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JAIST Repository: 論文著者IDによる研究者を単位とした計量書誌学的分析

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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 論文著者IDによる研究者を単位とした計量書誌学的分 析 Author(s) 川島, 浩誉; 富澤, 宏之 Citation 年次学術大会講演要旨集, 29: 373-375 Issue Date 2014-10-18

Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/12466

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

(2)

― 373 ― ための根拠として論文を引用する、というモデルが 考えられる。この場合、特許とそれが引用する論文 の関係は、出願者による自己引用の場合のように、 そもそも同一の主体によって生み出されたものであ るか、そうでなくとも、特許と論文が内容的に極め て近い関係にあると考えられる。このモデルは、審 査官の行動を説明するだけでなく、背後にある研究 開発についても、図6(b)に示した「コンカレント型」 モデルが成り立っていることを示唆していると解釈 できそうである。 6.今後の展望 本稿では、いくつかのモデルを用いて、引用年齢 に関するデータ分析結果の解釈を試みたが、実際の 引用は、様々なタイプのものが多様にあり、また、 引用の諸属性は、散らばりの大きい統計的分布に従 っていると考えられる。従って、モデルとデータ分 析結果の関係は、それほど明確ではなく、ある程度 の傾向を示すものに過ぎない。そのため、今後、当 面は様々なモデルの精緻化を進める必要はあるもの の、それぞれのモデルについてケーススタディ等の 詳しい研究を行うことが必要であると考えられる。 参考文献 [1] 鈴木 裕, 芳鐘 冬樹,「特許間引用のカテゴリ 化 : 被引用数計測の精緻化に向けて」, 研究・ 技術計画学会第27 回年次学術大会・講演要旨集, pp. 760–764, 2012 年 10 月. [2] 富澤 宏之,「科学論文を引用することは特許の影 響力を増大させるか」, 研究・技術計画学会第 25 回年次学術大会・講演要旨集, pp. 499–501, 2010 年 10 月. [3] 富澤 宏之,「引用データによる科学技術知識フロ ーの測定:科学技術知識の国際的流通とスピル オーバー」, 研究・技術計画学会第 27 回年次学 術大会・講演要旨集, pp. 739–742, 2012 年 10 月.

2B03

論文著者 ID による研究者を単位とした計量書誌学的分析

○川島浩誉, 富澤宏之(科学技術・学術政策研究所)

本発表は計量書誌学に基づく研究者レベルの粒度を基本単位とする試行的分析を主題とする。 近年、科学計量学においては分析単位のミクロ化が進んでいる。大学等の研究機関名のデータベー ス上の表記が整備・統一されるに伴い、伝統的な国レベルの集計・国際比較のみならず研究機関レ ベルの集計や研究ポートフォリオ分析が可能になった。さらに現在、各研究者に ID が付与された データベースによって研究者レベルの分析が可能になりつつある。本発表では、各論文の著者に ID が付与された論文データベースのひとつである Scopus を用い、日本の論文の停滞期における論文 著者数の推移について報告する。 既に複数の先行研究で取り上げられているように、論文データベースを用いて集計された日本の論 文生産数は 2005 年付近から横這い傾向が続いている(図 1)。集計の対象となる論文データベース に収録される論文誌数は年々拡大し続けていること、米国・英国・ドイツ等の主要国では日本が横 這いを続けている期間も増加していることなどから、論文生産における日本の停滞として議論の対 象になっている。 260000 240000 220000 200000 180000 160000 140000 120000 100000 80000 60000 40000 20000 0 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 日本 英国 ドイツ フランス 中国 韓国 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 2500000 2000000 1500000 1000000 500000 0 世界全体 米国 日本だけ横這い 図 1 論 文 数 推 移 ( 英 語 論 文 の み を Scopus に て 集 計 ) ここで、論文を生産する主体である研究者もしくは論文における著者という点からこの間の事象を 考えると、1.論文を書いて著者になる研究者が減っている 2.一人あたりの論文生産数が下がって いる、のいずれかもしくは両方である。本研究では 1 について検討する。

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― 374 ― まず、論文著者の人数の推移を規模が近い英国とドイツと比較すると、図 2a、図 2b のように 2005-2007 年から 2008-2010 年に日本の著者数は微増に留まっている。著者のうち、各年に初めて 論文に名を連ねたもののみを抽出したものが図 2c である。図 2c において、2005-2007 年から 2008-2010 年にかけては横這いであり、同期間の全ての著者数に関して表した図 2b と比べても増加 率が小さく、論文数が横這いであることに関与していることを示唆している。 450000 400000 350000 300000 250000 200000 150000 100000 50000 0 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 日本 英国 ドイツ フランス 中国 韓国 1.15 1.10 1.05 1.00 0.95 0.90 0.85 2002-2004 2005-2007 2008-2010 日本 英国 ドイツ 1.15 1.10 1.05 1.00 0.95 0.90 2002-2004 2005-2007 2008-2010 日本 英国 ドイツ

a

b

c

1.35 1.30 1.25 1.20 1.15 1.10 1.05 1.00 0.95 0.90 0.85 2002-2004 2005-2007 2008-2010 日本 英国 ドイツ 1.10 1.05 1.00 0.95 0.90 0.85 2002-2004 2005-2007 2008-2010 日本 英国 ドイツ

d

e

図 2 論 文 著 者 数 の 推 移 (a:全ての著者数、以下 b 以降すべて 2005-2007 を 1 としたときの比 b:日英独の著者数の比、c:b のうち各年に初めて出現した著者数の比、 d:c のうち初出以降 2013 年までに一度も著者にならなかった人数の比、 e:c のうち初出以降 2013 年までにもう一度以上著者になった人数の比)

(4)

― 375 ― まず、論文著者の人数の推移を規模が近い英国とドイツと比較すると、図 2a、図 2b のように 2005-2007 年から 2008-2010 年に日本の著者数は微増に留まっている。著者のうち、各年に初めて 論文に名を連ねたもののみを抽出したものが図 2c である。図 2c において、2005-2007 年から 2008-2010 年にかけては横這いであり、同期間の全ての著者数に関して表した図 2b と比べても増加 率が小さく、論文数が横這いであることに関与していることを示唆している。 450000 400000 350000 300000 250000 200000 150000 100000 50000 0 2011 2009 2007 2005 2003 2001 1999 1997 日本 英国 ドイツ フランス 中国 韓国 1.15 1.10 1.05 1.00 0.95 0.90 0.85 2002-2004 2005-2007 2008-2010 日本 英国 ドイツ 1.15 1.10 1.05 1.00 0.95 0.90 2002-2004 2005-2007 2008-2010 日本 英国 ドイツ

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図 2 論 文 著 者 数 の 推 移 (a:全ての著者数、以下 b 以降すべて 2005-2007 を 1 としたときの比 b:日英独の著者数の比、c:b のうち各年に初めて出現した著者数の比、 d:c のうち初出以降 2013 年までに一度も著者にならなかった人数の比、 e:c のうち初出以降 2013 年までにもう一度以上著者になった人数の比) さらに、図 2c で示した「各年に初めて論文に名を連ねた著者」を「初出以降 2013 年までに一度も 論文に名を連ねなかった著者」と「初出以降 2013 年までにもう一度以上論文に名を連ねた著者」 とに分解したものが図 2d と図 2e である。この図において、1 本目の論文から 2 本目の論文までの 期間が長く二本目が未だデータベースに収録されていない著者の存在により、集計の構造上、どの 国においても現在に近づくほど図 2d は増加し図 2e は減少する偏りを持つことに注意が必要である。 図 2c、図 2d、図 2e から読み取れることとしては、A:日本の論文生産が伸び悩んでいる要因のひと つとして、研究論文に名を連ねる著者の新規参入が伸び悩んでいることが関与している可能性があ る、ということと、研究論文に新たに名を連ねた著者のうち、B1:その後も論文生産に関与する人 数が減っている、もしくは B2:1 本目の論文に著者として名を連ねて以後 2 本目の論文への関与ま での期間が長期化していることが示唆されており、更なる分析が必要である。

精度評価

本研究では、ここまでに述べた、論文データベース内の論文著者 ID による研究者を単位とした計 量書誌学的分析の信頼性を明らかにするために、今回利用した論文著者 ID である Scopus AuthorID の精度の評価も併せて行った。 評価方法は、科研費のデータベースである KAKEN の研究者番号を正解データとして扱い、KAKEN に 成果報告として掲載されている論文書誌情報を媒介して研究者番号と AuthorID を接続し、以下の 2つの精度を表す指標によって行った。 ¥ ある1つの研究者番号に紐付いた AuthorID の数を論文数で重み付けして「再現率」を算出 ¥ ある1つの AuthorID に紐付いた研究者番号の数を論文数で重み付けして「適合率」を算出 評価結果を表に示す。論文書誌情報によって媒介された AuthorID は 75,405 ID、研究者番号は 69,017 番号であった。これを母集団としたとき、平均再現率は 98.44%、平均適合率は 99.36%であった。 表 1 Scopus 内著者 ID の精度評価結果 全体 論文2報以上のみ AuthorID の数 研究者番号の数 平均再現率 平均適合率 75,405 69,017 98.44 % 99.36 % 54,948 56,038 98.09 % 99.14 % 以上のように、日本の研究者に関しては実用的な精度であることを確認した。しかしながら、本検 証の限界あるいは留保事項として以下の3点が存在する。 1. 日本の研究者のみを対象にした検証である 2. 正解データとして使用している KAKEN に非掲載の研究・研究者は対象外である 3. 2 と同じ理由により、KAKEN 自体の名寄せ精度に検証結果が依存する 特に 1 に関しては、各国の姓名システムの違いに大きく依存する可能性がある。主要国の研究者に 関して、同姓同名別 AuthorID が存在する比率を調べると、日本:62.2%、米国:33.6%、英国:33.8%、 ドイツ:26.8%、フランス:20.5%、中国:67.9%、韓国:60.0%と、国もしくは言語によって大きく異な る(日本人の同姓同名存在率に関しては、Yamauchi et al. (2014)が電話帳データを用いて、漢字 表記では 67.7%と算出している)。論文データベース内の同姓同名別 AuthorID の数は ID の精度その ものに依存することから、直ちに日本と米欧の名寄せの困難さを比較する変数として用いることは できないが、いずれにしても各国間に精度の違いが存在する可能性は否定できない。

Isamu Yamauchi, Koichiro Onishi, and Takamasa Suzuki (2014) "How to trace mobile Japanese inventors? A rare name approach with patent data", IIPR Discussion Paper 2014-001. [forthcoming]

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