インターネットと高親和性を有する次世代低軌道衛
星ネットワークに関する基盤研究
著者
加藤 寧
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インターネットと高親和性を有する予’、
次世闇値衛畢ネットワ ̄クに関する基盤研究
課題番号1750 ̄0030
平成17年度∼平成_19年度科学研究費補助金
(基盤研究(C) ̄) ̄研究成果報告書
平成20年3月
初究代表者 加藤寧
東北大学大学院情報科学研究科教授
<はしがき>
近年、世界中のどこからでも通信可能な所謂地球規模のユビキタスネットワ ーク実現への期待が高まっている。このユビキタスネットワークにおいて、低 軌道(LEO:LowEarthOrbit)衛星は大きな役割を果たすと考えられている。 本研究では、現在広く普及しているインターネットと高い親和性を有する次世 代LEO衛星ネットワークシステムの基盤技術に関する研究を行い、世界に先駆 けて先進基盤技術の確立を目指す。研究組織
研究代表者:加藤寧(東北大学大学院情報科学研究科教授)
交 付 決 定 額 (配 分 額 ) (金 額 単 位 : 円 ) 直 接 経 費 間 接 経 費 合 計 平 成 1 7 年 度 7 0 0 ,0 0 0 0 7 0 0 ,0 0 0 平 成 1 8 年 度 7 0 0 ,0 0 0 0 7 0 0 ,0 0 0 平 成 1 9 年 度 1 7 0 0 ,0 0 0 5 1 0 ,0 0 0 2 ,2 10 ,0 0 0 総 計 3 ,1 0 0 ,0 0 0 5 1 0 ,0 0 0 3 ,6 1 0 ,0 0 0研究発表
墾以下に示す論文は全て査読有り論文である_♀___
1.雑誌論文
[11Tarik Taleb,Daisuke Mashimo,AbbasJamalipour,Kazuo
Hashimoto,Nei Kato,and Ybshiaki Nemoto,・・Explicit bad Balanclng Tbchnique for NGEO SatelliteIP Networks with On−Board Processlng Capability,HIEEE仏CM Transactions on Networking(採録)
[2】BounpadithKannhavong,HidehisaNakayama,NeiKato,Abbas Jamalipour,andⅥ)ShiakiNemoto,一■Astudyofaroutingattackin
OLSR・based mobile ad hoc networks,‖IntemationalJournalof
CommunicationSystems,Vol・20,Issuell,2007,pp・1245−1261
[3】Tarik Taleb,Ehssan Sakhaee,AbbasJamalipour,Kazuo
Hashimoto,NeiKato,andYbshiakiNemoto,r.AStable Routing
Protocolto SupportITS Servicesin VANET Networks,”IEEE TransactionsonVehicularTechnology,Vol・56,Issue6,2007,pP・
3337−3347
[4】TarikTaleb,NeiKato,andlゐshiakiNemoto,一一REFWA:AnEfncient
andFairCongestionControISchemeforLEOSatelliteNetworks,H IEEE仏CMTransactionsonNetworking,Vol・14,No・5,2006,PP・
1031−1044
[5]TarikTaleb,AbbasJamallPOur,NeiKato,andⅥ)ShiakiNemoto,”A
Theatre in the Sky: A Ubiquitous Broadband
Multlmedia_On_Demand Service over a Novel Constellation
ComposedofQuasi−Geostationa?Satellites,MWileyhternational JournalofSatelhteCommumicatlOnSandNetworking,Vol.24,No.
3,2006,pp.215−227
[6】TarikTaleb,NeHKato,and「bshiaklNemoto,HRecentTrendsin
IP/NGEO Satellite Commumication System:Transport,Routing, and Mobility Management ConcemS,H IEEE Wireless CommunicationsMagazlne,2005,pp.63−69
2.国際学会発表(査読有り)
[7】Hiroshi TsunOda,Nei Kato,AbbasJamallPOur,and Ybshiaki
Nemoto,MPerformanCe Evaluation of SCTP with AdaptlVe
Multistreamlng OVer LEO Satellite Networks,”International WorkshoponSatellite andSpace Communication2007(ⅣSSC),
13−14September,2007,Sakburg,Austrla
l8】TarikTaleb,DaisukeMashimo,KazuoHashimoto,NeiKato,and
YoshiakiNemoto,”OnhowtoMitigatethePacketReorderingIssue
inthe Explicit Load Balanclng Scheme,M Proceedings ofIEEE GlobalInformationInfrastruCture Symposium(GIIS),2−6July, 2007,Marrakech,Morocco
l9】TarikTaleb,KazuoHashlmOtO,NeiKato,andlゐshiaklNemoto,‖A
Dynamic Service Level Negotiation Mechanism for QoS
Provisionmgin NGEO Sate111te Networks”,Ppoceedings ofIEEE
InternationalConfbrenceon Communications2007(ICC),24−28 Jume,2007,Glasgow,Scotland
l10】Tbtsuya Takahashi,Tariklhleb,Kazuo Hashimoto,Nei Kato, MImprovlngELBinMulti−HopSatelliteConstellationswithShort
ISLDelays,‖25thAIAAInternationalCommunications Satellite
SystemsCon鮎rence(ICSSC),10−13Apr,2007,Seoul,SouthKorea
[11]Tarik Taleb,Abbas Jamalipour,F.N.Abdesselam,Kazuo
Hashimoto,NeiKato,andlゐshiakiNemoto,MDesignGuidellneSfor
aGlobalandSelf−ManagedLEOSateulteS−BasedSensorNetwork,’’
IEEEGlobalTblecommumcationsConferTCe2006(Globecom),27 November−1December,2006,SanFranCISCO,USA
l12]Tarik Taleb,Daはuke Mashimo,Abbas Jamalipour,Kazuo
Hashimot0,1bshiaki Nemoto,and Nei Kato,”ELB:AnExplicit Load Balanclng Routing Protocolfor Multi−Hop NGEO Satellite Constellations,MIEEEGlobalTblecommunicationsConference2006 (Globecc.m),27November−1December,2006,SanFrancisco,USA
l13]Hiroshi TsunOda,Kohei Ohta,Nei Kato,andlねshiaki Nemoto,
”Geographical and Orbital Information Based Mobil止y
Management to OvercomeIJaSt.HopAmbigulty OVerIPrLEO
Satelllte Networks,H IEEE Intemational Conference on Communications2006(ICC),Vol.4,pp.1849−1854,11−15June,
2006,Istanbul,Turkey
[14]TarikTaleb,AbbasJamalipour,NeiKato,andlねshiakiNemoto,一一A
Global Vide0−On−Demand Architecture Based on a Novel ConstellationComposedofQuasi−GeostationarySatellite,r−The7th IFIP International Confbrence on Mobile and Wireless CommunicationsNetworks,19−21SeptembeI12005,Marrakech, Morocco
目次
1.はじめに 2.LEO衛星ネットワークの課題 2.1モビリティマネージメント技術 2.2衛星ネットワークプロトコル技術 2.3衛星ネットワークセキュリティ技術 2.4ハンドオーバー・ルーティング技術3.本研究の成果
1 1 1 2 2 2 3 3.1低コストなモビリティマネージメント技術の提案と評価……….3 3.2高効率かつ高公平性を有するプロトコルの提案と評価 3.3ルーティング攻撃に対するセキュリティ技術の提案と評価…日 日‥3 3.4高効率なトラヒック制御技術の提案と評価 4.おわりにインターネットと高親和性を有する
次世代軌道衛星ネットワークに関する基盤研究
1.はじめに
近年、インターネットの普及に伴い、その利便性が広く認知されるに連れて、 世界中のどこからでも通信可能な所謂地球規模のユビキタスネットワーク実現 への期待が高まっている。そこで、どこでも簡単にアクセスできる無線ネット ワーク、特に衛星ネットワークが注目されている。人工衛星の中で最も研究さ れている静止衛星は広域性に優れており、容易に世界全体をカバーするネット ワークを構築できる。しかし、地上から衛星までの距離が遠いため、伝播遅延 は長く、伝搬遅延の長さがその性能に大きく影響を及ぼすインターネット通信 に対しては親和性が低い。一方、LEO衛星は静止衛星に比べて地上との距離が 短く、伝播遅延が短いのでインターネットと高い親和性を持つ。また、通信に 必要な無線出力が小さくなるため、地上端末の小型化、モバイル化が可能とな る。このような特徴を有しているため、LEO衛星ネットワークはユビキタスネ ットワークの構築において大きな役割を果たすと考えられている。 本研究では、インターネットと高い親和性を有する次世代LEO衛星ネットワ ークシステムの基盤技術に関する研究を行い、新しい情報インフラストラクチ ャの基盤技術の確立を目指す。具体的には、4つの基盤技術、すなわち①柔軟な モビリティマネジメント技術、②高い公平性と効率性を有する衛星ネットワー クプロトコル技術、③不正攻撃からネットワークを守る衛星ネットワークセキ ュリティ技術、④高効率なハンドオーバ岬・ルーティング技術、について研究 を行い、世界に先駆けてこれら先進基盤技術の確立を目指す。2.LEO衛星ネットワークの課題
2.1モビリティマネージメント技術 LEO衛星の場合、地上の端末が直接衛星と接続するため、個々の衛星は地上 局を収容するルータの役割を果たす必要がある。しかし、衛星は地表に対し高 速に移動しているため、ハンドオーバーという問題が発生する。ハンドオーバ ーの発生頻度は人口密集地になればなるほど、高くなる傾向がある。厄介なの は、ハンドオーバー時にユーザの位置情報を更新しなければならず、管理トラヒックが多く発生し、ネットワークの帯域を消費してしまうという問題である。 この間題に対し、本研究では既に開発した地理情報を導入したハンドオーバー 抑制技術を更に発展させ、モビリティ管理コストの最小化技術を開発する。 2.2衛星ネットワークプロトコル技術 インターネットはこれまで有線網の技術として発展してきたが、近年無線技 術も大きく進歩し、現在両者が融合し渾然一体となって都市部を中心に便利な テレストリアルネットワークを形成しつつある。このような進歩を裏で支えて いる重要なネットワーク技術はいうまでもなくTCP/IPである。このTCP/IPを 衛星ネットワークに拡張し地上ネットワークとシームレスな技術を実現すれば、 空間に捕らわれない所謂真のユビキタスネットワークを構築することが可能で ある。本研究では、衛星ネットワーク全体において高公平性を保持しつつ、高 効率なプロトコルを提案する。
2.3衛星ネットワークセキュリティ技術
衛星ネットワークにおけるTCP/IP技術の適用は、テレストリアルネットワ ークとシームレスな接続が期待できる反面、ネットワークのセキュリティの確 保が重要な問題となる。これに対し、地上、衛星の両方のネットワークにおい てセキュリティ技術を検討する必要がある。本研究では、まずテレストリアル ネットワークにおけるセキュリティ技術を考案し、衛星ネットワークにおける セキュリティ技術の基盤を築く。2.4ハンドオーバー・ルーティング技術
LEO衛星ネットワークでは衛星が常に移動しているため、地上端末がアクセ スするサービス衛星が時間と共に変わるため、ネットワーク上のトラヒック分 布は絶えず変化する。また、地球上の海と陸の分布、あるいは人口分布の偏り により、衛星ネットワーク全体においてトラヒックの分布が不均一になる。従 って、動的で大規模な非静止衛星ネットワーク特性を考慮したルーティング制 御技術が必要である。本研究では、これまでに提案した複数の経路から最短路 を選択する方式にネットワークの混雑情報をも加味する新しい手法を提案する。 また、1つの衛星が複数の衛星と通信できる特徴を利用し、混雑を避ける迂回 ルーティング技術を開発し、シミュレーションにより検証を行う。3.本研究の成果
当初の研究計画・方法を基に平成17年度から平成19年度の研究によって以 下の研究成果が得られた。 3・1低コストなモビリティマネージメント技術の提案と評価 既に開発した地理情報を導入したハンドオーバー抑制技術に衛星の軌道情報 を導入した[13]。地上端末とアクセスするサービス衛星の特定は地上端末の地理 情報だけでは難しかったが、本手法では衛星の軌道情報を用いることで、サー ビス衛星の特定をより少ないコストで行えるようにした。そして、提案手法と 既存の手法のモビリティ管理コストを数理解析し、提案手法の低コスト性を示 した。さらに、シミュレーションにより、提案手法の有効性を確認した。3・2高効率かつ高公平性を有するプロトコルの提案と評価
LEO衛星間のリンクの距離は高緯度地域以外ではあまり変化しない。従って、 衛星のホップ数からパケットが送信元から送信先を往復するまでにかかる時間 (RTT)が予測できる。そこで、衛星がRTTを予測し、送信側にRTTから算 出された適切な送信量を通知することで、公平性を高めるプロトコルを提案し た【姉シミュレーションにより、提案手法の高公平性、高効率性を示した。3・3ルーティング攻撃に対するセキュリティ技術の提案と評価
将来的にLEO衛星ネットワークと接続する可能性が高いモバイルアドホック ネットワーク(MANET)におけるセキュリティ技術を提案した【2】。MANET では−通信したいモバイルノード同士が通信可能な領域半径内にないために直 接通信できない場合、他のノードを介して通信を行うためにルーティングは不 可欠である。そのため、様々なルーティング攻撃を受ける危険性がある。本手 法では、ルーティングプロトコルを改良し、ルーティング攻撃による影響を軽 減させるようにした。そして、シミュレーションにより、従来手法に比べてオ ーバーヘッドが小さく、パケットが正しい宛て先に到着している割合が高いこ とを示した。 以上のように、MANETにおけるセキュリティ技術を提案したが、衛星ネッ トワークへのルーティング攻撃に対応するために、今後衛星ネットワークへ適 応できるように改良する必要がある。3.4高効率なトラヒック制御技術の提案と評価
LEO衛星ネットワークにおける、各衛星でのリアルタイムな負荷情報を利用 したトラヒック制御技術(ELB:ExplicitLoadBalance)を提案した【121。ELB では各衛星間で明示的なトラヒック負荷情報を交換し、負荷の大きい衛星を経 由して送信されるトラヒックを他の負荷の小さい経路に分散するようにした。 シミュレーションにより、パケットドロップ率、スループット、トラヒック分 布において、既存の手法よりELBが優れていることを示した。また、ELBに おける、トラヒックの迂回動作によるパケット到着順の逆転への対策も考案し た【8]。 続いて、この手法における負荷情報の交換範囲や負荷の程度をガウス分布に 従って算出するように改良した【1恥そして、シミュレーションにより、改良前 よりもパケットドロップ率、スループット等が向上していることを示した。 さらに、LEO衛星と中軌道衛星から成る階層型衛星ネットワークに適用する ように改良した。階層型衛星ネットワークは単層の衛星ネットワークと比べて 通信の信頼性や容量等が高いため、研究が盛んになってきている。従って、階 層型衛星ネットワークに適応させる意義は大きい。この改良案は、雑誌に投稿 する予定である。4.おわりに
伝播遅延が短いLEO衛星は近い将来広域な移動体通信に大きな役割を果たす ものとして期待されている。本研究ではインターネットと高い親和性を有する 次世代LEO衛星ネットワークシステムの4つの基盤技術に関する研究を行い、 それぞれの技術に対して新たな手法を提案した。シミュレーションにより各提 案手法の有効性を確認した。提案手法はいずれも次世代先端LEOネットワーク システムの礎となるものであり、次世代のシームレスなネットワーク環境実現 に大きく寄与すると考えられる。よって、本研究の目的は達成できたと言える。TOUR : Tohoku University Repository コメント・シート 本報告書収録の学術雑誌等発表論文は本ファイルに登録しておりません。なお、このうち東北大学 在籍の研究者の論文で、かつ、出版社等から著作権の許諾が得られた論文は、個別にTOUR に登録 しております。 TOUR http://ir.library.tohoku.ac.jp/