Title
壮令広葉樹林分と壮令リュウキュウマツ林分との収益性
試算
Author(s)
砂川, 季昭
Citation
琉球大学農家政工学部学術報告 = The science bulletin of
the Division of Agriculture, Home Economics & Engineering,
University of the Ryukyus(11): 102-108
Issue Date
1964-12
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12000/19327
壮令広葉樹林分と壮令リュウキュウマツ林分との収益性試算
砂川季昭* SueakiSuNAKAwA:Comparisonoftherentabilityofmature broad-1eavedforestandmatureRyukyu-matsu (P伽泌smchw"sisMays)forest. I緒 ロ リュウキュウマツは,沖縄における主要郷土針葉樹種である。そのため,リュウキュウマツの拡大 造林が積極的に取上げられ,現存する奥地広葉樹林分の林種転換の問題が検討されてきている。反面, 画一的なリュウキュウマツの積極的造林に反対する技術者もいないではない。即ち,土地保全,植生 の面より危倶の念を抱くのであろう。 然るに,広葉樹林分とリュウキュウマツ林分の収益性については,比較する確かな資料もなく,お よそ後者が大であろうとの概念を持っているに過ぎない。 故に筆者は現行の資料を参考にして,表題に関する計算を,奥担当区に限って試みた。 資料の1部は,琉球政府経済局林務課佐渡山安清氏に提供して頂いた。厚く御礼申し上げる次第で: ある。 Ⅲ計算に必要な因子 1)1,3当り立木価格,及び利用率 奥担当区内で,現在までに立木処分された最近2,3年の林分の立木価格は第1表の通りである。こ の表を参考にして,計算に必要な因子を第2表の如く推定した。即ち,第2表は次のような考え方で 作製した。 i)丸太に利用される立木の最小直径を12cmとし,12cm以下は薪材と見微した。 ii)利用率は(LH),林分表から,30年における用材歩合50%,35年における用材歩合57% (約60%)を計算して,その他の林令においては適当に推定した。 リュウキュウマツは,広葉樹の10%増とした。 iii)1,s当りの価格を,用材では,リュウキュウマツは20年を$5.00,40年を$9.00とし,広 葉樹は,20年を$4.50,40年を$6.50として,その間の林令における価格は適当に按分し,薪材・で は,リュウキュウマツ,広葉樹共,平均的な値$0.15とした。 2)造林費琉球政府経済局林務課で査定している造林費を参考にした。即ち,人夫1人1日 当り$1.50とし,新植89人,人工下種65人,補植13人,補播10人,保育8人で,リュウキ ュウマツは,人工下種,補播,保育の計$124.50に,種子代(1ノ当り$5.00×2J=310.00)を加え た,$134.50,広葉樹は,手入れを行わない場合と,手入れを行う場合の二つに分けて,それぞれ$0.00 *琉球大学農家政工学部林学科砂川:壮令広葉樹林分と壮令リュウキュウマツ林分との収益`性試算 10⑭ 第2表用薪材の単価及び 利用率の予想表 第1表立木払下価格表
僅鰯徽縢’
|樹種|露U五三if二可訂ill;i行{i可
薪歩⑪
材合J 、湘班
処分 年度IIJ |雛
|篝
UllI
34433 50000 54322 00000 5500 81192 ●●●●● 13333 1964 1964 1962 1961 1962 05050 22334 ’121』;三i
ll2'1
暇鮒il
Bi】
LH 〃 〃 〃 〃 LH 〃 〃 〃 〃 05050 22334 4.50 5.25 6.00 6.25 6.50 55555 11111 ●●●●● 00000 65433 00000 1961 1962 1964 1961 1961 00000 34566 及び31.50×12人=$18.00を造林費とした。 3)管理費沖縄北部の平均値$3.00を用いた(全琉平均は$2.50である)。 4)利率年6%で計算した。 ⅡI土地期望価の計算 収穫予想表(第3表,第4表)を作製し,前記各因子の数値を用いて計算した。その結果一 第6表に示してある。 第3表リュウキュウマツ収穫予想表(ha当り) 初めに, を第5表, 主副林 木合計 幹材積 (m3) 副林木 林木|雫本苧|
|謹引
主 林齢| (年)’101
幹材積 (m3)薙鰊I
54 本数 (本)樹|雫齢
6.416.0M182
95 2360 665643 828858 112222 692678355619 505050 122334 840 10.0 133 12.8 15.8 18.6 21.2 23.6 460 1340 167 11.5 1090 198 226 251 250 12.8 910 180 120 13.9 790 14.8 第3表は,辻本克巳:リュウキュウマツの重量成長量に関する研究(p41)を参照し,第4表は, 三善正市:カシ,シイの中心郷土地;帯における'常緑広葉樹林の林分構成,成長,更新ならびに施業に 関する研究(plO)の資料と,筆者が現在まで調査した資料を参考にして作製した。 尚,第4表の数値は,萠芽更新を期待して作製した。材積欄の(1)は,萌芽更新後何等の手入れを 行わない場合の数値で,(2)は,萠芽更新後芽かき等の手入れを行った場合に,30%の材積増加が期 待できるものとして計算した値である。この場合,平均直径,平均樹高,立木本数の変動が予測され_ るが,これらは無視した。琉球大学農家政工学部学術報告第11号(1964) ユ04 広葉樹林分収穫予想表(ha当り) 第4表 材積(m3)
(1)’(2)
本数 (木) 平均D (c、) 平均H(、) 林齢 (年) 505050 122334 6.5 9.5 11.5 12.0 13.5 16.5 505050 ●●●●●● 589001 111 7700 7400 6800 5800 5200 4800 150050 961346 12222 050500 726790 11112 ノュウキュウマツ金員収穫予想表(ha当り) 第5表 主伐収入|間伐収入|主間収入計 20 30 林齢 25 35 40 230.39 05050 22334 275.98 128.65 404.63 172.16 308.32 412.59 256.91 343.80 191.98 744.75 460.10 552.77 1208.97 413.58 899.91 309.06 553.46 269.10 1620.58 1351.48 360.11 1829.37 1588.83 240.54 487.30 間伐収入後価合計 主伐収入 172.16 1065.70 1786.26 1208.97 404.63 744.75 1620.58 1829.37 404.63 1696.27 357.57 収 入 計 916.91 2686.28 3615.63 183.34 収入の現在価 278.56 401.87 389.40 造林費の資本価 管理費の資本価 195.44 175.37 162.84 154.65 149.00 50.00 50.00 50.00 50.00 50.00 44 支出の現在価 245 225.37 212.84 204.65 199.00 土地期望価 62.10 53.19 144.73 197.22 190.40 第6表広葉樹金員収穫予想表(ha当り) 造林費の 資本価 収入の 現在価 支出の現在価 林齢 収 入 管理費 土地期望価 c=0 180.00 348.00 535.50 721.05 789.00 81.56 105.72 112.88 107.87 84.98 05050 22334 0〉〃〃〃〃 50.00 〃 〃 〃 〃 50.00 〃 〃 〃 〃 31.56 55.72 62.88 57.87 34.98 c=18 05050 22334 237.60 456.75 703.80 929.78 1025.70 107.66 138.76 148.36 139.10 110.47 26.16 23.47 21.79 20.70 19.94 50.00 〃 〃 〃 〃 76.16 73.47 71.79 70.70 69.94 31.50 65.29 76.57 68.40 40.53砂川:壮令広葉樹林分と壮令リュウキュウマツ林分との収益,性試算 105 Ⅳ指率の計算
1)地価をB=A〃+DqLOp"~α+…
1.0p2`-1  ̄とした場合。 各林令における地価を計算すると,第7表の通りである。 第7表の平均地価を用いて,指率の計算をすると,第8表のようになる。 指率の計算には次式を用いた。 第7表地価計算表 地価 ($) 平均地価($) 樹種 計算式B,。=丁鶚≦二
B鍋=74475鵲砦×Ⅷ
B80=’208.97+128.65×1.0610+191.98×,、06,5
10630-1:::二}上と同様に計算する。
183.34 リュウキュウマツ 230.95 278.56 318.07 357.57 379.72 395.64 401.87 389.40 237.60 B20= 107.66 1.0620-1 456.75 広葉樹 123.21 ’’’’’’一一 戸、)、叩)■『』(、叩》 (廸巫】、ご{)、(》△耳』一 BBBB 138.76 1.0625-1 143.56 143.73 124.79|比同様に計算州
148.36 139.10 110.47 第8表指率計算表 A〃+DqLOpz`-α+・・・ B= の場合 B=$150.00 の場合の 指率(%) 1.02W-1 樹種 計算例 指率(%)…=(</雛圭+鵜辛::-1)川、
8.9 8.5 広|比同様陰計算州
●●●767 641 667 ●●● 641 栞樹 ⑩⑩① (m二一】①(》《五四一Pへ』(⑪叩)Pnu{{{ {辺叩一⑤二m)△|幻』・へ』叩)Pn》(|印加)一一一一一一(ii/職圭雛辛::-1)×Ⅲ
マ ツ Ⅱノユ方/キ,ユウ/ 8.4 9.3 ⑩20~25==|比同様に計算州
●●●260 742 8.3 5.3 2.2 ⑩25~30- の30~35- ⑩35~40-琉球大学農家政工学部学術報告第11号(1964) 106
。=(<>/畿笥鶉二一I)×'0、
ここに, Amは加年生における金員収穫 Am+”は、+〃年生における金員収穫 Bは第7表で計算した平均地価 Vは$3.00÷0.06=$50.00 である。 2)地価を$150.00とする場合。 国頭村役所伊地公有林での払下げ坪当り価格(1963年)は,$0.04~$0.08である。これら価格の差 川は,地位及び地利によって異なるが,奥担当区内の平均地価を坪$0.05と推定して,ha当り$150.00 を用いると,指率は第8表の如く計算される。 V考察 1)伐期齢 i)平均材積成長量最大の時期は,リュウキュウマツ,広葉樹とも25年である。 ii)単位面積当りの土地純収穫を最大にする時期は,リュウキュウマツ35年,広葉樹30年である。 iii)指率が一般利率と略等し<なる時期は,リュウキニウマツ35年,広葉樹30年である。 iv)以上の事から,リュウキュウマツは25年~35年,広葉樹は25年~30年の範囲で,伐期令 を決定すれば良いと考えられる。 2)収益性 i)伐期齢として,リュウキュウマツ35年,広葉樹30年を採用すると,伐期におけるha当り 主伐収入は,リュウキュウマツ$1351.48,広葉樹3703.80(手入れをした場合)及び$535.50(手入 れをしない場合)となり,間伐収入を加えると,リュウキュウマツは$1620.58となる。 ii)伐期における土地期望価は,リュウキュウマツ$197.22,広葉樹$76.57(手入れをした場合) 及び$62.88(手入れをしない場合)であって,収益性は広葉樹に較べてリュウキュウマツが大きい。 iii)リュウキュウマツの施業において,更新後若干の保育を加えるにしても,利用間伐を考慮せず, 薑粗放な取扱いをすると,収益性は広葉樹に較べておとる。 即ち,間伐収入を除外して,リュウキュウマツの土地期望価を計算すると,第9表の通りであって, 主伐収入は,35年において61351.48の収入があるが,土地希望価は-$2.47となり,収益性は著し く低下する。 以上要するに,奥地林分の林種転換に際しては,労働力が得られず,保護管理も不充分で,積極的 第9表リュウキュウマツ金員収穫予想表(主伐収入のみ)|達山
l垈憲
林齢 土地期望価 05050 22334 -120.39 -57.44 -24.10 -2.47 -27.88砂川:壮令広葉樹林分と壮令リュウキュウマツ林分との収益,性試算 107 :な施業の不可能なときには,リュウキュウマツの造林を行うよりは,現在の広葉樹林に保育を加え, 有用樹種の増殖ならびに材積成長量の増加に努めた方が良いことになるので,リュウキュウマツの造 林を推進するためには,以上の事に注意する必要があろう。 Ⅵ摘 要 1)リュウキュウマツと広葉樹の収益'性を比較するために,土地期望価及び指率の計算を試みた。 ;計算に必要な因子を次の如く定めた。 i)丸太に利用される最小胸高直径を12cmとした。 ii)用材歩合は,広葉樹では30年を50%,35年を6Mとして,その他の林齢におけるものは 適当に按分した。リュウキュウマツは広葉樹の10%増とした。 iii)薪材歩合は,90%(10%は未利用材として除く)から,ii)の各林齢における用材歩合を差引 いて,それぞれの林齢における利用率とした。 iv)1,s当り価格は,用材は,リュウキュウマツの20年を$5.00,40年を$9.00とし,広葉 樹は20年を$4.50,40年を$6.50として,その間の林齢における価格は適当に按分した。薪材は, リュウキュウマツ,広葉樹共$0.15とした。 v)ha当り造林費は,リュウキュウマツ$134.50,広葉樹は手入れを行う場合$18.00,行わない 場合$0.00とした。 vi)管理費は$3.00とした。 vii)利率は年6%とした。 viii)地価は,収益価及び推定価格$150.00を使用した。 2)伐期令は,リュウキュウマツは25年~35年,広葉樹は25年~30年が適当であろう。 3)土地期望価最大の時期は,リュウキュウマツ35年,広葉樹30年で,これらの時期における 主伐収入は,リュウキュウマツ31620.58,広葉樹は手入れをする場合$703.80,手入れをしない場 合$535.50で,土地期望価はそれぞれ$197.22,$76.57,$62.88であって,リュウキュウマツは広 葉樹に鞍ぺて収益性は大である。しかし,リュウキュウマツの取扱いが粗放なときには,主伐収入は 大であっても,収益性は広葉樹におとるので,奥地広葉樹林分の林種転換に際しては,充分注意しな ければならないと考える。 参考文献 三善正市1958カシ,シイの中心郷土地帯における常緑広葉樹林の林分構成,成長,更新なら びに施業に関する研究.熊本営林局. 中島広告1949林価算法及び森林較利学. 総理府特別地域連絡局1961西表島第二次農業調査報告書. 砂川季昭1955与那演習林内におけるオキナワシイ立木幹材々積表.琉球大学農家政学部学術 報告第2号. 1956沖縄経営区におけるオキナワシイ立木幹材々積表.琉球大学農家政学部学術報 1) 2) 3) 4) 5) 告,第3号. 6) 7) 8) 1957琉球松の成長量調査.L琉球大学農家政学部学術報告,第4号. -1959琉球松の成長量調査.Ⅱ琉球大学農家政工学部学術報告,第6号. 1961リュウキュウマツ林の施業に関する研究.I・琉球大学農家政エ学部学術報告,
108 琉球大学農家政工学部学術報告第11号(1964) 第8号. 吉田正男1960 辻本克巳1963 号. 9) 10) 林価算法及林業較利学. リュウキュマツの重量成長量に関する研究.鹿児島大学農学部学術報告,第13 R6sume夕 1.Tocomparerentabilityofthebroad-1eavedforestandtheRyukyu-matsu(Pi""s〃c伽e"sos Mayr)forest,theauthorcalculatedtheexpectationvalueofforestlandandindexpercenL Necessaryfactorsaredecidedasfollows: 1)Theleastdiameterofthebreastheightoflogisl2cm、 2)Lumberpercentageare50%in30yearsand6Min35yearsinthebroad-leaved tree,andthepercentageofotherageprescribedaccordingly・Thepercentageofthe Ryukyu-matsuaddedlMtothebroad-leavedtree、 3)Thepercentagetobeutilizedforfuelistheremainderof90%,thevalueofthetree forutilization. 4)PriceofRyUkyu-matsuperlm8inthelumberis$5.00of20yearsofageand$9.00 of40years,andastothebroad-leavedtree,$4.50in20yearsand$6.50in40years・ Thepriceoftreeofotheragesareprescribedaccordingly、Thepriceofthebothkinds oftreesforfuelwoodare$0.15. 5)TheexpenditureperlhaOfRyukyu-matsuas$134.50andthatofthebroad-Ieaved treeis$18.00. 6)Forestmanagementexpenceis$3.00. 7)Therateofinterrestis6%、 8)Thevalueoflandisconsideredfromboththenetvalueofforestsoilandtheestimated landvalue,$150.00. 2.ThesuitablefinalageoftheRyukyu-matsuis25to35years,andthatofthebroad-leaved tree,25to30years 3・TheeconomicalmaximumutilizationperiodoflandfortheRyUkyu-matsuis35yearsand30 yearsforthebroad-1eavedtree・Thereturnfromfinalcuttingintheseperiodsare$1620.25 fortheRyukyu-matsu,$703.80forthebroad-leavedtreewhentenderedand$535.50when untendered・Theexpectationvalueoflandis$197.22,$76.57and$6288respectively・The Ryukyu-matsuisbetterthanthebroad-1eavedtreeforrentability・However,whenthe managementoftheRyukyu-matsuisunproper,thereturnfromfinalcuttingsofitisgreater thanthatofthebroad-1eavedtrees,therentabilitymaybesmaller・Therefore,itisne-cessarytoconsiderwhethertoplanttheRyukyu-matsuornotintheremoteland.