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『首書源氏物語 須磨』の頭注の翻刻と小考察 (上) : 山陵参拝と『白氏文集』の諷諭詩

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(1)Title. 『首書源氏物語 須磨』の頭注の翻刻と小考察 (上) : 山陵参拝と『白氏 文集』の諷諭詩. Author(s). 中島, 和歌子. Citation. 札幌国語研究, 5: 1-20. Issue Date. 2000. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2630. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである。. Hokkaido University of Education.

(2) の諷諭詩. ホ、抄出された諸注釈書、﹃河海抄﹄. 島. 和 歌 子. ﹃花鳥余情﹄. ¶弄花抄﹄. 示した。 ハ、漢字は全て新字体を用いた。異体字や俗字の場合も、現 行の字体に換えた。 こ、湊字の踊り字は、本が﹁く﹂の場合はそのままにした。 一方、﹁々﹂と翻刻した箇所は全て本は﹁≧﹂である。. ロ、丁数と表・裏を、ゴシック体の算用数字と﹁オ・ウ﹂で. 切らず下まで続けているので、改行箇所を﹁/﹂で示した。. 中. ﹃首書源氏物語 須磨﹄の頭注の翻刻と小考察︵上︶ 山陵参拝と﹃自民文集﹄. はじめに 本稿は、一竿斎︵栓永貞徳もしくはその門人か川︶著、寛永 十七年︵一大四〇︶六月蚊、寛文十三年︵一六七三︶二月刊の﹃首. 書源氏物語L︵以下盲音源氏Lとする︶の須磨巻前半仰の首 書︵かしらがき、一面の上半分の頭注部分︶及び傍注︵後継者 である﹃湖月抄﹂に比べると非常に少ない︶を翻刻したもので ある。下段の本文︵青表紙本系統︶は省略した㈱。テキスト. 須磨﹄︵和泉書院、一九九四年、補注・解. 号︵漢字一字か二字︶には、︻. ︼を付した。. へ、傍注は*印を付し、本文の被注箇所︵注の左横︶を抜き出. りも上から抜.き出した場合は、その部分を︵. ︶で括った。. 本文の下の︵ ︶は、下段における行数である。 ておく。 翻側に当たっては、以下の通りとした。 ﹁﹃首音源氏物語須磨﹄前半の頭注の翻刻 イ、改行箇所は本のままとした。見返しのみ一面を半分に区. 盲音源氏Lそのものについての考察ではないことをお断りし. しが て、 見出しとし、頭注の間に挿入した。本文を傍注の左横よ また、その範囲内の解釈上の問題点に関する管見を付した. 説付き︶を用 い た 。. 編 盲 音 源 氏物語. には、大阪女子大学附属図書館蔵本の影印である、坂本信道感 氏流抄し ﹃孟津抄﹄ ﹃紹巴抄﹄ ﹃万水一路﹄ ﹃或抄. 1.

(3) 光源氏鶉居此浦改名之/. ○︻河︼第九巻名松嶋やあまのとまやもいかならんすまの浦人 しほたる、比 ○︻花︼以歌井詞為巻名源氏廿五歳三月廿余日に須磨の浦に隠 居し給あくる年廿六歳の事まて/此巻に見ゝスたり/. ○︻細︼源氏廿五歳の三月より次年の三月辺まての専有廿四歳 の秋より廿五歳の春まての事物語に/見えす此内に源氏の除 名の事なと有へし榊巻の未の弘徽殿の造意より連流有へき定 なともあり/けるにやさやうの所をおほしてみつから須磨へ ︻細︼世間物むつかしきと也. うつろひ給なるへし物語のかきさま妙也﹂見返し ○世中いとわつらはしく. ︻弄︼源氏を連流可有なと定め有けるにや遠国なとに 一万水︼連流の沙汰ありとも折角其きは. うつり給はん事をおほしてみつから須まにくたり給也 ○せめてしらすかほ. を不知かほしてあらんかと也されともすまよりもまさる遠 国なとへつかはされてはいかゝと思より給てすまの浦に定給也 ○かのすまは ︻細︼行平卿すまに有てもしほたれし事又周 公旦管臥覧肌の建言によりて東征せし事をとり合て 又菅丞相高明公なとの左遷の事をかたとれり人独 をさしてはかゝさる也五大所成して一身となり草木を 生するかことし凡此巻は行平を本としてかけりその ︻弄︼同之. ゆへは行平は我と蟄居したる人也今の源氏もみつから ︻河︼. 籠居あるへしと也 ︻河︼ ︻花︼ ヒタ、ク 叩放時の心也. ○ひたゝけ. ︻花︼叩は人のしけくかまひすしき心也. ○さりとて都を ︻細︼須磨は都よりのほとも不近不 達よきほと也. ○人わろくそ ︻或抄︼源氏の今の身にて隠居の地を. 定めかね袷事ほ人きゝわろきと也源氏の今の御心. をしはかるへしこゝもと皆源氏の心也﹂−オ. ○うき物と思ひ ︻万水︼連々うき世とは心にすて果給へと. 今はのきはには捨かたきとの心なるへし. ︻或抄︼かなしき事さま︿の中に紫上. ○姫君の ︻万水︼紫上の左遷の事を明暮なげき給と也 ○なに事にも. のなげきを見給源氏心すくれて京なると也. ○なを一日二日 ︻戎抄︼源氏の忍ひありきなとの折節. 紫上と一両日もへたて給へはたかひに心ほそう心もとな. く恩給に此度の別はいつめくりあひ給はんとの阻. 1ウ. ︻河︼古今我こひはゆくゑもしらすはて. もなけれはかなしきと也﹂. ○あふをかきりに. もなしあふをかきりと思ふはかりそ ○やかてわかるへき ︻河︼古今かりそめのゆきかひちとそ思. こしいまはかきりのかとて也けり. ︻弄︼源氏の心につゐの別にもやと思ひ給へる也. ○忍ひてもろともに ︻或抄︼紫上を忍ひていさなひ 給はんかと恩給也. ○かくら、γたき ︻戎抄︼紫上の事也紫上を引具し. 給たらは却而源氏の物思ひなるへしと也. 2.

(4) ○物思ひのつま. ︻戎抄︼物思ひをもよほすたよりと也﹂2オ. ︻万水︼後の世の道にもをくれすはと也. ︻或抄︼紫上のあらはにはの給はねとも. ○ い み し からん道 ○ お も む けて さ や う に恩給たる体にてうらめ し く 恩 給 也 ︻細︼最も一筋に源氏を頼給人也 ︻或抄︼紫上花散里なとのことくには. ︻或抄︼源氏のはごくみ給人也. ○ か の 花 敬呈にも ○ こ の 御 かけ ○ な を さ りにても. ︵ママ︶. ︻細︼藤壷の事也愛に始て人道上云也. なく大かたに源氏の見給たる人くもなけくよし也 ○入道の宮 ︻河︼男女に不限仏法の道に入を哲人道と号する也﹂2ウ. 藤原連子三条関白頼息女円融院后天録四年三月十 九 日 落 飾世号入道宮云々 ○物のきこえや ︻或抄︼今時分源氏へいひかよひ給 をは弘徽殿かたよりさまくにいひたつれは藤つほの 御ためいか、とは息ひ給へともそれをもかへり見す御と ふ ら ひ ある也 ○むかしかやうに ︻万水︼源氏のいに㌧へ重宝に心をかけ給 時かやうに御ねんころならはいか︰つれしからんとむかし つれなかりしもつらく又今かやうに念比なるもかたくに. 〇 いとかすかに. ○さるへき所く. ︻或抄︼源氏のかよひ給所くなるへし. ○そのおりの ︻細︼草子地也. ︻或抄︼河海に紫式部は西宮左肘の恩人なるゆへに如此 いへると云々源氏をは左府に比し紫上をは式部か我身に. なすらへかけりといへり此義時代相違せりたゝ草子. の地と見るへき也 ○世にかくれて ︻細︼夜と世と二義也夜の義よき也. ○おほいとの ︻紳︼致仕のおとゝ也. ○あしろ車の ︻河︼網代車 栄花物語云あしろ車. にてとのにかへり給ぬ帥内大臣左遷の時分の事也. ○女車のやうにて ︻戎抄︼深く忍ひ給さま也源氏の むかしを思へは今の御ありさまは夢と也. ○御かたいと ︻細︼奏上の御方也 ︻或抄︼葵上ましまさねは物さひしくあれたるやう に思はるゝと也. ︻或抄︼局住なとしてある人く源氏の. ○わか君の ︻或抄︼夕霧の乳母とも也L3ウ ○昔さふらひし人の ︻或抄︼葵上の女房たちちりくに成 しかとも又ゆきちらすしてゐる人くも数多有也 ○まうのほり. ○久しきほとに. ︻細︼源氏の詞也. 御渡りをめつらしかりてまうのほりあつまりたる也 心 を つ くすちきけそと也 ○世の常なさ ︻或抄︼源氏のおとろへを見て無常 〇三月廿余日 ︻花︼西宮左大臣安和二年三月廿六日 の世を戟してかなしむ也 左遷太宰府云々L3オ ︻細︼かやうにはいへともおくに出給事は○ 有わか君は ︻万水︼夕霧五泉なるへし 二一. 也 此 筆 法あまた所にあり心をつ く へ し. −3.

(5) ︻或抄︼葵上のおはしましたる方へ. ︻万水︼源氏の 御 涙 也. *久しきほどに ︵9行目︶源氏詞. ○ 忍 ひ か たけ也 ○ お と ゝ こなたに ︻細︼左大臣詞源氏の除名せられて出﹂1オ. 左 大 臣 殿わたり捨て源氏に御対 面 也 ○つれ︿と 仕 な き なるへし. 更に西より出阿礼那礼河のさかさまになかれ川の石. のほりて星とならさらんかきりは御調物を退転せしと. いへる事あり是曹有ましき事のたとへ也あれなれ河. ︻河︼過怠の心也慨怠の義にはあらす. ︵5行目︶源氏詞. ︻細︼源氏の詞たゝ前業と也. はしらきの国に有川の名也 ○とある事も *とあることも. ○をこたり. と云事也出身より此かた成来れる官位を悉のそ. ︻細︼官を返し た る 也. ︻河︼放任は辞官不辞位云々位階を止は罪科の時の義 レレレ 也今位を返とある如何 史記秦本紀第五注日如薄日. きて無位の人になる事を云源氏も除名せられしに. ○ 位 を も かへし. 嘗有爵而以罪奪爵以皆称士位といへり但唐朝. よりて無紋の直衣をき給と見えたり配流の人をは. 左遷の例を用たる也. 必まつ除名する事也除名はかりにて流罪せられぬ. ︻花︼司なととらる、とは除名. には位を辞する革も有欺見貞観政要戎又つかさを. 事もありそれは罪の軽重による事也源氏の除名は. ○さしてかくくはんさくを. も位と云事可有大臣をも台位星階と云和語には 星の位なとも云也不審不可有貞続政要をひけり略之 ︻花︼蟄居せる人の外へ出ありくをは腰をの. ○あさはかなる. ○ こ し の へて. すと云也左の大臣致世の表を奉て隠居の由を申な. *かしこまり︵11行目︶勅勘の心也. ○うつしさまにて. ︻孟︼除名はかりのさへと云心也. から私には又ありくといはれん物の聞えを惇心なり. ︻孟︼異朝にもすると也. ○是より大きなる. ︻万水︼一段の罪の事也. ︻万水︼配流の沙汰あれともわかに. ︻戎抄︼除名さへあるを連流なとに. こらぬまゝにき、過さんは御門への悼と也. ○にこり塞き心に. ○さまことなる. むる也大かた配所もさたまると也. ︻花︼よの常さまの心也L5オ. 河 海 の 義あやまれるにや. ○人の国にも. ︻細︼河海に退休と有花鳥. に 破 之 然共河港の説も可然欺 ︻巴抄︼早速也無遠慮心か. ︻細︼除名せられてさて配所を定. ︻河︼最強. ○とをくはなち. ○ い ち は やき. ︻戎抄︼源氏の世のおとろへの事也 ︻河︼寿則多辱荘子﹂4ウ. ︻花︼うつほの物語あめの下をさかさまに. ○ か 、 る 御事を ○ 命 な か きは ○ 天 の し たを. なすともかゝる事はあらしと思へと云々又日本紀に神 功皇后三韓を征し給時新羅王の誓の詞に東の日. 4.

(6) あ ひ て はと也 ○ 世 を の かれ ︻或抄︼須磨へ隠 居 の 事 也 ○むかしの御物語 ︻或抄︼左大臣との、御物語也 ︻戎抄︼左大臣との落涙し給也﹂5ウ. ︻細︼故院の源氏を大切にし給ひし事をいひ出給也 ○御なをしの. ○されといひ出る ︻細︼世にいひ出てこそ進退を定. め給へき事なるをそれよりさきにはいかゝと也. ︻戎抄︼一義蔑言も人のいひ出る事ありてこそと也. 源氏の科は何といふ事もしれぬ也さるによりと さまかうさまに分別しかたきと也. ○いとしろき. ︻万永︼縁のかうらんのすみ也. ︻万水︼落花の残たるさま也﹂7オ. ○物も聞えす. ︻或抄︼中納言君御返答もえ申さぬ也﹂7ウ. ︻細︼源氏詞也 ○又たいめん ○かゝりける世を ︻戎抄︼如此走なき世を常住の やうに思ひしと也 ○きしもいそかて ︻或抄︼心長く思て大かたにかたら ひ給し事今はくやしきと也. ○すみの間の. ○あり明の月. ○是によりときり ︻細︼草子地也 ︻孟︼中納言君ゆへにとまり給也 ︻細二二月未の景気類なし. *人しれずあはれと︵6行目︶源氏心. ︻花︼いはんとすれはえいはぬと云心也. さはかれて心ひとつになけく比哉伊勢物語. ○いへはえに ︻河︼いへはえに深くかなしき笛竹のよこゑ やたれと、ふ人も哉具平いへはえにいはねはむねに. 〇三位中将 ︻孟︼.頭中将也﹂6ウ ○ 君 も ︻万水︼源氏の事也 ○いみしとおほし ︻万水︼おとゝとの夕霧を御らんしての心也 ○人よりはけに ︻或抄︼けは勝字也 ○中納言君 ︻細︼葵上の女房也 ︻或抄︼源氏恩人也. ︻弄︼左大臣詞也. ︻或抄︼葵上在世ならは源氏のおとろ. ︻ 或 抄︼源氏の心也 ○ 過 侍 に し人を ︻花︼英上の事 也. ○此御事に へ 盲 ふ かくなけき給はんと也 ○ よ く そ みしかくて ︻細︼奇特 な る 詞 也 ○おさなく物し ︻細︼夕霧也祖父祖母の中に生 出給へきと也﹂6オ ○なつさひきこえぬ ︻細︼.源氏に夕霧のなれ給. ︻弄︼源氏をたすけたる心と云々. ま し き をかなしきと也 ○ い に し への人も. ︻戎抄︼まことに罪あるにあらす. ︻ 細 ︼聖廟なと也蔑言の事也 ○おかしあるにて ︻万水︼罪有也それもこれほとには つ み に あたらぬと也. 読 言 に てと也 ○ さ る べ きにて ︻或抄︼前葉の 事 也 ○人のみかとにも ︻万水︼此類不可勝計上に周公旦 の事あり. 5.

(7) ︻細︼大宮 よ り 也. ︻細︼是より宮よ り の 詞 也. ○ み や の おまへより ○ み つ か らも. ︻細. ︻万水︼なみたの 事 を い へ り. ︻戎抄︼対面ありて直におほせられたけれとも也 ○ か き く らす ○ い と よ ふかく ○さまかはり ︻細︼英上の在世にはかはりたると也 ○心くるしき人 ︻花︼夕霧の事也いきたなきとは 若き人のつよくぬるを云也ねきたなきと云詞也 ︻ 細 ︼夕鼻にいとまこひをし 給 へ か し と 也 ○ う ち な き ︻孟︼源氏也 ○鳥へ山歌 源氏也 ︻花︼鳥部山の燻は葵上の事也. ︻細︼宰相君 に の 給 也. ︻万水︼大宮の御便の御返事ともなく. ︻細︼杏特なる取合也葵上をしたひたるさま也たゝいま す ま に 思ひたつよし也 ○ 御 か へ りとも との心也 ○ あ か つ きの別は. ︻花︼文選江文通別賦云寺然錆魂者唯別而巳臭 レ. ︻万水︼. いつも別はうき. ︻戎抄︼心つくしなる暁の別に. *あかつきのわかれは ︵12行目︶源氏詞﹂8オ. ○ 思 ひ し り給へる人も. ︻細︼宰相君詞也. あひたる人もあらんと宰相君にいひかけ給也 ○ い つ と なく. 物 な れ と今朝は猶たくひなきと の 心 也 ︻戎抄︼生別死別ともにうき物なれは所詮別と云 文 字 こ そうけれと也. ○はなこゑ. ︻細︼大宮への御返事也. ︻或抄︼涙は鼻へ出るものなれはなく. 時は鼻声なる也 ○聞えさせまほしき. ∴万水l返々申たき事あれとえ申さて涙にむせ. ひたる心のほとを御推量あれと也. ︻河︼虎狼荘子仁なきものは虎狼に. ○いきたなき人.︻或抄︼是も夕霧の事也L8ウ ○とらおほかみ. 過たるものなしそれたに衷知ぬへきと云也仏浬渠. の時は虎狼も人を舐てかなしふといへり. ︻花︼一本には鬼神とあり心は同しき也おそろしきも のも本心をうしなふ心也. ︻細︼源氏を元服の初より見奉. ︻万水︼彼式部か其時御返事あると. ︻細︼なそらへなき也. ○ましていはけなく りし人たち也 ○たとしへなき ○まことやかの. ︻弄︼此返歌おもしろくよみ給へり源. きゝしはまことかと也 ○なき人の歌. 氏の歌に引かへたり. ︻或抄︼葵上の別と源氏の別と. ︻細︼都の内を出給ほゝ猶なき人の煉は可陶物をと也 ○とりそへて真のみ. ︻万水︼. いまくしき也なき人の別を. の事也一義別のかなしきに此歌の衷をそふる也 ○ゆゝしきまで. ︻弄︼二条院也. おしむやうなると也﹂9オ ○とのにおはし. 6.

(8) ︻弄︼殿上也. ︻万水︼東のたい也. ○さふらひには. ︻或抄︼われくか里にゆきて親類. ○わか御方. ○ わ た く しの 朋友なとに名残惜をするゆへに二条院の殿上に ︻戎抄︼源氏の家来ならぬ人なり. 人もなしと也 ○さらぬ人は. ︻或抄︼世間の人の心の時にした. ︻孟︼門前零落鞍馬稀. こきてんかたよりつよきとかめあれはとふらひま いる人もなき也 ○馬車のかたもなく ○世はうき物也けり ︻花︼台盤は殿上にあり久しく用ひ. かひてなひきやすきありさまを恩給也L9ウ ○台盤なと られぬほとにちりはみたる也 塵にうつもれたる心にいへり一説散く ︻万水︼たゝみ. あれわたる秋の. になりたる心ともいへり ○た、み所く. ︻或抄︼花鳥 ︵ママ︶. なとあけてをくさま也 ︻細︼俊成卿歌に. ならんとの心也 ○さしもあるましき. ︻細︼平生はかやうの事には. ︻細︼源氏紫上へ申絵詞也. 御心もとまるましきをと京なる也﹂柑オ. ○よへはしかく. ︻万水︼. いまた京にあるとき. いつもの忍ひありきの. ︻万水︼とやかうやしてとの心也 ○れいの思はすなる. ︻万水︼. やうに紫上の思ひ給はんとの心也 ○かくて侍るほとたに たにめかれしと思と也. ○ひたやこもり′ ︻細︼無意趣也. ︻或抄︼直隠とも書ゆへもなくこもるを云也お. もふ心ををしこめてをく心に用詞也. ○かゝる世を・︻細︼紫上の詞也例のおもはすなる. さまにやとあるをうけでの詞也かやうの事の. ︻或抄︼もとよりをろかに息ひ成. ︻孟︼祖母そたち也父宮にはおほし. 出来ぬる外に思はすなる事は何事かはとの給也﹂柑り ○父みこはいと. つかさりしとにや. 給といふ心欺又の義父みこはをろかにて源氏に. ○見かほとたに. 磨こそ哀なれまして鞘なん箆の夕暮とよめ. ︻盟源氏のかたにましますをも. ︻戎抄︼紫上裳着の時より父宮にしられ給たる也. しられすして可有ものをと恩給也. ○中/\しられ. ゆへに御たつねもなきを紫上はかなしく恩給也. ︻細︼紫上の父宮は人めを俸給. もとよりおほしつきたると云事欺諸抄不分明也. ︻或抄︼よるの衣装の姿也. ○まして世の聞えを. るも此心と見えたり ︻細︼紫上の方也. ︻或抄︼御寝ならさるさま也. ○にしのたいに ○みかうしも ○とのゐすかた. ︻万水︼こゝにえ堪忍せすちりくに. すのこはえん也 ○ありはてゞや. 7.

(9) ○まゝ母の北方. ︻或抄︼兵部卿の本の北方は紫上のた ︻細︼かたくとは祖母又母上にもはや. めには継母也心あしき人也 ○思ふ人かた′∼に く別給ひ今源氏にあひ奉てかきりなき幸を 得給と思しに又ほとなく別給と継母の心に聯. ︻花︼説同 之. ︻戎抄︼紫上の御事をいへり源氏. ︻或抄︼紫上の御方より父宮へ不. ︻或抄︼継母のかけことを紫上聞給也﹂‖オ. に く く といひ給也 ○さるたより ○是よりもたえて 通し給たる也 ○けにそ衷なる. いかならん. ︻細︼源氏の詞たゝ今紫上を相異し. に別れ給へはひとり身になり給事を云也 ○なを世に ︻或抄︼隠者の住所を云也. 給はさるよしをことはり給也 ○岩ほの中. ︻弄︼本説如何一勘本説. 岩ほの中にすまはかは世のうき事の聞えこさらん ○あきらかなる月日の. 〓. 未考也意は無相違也遵天意とは日月の照. 覧 も 可 恐由也. ○ひたをもむきに. ○さるへきにこそ. ︻細︼又是よりまさりていかなる. ︻万水︼かたむきにとは云心也. ︻万水︼前世の事にこそと也﹂〓ウ. ︻或抄︼天子を日月にたとふる也. ○たちまさる事も. 事もか出来ぬへきと也 ︻巴抄︼伊周公はりまへなかされしか母にあはんとてひ. そかに都にのほりしによりて猶連流せり紫上を ︻細︼蛍兵部卿宮也. なくさめての詞也 ○帥官. ○むもんの御なをし ︻細︼除名によりて也 ︻河︼平絹直衣也戎しゝら錐非凶服臥翫計老 レニー 公卿なとは常着之今源氏も無官位人と也仇而 ○御ひんかき給. ︻孟︼源氏詞也. ︻或抄︼斐を櫛にてなて給事也L12オ. 着之欺 ○こよなうこそ. ︻或抄︼俗にいふ目に一はいと云心也. ことの外也 ○ひとめうけて. ︻万水︼たとへさすらへたり. ︻万水︼源氏のたへかたき心をのへ 源氏也. ○いと忍ひかたし 給へり ○身はかくて歌. とも紫上の見給か、みのかけははなれ給ましき. ︻万水︼よしく源氏. との心也まへの詞に鏡の事をいへるそのことはりを 歌によみ給へり. ○別れても歌 紫上返歌也. にはわかれ給ともかゝみに影たにとまり給はゝそれ にてなくさまんとの心也. ︻或抄︼鏡にかけのとまるならひならねはかなしきとの﹂12ウ. ︻万水︼帥宮三位中将なとはくれ方に. 心をふくませたり ○みこは哀なる. ︻弄︼女御の事也かの人もとは. かへり給なるへし ○花ちる里の. 8.

(10) ︻或抄︼今一度音つれ給へと. はなちるさとの上の事なるへし ○常に聞え給も. ︻或抄︼源氏のはこくみにて年. ︻万水︼彼式部か筆法也. ︻万水︼人数にし給とて女御の. ︻万水︼紫上の御方を出給かうき. つ ね く うらみ給也 ○いと物うくて との心也﹂柑オ ○かくかすまへ捨て よろこひ給心也 ○かきつゝけんも ○た、此御かけに 月を過し給へは此ゆく未ははこくむ人もあるまし. ︻河︼古今いかならん岩ほの. ︻戎抄︼女御の御殿也. けれはなをくあれまさらんと源氏の思やり給也 ○との︰つち ○住はなれたらん岩ほの 中にすまはかは世のうき事の聞えこさらん ︻或抄︼女御の御殿の他山なとの物ふりたるを見給 ︻細︼花散里の方也. てすまの住居を思やり給也 ○にしおもてには. ︻或抄︼如此御渡りは有ましきと恩給たるに御出﹂13ウ. ︻或抄︼日本紀行速と書てふるま. をうれしく恩給也うちくしは屈して也 ○うちふるまひ. ︻細︼花散旦の用意しかるへき. ふとよめり立ふるまひ也 ○やかて月を見て. ︻或抄︼まつ女御の方にて御物かたり有て. さま見えたり ○又こゝに. 又西のたいにて御物語の間に明かたに成たる也. ○みしかの夜の ︻細︼源氏詞也 コトナシ ○ことなしにて ︻河︼無為日本紀 古今 村鳥の立. にし我名今さらにことなしふともしるしあらめや. ︻細︼無事にてありし時何とて絶間かちなりしそ と後悔也引歌に不及欺. ○きしかたゆくさきの ︻或抄︼過去未来の例にも. ひき出されん身と也源氏の今の身上をの給へり﹂14オ. かやうの世中なれは心もとまらぬと也. ○よにつゝみて ︻万水︼世上に悼りて也又夜の心に. もいへる欺 ︻孟︼夜なるへし. ○れいの月の ︻細︼花鳥説中納言君に別給ひ し時の事をひけり如何たゝ月の入方を我身に思 よそへたるなるへし例のとは毎夜の心欺. ︻或抄︼宗祇説 唯是西行非左遷の心あると也. ○こき御そに ︻細︼こきとは紫也. ○ぬるゝかほ ︻河︼古今あひにあひて物思ふころの我袖. にやとる月さへぬる、かほなる ○月かけの歌 花敬呈也 ︻細︼花散里の心の打む. きてよろしきさま此歌にて見えたりたゝ今の別の 名残おしき心をつゝみもせすよめり我数ならぬ. 身にも此源氏の御光をと、めて置て見たき由也 世の常の女のよみさまにはかはれり. ○いみしとおほい ︻細︼ことの外に此別をかなしとおほ. 9.

(11) 源氏也. ︻細︼女君をなくさめ給也. すけしきなれはなくさめ給也 ○ゆきめくり歌 ︻万水︼かやうに歌にはあそはせ共. やかて立かへるへきのよし也﹂ 14ウ. ○息へははかなしや ︻河︼後撰ゆくさきをしらぬ涙. おもへははかなしと也 ○たゝしらぬなみた のかなしきはたゝ日のまへにおつる也けり. ︻戎抄︼l一条院にかへり給てすま. ︻孟︼夜の明かたはくらきもの也. ︻或抄︼ゆくさきのしりかたきを思ぺは心をくるゝと也 ○明くれの ○よろつの事とも. ︻万水︼源氏に不断つきそひ奉て世上. への用意をし給也 ○世になひかぬ. 二条院の御留守の役々の人を. ︻或抄︼御供に我も︿としたひ申. ︻或抄︼. にはなひかぬ也 ○との、事 さため給也 ○御ともにしたひ. ︻万水︼山里はすまの事なり. せとも誰′∼御供とえり出で定給也 ○えさらすとりつかひ. ︻或抄︼道具のかさりも. もだせられではかなはぬ物也 ○ことさらによそひも. なくそさうなるさま也﹂15オ ︻戎抄︼書籍也 ︻花︼白楽天の詩賦をあつめたるもの. ○さるへき文とも ○文集なと. 七十二巻有長慶集といへり長慶年中に. あつめたる故也. ︻河︼漆琴一張儒道仏書各三両巻楽天. ︻或抄︼是は御装束の事也. 既来為主自民文集草堂記 ○花やかなる御よそひ. ︻戎抄︼源氏の御身を也. ︻河︼領給御荘御牧. ︻戎抄︼紫上に御内衆の事万事. ○あやしの山かつめきて. ○さふらふ人︿ おほせをかるゝ也 ○りやし給御さう. ︻細︼券とは支証の物也. ︻細︼皆所領とも也 ○けんなと. ︻或抄︼うりけんなと俗にいふにおなし券約と. ︻戎抄︼少納言の乳母おとなしく可然. つゝきたる字にて約束の心也 ○少納言を. ︻戎抄︼家司ともをも具足し. ものと見をき給たる故に紫上へ御留守を﹂15ウ. あつけ給也 ○しろしめすべき. ︻或抄︼二条院の東村也. て万事をしり給へと也 ○わか御方. ︻細︼皆源氏のつかひ給人也. ︻万水︼源氏のよそ︿のやう. ○中将中務. ○つれなき御もてなし. にありつれとせめて見奉りてなくさまんにかや. うに成給後はいかてかこゝもとにもあらんと思へ. ︻細︼源氏の詞也. と也人くの心也 ○命ありて. −10−.

(12) ○かみしも皆. ○こなたに ︻万水︼紫上の御方へをのくまい. ︻細︼紫上の御方也. ︻或抄︼優艶なるもてあそひなとは. ︻或抄︼夕霧の乳母宰相乳母. れと源氏のおほせ出さるゝ也 ○わか君の御乳母 なと也﹂16オ. ○おかしき物は いふに不及後見のかたの実なる物をも心をつけ. ︻或抄︼鹿月夜へ唯今なとは音つ. ︻万水︼臆月夜の事也此人ゆへに. てつかはさるゝ也 ○内借のかみの 左遷也 ○わりなくして れにくき事なれとも無理に音つれ給也. 涙の川可為名所乎否の説. ︻細︼無実なる事のやうによみ給用意浅. 源氏也. ︻細︼臆月夜をちと恨たる也. *とはせ給はぬもことはりに︵5行目︶文の詞 ○今はと世を 河港委. ○ あ ふ せ なき歌 こ. からさる也若菜巻に柏木右衛門の文を心なきかき様. ︵御袖より︶あまるも︵3行目︶なみた也. ふかくかなしく恩給也 *. ○涙川歌 ︻河︼みなは水沫也. ︻万水︼内侍返歌也みなはもとほ身も消ぬへしと也. ︻万水︼源氏の心也. なかれて後のとは帰京のうれしきせをもまたてと いへる也 ○今一たひ. ︻戎抄︼瀧月夜に今一度対面なくて別れん事は口お. ︻細︼大后のかたさまなれは也. しけれとも自他のためいか、と思かへし給也 ○うしとおほし. ○北山へまうて給. ︻弄︼何処とも見えす栄花物語. を此間にかけり﹂17オ. ○あすとての.︻弄︼かくは書たれとも又色くの事 ニ. 岩陰と云所に御廟の事ありかやうの所を思てかける. 欺云々岩陰は松か崎のおくの名所也天暦陵云々又. ︻花︼定家卿此詞をとりてよみ侍ける歌. 栄花物語此物語と時代同欺可決 ○暁かけて. 内大臣家青首. 春はた、かすむはかりの山のはに. との給しもかやうの所也惣而は美事有中も我思. あかつきかけて月出るころ. ︻戎抄︼あし后宇治の八宮をとり立て. 東宮をたてかへんとくはたて給時分也下に其. ○春宮の御事. をかはし給也. ○御みつから. *入道のみや︵3行目︶藤つほ也 こ ︻或抄︼藤つほ御すをへたて、直御詞. 心の切なれはあひても不達心の有也されはあふせな きとは置たる也用意可然の事也此歌俊成卿女の云 此物語の中第一の歌と申されしとなん ○つみのかれかたう ︻弄︼か、る革も先この因果にてそ有﹂16ウ. 祇如是 ︻或抄︼瀧月夜此文を見給ひて. らん然者のかれかたきと也 ○女いといみしう. −11−.

(13) 心 あ る へし ︻或抄︼源氏の心を地よりいへり. ︻戎抄︼地よ り 云 也. ○ な つ か しう ︻万水︼入道宮のつらかりし事とも、申た. ○ か た み に心深き ○ つ ら か りし けれとも中くえ申さぬと也かやうのみきりはう. l或抄︼藤つほへ密通のむくひと也. た て お ほさんと也﹂けり ○ た ゝ か く思ひかけぬ ︻細︼源 氏 の 詞 也 ○恩給へあはする. ︻万水︼源氏の御身の事をの給へり. * ︵そら︶おそろしう侍る ︵6行目︶もイ. ○ お し け なき身は ︻細︼春宮の御 事 也 ︻細︼是は藤つほ 也 ︻花︼御山とは山陵をいへり. ︻或抄︼とかくの返答をえ申給はぬ也﹂18オ. ○ 宮 の 御 世たに ○ 富 も お ほし ○きこえやり. ○ 御 山 に まいり. ︻万水︼御基へ御ことつてあらんかと入道宮へ申給也 *御山にまいり侍を ︵3行目︶ 源氏詞. ○月まち出て. ︻戎抄︼事あたらしき事なれとも也. ︻細︼あかつきかけて月出る比なれは也﹂朋り. はつきたるに左遷の身体に此世のうさ又まさると也 ○さらなる事. ︻巴抄︼思ひまうけたる事なからと也花敬呈巻に ある同心なるへし. ︻或抄︼御供の衆の心也 ︻河︼献腎本袈酔御敢の日の. ︻孟︼一向殊更と云心也 ○皆いとかなしう ○かの御そきの日. 解官有三. ︻巴抄︼殿上の御札をけつらるゝ日給を. ︻河︼叙爵也蔵人巡給也. ︻弄︼中川の紀伊守か弟也伊予介子と. 墜喪解二病解及首二十日覧訂三理解. 事也かりの随身の事葵巻に先勘畢. 二. ○右近のそう 系図にあり. ○うへきかうふり ○つゐに御ふた. ︻細︼源氏の家人なるによりて也. ︵10行目︶一本とけて. ︻万水︼下鴨の社を見て御敢の. ︵つかさも︶とられて. もとられたる也 *. ○かれと見わたす. ニ ︻戎抄︼無理なみたをゝさへ給体と也. ○わりなく. ○おりて. ︻万水︼故院の御別にかなしさ. 右近のせう也. ︻細︼神もうらめしと也. ○ひきつれて歌. ︻万水︼源氏の心也その時の供奉の中に. よと心くるしく恩給也. ︻戎抄︼源氏ゆへに右近なとまて時をうしなひたる. とりわき右近か花やかなりしと也. ○けにいかゝ. ︻戎抄︼われも馬にて御ともしたるへし. 事を思ひ出たる也﹂19オ. ○見しはなく歌 人遺言也 ︻河︼小町あるはなくなき はかすそふ世中に慕いつれの日まてなけかん ︻万水︼見しはなくとは故院の御事あるはかなしきとは ︻紳︼草子地此歌評する也. 源氏左遷の事也しかれはそむく世のかひもなきと也 ○ い み し き御心まとひ 源氏也. 只 今 の 御歌思やうなる秀逸にて も な き と 也 ○ 別 れ し に歌. ー12−.

(14) きのむねさたかあつまへまかりける時に人の家に. マカリマウシ ○まかり申 ︻河︼ 辞見日本紀 いとま申也. 古今 源氏也. ︻戎抄︼無実の罪にあひ. やとりて暁出立とてまかり申しけれはと云々 ○うき世をは歌 て世を出離し袷也無実の名はとゝまるへけれは. ︻細︼十善帝王の位も生を. ︻万水︼右近か事をいへり﹂柑り. たゝし給へと也. ○物めてする ○かきりなきにても. ︻万水︼故院の御門へ御ゆいこん. ︻万水︼なき人の御まへなれは御返事. へたつれは何事もロおしきと也 ○そのことはりを もなく無曲との心也 ○さまくの御ゆいこん. ノノソ. ・ト. に源氏の御事をさまくにの給ひをきしは皆消 うせたると也. ︻河︼古墳何世人不識姓兼名. トレ. ︻戎抄︼故院によそへ見給折. レ ス 化作路傍土年々春草生楽天﹂加オ 一. ○御はかは道の草 テノト こ. 〇月も書かくれて. ふし月の書かくれて森々たる山中のさま哀なるへし ︻細︼まほろしのことく也. ︻万水︼身の毛も立たる体也. ○ありし御おもかけ ○そ、ろさむき. 源氏也. ︻戎抄︼源氏の身上をあはれみ捨て月の書かくれ給 ︵9行目︶. 二条院に也. たる欺と也此巻の末に故院夢に見え給たる事あり *かへり給ひて. ○王命婦を ︻胡︼藤壷の御かはりに是は可酪人也 とて東宮にそへ給人也. ○けふなん.︻万水︼源氏より東宮への文言也けふとは. あれともいまたさにはあらすと也﹂20ウ. ○又まいり侍らす ︻或抄︼東宮へ今一度まいりたく思ひ 給へともさもならぬ事うれはしきと也宮中をは、. かり給てえまいり給はぬなるへし ニ ○けいし給へ ︻戎抄︼東宮中宮もの申を啓すると云. 也源氏の心中を命婦に推量して申あけられよと也. ○いつか又歌 源氏也 ︻細︼春の都とは東宮を申也. ︻戎抄︼ いつか東宮の栄花の春を見るへきそ見る. 事ははかりかたしと也我は時を失たる山かつと也 ○さくらのちりすき ︻弄︼散透也. ︻或抄︼源氏の時うしなひたる身に比して也 ○かくなんと ︻戎抄︼源氏の文を王命婦東宮へ 扱者申也. *御かへりいかがものし侍らんと︵10行目︶命婦詞. ○まめたち ︻或抄︼かなしき御心おはしますなるへし 実めに成ておはしますと也今年春宮八歳. たるを見て源氏の心に故院のいかゝ我を御らんする. ︻弄︼折ふし月の書かくれ. ○なきかけや歌. にか月のへた、りぬるはと心の鬼に恩給へる也入道. ○しはし見ぬたに ︻細︼東宮の御詞也﹂封オ ○物はかなの ︻細︼王命婦の心也. 宮密通の事を恩給なるへし. −13−.

(15) ○むかしの事・︻万水︼彼中宮へ密通の事也物思も なく我も人も過し給はんを心からおほしめしなけ ︻或抄︼命婦か心ひとつよりなし. くと也共時の御便を我申たるも今後悔と也 ○わか心ひとつに ︻細︼是より王命婦の文の詞也. たるとかのやうに思と也 ○さらに問えさせ ︻万水︼命掃か源氏への御返事は心みたれにえ申. ○御まへにほけいし ︻万水︼命婦か心のみたれけると. ︻弄︼冷泉院へ也﹂21ウ. さぬとなるへし. ○そこはかとなく 源氏の御らんしたる心也. 命婦也. ︻細︼花の開落せ源氏の栄. ︻戎抄︼命掃か返歌も分別なくと也. ○咲てとく歌. ︻花︼歌の詞あるへしいまた見出し不侍. 辱に比して云也又来ん春を必待と也 ○時しあらは. ︻万水︼春宮の宮中悉なく也. ︻細︼時あらはやかて帰京あるへきと也. ○ひと宮の中忍ひて. ︻孟︼源氏のしろしめし及はぬ也. 忍ひては是も世上にはゝかりての心也 ○しり及ひ. ○おさめみかはやうと ︻河︼おさめ八雲抄には下女也 ヲサメ とあり水源抄云長女とは曹司事也御かほとは﹂22オ ひすましの事也云々又お嘗めうるめ御かはたもちと いふ商人なといふたとへはいふかひなき下女なとまて ヲクレハセ と云也案之行幸の後騎に廊長女洗女とて有. 此事欺. ︻細︼此除名の事たれ牒︿. ︻巴抄︼た、いやしき義理なるへし. ○大かたの世の人も. ︵4行目︶一本よろこはしく. 心よからす思ふのよし也 *よろしく. ︻花︼御はくゝみの心也. ︻或抄︼源氏の御恩をかうふりたる. ○此御いたはり ○やん事なき. 人く行事をいひたる也﹂22ウ. ○いちはやき ︻万水︼悪后のはからひ給世の事也. ○世ゆすりて ︻花︼鯖蛤日記云 西宮の左のおとゝの. なかされ給見奉らんとて天の下ゆすりてにしの宮. へはしりまとふ ゆすりは動と云心也 ○かゝるおりは ︻細︼世のならひ也 ︻或抄︼源氏の心也. ○その日は ︻細︼此日はいまた下向なき也. ○例のよ深く ︻巴抄︼すまへ也. ︻或抄︼かりそめの御装束也﹂23オ. ︻万水︼此ころは世上をほゝかりて夜深出給故也 ○かりの御そ. ○月出にけりな ︻細︼今出たち給也. ︻万水︼源氏紫上への絵詞也. ○いかに開ゆへき事 ︻万水︼源氏行末の事ををし. はかりての給也すまにて申たき事のつもらんと ︻戎抄︼紫上也. すらんとの心也 ○女君. ○わか身かくて ︻万水︼源氏の心也すまにてもし. −14−.

(16) ︻或抄︼流浪サスラヘ﹂23ウ. むなしく成給はゝ紫上のいかにさすらへ給はんと わひ給心なるへし ○さすらへ. ○おほしいりたるか ︻細∵っしろめたくはおほせとも 女君をなくさめてをき給也いと、しのし文字 はやすめ字也 ○いける世の歌 源氏也 ︻万水︼源氏の此世なからの別 をもしらす命のかきりと契り給けるなるへしさ れははかなしやとあり唯今のかなしひにはあらて たゝ大かたによみなし給へり女君をなくさめ絵心也 ○あさはかに ︻或抄︼深くかなしひたる歌にても なく大かたにあさくといひなし給也 ○おしからぬ歌 紫上也 ︻万水︼さしあたりてあほれ 探し我命にかへても源氏の別をとゝむる事も かなとねかひ給歌也 ○けにさそ ︻或抄︼源氏の心也 *︵おぼ︶すらんと︵10行旦さるイ﹂糾オ. ○御舟にのり給ぬ ︻弄︼淀川よりなるへし ︻河︼舟のおこりあり略之 ○またさるの時 ︻細︼是はいかなる永日なりとも余 に早速なる欺但文章にのそみてはかくかける 事常の事也 ︻或抄︼須磨につき給たると書又立婦道す からの事をかけり是源氏の筆法也. ○大江殿と ︻花︼斎王帰京の時伊勢を発て大和. 路をへて摂津国に赴て難波にて御はらへ有て七. 日に大江の儲所に着給十日に入京し給と也故に. ︻弄︼御代に一度斎宮の旅所なれは. 大江殿は斎王帰京の時の旅館也それも松はかりし るしに残と也. あれたるといへるにや ︻河︼一説云渡辺梼の東に楼. 岸と云所あり昔此所駅楼を立と云々 ○から国に歌 源氏也 ︻花︼河海には楚屈原か江 沢になかされし理をしるされたり此外流刑をか. ︵12行目︶住イ﹂24ウ. うふりし人は代々に絶すありし辛也 *家ゐ. ○うら山しくもと ︻河︼伊勢物語 いとゝしく過ゆく方の こひしきにうらやましくもかへる波哉. ○さる世のふる事 ︻弄︼伊勢物語のさま思ひやるへし. 業平旅行の時詠此歌事京も類なき事なれは. ︻河︼十一月中長至夜三千里外速行. ふりたりといへとも今源氏の吟し給へるは又殊勝 なりといへり 〇三千里の外の. 人若為独宿場梅館冷枕草床一病身白氏文集 ﹀. 伊三千里外随行李十九年間任転蓬遷. ︻弄︼すまへの程二十里の問も三千里の心ちするといへり 其心衷也く. ○かひの雫も ︻細︼涙の心も有へし此詞面白. −15−.

(17) ○古さとを歌. 源氏也. ︻万水︼霞は故郷を隔つれ ︻孟︼此かは雲井哉也. ︻細︼折ふしの心に此山の霞なとの. ともなかむる空はかはらぬと也 ○つらからぬ物なく 無心なる物もつらき由也帝旅感慨深き者也L25オ︵途中︶. の諷諭詩. の頭注は、登場人物の詠歌十九首全てを取り上. 二、山陵参拝と﹃自民文集﹄ ﹃首音源氏﹄ げていることが、特徴の一つだといえる。初句のみを掲げ、﹁な. に. き人の歌﹂︵9オ︶と﹁涙川歌﹂︵17オ︶以外は、次に泳者を示 すという形式に統一されている㈲。このような和歌重視の姿 勢は、編者一竿斎の立場、彼が﹃源氏物語﹄ ︵以下﹃源氏﹄︶. 求めるものに関わるのであろうが、ここでは追究しない。. なりぬる人ぞ、言はむ方なく口惜しきわざなりける。よろ. づのことを泣く泣く申したまひても、そのことわりをあら. いづちか消え失せにけん、と音. はにえうけたまはりたまはねば、bさばかり思しのたまは せしさまざまの御遺言は、. ふかひなし。。御墓は、道の草しげくなりて、分け入りた. まふほどいとど露けきに、月も雲隠れて、森の木立木深く. 心すごし。帰り出でん方もなき心地して拝みたまふに、あ. りし御面影さやかに見えたまへる、そぞろ寒きほどなり。. ︵諷諭二︶巻京の﹁続. ︵一八一頁・11行目∼一人二頁・5行目︶. 次に、出典とされる﹃自民文集﹄巻二. ︵下平声第八庚韻=行. ︵0075︶以下、﹃源氏﹄. に数首引用さ. ㈲。この十首に続くのが、帝木巻の両夜の品. 古詩十首﹂の第l一首︵0066︶を掲げる 情平声名生営︶. 定めにおける﹁諌婚﹂. れた﹁秦中吟十首﹂である。なお第9・10旬日の校異は、﹃全. の漢詩文引用の指摘には全. て従っているのだが、その一つが次に再掲する光源氏の山陵参. 唐詩﹄の注記に﹁一作、何姓名﹂とあるのみで、諸本﹁古劃何. ﹃河港抄﹄. 拝と ﹃自民文集﹄ の諷諭辞との関係である ︵20オ︶。これを出. 代l人/不矧姓与l名﹂であり、古注のように﹁古墳何世人/不識. さて、﹃首音源氏﹄は. 典とみなす古注は他にもあるが、特に指摘の無いものもあり㈱、. 涙を掩ひて郷里に別れ. ︵朱金城﹃自居易集箋校﹄︶刑。. 姓剰名﹂とするものは無い. ⊥掩涙別郷里. 現代の研究者の間でも説が分かれている。その是非について、 若干考えておきたい。. へうえう 諷組として将に遠行せんとす ト. 2諷組将連行. ノノソ. ︻河︼古墳何世人不識姓兼名. 茫茫たる緑野の中. チノト. の本文を、前後も含めて引用する. ー. 化作路傍土年々春草生楽天. ○御はかは道の草. 3茫茫緑野中. 春は尽く孤客の情. ニ. 古典文学全集﹄に拠る、以下﹃新全集﹄︶。私に傍線を付した。. まず﹃源氏﹄. トレ. 4春尽孤客情. 舌iノり上●つ. レ. 5駆馬上丘陵. 高低路平らかならず. ス. 6高低路不平. 風菜梨の花を吹いて. ︵﹃新編日本. 御山に参うでたまひて、おはしましし御ありさま、ただ日. 7風吹某梨花. 馬を駆って丘陳に上れば. の前のやうに思し出でらる。限りなきにても、a世に亡く. ー16−.

(18) 13感彼忽自悟. 12年年春草生. 11化作路傍土. 10不知姓与名. 9古劃何代人. 8噂鳥時一声. 今我何ぞ官営たる. 彼に感じて忽ち自ら悟る. 年年春草生ず. 化して跡傍の土と作り. 姓と名とを知らず. 古劃何れの代の人ぞ. 噂鳥時に一声. くせくする我が身に向けられた批判は、¶源氏一には見られない。. に声を上げて鳴いている︶。また、13・14旬の名利を求めてあ. 幡参拝の場面では、山中の鳥・獣が伊周の泣き声に驚いて、共. を受けたとされる㈹﹃栄花物語L浦々の別れの巻の藤原伊周木. りと感じることができたのである. られる空間となっている。それ故にこそ、桐壷院の霊をはっき. 切無く、月光も速断され、草の露と森の木立の気配のみが感じ. ︵ちなみに、この場面の影響. 14今我何官営. 文学大系L、r源氏物語評釈Lや﹁角川文庫﹄. ように他国に連行しょうとしているのは、光源氏の現在の境遇. 1・2旬の顔を覆って涙を流しっつ故郷に別れを告げて彷復う. しかし、逆に共通点も更に追加することができるのである。. て蘭摘しないものもあるが、岸本古典文学全集Lや﹃完訳日. と共通する。3旬の果てしない線の野原という視界の広さ︵5・. さて現代の注釈書も、﹃日本古典文学大系Lや﹁新日本古典. 本の古典﹄等、多くが﹁御重は﹂の箇所に注記している。しか. 6旬も︶. ている。また、5旬に馬を駆って丘に登るとあるが、光源氏は﹁御. のように出典とし. し﹃新全集Lは付録の﹁漢籍・史書・仏典引用一覧﹂において. という季節︵共に12句にもあり︶、そして、普通なら喜ぶべき. あたりに葦の生い茂つた整㌍天生の空しさを感じさせ. 席にて﹂︵一人〇頁・10行目︶、﹁御山に参で﹂︵一入一貫・11行目︶. ¶源氏一には無いが、3句の緑の草むら、4旬の春. 次のように述べ、前掲1源氏一本文の傍線部Cの出典であるこ. 季節であるゆえに一層感じる旗人の孤愁という点では、共通し. る点は共通するが、昼と夜との違いや、殊に月がにわかに. たのであった。. は. とを否定している㈱。. 婁に隠れる陰森・荒涼たる情景は﹁白氏文集しにはないの 確かに共通点・相違点の指摘はその通りであろう。相違点は. う。本の辞を知らなければ意味が通らなかったり、あるいは本. 通点があるというだけでは、両者を重ねて読む必要は無いだろ. 但し、このように、状況、素材、感情に関していくつかの共. 他にも、無名の古基と一代前の天皇陵との違い、基︵土饅頭︶. の詩を想起することで作品世界の奥行きが理解できてこそ、典. で、直接的な関係は言いにくいか。. そのものが荒れて道端の土塊となり草が生えているのと、基の. つまり、9−12旬及び13・14句は﹃新全集﹄の言うように春. はまるのではないか。. 故だと言える。この段の場合は前者ではないが、後者には当て の花が風に散り鳥の. 道に草が生い茂っているのとの違いがある。更に、昼夜の違い㈱ と重なるが、7・8旬の菓梨︵からなし︶. 噂き声が聞こえる情景に対し、﹃源氏﹄では他に青も動きも一. −17−.

(19) ゐ. また、﹁続古詩十首﹂の元になった﹁古詩十九首帥﹂︵﹃文選﹄. 草の生えた主に﹁人生の空しさ﹂を感じている点で﹃源氏﹄と 11陽光雲上に委す/12心を傾けて何くに依らんと欲する 共通しているのだが、﹃源氏Lの場合はわずか二年余り前に死. 巻二十九︶は、第十三首と十四首に塞が詠まれており、﹁﹁北山﹂. し. ︵十三︶. 去した桐壷院の御陵なのである。その描写︵傍線部C︶に、正. 車を上東門 に駆りて/邁かに郭北国の墓を望む. 反対であるはずの無名氏の古墓と同様の表現が用いられている﹁露﹂﹁木立﹂等が見える︵屋釈漢文大系﹄︶。 ことに注意して読むならば、一層、傍線部aの﹁限りなきにて. 潜かに黄泉の下に敵ね/千載長く清めず. 暮に即く. 矧矧何ぞ諸箭たる/松柏広路を爽む ひモやいさ. 下に陳死の人有り/香香として長. も⋮︵いくら至高のご身分であっても⋮︶﹂という感が強まる. のである。と同時に、早くも故人を忘れ去った人々への批判が 浮上してくる。その批判は、墓の描写の直前の﹁さまざまのご. 浩浩として陰陽移り/年命は朝風の如し. に直結する。遺. 遺言はいづちか消え失せにけん﹂︵傍線部b︶. やどり. こ. 人生は 忽として寄の如く/寿に金石の固き無 こも○も. 言を違えた宋雀帝ら為政者︵右大臣勢力︶批判は、﹃自民文集﹄. 部門を出でて直ちに視れば/但見る丘と墳とを. 去れる者は日に以て疎まれ/生ける者は日に以て親しまる. 巻二の諷諭詩の存在によって裏打ちされていると言えよう。 万歳に吏相送り/聖賢も良く皮ゆること美し なお付け足しておくと、﹃源氏﹄のみに見える要素は、﹁続古 服 食 し て 神 仙 を 求 む る も/多くは薬の誤る所と為る ぐわん 詩十首﹂の第二首周辺の他の詩に見出すことができる。 如かず美酒を飲み/軌と素とを被服せんには 例えば、桐壷院︵里王︶と仰ぐ月が急に雲に隠れる情景は、 やはり昼夜が対照的であるが、次に訓読で引く第十首︵007. 古劃は響かれて田と為り/松柏は捲かれて新と為る. 創楊に悲風多く/斎粛として人を愁殺す. 4︶の春の朝日に類似している。また、9旬日以下に太陽に心. −. を寄せる葵︵向日葵、ひまわり︶が描かれるが、﹃源氏﹄では. 故の里間に還らんと思ひ/帰らんと欲するも道の困るべき. もと. 山陵に向かう途中、賀茂御祖神社を遥拝した時の右近将監の懐. 無し. として﹃源氏﹄. の表現に繋がった可能性はあるだろう。. これらが出典そのものであるとは言うわけではないが、総体. ︵十四︶. 旧の歌に葵︵あおい︶が詠み込まれていた︵一人一貫・2行旦。 と入ノとlソ. 1春且日初めて出で/2瞳瞳として農輝を輝かす 3草木照らすこと未だ遠からざる に/4浮雲巳に之を蔽ふ. でなく全体を﹃源氏﹄の山陵参拝の場面と比較すると更に共通. 以上、﹁続古詩十首﹂二首日は、古注に引用された部分だけ. 7東南の風有りと錐ども/8力微にして吹く能はず. 点があること、この諷諭詩を意識して読むことで﹃源氏﹄の為. 5天地鴬として以て晦く/6当午も昏時の如し 9中園何の有る所ぞ/10満地青育たる矧. ー18−.

(20) 抄﹄︵惑談社学術文庫﹄に拠る︶では、泳者は全て 政者批判の性格が強まること、また、二首目に無く﹃源氏廟 ﹄月に. の解説。. か。但し、光源氏の現状に合う1・2旬を掲げないのは. 野中﹂以下を掲げる。詩全体を踏まえるとの判断に拠. 東本紫明抄﹄︵F大成﹄︶⋮西円の注として3旬日途中の﹁緑. ﹃源氏釈L﹃奥入し﹁原中最秘抄﹄﹃紫明抄﹄⋮無し。. 成所 ﹄は とゆ 感氏物語古住集成﹄は略号を用いた。 私に、光源氏が須磨に到着してからの﹁おはすべき. 一九八九 年 ︶. 示あ さり れ、 て﹃ い源 る。基本的には傍注が用いられており、また、 取り上げられた素材が十首目や元の﹁古詩十九首﹂には 自。 の指摘と古注のそれとを区別している点でも、盲音源氏 氏﹄の表現に繋がった可能性が考えられることを述べた と異なる。例えば最初の四首、﹁とりべ山﹂は﹁源﹂、﹁ 注 き人の﹂は﹁大宮﹂とあり、﹁身はかくて﹂は﹁︻細︼源 ﹁わかれても﹂は﹁︻孟︼紫返歌也﹂とある。 仙 清水婦久子氏編云首音源氏物語 絵合・松風﹄︵和泉書院、 古住の指摘の有無は次の通りである。﹃源氏物語舌鼓釈. 拗. 仝﹄︵桜. きひらの中納言の︵25オ︶﹂から巻末︵55オ︶までを後半とし、. 本文のみの翻刻に、今泉忠義氏他編濾氏物語. それ以前を前半とする。 ㈱. 楓社、一九七七年︶等がある。頭注の翻刻は無い。本文の性. 訓点は無く、10旬日﹁不知﹂。真如蔵本のみ﹁不敵﹂。. ﹃河海抄﹄︵角川書店︶⋮﹃首音源氏﹄の引用の通りだが、. 格については、注仰の清水氏が﹁盲書源氏物語﹄の本文 不審。また、詩句のみで作者等は示していない。 −同時代の版本との係わり1−﹂︵片桐洋一氏編﹃王朝の 文学とその系譜﹄和泉書院、一九九一年︶において、従来指. ﹃弄花抄﹄︵﹃集成﹄︶⋮﹁古基何世人之詩心うかへり﹂。. ﹃に 花鳥 摘されていた、青表耗本系統のうち三条西家系統の本文 近余情﹄⋮無し。 いが河内本系統の本文も含み、延宝元年︵〓ハ七三︶北村季. ﹃孟津抄﹄︵﹃集成﹄︶⋮﹃河海抄﹄と全く同じ注。. ﹃紹巴抄﹄︵﹃翻刻平安文学資料稀l一期﹄︶⋮同右。訓点あり。. 戚江入楚﹄︵完成﹄︶⋮講海抄﹄を引き﹁秘古楽天か作. れる心うかひて面白しと也弄同﹂と三条西家説も引く 版本方水一露﹄を校訂に使用したと考えられることを、明 ﹃万水一客L﹃湖月抄﹄⋮﹃細流抄﹄を引く。 らかにされている。. 本感氏物語﹄を底本とし、承応二年︵一六五三︶貞徳政の. て成った﹁絵入源氏﹂のうちの万治三年︵一大六〇︶版の横. と、また最終的には、貞徳︵一五七一1一大五三︶の指導によっ. ﹃は 細流 抄﹄︵﹃大成﹄︶⋮﹁︵9∼12句︶と楽天か作れる心うか 吟版の戚月抄﹄の本文と非常に近いといった特徴が、実 盲 かこ ひて面白となり﹂。右と共に﹃河海抄一に拠るか。 音源氏﹂に限らず同時代の版本一般に共通するものである. −19一.

(21) ㈱. 諸注の四字の違いを纏めておく。︵. 訓読も含め感国訳漠文大成﹄に拠る。字体は新字体に換 おり、当詩に描かれた空しさや春草が﹃源氏Lと共通するが、. 海 抄. 与l 識 世 墳 細 兼 識 世 痩 孟. 与l 識 世 墓 巴 兼 識 世 噴 万. の﹁所引詩歌仏典﹂、丸山キヨ子氏感氏物語と自氏文集﹄︵東. 氏濾氏物語と白楽天﹄︵岩波書店、一九九七年︶等にも取. 用より見た源氏物語の研究L︵桜楓社、一九六四年︶、中西進. 一引 知l 世 墳 眠. ︶内は異本。なお、. / / 世 墓 弄. で示すと なる/憐れ. きいせ書こう. 田を繰りて限り無く草書レ の骨/曾て驚 天動地の文有り/. 但是れ詩人多くは薄命/就中冷落すること君に過ぎず︵10. むべし荒感窮泉. 2∼4旬に傾崩せ付されて車る︵一八五∼一人大貫︶。訓読. の死して空しい事をなげく詩に︵中略︶符合する﹂と言われ、. れた折の感慨は室自声︵巻一七︶で曾て驚天動地した人. 御陵参拝﹂︵山中裕氏編﹃王朝歴史物語のせ界﹄吉川弘文館、. 一九九一年︶において、三条宮から下社を経るという道筋に. 第一首﹁行行重行行﹂の7旬日﹁胡馬は北風に依る﹂が、. 二年︶、﹃源氏物語評釈二角川書店︶にも同様の指摘がある。. 山中裕氏感史物語成立序説﹄︵東京大学出版会、一九六. 注目し、﹁北山﹂が﹁皇城鎮護の神﹂である賀茂神の鎮座 る﹁神山﹂であり、道筋は賀茂祭の﹁構造的な隠喩﹂であ とした上で、光源氏の姿に﹁深夜、緑でかこまれた御阿礼 に北方の神山の頂きにある盤座から祭神を招き降ろす森厳 祭儀﹂の﹁神招き﹂の姿を見出されている。 ㈹ 抽. 須磨巻後半の宰相中将壷中将︶に馬を奉った時の光源氏の. 洛陽城の北にある印山。墓地。例えば感淵明. 言葉︵ニー五頁・12行旦に引かれている。. ㈹. であることも看過できないと思われる。. あることは言うまでもない。妙見菩薩︵北極星︶を祀る場所. ︵串固辞人選集﹄︶。なお、注㈱も含め、﹁北山﹂が多義的で. 在る/栄華は誠に貴ぶに足るも/亦た復た憐れみ傷むべし﹂. 墳のみ互いに低昂す/頚基には遭主無く/瀞魂何れの方にか. /相い与に刑期に還る/松柏は人の伐るところと為り/高き. 古九首﹂の第四首の9旬日以下は次の通り。﹁一旦百歳の後. り上げられていない。丸山氏は、﹁院の御陵に畷乞に詣 ばで うら ぎん. 与l 識 世 墳 湖. えた。作品番号、制作年代、旧抄本の有無は、花房英樹氏﹁ ﹃道 自の草﹂という言葉に該当するものがないので、直接的 氏文集の批判的研究﹄︵朋友書店、l九七四年︶に拠った。 関係を指摘しなくてもよいのではなかろうか。 ㈱ 参拝が深夜である点については、松井健児氏が﹁光源氏. S. 兼 知l. 旧抄本の感見抄Lや盛沢文庫本しには﹁続古詩﹂は無い。 明 抄. 池田亀鑑編感氏物語事典﹄下巻︵東京堂、一九六〇年︶. 本 紫. 京女子大学文学会、一九六四年︶、古沢未知男氏盛詩文引. ㈱. 兼 識 代l. 56︶﹂。江州司馬時代の詩文は特に須磨巻に多く引用されて. −20−. 与 知 代 董 現.

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