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Effect of optokinetic stimulation on weight-bearing shift in the sitting position in patients with hemiplegia after stroke 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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全文

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氏 名 駒形 純也 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 医科学 ) 学 位 記 番 号 医工博甲 第 464 号 学 位 授 与 年 月 日 令和 2 年 3 月 19 日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 人間環境医工学専攻

学 位 論 文 題 名 Effect of optokinetic stimulation on weight-bearing shift in the sitting position in patients with hemiplegia after stroke

(視運動性刺激が脳卒中患者の座位荷重偏移に及ぼす影響) 論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 喜多村 和郎 委 員 教 授 柏木 賢治 委 員 講 師 金丸 和也

学位論文内容の要旨

研究目的 脳卒中患者は非麻痺側に荷重バランスがかかる、非対称の姿勢を取ることが知られている。麻痺側 荷重量の少ない患者は、静的バランス能力が低いこと、日常生活動作能力および歩行能力が低いこと が報告されている。この非対称性は、歩行時においても見られ、立脚時間の左右非対称性の程度が大 きくなると転倒の危険性が高まるとされている。従って左右非対称性の改善は、歩行能力を向上させ、 転倒を防ぐことができ、リハビリテーションにおける重要な課題であると考えられる。静的立位時の 麻痺側荷重量の増加、左右非対称性の改善は、このような問題解決への貢献の可能性が示唆されてい る。さらに、立位保持ができない脳卒中患者は座位バランスが不安定であり、非麻痺側への荷重偏移 が報告されている。座位バランス能力はその後の歩行能力を予測する因子であるとの報告もある。視 運動性刺激(optokinetic stimulus: OKS)を用いたアプローチは、脳卒中患者の立位姿勢障害の改善に 効果をもたらすことが示唆されているものの、一方向性の荷重偏移に注目し、さらに立位非自立脳卒 中患者においてその効果を検証した報告はなかった。本研究は、単純な視覚パタンによる OKS が、 立位非自立脳卒中患者の Center of Pressure(CoP)偏移に与える効果を明らかにすることを目的とし て、2 つのステップの検証、すなわち、①OKS アプローチが立位保持が可能な患者において CoP を 麻痺側に偏移できること、さらに同じアプローチが同一患者群の座位 CoP の偏移を引き起こせるか を明らかにすること、②OKS アプローチが、立位非自立脳卒中患者の麻痺側荷重を促すことができ ること、の検証を行った。 方法

(2)

発症から4 か月未満(亜急性期)の初発脳卒中患者 29 名(右片麻痺 17 人、左麻痺 12 名、年齢 72.0 ±10.0)を本研究の対象とした。被験者の中に整形外科疾患や弱視、めまい、前庭障害を有する者は いなかった。対象者には研究の趣旨を口頭および文書にて説明し同意を得た。被験者は、座位および 立位バランステストが実施可能であるP1 グループ(19 名)と、立位非自立であり座位バランステス トのみ実施できたP2 グループ(10 名)に分けた。立位バランステストは、介助や補助具を使わずに 60 秒以上の立位姿勢を保持することが必要である。カルテより基本情報(年齢,性別,脳血管疾患 の病型,発症日、身体機能検査)を抽出した。座位バランステストは、被験者に背もたれ、ひじ掛け のないイス上に重心動揺計を設置し、その上に座位を取らせて実施した。全被験者の測定姿位が同じ になるように、被験者は体幹を直立し、両手は大腿部に置き、膝関節 90°屈曲位になるようにした。 また、足には荷重がかからないよう に、座面の高さを調整した。立位バランステストは、重心動揺計上に安静立位を取らせた。両テスト ともに、重心動揺計を用いてCoP 位置の変化を記録した。OKS は、ランダムドットのパタンを被験 者の前で100 cm の距離に設置したスクリーンに、水平方向に 101°、垂直方向に 57°の範囲で投影 した。水平方向刺激(HOKS)の場合、ランダムドットパタンを水平方向移動させた。時計回り方向 刺激(TOKS)の場合、ランダムドットパタンが、被験者の目の高さの矢状軸を中心に回転した。OKS 方向は、各患者の麻痺側方向を基準として定義した。RHP の患者の場合、麻痺方向側 OKS(PD-OKS) はHOKS では右方向、TOKS では時計回り、非麻痺側方向 OKS(NPD-OKS)は HOKS では左方向、 TOKS では反時計回りとした。コントロールとして、静止したランダムドットパタンを提示する Stationary 条件を調べた。OKS の速度は 20°/ s とし、記録中(30 秒)は常に提示した。被験者には、 視野を広くし、前方を見ているように指示した。各刺激において、総軌跡長、動揺面積を動揺の指標 として、また平均動揺位置(Sway mean)を一方向荷重偏移の指標として求めた。さらに、OKS によ るCoP の一方向偏移分を直接評価するために、OKS 中の Sway mean から、Stationary 時の Sway mean を差し引いた(Δx-shift)を求め、OKS が CoP 偏移に及ぼす影響を調べた。

結果

① P1 グループにおいては、HOKS の効果のみ調べた。Stationary OKS 時の Sway mean は、わずか に非麻痺側に偏移していた。CoP は PD-OKS により麻痺側に有意に偏移し(P<0.01)、NPD-OKS によ り非麻痺に偏移した(P<0.05)。Δx-shift は、PD-OKS および NPD-OKS のいずれにおいても正の値を 示し、刺激方向にCoP が偏移したことを意味する。特に麻痺側方向に大きく偏移し、OKS 効果の非 対称性を示した。P1 グループに対して座位バランステストを行った結果、座位時においても、CoP が有意に偏移することが分かった。しかしその偏移の大きさは立位時よりも小さかった。立位時と座 位時の各々におけるΔx-shift の値には、正の相関がみられ、立位、座位の違いに関係なく OKS の効 果が維持されることが分かった。座位においては、TOKS による効果も調べ、HOKS に刺激方向への 有意な偏移効果を示した。②P2 グループへの OKS による CoP 偏移の影響を調べた結果では、P1 グ ループによる結果と同様に、PD-OKS では CoP が NPD-OKS 時よりも大きな偏移を示すことが確認さ れた。

(3)

本研究により、OKS が立位時と同様に座位においても CoP の明らかな偏移を生じること、さらに 立位非自立患者に対しても同様にCoP の偏移を引き起こすことが明らかになった。このことは、OKS アプローチが立位非自立患者に対しても有意に CoP 偏移を誘発できることを示す。脳卒中患者はリ ハビリテーションを早期に開始するほど、回復が良いことが知られていることから、OKS アプロー チが発症早期の脳卒中患者のバランス練習に応用できる可能性が強く示唆された。 結論 OKS は、立位が自立していない脳卒中片麻痺患者の CoP を有意に偏移させることが可能であった。 この結果は、OKS アプローチが、これまでよりの広い範囲の患者、すなわち立位姿勢を保持できな い患者から歩行が自立している患者に至るまで適用範囲を拡張できる治療方法であることを示唆し ている。

論文審査結果の要旨

【背景と目的】脳卒中患者は非麻痺側に荷重バランスがかかる非対称の姿勢を取ることが知られ ている。麻痺側荷重量が少ない患者は静的バランス能力や日常生活動作能力および歩行能力が低 く、非対称性を改善することが患者のリハビリテーションにおける重要な課題である。視運動性 刺激(OKS)を用いた荷重偏移は脳卒中患者の立位姿勢障害の改善に効果をもたらすことが示唆さ れているものの、一方向性の荷重偏移に注目し、さらに立位非自立患者においてその効果を検証 した研究はなかった。本研究は、単純な OKS が立位非自立脳卒中患者の荷重偏移に与える効果を 明らかにすることを目的として、立位保持が可能な患者において立位、座位両方で麻痺側へ荷重 偏移を引き起こせること、また、立位非自立患者の麻痺側荷重偏移を促すことができることの検 証を行った。さらに、歩行能力のリハビリテーションに有用と考えられるヘッドマウントディス プレイによる仮想現実 OKS 法を開発し、健常者において歩行時の荷重偏移を引き起こすことが可 能かどうかを検証した。 【方法】発症から 4 ヶ月未満の亜急性期の初発脳卒中患者 29 名(右片麻痺 17 名、左麻痺 12 名、 平均年齢 72 歳)を対象として研究を行った。被験者は、座位および立位バランステストが実施可 能である P1 グループ(19 名)と、立位非自立であり座位バランステストのみ実施できた P2 グル ープ(12 名)に分けて実験を行った。座位バランステストは背もたれ、肘掛けのない椅子に重心 動揺計を設置し、その上に座位を取らせて実施した。立位バランステストは重心動揺計上に安静 立位を取らせて実施した。OKS は、ランダムドットのパターンを被験者の正面 100cm の距離に設 置したスクリーン上に投影した。水平方向刺激(HOKS)は、ランダムドットパターンを水平方向 に一方向に移動させる。回旋刺激(TOKS)は、被験者の目の高さを中心にランダムドットを回転 させた。刺激速度は 20°/s とし、30 秒の測定を行った。コントロールとして、静止したランダ ムドットパターンを提示する Stationary 条件で測定を行った。各刺激において、総軌跡長、動揺 面積を動揺の指標として、また平均動揺位置(Sway mean)を一方向荷重偏移の指標として求めた。 さらに、OKS による一方向偏移を直接評価するために、OKS 中の Sway mean から Stationary 時の Sway mean を差し引いたΔx-shift を指標として用いた。

(4)

レイを用いた OKS による荷重偏移の実験を行った。ヘッドマウントディスプレイにより Stationary 条件、HOKS および TOKS を提示した。OKS 刺激は 20, 40, 60, 80, 100°/s で行い、 刺激中の重心動揺を計測した。また、歩行解析では、OKS 刺激時の歩行軌跡、歩行サイクル、左 右の足底圧の計測を行った。 【結果】P1 グループの脳卒中患者において、立位時の Sway mean は非麻痺側に偏移していたが、 麻痺側方向への OKS 刺激により麻痺側方向へ偏移した。非麻痺側方向への刺激も同様に刺激方向 への重心偏移が認められた。Δx-shift は、麻痺側、非麻痺側刺激ともに正の値を示したことか ら、どちらの刺激によっても刺激方向への重心偏移を誘導することが可能であることが明らかと なった。特に麻痺側方向への刺激で大きく偏移したことから OKS の効果は非対称であった。座位 時においても同様に刺激方向へ重心偏移を起こすことが示されたが、効果は立位時よりも小さか った。しかしながら、立位時と座位時のΔx-shift には正の相関が見られたことから、立位、座 位にかかわらず OKS の効果が維持されることがわかった。P2 グループにおいても、P1 グループと 同様に座位時の OKS による刺激方向への重心偏移が確認され、麻痺側方向刺激のほうが大きな偏 移を引き起こすことも示された。 ヘッドマウントディスプレイを用いた OKS により、安静立位時において刺激方向へ重心が偏移す ることを確認した。さらに歩行中の OKS により刺激方向へ歩行の軌跡が偏ることを確認し、TOKS がより効果的であることを示した。歩行サイクルの解析を行ったところ、立脚相、遊脚相の時間 は Stationary 刺激中は左右に差が認められなかったが、OKS 時は、刺激方向の脚の立脚相が有意 に長くなることがわかった。また、足底圧の重心が左右両足とも刺激方向に偏移していた。 【考察】本研究から、①OKS により、脳卒中患者の立位時および座位時の重心偏移を引き起こす ことが可能であることを示した。②立位非自立の患者においても同様に座位時の重心偏移を起こ すことができた。これらのことから、OKS がより早期の立位非自立の脳卒中患者のリハビリテー ションにも適用可能であることを示唆する。また、ヘッドマウントディスプレイを用いた OKS に より安静立位時の重心偏移が観察され、歩行の軌跡や歩行時の重心を刺激方向に偏移させること が可能であることを示した。すなわち、ヘッドマウントディスプレイを用いた OKS を脳卒中患者 の歩行リハビリテーションに適用できる可能性を示唆する。 【結論】 本論文は、脳卒中患者において、OKS により立位時および座位時の重心偏移を効率的に引き起こ すことができることを示し、また歩行時に OKS 提示が可能なシステムを開発して歩行リハビリテ ーションへの応用の可能性を切り開いたという点において極めて高く評価できる。今後、脳卒中 患者においてヘッドマウントディスプレイを用いた OKS を行うことで、新しいリハビリテーショ ン法が確立されることが期待される。全ての実験は信頼できる一般的な方法で進められている。 データに捏造や改ざんの痕跡は認められなかった。 以上のことから、本審査委員会は本論文が学位の授与に値すると判断した。

参照

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