時間経過に伴う話題や様態の変化の 確認や異なる話者ペアの比較が難しいという課題があった。本論文は、これらの課題 を解決する質的分析手法を明らかにすることを目的としている。 2) 本論文では、提案手法の開発と評価に先立ち、実際のシャトルコミュニケーションの 発話を対象とできるよう、授業での大福帳を例にとり、ウェブシステムを利用したオ ンライン大福帳システムを新たに開発している。授業期間を通じた実践結果から、大 福帳形式によるコミュニケーションを適切に実施でき、その際の発話内容を正しく記 録できることを確認している。 3) 本論文で提案する分析手法の KeyPaSS では、コミュニケーション期間全体の発話を 対象とした分析を行うための分析シートを導入するとともに、使用される語句の表現 の違いに依らない分析のための確認シートを導入し、これにより時間経過に伴う話題 の変化や話者ペアによる違いの確認を含む網羅的で一貫性の高い分析を可能としてい る。 4) オンライン大福帳システムにより記録された発話への提案手法の適用結果から、コミ ュニケーション期間全体の発話に対し網羅的で一貫性の高い概念化と話題展開を明ら かにできるとともに、抽出された概念や話題展開のパターンを定量化し、時間経過に 伴う話題や様態の推移の確認や異なる話者ペア間での比較が可能となり、これにより、 外因と発話内容との関係や、その際の発話意図の推察に有用であることを確認してい る。 以上の結果は、本論文が提案する新しい質的分析手法である KeyPaSS の有効性を示すも のであり、これは、本論文の目的である、シャトルコミュニケーションのための網羅的かつ 一貫性の高い質的分析を実現できているものと判断され、そのための具体的な手法を明らか にしていることは高く評価できる。一方で、提案手法による分析の作業量が多い点など、解

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教情 7

決すべき課題についても明確にされており、提案手法の改善、高度化に向けた今後の研究の 発展も期待される。よって、本論文は博士(教育情報学)の学位論文として合格と認める。

参照

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