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<総説>医療の効率化と医療の質 利用統計を見る

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医療の効率化と医療の質

佐 藤  弥

山梨医科大学医学部附属病院医療情報部 要 旨:少子高齢化の進行に伴い,年々国民総医療費は増加しており,医療費の抑制のために医療 の効率化と医療の質の向上が求められている。医療の効率化のためには,単なるコストの削減だけ でなく,常に医療の質の改善が伴うべきである。コストには医療費に加えて患者の費やす時間も含 むと考えられる。医療の質の評価を行うには,構造,過程の評価に加え結果の評価が重要であり, さらに疾患のコード化による DRG 毎の情報による施設間での評価が重要である。アメリカでは DRG / PPS のメディケアへの導入が,DRG,EBM,クリティカルパスの普及を促進したと考えら れる。DRG は疾患別患者分類システムとして比較評価に用いられる。EBM,クリティカルパスは, 医療の質向上の手段として日本でも普及してきている。医療技術の進歩だけではなく,医療の質の 向上や医療の効率化についても考えていく必要がある。 キーワード 医療の効率化,医療の質,DRG,EBM,クリティカルパス 1.はじめに 国民総医療費は年々増加し,高齢化の進行に より今後ますますの伸びが予想されている。対 GDP 比でみると日本は 7.3 %で,世界の先進国 の中でも低い割合を保っており,けっして法外 な医療費を投入しているわけではない(表 1)。 アメリカでは 1980 年代に医療費の急増に対抗 して医師の裁量権への国の介入がおこり,医療 費は抑制された。その結果,医療は市場原理に 基づく競争にまきこまれ,強大化した保険会社 のマネージドケアが隆盛をきわめ,管理医療が 広がることとなった。その中で医療の効率化が 叫ばれ,質の向上が求められている。日本でも 保険制度の違いはあるが,医療費はこのまま増 加を続ければ制度の破綻をきたすことが容易に 想像される。医療機関には医療の効率化による 医療費の抑制が求められ,さらに医療事故報道 の増加などにより医療の情報公開が叫ばれ,質 のよい医療を提供する努力も求められている。 厚生省も医療の質向上と医療費抑制のために日 本 版 DRG/PPS( Diagnosis Related Group/ Prospective Payment System :診断群別包括支 払制度)を導入しようと試行を行っている。 〒 409-3898 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東 1110 山梨医科大学医学部附属病院医療情報部 受付: 2000 年 10 月 16 日 受理: 2000 年 11 月 29 日 表 1.医療費支出の国際比較 % GDP % GDP オーストラリア 8.4 % オランダ 8.6 % オーストリア 7.9 % ニュージーランド 7.7 % ベルギー 7.6 % ノルウェー 7.5 % カナダ 9.0 % ポルトガル 7.8 % フランス 9.6 % スウェーデン 8.6 % ドイツ 10.4 % スイス 9.8 % イタリア 7.6 % イギリス 6.7 % 日本 7.3 % アメリカ 13.5 % 1997 (HFCFA)

総  説

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日本は今医療費の増大により,80 年代のア メリカと同様の状況にあるといえる。国民皆保 険制度により国の医療への介入がある程度あ り,医療費抑制政策がおこなわれているなかで 医療の効率化の問題が浮上し,医療の質改善が 求められてきている。本項では,アメリカの現 代医療制度を概観し,医療の効率化と医療の質 の評価と向上および医療費抑制政策を契機に注 目され日本でも実施されつつあるクリティカル パスや EBM(Evidence Based Medicine)につ いて述べる。 2.アメリカの現代医療1,2) アメリカでは日本のような国民皆保険制度は なく民間の医療保険と 2 つの公的保険(メディ ケアとメディケード)が中心となり,市場原理 に基づいた医療費の設定が行われている。メデ ィケアは 1964 年に開始された 65 歳以上を対象 にした公的保険である。70 年代後半から 80 年 代の初めにかけてメディケアの支出が急速に増 加し,国家財政を圧迫する状態となったため, 支出を抑制する目的で,83 年に DRG/PPS が導 入された。 DRG/PPS では,急性期の入院に対して病名 がついたあと一定額の支払いを受けるシステム であり,入院数が増加しないよう当初は PRO (Peer Review Organization :医療警察)が入院 の事前審査やカルテ審査という医師の裁量権へ の干渉を行った。結果として,入院日数の減少, 外来手術が増加し,医療費の抑制をもたらした。 医療機関は効率化を求められ,医療事故防止の ためクリティカルパスを導入して対応したが, 稼働率と入院総数の減少により競争が激化し, 合併や倒産が続発することになった。さらに入 院期間の短縮により患者,家族が自宅で行う部 分の負担も増加した。 適切な医療サービスを提供し,医療コストを 削減することを目的にさまざまな管理医療制度 が工夫されマネジド・ケアという保険制度が普 及し,競争原理・市場原理の活用,保険者機能 が強化,EBM 利用により医療の質を高め医療 費も抑制するとの点から拡大していった。しか し,保険会社優位のため,有病者が保険に入れ な い , 利 用 審 査 に よ る 医 療 内 容 へ の 介 入 , EBM の名を利用して在院日数を短縮しコスト 削減のみを目的とすることなどにより 90 年代 後半から政治問題化しているのである。 日本では厚生省が日本版 DRG/PPS を導入す るために「急性期入院医療の定額払い方式の試 行」を行っている3)。アメリカでの経緯をふま えて導入の検討を行うと同時に,単にコスト削 減のために DRG,クリティカルパス,EBM を 利用するのではなく,適切に運用していくこと が必要と思われる。 3.医療の効率化 少子高齢化が今後も進み,医療費の増加は避 けられない状況にあり,抑制政策が行われるの は当然考えられる。医療機関も対応して,医療 も効率化をめざすことにならざるをえない。医 療の効率化は,正確な診断・治療を,迅速に, 適正な費用で,行うことが要求される。正確な 診断・治療には,「標準化」された診断法や治 療法が必要だが,日本ではほとんど作成されて いない。現在大規模な比較研究などの分析デー タを基に,作成するプロジェクトが進行してい る。迅速に行うことは,業務の進行に遅滞をな くすことであり,医療提供者だけでなく患者側 からも必要なことである。このためには,診療 行為の検討だけでなく,業務の運用方法も再検 討しマニュアル化が必要と考えられる。日本は 国民皆保険であるから保険医療機関の収入は, 表 2.医療の質の評価 ・ Structure(構造):施設,設備,人材,組織など ・ Process(過程) :人権の尊重,接遇・説明, 病歴記載,EBM,パスなど ・ Outcome(結果):がんの 5 年生存率,合併症率, 再入院率,死亡率など 1988(Donabedian)

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患者負担分や差額室料などもあるが,大部分は 診療報酬請求によるものである。医療は営利目 的ではないが,負債を抱えては事業としてはな りたたない。医療の効率化において収支を考え ることは必要なことであり,削減可能な費用が 存在するか把握しなければならない。医療材料, 医薬品費,人件費など医療機関全体としての金 額だけではなく,詳細に分類し可能であれば, 診療科別,患者別の費用を算出すべきである。 算出された上で,診療上必要な費用かどうかを 個別に評価しなければならない。 これまで医療の効率化では,医療材料,医薬 品費,人件費などのコストの削減を中心に考え る状態であった。在院日数の延長や長い待ち時 間も患者にとっては損失であり,時間もコスト の要素と考えれば,診断・治療にかかる時間の 短縮はコスト削減と解釈される4)。さらに,医 療の効率化においては医療の質の改善が伴わな ければならない。効率の分子は「医療の質」で あり分母は「コスト」であるから,医療の効率 化では質の向上とコスト削減を同時に行わなけ ればならない5) 医療の質の評価には明確な基準がこれまで存 在せず,「医療の質が向上した」「看護の質が向 上した」という表現で,医療技術や医療サービ スの改善を表現してはいるが,他の施設と比較 して客観的に報告されているわけではない。ま た,医療の質を向上させる方法も具体的に表現 されてはいない。したがって,医療の質の改善 を評価することは困難なことである。医療の効 率化にあたり,コスト削減を中心に考えてきた 理由のひとつであろう。 医学教育ではこれまで医療の効率化や経営の 改善など経済的な評価について教育されること はほとんどなく,今後は臨床医療のひとつの項 目として教育をおこなうべきであろう。 4.医療の質の評価 医療の質を客観的に評価する方法のひとつと して,Donabedian により Structure(構造), Process(過程), Outcome(結果)による評 価が提案されている(表 3)。構造的評価は, 医療機関の設備や人的配置,組織構成などの評 価であり,容易に情報を収集することが可能な ものである。医療の提供過程の評価は,人権を 尊重し,説明を行い,病歴を適切に記載し, EBM やクリティカルパスなどに基づいた標準 的な治療を行っているか,などを検討するもの であるが,行ってはいるがそれらの内容につい ては,客観的に評価することが困難なものであ る。結果の評価は,退院後の生存率,QOL の 改善,再入院率が高いかなど医療を行った成果 すなわち「医療技術」を検討するもので,デー タとしては数値として得ることは可能だが,医 療機関の患者の質が異なるため,比較すること ができない。 平成 9 年より(財)日本医療機能評価機構が 構造的評価と医療の過程評価について病院の評 価を開始した6)。書面調査に加え,訪問調査を 行うことにより病院ごとの物理的または病院運 営からみた項目の実施状況を評価するものであ り,第三者評価が行われはじめたことは意義の あることである。今後評価を受ける病院は増加 し,その結果を公表していくものと考えられ る。 結果の評価は相対的なものであり,医療機関 の患者の疾患や構成など患者の属性が異なるた め同じ条件で比較することは困難である。比較 するためには,医療資源の利用,コスト,およ び支払いの状況を勘案して適応することができ 表 3.患者分類システムの必要性7) 1) 医療資源の利用状況、治療成績測定による病 院のパフォーマンス比較のため 2) 入院患者の死亡率の差を査定するため 3) クリティカルパスの導入とその支援のため 4) 医療の質を改善するプログラムを促進してい くため 5) DRG システムに基づいて次年度の予算を立て やすくするため(予算面の管理・計画がしや すくなるため) 6)患者別包括支払い方式に利用するため

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る患者分類システム7)(表 3)が必要となって くる。現在,結果を補正する基準となる患者分 類システムとしては DRG を用いることができ る。同じ病態(DRG)の患者の在院日数や費 用,5 年生存率や QOL の改善などを比較する ことにより,結果の評価が可能となる。 アメリカでは PPS の基準としての利用が進 んだため,実情に応じた DRG が標準化され, 診療記録も DRG が出せるよう精度を管理され て お こ な わ れ て い る が , 日 本 で は こ れ ま で DRG/PPS のようなインセンティブが働かなか ったため,標準的 DRG を提案することも DRG そのものを評価することもできていない。さら に,DRG を行うために必要な標準病名(コー ド),病期・重症度,治療法,手術術式,病理 組織診断,合併症などのデータを蓄積している 施設が少ないのも問題となろう。井上は 1)標 準病名コード集を作成して全医療機関が使用す ること,2)DRG 区分に必要な従属情報,在院 日数や医療費など全疾患共通の Minimum Data Set を定めてファイルすることを医療機関に義 務付ける,ことを提案している5) 以上は病院や医師側からみた医療の質の評価 であるが,患者側からみた医療の質の評価につ いては,結果だけでなく,結果をだすまでの経 過に対する満足度で評価されることになる4) 患者の満足度は受診患者の増減によりある程度 は判断できるが,より明らかににするためには, アンケート調査などの直接的手法により行うこ とができる。アンケート項目や規模の設定は検 討しなければならないが,定期的に行うことに より問題点が明らかになり,全体の評価だけで なく個別の評価も可能となると考えられる。 5.DRG7) DRG と DRG/PPS は明確に区別されなけれ ばならない。DRG は,当初,患者のタイプを, 病院が負っているコストに応じた病院の治療内 容に関連づける方法として発展した患者分類の 仕組みである。 DRG の設計と開発はエール大学で 1960 年代 後半に始まった。当初は,病院の医療サービス の利用実態を視察するための効果的な枠組みを 確立することにあった。アメリカでは,70 年 代後半に DRG/PPS に用いはじめたところか ら,入院患者の疾病分類システムとして改訂さ れながら発展してきた。エール大学で開発され た当初の DRG では,急性期病院で見られるあ らゆるタイプの患者を対象として定義された。 メディケア DRG は,対象を高齢者に絞り作成 され,メディケアに用いられているが,合併症 や併存症の扱いを含め徐々に改訂がすすめられ て利用されている。最も詳細に分類することが で き る APRDRG ( All Patient Refinement -DRG)では,患者に対して基本的 APR-DRG, 疾病の重症度のサブグループ,死亡リスクのサ ブグループの 3 種を表記することにより,重症 度のレベルに応じた分類が可能となり全体で 1693 項目の診断群を形成している。 通常 DRG を決定するためには,国際疾病分 類 ( ICD : International Classification of Dis-ease)を用いて病名をコーディングする必要が ある。ICD は 1893 年に初めて死因による分類 をコード化したもので,約 10 年に 1 度改訂さ れ,現在では 1992 年に改訂された ICD-10 が最 も新しいものである。コーディングでは,入院 診療録より,1 つの主病名,複数の合併症,併 発症,外科手術・主要処置に対してそれぞれコ ードを対応させる。年齢,性別の情報とあわせ て,あてはまる DRG を決定する。日本ではコ ードを行う専門職としてのコーダーや診療情報 管理士が絶対的に不足しており,すべての病院 で DRG を一定のレベルで行うことができるイ ンフラは整備されていない。入院サマリーと診 療 録 よ り コ ー ド が 判 定 さ れ る の で , 日 本 で DRG/PPS を保険に導入するためには,診療録 の記載が適切に行われているか,記載内容の信 頼性があるかなどの評価をしていかなければな らないと考えられる。

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6.EBM EBM(根拠に基づいた医療)は臨床上の疑 問に対する問題解決の一方法である。以前は臨 床疫学として研究されてきたが,1992 年 JAMA に初めて Evidence-Based Medicine として掲載 された8)。インターネットなどに代表される情 報技術の進歩が,情報収集の手法をより簡便に 迅速に行えるにようになったことで EBM をよ り普及させた。 EBM では患者からの情報より問題を抽出し て定式化し,問題に関係する情報を教科書や文 献を検索して収集し,得られた情報を吟味・評 価し,最終的に患者へ適応して結果を評価す る9)(表 4)。文献収集の方法や情報の検定など にある程度の知識が必要と思われるが,使用方 法は簡単なものでなくてはならない。多くの実 践手引き書10–12)や文献が著されており,手法 に つ い て の 情 報 は 得 ら れ る よ う に な っ た 。 EBM は個々の患者に最適のエビデンスを臨床 の現場で適用することが大きな目的である。 EBM に対しては,「今までの医療を否定する」 「認めるのはランダム化比較試験だけ」「日常診 療には使えない」などのさまざまな誤解がある が13),実際に利用していく過程でその価値が 理解されてくると予想される。大多数の医師に とって EBM との接触は,EBM の手順に基づい て作成された診療ガイドラインを使いこなす場 面になると考えられる。診療ガイドラインにあ てはまらない患者に対しては当然医師の裁量が 不 可 欠 に な る 。 ま た , マ ネ ジ ド ケ ア で は , EBM によるガイドラインを利用して医療費を 抑制しようとしているが,診療ガイドラインは Cook book medicine ではないので,最良のエ

ビデンスを適応した結果,医療コストが増大す るのはかまわない14)のである。 7.クリティカルパス クリティカルパス(以下パスと呼ぶ)は, 1950 年代にアメリカ産業界で開発された製造 の合理化を図る技法のひとつで,作業の流れを 分析し,無駄な作業やコストを排除して効率的 な生産工程を組み立てる技法である。アメリカ では,DRG/PPS がメディケアに導入され医療 の現場に効率化が必要となり,合併症をなく患 者を早期に退院させることが必要となり,さら に医療事故防止を目的としてパスの手法が導入 されたのである。日本では,主として急性期疾 患のケアの標準化による質の向上を目的として 導入されているが,経営的には,平均在院日数 短縮の手段として注目されている。 パスは,特定患者集団に対する継続的で,多 医療専門分野間にわたる最小限の標準化された ケア(入院指導,検査,食事指導,安静度,理 学療法,服薬指導,退院指導等)を時間軸(通 常は日単位)ごとに定めスケジュール化し,予 想される中間目標を加えて表にまとめたもので ある。基本的要素は 4 つで,時間軸,ケア介入, ケアの標準化,バリアンスである。 一般的には対象となる疾患は,取り扱いの多 い疾患や検査で妥当なパターンが存在するもの が選ばれる。対象疾患の適応基準や除外基準を 決めた上で,パスを作成するが,通常はこれま で行われてきた診療を例として作成されること が多い。時間軸とケアをまとめて図示されたも のを,文献的検討を加え標準化をパスとしてま とめる。標準化されたパスを運用する際には, 予想されるケアと異なる状態がみられバリアン スと呼ばれている。バリアンスにはプラスとマ イナスがあり,必ずしも悪いものではない。重 要なことは,標準化と画一化を混同してはいけ ないことであり,バリアンスや運用中の問題点 を記録しておき,パスを運用しながら常に変更 を加えることが必要である。 表 4.EBM の5つのステップ9) ・ステップ 1 :患者の問題の定式化 ・ステップ 2 :問題についての情報収集 ・ステップ 3 :情報の批判的吟味 ・ステップ 4 :情報の患者への適応 ・ステップ 5 : 1 ∼ 5 のプロセスの評価

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パスの作成にあたり,最も問題となるのが医 師との関係であり,ケアの標準化には治療や検 査の標準化が要求されるからである。合併症を 減らし,最良の医療を提供することを目標とす ることを理解し協力することが必要である。導 入のきっかけは異なるが,結果的に標準化され た医療とケアが,最短の在院日数と適正な費用 で提供されることは,医療の質の向上という点 では重要なことと考えられる。また,入院から 退院までの日程が示されるので,患者への情報 を提供するインフォームドコンセントをする際 にも理解を得やすいものと思われる。 8.おわりに 医療の世界では,最良の医療を提供すること が重要で,費用を考えることは二義的なことと 考える傾向であった。しかし,医療費の増大に より医療の効率化による費用の抑制が求められ ている。効率化を経営的視点から改革が進行し たアメリカを前例として,医療の質と効率化を 考えていくべきである。ジョン・ウェンバーグ の予測2)(表 5)が現実のものとならぬように すべきであろう。今後,EBM やクリティカル パスを利用し,医療の効率化や医療の質の向上 を考えていく必要がある。 文  献 1) 李啓充:現代米国の医療制度に何を学ぶべきか DRG/PPS の功罪.富士通 21 世紀病院経営戦略 フォーラム.http://www.medical-tribune.co.jp/ special/fujitsu/session1.htm,1999. 2) 李啓充:最新米国医療事情第二報―米国のマネ ジドケア失敗から何を学ぶか?富士通 21 世紀 病院経営戦略フォーラム.2000. 3) 日本医事新報, 3980: 134–135, 2000. 4) 鈴木隆夫:サービス業としての病院に徹する. http://www02.so-net.ne.jp/~tokushu/ d-net10dr_suzuki.html,2000. 5) 井上通敏:日本の医療改革と医療情報学.第 3 回日本医療情報学会シンポジウム. http://www.onh.go.jp/incho/shiryo/ iryoukaikaku.html,1999. 6) 日本医療機能評価機構. http://www.jcqhc.or.jp/index2.html,2000. 7) Averill RF, Muldoon JH, Vertrees JC, Goldfield

NI, Mulllin RL, Fineran EC et al: The evolution of casemix measurement using Diagnosis Relat-ed Groups (DRGs). 3M HIS Working Paper, 10–97, 1999.

8) Evidence-based medicine Working Group: Evi-dence-Based Medicine, A new approach to teach-ing the practice of medicine. JAMA, 268: 2420–2425, 1992. 9) 名郷直樹: EBM.EBM ジャーナル,1 : 96–97, 2000. 10) 久繁哲徳監修:根拠に基づく医療: EBM の実 践と教育の方法.薬業時報社,東京: 1999. 11) 福井次矢編集: EBM 実践ガイド.医学書院, 東京: 1999. 12) 名郷直樹: EBM 実践ワークブック:よりよい 治療をめざして.南江堂,東京: 1999. 13) 福井次矢: EBM への誤解をとく.EBM ジャー ナル,1: 5–7, 2000.

14) Sackett DL, Rosenberg WMC, Gray JAM, Haynes RB, Richardson WS: Evidence based medicine: what it is and what it isn't. BMJ, 312: 71–72, 1996. 表 5.医療のアカウンタビリティ2) ジョン・ウェンバーグ(ダートマス大学医学部 教授) 「医師達が無駄な医療を繰り返し,最善の医療を 行うという責任を放棄し続ける限り,政府による 医療介入はますます厳しくなる。やがて,医師の 臨床的判断よりも,統計学的データや経済的配慮 が優先する時代が到来する。」 (ニューヨークタイムズ,1987 年 10 月 18 日)◆

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Efficiency and Quality of Medical Treatment

Wataru SATO

Department of Medical Informatics, Yamanashi Medical University, Yamanashi, Japan

Abstract: Because the total national medical expense increases every year, it is necessary to control medical costs by improving the efficiency of medical treatment while improving the quality of medical treatment. The time which the patient spends in treatment is thought to be one of the costs. Evaluation of the outcome in addition to evaluation of the structure and the process is important. Evaluating the quality of medical treatment and comparing facilities using information on each Diagnosis Related Group by encoding the disease is even more important. It is thought that the introduction of DRG/PPS into Medicare promoted the popularization of Diagnosis Related Group, EBM, and the critical path in the United States. Diagnosis Related Group is a patient classification system according to disease used for comparative evaluation. EBM and the critical path have also gained in popularity as a means of improving the quality of medical treatment in Japan. It is necessary to think about improving efficiency while improving quality not only in the advancement of medical care technology but also in medical treatment.

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