未来に関わる半過去形の用法について
著者
阪上 るり子
雑誌名
年報・フランス研究
号
32
ページ
29-41
発行年
1998-12-25
URL
http://hdl.handle.net/10236/9393
29 未 来 に関 わ る半 過去形 の用 法 につ い て 阪上 る り子 0。 は じめに 時の流れを過去 0現在・未来に三分割 して考える場合、フランス語の半過去形 は、単 に過去の枠組みのなかだけで捉えきれる時称形ではな くて、発話者の現在 に密接に結 びついている用法 も多 くもつという主張は、今 日ではもう目新 らしい とは言えない。しか し、この時称形には未来に関与する用法 もあるという指摘は 非常 に少ないと言つてよいであろう。 そこで本稿では、半過去形で表わされている事態が、ある基準時 (ほとんどの 場合、発話者の現在)から見て未来にあたる領域 に及んでいると解釈で きる用法 について考察 してい きたい。 以下では、1。 でこの用法に触れている研究を見たあと、観察 0分析 を行 うた めの基本姿勢を2。 で概説 し、3。 において発話例の分析 を試みる、という順序 で検討を進める。 未 来 に 関 わ る用 法 を扱 っ た研 究 半過去 形 に未来 に関わる用法 もあ ることを指摘 して いる研究 と して Wllmet, M。 (1996)と Damourette,J.et PichOn,E。
(19H-36)を
挙 げ ることが で きる。前者の論考では Imparfait d6pendant d'un futurと い う項 目が設け られ、以 下の例が示 されている。
30 未来に関わる半過去形の用法について
(1) Quand Pierre arrivera(demain),nous ne dirons h personne qu'il′
αル
maladc(hier/attOurd'hui)。 CVilmet,p。 203)
(2) Quand Pierre arivera(demain),perSOnne ne saura qu'ilごrα
ル
malade(hier/attOurd'hui). (Jbjグ .)
これらの例では、
mOi―ici―maintenantという発話者の現在から見て未来に相当す
る
demainという時間的幅のなかで起こるであろう行為
ariver,dire,savoirが実
行されたとき
(とくに
qu'ilどrαJr malade attourd'huiと言つた場合
)、 ettemaladcと いう状態は実際に起こつているであろうこととして読み取れる。
Wllmet,M.は
その他の用法 も分析 しなが ら、下に引用 した図が示すように、 フラ ンス語の時の システムは一元的な構造をな していると捉 え、その ような構造枠 において半過去形 の用法 を統 一的に説明 しようと してい る。簡潔 に要約 すると、 半過去形 は、発話者のmoi―ici―maintenantを含むactllalit6か らずれたactualit6 を表わす時称形 であ り、(1)(2)の 例 もその用法のひ とつ とい う主張であ る。 図 1
A' A
C
marcha FrlarChalsB
marcheD
marcheral marcherals (libliJ。,P。 201) 他 方 のDamourette,J.と Pichon,E.は複数 の実 例 を挙 げて お り、 (3)は その な か の 一例 で あ る(1)。(3) Au train oさ va la science,lejour approche ot l'un des adversaires,
possesseur d'un secret qu'il ttnait en r6serve,ALIRA le moyen de supprimer r autre。 (BergSOn, L夕∫ご
`“χ∫ θ “ κ `∫ ご `滋腕 ″ ル θrご`
未来に関わる半過去形の用法について
彼等 は、
"naitは
AURAで
表わ されている未来 に対 して過 去 を表わ し、他の時称形 で置 き換 え るな らば aura tenuが 該 当するが、aura tenuで は持続 の意味 が 表わ されないので半過 去形が使用 された、 と解説 してい る。
彼 等 の フ ラ ンス 語 の 時 称 体 系 全体 に 関 す る 仮 説 は 、 発 話 者 の moi―ici―
maintenantを含 むactualit6と、 それ とは別 のactual籠 (彼等の用語ではそれ ぞ
れactualit6 noncale,actualit6 toncale)の二重構造が想定で き、actllalit6 noncale は もつば ら現在形 によって表わ され actualit6 toncaleは お もに半過去形に よ っ て表わされ る、 とい うものであ る。
Wilmet,M。 お よびDamourette,J。 とPichon,E。の主張の共通点 をまとめ る と、 半過 去形か ら読 み取 れ るactualit6は現在形か ら読 み取 れ るactllalitこ とは「 ずれ たactual籠」であ り、 引用 した例 もその°actual籠 の差異の現われの ヴア リア ン トと解釈 で きる とい うことであ る。Damourette,J。とPichon,E。 は半過 去形が表 わす「持続性 」に注 目 してはいるが、発話の産 出 とい う見地か ら両者の見解 を考 え る と、半過去形 は、発話者の actualit6か らのずれ を顕在化 す るために適切 と 判断 されて選択 された痕跡 を示す、 と言い換 え られるであ ろう。 しか し、それ だ けでは半過 去形以外の時称形が使用 されなか った理 由が必ず しも明 白ではな く、 他 の未来 に関わ る半過 去形の用例 も十分説明で きる とは考 え られない。
2.分
析 の 基 本 姿 勢 2。 1。 文法モデル 本稿 が依 拠 す る言語観察・分析の基本姿勢 は、Desc16s,J。―P。 が提唱 してい るGrammaire Applicadve&Cognitive(以
下GA&Cと
略 す)の
ものであ る。 この文法モデルでは、あ らゆ る発話は、発話者がさまざまな言語操作(6nOnCiation, pr6dication,th6matisation,modalisation,ctc。 )(2)を行 った結果産 出されたもの であ ると捉 える。これ らの操作 は発話者の頭の中でなされ るものであるか ら直接 観 察 することは不可能である。観察で きることは、発話に残 されてい る操作 の痕
32 未来に関わる半過去形の用法について 跡 であ る。 したが つて、発 話の観察 とは、その痕跡 を手がか りに どのよ うな操作 が行 われて い るのかを読み取 つてい こうとす ることであ る と言える。そ して、観 察 をあ る言語マー カー に注 目 しなが ら進め ることは、そのマーカーの特 質 を明 ら か にするこ とにつなが るであ ろ う。以下で もこの姿勢で半過 去形 の用法 の観察・ 分析 をめ ざす。 2。
2.発
話の時空間 発話 を生み たす操作 のなかには、言語化 しよ うとす る事柄 が どの ような時空 間 にお いて生起 していると捉 えるか、とい う発話者 による時空間の設定・認識 と言 え る よ うな 操 作 も あ ると考 え られ る。 時 空間 とはGA&Cの
用語 で register6f6rentiel、 あ るいは単にregistreと 呼ぶ もので、Benveniste,E。 が提唱 した plan d'6nonciationと 関 わ りの 深 い概 念 であ る。Benveniste,E。 は Plan d'6non― ciationを histoireとdiscoursに 大 き く三分 し(3)、 それぞれの Plan d'6nonciation
に属 する動詞時称形 を列挙 して いる。
GA&Cの
モデルは、 さまざ まな発 話か ら 読 み取れ る時空 間は多様 であ り、大 き くい くつかに分類が可能であ ると しても分 類 されたそれぞれの時空間の内部に も異質の ものが複数 あ ると認識で きる、とい うよ り発展 させ た立場 を とる。 発 話の時空間 を考慮 するにあたつて基準 となるのは、発 話者が位置 している現 在 moi_ici―maintenantを 構成 してい る時空間、すなわち、発話者が 自身を発話と直結 して捉 えている時空間で、
GA&Cの
用語ではregittre 6nonciatifと呼ぶ 。 これは必 ず しも言語化 されてい るとは限 らず、文脈 に含 まれてい ることも多い。 具体例 を見てい こう。(4) r ai dёcOuvert,ce rnatin,que le chat avait pass6 1a nuit a l'cxt6rieur de
la lnaison。 (lDesc16s,1995,p.10)
この例 では、「猫 が夜 を戸外で過 ご した」という事態 を発話者 自身が確 認 し、 それ を自らの発 話行為 と一致 した時空間registre 6nonciatifで 起 こつた ことと し て表現 して い る と読み取 れ る。
未来に関わる半過去形の用法について
(5) Le chat aurait pass6 1a nuit dehprs,d'apres ce que je vois ce matin。 (JbJご。)
ここでは、動詞 の時称形やd'aprёs ce qucと い う表現 か ら、 問題 の事態は、 発話者が位 置 してい る時空 間か らは距 離があ る時空 間で起 こつた こととして 捉
え られてい ると解釈で きる。
(6) Tu nl'as racontё que le chat avait pass6 1a nuit dehors。 (jbjグ。)
この例 の場合、猫に関する事態は対話者の
Tuが
捉 えた事柄 で間接話法 の形式 で表わ されてい る。 ここで読み取れ る事態が位置づけ られている時空間も、(4) や(5)のそれ とは異質の ものであ る と考え られ る。これ らの例 において識別で きる時空間は、それぞれ質は異な るにせ よ、発話者 の現在 と関わ りのある時空間、
GA&Cの
用語でregistre actuelと呼ぶ上位時空 間の枠 のなかの ヴ ァ リア ン トと言える。次に、発話者の現在 とは断絶 してお り、 出来事 同士の関連 だけが問題 となっているような過 去の時空間、GA&Cの
用語 で呼ぶregistre non actllalis6が確 認で きる例 を見てみ よ う。(7) Cle lnatin―la,1l d6couvHt que le chat avait pass6 1a nuit dehors。 (JbJご。)
ここでは、件 の事態の生起が語 りの時空間での一出来事 と して提示 されている。 この ような時空間 を表わす特権 的な動詞時称形は単純過去形・前過去形であるが、 これ らの形態が 中心 とな って語 りが進 め られてい る時空間では、出来事の生起順 とい う大 きな一方向の時の流れの設定 が読み取れ る。 以上、時空 間の差異が認識で きるような例 をい くつか見たわけであ るが、未来 に関わ る半過 去形 の発話 を観察 してい くために この ような時空間 の概 念を念 頭 に置 くことは重要であ ると思われ る。時の概念 を捉 え るとき、左右 に直線 を引 き、 現在 を中央 0過 去 を左・未来 を右 に位 置づけて図示す ることは一般 的であ るが、 未来 とい うのは既 に実現 して しまった過去 と対称 をな して いる領域ではない。あ らゆ る可能性 を秘 めた未知の領域であ る。したが つて、未来の事柄 を表わす発話 に読み取 れ る時空間 とい うのは非常に複雑で多様 であ ろうと予想 で きる。
GA&Cの
モデルでは、発話の時・ アスペ ク ト意味価値 の解釈・表象 を位相幾未来 に関 わ る半過去形 の用法 につい て 何学に基づ くインターヴアル図式をメタ言語(4)に用いて行 う。本稿でもその方 法 を採用する。基本的には、図2のように左右に引いた直線 をある時空間を表わ す軸 とし、T°の左を過去領域0右を未来領域 と設定 し、発話例か ら読み取れる動 詞時称形の意味価値や発話行為をインターヴアル(5)で表象 してい く。T°は刻々 と実現されてい く時間の最初の局面(可動性をもつ)を表わす。未来を表わす領 域は、図2のT°の右に示 してある可能性のうちの一つとして捉える必要がある。 図2 registre 6nonciatif le rёalis6 le r6el de r6nonciateur 3。 発 話 例 の 分析 ここでは、未来 に関わる半過去形の用例 をイ ンター ヴアル図式で表象 しなが ら、 どのような発話者の操作 の痕跡 が読み取れ るかを念頭 にお いて検討 してい く。収 集 で きた発話例 の数は少 ないが、半過去形が用 い られてい る言語環境の違 いか ら 次 の四つ に分類可能である。 3。 1。 未来 の事態が状況のなか に含意されている場合 次の(8)(9)は Damourette,J。とPichon,E。が挙げてい る例 であ るが、 いずれ も 発 話者が 自 らの死 に直面 してい るとい う状況のなかで述べ られた ものであ る。
(8) PERE UBU: Ca nう
est pas lourd.Tu n'as pas autre chose?LE NOBLE: Ca me側
面b」t。(A.Ja町
,1/b“ rθj HI,2,J“Damourette et Pichon,t.V,p。 222)未来に関わる半過去形の用法について 35
(9) MaCh6He,c'est ini,jeピ aime,et pour tottourS,jusque dansl'6temit6.
Ma Rietta,adieu.Ton G6not qui t'adorait (EugOne Deshayes,
Larrra ιcrJセa Pθ
"r_sαJ「
2r―Pligrrg en aoOt 19 14,dansル ル
“′∫du 21 aoOt 1920,p。 3,col.4,jわJグ。) 引用部分 の文脈 のなかに未来 を表わ す明確 な指標 は必ず しも見 あた らないが、発 話者は近 い未来 に訪れ る自らの死 とい うものを念頭 に置 き、その死 ぬ とい う事態 の成 立時 に 自身の視点 を投影 して、 そ こか ら回顧 的に見 た別の事態、(8)であ れ ば「 それで十分 であると思 っている」 、(9)の場合 は「 リエ ッタに愛情 を抱 い て い る」とい うことを半過去形で述べ ている。これ らの事態は、発話者が位置 し発 話行為 を行 ってい る時空間にお ける現実の ことと してではな くて、それ とはずれ のあ る時空間、未来過去 とでも呼べ る別 の時空間において位置づけ られていると 解釈 で きる。下 の図3のように表象 で きる(6)。 図 3 -――一――一―――一一―― [////////////////ノ ///////////////////////////[//]――――一―――一― registre
suffire/adorer la lnort situationnel <――一一一一――一一一[////////////////////////////〃 〃〃[――一――一一―――一一―一> registre
T° 6nonciatif
3.2。 未来の事態が直説法未来形 によって明示 されている場合
1。で見た未来の事態が単純未来形 で表わされている例 を図示 しなが らもう一 度 見てみ よう。
(3) Au train oさ va la science,lejour approche ot l'un des adversaires, possesseur d'un"cret qu'il lbnait en rё serve,AURA le moyen de supprimer r autre.
図4
『
////////////////////〃 /////////////////////[〃
]― 一 一 一 一 一 一 一 一 registre
tenir en r6seⅣe avoir le lnoyen futur
――――
■Ⅲ器露 Ⅲ〃牛丁
→
辞‖
<一
一 ― 一 一 ― ― 一 ― 一 ― [///////〃 /////////〃 ////〃 //〃 ////[― ― 一 一 一 ― ― ― ― ― 一 一 一 ― > registre
36 未来に関わる半過去形の用法について この例では発話 者の存在 を表わ す言語 マー カーは明示されていないので、現在形 で述べ られてい る事態 は、発話者が位 置 してい る時空間 と同一の時空間で生起 し て い ることとは認定 しがたい。発 話者が観察 してい る現在 の時空 間での ことと読 み取 れ る。そ して、「他者 を抹消 す る手段 をもつ」とい う事態が単純未来形で表 わ され、その事態 と関わ りをもつ別 の「 秘密保持 」とい う事態が、未来 の事態 の 成 立時か ら振 り返 つて見てその時 まで持続 す ることとして表わ されてい る。この 半過 去形 には、「秘密保持」とい う事態が進行 中と して捉 え られている価値が確 認で きる。 同 じことが(9)の半過 去形 に も確 認で きるが、 これは動詞の語彙的 意 味 に起 因 してい ると考 え られ る。別 の例 を見てみ よう(7)。
(10) Mais elle,ce secret,elle le partagera totalement,ct cette rencontre a
laqucHc ene nc s'attend Pas sera l'6P6e quitranchera cnfin le nceud de tous les liens qui vous em鰺 むalent tOus les deux,qui vous lnin"‐
nalent 61oign6s l'un del'autre si douloureusement。 (Butor,M。 ,La
“
ο
ご′ε
arj。4,p.41) この発話 にはvousとい うマー カーがあるので、 それを発 してい る発話者が存 在 してい る時 空間に対 して 位置づ け られた事態 を表 わ す例 と解釈 して よい と思 われ る。そ して、半過 去形 におかれている「 二人を絡 め、かつ二人の距離 も維持 し続 けるであろうJとい う事態 は、「絆 を断 ち切 る」とい う未来 の事態が起 る時 に関連づけ られてお り、そ こか ら振 り返 つて見て未来 のその時 まで持続 するもの と して表わ されている。下の よ うに図示で きる。 図 5 -― ―一――一一―一―一――一 [//////////////////ノ ///〃 //////////ノ ノ//ノ/////////1ノ ノ]―一 ―一 ―― ―一 ― ― registreempetrer/1naintenir trancher futur
<― 一 一一 ―― 一 一一 一 ― [///〃 ////〃 //〃 /////〃 〃//〃 〃////[― 一 一 一一 ― ―一 一一 一 一一 一> registre
T°
ёnonciatif 次の(11)で は未来の事態が前未来形で表わ されてお り、半過去形 におかれてい る「 共に生 きることになる」とい う別の事態は、未来 の事態の成 立時か ら振 り返 つて眺め られ、それに関連づ けて示 されている と解釈で きる。図式 は(10)の 場合
未来に関わる半過去形の用法について 37
と同様 に な る。
(11) 。…,tandis que vous aperceverez de l'autre cOt6 de la rue Daniёle―
⊂hsanova Cχcile travaillant au preΠ lier 6tage de l'agence de voyages Durieu,⊂Zcile qui se sera lnl:Щ 翼日重p en arrivant dans ia ville de ses reves
que vous alliez vivre ensemble tous les deux cette merveilleuse aventure qu'cne vous avait faitinventer et se sera bientOt aper9uC quc, non,vous etes incomparablement plus 61oign6 d'cne que lorsqu'clle 6tait encore a Rome,couchant quelquefois ensemble mais ne sachant plus vous paricr,… 。 (ゴ bJご。,pp.202-3)
次 の(12)の半過 去形 にお かれ た 否定 的 な事 態 は、(3),(10),(11)の よ うな進 行 中 の こ とで は な く、別 の時 空 間 にお け る未来 の事態成 立 時 まで の状 態 と読 み取 れ る の で 、 図6のよ うに表 象 で きる。
(12) Cette certitude,cette confiance en volls qu'cne n'avait pas encore,cet aveu les lui donnera de telle sorte que ce ne sera pas seulement votre silence,… 。 (JわJご。,p.243)
図6
-―
一一y/////////////////////////////////////////////////////[〃]―一一一―一一―― registre
avoir dOnner futur
<一 ― 一 一 一 一 一 ― ― ― ― [/////〃 ////////〃 /////////////////[一 一 ― _一 一 ― 一 ― 一 一 一 一 ―> registre T°
6nonciatif
3。 3。 未来 の事態が接続法現在形 によって明示 されている場合 次 の二例 において基準 となるのは発 話者が位置 してい る時空間 であ ると解 釈 で きるが、それ とは別の時空間が上で見て きたもの とは異なる手段で表わされて い る。(13) ….,lorsque Ctcile ne sera plus a Rome,vous n'en aurez probablement
plus envie.
Vous craignez que la<Vinc 6temeHc>vous scmble d6sonnais bien
vide et que vous y aprёs ce■e femme qui vous y attimtttet
38 未来に関わる半過去形の用法について
aurez plus qu'une envic,de reprendre le preΠlier train une fois vos
affaires r6g16es,sans meme profiter du wcek― end,… (JbJご。,P.86)
(14) ….puiSquc,vous viendrez de le lui dire,enfin tout est pret pOur quc
votre dёcision arrache ces ultimes liens qui l'emttchalent de s'im― poser。 (Jbjご.,p.243) (13)は vouSとC晩ileが体験す るであ ろう出来事が描 写 されてい る文脈 のなかの 一部であ る。
Vousで
始 まる発話の主節動詞は直説法現在形 であるが、dёsomais
とい うマー カーか ら「 うつ ろに見 え る」とい う事態や「 恋 こがれ る」とい う事態 の成 立は、発話時以降の時空間にお いて設定 されてい ることと解釈 で きる。また (14)で は、「 彼 女に告 げたばか りであ る」とい う未来形で表わされ た事態 に関わ る状況が pour qucに 導かれた副詞節 で表わ されてい るこ とか ら未来の時空間設 定 が確認で きる。そ して、いずれの例 において も半過 去形 におかれてい る事態 は、 それ らの起 る であ ろう未来 の事態成 立 時 か ら回顧 的 に振 り返 つて 見て持続 す る であ ろうことと して示 されてい る。表象図式は下の ようになる。 図 7 -一一一一一一―――――一――[///////〃 //〃〃///////〃 //////〃 ////〃〃〃〃[ノノ]―一 ―一 ―一 ―一 ― ― ―一 一 registreattirer/retenir sembler/1anguir suttonCtif
empecher arracher <― ― ― 一 一 ― ― 一 一 一 ― [//〃 /////////////〃 //////////////〃 [―一 一 ― 一 ― 一 一 一 一 一 ― ― 一 > registre T° 6nonciatif 3。 4。 語 りの時空間の場合
次の例 は、
GA&Cの
用語でregiste non actualisこ と呼ぶ語 りの時空 間にお い て、半過去形が歴 史的現在・歴史 的未来 と呼ばれ る現在形や未来形 の用法、お よ び単純過 去形 と共起 している例 であ る。これは宮廷 音楽家 Lullyに 関す る雑誌記 事か ら採取 した。 (15) La musique au corps Aソα″′閣ご “`′`σθ‐pοsfr`“ r,c'`∫′““ごα燿∫`“rf“`ごιεθ“ソrFrJαεθ“rご` Frα “ ε `未 来 に関 わ る半過去形の用法 について 39 c est ala cour de France que Luny fitson apparition en 1653 dans ce
danet de la Nuit>qui dure prё s de douzc heures et o〕 pour la
prerniёre fois Louis XIV resplendismit dans ie rOle du Soleil。 (…。)
Pourtant,jusqu'en 1670,quand il…
la scёne a l'issue de lapreΠliёre des <メLInants magnifiques> ot il dattit les rOles de
Neptune et d'Apollon,Louis XIV,al'instar de ses pr6d6cesseurs,
choisira la danse pour s'exposercoΠ line un emblёme aux yeux de ses SttetS。 (二
′Ⅳο
“
ソ
θ
Jθ
bs`″α
rθ“
r,No。 1410,p.167) このタイプの時空間では、出来事の生起順 とい うのが基本的な時の流れである。 記事の 冒頭部分 は引用の ようになってお り、Lullyの 経歴・エ ピソー ドの描写 が 年代順 に進 め られてい る。途 中でその語 りの流れか ら少 し先の「1670年まで」 とい う時 のあ る区切 りを提 示す ることに よって話題 となる出来事 の時間的位 置 づ けが一旦固定 され、その時 に起 った「 舞台を去 る」とい う事態が未来形で述べ られてい る。そ して、その事態成 立時か ら回顧 的に見て、その時 まで持続 して い た「 ネ プチュー ンやアポ ロの役 を踊 る」とい う別の事態が半過去形で表わされて い る。図では下の ように表象で きる。 図 8 -― ―― ― 1//]― 一 1//]一 一 ― I1///////////ノ ///////////////////////////////////[ノ ノ]一 一 一 ―― 一 一 一 > registredanser quitter non― actualis6 (―――――――[ノノ///ノ////////////////[―――――――) T°
4.認
識 で き た操 作 以上の例 の観察か ら、半過去形 の使用 に関 して発話者が行 つた と考え られ る操 作 (8)には、少な くとも次の三つがある とまとめ ることがで きる。 I。 あ る基準時か ら見て未来の事態の成 立時 を想定 し、それを念頭にお くとい う基準の時空間 とは別の未来時空間の設定・認識。H.未
来 のあ る事態成 立時へ視 点 を投 影 し、 その成 立時 よ り前 に起 こる別 の事40 未来に関わる半過去形の用法について 態 を回顧的に振 り返 り、それを未来の事態成立時の方向へ と関連づけている発話 者の視点の動 き。
IH.未
来のある事態に関連 している別の事態を、状態・進行 中として捉えて い る持続性アスペク トの認識。 未来の事態の生起以前に起 ることを表わすことができる時称形 としては、前未 来形や大過去形なども考えられるが、これ らの時称形ではこの三つを全て表わす には不適切であるため使用されなかったのだと思われる。したがつて、半過去形 は、これ らの操作 を同時に顕在化する可能性 を特質の一つ としてもつ時称形であ ると言うことがで きるであろう。 5。 お わ りに 半過去形が表わすことが 未来に関与 している例を収集することはたやす くな く、上 に挙げた例以外に筆者が採取で きたのはそれに準 じるもの数例だけである。 Wilmet,M.が示 しているような間接話法の場合や、主節の動詞が未来形 におかれ た補足節のなかに半過去形が使用 されている実例 も確認 されている(9)が、統辞 的制約の問題 もあるので本稿では扱 わなかった。話法の違いに読み取れる時空間 の種類 とい う問題 も興味深い。上で行った観察か らだけでも、未来の時空間の種 類には、それが どのようなもの と捉えられているかによって表現手段も多様であ り、3。1.-3。
4。 で見た時空間 と基準のそれ との隔た りはいずれも異質で あった。それだけ未来 という領域が複雑であるということであろうし、他の例 に 別のものを発見する可能性は高いと思われる。例をよ り多 く収集 し検討を進める 必要があるが、それは今後の課題 としたい。 注(1)大
文字 お よび太字 は原文の まま引用 した。(2)阪
上 (1992),pp.55-58。 参照。未来に関わる半過去形の用法について
(3)BenvmiSte,E。 自身 も第三 の タイプの Planごぬondationに 言及 してお りo.
242)、 大 き く三分す るだけで十分 とは捉 えてい ない と考 え られる。
o
メ タ言語の基本 原理 は阪上(1998)参
照。(5)イ
ンターヴァル の内部の斜線 は、動詞時称形の表 わず行為がな されてい る こと、あるいは、発話行為その もの を表 わす。 ⑥ 以下の図式 に示 してあるregistreの名称 は、現在 の考察段階での仮称 である。(7)発
話例(10)―(15)に お ける太字お よび下線 は筆者 による。 ③ 基本的言語操作 (6nOnCiation,pr6dication)は 自明の こととみな し、それ以 外 の操作 の こと。 (勁 Flenchling 2653番、西村氏 のポス ト参照 。 発話例の 出典 レ 閣θど′“′Jο“
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abs`nηた
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