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富山県立大学構内の高等菌類調査

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富山県立大学構内の高等菌類調査

橋屋 誠*・井口 潔**・鈴木 敏彦・平野 嘉孝・川崎 正志・佐藤 幸生

(工学部教養教育)

富山県の生物多様性の解明および本学の環境教育における生物的側面、生物群集の理解に資するために、本学構内にお いて高等菌類を調査した結果、26 科 49 属 103 種、224 点の標本が得られた。今回の調査で、ワカクサタケ、ヤマジノカレ バタケ、アミガサホウライタケ、シロカレハタケ、サビイロオチバタケ、ヒメヒトヨタケ、ナヨタケモドキ、コクサウラ

ベニタケ、アイバクロハツ ss K.Iguchi、Russula cf.illota Romagn.、ハイムラサキタンメンタケ(池田仮称)、チヂレタ

ケ、ミノタケ、Gelatinipulvinella astraeicola Hosoya & Y.Otani、Phacidium sp.の 15 種の富山県初記録(北陸地域初

記録を含む)の高等菌類を記録した。 キーワード:生物多様性、高等菌類、富山県初記録

1.はじめに

富山県は自然が豊かな県として知られており、 動物や植物に関する調査研究は比較的進んでいて、 「富山県植物誌」等の成果が報告されている。し かし、高等菌類に関する調査は極めて少なく、本 県における生物多様性の解明、あるいは生物資源 の探索・利用のためには、高等菌類の調査が緊急 の課題である。本研究は、富山県立大学学長裁量 経費教養教育重点領域研究遂行支援課題「富山県 における生物多様性の解明と生物群集の理解に向 けてー本学における植物相と菌類相の調査」の一 環として実施したものであり、富山県の生物多様 性の解明および生物資源探索・利用に資すると共 に、本学における環境教育の生物学的側面の充実 を図ることを目的としている。 ところで、高等菌類のフロラ調査の場合、調査 地で発生した子実体(きのこ)を採集し、記録す る方法がとられることが多い。しかし、きのこの 発生は調査地の季節(気温や降水など)によって *富山県中央植物園 **菌類懇話会 左右され易く、1度の調査ではその場所のフロラ を調査できたとは言えず、何度も同じ調査地へ出 かける必要がある。 現在、富山県中央植物園では、友の会きのこ部 会員とともに富山県内各地で高等菌類のフロラ調 査を行っており、現在これまでに集められた標本 のリストを作成中である。しかし、富山県内は広 いため同一の場所を定期的に調査した例はまだ少 なく、南砺市縄ヶ池 2006(橋屋 未発表)、射水市 中太閤山薬勝寺池公園 2008(友の会きのこ部会 未 発表)しかなく、これも1ヶ月間隔の調査となっ ている。本報告では、比較的調査し易い富山県立 大学構内で、より短い間隔で調査を行った。

2 調査方法

調査地は、富山県射水市(旧小杉町)黒河にあ る富山県立大学構内で、構内を6つのエリアに分 け(図1)、2009 年7月から 11 月まで5ヶ月間、 ほぼ半月毎に計 10 回の調査を行った。調査は、エ リア毎に見られたきのこを全て記録・採集し、採 れたきのこは富山県中央植物園において 60℃送風 で乾燥し、乾燥標本にした。標本はスチロール製

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の小箱に入れて、富山県中央植物園に保管されて いる。調査は毎回橋屋が行ったが、時には植物園 友の会きのこ部会員などが加わって行った。また 8月1日、9月4日、9月 25 日には井口も加わり 調査を行った。

3.調査地の特色

調査地である富山県立大学の敷地は、射水丘陵 の北端に位置し、近くを北陸道が通るなど古くか ら人間生活が営まれており、丘陵地であるが里山 に近い環境であったと思われる。大学構内には開 学以前よりあったと思われるモミの巨木が見られ る反面、富山県には自生しないシラカシやゲッケ イジュなども植栽されている。構内北西部の短期 大学部校舎付近は建物完成から約 50 年経っており、 植栽された樹木も大きく生育しており地上には蘚 苔類や下草も育っているなど、比較的安定した環 境である。他方、構内東部と南部の校舎は約 20 年 前に建てられたもので、校舎の縁部が芝生に覆わ れ、ここにシラカシなどが植栽されている。

4 結果および考察

今回の調査では、224 個の標本が採集でき、26 科 49 属 103 種に同定出来た(分類は今関・本郷 1987,1989 を中心に、一部新しい知見を入れて配列 した)。この中にはワカクサタケ、ヤマジノカレバ タケ、アミガサホウライタケ、シロカレハタケ、 サビイロオチバタケ、ヒメヒトヨタケ、ナヨタケ モドキ、コクサウラベニタケ、アイバクロハツ ss K. Iguchi、Russula cf.illota Romagn.、ハイム ラサキタンメンタケ(池田仮称)、チヂレタケ、ミ ノタケ、Gelatinipulvinella astraeicola Hosoya & Y.Otani、Phacidium sp.など 15 種の富山県初記 録(北陸地域初記録を含む)の高等菌類が記録で きた。 調査地の概要 大学構内を6つのエリアに分けて調査を行った。 各エリアで見られた特徴あるきのこの種名と、こ こに生育する主だった樹木の紹介をする。 エリア1 短期大学部の校舎付近で、造成されて約 50 年経 つため植えられた樹木も大きく成長している。地 表面は蘚苔類やイネ科の草本に覆われ湿度も高い。 また外生菌根を作る樹種も多く、このエリアでし か見られない樹種としてはモミやマテバシイがあ る。これらの樹下ではアカモミタケやアイバシロ ハツ、ニオイワチチタケなど多くの外生菌根形成 菌が見られた。他にこのエリアで外生菌根を作る 樹種にはコジイやヒマラヤスギがある。このエリ アで採集された標本は 73 点で、今回の調査で得ら れた全標本の 32.6%にもなった。これはエリア1 が高等菌類の生育に適しており、このエリアの多 様性が高いことを示すものと思われる。エリア1 で得られた標本のうち富山県初記録になる種類に は、ワカクサタケ、サビイロオチバタケ、シロカ レハタケ、コクサウラベニタケ、ハイムラサキタ ンメンタケ(池田仮称)、ミノタケ、葉ふるい病菌 の一種がある。またエリア1でしか記録されなか った種類としては、ウスヒラタケ、アカチシオタ ケ、キヌモミウラタケ、モチゲチチタケ(橋屋仮 称)、ヒメキクラゲがあげられる。 エリア2 短期大学部の校門付近で、調査地の中でより樹 木が茂っており湿度も高いため、当初このエリア のきのこが一番多く見られるのではと思われた。 しかし、調査地の面積が小さいためかこの得られ た標本は 30 点で、全標本数の 13.3%にしかならな かった。このエリアのみで見られた種類には、ア シボソトマヤタケ、キヒダタケ、オリーブサカヅ キタケ、チヂレタケ、ナヨタケモドキ、ヒメヒト ヨタケで、後の4種はいずれもリターを分解する 腐生菌である。 エリア3 短期大学部の北側にあたり、他のエリアには見 られないナラガシワ(ブナ科)が3本あること、 茶室が建てられている付近は草本の刈り込みもな く湿度も保たれていることなどから、外生菌根形

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成菌には適した生育場所と思われる。エリアの西 端にはモウソウチクも植栽されているが本数が少 なく、モウソウチクの落ち葉によって林床が覆わ れるまでには至っていない。アカマツが見られる 唯一のエリアでもあり、ここではマツ属の樹木と 外生菌根をつくるヌメリイグチなどが採集されて いる。このエリアでしか見られなかった種には、 ハダイロガサ、アミガサホウライタケ、ヒメコナ カブリツルタケ、ヒメヒガサヒトヨ?、キウロコ タケ、ザラツキカタカワタケ、ホコリタケがある。 エリア4 太閤池の南側で大学校舎の間の狭いエリアであ る。エリア西側はキリやハナミズキが見られる草 原で、草の刈り込みが行われるため比較的乾燥し ており、この場所ではきのこはまったく見られな かった。エリア東側には大学の厚生棟があり、こ の建物で影になる部分はやや湿度が保たれる上に、 北側にある太閤池の法面にはクヌギやコナラが見 られることから、これらと外生菌根を作るきのこ が採集された。このエリアでのみ見られた種類に は、キヌハダトマヤタケやオオミアセタケ?があ る。このエリアで採集したすべての標本は 14 点で、 これは全体の 6.3%にしか過ぎなかった。この理由 としては、標本が得られた場所も西日の当たる草 原で、地表が乾燥するためではないかと想像され る。 エリア5 大学校舎の東側にあたり、車道に沿って全面に 芝生が張られ、一列にシラカシが植栽されている。 またエリア北端の一部にはコナラも植えられてい る。全体が新しい造成地であり、表面を覆う芝生 も定期的に刈り込みがされるため、地表は乾燥す る傾向にある。しかし、雨が続くとシラカシやコ ナラと外生菌根を作るテングツルタケやアシボソ トマヤタケ、フウセンタケモドキ、フウセンタケ 属の一種、ニオイワチチタケなどが発生した。エ リア5で得られた 26 点の標本中、外生菌根形成菌 は 20 点でこの割合は 76.9%にもなり、全エリアの 中でもっとも高かった。今後、植栽された樹木が 成長すると、樹陰の芝は衰弱すると思われるが、 土中の湿度はより保たれるため、現在以上に外生 菌根形成菌が発生する可能性があるものと思われ る。 エリア6 大学校舎の南側にあたり、エリア5と同じよう に芝生にシラカシなどが植栽されている。しかし 植栽の時期がブロック5より早いためかシラカシ がより広く地面を被覆しており、この樹下は湿度 も高く保たれている。この樹下ではアセタケの仲 間が6種も採集され、他のエリアでは見られない アンズタケも採集された。エリア6の西側には芝 生に覆われた築山があり、ここには記念樹として クロマツが植栽されていて、これと外生菌根をつ くるアカハツが採集されたほか、この芝生上では 他のエリアでは見られないアカヤマタケ属の一種 やシバフウラベニタケが見られた。上記以外にこ のエリアにのみ見られた種類は、外生菌根菌のザ ラツキトマヤタケやミナカタトマヤタケ?、アセ タケ属の一種②、ワカフサタケ属の一種、コウジ タケ、チャイボタケ、腐生菌のコザラミノシメジ、 ハナウロコタケ、クロアシボソノボリリュウタケ、 ササクレヒトヨタケなどがある。

5 全体を通して

高等菌類の発生は、気温とともに降水量にも大 きく左右される。調査日の数日前に雨が降ればき のこの発生も多く、数日間乾燥が続けば発生は少 なくなる。調査地のエリア4、5、6は、周囲の 校舎が建てられて約 20 年と、植栽された樹木もま た若いため、地面は充分に被覆されておらず芝生 が発達している。またこの芝生も定期的に刈り込 みをされるため、地面はより乾燥する。調査を行 った 2009 年は、平年に較べて7月から8月中旬の 気温が低く降水量も多かったため、夏季における きのこの発生量は多かった。しかし、8月下旬か ら9月にかけては降水量が少なかった。富山地方 気象台の記録によれば、9月の降水量は、過去 30

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年の平均では 230.0mm あるものが、2009 年は半分 にも満たない 105.5mm であった。このため秋雨期 に発生するきのこが非常に少なかった。この傾向 は全国的で、特に中部日本以西で著しかったと思 われる。今回の調査でも8月1日には 69 標本得ら れたものが、9月4日には 13 標本しか得られて いない。また樹木が植えられてより年月が経って いる短期大学部周辺のエリア1・2・3で得られ た標本は合計 144 点で、これは全標本の約2/3 に当たる 64.3%を占める。これから大学構内にお いてエリア1・2・3はより高等菌類が多く見ら れる地域であると言えるだろう。

6 特筆すべき種類

今回の調査で見られた種類の中で特筆すべきも のを列挙する。なお、文中の番号は中央植物園に 保管されている高等菌類の標本番号を示す。 ヤマジノカレバタケ(キシメジ科) Gymnopus biformis (Peck) Halling

今回の調査ではエリア1・3・5で、8月~9 月に、地表のリターから発生しており、今回の調 査では総数8個の標本が得られた。腐生菌であり、 草本のリターなどから発生するため、全国的に分 布するものと思われるが、これまであまり記録が ない。これは本種の所属するモリノカレバタケ属 の分類が難しく、また本種が日本の文献にはほと んど紹介されていないためと思われる。今回の記 録が北陸地域では初記録になる。 サビイロオチバタケ(キシメジ科) Marasmius fulvoferrugineus Gilliam エリア1のみで採集された種類で、上にフジ棚 の あ る シ ャ リ ン バ イ の 茂 み の 下 で 見 ら れ た (No.9708,9872,10046,10181)。この場所はリター の吹き溜まりとなっており、本種の菌糸が落葉ど うしをくっつけ、菌糸が淡黄色のマット状になっ て広がっていた。本種も記録が少ないが、これは 子実体の肉眼的所見が本種と類似したハナオチバ タケやハリガネオチバタケと混同して記録されて いる可能性が高いためではないかと思われる。北 陸地域の初記録になる。 アイバクロハツ(ベニタケ科)

Russula dissimulans Shaffer ss K. Iguchi 井口によって同定されたもの(No.9739, 10199, 10217)で、大学構内ではエリア3のナラガシワ樹 下で採集された。これも記録の少ない種で、今回 が北陸地域の初記録になる。アイバクロハツの記 録が少ない理由としては、国内でまだこの種が広 く認識されておらず、クロハツに較べてややひだ の間隔が狭い本種の特徴が、クロハツの変異幅と してとらえられ、クロハツとして記録されている た め と 考 え る 。 な お 、 Singer ( 1986 ) は 、R. dissimulans についてクロハツの一亜種と見なす べきではないかとコメントしている。 チヂレタケ(コウヤクタケ科)

Plicaturopsis crispa (Pers.) D.A. Reid 2009 年 11 月 22 日、大学構内エリア2の枯れた 木の枝が積み上げられた中で、ソメイヨシノの枯 枝上に発生した本種を橋屋が採集した(No.10371)。 また 2009 年 11 月3日には、富山市(旧大沢野町) 寺家の猿倉山で、ソメイヨシノ落枝上に発生した 本種を、植物園友の会きのこ部会の澤田和子氏が 採集されている(No.10323)。本種はこれまで北陸 地域では採集例がなく、今年富山県で採集された 上記2点の標本が北陸地域での初記録になる。 ミノタケ(サルノコシカケ科)

Trametes cervina (Schwein.) Bres. 大学構内エリア1にあるポプラ切株上で、8月 1日(No.9701)と9月4日(No.9871)の2回採 集した。本種は広葉樹枯木に生え、伊藤(1955) によれば北海道・本州に分布するとされているが、 これまで北陸地域での報告はなく、今回が富山県 下からの初記録になる。 葉ふるい病菌の一種 Phacidium sp.

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大学構内エリア1のコウヤマキ落葉上で、2009 年9月 25 日に採集した(No. 10187)。本種は針葉 樹の葉上に微小な唇形の子実体を発生する。北陸 地域では初記録になる。 ゲラティノプルウィネルラ属の一種 Gelatinipulvinella astraeicola Hosoya & Y. Otani

大学構内エリア2において、古いツチグリの外 皮裂片の内層上で、2009 年8月1日に採集した(No. 9730)。微小な盤菌類の一種で、命名者である細 矢(私信)によれば、本種の分布は日本全国で、 これは生育する基質であるツチグリの分布に一致 すると言う。本種はこれまで北陸地域での記録が なかった。今回の記録が初記録になる。 カヤバノクヌギタケ(キシメジ科)(池田仮称) Mycena sp. 大学構内エリア1のマテバシイ樹下に生えたイ ネ科草本の株上で、7月5日に採集した(No.9485)。 側シスチジアは長いフラスコ型で、中に赤色内容 物を含んでおり、これと他の形態特徴と合わせて 池田(2005)のカヤバノクヌギタケ(仮称)と同 定した。池田(2005)は本種の産地として石川県 のみを上げているが、橋屋はこれまで同種と思わ れ る 標 本 を 富 山 市 婦 中 町 新 町 で も 得 て い る (No.8190)。本種は上記のような特筆的な特徴が あるので、今後は本種の所属を明らかにして、新 種であることが明らかになれば新種記載したく考 える。 テングツルタケ(テングタケ科)

Amanita ceciliae (Berk. & Broome) Bas 今回の調査ではエリア1・2・3・5で、比較 的気温の高い7月~9月に、シラカシなどブナ科 の樹木の下から発生しており、今回の調査で記録 した種の中ではもっとも標本数の多い 11 個が得ら れた。これは全標本中の 4.9%にあたる。本種はブ ナ科の樹木と外生菌根を作っているが、本来シラ カシは富山県内には分布しておらず、他県より持 ち込まれて植栽された樹木であるので、本種は他 地域から移入されたものである可能性もある。し かし、本種は県立大学に近い薬勝寺池公園でも自 生のコナラ樹下で採集されているため、この地域 では以前から多く生育している種なのかもしれな い。 アシボソトマヤタケ(フウセンタケ科) Inocybe acutata Tak. Kobay. & Nagas. 大学構内エリア5の植栽されたシラカシ樹下で、 2009 年8月1日に採集した(No. 9755)。アセタケ 属菌は外生菌根を作るので、相手は県内には自然 分布しないシラカシと思われる。本種は全国的に も採集例が少なく、富山県内では橋屋(2004)で 3ヶ所の記録があるものの、北陸地域の他県では 記録がない。しかし、富山県の採集地も近年に樹 木を植栽した場所であるため本種は他所から移入 した可能性もある。構内には多数のシラカシが植 栽されているが(エリア5、6など)、本種が採集 されたのは1本のシラカシ樹下であった。今後本 種は、この場所から消滅するのか、逆に分布を広 げて行くのかは非常に興味深い。 オオワライタケ(フウセンタケ科) Gymnopilus junonius (Fr.) P.D. Orton 大学構内エリア1にあるコジイの根元で、9月 25 日(No.10176)および 10 月2日(No.10212)の 2回採集した。本種は、常緑性ブナ科樹種である シイやカシ類、落葉性ブナ科樹種であるミズナ ラ・コナラなどの大径木の根際などに発生するこ とが多く、県内では各地で見られるものの、その 多くは神社境内や植生の安定した場所に発見され る。県立大学付近の潜在植生はシイ・カシなどの 常緑広葉樹林であったと思われ、付近の日の宮神 社などにもその片鱗が見られる。大学構内のオオ ワライタケもこれら樹木と共に生活していた可能 性が高い。 アカモミタケ(ベニタケ科)

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nud.)

大学構内エリア1のモミ樹下で、2009 年 11 月6 日に採集した(No.10332)。本種が外生菌根を作っ ているモミは独立樹であるが、本種以外にも、 Russula cf.illota Romagn.(No.9721,9825)、ア イバシロハツ(No.9491,9516)、アセタケ属の一種 ① ( No.10333 )、 フ ウ セ ン タ ケ 属 の 一 種 (No.10334,10368)など複数種のきのこが外生菌 根を作っている可能性がある。モミは日本固有種 で、本州以南の温帯域に分布するが、県内では北 西部に多く見られるものの、他では社寺林などに 点在しているのみである。構内のモミもその樹高 や胸高直径などから考えて、開学以前より同地に あったものと思われるので、このモミを保存する ことは大学構内の菌類多様性を保つ意味でも重要 であると思われる。

謝辞

本研究は、富山県立大学学長裁量経費教養教育 重点領域研究遂行支援課題「富山県における生物 多様性の解明と生物群集の理解に向けて」および 富山県高等教育振興財団の助成を得て行ったもの である。また、本研究を遂行するにあたり、富山 県中央植物園友の会のきのこ部会会員のご協力を 得たことを記して感謝する。

引用文献

池田良幸.2005.北陸のきのこ図鑑.394pp.橋本 確文堂,金沢. 今関六也・本郷次雄.1987.原色日本新菌類図鑑 (Ⅰ).325pp.保育社,大阪. 今関六也・本郷次雄.1989.原色日本新菌類図鑑 (Ⅱ).315pp.保育社,大阪. 伊藤誠哉.1955.日本菌類誌 第二巻第四号.450pp. 養賢堂,東京. 橋屋 誠.2004.富山県高等菌類資料(2).富山 県中央植物園研究報告��65-71.

Singer, R. 1986 . The Agaricales in Modern Taxonomy. 4th. and rev.ed. 981pp. +88pls. Koeltz Scientfic Books, Koenigstein.

The investigation of higher fungi

in Toyama Prefectural University

Makoto Hashiya*, Kiyoshi Iguchi**, Toshihiko Suzuki, Yoshitaka Hirano,

Masashi Kawasaki and Yukio Sato

Department of Liberal Arts and Sciences, Faculty of Engineering

* Botanic Gardens of Toyama,

** KINRUIKONWAKAI

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種番号 和       名 学           名 7 月 5 日 7 月 1 4 日 8 月 1 日 8 月 1 7 日 9 月 4 日 9 月 1 7 日 9 月 2 5 日 1 0 月 2 日 1 1 月 6 日 1 1 月 2 2 日 1 ウ ス ヒ ラ タ ケ P le ur ot us p ul m on ar iu s (F r. ) Q u é l. ①* 2 ハダ イ ロ ガ サ C am ar op hy llu s pr at en si s (F r. ) P . K u m m . ③ 3 ワ カ ク サタ ケ H yg ro cy be p si tt ac in a (S c h ae ff. ) P . K u m m ① 4 アカ ヤ マ タ ケ 属の一種 H yg ro cy be s p. ⑥ ⑥ 5 オ オ キ ツ ネ タ ケ L ac ca ri a b ic ol or (M ai re ) P .D . O rt on ①② 6 カ レ バ キ ツ ネ タ ケ L ac ca ri a vi na ce oa ve lla ne a H on go ①②③ ①②⑤ ②③ ② ①② 7 カ ヤ タ ケ 属の一種 C lit oc yb e s p. ① 8 ヒ ナ ノ ヒ ガ サ R ic ke ne lla f ib ul a (B u ll. ) R ai th e lf ④ ① ① ① ①③ 9 オ リ ー ブ サ カ ズ キ タ ケ G er ro ne m a ne m or al e H ar . T ak ah . ② 1 0 コザラ ミ ノ シ メ ジ M el an ol eu ca m el al eu ca (P e rs .) M u rr ill ⑥ ⑥ 1 1 ヤ マ ジ ノ カ レ バ タ ケ G ym nop us b ifor m is (P e c k) H al lin g ①⑤ ①⑤ ③⑤ ① 1 2 モリ ノ カ レ バタ ケ 属の一種 G ym no pu s s p. ① 1 3 シロ ホ ウ ラ イ タ ケ 属の一種 M ar as m ie llu s s p. ① 1 4 ア ミ ガ サ ホ ウ ラ イ タ ケ M ar as m iu s br un ne os pe rm us H ar . T ak ah . ③ 1 5 サビ イ ロ オ チ バタ ケ M ar as m iu s fu lv of er ru gi ne us G ill ia m ① ① ① ① 1 6 オ オ ホ ウ ラ イ タ ケ M ar as m iu s m ax im us H on go ① 1 7 シ バ フ タ ケ M ar as m iu s or ea de s (B ol ton ) F r. ②⑥ 1 8 シ ロ カ レ ハ タ ケ M ar as mi us p ra si os mu s (F r. ) F r. ① 1 9 ホ ウ ラ イ タ ケ 属の一種 M ar as m iu s s p. ① 2 0 カ ヤ バノ ク ヌ ギ タ ケ ( 池田仮称) M yc en a s p. ① 2 1 ア カ チ シ オ タ ケ M yc en a cr oc at a (S c h ra d. ) P . K u m m . ① 2 2 ニ オ イ ア シナガ タ ケ M yc en a fil op es (B u ll. ) P . K u m m . ② 2 3 チ シ オ タ ケ M yc en a ha em at op us (P e rs .) P . K u m m . ① 2 4 ア シナガ タ ケ ? M yc en a c f. po ly gr am m a (B u ll. ) G ra y ③ 2 5 ヒ メ コナ カ ブ リ ツ ルタ ケ A m an it a fa ri nos a S c h w e in . ③ ③ 2 6 テ ン グ ツ ル タ ケ A m an it a ce ci lia e (B e rk . & B room e ) B as ⑤ ②③⑤ ⑤ ② ② ①②⑤ ① 2 7 ツ ルタ ケ A m an it a va gi na ta (B u ll. ) L am . v ar . va gi na ta ③ 2 8 テ ン グ タ ケ 属の一種 A m an it a s p. ③ 2 9 キ ツ ネ ノ ハ ナ ガ サ L eu co co pr in us f ra gi lis si m us (B e rk . & M .A . C u rt is ) P at . ① 3 0 シワ カ ラ カ サタ ケ 属の一種 C ys to le pi ot a cy st op ho ra (M al e n ç on ) B on ① 3 1 ササク レ ヒ ト ヨ タ ケ C op ri nu s co m at us (O .F . M ü ll. ) P e rs . ⑥ ⑥ ⑥ 3 2 ヒ トヨ タ ケ C op ri no ps is a tr am en ta ri a (B u ll. ) R e dh e ad , V ilg al ys & ⑤ 3 3 ヒ ト ヨ タ ケ 属の一種 C op ri no ps is s p. ⑥ ③ 3 4 ヒ メ ヒ トヨ タ ケ C op ri nop si s fr ie si i (Q ué l.) P .K ar st . ② 3 5 ヒ メ ヒ ガ サ ヒ トヨ ? P ar as o la c f. pl ic at ili s (M .A . C u rt is ) R e dh e ad , V ilg al ys & ③ 3 6 イ タ チ タ ケ P sa th yr el la c an do lle an a (F r. ) M ai re ③ 3 7 ナヨ タ ケ モド キ P sa th yr el la c or ru gi s (P e rs .) K on ra d & M au bl ., ② 3 8 キ コガ サタ ケ C on oc yb e la ct ea (J .E. L an ge ) M é tr od ③ 3 9 キ ヌ ハ ダ ト マ ヤ タ ケ In oc yb e co ok ei B re s. ④ 4 0 ア シナガ ト マ ヤ タ ケ In oc yb e ac ut at a T ak . K ob ay . & N ag as . ⑤ 4 1 コ ブ ア セ タ ケ In oc yb e n od ul os os por a K o ba ya si ④ ⑤ ⑥ 4 2 ア シ ボ ソ トマ ヤ タ ケ In oc yb e c al os por a Q u é l. ② 4 3 カ ブ ラ ア セ タ ケ In oc yb e a st er os por a Q u é l. ①⑥ 4 4 オ オ ミ ア セ タ ケ? In oc yb e c f. m ac ro sp er m a H on go ④ ④ 4 5 ミ ナ カ タ トマ ヤ タ ケ ? In oc yb e c f. gl ab ro di sc a P .D . O rt on ⑤⑥ ⑥ 4 6 ザ ラ ツ キ ト マ ヤタ ケ In oc yb e du lc am ar a (A lb . & S c h w e in .) P . K u m m . ⑥ 4 7 アセ タ ケ 属の一種① In oc yb e s p. 1 ④ ⑥ ⑤⑥ ⑤ ②⑥ ① 4 8 アセ タ ケ 属の一種② In oc yb e s p. 2 ⑥ ⑥ ⑥ ⑥ 4 9 ワ カ フ サタ ケ 属の一種 H eb el om a s p. ⑥ 5 0 フ ウ セ ン タ ケ モ ド キ C or ti na ri us p se ud op ur pu ra sc en s H on go ⑤ ⑤ 5 1 フ ウ セ ン タ ケ 属の一種 C or ti nar iu s s p. ① ① 表  富山県立大学構内の高等菌類( 2 0 0 9 年) *数字は調査地のエ リ アを示す

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種番号 和       名 学           名 7 月 5 日 7 月 1 4 日 8 月 1 日 8 月 1 7 日 9 月 4 日 9 月 1 7 日 9 月 2 5 日 1 0 月 2 日 1 1 月 6 日 1 1 月 2 2 日 5 2 オ オ ワ ラ イ タ ケ G ym no pi lu s ju no ni us (F r. ) P .D . O rt on ①* ① 5 3 ケ コガ サ属の一種 G al er in a s p. ① 5 4 コク サウ ラ ベ ニ タ ケ En tol om a n id or os um (F r. ) Q u é l. ① 5 5 シ バ フ ウ ラ ベ ニ タ ケ E nt ol om a pu lc he llu m (H on go) H on go a d. i n t. ⑥ ⑥ ⑥ 5 6 ク サ ウ ラ ベ ニ タ ケ ? En tol om a c f. rh od op ol iu m (F r. ) P . K u m m . ① 5 7 キ ヌ モ ミ ウ ラ タ ケ E nt ol om a se ri ce llu m (F r. ) P . K u m m . ① 5 8 イ ッ ポ ン シ メ ジ 属の一種 En tol om a s p. ① 5 9 ヌ メ リ イ グ チ S ui llu s lu te us (L .) R ou ss e l ③ ③ 6 0 アワ タ ケ 属の一種 X er oc om us s p. ⑤ ⑤ 6 1 キ ヒ ダ タ ケ P hy llo po ru s be llu s (M as se e ) C or n e r v ar . be llu s ② 6 2 コ ウジタ ケ B ol et us f ra te rn us P e c k ⑥ 6 3 イ グ チ 属?の一種 ? B ol et us s p. ③ 6 4 アイ バシ ロ ハツ R us su la c hl or oi de s (K rom bh .) B re s. ① ① ③ ① ① 6 5 ク ロ ハツ モ ド キ R us su la d en si fo lia S e c r. e x G ill e t ① ① ①②③ ② 6 6 アイ バク ロ ハツ R us su la d is si mu la ns S h affe r s s K . I gu c h ③ ③ ③ 6 7 ベ ニ タ ケ 属ク サハツ 節の一種 R us su la c f. ill ot a R om ag n . ① ① 6 8 キ チ ャ ハ ツ R us su la s or or ia F r. ②③ ③④⑤ ③④ ⑥ ① 6 9 ニ オ イ コ ベ ニ タ ケ R us su la b el la H on go ④ ① ②③⑥ ⑥ ② ② ② 7 0 カ ワ リ ハツ の一変種 R us su la c ya no xa nt ha (S c h ae ff. ) F r. v ar . va ri at a B an n in g e x S in ge r s s K . Ig u c h i ③⑤ 7 1 ヨ ヘ イ ジ モ ド キ ? R us su la c f. m el lio le ns Q u é l. ① 7 2 チ ギ レ ハツ R us su la v es ca F r. ③ ⑥ 7 3 ベ ニ タ ケ 属の一種 R us su la s p. ① ① ③ ① 7 4 ニ オ イ ワ チ チ タ ケ L ac ta ri us s ub zo na ri us H on go ① ④ ①⑤ ⑤ 7 5 モチ ゲ チ チ タ ケ ( 橋屋仮称) L ac ta ri us s p. ① 7 6 ハダ イ ロ チ チ タ ケ ( 下野仮称) L ac ta ri us s p. ① ② ① ⑤ ② 7 7 チ チ タ ケ 属の一種 L ac ta ri us s p. ⑥ 7 8 ア カ ハ ツ L ac ta ri us a ka ha ts u T an ak a ⑥ 7 9 ア カ モ ミ タ ケ L ac ta ri us la et ic ol or (S . I m ai ) I m az . (n om . n u d. ) ① 8 0 ア ン ズ タ ケ C an th yr el lu s ci ba ri us F r. ⑥ ⑥ 8 1 カ レ エダ タ ケ モ ド キ C la vu lin a ru go sa (B u ll. ) J .S c h röt . ③④ 8 2 ハイ ム ラ サキ タ ン メ ン タ ケ ( 池田仮称 C la vu lin a s p. ① 8 3 キ ウ ロ コ タ ケ S te re um h ir su tu m (W ill d. ) P e rs . ③ 8 4 ハナ ウ ロ コタ ケ S te re op si s bu rt ia na (P e c k) D .A . R e id ⑥ 8 5 チ ヂ レ タ ケ P lic at ur op si s cr is pa (P e rs .) D .A . R e id ② 8 6 チ ャ イ ボ タ ケ T he le ph or a te rr es tr is E h rh . ⑥ ⑥ 8 7 ア ミ ス ギ タ ケ P ol yp or us a rc ul ar iu s (B at sc h ) F r. ③④ ①③④ 8 8 ミ ノ タ ケ T ra m et es c er vi na ( S c h w e in .) B re s. ① ① 8 9 カ ワラ タ ケ T ra m et es v er si co lo r (L .) L loy d ① 9 0 ツ チ グリ A st ra eu s hy gr om et ri cu s (P e rs .) M or ga n ① ① 9 1 ザ ラツ キ カ タ カ ワ タ ケ S cl er od er m a ve rr uc os um (B u ll. ) P e rs . ③ 9 2 ニ セ ショ ウ ロ 属の一種 S cl er od er m a s p. ⑤ ① ② 9 3 ノ ウ タ ケ ?( 幼菌) C al va ti a c f. cr an iif or m is (S c h w e in .) F r. ③ 9 4 ノ ウ タ ケ 属の一種 C al va ti a s p. ③ 9 5 チ ビ ホ コ リ タ ケ L yc op er do n de rm ox an th um V it ta d ① 9 6 ホ コ リ タ ケ L yc op er do n pe rl at um P e rs . ③ ③ 9 7 ホ コリ タ ケ 属の一種 L yc op er do n s p. ④ 9 8 ヒ メ キ ク ラ ゲ E xi di a gl an du lo sa (B u ll. ) F r. ① 9 9 ズ キ ン タ ケ L eo ti a lu br ic a (S c op .) P e rs . f. lu br ic a ⑤ ② 1 0 0 ク ロ ア シ ボ ソ ノ ボ リ リ ュ ウ タ ケ H el ve lla a tr a J . K ön ig ⑥ 1 0 1 ク ロ ノ ボ リ リ ュ ウ H el ve lla la cu no sa A fz e l. ⑤⑥ ⑥ 1 0 2 ゲ ラ テ ィノ プ ルウ ィネ ルラ 属の一種 G el at in ip ul vi ne lla a st ra ei co la H os oy a & Y . O ta n i ③ 1 0 3 葉ふる い 病菌の一種 P ha ci di um s p. ① 表  富山県立大学構内の高等菌類( 2 0 0 9 年) ( 続き ) *数字は調査地のエ リ アを示す

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