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魚介類を教材とした食教育の実践

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Academic year: 2021

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(1)Title. 魚介類を教材とした食教育の実践. Author(s). 土岐, 圭佑; 佐藤, 裕子; 岡田, みゆき. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 64(1): 401-408. Issue Date. 2013-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/6962. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 平 成 25{ I 8月. 北海道教育大学紀要(教育科学編)第 6 4巻 第 1号 J o u r n a lo fH o k k a i d oU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n )Vo . l6 4,No. l. ご. August,2 0 1 3. 魚介類を教材とした食教育の実践 土 岐 圭 佑 ・ 佐 藤 裕 子 * ・ 岡 田 み ゆ き *1. 千葉県鎌ヶ谷市立鎌ヶ谷小学校 *北海道根本市烹北斗小学校 北海道教育大学旭川校家庭科教育研究宰. キ1. P r a c t i c eo fFoodE d u c a t i o nf o c u s i n go nF i s h DOKIK e i s u k e,SATOYuko*andOKADAM i y u k i * l KamagayaE l e m e n t a r yS c h o o ,l C h i b a ,l Nemuro * H o k u t o E l e m e n t a r yS c h o o. o k k a i d oU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n * l D e p a r t m e n to fE d u c a t i o n,AsahikawaCampus,H. 要旨 魚介類は伝統的に,日本の食事の中で主菜として,健康的,栄養的な食事である「日本型食事」を構成し てきた。また,近年では,生活習慣病予防に好ましい効果があることも明らかにされてきている。しかしな がら,現在,子どもたちの魚離れが深刻化している。そこで,本研究では,子どもたちが食に関する正しい 知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう,小学校低学年において,魚介類を教材とした食教育 に関する授業の実践を行った。その際,学校給食を教材として取り上げる,栄養教諭との連携を図る,地域 の人材や施設を活用する,五感を使って食材を知るなどを取り入れて授業の構成を試みた。 その結果,授業で使用したワークシートの分析から,以下のことが認められた。記述が最も多かったのは, 生きている魚を見たり触れたりする体験活動を通して魚の構造を理解したことと,漁師さんの仕事の大変さ や楽しさに気付いたことで,食材としての魚への関心を高めたり,地域で働く人と自分とのかかわりを持た せることができたことがわかった。次に記述が多かったのは,魚、が学校給食の食材として使われていること を理解したことと,魚、の良さを実感したことで,給食を残さないで食べるなど魚を食べる意欲や学校給食へ の関心を高めることができたことが認められた。. 1.研究の目的. 存方法についても各家庭で工夫を凝らし,家庭の 味として数多く伝えられてきた。しかし,現在,. 根室は,サンマ水揚げ日本ーが示すように,漁. 子どもたちの食生活をめぐり,様々な問題が指摘. 業の生産現場が身近にあり,新鮮な水産物を各家. されている。朝食欠食・孤食などの食生活の乱れ,. 庭様々な調理方法で味わってきた。また,魚、の保. 偏った栄養摂取による肥満傾向の増大などが,そ. 4 0 1.

(3) 土 岐 圭1 , ( ;. 佐 藤 裕 f -.I 尚田みゆき. れらの例として挙げられる。特に脂質の摂取量の. 和のよい食事のとり方等を具体的に指導したりす. 増加は深刻な問題で,肉類の摂取量が魚介類を大. ることも推奨している。さらに,食に関する知識. きく上回っていることも,その要因のーっと考え. や経験を有する人材や教材あるいは食に関連する. られている 1)。. 地域の施設を有効に活用したりして食に関する指. 財団法人東京水産振興会 2)の調査では,小学生. 導を進めていくことが,児童に地域のよさを理解. の魚、の摂食頻度は週に 3~4 回以上 37.5% ,週に. させたり,愛着をもたせたりする上で有意義であ. 1~2 回 49.0% ,月に 1~2 回以下 13.5% と日常. ると述べている。つまり,食教育を行う上で,学. 的に魚を食べる児童は 4割に満たなかった。この. 校給食の教材化,栄養教諭との連携,地域の人材. ように,子どもたちの魚離れは確実に進んでいる. や施設の活用が必要であると考える。. ことが窺われる。. この他,飯田他 6)は,子どもの食に対する興味・. しかしながら,魚介類は伝統的に,日本の食事. 関心を高めるためには,子どもの五感を生かした,. の中で主菜として,健康的,栄養的な食事である. つまり食材を視覚,聴覚,嘆覚,触覚,味覚で味. 「日本型食事」を構成してきた。また,近年では,. わう授業実践が有効であることを検証している。. 生活習慣病予防に好ましい効果があることも明ら. 河村・高島 7)も,保育園児を対象とした食教育プ. かにされてきている。であるから,こうした子ど. ログラムの実践的研究から,食べ物に触れる経験. もの魚離れを解消し子どもたちが食に関する正. が,子どもたちの食べ物に対する興味や関心を引. しい知識と望ましい食習慣を身に付けることがで. 出し,記憶を鮮明にさせると指摘している。また,. きるよう,学校においても魚介類を教材とした食. 岡山県 K小学校や埼玉県 A小学校の実践 8)では,. 教育に積極的に取り組んでいくことは重要である. まるごとの魚、を見たり,触れたりする経験が児童. と考える。. の魚への興味・関心につながることを実証してい. では,いつ頃,どのような内容の食教育を子ど. る 。. もたちに行うべきか。志垣他 3)は大学生の魚介類. そこで,本研究では,魚介類が特産物である根. 晴好の調査によって,「小学校低学年は,魚介類. 室地域において,魚介類を教材とした小学校低学. を嫌いになる第一期とみることができる。学校給. 年における食教育プログラムを開発することを目. 食の始まりは子ども達にとっては魚に対する晴好. 的とする。その際,以上の研究結果を踏まえ,学. の大事な変換期である」と指摘している。鈴木 4). 校給食を教材として取り上げる,栄養教諭との連. も,食教育は小学校低学年から必要であると指摘. 携を図る,地域の人材や施設を活用する,五感を. し実践も提案している。であるならば,魚介類. 使って食材を知る,特にまるごとの魚に触れるな. を教材とした食教育を行うには小学校低学年が適. どの活動を取り入れてプログラムを構成し,その. 切な時期であると考えられる。. 有効性についても検証する。. 食教育については,平成 1 7年の食育基本法,平. 8年の食育推進基本計画によって,文部科学 成1 省5)では積極的に地場の特産物を使った給食を薦 めている。魚介類を特産物とする根室地方では,. 2 . 研究の方法 1)研究対象. 学校給食に食材として活用されていると考えられ. 研究対象者は根室市立 H小学校 1年 1組 2 6名 ,. る。であるから,食教育の教材として学校給食を. 2組 2 6名 , 3組 2 6名計 7 8 名である。授業は,単元. 取り上げることは,健康によい食事のとり方を学. 全1 4時間)として生活科の 「ねむろのさかな J (. び,望ましい食習慣を形成するため,地産地消を 勧める上でも重要である。その際,栄養教諭が学 校給食における献立作成の工夫を説明したり,調. 402. 時間で,平成 23 年 10~11 月に実施した。.

(4) 魚介類を教材とした食教育の実践. 2)授業の目標. 域で獲れた魚、が食材として給食の献立に使われて. 授業の目標は,文部科学省『食に関する指導の. いることに気付かせるために,栄養教諭が授業を. 手引」の中の生活科における食に関する指導の進. 行った。また, 3色の食品の分類から魚、の栄養に. め方を参考に,以下の 3つに設定した。. ついて説明し,魚料理や給食を食べることが健康. ① 学校給食と地域の食材とのかかわりに気付 き,学校給食への関心を高める。. ② 地域の特産物である魚を通して,食べ物の 大切さを感じると共に地域への愛着を持つ。 ③. 魚の良さを実感し,自分の食生活を見直そ うとする。. につながることを話した。最後に,今日の給食へ の意気込みをワークプリントに書かせた。. 4時間目は, 8種類の魚が料理に変身する「ピッ クの大ぼうけん」という自作の紙芝居の読み聞か せを通して,どの魚、がどのような料理になるかを 理解させた。. 5.6時間目は,地域の施設とかかわりを持た 3)授業構成の視点 3つの授業目標を達成するために,授業を構成 する際には以下の視点を取り上げた。 ①. 身ではない,生きている魚、のまるごとの状態を見. 0 種類以上の魚の名前や根室で獲 せた。そして, 4. 学校給食と地域の食材とのかかわりに気付. れる魚などについて,市場の人から説明しても. かせるため,学校給食の献立を教材として取. らった。また,オスとメスのさけを解イ本してもら. り上げるとともに,栄養教諭と連携して授業. い,いくらとしらこの存在や,体のっくりや,オ. を進める。. スとメスの違いについて,実際の観察を通して知. ② 魚、の良さを実感させるため,魚、のまるごと の状態を見たり触れたりする体験活動を取り 入れる。 ③. せるために,市内の海鮮市場に見学に行き,切り. ることができるようにした。 7.8時間日は,地域で働く人とかかわりを持. たせるために,漁業協同組合青年部の人たちをゲ. 地域で働く人や施設とかかわりを持たせる. ストティーチャーに迎え,体育館で 3組合同の授. ことで,地域への愛着を持つことができるよ. 業を行った。生きているオスとメスの大だこ 2匹. うにする。. と魚、を獲る大きなあみを見たり触ったりできるよ うにした。青年部の方から実際の道具を使って,. 4)授業構成 4時間で構成し 学習内容は表 1に示す通り,全 1 た 。. 1時間目は,導入で,近々開催される地域のお 祭り(かにまつりとさんままつり)の話をし,地. たこの獲り方を演じてもらったり,たこのオスと メスの違いや根室で一番獲れる魚などの説明をし てもらったりした。また,魚を獲る苦労や楽しさ などについても話してもらった。. 9~13 時間目は,学習のまとめの時間として,. 域や魚についての関心を高めさせ,学習への意欲. 魚料理を絵で示させたり,根室で獲れる魚や魚、の. を持たせた。また,「知っているおさかな」をワー. っくりをクイズにさせたり,魚、の一生がわかる紙. クプリントに書かせ,子どもたちの魚に関する知. 芝居や絵本などを作らせたり,個々の表現の仕方. 識や経験を確認した。. で,学習のまとめをさせた。. 2時間目は,「すきなおさかな」や「きらいな おさかな」や「しっているおさかなりょうり」を. 1 4時間目は,学習のまとめの時間で作成した児 童の作品を一人 3分程度で発表させた。. ワークプリントに書かせ,魚と自分とのかかわり に気付かせたり,食べる視点から魚、を捉えさせた りした。 3時間日は,給食に出る魚料理を取り上げ,地. 5)授業の分析方法 毎時間の授業の最後に,「今日の学習でぴかっ と光ったこと」として児童に感想を書かせた。記. 403.

(5) 土 岐 圭1 , ( ;. 佐 藤 裕 f -.1尚田みゆき. 表 1 授業の内容 小中元 1.ねむろのあ きを見つけよ. つ. 2 . きゅうしょ くのひみつを しろう. 3 . ピックの大 ほうけん さ かなのへんし ん. 4 . ねむろで うっているさ かなをしろう. 5 . りょうしさ んのおしごと をしろう. 6 . がくしゅう のまとめ. 7 . はっぴょう かい. 戸 寸2→.. 習. I ) , . j. ・ d て 臼・. -地域の「かにまつりとさんままつり」の話を聞き,地域や魚についての関心を持 て コ 。 -知っている魚、を発表することを通して,単元『ねむろのさかな」の学習への意欲 を持つ。 「すきなおさかな」や「きらいなおさかな」や「しっているおさかなりょうり」 を考え,食べる視点から魚、と自分とのかかわりに気付く。. 時 四 日. 1 / 1 4. 2 / 1 4. -給食の献立去から魚料理を見つける。 -給食に向る魚料理の中から地域で獲れた魚、を探し,食材として給食の献立に使わ れていることに気付く。 -栄養教諭の説明から,食べ物(魚)と栄養との関係を知る。 -給食を食べることへの意欲を持つ O. 3 / 1 4. .8種類の魚、が料理に変身する「ピックの大ぼうけん」という白作の紙芝居を聞き,. 4 / 1 4. 魚料理への関心を持つ。 -食材の魚がどのような料理になるかを理解する。 -家庭での魚料理や給食の魚料理にも目を向けさせ,学習の振り返りをする。 -市内の海鮮市場に見学に行き,地域の施設と自分とのかかわりを持つ. -切り身ではない,生きている魚のまるごとの状態を見たり,触れたりして,魚の 全体像を知る。 . 4 0 種類以上の魚の名前や根室で、獲れる魚、などについて,市場の人から話を聞き, 根室で魚、がたくさん捕れることを知る。 -オスとメスのさけの解体を見,いくらとしらこの存在,オスとメスの体のっくり について知る。. 5 . 6 / 1 4. -生きているオスとメスの大だこ 2匹,魚を獲るあみを見たり,触れたりして,大 だこの大きさや感触,あみの大きさなどを実感する。 -漁業協同組合青年部の人たちに実際の道具を使ってたこの獲り方を演じてもら い,魚、を獲る難しさや楽しさに気付く。 -根室で¥ー番獲れる魚、,漁師さんの仕事などの説明を聞き,地域への愛着を持つ。. 7 . 8 / 1 4. -今までの学習の振り返りをする。 -絵,紙芝居,クイズなど自分の表現の仕方で,魚、学習のまとめ(作品作り)をする。 -自分の作品を 3分程度で発表したり,友だちの発表を聞いたりして,互いのよさ を認め合い,魚学習全体の振り返りをする。. 9~13/14. 1 4 / 1 4. 述されている内容からカテゴリーを形成し,カテ. 2 2 4 例)である。こ しさんのおしごとをしろう J (. ゴリーごとにカウントして示した。なお,内容に. の小単元では,漁業協同組合青年部の人たちをゲ. は記述した児童の数を入れた。どのような学習内. ストティーチャーに迎え,生きているたこに触っ. 3つの授業の目標が. たり,たこの獲り方を見たり,たこのオスとメス. 容に興味・関心を持ったか,. 達成されたかなどを検討した。. の違いや根室で一番獲れる魚や魚、を獲る苦労や楽 しさなどの話を聞いたりした活動を学習内容とし て取り上げていた。. 3 . 結果と考察. 中でも最も多かった記述内容は,「たこのオス. 1)児童の興味・関心. 4 0名)であった。そ とメスの違いがわかった J (. 表 2は,小単元ごとの児童の感想、をまとめたも. 2 1名 ) , 1 " た の他「たこの体の特徴がわかった J (. のである。表 2が示すように,児童の記述が最も. 1 3名人「たこはすみを こはぬるぬるしている J (. 多かった単元は,. 4 0 4. 7.8時間目に行った「りょう. 吐く. J( 13名)など魚の構造に関する記述が多かっ.

(6) 魚介類を教材とした食教育の実践. 表 2 小単元ごとの児童の感想 ( n= 7 8 ) 小単元. 1.ねむろのあきを見つけよう (1時間目的例) (2時間日 5 1例). 内. いろいろな種類の魚がいる ( 2 3 ) 新しい魚の名前を覚えた ( 1 3 ) 魚の勉強が楽しい ( 1 0 ) 魚のことがわかった ( 9 ). 行ぞ,. 合. 魚の勉強は楽しい ( 1 3 ) 魚をつりたい ( 9 ). いろんな魚料理がわかった ( 1 0 ) よく魚(さんま)を食べます ( 8 ). 2 . きゅうしょくのひみつをし ろう (173例). 給食の魚料理を食べると頭がよくなる ( 5 4 ) 給食を全部残さず食べる (41) 給食を食べると健康になる ( 2 6 ) 給食を食べると血をつくる ( 2 3 ) 給食は体をつくる ( 2 2 ) 給食は骨をつくる(17 ) 給食をがんばって食べる(16 ). 3 . ピックの大ぼうけん さか なのへんしん 魚の構造. お魚が料理に変身したところがおもしろかった ( 2 5 ) ピックがお母さんの言うことを聞かなかったところがおもしろい ( 2 1 ) 魚はいろいろな料理に変身できる (19) 根室でー香取れる魚は何だろう (11). ( 8 2例). 4. ねむろでうっているさかな をしろう(152例). さけのしっぽから卵が産まれる ( 2 6 ) なぜ魚が太らないかわかった ( 2 2 ) 魚が市場にいっぱいいた ( 2 1 ) さけの体がわかった ( 2 1 ) 魚を見て食べたくなった ( 1 2 ) 魚を見てうれしかった ( 1 1 ) 大人になったら,市場で働きたい ( 8 ). 5 . りょうしさんのおしごとを しろう (224例). たこのオスとメスの違いがわかった ( 4 0 ) 漁師さんは朝 3時に起きて働くのはすごい ( 3 6 ) たこが箱から出てきてびっくりした ( 3 0 ) たこを見られてうれしい ( 2 8 ) たこの体の特徴がわかった ( 2 1 ) 魚の獲り方はいろいろある ( 2 1 ) 魚を獲るあみはでかい ( 2 0 ) たこはぬるぬるしている ( 1 3 ) たこはすみを吐く ( 13 ). ※ ( )は人数を示す。. た。根室に育った児童のほとんどはたこを食べた. ながると思われる。地域への愛着を育てるために. 経験があると思われるが,実際に生きている状態. も地域で働く人や施設を取り上げることは重要で. を見ることは初めてだ、った児童も多かったのでは. あることカ王わかる。. ないだろうか。生きている大だこに直接触れる体. 次に,児童の記述で 2番目に多かった単元は,. 験を通して,「自分がいつも食べているたこはメ. 3時間目に行った「きゅうしょくのひみつをしろ. スとオスの違いがあり,それぞれこんな構造をし. うJ (173例)であった。中でも最も多かった記述. ていたのか」ということを,実感を伴って知り,. 内容は,「給食の魚料理を食べると頭がよくなる」. それがこうした記述に繋がったのだと考えられ. (54名)であった。その他「給食を食べると健康. る。魚を知るためには,生きている魚のまるごと. になる J(26名 ) , i給食を食べると血をつくる J(23. の状態を見たり触れたりする体験活動が必要で、あ. 名人「給食は体をつくる J ( 2 2名)など給食の魚. ることカ王このことカミらもわカミる。. 料理と健康との関係についての記述が多かった。. また,「漁師さんは朝 3時に起きて働くのはす. この単元は,栄養教諭が行った授業であり,地域. ご 、 い J (36名)が示すように,漁師さんの仕事ぶ. で獲れた魚が食材として給食の献立に使われてい. りに感動した児童も多かった。漁師さんの苦労が. ること,さらに 3色の食品の分類から魚、の栄養に. あるからこそ,自分たちがおいしい魚を食べるこ. ついて説明し,魚料理や給食を食べることが健康. とができるということを子どもたちは知ることが. につながることを学ぶ,いわゆる座学である。体. できた。そして,このことは地域への愛着にもつ. 験的な活動もなく,. 1年生にとってはとても難し. 4 0 5.

(7) 土 岐 圭1 , ( ;. 佐 藤 裕 f -.I 尚田みゆき. い内容であったにもかかわらず,多くの児童が学. たりする体験活動であった。この活動を通して,. 習内容に興味を持って,感想、を数多く記述したこ. 魚を知ったり,魚、をとる漁師さんに愛着を示した. とは意外であった。たとえ座学であっても,子ど. りすることができた。その他,給食の魚料理と健. もが初めて知り,大切だと実感できる内容であれ. 康との関係について学ぶ栄養に関する学習につい. ば,興味を持って学習できることがわかった。ま. ても児童は興味を示した。この学習を通して,魚、. た,栄養に関する学習は,本来小学校 5年生から. の良さを実感したり,魚を食べる意欲を持ったり. 家庭科の授業で行われている。しかし,今回の授. することができた。. 業を通して,小学校 1年生であっても興味を持っ て学習できることがわかった。志垣他4)や鈴木 5). 2)授業の目標に対する評価 前述したように,授業の目標を 3つ設定した。. の研究から,小学校低学年から魚介類の好き嫌い. それぞれについて評価することとする。. が現れることを考え合わせるならば,栄養に関す る学習は小学校低学年から可能であるし,必要で. ①. あると考える。つまり魚介類を教材とした食教育. 「学校給食と地域の食材とのかかわりに気付き,. を行うには小学校低学年が適切な時期であると言. 学校給食への関心を高める」については,表 2の. える。. 小単元ごとの児童の感想で 2番目に多く,学校給. 4 1名 ) , また,「給食を全部残さず、食べる J (. i給. 学校給食への関心を高める. 食に出る魚料理を食べることが健康につながるこ. 食をがんばって食べる J ( 16 名)が示すように,. とが理解できたこと,給食を残さず食べようとい. 給食を食べることの意欲について記述した児童も. う意欲を持ったことからも学校給食への関心を高. 多かった。これらの記述から,学校給食への関心. めることカ王できたと評佃i できる。 ②. も高めることができたと考える。つまり,授業の 目標の 1つでもある「学校給食と地域の食材との. 地域への愛着. 「地域の特産物である魚を通して,食べ物の大. かかわりに気付き,学校給食への関心を高める」. 切さを感じると共に地域への愛着を持つ」につい. は,この学習を通して達成されたと考えることが. ては,地域の特産物である魚を知ることができた. できる。また,中には「魚を学校でも家でもいっ. か,魚、を大切に思えたか,地域の施設やそこで働. ぱい食べる J,i給食に魚をいっぱい出してほしい」. く人に関心が持てたかなどが評価の観点として考. などの記述もあり,学校給食の魚料理の良さ,つ. えられる。 2 3名人 表 2では,「いろいろな種類の魚がいる J(. まり魚の良さについても実感でき,家庭でも魚料. 13 名 ) , 「新しい魚の名前を覚えた J (. 理を食べようとする意欲がうかがえた。自分の食. i魚のこと. 生活について見直している。このことから,もう. がわかった J ( 9名)などが挙げられていること. 一つの授業の目標である「魚の良さを実感し,自. から,地域の特産物である魚についていろいろ. 分の食生活を見直そうとする」についても,この. 長日ったことがうかがえる。実際,. 学習を通して達成されたと思われる。. 5, 6時間目の授業終了後に魚、の名前を書かせた. 1, 2時間目と. 以上のように,児童が最も興味を示した学習内. が,表 3が示すようにどのクラスの総数も種類数. 容は生きている魚、のまるごとの状態を見たり触れ. も格段に増えていることがわかる。また,表 2か. 表 3 知っている魚の名前 組. 全体. 側一附一m. 醐一日一却. 3組. 縦一回一出. 醐一日一口. 鰍一品一加. 醐一ロ一部. 406. 側一的一叩. 5, 6時間目. 醐一日一幻. l 2時間目. 2組.

(8) 魚介類を教材とした食教育の実践. ら「たこのオスとメスの違いがわかった J ( 4 0 名),. あるいは「昨日,かじかを全部食べた」など,魚. 2 6名人「さ 「さけのしっぽから卵が産まれる J (. 料理を学校でも家庭でも食べたことを話すそうで. 2 1名 ) , けの体がわかった J (. Iたこの体の特徴が. 2 1名)など,多くの児童が魚の構造 わかった J (. ある。 このように,子どもたちは魚の良さを理解し,. についても興味を示していた。魚の名前や構造に. 以前はそれほど好きで、はなかった魚料理を食べよ. 也,「根 ついて詳しくなったことカtわかる。この f. うという意欲がうかがえ,「魚の良さを実感し,. 室で一番取れる魚、は何だろう J ( 1 1名)という疑. 自分の食生活を見直そうとする」という目標につ. 問をもった児童もいた。また, 9~13 時間目に行っ. いても達成されていると考えられる。. た学習のまとめで,根室の魚、に関するクイズを. 0名目、上いた。根室の魚を大切に思 作った児童が 1 う気持ちゃ根室という地域への愛着から,こうし た疑問が出たり,クイズにしようという意欲が出. 4 . まとめ 学校給食を教材として取り上げる,栄養教諭と の連携を図る,地域の人材や施設を活用する,五. てきたのではないかと思われる。 表 2から,「漁師さんは朝 3時に起きて働くの. 感を使って食材を知る,特にまるごとの魚に触れ. 3 6名人「魚、が市場にいっぱいいた J ( 2 1 はすごい J (. るなどの活動を取り入れて魚介類を教材とした小. 名 ) ,. I大人になったら,市場で働きたい J. (8名). 学校低学年における食教育プログラムを開発し た。結果は,以下の通りである。. 見られた。その他,学習のまとめで大きくなって. -最も興味を示した学習内容は生きている魚のま. 漁師や魚屋さんになった自分を絵本にまとめた児. るごとの状態を見たり触れたりする体験活動で. 童もいた。地域の施設や働く人に対する児童の愛. あり,この体験活動を通して,魚の良さを実感. 着が垣間見られた。. し,魚をとる漁師さんに愛着を示すことができ. 。. このように,地域の特産物である魚を知ること. た. など,地域の施設やそこで働く人に関する記述が. ができたか,魚を大切に思えたか,地域の施設や. -学校給食の献立を教材として取り上げる,栄養. そこで働く人に関心が持てたかという観点につい. 教諭と連携して授業を進めることで,給食の魚. ては,多くの児童が感想を持つことができた。「地. 料理と健康との関係について学ぶことができ,. 域の特産物である魚を通して,食べ物の大切さを. 学校給食への関心を高めるとともに,魚の良さ. 感じると共に地域への愛着を持つ」という目標に. を実感したり,魚を食べる意欲を持ったりする. ついても,達成できたと評価できる。. ことができた。. ③. 自分の食生活を見直す. 4 1名人 表 2から,「給食を全部残さず、食べる J (. 「給食をがんばって食べる J ( 16名)のように, 給食特に魚料理を食べることで,自分の食生活を. -地域の特産物である魚に関係する人や施設とか かわりを持たせることで,魚、の大切さを感じる こと,地域への愛着を持つことができるように なった。. 見直そうとする児童が見られた。また,学習のま とめでは,魚料理を作る私,給食に出てくる魚料. 以上のように,小学校低学年において,魚介類. 理などを絵本にしたり,魚料理のクイズを作った. を教材とした食教育に関する授業の実践を行った. りした児童もいた。 魚料理の良さをアピールした. ところ,魚の良さを実感させたり,魚を食べる意. り,魚を食べることの大切さを述べていたりした。. 欲を持たせたりすることができた。低学年におい. さらに,授業から 1年経った今でも,子どもた. ても,魚介類を教材とした食教育を行うことが可. ちは,給食の魚料理を見ては「これさけだ。おい. 能であることがわかった。従来であれば,食教育. しいよね J, I先生,さんまだね。全部食べるよ」. は家庭科で高学年から行われてきたが,食べ物の. 4 0 7.

(9) 土 岐 圭1 , ( ;. 佐 藤 裕 f -.I 尚田みゆき. 好き嫌いが小学校低学年で決まる状況,食教育が. 文 部 省 研 究 開 発 学 校 新 設 教 科 お よ び 英 同 “ Health. 低学年でも可能であることを考え併せるならば,. E d u c a t i o n ' " からの検討.. 低学年から始めるべきであると言える。ただし, 高学年で行う家庭科とは,学習内容を変える必要 があるだろう。今回の食育プログラムの中で,最 も児童が興味を持った活動は,魚のまるごとの状 態を見たり触れたりする体験活動であった。食材. H本教科教育学会誌,. 2 0 0 5,. vol .2 0, no4, p .9 ー1 5 5)文部科学省.学校における食育の推進・学校給食の 充実,. http://www . m e x . t g o . j p / a_ m e n u / s p o r t s / s y o k u i k u l. x .htm i n d e 6)飯田真希,横山真智子,夫馬佳代子.子どもの五感 を生かした食教育の実践.岐阜大学教育学部研究報告 教育実践研究, 2 0 1 1, vol .1 3, p .9 9 1 0 7. の栄養価や調理の仕方を学ぶ以前に,低学年に. 7)河村美穂,高島彩.保育園児を対象とした食教育プ. とっては,食材そのものを知ることが大切である。. ログラムに関する実践的研究.埼王大学教育宇部附属. 五感を通して,食材を知ることが,食べ物の良さ. 教育実践総合センター紀要, 2 0 0 8, vol .7 ,p .2 6 9 2 7 7 8) 本田真美,高 1 1 1悦子. を知る最も重要な活動を言える。. I魚の循環(まるごと魚)と食. 育」の試み.日常的な水産物の摂食とその効果に関す. 次に,魚介類を教材に取り上げることについて. る食正目態学的研究. 最終報告書, 2 0 0 7, p.18-25. 考えてみると,魚介類は高学年であっても小学生 にとっては難しい教材である。米や野菜のように,. (土岐圭佑鎌ヶ谷小学校). 自分たちで栽培したり,調理をしたりすることが. (佐藤裕子北斗小学校). できないからである。そのため,魚介類を教材に. (岡田みゆき. 取り上げた授業実践例は非常に少ない。しかしな がら,作る,食べるという活動が無くても,給食 を教材に取り上げたり,地域の施設や人々を活用 したりすることで,魚、をより j 呆く知ることができ る。そして魚を知ることが食べることに繋がるこ ともわかった。栽培や調理を含まない食教育プロ グラムの一つの方法として提案したが,今後は低 学年でも可能な調理を加えて食教育プログラムを 提案したい。 魚、離れが深刻化しているだけに,魚 介類を教材に取り上げた授業実践は今後ますます 重要になっていく。児童にとってより意味のある 教材にするために,研究を進めたい。. 引用文献 1)中井久純,勝野真吾,北 1 1 1敏和.学童期の小児の健 康実態に関する疫学的研究:農村地域中学生の身体発 育度と脂質摂取量について.神戸同際大学紀要, 1 9 9 7,. vol .5 3, p. 1 2 7 1 3 9 2)財団法人東京水産振興会.日常的な水産物の摂食と その効果に閲する食生態学的耐究. 最終報告書, 2 0 0 7,. p.1-9 3) 志垣瞳,池内ますみ,小西冨美子,花崎憲子.大学 生の魚介類暗好と食生活.日本調理科学会誌, 2 0 0 4,. vo1 .3 7, no.2, p.206-214 4) 鈴木洋子.小字校低学年からの食生活学習の構想:. 4 0 8. 旭川校教授).

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