小学生の竹刀の実態調査 : 空知地区及び石狩地区を対象として
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第67巻 第₂号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 67, No.2. 平 成 29 年 ₂ 月 February, 2017. 小学生の竹刀の実態調査 空知地区及び石狩地区を対象として. 岡嶋 恒・川端 大輔*・山之内良輔** 北海道教育大学岩見沢校武道研究室 *. 札幌市立平岡緑中学校. **. ホクレン農業協同組合連合会. Comparative Research on Shinai of School Aged Kendoists ― Focus on Sorachi and Ishikari Areas ―. OKAJIMA Tsuneshi, KAWABATA Daisuke* and YAMANOUCHI Ryosuke** Department Budo, Iwamizawa Campus, Hokkaido Univercity of Education *. Hiraokamidori Junior High School, Sapporo. **. Hokuren Federation of Agricultural Cooperatives. 概 要 本研究は,空知地区・石狩地区で剣道を実践している小学生が使用する竹刀の実態を調査し, 過去に報告された小学生の竹刀の適正値と比較することで,両地区の小学生の竹刀の現状を明 らかにすることを目的とした。 調査対象者は,空知地区と石狩地区の剣道団体に所属する小学生1年生から6年生までの計 200名(空知:63名・石狩:137名)とした。調査項目は,1994年の先行研究1)を参考に学年・ 性別・級位・身長・体重・竹刀の長さ(以下「竹刀長」)・鍔を除く竹刀の重さ(以下「竹刀重」) の計7項目に設定し,測定した。調査データをもとに,竹刀長/身長,竹刀重/体重の指数を 算出し,1995年の先行研究において筆者ら2)が報告した小学生の竹刀の適正値との比較を行った。 身長に占める竹刀長の割合は,両地区の1年生から3年生まででは,空知地区の3年生のみ 数値が下がっており,他は学年が上がるにつれて数値が高くなっていた。4年生から6年生ま では学年が上がるにつれて数値が下がっていた。空知地区では,1年生の74.4%が適正値に最 も近く,2年生が最も高い数値を示した。石狩地区では,6年生の74.6%が適正値に最も近く, 他の学年は適正値+2~5%であり,低学年で大幅に数値が高かった。 体重に占める竹刀重の割合では,空知地区の3年生が竹刀重の適正値+0.03%で最も適正値 に近かった。両地区とも他の学年は体重の0.9%以上であり,特に1,2年生の数値が体重の. 277.
(3) 岡嶋 恒・川端 大輔・山之内良輔. 約1%前後と,適正値よりも大幅に数値が高かった。. と,竹刀をスムーズに操作できず,上肢の負担が. 1 はじめに. 大きく,また無理な力が入り,悪い癖がついてし. 剣道は,竹刀を持って構え,相手と対峙して打. まう場合がある。そのため,筋力などが未熟な小. 突部位を打突し,有効打突を奪い合う競技特性を. 学生ほど自分に適した竹刀選定が重要である。し. 有している。このため,竹刀は競技をする上で必. かし,現状では竹刀の規格が定められていないた. 要不可欠なものであり,剣道の技術を支える重要. め,特に注意しなければならない。1994年と2006. な用具である。. 年の先行研究において筆者ら1),3)は,竹刀の規格. 竹刀の規格については,全日本剣道連盟の「竹. が定められていない小学生は,体格に比して,長. 刀及び剣道具規格」に規定されている。そこでは,. く,かつ重い竹刀を使用していることを報告して. 竹刀の長さや質量だけでなく,先芯の素材や竹刀. いる。実際,小学生の稽古や試合を見ていると,. の先端の直径などが細かく規定されており,用具. 自分の体格に合わない竹刀を使っている場面を目. としての公平性だけでなく,安全性の基準が定め. にすることが少なくない。特に,身長に比して長. られている。 試合のルールとしての竹刀の規定は,. い竹刀を使っている場合が多く,竹刀をうまく扱. 全日本剣道連盟が定める「剣道試合・審判規則及. えないため,有効打突に結びつかないことも多い。. 5). び細則」 に記載されており,中学生以上の男女. 筆者ら2)は,実験的研究を行い,小学生の体格. の規格は表1の通りである。. にあった竹刀の長さと重さの適正な範囲について. 中学生は,長さが114cm以下,重さが男子で. まとめ,報告した。その結果,小学生が一番扱い. 440g,女子で400g以上の竹刀を使用することと. やすいと感じた竹刀の竹刀長/身長の比率は,平. なっているため,3尺7寸以下の長さの竹刀に先. 均0.732±0.022,竹刀重/体重の比率は,平均0.008. 革や柄革などを仕組んで使用する。しかし,小学. ±0.0014であった。. 生以下については,長さや重さが具体的に規定さ. これまで,釧路地区(1993年)と釧路地区・旭. れていないため,111cm以下(3尺6寸)の竹刀. 川地区(2005年)で調査を実施し,両年の結果を. を使用するのが一般的であるが,どんな長さの竹. 比べると,竹刀長,竹刀重共に2005年がわずかな. 刀を使用するかといった判断は,指導者や保護者,. がら改善傾向が見られた。そこで,今回は,空知. 本人に任されている。. 地区及び石狩地区に居住する小学生の使用してい る竹刀の実態を把握するとともに,先行研究にお. 表1 全日本剣道連盟の規定する竹刀の規格. 長さ 重さ 太さ. 性別. 中 学 生. 高校生(相当年 令の者も含む). 大学生・一般. 男女共通. 114センチメートル以下. 117センチメートル以下. 120センチメートル以下. 男 性. 440グラム以上. 480グラム以上. 510グラム以上. 女 性. 400グラム以上. 420グラム以上. 440グラム以上. 男 性. 25ミリメートル以上. 26ミリメートル以上. 26ミリメートル以上. 女 性. 24ミリメートル以上. 25ミリメートル以上. 25ミリメートル以上. ける適正値と照らし合わせ,現状の問題点につい ての知見を得ることを目的とした。. 2 方 法 1 調査対象者 調査対象者は,空知地区の剣道少年団及び道場. 剣道の基本技術の習得や有効打突の取得を効果. に所属する小学校1年生から6年生の男女63名,. 的に行うためには,竹刀という媒体が体格や体力. 石狩地区の剣道スポーツ少年団及び剣道道場に所. に適していることが大前提であると考える。自分. 属する小学校1年生から6年の男女137名計200名. の体格に適した竹刀を選定せずに練習を繰り返す. とした。. 278.
(4) 小学生の竹刀の実態調査. 2 調査期間及び調査方法 調査は,平成25年10月から11月の間に訪問調査. 表3 調査対象者の身長,体重,竹刀長,竹刀重 の平均及び標準偏差(学年別). により行った。調査項目は,先行研究を参考に, 学年,性別,級位,身長(cm),体重(kg),竹 刀の長さ(以下竹刀長) (cm) ,鍔を除く竹刀の 重さ(以下竹刀重)(g)の7項目を設定した。 身長及び体重は,剣道着またはジャージを着用し. n=. 3 分析方法 石狩,空知両地区の小学生が使用している竹刀. 2年生. 16. 26. 3年生 23. 平均. 標準偏差. 平均. 標準偏差. 平均. 標準偏差. 身長 (cm). 121.4. 6.3. 126.1. 4.3. 131.6. 3.6. 体重 (kg). 26.1. 5.1. 26.3. 3.5. 32.6. 6.9. 竹刀長 (cm). 91.9. 4.8. 98.0. 5.2. 102.9. 4.2. 竹刀重 (g). 258.4. 25.6. 276.2. 24.8. 311.9. 27.5. n=. た状態で測定した。また,竹刀長と竹刀重は鍔を 外した状態で計測した。. 1年生. 4年生. 5年生. 51. 48. 6年生 36. 平均. 標準偏差. 平均. 標準偏差. 平均. 標準偏差. 身長 (cm). 135.8. 5.8. 143.0. 6.6. 147.4. 7.6. 体重 (kg). 33.0. 5.8. 38.0. 7.6. 39.3. 6.7. 竹刀長 (cm). 104.3. 3.7. 108.1. 3.0. 110.2. 1.6. 竹刀重 (g). 313.9. 26.5. 335.3. 26.5. 356.0. 18.2. について,記述統計による比較検討を行った。ま た,筆者ら2)が報告した小学生の竹刀の適正値と. が33.8±7.8,竹刀長(cm)が104.3±6.4,竹刀重(g). の比較検討を行った。. が317.0±38.3,級位は5.9±2.5であった。. 4 統計処理. また,同様の項目を学年別に集計したものが表. 調査データから身長,体重,竹刀長,竹刀重の. 3である。. 平均値と標準偏差を算出した。さらに,竹刀長/. 図1は,学年ごとの身長と体重の推移をグラフ. 4). 身長, 竹刀重/体重の指数と回帰式を算出した 。. 化したものである。図2は学年ごとの竹刀長と竹. 統計処理は,Microsoft社のExcelを使用した。. 刀重の平均をグラフ化したものである。学年が上 がるごとに,身長と体重,竹刀長と竹刀重ともに 数値が上昇していた。. 3 結果と考察. 図3は空知・石狩地区全体の学年別の竹刀長の. 1 調査対象者の概況及び竹刀の実際. 身長に対する割合をグラフ化したものである。竹. 調査対象者200名中男子は144名(72%),女子. 刀長の身長に対する割合は全学年で3年生の. は56名(28%)であった。また,学年ごとの人数. 78.2%が最も高く,6年生が74.7%と最も低い。. は,1年生16名,2年生26名,3年生23名,4年. 全学年を平均すると76.3%であった。. 生51名,5年生48名,6年生36名であった。 竹刀重の最小値,最大値,中央値,平均値,標準. 145.0. 偏差を示したものである。各項目の平均値±標準. 140.0. 偏差は,身長(cm)が136.7±10.1,体重(kg). 135.0. 表2 調査対象者の身長,体重,竹刀長,竹刀重 の平均及び標準偏差(n=200) 最小値. 最大値. 平均. 標準偏差. 身長(cm). 113. 167. 136.7. 10.1. 体重(kg). 20. 66. 33.8. 7.8. 竹刀長(cm). 83. 112. 104.3. 6.4. 竹刀重(g). 235. 402. 317.0. 38.3. 級 位. 2. 10. 5.9. 2.5. 身長(cm). 150.0. 45.0 40.0 35.0. 130.0 125.0 120.0 115.0 110.0. 30.0 身長 (cm) 体重 (kg). 体重(kg). 表2は,全調査対象者の身長,体重,竹刀長,. 25.0 20.0. 図1 学年ごとの身長及び体重の推移. 279.
(5) 岡嶋 恒・川端 大輔・山之内良輔 竹刀長(cm). 竹刀重(g). 400.0. 120 115. 竹刀重(g). 110. 350.0. 竹刀長(cm). 105. 300.0. 100 95. 250.0. 90 85. 200.0. 80 75 70. 150.0. 1.06%. 1年生. 5年生. 0.96%. 6年生. 0.94%. 全体. 0.92% 0.90% 0.88% 0.86% 20.0. 120. 78%. 115. 5年生. 77%. 6年生. 110. 76%. 全体. 50.0. 105 100 95. 74%. 90. 73%. y = 0.4799x + 38.682 R² = 0.5842. 85 125.0. 135.0. 145.0. 155.0. 80. 身長(cm). 図3 竹刀長が身長に占める割合(n=200). 図4は,学年別の竹刀重の体重に対する割合を グラフ化したものである。竹刀重の体重に対する 割合は2年生の1.05%が最も高く,5年生の0.88% が最も低い。低学年1~3年生の数値が高学年4 ~6年生の数値を上回っており,全学年の平均値 は,0.94%であった。 図5は,空知・石狩地区に居住する小学生全体 の身長(X)に対する竹刀長(Y)の関係を表し たものである。Y=0.4799X+38.682の回帰式で示 された。相関係数 r=0.764,p<0.001で優位な相 関が認められた。 また,図6は,空知・石狩地区に居住する小学 生全体の体重(X)に対する竹刀重(Y)の関係 を表したものである。Y=3.0315X+214.43の回帰 式で示された。相関係数 r=0.619,p<0.001で優 位な相関が認められた。. 280. 40.0. 竹刀長(cm). 4年生. 72% 115.0. 30.0. 図4 竹刀重が体重に占める割合(n=200). 3年生. 75%. 4年生. 0.98%. 125. 79%. 3年生. 1.00%. 2年生. 80%. 2年生. 1.02%. 図2 学年ごとの竹刀長及び竹刀重の推移. 81%. 1年生. 1.04%. 100. 120. 140 身長(cm). 160. 180. 図5 身長と竹刀長の相関図(n=200). 竹刀重(g). 450. y = 3.0315x + 214.43 R² = 0.3826. 400 350 300 250 200. 10. 30. 50 体重(kg). 図6 体重と竹刀重の相関図(n=200). 70.
(6) 小学生の竹刀の実態調査. 2 空知地区と石狩地区の比較. 80.0%. 表4は,空知地区に居住する小学生の身長,体. 79.0%. 重,竹刀長,竹刀重,級位の最小値,最大値,平. 78.0%. 均値,標準偏差を示したものである。竹刀長の最. 77.0%. 小値は86cm,最大値は111cmで,平均値と標準. 76.0%. 偏差は104.6±6.8cmであった。竹刀重の最小値は 239g,最大値は402gで,平均値と標準偏差は 318.1±40.8gだった。級位の最小値は2級,最大 値は10級で, 平均値と標準偏差は6.6±3.2であった。 表4 空知地区の身長,体重,竹刀長,竹刀重, 級位の平均及び標準偏差(n=63). 1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 全体. 75.0% 74.0% 73.0% 72.0% 115.0. 125.0. 135.0 145.0 身長(cm). 155.0. 図7 空知地区の小学生の竹刀長/身長(学年別). 最小値. 最大値. 平均. 標準偏差. 身長(cm). 115. 167. 137.4. 10.4. 体重(kg). 21. 66. 34.7. 8.8. 78.0%. 竹刀長(cm). 86. 111. 104.6. 6.8. 77.0%. 竹刀重(g). 239. 402. 318.1. 40.8. 76.0%. 級位. 2. 10. 6.6. 3.2. 75.0%. 80.0%. 1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生. 79.0%. 74.0%. 表5は,石狩地区に居住する小学生の身長,体 重,竹刀長,竹刀重,級位の最小値,最大値,平 均値,標準偏差を示したものである。竹刀長の最 小値は83cm,最大値は112cmで,平均値と標準. 73.0% 72.0% 110.0. 120.0. 130.0 140.0 身長(cm). 150.0. 160.0. 図8 石狩地区の小学生の竹刀長/身長(学年別). 偏差は104.2±6.2cmであった。竹刀重の最小値は 235g, 最 大 値 は391gで, 平 均 値 と 標 準 偏 差 は. 74.4%が最も低い数値であった。全学年を平均す. 316.5±37.3gだった。級位の最小値は2級,最大. ると,76.1%であった。. 値は10級で, 平均値と標準偏差は5.6±3.3であった。. 図8は,石狩地区に居住する小学生の学年別の 竹刀長の身長に対する割合をグラフ化したもので. 表5 石狩地区の身長,体重,竹刀長,竹刀重, 級位の平均及び標準偏差(n=137). ある。3年生の数値が78.3%で最も高く,6年生 が74.6%で最も低かった。高学年は,学年が上が. 最小値. 最大値. 平均. 標準偏差. 身長(cm). 113. 160. 136.4. 10.0. ると,76.4%であった。. 体重(kg). 20. 60. 33.5. 7.3. 図9は,空知地区に居住する小学生の学年別の. 竹刀長(cm). 83. 112. 104.2. 6.2. 竹刀重の体重に対する割合をグラフ化したもので. 竹刀重(g). 235. 391. 316.5. 37.3. 級位. 2. 10. 5.6. 3.3. ある。2年生1.08%が最も高く,3年生の0.83%. るにつれて数値が下がっている。全学年を平均す. が最も低い。全学年を平均すると,0.92%であっ た。. 図7は,空知地区に居住する小学生の学年別の. 図10は,石狩地区に居住する小学生の学年別の. 竹刀長の身長に対する割合をグラフ化したもので. 竹刀重の体重に対する割合をグラフ化したもので. あ る。 2 年 生 の78.2 % が 最 も 高 く, 1 年 生 の. ある。2年生の割合の数値が最も高く,5,6年. 281.
(7) 岡嶋 恒・川端 大輔・山之内良輔. 1.10%. 1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 全体. 1.05% 1.00% 0.95% 0.90%. 125. y = 0.4779x + 38.88 R² = 0.5354. 120 115 110 105 100. 0.85%. 95. 0.80% 0.75% 20.0. 竹刀長(cm). 90 25.0. 30.0 35.0 体重(kg). 40.0. 45.0. 85 80. 図9 空知地区の小学生の竹刀重/体重(学年別). 100. 120. 140 身長(cm). 160. 180. 図11 空知地区の竹刀長と身長の相関図(n=63) 1.07% 1.05% 1.03% 1.01% 0.99% 0.97% 0.95% 0.93% 0.91% 0.89% 0.87% 0.85% 20.0. 1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生. 竹刀長(cm). 125. y = 0.4811x + 38.54 R² = 0.6106. 120 115 110 105 100 95. 25.0. 30.0 35.0 体重(kg). 40.0. 45.0. 図10 石狩地区の小学生の竹刀重/体重(学年別). 生の割合の数値が同等で最も低かった。全学年を. 90 85 80. 100. 120. 140 身長(cm). 160. 180. 図12 石狩地区の竹刀長と身長の相関図(n=137). 平均すると,0.95%であった。 図11は, 空知地区に居住する小学生の身長(X) に対する竹刀長(Y)の関係を表したものである。 Y=0.4779X+38.88の回帰式で示された。相関係 数 r=0.732,p<0.001で優位な相関が認められた。 図12は, 石狩地区に居住する小学生の身長(X). 竹刀重(g). 450. y = 2.8383x + 219.79 R² = 0.3719. 400 350. に対する竹刀長(Y)の関係を表したものである。 Y=0.4811X+38.54の回帰式で示された。相関係 数 r=0.781,p<0.001で優位な相関が認められた。 図13は, 空知地区に居住する小学生の体重(X) に対する竹刀重(Y)の関係を表したものである。 Y=2.8383X+219.79の回帰式で示された。相関係 数 r=0.610,p<0.001で優位な相関が認められた。 図14は, 石狩地区に居住する小学生の体重(X) に対する竹刀重(Y)の関係を表したものである。. 282. 300 250 200. 10. 30. 50. 70. 体重(kg). 図13 空知地区の竹刀重と体重の相関(n=63).
(8) 小学生の竹刀の実態調査. 1.7%であった。1年生と高学年の5・6年生は,. 竹刀重(g). 450. 身長に対してやや長い竹刀を使用していたが,比 較的適正値に近かった。一方で,2・3・4年生. 400. は適正値より身長に対して竹刀長の比率が高く,. 350. 長い竹刀を使用していることがわかった。. 300. 値に対して平均の割合が1年生で+0.19%,2年. 図16対象者全体の竹刀重と体重の割合は,適正. y = 3.1705x + 210.39 R² = 0.3906. 250 200. 10. 30. 50. 70. 生で+0.25%と最も高く,3年生で+0.16%,4 年生で+0.15%,5年生で+0.08%,6年生で+ 0.11%である。全体的に体重に対して重い竹刀を 使用していたが,特に1・2年生の数値が1%前 後であり,適正値に対してかなり重い竹刀を使用. 体重(kg). 図14 石狩地区の竹刀重と体重の相関(n=137). Y=3.1705X+210.39の回帰式で示された。相関係 数 r=0.625,p<0.001で優位な相関が認められた。 3 適正値との比較. していた。また5年生が最も適正値に近かった。. 1.20% 1.10%. 筆者らは,小学生の竹刀の適正値について,最. 1.00%. も扱いやすいと感じた竹刀の竹刀長/身長の比率. 0.90%. は,平均0.732±0.022,竹刀重/体重の比率では, 平均0.008±0.0014と報告した。ここでは,竹刀長 /身長の比率0.732(およそ73%) ,竹刀重/体重 の比率0.008(およそ0.8%)として調査データと. 全体 空知地区 石狩地区 適正値. 0.80% 0.70% 0.60% 1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生. 比較を行う。 図15で対象者全体の竹刀長と身長の割合を比較. 図16 体重に占める竹刀重の割合(各地区). すると,適正値に対して,1年生で+2.7%,2 年生で+4.7%,3年生では+5.2%と最も高く,. 竹刀長と身長の割合を地域別で適正値と比較す. 4年生で+3.8%,5年生で+2.6%,6年生で+. ると,空知地区は,1年生で+1.4%,2年生で +5.2%,3年生で+3.6%,4年生で+4.2%,5. 79.0%. 年生で+2.3%,6年生で+2.2%,空知全体で+. 78.0%. 3.1%だった。石狩地区では,1年生で+3.5%,. 77.0%. 2年生で+4.3%,3年生で+5.3%,4年生で+. 76.0%. 3.7%,5年生で+2.8%,6年生で+1.6%,石狩. 75.0%. 全体で+3.4%だった。. 74.0% 73.0% 72.0% 71.0% 70.0%. 両地区の平均値に大きな差は無く,全学年身長 全体 空知地区 石狩地区 適正値. 1年生2年生3年生4年生5年生6年生. 図15 身長に占める竹刀長の割合(各地区). に対して長い竹刀を使用していたが,空知地区の 1年生と石狩地区の6年生が適正値に近い比率で あった。空知地区の1年生を除き,両地区の1~ 3年生は身長に対して長い竹刀を使用していた。 次に,竹刀重と体重の割合を地域別に比較する. 283.
(9) 岡嶋 恒・川端 大輔・山之内良輔. と,空知地区は,1年生で+0.16%,2年生で+. 大きいと言える。. 0.28%,3年生で+0.03%,4年生で+0.15%,. ・空知地区では,筋力が未熟で竹刀操作が上手く. 5年生で+0.05%,6年生で+0.1%,空知全体で. できない初心者・初級者に対し,指導者が短い. +0.12%だった。また石狩地区は,1年生で+. 竹刀を選定して使用させている傾向が見られた。. 0.21%,2年生で+0.23%,3年生で+0.17%, 4年生で+0.15%,5年生と6年生は同じ数値で +0.11%,石狩全体で+0.15%だった。. 5 今後の課題. 空知地区の3年生を除き,両地区の1~4年生. 使用する竹刀の選定に関して,指導者や保護者. は5~6年生に比べ,体重に対してかなり重い竹. の意識は高いとはいえない。特に,経験の浅い小. 刀を使用していた。空知地区の3年生だけは自分. 学校低学年層では,身体に合わない竹刀を使用す. の体重に適した重さの竹刀を使用しており,適正. ることで技能の向上に支障をきたし,悪癖の一因. 値とほぼ同じであった。. となるだけでなく,障害の危険性も考慮しなけれ ばならない。小学生が適正な竹刀を使用し,剣道. 4 まとめ. の技術が安全に,そして正しく習得されるよう今 後も指導者や保護者への啓発が必要である。. 本研究では,空知地区・石狩地区の小学生が使 用する竹刀の長さ,重さを計測し,身長と体重に. 参考文献・引用文献. おける体格との比率を算出した。そのデータを, 筆者らによって報告された適正値と比較すること によって,以下のような知見が得られた。 ・空 知・石狩地区に居住する小学生全体の身長 (X)と竹刀長 (Y)の関係はY=0.4799X+38.682 の 回 帰 式 で 表 さ れ, 相 関 係 数 r=0.764,p< 0.001で優位な相関が認められた。 ・空 知・石狩地区に居住する小学生全体の体重 (X)と竹刀重 (Y)の関係はY=3.0315X+214.43 の 回 帰 式 で 表 さ れ, 相 関 係 数 r=0.619,p< 0.001で優位な相関が認められた。 ・空知地区の1年生の身長に対する竹刀長の割合 が74.4%で両地区の中で最も低く,適正値に近 かった。 ・空知地区の3年生の体重に対する竹刀重の割合 が0.83%で両地区の中で最も低く,適正値に近 かった。 ・竹刀の長さについては全体的に短くなる傾向が みられたが,竹刀の重さについては空知地区の 3年生を除き,ほとんどの学年が体重に対して 竹刀の重さが0.9%を超えており,重い竹刀を 使用している傾向が見られた。竹刀重に関して は改善が必要であり,今後指導者の担う役割が. 284. 1)岡嶋恒・巽申直:小学生の竹刀に関する調査研究― 体格との関係から─,北海道教育大学紀要第2部C, 第45巻,第1号,pp79-85,1994 2)岡嶋恒・巽申直:小学生における竹刀の適正値につ いて,釧路論集第27号,pp296-280,1995 3)岡嶋恒・高橋朋亮:小学生の竹刀の実態調査―釧路 地区と旭川地区を中心に─,釧路論集第38号,pp8690,2006 4)室淳子・石村貞夫:SPSSでやさしく学ぶ統計解析, 東京図書1999 5)全日本剣道連盟:剣道試合・審判規則 剣道試合・ 審判細則,p25,2009. (岡嶋 恒 北海道教育大学岩見沢校教授) (川端 大輔 札幌市立平岡緑中学校) (山之内良輔 ホクレン農業協同組合連合会).
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