日本人ビジネスパーソンと韓国人ビジネスパーソンの自己開示に関する異文化心理学的研究
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(2) 目次. 第 1章. 研 究 の 背景. 1.戦 後 における 日本 と韓国 の歩み. 1. 2.自 己開示 の定義 と理論. 5. 3.「 自己開示」研 究 にお ける問題 の所在 と本 稿 の 目的. 8. 4.本 稿 を実施す るにあた つて の理論的根拠. 10. 5.第 1章 の ま とめ. 15. 第. 2章. 先行研 究 と本研 究 にお け る方 法論 と構 成. 2.本 研 究 で用い る方法論 と各章 の構成 3.第 2章 の ま とめ. 第. 3章. 6 2 4 1 2 2. 1.先 行研究 に関す る調査結果. 日本 人 ビジ ネ ス パ ー ソンを対象 に した 自己開示調 査 一開示相 手 の職 場 の 地位 、 開 示 の場 、開 示者 の 世代差 の観 点 か ら一 1.. 問題設定. 25. 2.. 方法. 25. 3.. 分析方法 と結果. 28. 第 4章. 4.. 考察. 52. 5。. 第 3章 の ま とめ. 57. 日本人 ビジネ スパー ソンと韓国人 ビジネスパー ソンの 自己開示 に 関す る定量的調査一 開示相手の職場における地位、開示 の場 と しての酒席、お よび 自己開示 の話題 の観点か ら―.
(3) 1.問 題設定. 59. 2.方 法. 61. 3.測 定尺度 の等価性 の検討. 65. 4.分 析結果. 80. 5。. 考察. 6.第 4章 の ま とめ. 93 96. 日本人 ビジネ スパ ー ソン と韓 国人 ビジネ スパ ー ソンに とっての. 第 5章. 「自己開示 」、「仕 事仲 間 との 会話 」、「酒席 」 の 意 味 を探 る 1。. 第. 問題設 定. 97. 2.方 法. 97. 3.結 果. 99. 4.考 察. 114. 5.第 5章 の ま とめ. 121. 6章. 日本 人 ビジ ネ ス パ ー ソ ン と韓 国人 ビジ ネ ス パ ー ソンの 自己開示 に 関す る質 的調 査―イ ン タ ビュー 調 査 の結 果 か ら見 えて きた も の一. 1.問 題設 定. 122. 2.方 法. 123. 3.結 果 と考察. 125. 4.考 察. 114. 5。. 第. 第 6章 の ま とめ. 146. 7章 総 括 1.研 究 の 要約. 147.
(4) 2 3 4. 付表 謝辞. 150. 本研 究 におけ る意義 と限界、お よび今後 の 日韓比較研 究 へ の展望. 153. 結語 にか えて. 154. 5 6 0 5 6 9. 引用 文献. 職場 の対人 コ ミュニ ケー シ ョンに関す る今後 の動 向.
(5) 第 1章 研究の背景. 1.戦 後における日本 と韓国の歩み 日本 と韓国 の関係 は、しばし│よ 「合わJ動 に喩えられる。社会心理学者、クー リー(C∞ b■ 90"は 、「鏡 映的自己」の中で、他者は自己を映す鏡のよ うな存在であり、私たちはその姿を通 して新たな自分を発見す る と指摘 している。「近 くて遠い国」 と言われてきた 日本 と韓国 も、これまで長きに渡 り相互の存在を意識 しあ うと同時に、他方に映 し出された自身の姿を見つめることによつて、見えなかつた自身の一面に気づかされて きたようにも思われる。 日本 と韓国 の比較文化研究 を趣旨とする本稿 を執筆す るにあた り、まず、戦後 の日韓 点をあてながら、以 の歩みについて、経済的、政治的側面における社会の変容 と、それに伴 う人々の意識に焦′ 下に概観する。. 21世 紀を向かえ、終戦から60余 年の歳月が経過 した。終戦 10年 後にあたる 1955年 からの 20年間は、日 本経済が飛躍的に成長を遂げた、いわゆる、「高度経済成長期」であつた。敗戦による荒廃 と混乱の中、1950 年代の朝鮮戦争特需が功を奏 し、1955年 頃 には日本経済は戦前の水準にまで復興を遂げ、高度成長 に拍車が かかつた。やがて続 く 60年 代のベ トナム特需によつて、1968年 には国民総生産 中硼. (GNPDが 資本主義国家の. 第 2位 となつた. 日本がなし遂げた このよ うな復興は 「東洋の奇跡」 と称 され、当時の 日棚. の成功 は、日拠. の 「勤. 勉 さ」と「個人 よ り集団を重んじる」価値観がその主な要因であると見なされた このことを示す一例 として、. 1967年 に出版 された中根千枝の 「タテ社会の人間関係」は、代表的な日本人論を展開 しているとして、1∞ 万部を超えるベス ト・ロングセ ラー とな り、現在、38ヶ 国語に翻訳 されている。特に、∞ 年代か ら70年 代に 力ヽすて、社会集団 としての大企業は伝統的な日本 の「家」 と同様に見なされ、従業員 は家族の一員に四敵する 存在 と考えられていた。社宅生活、従業員家族慰安会、結婚・出産その他の慶祝金、弔慰金の制度などにも見 られたように、当時の会社の機能は従業員の私生活、すなわち、家族にまで及んでいたと言 つて も過言ではな い。そ して、このことは当時頻繁に聞かれた 「丸抱え」とい う表現にも反映 されていた。中根 (1967)は 、会 社が従業員に及ぼす影響について次のよ うに述べている。 私生活にまで及ぶということは、従葉員の考え方・思想・行動を規制 してくるものであり、「刻 に おける家族成員. )の あり方と軌を一にしてくるのである。そして注目すべきことは、. (正 確には家成員. この方向は、明治 。大正・昭和、戦時 0戦 後を通じて一貫して、経営者. (お よび施咲勧. に強調され、そしてそれがつねに成果をおさめ、成功 してきたという事実である は. によって意識的. 44)。. 中根は、日本における社会集団構成の原理は、上記のよ うな「家」に集約 して観察 されるとし、日本 の全人 口 に共通 してこのよ うな 「家」が見られることは、日本の社会構造の特色であると指摘 している。伝統的家族集 団としての特徴を持つ会社 とい う組織の中では、何 よりも集団の調和が重ん じられ その中で培われた団結力、 個人 よりも集団を重ん じる価値観が、当時の 日本の経済的原動力であったと言える。. 70年代前半の石油ショックにより、 日本経済は 「高度成長」か ら‐転 して、「低成長」へ と移行す るが、輸 出依存の外需により、80年 代前半までは安定成長を維持 した。そ して、やがて高度経済成長に次ぐ戦後. 2番. 目の好況期間 となったいわゆる レヾ ブル景気」を迎えることとなる。 この好景気 は 80年 代後半に女 台まったも.
(6) のの、90年 代の声を聞くやバブルは崩壊 し、‐転 して、時代は戦後最大の不況 とな り、いわゆる、「失われた 10年 」へ と突入す ることになる。同時に、この時期は国内外において様々な社会情勢の変化 を見た時期でもあ つた. NHK放 送文化研究所は、1973年 以来 5年 ごとに 「日本人の意識調査」を実施 してお り、2004年 6月 現在 で第 6版 が出版 されている。 この調査は生活 目標や生き方、家庭や男女のあ り方、仕事や余暇、政治、宗教、 ナショナ リズムなど、広範囲 にわたる日本人の ものの考え方や価値観における実態 と変化 を把握 し、今後の動 向を読み取ることを目的としている。調査が開始 された 1"3年 と 2003年 に実施された調査結果における最 大の違いは、世代構成の変化である (NHK放 送文化研究所、2004)。 ここでは、出生時期の違いにより、1938 、1939年 から 1958年 までを 聯 年以前 を 「戦前・戦中蠍 」. 、1959年以降を 嘲凛世代」 と区分 さ 世代」. の れてい る。1973年 に実施された第 1回 目の調査時点では、戦前・戦中世代が 6割 を占めたが、2∞ 3年度 時 点で 24パ ーセン トにまで減少 し、1959年 以降に生まれた、いわゆる戦無世代が 39パ ーセ ン トと最多世代 と なつている. lp.17)。. 一方、戦後まもない 1948年 の建国当時の韓国 は、国民の大半が農民 とい う農業国家であつたが、やがて朝 鮮戦争 を原因 とする困窮期 を経て、60年 代 に工業化が開始 されて以来、町. の奇跡」 と呼ばれ る急速な経済. の 口は急減 成長 を遂げることになる。これに伴い産業構造も大きく変化 し、農業 をは じめとす る第 1次産業 人 し、製造業やサービス業に従事する人々の害:恰 が増加 した このような変化に伴い、農村は過疎化 と高齢化 と い う困難 に直面す ることになるが、政府の支援を得て農業生産性の向上を果た し、都市部 との所得格差は ∞ のもとで、戦 年代か ら90年 代にかけてほぼ解消 されることになる (宮崎、2002)。 このよ うに政府の3無 濤 スピー ド 後、劇的な経済発展 を遂げた韓国であつたが、やがて、1997年 11月 末のアジア通貨危機により、猛 で自由競争市場へ向けての市場開放 を実施 してい くことになる。韓国は約 20年 遅れて、 日本社会の諸側面 を コ ム 「 い 追従 してい るとしばしば言われるが、 日本のバブル期 に韓国もコプム経済 0ヾ ブルも プ も 泡日 と う意 味)を 謳歌 したものの、IMF危 機によつて韓国経済は日本以上の後遺症 を負 うことになる。 を招 く 他方、国の発展 とともに国民の生活水準も改善 され、これに伴 う国民の意識の向上は、政治的転換期 こととなる。 これまで政治的に抑圧 されてきた労働者や学生らによつて、軍事政権に対する民衆の抗議運動が に大統領の直 勢いを増 し、1986年 に慮泰愚大統領候補が発表 した 「民主化宣言」によつて、最終的 には政府 の 統領に就 接選挙制を認 めさせるに至る。それまでの国際エ リー ト、財閥 による国づ くりが挫折 し、そ 後、大 ロー ドバ ン ド世界― と 任 した金大 中氏は、経済再建の柱 として IT普 及を掲げて大きな投資を行 つた結果、プ 20041。 こ い う状況を生み出 した。 これを支えたのがいわゆる 「386世 代」であつた (社会実情データ醜 の名称 は彼 らの伯齢. (30‐. 39'罰 と大学入学年代. (1980朝 、そ して彼 らの生まれた年代. (1960午 ω に由. 来す るものである。. 2005年 度の韓国統計庁の調査結果 によると、韓国 における世間聞戎に関 して、0歳 ∼39歳 までの人々が総 ーセン トと、 人 口に締める割合は 59_2パ 費 ン ト、40歳 ∼59歳 では 27.7パ ーセン ト、∞ 歳以上では 13.1パ :陳 日本の場合 と同様、いわゆる「戦無世代」の人 口構成比率が現在 トップを占めてい る (財団法 船 、2004)。. 1960年代、 日本に高度経済成長 をもたらした原動力 の一因 として、人び との集団主義的価値観が存在 した ように、韓国人の意識を語るに際 し、避け られないキーワー ドの一つに「儒教側. がある。韓国人は意識 し.
(7) ているか否かに関わらず、儒教倫理を身につけ、それが道徳や社会的規範 となつて、実生活の うえで様々な影 政権の もと、古い村か すの近代化のために、1970年 に本卜 響を人々に与え続けている。セマ ウル運動 とは、農本 ら新 しい村への脱皮 と生産増大を目指 し、推進 された社会運動だが、伝統文化、 とりわけ民俗文化は近代化の 阻害要因であると見なされる傾向にあつた. (は. 2CXl17)。. しかし、そのよ うな状況下でも、「親 に孝道 を、国. へ忠誠を」 とい う標語にも示 されたように、儒教の伝統は社会秩序 として強固に位置づけられた 以上の ように、戦後 6Cl年 を過ぎ、 日本 と コは急激、かつ、多様な社会変動を経験 した。社会の変化 に伴 '割. い、その中で暮 らす人々に意識や行動面で、何らかの変化が生 じることは自然な成 り行きであろ う。近代に至 るまで、高麗 と連合軍の元寇 (1274年 、1281`つ 、秀吉の朝鮮侵略 (1592年 、1597り 、太平洋戦争 (1941 年∼1945年 )な どの侵略 と戦争に関わる歴史的事件を除けば、両国 における国民 レベルでの日常的な交流は、 ほぼ皆無であつたと言 つて も過言ではなし、 このよ うな長年に渡 る状況を打開す るきつ力ヽすとなつたのは、戦 であり、 後、半世紀を経て、1998年 、金大中氏が大統領就任中に決定された 日本大衆文化の段階的開放措置 「 これを機に両国の実質的 な文化交流が開始 された)2004年春、N団【衛 生放送を通 じて放送 された 冬のソナ タ」が、 日韓の一連の流れ を一転 させた、いわゆる、嚇 ブー ム」のきっかけとなつたことはまだ記憶に新 ししゝ しか し、このような大きな変化の中、歴史教科書問題、日本 の政治家による靖国参拝問題、竹島問題など、 い 政府 レベルでの向国関係 にはいまだ問題が山積 してお り、真の意味での異文化理解の実現はまだほど遠 感を ぬ ぐえない。 日本の内閣府は毎年 「外交に関す る世論調査」を実施 しているが、その調査項 目の中に個別の国 2000。 との関係 について、日本人の側から感 じる親近感や関係の良好度 を尋ねたものがある (図 1)(内閣府、 「 1999年 10月 の調査では、韓国 に対 して「親近感 を感 じる」とする回答 148.3%)が 親近感を感 じない」146.9%) 「 し を 11年 ぶ りに上回 り、マスコミもこれを大きく伝 えた。それ以降、最新の 2005年 のデー タまで、 親 みを. 感 じる」 とする回答が、「親 しみを感 じない」を上回る結果 となつている。 「 一方、日本 と韓国 との関係 については、1998年 の 日本大衆文化の開放以来、2001年 を除いて、 良好だと だと思 思 う」が 「良好だと思わない」を上回つたが、2005年 の調査では、3年ぶ りに結果が逆転した (「 良好 わない」が 50.9%、 「良好だと思 う」が 39.6%)(図 "。 また、寺沢 (2∞ 2)は 1990年代の韓国人の対 日本観に関 して、1995年 の 日韓条約調印 30周 年 をうけて、 これによると、 日 読売新聞社 と韓国 日報社で実施 された共同世論調査の結果を示 している lp.143)俵 :1)。 の の 本が韓国 に対 して、また、日韓関係に対 して、肯定的な印象 を抱いているのに対 し、韓国はそ 逆 印象を抱. 0東 亜 日報共同世論調査によ いていることが示されてい る。 さらに、1984年 以来、実施されてい る朝 日新聞 い 「 7割 ると、90年 代半ばに至るまで、韓国人の対 日本観は否定的傾向を強め、 好き」が 1割 未満、 助誨 」が 近く、「どちらでもない」が 2割 台の状態が継続 したと報告 され てい る は. 142)。. その後、韓国人を対象に 1999年 と2CX10年 の実施 された調査では、90年代半ばの調査結果 と比較すると、 に 中立的な意見が台頭 し、反 日感情緩和 のきざしが見え始めた (寺沢、p.147)。 しかし、2∞ 7年 に読売新間 より実施 された日中韓共同世論調査の結果では、韓国 と比較 して、 日本の方が相手国 に対 して好意的、少なく とも対立的ではない印象をもつていることが示 されているが、一方、韓国人の 日本観は、かな りの程度、 日本 に対 して非好意的・否定的な印象 を抱いていると言わざるをえない. (表. 2)。.
(8) 図 1 韓国に対す る親近感 図 13 韓国に対す る親近感. ・ “f"‐ イ. Y颯. (内. ・ “. しみモ奎じろ. 『 世論調査報告書平成 17年 10月 調査』 閣府大臣官房政 府広報 室 (2005)「 外交 に関す る世論調査」. http://ww¬ 8。 caO.go.jp/survey/h17/h17-gaikou/index.html. より榊. 図 2 現在の日本 と韓国 との関係 図15 現在の日本と韓口との関係. ´´ ′´ 1.0. 丁:1l T Ttt T :. 41_04:_3`. 、. :. 『 世論調査報告書平成 (内 閣府 大 臣官 房 政 府 広 報 室 (2005)「 外 交 に関す る世論 調 査 」 http://www8.caO.go.jp/stwey/h17/h17-gaikou/index.html. より脚. 17年 10月 調査』.
(9) 表. 1読 売新聞社 と韓国 日報社 との共同世論調査の結果 靱. 日本. 韓国人の 日本に対する印象. 日本人の韓国 に対する印象. 良い (%). 良い (%). 悪 い (%). '寸. 良い (%). 悪い (%). 良い (%). (寺 沢. '寸. C2002)の 中で示されたデータに基づ き、筆者が作成 した. 表2. 悪い (%). 43. 29. 60. する豚. 日輯瑕詐Rに. 日輯鼎詐終に する聰. t°/o). 68. 30. 39. 49. 悪い. ). 2CV年 度 日中韓共同世論調査 の結果. 掴. 日本. 相手国 に対する印象 悪い. 良い (%). 63.6. 35.6. 34.9. 59.0. 悪 い (%). 良い (%). C°/o). 日輯鼎粥Kに 対す る骸. 悪い (%). 良い (%). 22.3. 72.3. 悪 い (%). 良い (%). 61.2. 37.5. 相手国 に対する信頼 信頼できる. (°/ol. 信頼できない (%) 33_6. 61.1. 信頼 で きる (%). 信頼 できない (%). 24.4. 75_3. 儲読噺潤 は007)の 中で示されたデータに基づき筆者が作成した ) 時代の変遷 とその中で起きる様々な出来事により、人々の意識や行動が変容す ることを鑑みれ│よ そのよ う な状況の もとで国家間の真の相互理解 を実現することは容易い作業ではなかろ う。 日本 と韓国の今後の異文化 相互理解に微力ながら貢献できることを願いつつ、向国のビジネスパーソンを対象にした自己開示 とい う社会 行動をテーマにした異文化比較研究についてここに執筆 したしヽ. 2.自 己開示の定義 と理論 日本 と韓国 の 自己開示に関する異文化比較研究を実施するにあた り、まず、「自己開示」 とい う社会行動 が どのよ うなもの力ヽこついて明ら力ヽこしておく必要があろう。我 々は、日常のコミュニケーション場面において、.
(10) 「 様 々な情報を伝達 しあい なが ら生活 してお り、 自分 自身に関す る情報 を伝 える行動 もその一例 と言 える。 自 己開示」 とい う用語 を初 めて心理学用語 として紹介 したのは、臨床心理学者 のジュラー ド lJourard,1971[岡 堂,19871)で ある。彼 の著書、"The■錮 印 arent Ser範 朗 なる自己)"の 中には次のよ うな一説 がある。 自己開示についてのこの研究のなかばで、私は実存的現象学 existentialphenomenOlosと い う哲学的 試みの下分科に関心をもつようになつた。 これは、個人があるがままに生きる経験、あるいは意識の研究 にかかわつている。私は、フッサール 値 ― erL l),ハ イデッガー ObidetteL M),サ ル トル ブーバー 叫. Dお. よびメルローポンティ CMedeau■mt. mの 著作を読んた. ……. Sane,JD,. m.… ..ヵ献. を読んでいて発見 した素晴 らしいことのひとつは、「開示」didosureと い うことばそのものだつた。開示 するとは、べ‐ルをとること、あらわにすること、あるしヽ耐. ことである。自己開示は、自分自身をあら. わにする行為であり、他人たちが知覚しうるように自身を示す行為である ●.241。 ジュラー ドにとつて、人間、すなわち、自己を規定するものとは開放性 と透明性であつた。 ここで意味 された 剛 性」とは、硬貨の向山のよ うなものである。すなわち、透明であることの意味は、一つには世界をあり のままに見せ ることであり、同時に、自らの意志で他者に自分 自身を開示す ることである。 そのため、彼は、 理想的な対人関係 を構築 し、維持す るためには、自分の存在 を他者 に十三分に経験 させ、同 じく、相手の存在 を十三分に経験するオープンさをもつことが必要であると考 えた 軋砒珂山Щ. 19891。. 「 何をもつて 自己開示 とい うかを規定することは容易いことではないが、一般に 特定の他者に対 して、自分 「 の 自身に関する情報を言語を介 して伝達す ること」 (C引 し 1973)、 特定の他者に対 して、自己に関す る本当 情報を言語的に伝達す る行動」解鋼 、1998)、 あるいは 「未知既知 を問わず、特定の他者に対 して、意図的に 自己に関す る情報を言語的 に伝達する行為」 (中 村、1999)と 定義されている。以上のように、自己開示は言 語を媒介 とするとい うのが一般的 な見方である。 一方、自分 自身の情報を他者に伝 える別の方法に自己呈示. (印 象制. 力` ある. (磯 崎、1995、 p.29)。. それ. は他者からみた自分の姿が、自己にとつて望ま しい ものとなるよう、自分のイメージを選択的 に伝達 し、他者 の 自分に対する知覚や評価 を変えようとした り、自分が望む反応を他者か ら引き出そ うとする行為である。す なわち、自己呈示が自己の様々な姿を 「見せる」あるしヽま「見せない」 とい うことを意図的に行 うことだとす 「 れ│よ 自己開示は、自分 と他者 との間にある境界 を取 り払い、相手から自分が 見える」 よ うにする行為であ ると言 える. (安 藤,1998)。. しかし、下般には自己開示 とい う概念を他の類似概念 と完全に■線を画 して厳密に. 定義することは極めて困難であると考えられている。なぜなら、自己開示行動を考 える際に、まつた く恣意性 「 が含 まれていないか どう力ヽま、被開示者はもちろんのこと、話 している本人にとつて も判断が難 しく、 何事 でもそれをその瞬間 に言葉 にす るとい うことは、それ以外のことは言葉 にせず伏せておくとい うことであり、 それ 自体すぐれて選択的 な行為」 (土 居,1985,p.21)で あるから注 さらに、対人関係 において 自己開示が様々な形で行われることは日常の観察から理解できることを監みれ│よ 他者 との会話 における言語的な自己開示に限定する必要はなく、表情、視線、 しぐさなど非言語の側面からも 自己を表現す ることは可能である。 しか し、過去の大半の研究が、自分 自身について言語を通 じて他者に語る 行為 を自己開示 ととらえていることから、本稿では、自己開示を 「特定の他者に対 して、自分 自身に関す る情 報を言語 を介 して伝達す る行為」 と定義する。 次に、「自己開示」に関す る主要理論について、 ここでは代表的なもの として、アル トマ ンとテー ラーが提. 6.
(11) 唱 した社会的浸透理論 (social penetration th∞ ry)と ジョハ リの窓. (有 倉,1995)に ついて簡略に触れて. おきたい。 まず、社会的浸透理論は、二者間の相互作用 により交換 される情報は当事者個人に関する情報であり、 2人 の関係性が深まるにつれて、コミュニケーションは関係性の浅い内容か ら、より深 いパーソナルな内容の もの に移行す ることを示 している。図 3は 、社会的浸透過程 と自己開示 との関係を示 してお り、 ここでは、親密化 の過程が初対面 の人、ちよつとした知 り合い、親 しい友人の 3段階で設定 され、自己開示を開示 された内容の 「広が り Greadth)」 と 「 深さ アル トマ ンら. ldepth)」. の二次元で捉えている。. lAlman&Ъ ぃ鴫 1973)は 、対人関係が進展するにつれて、親密 さの深 さと広 さが増す と. 考えた。関係の初期では、表面的な事柄 し力疇舌さないのに対 し、次第に、 より個人的で親密 なパーソナ リテ. L的 な領域に関わる開示がな されるようになることが浸透の深 さによつて示 されてい る。 これに対 し ィの中′ て、広 さとは、相互交換の量に関するものである。 このモデルに従 え│よ 親密度 の浅い段階では、出身地や 職業 といつた地較的表面的な情報が 交換されるが、対人関係の発展に伴い、意見や態度 といつた親密度の深 い内容を徐々に話す ようになり、や がては、よリプライベー トで個人の核 とも言 える領域へ と進んだ自己開 示がされるようになる 師. 、1995,pp.130‐. 131)。. 自己開 示 の 幅 自己囲 盃 妻 〓. ち ょっとした 知 り合 い. 図 3人間関係の進展の 3つ の鮒 赫. る自己開示の広がりと深さ. CAlman&Taybr(1973)よ り筆彙勧汁旬戎したJ. 一方、 ジ ョハ リの窓 とは、 自分 自身 に関す る情報を、 自分 が知 っているか否 か と、他者 が知 つてい るか否 「 かの 2次 元 により分類 した 4領 域で示 された図式 モデルである (図 4)。 つ ま り、 自分 が 私」、つ ま り、 自分 自身 について知 つてい るか ど うかを横軸 に、相 互作用 の相手 が 「私」を知 つてい るか ど うかを縦軸 に とると、 「私」 について、 自分 と相手が気 づいてい るか否 か とい う視 点 か ら考察す るとき、「自分 が知 つている和 と 「自分 が知 らない私」お よび FIE手 が知 つてい る和 きる。 ジ ョハ リの窓は、別銘 、「心の 用なモデル として知 られ てい る。. と「相手 が知 らない私」 とい う2次 元 で考 えることがで. 4つ の窓」 と呼ばれ、自己開示 と対人関係 の関連性 を理解す る うえで有.
(12) 自分が 知 らない. 知っている. 他者 が. 知 って いる 知 らな い. 第3枠 盲点領域. 第 1枠 開放領域. 第4枠. 第2枠 隠蔽領域. 未知領域. 図4 ジ ョハ リの窓 (Luft,1955). 3.. 「自己開示」研究における問題の所在と本稿の 目的. 3-1.. 「自己開示」研究における問題の所在. 社会心理学における自己開示の初朔 の研究の基本的幌点は、自己開示傾向を性格特性 として捉え、他の性格 特性や行動指標 との関連性を検討す ることであつた。 しかし、1970年 代以降、様 々な社会的・物理的状況が 自己開示行動やその意図 に影響を及ぼす過程を、主 として実験的 に追及する研究 が進められるようになつた 依 藤・小口、1989)。 ここで、自己開示の状況的要因 に着 目する立場は重要であると考えられる。その理由 の 1つ として、個人のパー ソナ リティ特性のみを扱 つた研究では、自己開示の個人内部の機能は強調 されるが、 対人的な機能が研究対象 となりにくく、自己開示を含む対人関係をプ ロセス として捉 えることが困難になるこ とがあげられる C覇乳 1995,p.16"。 この状況的要因 を考慮することの重要性は、 コミュニケーション分野全般 の観点 か らも言 えることである。 例え│よ 社会言語学者、ブラウンとレビンソン lBrown&LevinsoL 198つ のポライ トネス理論では、依頼 鯛 相手 との親密性、相手との社会的 間関生はヽ相互イ. 状況における対人的 コミュニケーション方略の岨. が相手にどの程度負担 を力ヽするの力ヽこよつて、決定 されるとしている。つまり、相手が の 他人であるのか、友人であるのか、自分 より地位が上か下かなどの状況的要因は、依頼が相手にとつて、 ど 程度のコス トを伴 うかとともに、コ ミュニケーションのあり方にも影響を与えることを指摘 している。 これ に 地位の差tお よ―. 関連 して、自己開示における開示者 と被開示者 との関係性に着 日した研究がある lKemy and hVoire,1984; Wright and L呼』nm,1985/1986;Dindia,Finatri■ &K颯 岬口9971。 例 え│よ ディンディアらは、自己開 示を行 う個人な らびに自己開示の相手 との性差 と、自己開示の相手が配偶者であるのか、未知の人であるのか といつた関係性の側面に着目した実験的調査を行い、社会的関係性モデル (Social Relations ModeDを 用い た調査結果を報告 している。 対人行動 において状況に着 目することとは、すなわち、行動に関わる当事者たちの関係性に着 目することを 意味 している。村本 12003)は 、比較文化的視点 に立った研究の成果を認 めながらも、文化差を論 じる うえで. 8.
(13) 、「日本A」 といつたカテゴリーの違いよりも、む しろ、それらの差を生 じさせている要因 は、「アメリカ人」 べ としての人々の 「関係性 ←ehtiorlship)」 の違いに着目することが重要であると次のように述 ている。 関係性 とは、ひ とことでいえば、同 じ集合体に属する人々の、心理的な結び付きのことである。家族、 友人、学校、会社. 0・. ・ 0。 ・等々、 どの ような集合体において も、そ こに属する人々の間には、それぞれ. ` の関係性がある。 日本社会、アメリカ社会 といつた、非常に大きな レやИ嗜護沖助 もつ といわれるそれぞれ. の「文イ ロ も、そこに生きる人々が織り成す、「関係性の東 鰈幸詢 としてとらえることが可能である は 51)。 「 すなわち、個人が身を置いている関係性に応 じて、心理システムは異なつた様相を呈し、逆に、 同 じ日本人、 アメリカ人であつても、関係性が異なれ│よ それに応 じて異なる心理プロセスが現れる可能性がある」と村本 は指摘している は 57‐ 58)。 また、高井 (1999)は 、性格特性 のみに着 目 した対人行動研究 の危険性 に言及 し、 とりわけ、 日本人 を対象 に した研究にお ける コンテキス トの重要性を次の ように述べてい る。 対人行動の研究は心理学の伝統的な方法を受け継いでおり、要素還元主義 (Lductionism)に 立脚し ている。対人行動を細かな構成部分ないし要素に細分化 してしまえlよ 個人のみに焦点があてられ、その 個人の対人行動能力が性格特性としてあてられ、相互作用状況や相互作用相手の特徴などが無視されて ま 日本人はコミュニケーションの内容よりもその状況を重視するが故に、もしコンテ しまう。印 キス トが考慮されなけれ ま 日本人らしさの根底にある要素が全く含まれなくなつてしまう. lp。. 111)。. からも議 さらに、上記で述べた関係性 とコンテキス トの重要性については、比較人類学や 論が可能である。例 えば、マ リノフスキー OIalinowski,1949)は 2種類のコンテキス トに言及 して、状況の コンテキス ト loontext ofsimtionlと 文化の コンテキス ト loontext ofculhe)の 存在 を指摘 している. (末. &福 田,2003)。. 前者は、ある特定のコミュニケーション行動 を取 り巻 くその場の状況のことであり、後者 は、その場 を取 り巻 く社会的、政治的、歴史的背景である。 メイ (May9 1993)は 、 コンテキス トの社会的要 素は、上記の両方のコンテキス トに存在するとし、 どの程度それが社会的に制度化 されてい るか、あるいは慣 習化 されている力ヽこよつて、社会的 (sociallと 社会制度的 (societallと に区別 している。その一例 として、 田. ニ コ 末田と福田は、「日本社会のタテのネッ トワークは社会制度的 ととらえることができ、 ミュ ケーションの べ 当事者間 の親疎関係によつて規定 されるコンテキス トは社会的」 lp.126)で あると述 ている。 一方、ハ リデイ (1978)は 、状況のコンテキス トを形成する要素の一つ として、役割関係 ltenOrpを あげ ている。役割関係 ltenOrlと は、晴性が コミュニケーションを している力」 に関係 している。具体的 には、 こ は、 こではコ ミュニケーションの当事者間 の社会的、心理的距離や力関係な どが含まれる。先述の 「印 上記の 「役割関係」を指す と考えられるが、メイナー ド (M…. 1996)は 、 この役割関係を 「場面」 と呼. び、この「場面」が日本において コンテキス トを論 じる際に、かな り重要であると指摘 してい る。上記で指摘 した 日本社会における関係性 と状況の重要性は、本稿の研究比較対象である韓国 にもあてはめることが可能で ある. (詳 細については本章第 4節 を参照)。. 以上、自己開示研究を含む対人行動研究における関係性 と状況的要因の重要性について、異文化比較研究、 地較人類学、比較言語学の視点から論 じた。次節では、本稿の 目的 と本稿で着 目する状況要因 についてその詳 細を述べ る。.
(14) 3-2 本稿の 目的 本稿の 目的は、比較文化的視点から自己開示の開示者 と被開示者 との職場における関係性お よび自己開示の 場 とい う状況要因に着 日し、日本 あるいは韓国の企業で働 く人々の 自己開示行動 について実証的調査を行 うこ とにより、 日本人 と韓国人の共通点と相違点を探索することである。 ここで着 目する具体的 な状況は、 (1) 開示者 と被開示者 との職場における地位の違い、お よび (2)自 己開示をする場 としての酒席である。 自己を 語るとい う行為は日常における我 々の対人関係 に様 々な影響を及 し、他方、社会における人間関係が複雑化す る中、対人関係のあり方によつて人々の 自己開示は影響を受けるとも言 える。デル レガら Oerlett Mё tt PetrOFl10,&Marris,1993)は 「人間関係│た 。。 (略)。 .。 自己開示によつてはじまる」 lp.10)と 述べ、自 己開示 と対人関係 との関係 を 「相互改変的. lmum■y搬硼並回mtive)」. とい う言葉 によつて説明 している。. すなわち、自己開示は時には 2人 の関係の方向や強 さを変えることがあるのに対 し、 2人 の関係の質が 自己開 示の意味または影響力を変えることを示 している。 本研究を実施す るにあたつての筆者の関心は、まず、会社 とい う日本の職場 における階層的対人関係 とその ような関係性の中で行われる自己開示 とい うコミュニケーション行動について探索することにあつた。その後、 その関心は、日本 と同様の状況的要因が社会の中に存在す ると考 えられる韓国のビジネスパー ソンの 自己開示 行動 との比較研究へ と発展 していつた 自己開示の相手 との職場における関係性や自己開示の場 としての酒席 は、果たして、開示者の行動 に何 らかの影響を与えるのだろ う力ゝ職場の仕事仲間との 自己開示行動に関 して、 日本 と韓国ではどの ような共通点や相違点が見 られるのだろう力、 日本人 ビジネスパーソンと韓国人 ビジネス パーソンに とって、自分について語 ること、仕事仲間 とのコミュニケーション、酒席は どの ような意味合いを もつのだろ う力、本稿では上記の■連の研究的関心に対する回答を探索す るために実施 した一連の研究を紹介 する。そ こで、次節 では、本稿 において、特に自己開示の開示者 と開示の相手 との職場における関係性や、自 己開示の場 としての酒席 とい う状況的要因 に着 目する理由について、日本および韓国 の社会文化的観点に立脚 して論述する。. 4.本 稿を実施するにあたつての ここでは、まず、続 く2項 において、自己開示における開示者 と開示相手の職場の地位 に反映 された関係性、 および、自己開示をする場 としての酒席 とい う状況的要因 に着 目する理由について、 日本のケースについて述 べ、その後、同様の状況的要因 をもつ と考 えられる韓国を比較対象 として選択 した根拠について述べ る。. 4-1.. 開示相手 との職場における地位の違しヽこ着目する根拠. 本稿では、特に、自己開示の相手 として開示者 と同じ職場の 同性の上司、同僚、部下 とい う3者 に着 目する。 我 々は、日常の中で多 くの様々な人たちと接触 し、その中で多種多様な関係を保 ちながら、毎 日を過 ごしてい る。言い換 えれ│よ 家族、親戚、隣人、学校の友人、職場の上司・ 同僚・部下など、多様、かつ、複雑な人間 関係の中で 日常を営んでいると言 える。 このよ うな対人関係の中で、自分の家族以外の人々、例 えば親戚、隣. 10.
(15) 近所、職場の同僚や上司の よ うな人たちに至っては、す般に家族 に対 してとは別 の意味で気を使 うことが多し、 、「仲間」、「身内」 と「同胞」は、 日本人の社会生活 北出 (1993)は 、米山 (1976)の 見解に言及 し、「世間」 とその社会関係を示 した日本的対人関係 を表す. 4つ の枠組みであ り、 とりわけ、「仲間」は日本社会において. 最も重要 な枠組みであるとし、いわゆる義理人情などの しがらみや、煩わ しい人間関係、および、人間らしい つ きあい もこの中で行われると述べている lp.2り 。 ここで、非血縁集団である職場もこの仲間集団の 1つ と して入れ られてお り、 この視点は職場における対人 コミュニケーションを探索するうえで着 目に値する。 日本人の対人関係の特徴を表わす様々な鍵概念の中で、従来、主要な視点 として研究者 らにより指摘されて きたものの 1つ に、「タテ」 と「ヨコ」の概念がある。中根 (1967)は 、一定の個人からなる社会集団の構成 要因を 「資格」 と「場」とい う2つ の異なる抽象的原理で捉 えた。 まず、「資格」 とは氏、素性 とい うように 生まれながらに して備わつている社会的個人の一定の属性を表 し、一方、暢 」 とは A社 の社員、B大 学の学 生 とい うよ うに、一定の地域や所属機関な どに資格の違いを問わず、一定の枠 によつて、一定の個人が集団 を 構成 している場合を示 している。中根 は日本の職場 に代表 される 「集団」に関 して、「職場 は個人の社会生活 における重要な場 となっている。また、毎 日を共に過 ごし、飲食 を共に した りしていると、その頻度や時間が 少ない人々より親 しくなるとい う傾向をもつている。実際の接触が人間関係の質に影響 してくるわけで、きわ めて現実的な傾向がみ られるのである」 lp_81)と し、日本 における集団 に関 して重要なのはこの 「場」の概 「 念であるとしている。 これは先述の 日本人の コミュニケーシ ョンにおいて役割関係 を示す 場面」の重要性を 指摘 したメイナー ド. 1996)の 主張に通 じる見方である。また、岩田 (1995)は 、日本の職場で見. られる人間関係 に言及…し、欧米型の 「参加」に対 して、 日本人の組織の関わ り方は 「所属」の形式をとると述 べている. lp.137)。. つま り、どの集団に属す るかが 日本社会 における人々の位置を定め、これが人々 との相互. 関係、評価、振る舞い方を規定する傾向にあるとい うのが、その主張である。中根 らが提唱 したタテ社会の人 間関係 に関 しては様々な異論もある. (北 出,1993)。. しかし、中根の言葉 を借 りれ│よ 同 じ身分や資格を有す る. 同僚な どの 「ヨコ」の人間関係 にも見られるように、入社年次や年齢によつて も先輩、後輩の序列が存在す る ことは否めなし、 また、年功序列制は会社組織に留まらず、学校集団 の中の、特に体育系 のクラブにおいても 「先輩 vs。 後勤. とい う明確な上下関係が存在 してい る。. 以上の ように、従来、 日本社会の全体的特性は、地理原理や血縁原理よりも社縁・企業原理が優先 している 職場主義の社会であるとするのが通念であつた。 しかし、ここで問題 となるのは、果たして、現在 も同様の原 理をそのまま適用することが妥当かどうかとい うことである。2000年 に出版 された NHKに よる「日本人の 意識調査」の中で、親戚、近隣、職場における人間関係に関 して、「全面的なつ きあい」から、賠影が向」ある いは 「形式的なつ きあしЧ を望む人々が増 えてきた ことが指摘されている 175‐ 182)。. lNHK放 送文化研究所::狙∞,pp.. 昨今の経済不況にともな う企業の倒産や M&A、 終身雇用制度の崩壊や年功序列制度の廃止へ と. 以降す る企業の増加、また、このよ うな多様な要因 に基づ くと考えられる職場の タテ関係の希薄化な どは、従 来の 日本企業の特徴であつた職場 の人間関係 の 「密」から「疎」への変化 に拍車 を力■ナてい ると考 えられる。 以上のよ うな状況を鑑み、企業に勤める人々のイ ンフォーマルな場における仕事仲間 との関わ りのあり様 につ いて、自己開示 とい う対人行動の観点 から調査を実施することにより、現代の職場 における対人関係 を考察す るためのヒン トを得ることができるのではないか と考える。. 11.
(16) 4-2_. 自己開示の場 として酒席に着目する根拠. 本稿の中で、着 目する自己開示の場は 「酒席」である。先述の ように、日本社会では、自己は、人間関係 に 依存 し、個々の社会的状況によつてその様相 は変化 し、このことが人々の コ ミュニケーションにも影響を与え ると考えられている。 この一例 とも言えるのが、酒席 とい う状況 における人々の行動である。外国人が受ける カルチャーショックの一例 として、 しばしば日本の酔 っ払いのマナーの悪 さがあげられる。「なぜ、日本の社 、 とは、来 日まもない外国人がしばしば抱 く 会は宴会などで酒 に酔 つた人々が行 う無礼に対 して寛大なのか」 疑間である。働 ヽこ、この指摘に見られるように、 日本社会には人々の行為を特別に取 り沙汰 しない一種の寛 容 さがある。欧米社会では 「人生の敗北者」 と見なされるこの酪酎者に対する日本の寛大 さは、子 ども、未成 年者に対する寛大 さと相まって 「甘 え」の社会構造の一環をなすものだ と直場(1980bは 指摘す る。言い換えれ ば、 日本社会が 「甘え」を容認 し、お互いに力ヽか あ うために、酪酎者は自眼視されることもなく、 しらふに 戻れば大抵の場合は再び社会の一員 として通常の生活にごく自然 にもどることができるのである。 この日本の飲酒文化に関連 して、 日本の社会では酒席が 「契約の則 象徴的な意味を担つているとの見方がある. (直 塚:1980b。. と「信頼関係の原型」 とい う2つ の. キリス ト教国では、結婚式κ神父が 「Aと Bは 夫婦. である」 と宣言 した瞬間 から、つま り、神 の前での言葉による契約 によって正式な夫婦が誕生す るのに対 し、 「契約」が成立する。宴会の席で、“さしつ、 日本では両家の親戚の前で、三三九度の杯をかわす ことによつて、 さされつ"し ながら、また、杯をかわしなが ら暗黙の うちに一種の対人関係の契約 を結んでいる。また、ひ と 昔前までは、日本のビジネスマンの間ではしばしば自分の酒量を超 えて飲む ことが要求され、また、大学生の 若者の間では一気飲み とい う、学生間の親睦を深 めるための、ある種、儀式の よ うなものが見られたが、これ らの行動もその一例 と言える。そ して、このよ うな風潮 の中では、飲んだら酔 つて胸にたまったことを何 もか も喋 って しま う人が愛好 される傾向があつた。つま り、「無防備なところを 自分はあなたにさらけだしてい る のです よ」 と相手に示す ことによつて、ほんとうの信頼関係が生まれるとい う点で、飲みすぎて崩れることは 信頼関係の原型であると見なされる傾向にあつた 高田 (1983)は 、文化人類学的見地から、自らが経営に関わった 「スナ ック・M」 を血縁社会、地縁社会、 社縁社会 とW‖ こお くことのできる「酒縁社会」と見な し、そ こに出入 りする常連客 の参与観察 の結果、「ス ナ ック OM」 が酒を提供する単なる場所ではない との結論に達 した。すなわち、酒縁社会のルール と掟にした がつて、他の飲み人 との コミュニケーションをきりむすびながら、ひたす ら相互に共同することに 自らを溶 か し込むことにより、自らのアイデ ンティティを 「自由に演技する」ことを通 して 自己を開示するあそびの場 と なつていると分析 したのである. lpp.144‐ 145)。. また、ベ ン・ アリ は000)は 、日本企業の飲み会を分析 した論文の中で、飲み会の ような会は疑い もなく企 業の 「隙間」に属 してお り、「通常」の勤務時間 の間のわずかな隙間に行われるものである。飲み会を分析す ることで、日本文化における飲酒の位置づけや、社員 たちの連帯、人事管理、あるいは争いの解決 といったよ うな組織 における問題に、どのよ うに関わつているかを明らかにすることができると主張 している。ここでは、 、または、状 飲み会は、職場での 日常のふ るまい とは異な り、それ らと切 り離 された特別な社会の 「枠組み」 況であつて、その会に参加 した社員 たちに、対外を結びつける絆について糖 平させた り、それを捜 させた り、 確認 した りする 「枠組み」でもあると述べ られている. lp.194)。. 12. さらに、 ここでは、 微 み会中に同僚たちの.
(17) あいだでで きる雰囲気 が特別なもので、その雰囲気 が、難 しい問題 を自由に話 し合 つた り、人の批評 をした り、 また意見を述 べ あつた りす ることを非常に簡単 に している」 とす るロー レン (1974)の 見解 が紹介 され ている lp.202)。. 以上 の よ うに、 日本 の 「酒文化」については、 日本文化 の特徴 の一端を表わす もの として しば しば言及 され る とともに、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン行動 も含 め、人 々 の行動様 式 にも影響 を与 える こ とが指摘 され てい る. lBadund,1975)。 しか し、 これ らの言説 は 日本 の酒文化が個人 の行動 に与える影響を推測 してい るにす ぎ ず、実証的 な研究結果 を基礎に言及 されたものではなしゝ. 牛3.. 比較研究の対象として韓国を選択 した根拠. エ ミックとエテ ィックの問題、すなわち文化等価性は、異文化比較研究で恒常的に議論されてい る問題であ る lBertt Poortie SegaL&DaseL 1992)。 諸文化間 には、すべての、あるいは、ほとんどすべての文化 generallと 、ある文化、あるしヽま少数の文化だけに特有な性質 lculhe‐ speci■ c) 劃h曖 ― に共通する性質 〔 が存在する。 ここで、共通する性質は 「エティック」 、特有な性質は 「エ ミック」 と呼ばれている。本稿 で問 題 となるのは、先述の 日本社会における 「場」や所属の概念お よび酒席とい う伝統的 日本社会に見られる特徴 は日本固有のエ ミックと見なす ことが妥当なのか どうかとい うことである。 このことに関連 して、筆者は、韓 国にも同様の文化的特徴が存在すると考える。そ こで以下では、職場における階層的対人関係 と酒席 とい う状 況要因が韓国 にも存在す ると考え、比較対象として選択 した根拠 について述べたしヽ まず、階層的対人関係 と深い関わ りをもつ価値観 として、集団主義志向がある。従来、 日本は集団主義志向 の高い文化圏 に属す ると見なされてきた Chiandis,1995辟 山. &藤 尻. 20021,高 井,1999;宮 凩 2∞ 2)。 し. かし、心理学お よび コミュニケーション学の分野における最近の研究調査の結果は、 このような日本人の傾向 に対するステ レオタイプ的な見方を支持 しない ものが少なくない ram到 到d二. K― an&Su帥Ⅸ疸ユ995;. Matsulnoto,Weissman,PrestoL BrOwn&KupperhH九 1997;Mats― oto,2002)。 例 えば、マ ツモ トらは、 アメリカ人 と日本人の大学生を対象に行 つた調査結果の 中で、アメリカ人 と日本人 との間で個人主義志向と集 団主義志向に有意差 が見 られなかつた ことを指摘 している (Mats― oto,WeissmЩ Preston,Bro―. &. Kupperb― L1997)。 また、日本、韓国、アメリカの大学生を対象 にヤマ グチらが実施 した調査結果におい ても、集団主義志向に関 してアメリカ人 と日本人 との間に有意差を見つけることはできなかつたことが報告さ れてい る. ramagdt K―. an&Sugimo吼. 1995)。. しかし、ここで、いずれの調査の対象も大学生 とい う. 若年層であり、この結果を容易 に,般化す ることには無理があると思われる。その証拠に、マツモ トらは日本 人勤労者を対象に、集団主義志向と個人主義志向に関する調査を実施 した結果、大学生を対象にした調査結果 とは異 な り、 集団主義志向が個人主義志向を上回つた と報告 している lMatsulr10to,Kudoh&Takeuchi,1996)。 従つて、ここで 日本人の集団主義志向を全面的に否定することはやや行き過ぎた結論であると思われる。 一方、韓国 も日本 と同様、従来か ら集団主義志向の強い国であるとの指摘があり、過去の実証研究もこれを 支持 している. (大崎ュ. "8七. 2CXXl,宮 原,2002)。 例 え│よ 先述のヤマグチらの調庵結果の 中で、韓国人学生. はアメリカ人、および、日本人学生よりも集団主義志向が有意に高いことが明ら力1こ されている. K―. arl&Sugimo■. 1995)。. Cama型 鋭. また、個人の 自己観 に関する調査結果の中で も韓国人の集団主義志向を支持す. 13.
(18) るものが多い ((hキm. Gao,―. Miyahara,Horva亀 BreSnahan. idt&Nishida,1992;Kim,HШ "■. &YooL 1996)。 その一例 として、グディクンス トら (れ も歯畑d,Gao,Schmidt&Nishida,1992)は 、日本、. 韓国、オース トラリア、アメリカの大学生を対象に、相互独立的自己観 と相互協調的 自己観に関する調査を実 施 し、その結果、 日本人、オース トラリア人、アメリカ人の間には相互独立的 自己観 と相互協調的自己観 の両 べ 側面に関 して有意差は見 られなかったが、韓国人の相互独立的自己観 は他の国々 と比 て有意に低 く、逆に相 互協調的 自己観 は有意に高かったことが報告 されている。以上の結果は、韓国人の集団主義志向を実証 した研 究例である。 本稿で着 目する状況的要因 の一つは、職場における地位の違いに内包 される階層的対人関係だが、社会や組 織における上下関係 と上記の集団主義的価値観には密接な関わ りがある。ホフステッド (Hohede,1991陪 、町硼華:さ からの回迪 と 井 &岩 井,19951)は 、「権力柚 、「集団主義・個人主義」、「男性性・ 女性性」 い う4つ の価値志向に関 し、50カ 国 と 3つ の地域を対象に調査を行 つた。 この中で、本稿 と密接な関連があ と「集団主義 0個 人主義」である。ホフステッ ドの調査では、韓国の場合、「権 る価値志向項 目は、「権力柚 「 力格差指標」については 53の 対象国および地域の中の 27位 と、全体の中間に位置 していたが、 個人主義指 標」については、43位 と、個人渤. 志向の低 さを示す結果となった ちなみに日本の場合、踊就薦瑳指標」. について 33位 であつたのに対 し、「個人主義指標」については、22位 であり、韓国のような明確な結果は得 られていない。 一方、韓国社会 における階層的対人関係について考察す る際に、儒教の理念を無視 して語ることはできなし、 ・ コ ニ リム とチ ェ lLim&C賊 1996)は 、儒教が韓国 を含む東アジア地域における対人関係 と ミュ ケーション パ ターンに及ぼす影響について、韓国人は何をおいて も、まず、社会的な対人関係を重視すると指摘 している。 彼 らは対人関係 を維持するためには自分の利益 を顧みず、自分 と親密な関係 にある人の利益を守 るためには、 公私を問わず、もてる力を最大限に発揮 しよ うと努力す る。また、韓国社会では、良好な対人関係が維持でき るか否力斗ま、重要な個人の資質であり、それは個人の能力 と見な されると同時にその人の人格をも表わす と考 えられている。 また、ヤ ンとチェン. 「. Cang&Cheng,1987)は 、東アジアの文化的価値観を「家族」、「集団」、 仕事志向」、. 「気質」 とい う4つ の枠組みで分析 しているが、 とりわけこの中で階層的対人関係に関連するものは、嚇 」 と「集団」である。具体的には、「家族」的要因には、家族や―族のメンバーに対する責任 と年長者に対する の 服従が含まれ、「集団」的姜因とは、階層的社会構造を受け入れ、権威 に対 して服従 し、集団 団結、調和、 てお り、上 規範に対 して義務 を負 うことを意味 している。韓国では、 日本以上に儒教の影響が色濃 く反映 され の となる教 え 記であげたような文化的価値観は、「五倫」 と呼ばれる韓国社会の中で最も重要な人間関係 基礎 の中に集約 されている。 これは、詳細 には、支配者 と従者、父 と息子、夫 と妻、兄 と弟のよ うな対人関係の中 で重視されるべき教 えであ り (Cheng,1990p、 上記で指摘 した儒教的倫理が韓国社会の至る場面で影響を及ぼ している。 「 最後に、本稿における第 2の 状況的要因である自己開示の場 としての 酒席」に関しては、 日本 と同様t韓 比べ、 国も個人の対人 コミュニケーシヨン行動に影響 を与える社会的要因の 1つ であると考えられる。以前 と ′ し 最近では、韓国社会において飲酒が果たす役割は陰 >な くなっているとは言われるものの、酒席は依然と て、特に韓国人男性 にとつてはなくてはならない社交の場 となつている lHur&HЩ 1997)。 金 (1983)は 、. 14.
(19) 会社の社員や役所の役人たちが勤務を終 えて軽くいつ│か 、同僚同士で酒を楽 しむ ことは、韓国人にとつて も 日本人 にとつて も、変わ りない小市民の楽 しいひとときであると述べている。特別な理由がなくとも、韓国人 ことを好む。 あ、飲みに行 こ う)」 と言い、何 らかの理由をつけては酒― 。 また、酒を飲む ときに、音頭をとる人が、時折、「ウリガ (わ れわれが)・ ・・・」 と叫ぶ と、他の人たちが. は 「ハ ン・チャン・ハプシダ. 「ナ ミガ. (さ. (他 人なの力⇒」 と言い、後に品. ヽ て叫ぶとい う。「ウリ」 とい う韓国語は、個人が集まった集団 を示. 「 、つま り、「我々、身内は」 と叫ぶこ すが、もともとは 「囲い」や 「家」 を意味 していた。 そ こで、 ウリガ」 とによつて、自分たちの集団意識 を高めようとするのである。また、一般的に、個人の本心を見抜 くには、ア ル コールの影響下でその人を見ることが重要 であるとも考 えられている (在 ,2000)。 バーンラン ドlB証 」Щユ コ 1975[西 山,佐 野,19791)は 、日本人が、身体的、言語的 自己表現 を増加 させる状況の 1つ は、アル ールの 影響下であると指摘 したが、上記の韓国人の傾向もこのことに関連 している。 また、韓国社会 において酒席は、 日本 と同様、 ビジネスの場で もなくてはならない存在である。相手 と同量 一 の酒を飲まなけれ│よ 何か隠 し事を していると疑われても仕方がない と考えられる傾向があり、 7世紀の統 の 新羅時代にさかのばれば、正しい酒の酔い方を示す儒教の儀式も存在 したとい う KHur&ヽ、1997)。 最近 いて も酒席は今で も 若者の間では、もはや年長者のよ うな酒の飲み方は好まれまいが、 日本 と同様、韓国 にお 尚、特に韓国 の男性 にとつては様々な意味合いでその重要性を担 っていると言 える。 上記で見てきたように、伝統的 日本社会の象徴であると見なされてきた階層的対人関係 と酒席 を重視す る傾 と思われる。 この 向は、韓国社会 にも見 られる現象であり、 日本固有のエ ミックと捉 えることには困難が伴 う ことには意義があ 意味でも、本稿でこのよ うな状況的要因に着 日した日本 と韓国 の異文化比較研究 を実施す る ると言 えよ う。. 5.第 1章 のまとめ 己開示に関す る一般的 本章では、研究の背景 として、戦後 における日本 と韓国の歩み を概観 し、続いて、自 る異文化比較研 な定義 と理論を紹介 した。 これまで多くの特性論的研究が行われてきた中で、自己開示に関す の では、そのような基本的視点の 究を実施す るにあた り、状況的要因 に着目す ることは重要である。本章 後半 の としての酒席 とい う状況 もと、開示者 と開示相手の職場における地位に反映 された関係性、およびt開 示 場 ついて論述 した 第 2章 では、 的要因に着 目して、日本 と韓国 における異文化地較研究を実施する理論的根拠に について述べ る。 い 過去に実施された自己開示に関する先行研究について概観 し、本稿で用 る研究法 と構成. 15.
(20) 第 2章. 先行研究 と本研究における方法論 と構成. 1.先 行研究 に関す る調査結果 ベ 過去の文献調査を実施するにあたつて使用 したデー タ ースは、Psycho. lnfo、. ぬgazine. Plus、. および、榎. の広範 本 (1997)の 著書、「自己開示に関する心理学的研究」である。榎本は、1950年 代後半から1995年 まで の につい の 囲に渡 る自己開示に関する文献調査の結果を報告 している。 1995年から2009年 2月 まで 英文 文献 こ った。 日 て、Psycho lnfoに より検索 した結果、463件 の 自己開示に関する論文が存在す ることが明ら力ヽ な を行 つた結果、全 本の文献については、血gazine Plusに より、1950年 1月 から 2009年 2月 までの肺 ベースの中で re宙 ew論 文や実証 部で 285件 の論文が存在することが明ら力ヽこなった。 これ ら 3種 類のデー タ 1,005件 の論文 研究を扱っていない論文、お よび、学術論文 と見な しがたい ものについては割愛 し、最終的に を先行文献 とし、その内容に応 じて分類 を行つた 図. 5は 各論文を心理学分野の各領域に応 じて分類 した結果である。カテ ゴリー名 と分類については、榎本. (1997)に 掲載 された分類法を参考にしながら、筆者が実施 した. 体稿 のテーマ と密接 な関係 のある 「文化」. 哩学慎域の範疇 と見な されるが、ここでは、榎本 (1997)の分類方法 b色¶ については、下般に社会心理学や文イ ) に従い、パー ソナ リテ ィ心理学領域の中の 「集団差」の領域 として分類 している。 まず、内容 に関 して、3つ のカテ ゴリーに大別 された。その内訳は る研究が 363件. (全 体の 36。. 1701、. (1)パ ー ソナ リティ心理学領域 におけ. (2)社 会心理学領域における研究が 354件. 臨床心理学領域における研究が 288件. (全 体の 28.7り. (全 体の 35。 2%)、. そ して (3). であつた。表 3は 1960年 から 10年 ごとの各領域 に. パ 心理学関連の論文が多 くを占め 属す る論文数をまとめたものである。これによると、80年 代 に ーソナ リテ ィ 90年 代以降は社会心理学や臨床心理学領域に関する研究が飛躍的に伸びて いることが ていた状況 とは異な り、 「 、「状況 と自己開示」および 「ビジネス わかる。以下では、特に本稿のテーマ と関連のある 文化 と自己開示」 場面における自己開示」に関わる過去の研究について、概観する。. 1-1.. 文化 と自己開示に関す る研究. っ に言及 しOo― ra 196L 1963, 榎本 (1997)は 、19al年 代から 1995年 までの 自己開示の国民差を扱 た研究 々 の で 査対象 となつたアメ Plog,1965;B肛 油田こ 1975;■eVme&Franoo,1981;CheL 1995)、 各 の研究 中 調 バ いつたいずれの文化圏 において も、開示 リカ、イギリス、プエル トリコ、中近東k ドイツ、 日本ヽ ス イ ンと パ ターンに見 られる自己開示の質的側面には、違いが見 られなかつたと報告 している。 しか し、自己開示度に の が 査対象 となった各々の国の開 の 反映された量的側面については、いずれの場合も、アメリカ人 開示度 方 調 ことが指摘 されている。 示度よりも高い とい う結果が示され、自己開示性には量的な文化差が存在す る バーンラン ド (Badund,1975, 日本人 を対象に した 自己開示 に関す る数少ない異文化比較研究 として、 題 に関. 1989)の研究がある。日本人大学生 とアメリカ人大学生を対象に実施 した初期 の調査の 目的は、社会問. に関することや、自分の身体 する意見、食べ物や音楽などに関する興味、仕事や勉学 に関す る事柄、性格、性 しい異性の友人、 の に対する気持ちといつた 6つ の話題カテ ゴリーに関 して、父親、母親、親 しい同性 友人、親. 16.
(21) バ ーソナ リテイや その 他の 健 康性 (202f牛 ) 55.6%. 1-lル リテイ心理 学領 坂 ("3件 )∽ .1%. 2集 団差■ 1件 )44.3% 親 密化過程(81件 )220%. 1. 社会心理 学 領 域 (354件 )52% 21牛 )175“. 2. 3メ ディアG5件 )15.5%. 4相 互性 G4件)15.3% 可亘 人認知 Gl件 )14.4%. l. 6自 己開示と状況 06件 )4.51. 7社 会集団 01件 )3_1% 8ビ ジネス C件 )2.0% 9ソ ーシャル・サ ポート G件 )1.7“ 件)11%. 10自 己呈示. “ 非言語. 11. e件 )0.8“. 12そ の 他 に 件)1.1% 治療者とクライエントの 自己開示 (89件 )30.9%. Ⅲ. 臨 床心理 領 域(288件 )23.7%. 2治 療技法や効 果. (謳. 件)26.o_“. 3 自己 開示と健 康に 関わ ろその 他 の 研究. 15.5% 4 百己開示の 促進・抑制要因 C41件 )14.2% 5 治 療者の 自己 開 示の 是 非. 11.5% 師. 先行文 献の 分類 結 果. 表 3 心理学祭馴州 こ分類 された鋼 場 1の 論文数 銅. t. 1960. 1980. 1990. 2000. 64. 69. 128. 計. ¨. パー ソナ リティ心理学. 58. 44. 社L釜 ンこず里堅許 日謝嗜0こ 涯里要書. 288. 54. 1989年 に実施 未知の人、それぞれに対 して、 どの程度 自分について語るのかを比較調査することであつた 17.
(22) した 2度 目の調査では、日本人 423名 、アメリカ人 々И 名を被験者 とし、各々の国の 5つ の¨. 紙調査. を行い、 日本人とアメリカ人のコ ミュニケーション・ スタイルが検討 された。その中で、初対面における相互 へ 作用を解明す るために、ス トレンジャー・スケール とい う尺度を用いて、未知 の人 の態度、話 し力」する轍 べ 初期の相互作用、未知 の人に対する魅力 について比較 したところ、動機の点では特筆す き結論は発見されな べ かったものの、未知 の人への態度 に関 して、未知の人への気づ き、配慮、話 しかけ、対応 とい うす ての側面 において、日本人はアメリカ人よりもスコアが低 く、特に相互作用を しよ うと思 うとい う側面 と、実際 に相互 カ人 べ 作用 をするとい う2つ の側面において、アメリカ人に比 てその程度が低い結果 となり、 日本人 とアメリ の傾向に大きな違いがあることがが示唆 された 剛 ニ 自己開示の深 さに関する国民差 を扱 った最近の研究では、ホ レンスタイ ン、ダウ ー CHorenstem&D田 畢 」ourard Ser― didosure キ トウ lKito,2005)の 研究があげられる。ホ レンスタイ ンら (2003)は 、 2003)、 および、. lnventowを 用いて、アルゼンチ ン人学生 とアメリカ人学生の 自己開示を地較検討 した結果、両国 ともに男性 の方が女性 よりも開示度が高く、家族問題や性に関す る話題については話 さない傾向が高いこと、また、アメ 大学 リカ人よりもアルゼンチン人の方が開示度が高いことを明ら力ヽこし,に また、キ トウ 12005)は 、日本人 と 生 とアメリカ人大学生を対象に、恋愛関係 と友人関係 とい う異なつた関係性 に着 日し、自己開示する当事者 アメリカ人も、 開示相手 との関係性が開示傾向に与える影響について、調査を実施 した。その結果、 日本人も 友人関係 よりも恋愛関係における自己開示度が高かつたと報告 してい る。 一方、世界観や文化的価値観 といつた個人が もつ文化的側面 と自己開示 との関係 を扱 った研究 もあ る. lGoodwin,Ninradze,Lut&Kosa,1999;Hastings,2000;Kim,Li&Liang,2002 Kim,HiL Gelso, ロ Goates,嶋 &HarbiL ttЮ 3;Hertt Fu&Lee,20081。 グッドウインら い 面¨ et.aL 1999)は 、 シア、グルジア、ハ ンガ リーの 3カ 国の労働者、ビジネスマ ンと大学生を対象 に、個人が所属す る文化や世界 ヘ ス ングス (H… ,2000bは 、アメリ 観が親密 な自己開示に与える影響について調査 した。また、 イ テイ に関して 自己抑制 カに一時的 に滞在す るアジア系イ ン ド人を対象に、彼 らがい力ヽこして適切な殺害い を促進するための文化的意味づ けを行 う力ヽこついて探索 した にその数が飛躍的 に伸びて 表 3に も示 されているように、自己開示 に関す るどの研究分野 も、2000年 以降 の中で、 一 の いるが、臨床心理領域における研究 も例外ではなしЪ キム ら lKim,Li&Lh嘔 ,2002)は 連 研究 が カ ウンセ ラーに カウンセリング場面におけるアジア系アメリカ人クライエ ン トが もつアジア文化的価値観 、 ついて報告 している tKim&A■ insoL 2∞ 2 対する認知 とカウンセ リングのプ ロセスや結果に与える影響に Kim,Li&Liang,2002;Kim et.aL 2003)。. また、ハイ マンら (Heymtt Fu&Lee,2∝. 8)は 、6歳 から 11. に話す傾向について調査を実 て 歳のアメリカと中国の子供たちを対象に、学業における成功 と失敗に関し 他者 ついて話す ことは、アメリカ人の子供たち 施 した。その結果、自分 よりも成績の悪い友人に自分の 良い成績 に の 来の協同学習への提 にとつては、個人の優位性 を示す一方で、中国人の子供たちにとつては、開示相手と 将 ことが示唆 された 案 を用唆す る結果 となり、そこには中国人の文化的価値観が反映 されている カ ンセ ラー とクライエ 臨床場面における自己開示に着 目して実施された文化的視点に立った研究例では、 ウ つかの研究がある ン トの民族や人種が彼 らの 自己開示や開示相手に対す る認知 に与える影響 に着 日した幾 2; (Zang,SnOwden&Sue,1998;Morrison&Do― eyp 2000;Duan&Roeme,2001;Kim&AtlxinsoL 2∞ Burkard,Knox,Groen,Perez.,&Hess,2006)。 その一例 として、ザ ングら Cang,SnOwden&Sue,1998). 18.
(23) に る自己開示 とメン は、ロサ ンゼルス在住 のアジア系アメリカ人 と白人系アメリカ人を対象 に、精神疾患 関す アメリカ人 よりもアジ タ/pA/1/ス サー ビスの利用における民族の違いを調査 し、開示相手に関わらず、自人系 レvレ スサービスの利用も少ないことを報告 している。 ア系アメリカ人の方が、開示傾向が少なく、メンタノ クライエ ン トである また、キム とア トキンソン lKim&A■ inson,2002)は 、カウンセ リング場面における ンセラーの民族性、お ところのアジア系アメリカ人大学生のアジア文化的価値観に対する支持の程度 と、カウ る被験者の よび、カウンセ リングプ ロセス との関係を調査 した。その結果、アジア文化的価値観を高く支持す かつ、信頼できる相手 ー 方が、支持の程度が低い被験者 よりもアジア系アメリカ人カ ウンセ ラ をより共感的、 ヨー ロッパ系アメリカ人カウン として認知 し、逆に、アジア文化的価値観に対する支持の低い被験者の方が、 と自己開示 との関 セ ラーをより共感的で信頼できると認知することを明ら力ヽこし,に その他喘人種お よび民族 ―クス とその研究者仲間 ら lParks,Hughes&Matthews,2004)は 、アフリカ系、 係を扱 った研究 として、ノく について調査 し、ロザ リオとそ ラテ ン系および白人の同性愛者における性同一発達に関す る人種 と民族の影響 ングア ウ トプロセスにおける民族 の研究者仲間 はmario,Mimshaw&Hunte■ 20041は 、同性愛者のカミ と人種中. ` について詭. を動. している。. い 数少 ない 1例 として、 一方、自己開示に関 して文化的視点から日本人 を対象に実施 された研究は未だ少な 。 己開示の観点から調査 し、個人 と自己開示の 横田 (1991)は 、 日本人大学生 とアジア人留学生の友人関係を自 つ とも親 しい異性の 日本人の友人、もつ と の 相手 との 4種類の関係性 (も つ とも親 しい同性の 日本人 友人、も の において、 日本人学生と留学生 との間で も親 しい同性の留学生の友人、もつとも親 しい異性の留学生 期 力ヽこし1に その他、 日本人 と留学生を対象に した 選好 される話題は、日本人同士のそれ とは異なることを明ら がある。彼 らは日本人学生 と留学生を対象 に 異文化比較調査では、得丸、大島 0004)と 得丸 12006)の 研究 「3ス テップ文章交換法」 と呼ばれ る相互交流手法を用いて、授業 中に学生 によつて書かれた作文 に関 し、各 ステップの中で起 こつた 自己開示の心理過程について分析 している。 生とアメリ人大学生を対象に初 一方、初対面 における自己開示行動 に着目して、西田 (1996)は 日本人大学 ついて違いが見 られるかを調べた結果、最初 の 5分間 対面 30分間の間で話 される話題の順序 と情報開示量に じて取 り上げられる話題の数については、アメ に話され る話題については共通点が見 られたものの、全体を通 べ ついては、 日本がアメリカを 卜同ったと述 ている。ま リカが日本 を大きく 卜同 り、逆に話 さない話題の数に 士の初対面の場面で、話題導入の際に用い ら た、奥山 0005)は 日本人大学生 と韓国人大学生の同国人同性同 い 時間制限の中で実験調査 した結果を報告 してい れる質問 と自己開示および疑問詞の頻度 の推移を、40分 と う る。. の 々の間で起こる相互作用を異なつた国同士で地較 し 最後に、上記の研究は横 田 (1991)を 除き、同国内 人 ニ した自己開示 に関す る最近の異文化間 コミュ た異文化比較研究であるが、異文化の人々 との相互作用 に着 目 「 守崎 らは、自己開示の返報性に対する 親座度」 ヶ―ション研究として、守崎 と内藤 0∞ 7)― がある。 られるか どうかと、自他が交換する自己開 で および 「開示内容」の影響が、欧米の研究結果同様、 日本人 も見 士 と異文化間の状況で調査 し、どの程度の親密 示の総量に対す る上記の 2つ の要因 の影響について、 日本人同 ことが適切であると見なされるの力ヽこついて、文 な相手に対 して、 どのような内容を、 どの程度 に開示 しあう 化的な違いがあることを明らかにしている。. 19.
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