<判例研究>取締役の任期途中における任期に関する
定款変更(東京地判平成二七年六月二九日判例時報
第二二七四号一一三頁)
著者
大野 尚
雑誌名
法と政治
巻
67
号
4
ページ
1(1126)-20(1107)
発行年
2017-02-28
URL
http://hdl.handle.net/10236/00025423
一 は じ め に 本 件 は 、 非 公 開 会 社 で 、 取 締 役 の 任 期 が 一 〇 年 と 定 め ら れ た 会 社 に お い て 、 取 締 役 の 任 期 途 中 に 、 取 締 役 の 任 期 を 一 年 と す る 定 款 変 更 が な さ れ た 事 案 で あ る 。 本 件 に 含 ま れ る 会 社 法 上 の 争 点 と し て は 、 こ の よ う な 定 款 変 更 に よ っ て 、 取 締 役 は 退 任 す る の か 、 退 任 す る と す れ ば 、 取 締 役 は 、 会 社 に 対 し 、 会 社 法 第 三 三 九 条 第 二 項 の 類 推 適 用 に よ る 損 害 賠 償 請 求 が 可 能 か 、 可 能 で あ る と す れ ば 、 そ の 損 害 賠 償 額 は 、 ど の よ う に し て 算 定 す べ き か 、 と い う 点 が あ る 。 そ こ で 、 本 稿 で は 、 本 判 決 の 内 容 を 概 観 し 、 か つ 、 こ れ ま で の 判 例 と 学 説 を 検 討 し た 上 で 、 右 の 争 点 に つ い て の 私 見 を 提 起 す る も の で あ る 。 二 事 案 の 概 要 本 件 に お け る 事 案 の 概 要 は 、 次 の 通 り で あ る 。 1 当 事 者 Y ( 被 告) ユ ニ フ ォ ー ム 販 売 等 を 営 む 株 式 会 社 。 平 成 七 年 九 月 二 八 日 に B が 設 立 。 非 公 開 会 社 。 取 締 役 会 設 置 会 社 、 監 査 役 設 置 会 社 。 B Y の 設 立 者 。 平 成 二 〇 年 七 月 一 〇 日 死 亡 。 死 亡 時 ま で Y の 代 表 取 締 役 。 A B の い と こ 。 B 死 亡 後 の Y の 代 表 取 締 役 。 X 1 ( 原 告) B の 叔 父 。 税 理 士 。 公 認 会 計 士 。 平 成 一 〇 年 八 月 二 五 日 か ら 平 成 二 〇 年 五 月 二 四 日 ま で Y の 監 査 役 。 平 成 二 〇 年 五 月 二 四 日 か ら 平 成 二 三 年 一 月 二 〇 日 ま で 取 締 役 。 X 2 ( 原 告) X 1 の 子 。 平 成 一 八 年 九 月 に Y に 従 業 員 と し て 入 社 。 平 成 二 〇 年 五 月 二 四 日 か ら 平 成 二 三 年 一 月 二 〇 日 ま で Y の 取 締 役 。 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 取 締 役 の 任 期 途 中 に お け る 任 期 に 関 す る 定 款 変 更 1126 一 ︻ 判 例 研 究 ︼ 関 西 学 院 大 学 商 法 研 究 会
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( 東 京 地 判 平 成 二 七 年 六 月 二 九 日 判 例 時 報 第 二 二 七 四 号 一 一 三 頁)C B の 妻 、 平 成 二 〇 年 五 月 二 四 日 よ り Y の 監 査 役 。 D B の 弟 、 Y の 取 締 役 。 E Y の 営 業 本 部 長 。 平 成 二 三 年 一 月 二 〇 日 か ら Y の 取 締 役 。 F Y の 管 理 本 部 長 。 平 成 二 三 年 一 月 二 〇 日 か ら Y の 取 締 役 。 2 Y の 株 主 構 成 ( 発 行 済 株 式 総 数 一 六 〇 〇 株) ( 1) 平 成 二 〇 年 七 月 一 〇 日 ま で ( B 死 亡 ま で) B 一 四 九 三 株 A 一 〇 七 株 ( 2) 平 成 二 〇 年 七 月 一 一 日 以 降 ( B の 死 亡 後) C 六 〇 〇 株 A 六 〇 〇 株 X 1 二 〇 〇 株 X 2 二 〇 〇 株 ( B の 株 式 を C が す べ て 相 続 し た 上 、 C が 、 相 続 し た 株 式 の 一 部 を A 、 X 1 、 X 2 に 譲 渡) 3 Y の 役 員 構 成 ( 登 記 上) ( 1) 平 成 二 〇 年 五 月 二 四 日 ま で ( 病 室 で の 臨 時 株 主 総 会 ま で) 代 表 取 締 役 B 取 締 役 A 、 D 監 査 役 X 1 ( 2) 平 成 二 〇 年 五 月 二 四 日 ∼ 七 月 一 〇 日 ( 病 室 で の 臨 時 株 主 総 会 か ら B 死 亡 ま で) 代 表 取 締 役 B 取 締 役 A 、 D 、 X 1 、 X 2 監 査 役 C ( 3) 平 成 二 〇 年 七 月 一 一 日 ∼ 平 成 二 三 年 一 月 二 〇 日 ( B 死 亡 か ら 本 件 定 款 変 更 ま で) 代 表 取 締 役 A 取 締 役 D 、 X 1 、 X 2 監 査 役 C ( 4) 平 成 二 三 年 一 月 二 〇 日 以 降 ( 本 件 定 款 変 更 後) 代 表 取 締 役 A 取 締 役 D 、 E 、 F 監 査 役 C 4 事 実 経 緯 ( 1) 平 成 七 年 九 月 二 八 日 に 、 B が Y を 設 立 し た 。 そ の 後 、 平 成 一 〇 年 八 月 二 五 日 に X 1 が 監 査 役 に 就 任 し 、 平 成 一 四 年 に 、 A が 取 締 役 に 就 任 し た 。 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 判 例 研 究 1125 二
平 成 一 四 年 時 点 で の 役 員 構 成 は 、 代 表 取 締 役 B 、 取 締 役 A 、 D 、 監 査 役 X 1 で あ っ た 。 も っ と も 、 こ れ 以 降 、 B が 入 院 す る ま で 、 取 締 役 会 が 正 式 に 開 催 さ れ た こ と は な く 、 ほ ぼ B が 独 断 で 経 営 に 関 す る 重 要 事 項 を 決 定 し て い た 。 ( 2) 平 成 一 八 年 八 月 三 〇 日 、 株 主 総 会 で 、 取 締 役 の 任 期 を 一 〇 年 に 変 更 す る 決 議 が な さ れ た ( そ れ ま で は 二 年) 。 そ の 後 、 同 年 九 月 に 、 X 2 が Y に 従 業 員 と し て 入 社 し た 。 ( 3) 平 成 二 〇 年 四 月 二 四 日 、 B が 膵 臓 癌 で 入 院 し た 。 そ の 後 、 同 年 五 月 一 五 日 に B は 一 旦 退 院 し た が 、 同 月 二 〇 日 に 再 入 院 す る こ と と な り 、 医 師 か ら C に 対 し て B の 余 命 宣 告 が な さ れ 、 B も 自 身 の 余 命 に つ い て 認 識 す る に 至 っ た 。 同 月 二 四 日 、 B は 病 室 に 関 係 者 を 呼 び 寄 せ 、 C と 2 人 の 子 の た め に C を 監 査 役 と し て 監 査 役 報 酬 を 会 社 か ら 払 う よ う に 希 望 し た 。 そ の 後 Y は 、 C を 監 査 役 と し て 登 記 し 、 同 時 に 、 X 1 、 X 2 が 取 締 役 に 就 任 し た と し て 登 記 し た ( 病 室 で 臨 時 株 主 総 会 決 議 が な さ れ た と 、 裁 判 所 は 認 定 し て い る) 。 こ の 時 点 で の 株 主 構 成 は 、 発 行 済 株 式 総 数 一 六 〇 〇 株 中 、 B が 一 四 九 三 株 、 A が 一 〇 七 株 で あ っ た 。 ま た 、 役 員 構 成 は 、 代 表 取 締 役 が B 、 取 締 役 が A 、 D 、 X 1 、 X 2 、 監 査 役 が C と な っ た 。 ( 4) Y は そ の 後 、 取 締 役 報 酬 と し て 、 平 成 二 三 年 一 月 ま で 、 X 1 に 月 額 六 〇 万 円 、 X 2 に 月 額 二 十 九 万 五 千 円 を 支 払 っ た 。 ( 5) 平 成 二 〇 年 七 月 一 〇 日 、 B が 死 亡 し た 。 B が 保 有 し て い た Y の 株 式 は す べ て C が 相 続 し た 。 そ の 後 、 C 保 有 の 株 式 一 四 九 三 株 の う ち 、 四 九 三 株 を A が 、 二 〇 〇 株 を X 1 が 、 二 〇 〇 株 を X 2 が 、 額 面 額 ( 一 株 五 万 円) で 買 い 取 っ た 。 ( 6) 平 成 二 〇 年 七 月 一 一 日 、 Y は 、 取 締 役 会 で A を 代 表 取 締 役 に 選 任 し た 。 ( 7) 平 成 二 二 年 一 一 月 、 A は X 2 に 対 し 、 取 締 役 か ら の 辞 任 を 要 求 し た が 、 X 2 が 拒 否 し た 。 ( 8) 平 成 二 三 年 一 月 二 〇 日 、 Y が 、 株 主 総 会 で 取 締 役 の 任 期 を 、「 選 任 後 一 〇 年 以 内 に 終 了 す る 事 業 年 度 の う ち 最 終 の も の に 関 す る 定 時 株 主 総 会 の 終 結 の 時 ま で」 か ら 、「 選 任 後 一 年 以 内 に 終 了 す る 事 業 年 度 の う ち 最 終 の も の に 関 す る 定 時 株 主 総 会 の 終 結 の 時 ま で」 に 変 更 す る 定 款 変 更 を 行 っ た ( 以 下 、 本 件 定 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 取 締 役 の 任 期 途 中 に お け る 任 期 に 関 す る 定 款 変 更 1124 三
款 変 更 と い う) 。 こ れ に 伴 っ て 、 Y は 、 X 1 、 X 2 に つ い て 、 取 締 役 か ら の 退 任 登 記 を 行 い 、 新 た に E 、 F を 新 取 締 役 に 選 任 し て 登 記 し た 。 ( 9) 平 成 二 五 年 七 月 、 X 1 、 X 2 は 、 主 位 的 請 求 と し て 、 Y の 取 締 役 の 地 位 に あ る こ と の 確 認 及 び 未 払 い の 取 締 役 報 酬 の 支 払 い を 求 め 、 予 備 的 請 求 と し て 、 会 社 法 第 三 三 九 条 二 項 の 類 推 適 用 に よ る 、 平 成 二 三 年 一 月 二 一 日 か ら 平 成 二 八 年 六 月 末 日 ま で の 取 締 役 報 酬 相 当 額 の 損 害 賠 償 を 求 め て 、 Y を 提 訴 し た 。 三 争 点 本 件 に お け る 会 社 法 上 の 争 点 は 、 ① 本 件 定 款 変 更 に よ っ て X 1 、 X 2 は Y の 取 締 役 か ら 退 任 す る か 。 ② 定 款 変 更 に よ っ て 取 締 役 か ら 退 任 さ せ ら れ た X 1 、 X 2 の Y に 対 す る 損 害 賠 償 請 求 の 可 否 及 び そ の 損 害 額 、 で あ る 。 尚 、 本 件 で は 、 こ の 他 、 X 1 、 X 2 を 取 締 役 に 選 任 す る 旨 の 株 主 総 会 決 議 の 存 否 や 、 X 2 の 従 業 員 と し て の 降 格 処 分 、 賃 金 の 減 額 の 有 効 性 な ど も 争 点 と な っ て い る が 、 本 稿 で は 割 愛 す る 。 四 判 旨 1 争 点 ① ( 定 款 変 更 に よ っ て X 1 、 X 2 が 退 任 す る か) に つ い て 原 告 ら が 現 在 も な お 被 告 の 取 締 役 の 地 位 に あ る と い え る か 否 か は 、 取 締 役 の 任 期 を 短 縮 す る 旨 の 本 件 定 款 変 更 に よ っ て 原 告 ら が 被 告 の 取 締 役 か ら 当 然 に 退 任 す る こ と に な る か に 関 わ る と こ ろ 、 取 締 役 の 任 期 途 中 に お い て 、 そ の 任 期 を 短 縮 す る 旨 の 定 款 変 更 が な さ れ た 場 合 、 そ の 変 更 後 の 定 款 は 在 任 中 の 取 締 役 に 対 し て 当 然 に 適 用 さ れ る と 解 す る こ と が 相 当 で あ り 、 そ の 変 更 後 の 任 期 に よ れ ば 、 す で に 取 締 役 の 任 期 が 満 了 し て い る 者 に つ い て は 、 上 記 定 款 変 更 の 効 力 発 生 時 に お い て 取 締 役 か ら 当 然 に 退 任 す る と 解 す る こ と が 相 当 で あ る 。 け だ し 、 上 記 の 定 款 変 更 は 、 取 締 役 の 解 任 と 同 様 の 効 果 を 発 生 さ せ る も の で あ る と こ ろ 、 取 締 役 は い つ で も 株 主 総 会 の 決 議 に よ っ て 解 任 す る こ と が で き る と さ れ て お り ( 会 社 法 三 三 九 条 一 項) 、 他 方 、 定 款 変 更 に よ っ て 当 然 に 退 任 さ せ ら れ た 取 締 役 の 保 護 は 、 解 任 の 場 合 と 同 様 に 、 損 害 賠 償 に よ っ て 図 れ ば 足 り る と い う べ き だ か ら で あ る 。 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 判 例 研 究 1123 四
こ れ に よ れ ば 、 平 成 二 〇 年 五 月 二 一 日 に 取 締 役 に 選 任 さ れ た 原 告 ら は 、 平 成 二 三 年 一 月 二 〇 日 に 取 締 役 の 任 期 を 一 〇 年 か ら 一 年 に 短 縮 す る 旨 の 本 件 定 款 変 更 が な さ れ た こ と に よ り 、 同 日 、 被 告 の 取 締 役 か ら 当 然 に 退 任 し た こ と に な る と い う べ き で あ る 。 そ の 後 、 原 告 ら が 被 告 の 株 主 総 会 に お い て 取 締 役 に 再 任 さ れ た 事 実 は 認 め ら れ な い か ら 、 結 局 、 原 告 ら が 被 告 の 取 締 役 の 地 位 に あ る と い う こ と は で き な い 。 2 争 点 ② ( X 1 、 X 2 の 損 害 賠 償 請 求 の 可 否 及 び 損 害 額) に つ い て ( 1) 会 社 法 三 三 九 条 二 項 は 、 株 主 総 会 の 決 議 に よ っ て 解 任 さ れ た 取 締 役 は 、 そ の 解 任 に つ い て 正 当 な 理 由 が あ る 場 合 を 除 き 、 会 社 に 対 し 、 解 任 に よ っ て 生 じ た 損 害 の 賠 償 を 請 求 す る こ と が で き る 旨 定 め て い る と こ ろ 、 そ の 趣 旨 は 、 取 締 役 の 任 期 途 中 に 任 期 を 短 縮 す る 旨 の 定 款 変 更 が な さ れ て 本 来 の 任 期 前 に 取 締 役 か ら 退 任 さ せ ら れ 、 そ の 後 、 取 締 役 と し て 再 任 さ れ る こ と が な か っ た 者 に つ い て も 同 様 に 当 て は ま る と い う べ き で あ る か ら 、 そ の よ う な 取 締 役 は 、 会 社 が 当 該 取 締 役 を 再 任 し な か っ た こ と に つ い て 正 当 な 理 由 が あ る 場 合 を 除 き 、 会 社 に 対 し 、 会 社 法 三 三 九 条 二 項 の 類 推 適 用 に よ り 、 再 任 さ れ な か っ た こ と に よ っ て 生 じ た 損 害 の 賠 償 を 請 求 す る こ と が で き る と 解 す べ き で あ る 。 こ れ を 本 件 に つ い て み る と 、 原 告 ら は 、 本 件 定 款 変 更 に よ っ て 本 来 の 任 期 よ り も 前 に 取 締 役 か ら 退 任 さ せ ら れ 、 取 締 役 と し て 再 任 さ れ る こ と も な か っ た の で あ る か ら 、 被 告 が 原 告 ら を 再 任 し な か っ た こ と に つ い て 正 当 な 理 由 が あ る 場 合 を 除 き 、 被 告 に 対 し 、 損 害 賠 償 を 請 求 す る こ と が で き る こ と と な る 。 ( 2) そ こ で 、 被 告 が 原 告 ら を 取 締 役 と し て 再 任 し な か っ た こ と に つ い て 、 正 当 な 理 由 が あ る か 否 か に つ い て 検 討 す る 。 ア 被 告 は 、 ( ア) 平 成 二 三 年 一 月 二 〇 日 時 点 に お い て 、 被 告 の 取 締 役 全 員 が 親 族 関 係 に あ り 、 取 締 役 会 が 形 骸 化 し て い た た め 、 そ の 活 性 化 を 図 り 、 経 営 体 質 を 強 化 し て 、 経 営 環 境 の 急 激 な 変 化 に 対 応 す る 必 要 が あ っ た こ と 、 ( イ) 原 告 ら か ら 、 ① C の 所 有 す る 被 告 の 株 式 を 被 告 等 が 買 い 取 る べ き で あ る 、 ② 被 告 の 経 営 が 安 定 し て い る う ち に 被 告 を 売 却 し た 方 が 良 い 、 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 取 締 役 の 任 期 途 中 に お け る 任 期 に 関 す る 定 款 変 更 1122 五
と い っ た 意 見 や 、 ③ 個 人 的 な 感 情 に 基 づ く 理 由 の な い 人 事 提 案 が な さ れ た こ と に よ っ て 、 そ の 取 締 役 会 に お い て 実 質 的 な 経 営 に つ い て の 話 が で き な い 状 況 と な っ て い た こ と か ら 、 原 告 ら を 取 締 役 と し て 再 任 せ ず 、 そ の 親 族 以 外 の 者 を 新 た に 取 締 役 と し て 選 任 し た 旨 主 張 す る 。 し か し な が ら 、 取 締 役 全 員 が 親 族 関 係 に あ っ て 取 締 役 会 が 形 骸 化 し て い た と い う の で あ れ ば 、 新 た に 親 族 以 外 の 者 を 取 締 役 と し て 追 加 す れ ば 足 り る の で あ っ て 、 原 告 ら を 取 締 役 と し て 再 任 し な い こ と が 正 当 化 さ れ る と は い え な い (( ア) の 点) 。 ま た 、 原 告 ら か ら 被 告 に 対 し て 上 記 ( イ) ① な い し ③ の 提 案 が な さ れ た こ と を 認 め る に 足 り る 証 拠 は な い し 、 仮 に こ れ ら の 提 案 が な さ れ て い た と し て も 、 上 記 ① 、 ② に つ い て は 、 そ れ ら の 提 案 が 被 告 に と っ て 違 法 、 不 当 な 内 容 で あ っ た と は い え ず 、 上 記 ③ に つ い て は 、 こ れ が 個 人 的 な 感 情 に 基 づ く 理 由 の な い 提 案 で あ っ た こ と を 認 め る に 足 り る 証 拠 は な い 。 し た が っ て 、 い ず れ に し て も 被 告 の 上 記 主 張 は 、 原 告 ら を 取 締 役 に 再 任 し な か っ た こ と に つ い て の 正 当 な 理 由 に は な ら な い と い う べ き で あ る 。 イ ま た 、 被 告 は 、 原 告 X 2 に つ い て は 、 ① 無 断 欠 勤 や 遅 刻 、 直 帰 が 頻 発 し て い た こ と 、 ② 亡 B が 使 用 し て い た 社 用 車 の ベ ン ツ を 通 勤 に 使 用 し て い た こ と 、 ③ 自 動 車 で 通 勤 し て い た に も 関 わ ら ず 、 電 車 通 勤 で あ る 旨 申 告 し 、 通 勤 手 当 を 受 け 取 っ て い た こ と 、 ④ 被 告 名 義 の E T C カ ー ド を 被 告 の 業 務 外 の た め に 使 用 し て い た こ と 、 ⑤ C か ら 被 告 の 株 式 を 買 い 取 る た め に 被 告 か ら 借 り 受 け た 一 〇 〇 〇 万 円 の 返 済 を 行 っ て い な い こ と か ら す れ ば 、 取 締 役 と し て 不 適 格 で あ っ た と も 主 張 す る 。 し か し な が ら 、 上 記 ① 、 ④ に つ い て は 、 こ れ ら を 認 め る に 足 り る 的 確 な 証 拠 は な い 。 ま た 、 そ の 余 の 各 事 実 に つ い て は 当 事 者 間 に 争 い が な い も の の 、 そ の う ち ② 、 ⑤ に つ い て は 、 取 締 役 と し て の 職 務 執 行 と は 直 接 の 関 係 が な い 事 項 で あ っ て 、 原 告 X 2 を 再 任 し な い 理 由 と は な ら な い と い う べ き で あ る し 、 ③ に つ い て は 、 通 勤 手 当 を 理 由 な く 受 給 し た 期 間 や そ の 総 額 に つ い て は 明 ら か で は な く 、 取 締 役 と し て の 適 格 性 を 欠 く と い う ほ ど に 悪 質 な 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 判 例 研 究 1121 六
行 為 で あ っ た こ と を 認 め る に は 足 り な い 。 よ っ て 、 被 告 の 上 記 主 張 に は 理 由 が な い 。 ウ 以 上 に よ れ ば 、 原 告 ら を 取 締 役 と し て 再 任 し な か っ た こ と に つ き 正 当 な 理 由 が あ る と い う 被 告 の 主 張 は い ず れ も 採 用 で き ず 、 そ の 他 に こ れ を 認 め る に 足 り る 証 拠 は な い 。 ( 3) そ こ で 、 原 告 ら が 被 っ た 損 害 に つ い て 検 討 す る 。 平 成 二 三 年 一 月 二 〇 日 当 時 に 原 告 ら が 得 て い た 取 締 役 報 酬 は 、 原 告 X 1 に つ き 月 額 六 〇 万 円 、 原 告 X 2 に つ き 月 額 二 九 万 五 〇 〇 〇 円 で あ っ た こ と は 前 記 前 提 事 実 に 記 載 の と お り で あ る 。 こ の 点 、 原 告 ら は 、 原 告 ら が 取 締 役 を 退 任 し た 日 の 翌 日 で あ る 平 成 二 三 年 一 月 二 一 日 か ら 本 件 定 款 変 更 前 の 本 来 の 任 期 の 終 期 で あ る 平 成 二 八 年 六 月 末 日 ま で の 間 の 得 べ か り し 取 締 役 報 酬 相 当 額 が 損 害 と な る 旨 主 張 す る 。 し か し な が ら 、 平 成 二 三 年 一 月 か ら 平 成 二 八 年 六 月 ま で の 五 年 五 か 月 以 上 も の 長 期 間 に わ た っ て 、 被 告 の 経 営 状 況 や 原 告 ら の 取 締 役 の 職 務 内 容 に 変 化 が ま っ た く な い と は 考 え が た く 、 原 告 ら が 平 成 二 八 年 六 月 ま で の 間 に 上 記 の 月 額 報 酬 を 受 領 し 続 け る こ と が で き た と 推 認 す る こ と は 困 難 で あ っ て 、 そ の 損 害 額 の 算 定 期 間 は 、 原 告 ら が 退 任 し た 日 の 翌 日 か ら 二 年 間 に 限 定 す る こ と が 相 当 で あ る 。 以 上 に よ れ ば 、 原 告 ら が 取 締 役 に 再 任 さ れ な か っ た こ と に よ っ て 被 っ た 損 害 額 は 、 原 告 X 1 に つ き 一 四 四 〇 万 円 ( 六 〇 万 円 × 二 四 か 月 分) 、 原 告 X 2 に つ き 七 〇 八 万 円 ( 二 九 万 五 〇 〇 〇 円 × 二 四 か 月 分) で あ る と 認 め ら れ る 。 な お 、 原 告 ら は 、 上 記 各 損 害 賠 償 金 に 対 す る 遅 延 損 害 金 の 利 率 と し て 商 事 法 定 利 率 年 六 分 の 割 合 を 主 張 し て い る が 、 上 記 損 害 賠 償 請 求 権 は 商 行 為 に よ っ て 生 じ た 債 権 と は い え な い か ら 、 そ の 利 率 は 民 法 所 定 の 年 五 分 の 割 合 に よ る べ き で あ る 。 五 研 究 1 取 締 役 の 任 期 を 変 更 す る 定 款 変 更 に よ っ て 取 締 役 は 退 任 す る か に つ い て ( 1) 本 判 決 の 内 容 こ の 点 に つ い て 本 判 決 は 、 変 更 後 の 定 款 は 在 任 中 の 取 締 役 に 当 然 に 適 用 さ れ る と し 、 変 更 後 の 任 期 に よ れ ば す で に 任 期 が 満 了 し て い る 取 締 役 は 、 定 款 変 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 取 締 役 の 任 期 途 中 に お け る 任 期 に 関 す る 定 款 変 更 1120 七
更 の 効 力 発 生 時 に 当 然 に 取 締 役 か ら 退 任 す る と し て い る 。 そ し て 、 そ の 理 由 と し て 、 取 締 役 は い つ で も 株 主 総 会 の 決 議 に よ っ て 解 任 す る こ と が で き る と さ れ て い る こ と 、 定 款 変 更 に よ っ て 当 然 に 退 任 さ せ ら れ た 取 締 役 の 保 護 は 、 解 任 の 場 合 と 同 様 に 、 損 害 賠 償 に よ っ て 図 れ ば 足 り る こ と を あ げ て い る 。 ( 2) 登 記 実 務 ま た 、 登 記 実 務 で は 、 定 款 を 変 更 し て 取 締 役 の 任 期 を 短 縮 し た 場 合 は 、 現 任 の 取 締 役 の 任 期 も 短 縮 さ れ 、 定 款 の 変 更 時 に お い て 既 に 変 更 後 の 任 期 が 満 了 し て い る と き は 、 当 該 取 締 役 は 退 任 す る こ と に な る と さ れ て い る()( ) 。 ( 3) 学 説 ・ 文 献 こ の 点 に つ い て の 学 説 ・ 文 献 と し て は 、「 本 判 決 は 通 達 に 従 っ た 取 り 扱 い と な る 旨 を 判 示 し て お り 、 こ の 点 は 異 論 が な い も の と 考 え ら れ る」 と す る も の や() 、「 登 記 実 務 上 の 取 り 扱 い に 鑑 み て も 、 X ら の 任 期 は 満 了 し た と い う 解 釈 に 至 る こ と に な ろ う」 と す る も の() が あ る 。 判 旨 に 反 対 す る も の は 見 あ た ら な い 。 尚 、 こ れ ら の 文 献 は 、 本 判 決 後 に 書 か れ た も の で あ り 、 本 判 決 以 前 に 、 こ の 点 に つ い て 論 じ た 文 献 は 見 あ た ら な い 。 ( 4) 検 討 判 旨 と 同 様 の 理 由 に よ り 、 判 旨 に 賛 成 す る 。 2 定 款 変 更 に よ り 退 任 さ せ ら れ た 取 締 役 に 対 す る 会 社 法 第 三 三 九 条 第 二 項 の 類 推 適 用 の 可 否 に つ い て ( 1) 本 判 決 の 内 容 判 旨 は 、 結 論 と し て 、 取 締 役 は 、 会 社 が 当 該 取 締 役 を 再 任 し な か っ た こ と に つ い て 正 当 な 理 由 が あ る 場 合 を 除 き 、 会 社 に 対 し 、 会 社 法 三 三 九 条 二 項 の 類 推 適 用 に よ り 、 再 任 さ れ な か っ た こ と に よ っ て 生 じ た 損 害 の 賠 償 を 請 求 す る こ と が で き る と し て い る 。 そ し て 、 そ の 理 由 と し て 、 会 社 法 三 三 九 条 二 項 は 、 株 主 総 会 の 決 議 に よ っ て 解 任 さ れ た 取 締 役 は 、 そ の 解 任 に つ い て 正 当 な 理 由 が あ る 場 合 を 除 き 、 会 社 に 対 し 、 解 任 に よ っ て 生 じ た 損 害 の 賠 償 を 請 求 す る こ と が で き る 旨 定 め て い る と こ ろ 、 そ の 趣 旨 は 、 取 締 役 の 任 期 途 中 に 任 期 を 短 縮 す る 旨 の 定 款 変 更 が な さ れ て 本 来 の 任 期 前 に 取 締 役 か ら 退 任 さ せ ら れ 、 そ の 後 、 取 締 役 と し て 再 任 さ れ る こ と が な か っ た 者 に つ い て も 同 様 に 当 て は ま る 、 と し て い る 。 ( 2) 学 説 ・ 文 献 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 判 例 研 究 1119 八
こ の 点 に つ い て 述 べ た 文 献 と し て は 、 判 旨 の 結 論 に 賛 成 す る も の と し て は 、「 本 件 定 款 変 更 に よ る 取 締 役 の 任 期 短 縮 は 、 X 1 、 X 2 に 対 す る 事 実 上 の 解 任 措 置 で あ る か ら 、 会 社 法 第 三 三 九 条 二 項 の 趣 旨 が 当 て は ま る」 と す る も の() 、「 解 任 の 場 合 と 同 視 で き る と し て 、 解 任 に よ る 損 害 賠 償 規 定 を 類 推 適 用 で き る と 解 し た こ と は 妥 当 で あ る」 と す る も の() が あ る 。 ま た 、 会 社 法 第 三 三 九 条 第 二 項 を 類 推 適 用 す る と い う 結 論 に は 賛 成 す る も の の 、 本 判 決 が 、 定 款 変 更 に よ っ て 退 任 さ せ ら れ た 取 締 役 を 再 任 し な か っ た こ と に つ い て 正 当 な 理 由 の 有 無 を 審 査 し て い る 点 を 批 判 し 、「 会 社 に は 退 任 し た 取 締 役 を 再 任 す る 義 務 は な く 、 退 任 し た 取 締 役 を 会 社 が 再 任 し な か っ た こ と に つ い て 正 当 な 理 由 が 問 題 に な る 余 地 は 、 本 来 は な い」「 会 社 法 三 三 九 条 二 項 は 、 定 款 変 更 に よ る 任 期 の 短 縮 ( そ れ に よ る 任 用 契 約 の 内 容 の 変 更) そ れ 自 体 に 類 推 適 用 さ れ る べ き と 解 さ れ る」「 そ れ ゆ え 、 任 期 の 短 縮 に よ り 直 ち に 退 任 し な く て も 任 期 の 短 縮 に よ り 損 害 が 認 め ら れ れ ば 、 損 害 賠 償 請 求 は 認 め ら れ る と 解 さ れ る」 と す る も の() が あ る 。 判 旨 の 結 論 に 反 対 す る も の は 見 あ た ら な い 。 ( 3) 検 討 ア 会 社 法 第 三 三 九 条 第 二 項 の 損 害 賠 償 請 求 権 の 法 的 性 質 本 件 の よ う な ケ ー ス に 会 社 法 第 三 三 九 条 第 二 項 が 類 推 適 用 で き る か を 検 討 す る 前 提 と し て 、 ま ず 、 会 社 法 第 三 三 九 条 第 二 項 ( 旧 会 社 法 第 二 五 七 条 一 項 但 書) の 損 害 賠 償 請 求 権 の 法 的 性 質 に つ い て 、 従 来 の 議 論 を 確 認 す る 。 A 法 定 責 任 説 ( 通 説) ま ず 、 通 説 と さ れ る 法 定 責 任 説 は 、 こ れ を 、 株 主 総 会 に よ る 解 任 の 自 由 の 保 障 と 役 員 等 の 任 期 に 対 す る 期 待 の 保 護 と の 調 和 を 図 る 趣 旨 で 定 め ら れ た 法 定 責 任 で あ る と す る()( )( )( )( ) こ の 説 か ら は 、 会 社 の 故 意 ・ 過 失 は 、 損 害 賠 償 請 求 権 行 使 の 要 件 と は さ れ な い 。 B 不 法 行 為 責 任 説 次 に 、 株 主 総 会 に 無 制 限 の 解 任 権 が 与 え ら れ て い る 以 上 、 そ の 行 使 は 本 来 は 適 法 な 行 為 で あ り 、 解 任 が 不 法 行 為 と な る 場 合 に 限 っ て 損 害 賠 償 が 認 め ら れ る 、 と す る 見 解 が あ る ( 不 法 行 為 責 任 説) () 。 こ の 説 か ら は 、「 正 当 な 理 由」 が 極 め て 広 く 認 め 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 取 締 役 の 任 期 途 中 に お け る 任 期 に 関 す る 定 款 変 更 1118 九
ら れ 、 解 任 権 を 行 使 し た 会 社 が 損 害 賠 償 責 任 を 負 う の は 、 不 法 行 為 の 要 件 が 満 た さ れ る 場 合 に 限 ら れ る ( 会 社 の 故 意 ・ 過 失 が 、 損 害 賠 償 請 求 権 行 使 の 要 件 と な る) と さ れ る 。 も っ と も 、 こ の 説 に 対 し て は 、 株 主 総 会 で 取 締 役 解 任 決 議 を す る こ と 自 体 が 不 法 行 為 を 構 成 す る こ と は 極 め て 稀 で あ り 、 取 締 役 が 解 任 さ れ て も ほ と ん ど の 場 合 に 損 害 賠 償 請 求 で き な い こ と に な る 、 と 批 判 が あ る() 。 C 債 務 不 履 行 説 次 に 、 会 社 法 第 三 三 九 条 第 二 項 の 損 害 賠 償 請 求 権 は 、 任 期 中 は み だ り に 解 任 し な い と い う 不 解 任 特 約 に 違 反 し た こ と に よ る 債 務 不 履 行 責 任 で あ る と す る 見 解 が あ る ( 債 務 不 履 行 説) () 。 こ の 説 か ら は 、「 正 当 な 理 由」 の 範 囲 は 、 不 解 任 の 特 約 が あ る の に 、 解 任 し て な お 賠 償 を 免 れ 得 る 正 当 な 理 由 と い う こ と に な る の で 、 そ の 範 囲 は 狭 く な る 。 も っ と も 、 こ の 説 に は こ の よ う に 解 任 に よ る 損 害 賠 償 請 求 を 広 く 認 め る の で あ れ ば 、 取 締 役 の 解 任 に 大 き な コ ス ト が か か る こ と と な り 、 株 主 の 会 社 支 配 権 に 大 き な 制 約 を 課 す こ と に な る と の 批 判 が あ る ( ) 。 イ 私 見 ま ず 、 三 三 九 条 二 項 類 推 適 用 の 可 否 に つ い て は 、 結 論 と し て 判 旨 に 賛 成 す る 。 な ぜ な ら 、 三 三 九 条 二 項 の 法 的 性 質 に つ い て は 、 法 定 責 任 説 が 妥 当 で あ り 、「 役 員 等 の 任 期 に 対 す る 期 待 の 保 護」 と い う 点 は 、 役 員 が 株 主 総 会 で 解 任 さ れ た 場 合 も 、 定 款 変 更 に よ っ て 、 本 来 の 任 期 途 中 で 役 員 の 地 位 を 追 わ れ た 場 合 も 、 同 様 に 当 て は ま る と 考 え ら れ る か ら で あ る 。 も っ と も 、 三 三 九 条 二 項 類 推 適 用 を 肯 定 し た と し て も 、 定 款 変 更 に よ っ て 本 来 の 任 期 満 了 前 に 退 任 す る こ と に な っ た 取 締 役 に 関 し て は 、 何 に つ い て 「 正 当 な 理 由」 の 有 無 を 審 査 す る の か 、 す な わ ち 、「 正 当 な 理 由」 と は 、 再 任 し な い こ と に つ い て 必 要 な の か 、 そ れ と も 、 定 款 変 更 に よ る 任 期 の 短 縮 に つ い て 必 要 な の か 、 と い う こ と が 問 題 と な る 。 思 う に 、 会 社 に は 取 締 役 を 再 任 す る 義 務 は な く 、 再 任 し な い こ と に 「 正 当 な 理 由」 は 本 来 必 要 な い 。 よ っ て 、「 再 任 し な い こ と」 そ の も の に 「 正 当 な 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 判 例 研 究 1117 一 〇
理 由」 を 求 め る こ と は で き な い 。 ま た 、 任 期 変 更 に も 「 正 当 な 理 由」 は 本 来 必 要 な い 。 こ の 点 、 前 述 の よ う に 、「 任 期 の 短 縮」 に つ い て 「 正 当 な 理 由」 が 必 要 と 考 え る 見 解 も あ る6() 。 し か し 、 そ の よ う に 考 え る と 、 任 期 が 短 縮 さ れ た が ま だ 任 期 が 残 っ て い る 取 締 役 に 対 し て も 、 減 っ た 任 期 の 分 だ け 損 害 賠 償 が 認 め ら れ る こ と に な る が 、 そ れ は 、「 解 任」 の 場 合 に つ い て の 規 定 で あ る 三 三 九 条 二 項 の 趣 旨 の 範 囲 を 超 え る の で は な い か 。 「 解 任」 と 同 視 で き る か ら 三 三 九 条 二 項 の 類 推 適 用 が 認 め ら れ る の で あ っ て 、 任 期 変 更 が な さ れ た だ け で は 、 三 三 九 条 二 項 の 類 推 の 余 地 は な い と 考 え ら れ る 。 問 題 の 本 質 は 、 本 来 の 任 期 満 了 前 に 取 締 役 の 地 位 を 会 社 が 一 方 的 に 終 了 さ せ る 点 に あ り 、 そ れ が 「 取 締 役 の 任 期 に 対 す る 期 待」 を 奪 う 点 に あ る 。 で あ れ ば 、「 正 当 な 理 由」 は 、 形 式 は と も か く 、 取 締 役 の 地 位 を 会 社 が 一 方 的 に 終 了 さ せ て 実 質 的 に 解 任 し た 点 、 す な わ ち 、 本 件 で は 、「 定 款 を 変 更 し て 任 期 満 了 に し て 退 任 さ せ て 再 任 し な い こ と」 に 求 め ら れ る べ き で あ る 。 そ し て 、「 定 款 を 変 更 し て 任 期 満 了 に し て 退 任 さ せ て 再 任 し な い こ と」 の 「 正 当 な 理 由」 も 、 解 任 す る こ と に つ い て の 「 正 当 な 理 由」 も 、「 取 締 役 の 地 位 を 会 社 が 一 方 的 に 奪 っ て よ い 理 由」 と い う 点 で は 同 じ で あ り 、 審 査 の 中 身 に 実 質 的 な 違 い は な い と 考 え ら れ る 。 よ っ て 、 本 件 に お い て は 、 解 任 の 「 正 当 な 理 由」 が あ る か 否 か の 審 査 を 行 え ば 足 り る も の と 考 え る 。 本 判 決 も 、 実 質 的 に は 解 任 の 正 当 理 由 が あ る か 否 か と 同 様 の 判 断 を し て い る と 思 わ れ る 。 3 本 件 に お け る 、 会 社 法 第 三 三 九 条 第 二 項 の 「 正 当 な 理 由」 の 有 無 に つ い て ( 1) 本 判 決 の 内 容 ア 被 告 の 主 張 本 件 に お い て 、 被 告 は 、「 正 当 な 理 由」 と し て 、 以 下 の 主 張 を し て い る 。 ( ア) 被 告 の 取 締 役 全 員 が 親 族 関 係 に あ り 、 取 締 役 会 が 形 骸 化 し て い た た め 、 そ の 活 性 化 を 図 り 、 経 営 体 質 を 強 化 し て 、 経 営 環 境 の 急 激 な 変 化 に 対 応 す る 必 要 が あ っ た 。 ( イ) 原 告 ら か ら 、 ① C の 所 有 す る 被 告 の 株 式 を 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 取 締 役 の 任 期 途 中 に お け る 任 期 に 関 す る 定 款 変 更 1116 一 一
被 告 等 が 買 い 取 る べ き で あ る 、 ② 被 告 の 経 営 が 安 定 し て い る う ち に 被 告 を 売 却 し た 方 が 良 い 、 と い っ た 意 見 や 、 ③ 個 人 的 な 感 情 に 基 づ く 理 由 の な い 人 事 提 案 が な さ れ た こ と に よ っ て 、 そ の 取 締 役 会 に お い て 実 質 的 な 経 営 に つ い て の 話 が で き な い 状 況 と な っ て い た 。 ( ウ) 原 告 X 2 に つ い て は 、 ① 無 断 欠 勤 や 遅 刻 、 直 帰 が 頻 発 し て い た こ と 、 ② 亡 B が 使 用 し て い た 社 用 車 の ベ ン ツ を 通 勤 に 使 用 し て い た こ と 、 ③ 自 動 車 で 通 勤 し て い た に も 関 わ ら ず 、 電 車 通 勤 で あ る 旨 申 告 し 、 通 勤 手 当 を 受 け 取 っ て い た こ と 、 ④ 被 告 名 義 の E T C カ ー ド を 被 告 の 業 務 外 の た め に 使 用 し て い た こ と 、 ⑤ C か ら 被 告 の 株 式 を 買 い 取 る た め に 被 告 か ら 借 り 受 け た 一 〇 〇 〇 万 円 の 返 済 を 行 っ て い な い こ と か ら す れ ば 、 取 締 役 と し て 不 適 格 で あ っ た 。 イ 裁 判 所 の 判 断 こ れ に 対 し 、 判 旨 は 、 以 下 の 点 を 述 べ て 、「 正 当 な 理 由」 の 存 在 を 否 定 し た 。 ( ア) 取 締 役 全 員 が 親 族 関 係 に あ っ て 取 締 役 会 が 形 骸 化 し て い た と い う の で あ れ ば 、 新 た に 親 族 以 外 の 者 を 取 締 役 と し て 追 加 す れ ば 足 り る 。 ( イ) 原 告 ら か ら ( イ) ① な い し ③ の 提 案 が な さ れ た こ と を 認 め る に 足 り る 証 拠 は な い し 、 仮 に こ れ ら の 提 案 が な さ れ て い た と し て も 、 上 記 ① 、 ② に つ い て は 、 そ れ ら の 提 案 が 被 告 に と っ て 違 法 、 不 当 な 内 容 で あ っ た と は い え ず 、 上 記 ③ に つ い て は 、 こ れ が 個 人 的 な 感 情 に 基 づ く 理 由 の な い 提 案 で あ っ た こ と を 認 め る に 足 り る 証 拠 は な い 。 ( ウ)( ウ) に つ い て は 、 ① ④ に つ い て は 、 こ れ を 事 実 と 認 め る 証 拠 が な い 。 ② ⑤ に つ い て は 、 取 締 役 と し て の 職 務 執 行 と は 直 接 の 関 係 が な い 。 ③ に つ い て は 、 通 勤 手 当 を 理 由 な く 受 給 し た 期 間 や そ の 総 額 に つ い て は 明 ら か で は な く 、 取 締 役 と し て の 適 格 性 を 欠 く と い う ほ ど に 悪 質 な 行 為 で あ っ た こ と を 認 め る に は 足 り な い 。 ( 2) 学 説 ・ 文 献 本 判 決 の 、 正 当 な 理 由 は な い と い う 結 論 に つ い て 、 異 論 を 述 べ る 文 献 は 見 あ た ら な い 。 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 判 例 研 究 1115 一 二
( 3) 検 討 ア 「 正 当 な 理 由」 の 有 無 の 判 断 基 準 法 定 責 任 説 か ら は 、「 正 当 な 理 由」 の 意 義 は 、 会 社 ・ 株 主 の 利 益 と 取 締 役 の 利 益 の 調 和 の 上 に 決 せ ら れ る こ と に な る 。 そ し て 「 正 当 な 理 由」 は 、 「 会 社 に お い て 取 締 役 と し て 職 務 の 執 行 を 委 ね る こ と が で き な い と 判 断 す る こ と も や む を 得 な い 、 客 観 的 、 合 理 的 な 事 情 が 存 在 す る 場 合」 () 、 な い し は 、「 当 該 取 締 役 に 職 務 を 執 行 さ せ る に あ た り 障 害 と な る べ き 状 況 が 客 観 的 に 生 じ た 場 合」 () に 、 正 当 な 理 由 が 認 め ら れ る と さ れ て い る 。 尚 、 不 法 行 為 責 任 説 か ら は 、 こ れ よ り も 正 当 事 由 が 認 め ら れ る 範 囲 が 広 く な り 、 債 務 不 履 行 責 任 説 か ら は こ れ よ り も 狭 く な る と 考 え ら れ る 。 イ 判 例 に 現 れ た 正 当 な 理 由 の 具 体 例 判 例 上 、 正 当 な 理 由 が 認 め ら れ た 具 体 例 と し て は 、 ・ 担 当 事 業 部 門 の 廃 業() 、 心 身 の 故 障() 、 能 力 の 著 し い 欠 如 ( 監 査 役 が 税 理 士 と し て 会 社 の た め に な し た 税 務 処 理 に 明 ら か な 過 誤 が あ っ て 会 社 に 損 失 を 与 え た 事 案 ( ) ) な ど が あ る 。 ま た 、 正 当 な 理 由 が な い と さ れ た 具 体 例 と し て は 、 会 社 の 取 締 役 に 対 す る 単 な る 主 観 的 な 信 頼 関 係 が 失 わ れ た だ け で は 、 正 当 な 事 由 が あ る と は 言 え な い と し た も の ( ) 、 事 前 に 大 株 主 に 相 談 す る こ と な く 株 主 割 当 に よ る 新 株 発 行 を 実 施 す る な ど 、 大 株 主 の 信 頼 感 を 失 わ せ る 言 動 が あ っ た こ と を 認 定 し つ つ 、 そ れ ら を 考 慮 し て も 、 取 締 役 と し て 適 格 を 欠 く と か 、 客 観 的 に 職 務 遂 行 が 不 可 能 で あ る と か 障 害 が あ る と は 言 え な い と し た も の() 、 代 表 者 と の 折 り 合 い が 悪 く な っ て 社 内 で 孤 立 し た こ と が 、 正 当 な 理 由 と は 言 え な い と し た も の ( ) が あ る 。 ウ 私 見 判 旨 の 結 論 に 賛 成 す る 。 判 決 文 が 認 定 し た 事 実 か ら 、 X 1 、 X 2 に つ い て 、「 経 営 を 行 わ し め る に あ た っ て 障 害 と な る べ き 状 況 が 客 観 的 に 生 じ」 た と 言 う の は 厳 し い 。 Y や A と し て は 、 X 1 、 X 2 が 取 締 役 と し て 不 適 格 で あ る こ と が 客 観 的 に 裁 判 所 に 分 か る よ う に 立 証 し な け れ ば な ら な か っ た が 、( ウ) ① ④ で 、「 証 拠 は な い」 と 認 定 さ れ て お り 、 不 適 格 で あ る こ と の 立 証 に 失 敗 し て い る 。 ま た 、「 正 当 な 理 由」 が あ る な ら ス ト レ ー ト に 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 取 締 役 の 任 期 途 中 に お け る 任 期 に 関 す る 定 款 変 更 1114 一 三
解 任 す れ ば す む 話 で 、 む し ろ 、 裁 判 所 か ら 見 れ ば 、 「 正 当 な 理 由」 が な い か ら 解 任 と い う 手 段 を と る こ と を 避 け つ つ 、 任 期 短 縮 の 定 款 変 更 に よ っ て 取 締 役 の 地 位 か ら 放 逐 し て 、 損 害 賠 償 も 免 れ よ う と し た 、 と い う 風 に 見 え た の で は な い か 。 4 正 当 な 理 由 が な い 場 合 の 、 損 害 賠 償 額 の 算 定 方 法 に つ い て ( 1) 本 判 決 の 内 容 こ の 点 に つ い て 、 本 判 決 は 、 退 任 の 日 の 翌 日 か ら 二 年 分 の 報 酬 が 損 害 と な る と し て い る 。 そ し て 、 そ の 理 由 と し て 、 長 期 間 に 亘 っ て 被 告 の 経 営 状 況 や 原 告 ら の 取 締 役 の 職 務 内 容 に 変 化 が 全 く な い と は 考 え が た く 、 原 告 ら が 平 成 二 八 年 六 月 ま で の 間 に 上 記 の 月 額 報 酬 を 受 領 し 続 け る こ と が で き た と 推 認 す る こ と は 困 難 で あ る と し て い る 。 も っ と も 、 本 判 決 は 、 な ぜ 「 二 年 分」 な の か に つ い て は 判 示 し て い な い 。 ( 2) 学 説 ・ 文 献 本 判 決 に 対 す る 評 価 と し て は 、「 損 害 の 算 定 期 間 を 二 年 間 に 限 定 す る と し た 根 拠 は 必 ず し も 明 ら か と は 言 え な い が 、 取 締 役 の 任 期 が 原 則 二 年 間 と さ れ て い る こ と を 一 つ の メ ル ク マ ー ル と し た と 評 価 す る こ と も 可 能 で あ ろ う」 と す る も の が あ る ( ) 。 他 方 、「 賠 償 額 の 算 定 期 間 が な ぜ 退 任 日 か ら 二 年 分 に 限 定 さ れ る の か 、 そ の 法 的 根 拠 が 本 判 決 で は 明 ら か に さ れ て い な い」 と か 、「 再 任 し な い こ と に つ い て 正 当 事 由 の 有 無 を 問 題 と す る 立 場 で あ れ ば 、 再 任 さ れ れ ば 得 ら れ た は ず の 取 締 役 報 酬 の 額 を 損 害 と す べ き で 、 本 件 定 款 変 更 後 の 任 期 で あ る 一 年 を 算 定 期 間 と す べ き で あ る の に 、 二 年 を 算 定 期 間 と す る の は な ぜ か」 な ど と 述 べ て 、「 残 存 任 期 の 報 酬 を 賠 償 す る も の と さ れ る べ き で あ っ た」 と す る も の も あ る ( 3) 。 ま た 、「 Y が X 1 ら を 直 接 解 任 す る 手 段 を 採 用 し て い れ ば 、 学 説 ・ 判 例 に よ り 当 初 の 取 締 役 終 任 ま で の 五 年 五 ヶ 月 分 の 報 酬 の 支 払 い と な っ た は ず だ」 と か 、「 解 任 の 場 合 に は 、 取 締 役 任 期 の 残 存 期 間 分 の 報 酬 等 を 支 払 う こ と に つ い て 判 例 ・ 学 説 と も に 異 論 は な い」 な ど と 述 べ 、「 取 締 役 の 職 務 内 容 に 変 化 が な い と は 考 え が た い と の 理 由 付 け は 、 取 締 役 の 損 害 賠 償 の 範 囲 を 限 定 す る 特 別 の 事 情 に 該 当 す る も の で は な い 。 従 っ て 、 取 締 役 任 期 の 残 存 期 間 で あ る 五 年 五 ヶ 月 相 当 分 を 支 払 う こ と が 相 当 で あ る」「 仮 に 、 損 害 賠 償 の 対 象 期 間 を 短 縮 す る と の 判 断 で あ れ ば 、 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 判 例 研 究 1113 一 四
定 款 変 更 の 正 当 性 を 事 実 関 係 か ら 判 断 し 、 そ の 判 断 に 則 っ て 、 損 害 賠 償 と し て 相 応 し い 対 象 期 間 を 論 ず る べ き で あ る」 と す る も の も あ る5() 。 も っ と も 、 こ の 論 者 は 、 本 判 決 の 射 程 は 、 解 任 の 場 合 に は 及 ば な い と 考 え て い る と 思 わ れ る が 、 そ の 点 に つ い て は 、 後 述 の 通 り 、 疑 問 が あ る 。 ま た 、「 解 任 の 場 合 に は 、 取 締 役 任 期 の 残 存 期 間 分 の 報 酬 等 を 支 払 う こ と に つ い て 判 例 ・ 学 説 と も に 異 論 は な い」 と の 点 に つ い て は 、 少 な く と も 、 本 判 決 を 書 い た 裁 判 官 は 、 そ う は 考 え て い な い の で は な い か と 思 わ れ る 。 ( 3) 検 討 ア 本 判 決 の 射 程 判 旨 は 、 定 款 変 更 に よ っ て 任 期 満 了 と な る 取 締 役 に 対 す る 損 害 賠 償 を 報 酬 二 年 分 と し て い る が 、 「 長 期 間 に 亘 っ て 被 告 の 経 営 状 況 や 原 告 ら の 取 締 役 の 職 務 内 容 に 変 化 が 全 く な い と は 考 え が た く」 と の 理 由 付 け は 、 解 任 の 場 合 に も あ て は ま る と 考 え ら れ る 。 と す れ ば 、 本 判 決 の 論 理 か ら す れ ば 、 非 公 開 会 社 で 取 締 役 の 任 期 を 二 年 超 と し て い る 会 社 で 、 取 締 役 を 正 当 理 由 な く 解 任 し た 場 合 、 損 害 賠 償 は 報 酬 二 年 分 に 限 定 さ れ る も の と 思 わ れ る 。 イ 損 害 の 範 囲 正 当 な 理 由 が な い 場 合 の 損 害 賠 償 の 額 に つ い て は 、「 取 締 役 が 解 任 さ れ な け れ ば 在 任 中 及 び 任 期 満 了 時 に 得 ら れ た 利 益 の 額」 7() 、 ま た は 、 取 締 役 を 解 任 さ れ な け れ ば 残 存 期 間 中 と 任 期 満 了 時 に 得 べ か り し 利 益 ( 所 得) の 喪 失 に よ る 損 害8() で あ る と さ れ て い る 。 ま た 、 本 件 で は 請 求 さ れ て い な い が 、 慰 藉 料 に つ い て は 、 損 害 に 含 ま れ な い と す る の が 多 数 説 で あ る() 。 ま た 、 弁 護 士 費 用 に つ い て も 、 損 害 に 含 ま れ な い と す る の が 多 数 説 で あ る() 。 ウ Y が 非 公 開 会 社 で 、 取 締 役 の 任 期 が 伸 長 さ れ て い る 点 に つ い て ま た 、 本 件 の よ う に 、 非 公 開 会 社 で 、 取 締 役 の 任 期 が 伸 長 さ れ て い る 場 合 、 そ の こ と を 損 害 賠 償 額 の 減 額 要 素 と す べ き か 否 か 、 と い う 問 題 が あ る 。 す な わ ち 、 取 締 役 の 任 期 が 定 款 で 伸 長 さ れ て い る 場 合 に 、 前 記 イ を そ の ま ま 当 て は め る と 、 会 社 法 第 三 三 二 条 二 項 に よ り 、 最 大 一 〇 年 分 の 報 酬 と な り 、 損 害 賠 償 額 が 高 額 に な り す ぎ る の で は な い か 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 取 締 役 の 任 期 途 中 に お け る 任 期 に 関 す る 定 款 変 更 1112 一 五
と い う 問 題 で あ る 。 こ の 点 に つ い て は 、 以 下 の よ う に 、 定 款 に よ る 任 期 延 長 を 損 害 賠 償 額 の 減 額 要 素 と す べ き で な い と す る 見 解 が あ る 。 「 公 開 会 社 で な い 株 式 会 社 の 取 締 役 ・ 監 査 役 ・ 会 計 参 与 の 任 期 が 定 款 の 定 め に よ っ て 延 長 さ れ る の は 、 取 締 役 等 の 任 期 を 延 長 し そ の 地 位 を 安 定 さ せ る こ と が 、 会 社 ま た は 株 主 利 益 の 観 点 か ら 合 理 的 で あ る と 判 断 さ れ た か ら に 他 な ら な い 。 従 っ て 、 取 締 役 等 の 任 期 が 延 長 さ れ た こ と を 、 解 任 さ れ た 取 締 役 等 が 会 社 に 請 求 可 能 な 損 害 賠 償 請 求 額 を 減 額 す る 要 素 と し て 考 慮 す る こ と は 、 会 社 又 は 株 主 の 意 思 に 反 す る の で 適 切 で は な い 。 株 式 会 社 が 自 由 に 取 締 役 等 を 解 任 す る こ と を 認 め る 三 三 九 条 一 項 を 踏 ま え る と 、 任 期 の 延 長 は 、 各 会 社 が 、 個 別 具 体 的 な 事 情 を 考 慮 し て 、 取 締 役 の 地 位 の 安 定 性 を 向 上 さ せ る た め の 重 要 な 手 段 で あ り 、 そ の 解 釈 に 際 し て は 、 会 社 ま た は 株 主 の 意 思 が 尊 重 さ れ る べ き で あ る() 。」 。 こ れ に 対 し 、 定 款 に よ る 任 期 延 長 を 損 害 賠 償 額 の 減 額 要 素 と す べ き と す る 見 解 は 見 あ た ら な い 。 エ 私 見 本 判 決 を 評 価 す る に あ た っ て は 、 問 題 を 二 つ に 分 け て 検 討 す る 必 要 が あ る と 思 わ れ る 。 即 ち 、 ① 定 款 を 変 更 し て 任 期 満 了 に し て 退 任 さ せ た 場 合 の 損 害 額 の 算 定 は 、 解 任 の 場 合 と 同 様 で よ い の か 、 と い う 問 題 と 、 ② 非 公 開 会 社 で 、 取 締 役 の 任 期 が 伸 長 さ れ て い る 場 合 、 正 当 事 由 な く 解 任 す る 場 合 は 、 任 期 満 了 ま で の 報 酬 の 全 額 を 損 害 と な る の か 。 そ れ と も 何 年 分 か に 限 定 す べ き な の か 、 と い う 問 題 で あ る 。 ま ず 、 ① の 問 題 に つ い て は 、 私 見 と し て は 同 じ で よ い と 考 え る 。 な ぜ な ら 、 正 当 な 理 由 な く 解 任 し た 場 合 と 、 定 款 を 変 更 し て 任 期 満 了 に し て 退 任 さ せ た 場 合 と で 、 保 護 す べ き 「 任 期 に 対 す る 期 待」 に 違 い が あ る と は 思 わ れ な い か ら で あ る 。 ま た 、 本 件 の よ う に 、 実 質 的 に は 解 任 を 意 図 し て 取 締 役 の 任 期 を 変 更 し た よ う な 場 合 に 、 解 任 の 場 合 と 結 論 を 異 に す る こ と に 合 理 的 理 由 は な い 。 次 に 、 ② の 問 題 に つ い て は 、 任 期 満 了 ま で の 報 酬 の 全 額 を 損 害 と す べ き で は な く 、 二 年 分 に 限 定 す る の が 適 切 で あ る と 考 え る 。 理 由 は 、 以 下 の 通 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 判 例 研 究 1111 一 六
り で あ る 。 ( ア) 最 大 一 〇 年 分 の 報 酬 を 損 害 賠 償 と し て 受 領 で き る と い う の は 、 い か に も 過 大 で あ り 、 極 め て 座 り が 悪 い 。 働 か な い で 一 〇 年 分 の 報 酬 を も ら え る の な ら 、 取 締 役 と し て は 、 む し ろ 解 任 し て も ら っ た 方 が あ り が た い と い え 、 そ の 結 論 に は 到 底 、 賛 成 し 難 い 。 ( イ) 損 害 の 範 囲 を 、「 取 締 役 が 解 任 さ れ な け れ ば 在 任 中 及 び 任 期 満 了 時 に 得 ら れ た 利 益 の 額」 と 解 す る 見 解 は 、 会 社 法 制 定 前 の も の か 、 制 定 後 の も の で あ っ て も 、 公 開 会 社 だ け を 念 頭 に お い た も の で あ り 、 会 社 法 成 立 後 、 取 締 役 の 任 期 が 最 大 一 〇 年 と な っ た こ と を 踏 ま え た 見 解 で は な い の で は な い か 。 少 な く と も 、 取 締 役 の 任 期 が 最 大 一 〇 年 と な っ た こ と を 踏 ま え た 議 論 が 充 分 に な さ れ た 結 果 、 そ の よ う な 見 解 が 支 配 的 と な っ て い る わ け で は な い の で は な い か 。 ( ウ) 取 締 役 の 報 酬 が 、 五 年 先 も 一 〇 年 先 も 同 じ よ う に も ら え る 保 障 は な く ( 経 営 状 態 、 経 営 環 境 の 変 動) 、 就 任 時 の 報 酬 が 在 任 期 間 中 ず っ と 支 給 さ れ る こ と が 保 障 さ れ て い る わ け で は な い 。 と す れ ば 、 解 任 時 に お け る 報 酬 に 、 残 存 任 期 の 期 間 を 乗 じ て 損 害 額 を 算 出 す る と い う 手 法 に 、 合 理 性 は な い の で は な い か 。 ( エ) 労 働 審 判 に お い て 、 不 当 解 雇 の 場 合 の 解 決 金 の 相 場 ( 解 雇 理 由 が な い 場 合) が 給 料 一 年 分 と さ れ て い る こ と ( ) と の ア ン バ ラ ン ス 。 ( オ) 任 期 満 了 ま で の 報 酬 を 賠 償 す べ き と の 見 解 を と る 論 者 の 論 理 は 、 株 主 自 ら 定 款 で 取 締 役 の 任 期 を 延 長 す る 選 択 を し た 以 上 は 、 そ れ に よ っ て 解 任 の 際 の コ ス ト が 上 が る こ と も 了 解 し て い た は ず 、 と の 理 解 に 基 づ く も の と 思 わ れ る 。 し か し 、 中 小 企 業 が 定 款 を 作 る と き に 、 そ こ ま で 検 討 し て い る だ ろ う か 。 出 来 合 い の 雛 形 を そ の ま ま 使 っ て は い な い だ ろ う か ( 尚 、 法 務 省 の ホ ー ム ペ ー ジ に は 設 立 登 記 申 請 書 類 の 文 例 が 記 載 さ れ て お り 、 定 款 の 文 例 も 記 載 さ れ て い る が 、 取 締 役 会 を 設 置 し な い 場 合 の 定 款 の 文 例 で は 、 取 締 役 の 任 期 は 一 〇 年 と 記 載 さ れ て い る 。 ま た 、 日 本 公 証 人 連 合 会 の ホ ー ム ペ ー ジ に 記 載 さ れ て い る 、 非 公 開 会 社 、 小 規 模 会 社 の 定 款 記 載 例 で は 、 取 締 役 の 任 期 は 五 年 と さ れ て い る 。 こ れ ら 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 取 締 役 の 任 期 途 中 に お け る 任 期 に 関 す る 定 款 変 更 1110 一 七
の 文 例 を さ し た る 検 討 も せ ず そ の ま ま 使 っ て い る 中 小 企 業 が 多 く 存 在 す る の で は な い か) 。 ( カ) ま た 、 本 件 の よ う に 、 オ ー ナ ー 社 長 が 突 然 病 に 倒 れ 、 新 た に 取 締 役 を 選 任 す る こ と に な っ た 場 合 、 新 取 締 役 の 選 任 ま で に 、 そ れ ま で の 定 款 の 妥 当 性 を 、 オ ー ナ ー 社 長 な い し そ の 相 続 人 が 検 討 す る 機 会 は 、 実 質 的 に は な い か 、 極 め て 乏 し い の で は な い か 。 特 に 本 件 で は 、 X 1 、 X 2 が 取 締 役 に 選 任 さ れ た の は 、 B の 死 亡 直 前 に 開 催 さ れ た 病 室 で の 臨 時 株 主 総 会 で あ り 、 そ の よ う な 切 迫 し た 状 況 下 で 、 B や A が 、 定 款 で 定 め ら れ た 取 締 役 の 任 期 の 妥 当 性 を 検 討 す る こ と は 、 実 質 的 に は 不 可 能 で あ っ た の で は な い か 。 ( キ) 会 社 法 三 三 九 条 二 項 の 趣 旨 は 、 株 主 総 会 に よ る 解 任 の 自 由 の 保 障 と 役 員 等 の 任 期 に 対 す る 期 待 の 保 護 と の 調 和 で あ る と 解 さ れ て い る ( 法 定 責 任 説) 。 こ こ で 、「 任 期 に 対 す る 期 待」 と 言 っ て も 、 定 款 上 一 〇 年 の 任 期 が 定 め ら れ て い る か ら と い っ て 、 経 営 状 態 や 経 営 環 境 の 変 化 に も か か わ ら ず 、 就 任 当 初 と 同 じ 報 酬 を 一 〇 年 間 も ら い 続 け る こ と が で き る と の 期 待 を 、 取 締 役 は 持 つ だ ろ う か 。 持 っ た と し て 、 そ の 期 待 は 法 的 保 護 に 値 す る だ ろ う か 。 ( ク) 本 判 決 に 対 し て は 、「 二 年 間」 と い う 期 間 に つ い て 理 論 的 根 拠 が な い と の 批 判 が あ る 。 確 か に 、「 二 年 間」 と い う 数 字 が ど こ か ら 出 て き た の か 、 本 判 決 か ら は 明 ら か で な い 。 た だ 、 そ れ 以 上 の 長 期 間 に 亘 っ て 同 額 の 報 酬 を 受 領 し 続 け る こ と が で き た と は 推 認 で き な い と い う 本 判 決 の 理 由 付 け は 、 一 応 、 成 り 立 ち 得 る も の で は あ る と 思 わ れ る 。 ま た 、 裁 判 所 は 、 損 害 額 の 認 定 に つ い て 広 汎 な 裁 量 権 が 認 め ら れ て お り ( 民 事 訴 訟 法 第 二 四 八 条) 、「 二 年 間」 と い う 期 間 は 、 結 論 と し て は 穏 当 と 思 わ れ る 。 私 見 と し て は 、 公 開 会 社 の 場 合 と の 均 衡 か ら も 、 二 年 分 で よ い の で は な い か と 考 え る 。 ( 4) 残 る 問 題 最 後 に 、 そ の 他 の 問 題 点 に つ い て 検 討 す る 。 ア 本 件 で 、 本 件 定 款 変 更 時 に は X 1 、 X 2 を 再 任 し て お い て 、 一 年 後 に 任 期 満 了 で 退 任 さ せ た ら ど う な る だ ろ う か 。 一 年 後 も 、 再 任 し な い こ と に 「 正 当 な 理 由」 が 必 要 だ ろ う か 。 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 判 例 研 究 1109 一 八
こ の 点 に つ い て は 、 私 見 と し て は 、 必 要 な い と 考 え る 。 再 任 し な い こ と そ れ 自 体 に 「 正 当 な 理 由」 は 必 要 な い 。 三 三 九 条 二 項 は 、 解 任 と 実 質 的 に 同 視 で き る 場 合 に の み 類 推 適 用 さ れ る べ き で あ る 。 ま た 、 取 締 役 は 、 再 任 の 際 に 、 任 期 の 短 縮 を 受 け 入 れ て 就 任 を 承 諾 し た と 考 え る こ と で き る 。 イ そ う す る と 、 Y な い し A と す れ ば 、 今 回 は 定 款 変 更 を し た 上 で X 1 、 X 2 を 再 任 し て お い て 、 一 年 後 に 任 期 満 了 で 退 任 し て も ら え ば 、 払 う の は 報 酬 一 年 分 で よ か っ た の だ ろ う か 。 こ の 点 に つ い て は 、 若 干 の 違 和 感 は あ る が 、 X 1 、 X 2 が 一 年 の 任 期 で 取 締 役 就 任 を 承 諾 し た 以 上 、 一 年 後 の 退 任 は や む を 得 な い と 考 え る 。 ウ で は 、 例 え ば 、 任 期 一 〇 年 の 取 締 役 の 就 任 一 年 後 に 、 任 期 を 二 年 に 変 更 す る 定 款 変 更 を し た ら 、 ど う な る の か 。 八 年 分 の 報 酬 が 損 害 賠 償 額 と な る の だ ろ う か 。 こ の 点 に つ い て は 、 賠 償 の 必 要 な し と 考 え る 。 定 款 の 変 更 そ れ 自 体 に 、「 正 当 な 理 由」 は 必 要 な い 。 三 三 九 条 二 項 は 、 解 任 と 実 質 的 に 同 視 で き る 場 合 に の み 類 推 適 用 さ れ る 。 こ の 場 合 、 解 任 と 同 視 は で き な い の で 、 三 三 九 条 二 項 は 類 推 適 用 で き な い と 考 え る 。 エ と す れ ば 、 定 款 変 更 す る と 同 時 に 任 期 が 満 了 す る わ け で は な い が 、 任 期 短 縮 の 定 款 変 更 決 議 の ほ ん の 僅 か 後 に 任 期 が 満 了 に な る よ う に 計 算 し て 定 款 変 更 し た ら ど う な る の か 。 例 え ば 就 任 後 一 年 が 経 過 し て い る 取 締 役 を 辞 め さ せ る た め に 、 臨 時 株 主 総 会 を 開 い て 任 期 を 一 年 一 ヶ 月 に す る 定 款 変 更 を し た ら ど う な る の か 。 こ の 場 合 は 、 実 質 的 な 解 任 を 意 図 し て そ の よ う な 定 款 変 更 を 行 っ た と 認 定 で き る の で あ れ ば 、 解 任 と 同 視 し て 損 害 賠 償 を 認 め る べ き と 考 え る 。 オ 再 任 し な い こ と に つ い て 正 当 な 理 由 の 有 無 を 問 題 と す る の で あ れ ば 、 再 任 さ れ れ ば 得 ら れ た は ず の 報 酬 す な わ ち 、 本 件 定 款 変 更 後 の 任 期 で あ る 一 年 分 の 報 酬 を 損 害 と す べ き で は な い か 、 と の 批 判 ( 3) に つ い て は 、 ど う 考 え る か 。 こ の 点 に つ い て は 、 実 質 的 な 解 任 に よ っ て 奪 わ れ た 「 任 期 に 対 す る 期 待」 が 問 題 な の で 、 定 款 変 更 後 の 任 期 は 問 題 に す べ き で な い と 考 え る 。 そ も そ も 損 害 賠 償 の 算 定 期 間 を 、 会 社 の 側 で 任 意 に 決 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 取 締 役 の 任 期 途 中 に お け る 任 期 に 関 す る 定 款 変 更 1108 一 九
め ら れ る 数 字 で あ る 、 定 款 変 更 後 の 任 期 に よ っ て 決 め る の は 適 切 で は な い と 考 え る 。 ( )「 会 社 法 の 施 行 に 伴 う 商 業 登 記 実 務 の 取 り 扱 い に つ い て」 平 成 一 八 年 三 月 三 一 日 付 法 務 省 民 商 第 七 八 二 号 法 務 局 長 ・ 地 方 法 務 局 長 宛 民 事 局 長 通 達 ( ) 昭 和 三 五 年 八 月 一 六 日 付 法 務 省 民 事 四 第 一 四 六 号 民 事 局 第 四 課 長 心 得 回 答 ( ) 中 村 信 男 法 律 の ひ ろ ば 第 六 九 巻 三 号 六 四 頁 ( ) 判 例 時 報 第 二 二 七 四 号 一 一 三 頁 ( ) 高 橋 均 ジ ュ リ ス ト 第 一 四 九 六 号 九 一 頁 ( ) 鳥 山 恭 一 法 学 セ ミ ナ ー 第 七 三 九 号 一 一 九 頁 ( ) 江 頭 憲 治 郎 「 株 式 会 社 法」 第 六 版 有 斐 閣 三 九 五 頁 ( ) 加 藤 貴 仁 「 会 社 法 コ ン メ ン タ ー ル 7」 商 事 法 務 五 二 八 頁 ( ) 大 阪 高 判 昭 五 六 ・ 一 ・ 三 〇 判 例 時 報 第 一 〇 一 三 号 一 二 一 頁 ( ) 東 京 地 判 昭 六 三 ・ 二 ・ 二 六 判 例 時 報 第 一 二 九 一 号 一 四 〇 頁 ( ) 広 島 地 判 平 六 ・ 一 一 ・ 二 九 判 例 タ イ ム ズ 第 八 八 四 号 二 三 〇 頁 ( ) 大 森 忠 夫 他 編 浜 田 一 男 「 注 釈 会 社 法 ( 4)」 有 斐 閣 ( 一 九 六 八) 三 〇 四 頁 ( ) 近 藤 光 男 「 会 社 支 配 と 株 主 の 権 利」 有 斐 閣 一 七 二 頁 ( ) 今 井 潔 「 注 釈 会 社 法 ( 6)」 新 版 有 斐 閣 ( 一 九 八 七) 七 〇 頁 ( ) 東 京 地 判 平 八 ・ 八 ・ 一 商 事 法 務 第 一 四 三 五 号 三 七 頁 ( ) 横 浜 地 判 平 二 四 ・ 七 ・ 二 〇 判 例 時 報 第 二 一 六 五 号 一 四 一 頁 ( ) 最 判 昭 五 七 ・ 一 ・ 二 一 判 例 時 報 第 一 〇 三 七 号 一 二 九 頁 ( ) 東 京 高 判 昭 五 八 ・ 四 ・ 二 八 判 例 時 報 一 〇 八 一 号 一 三 〇 頁 ( ) 名 古 屋 地 判 昭 六 三 ・ 九 ・ 三 〇 判 例 時 報 第 一 二 九 七 号 一 三 六 頁 ( ) 東 京 地 判 昭 五 七 ・ 一 二 ・ 二 三 金 融 商 事 判 例 第 六 八 三 号 四 三 頁 ( ) 加 藤 貴 仁 「 会 社 法 コ ン メ ン タ ー ル 7」 商 事 法 務 五 三 三 頁 ( ) 岩 田 合 同 法 律 事 務 所 商 事 法 務 第 二 〇 九 〇 号 六 四 頁 ( ) 石 嵜 信 憲 偏 著 労 働 契 約 解 消 の 法 律 実 務 中 央 経 済 社 五 一 〇 頁 法と政治 67 巻 4 号 ( 2017 年 2 月) 判 例 研 究 1107 二 〇