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へき地の理科教育 ― 小学校児童の自然認識・経験 等 ―

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

へき地の理科教育 ― 小学校児童の自然認識・経験 等 ―

著者 永田 四郎

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

18

ページ 129‑142

発行年 1982‑03‑23

その他のタイトル Science Education of Elementary School in the Remote Village

URL http://hdl.handle.net/10105/6526

(2)

へ き 地 の 理 科 教 育*

   小学校児童の自然認識・経験等

永  田  四  郎榊

 (理科教育研究室)

 は じ め に

 前報で述べた様に、奈良県内の指定されているへき地小学校の全部と準へき地小学校の一部と の57校に対し、ω教師(学校)側と、12〕4,5,6年生児童全員とを対象として、小学校の理科 教育に関連すると考えられる諸項目について回答を求めた。40余校から回答を得たので、集計整 理し、前報では教師(学校)側からの回答結果について、その一部を報告した。教師側からの回 答についての分析もなお十分に終えていないが、ここには児童からの回答を集計整理したものを、

各質問項目ごとに、特に気づいた点などを報告しておきたいと思う。

 回答児童数はユ,OOO名余であるか、そのうち第1表に示す995名について集計した。回答の内 容が多種多様で、どの様に整理してへき地の理科教育に活かしたらよいか、まだ良い案を得てい ないが、幾つかの項目については、試みに地域的な差があると考えられる三つの地区、すなわち、

十制11地区(十制11村、大塔村、野迫川村)、北山地区(川上村、上北山村、下北山村、天川村)、

宇陀地区(宇陀郡各村と東吉野村)に分けて集計してみた。

 今後、前報での教師側からの回答を更に分析し、これとともに児童の回答内容の分析を加えて へき地の理科教育にできるだけ有効に活かしたいと考えている。

 重ねて、ご協力いただいた諸校の先年方と児童とに厚く謝意を表する次第である。

 調 査 項 目

 児童に対して回答を求めた内容は第1表の如きもので、28項目にわたっている。これらの大体 の内容は、O児童の家の近くの自然環境 O近くで見られる魚、虫、花、鳥、石の名称とそれら についての経験 O木の葉、実や山菜についての経験 ○月、星を見るための環境状況や関心

○自然災害の状況や程度 O工作の技能や経験O理科学習の好き嫌い、興味ある学習 ○理科 の学習意欲、疑問興味 Oへき地に住んでいることに対する感想などである。要するに、へき地 の子どもたちは、如何なる自然環境の中にいて、どの様な自然への興味関心や疑問を持っている のか、どの程度の理科的学習経験、日常経験と知識を持っているのか、そして周囲の自然環境に 対して如何なる見方をしているのかなど、これらを子どもの側から知ろうとしたものである。

 回答を整理しながら、これらの調査項目内容には、あまり適切でなかったと思われるものや、

質問形式をもっと適切にする様研究すべきであったなど、幾つかの点で反省させられた。なお、

学年や性別は資料の分析上、必要な場合も予想して記入してもらったが、氏名については単なる

* Science Education of E1ementary School in the Remote Village

**Shiro Nagata(Department of Science Education,Nara University of Education,Nara)

(3)

1.

2.

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6

7

8.

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1O1

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18.

19.

20.

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22.

23.

24.

        第1表児童に対す。る質問内容   匝]

あなたの家はどんなところにありますか。・…・・(谷まの広いところ、谷まのせまいところ、山の中ほど、

       山の止)

家の近くに 川や池がありますか。……(」llがある、池がある、ダムがある、川も池もダムもない。)

川や池には 何がいますかぺ…・・(       )

魚つりをしたことがありますか。何がつれますか。…(ある。ない。 1       〕がつれる。)

近くに どんな虫がいますか。……(       )

虫をとるのはこわいですか。……(こわくない。 1      〕がかわいい。 〔     〕が

      こわい。)

虫をかごに入れてそだてたことがありますか。……(ない。 〔       〕をそだてた。)

近くでどんな花がさきますか。一・(       )

花をにわや はちにうえて そだてたことがありますか。…(ない。 〔      〕をそだてた。)

近くで どんな 鳥がないたり とんでいますか。一・・(      )

鳥をかごに入れて、かったことがありますか。…(ない。 〔      〕をかった。)

いろいろな木の葉で かさIりやもようなどを作ってあそぴましたか。 (ない。1     〕をした。)

どんな木のみをひろいますか。木のみでどんなあそびをしますか。・(〔        〕のみを ひろう。木のみで〔      〕あそびをする、あまりひろわない。)

わらびやふきなどをとりに行きますか。…(行かない。 〔      〕をとりに行く。)

近くに どんな石がありますかぺ・…・(      )

いろんな石をあつめて あそんだことがありますか。… (ない。 〔        〕をした。)

あなたの家のあるところから 月や星が見えますか。…(よく見える、あまり見えない。)

月や星を見ますかぺ…・・(あまり見ない、ときどき見る、見るのがすきでよく見る。)

あなたの家では お月見や たなばたまつりをしますか。…(どちらもしない、お月見をする、たなばた        をする。)

今までに 大風や大雨で こわかったことがありますか。(ない。大風で〔       . 〕し

た、大雨で〔      〕した。あまりこわくない、たいへんこわい。)

小がたなや かまや ほうちょうなど きれものがつかえますか。… (よくつかえる、あまりよくっかえ        ない。)

工作でどんなものを作りましたかぺ・・(風くるま、やじろべえ、こま、ふえ、竹とんぼ、空気てっぽう、

水てっぽう、行うま、くるま、ふね、本だて、木のはこ、鳥がご、紙ひこうき、もけいひこうき、〔

       〕)

理科は すきですか。・・一(〔       〕だからきらい、

〔       〕だからすき。)

今までの理科のべんきょうで どんなことがおもしろかったですか。

25.夏やすみなどに 工作や 採集や かんそくなどをしたことがありますか。・(ない。 〔

〕をした。)

26理科のことで、知りたい乙と、やってみたいことがありますか。

27 ふしぎだなあ と思っていることがありますか。おもしろいなあと思うことがありますか。

28.山の中に住んでいて 良いなあ と思うことがありますか。

4,5,6年生 男、女 名まえ

皿130一

(4)

形式的なもので特に意味はない。無記名の回答もかなりあった。

 回 答 結 黒

質問項目のそれぞれについて気づいた点の概要を述べる。各文頭の1〜28は項目の番号である。

これらのうち数項目については、本学学生中垣氏の協力を得た。謝意を表する。

1.全体を通じて山の中ほどが最も多く、山の上が最も少ない。或る教師からは、この項目は子  どもが決めにくい点があると指摘があったが、事実へき地に入って谷川沿いの道路から見ると  よくもあんな高所に家を建てたものだと驚くものでも、いざその場所に行って見ると、その付

近は平地の集落で、子どもには山の中ほどか、山の上か何れかを決めにくい様である。従って、

 この項目については、あまり意味が見出せない。

2.家の近くに川がある者が最も多く、池のある者も多い。川も池もダムもない者もかなりいる。

 十津川地区や北山地区には近年数ケ所に大きなダムが建設され、それらの近くに住む子どもも

 多い。

  学校は大抵のものが近くに川、池、ダムなど、いわゆる 水の多い環境 に設置されている  と見ていい様に思われ、これらの恵まれた水環境を利用し活かす学習活動が考えられよう。

3.川や池にいるものとして全体的に多くあげているのは、アユ、ウグイ、アメノウオ、ハイジ  十コ、コイ、カニ、ウナギ、フナ、カエル、メダカ、ムッ、タニシ、ゴリキ、オタマジャクシ、

 キンタ、ドジョウ、ブラックバスなどである。子ども達はその地区特有の呼び名であげている のがあり、多種である。都市部や平地部の子ども達よりは自然界にすむ魚などの名前や経験知  識は多く待っていると見られる(付表2参照)。

4.魚を釣った経験は、ほとんどの子どもが侍っている。女の子に釣った経験の無いのが幾らか  ある。釣れるものとして、ハイジャコ、アユ、フナ、アマゴ、ウグイなどが多い。魚を釣るこ  とを通して、魚のいろいろな形態、習性についても当然得ていると思う。

5.近くにいる虫としては、コオロギ、カブトムシ、バッタ、チョウ、トンボ、カマキリ、セミ、

 クワガタ、アリ、ハチ、カメムシ、テノトゥムシ、力、ハエ、ヰリギリス、ゲンジ、クモ、ガ、

 アブはとが多く書かれている。家の中でよく見られるハエ、カ、ムカデ、ゴキブリなどをあげ  た子どもも多い。カブトムシとクワガタを別にあげているのでその通りまとめた。子どもの中  には いっばいいる とか いろいろたくさん^などと書いたものもある。

  ミズスマシ、ゲンゴロウなど水中や水辺の生きものをあげたものが少ないのは意外である。

 (付表3参照)。

6.虫をつかまえるのがこわいかという質問には、ほとんど全員がこわくないと答えている。極  く少数の女の子がこわいと答えた。山の子は虫をこわがりません、というのが或る先生の答え  であった。虫でかわいいものとして、カブトムシ、チョウ、コオロギ、トンボ、テントウムシ  などが多い。こわい虫としては、カマキリ、ハチ、ムカデ、クモ、ケムシ、カメムシ、ヘビ、

 ガなどをあげている。しかし幾らかの子どもは、カマキリをかわいいものにしているが、子ど  もたちがこわいというのは、ハチ、ムカデ、ヘビなど危害を与えるもの以外は、気味がわるい、

(5)

 という程度ではなかろうか。なお、こわい虫の中にゴヰブリがかなり多いが、これはどの様に 解釈したらよいだろうか。

7、虫を育てた経験は大部分の子どもが侍っている。カブトムシ、クワガタが最も多く、コオロ  ギ、スズムシ、ゲンジなども多い。

  以上の5.6.7項目から、へき地の子どもたちは、虫についての経験や知識も多く、こわがら  ず親しみを持っている様である。ただ前述の通り、水中や水辺の虫についても、さらに関心興  味を持たせたら、と思う。

8.近くで見られる花としては、ヒガンバナ、タンポポ、コスモス、ユリ、ヰタ、サクラ、アサ  ガオ、スミレ、レンゲ、ウメ、チューリップ、ヒマワリ、ツツジ、百 日草、ツユクサ、ダリヤ、

 バラ、アザミ、ホウセンカ、リンドウ、ツバキなど多種をあげている。幾人かの子どもは  ろいろたくさんある 名まえをしりません と答えている。へき地では野生の花や栽培され  ている花は豊富で、子ども達は名前も知らないままながめているのが多いのであろう。(付表  4参照)

9.花を育てた経験もほとんどの子どもが侍っている。ただ4年生の子どもには育てた経験の無  いものがかなりいる。育てたものは、アサガオが最も多く、ヒマワリ、チューリップ、キク、

 ホウセンカ、ヘチマ、ヒヤシンス、コスモスなどが多い。

  前報で教師側から、学校ではアサガオ、ヒマワリ、ヘチマの成熟開花期が気候の関係で夏休  みに入り、観察指導が困難であるとするのが多かったが、それを補う意味からも子どもの家庭  での栽培と適切な観察指導が望まれる。

10.近くで見られる鳥としては、カラス、スズメ、トンビ、ウグイス、ツバメ、ハト、メジロ、

 タカ、キジ、セヰレイ、シラサギ、ヤマガラなどと多くあげてい乱その他に子ども達があげ  ている鳥名は多いが、 たくさんいるが名まえが分らない という子どもも幾人かいた。 (付  表5参照)

11.鳥を飼った経験のある子どもは約半数強である。飼ったのは、インコ、メジロ、ジュゥシマ  ツ、ブンチョウ、ヤマガラ、ウグイスなどで、ニワトリをあげている者も幾人かいた。

  鳥を飼うといっても、実際には餌を與えたり世話をするということであろう。

  8〜11の項目に関連して、へき地の子どもは花や鳥についての観察、経験は豊かであると見  られるが、 何とはなしに ながめたり声を聞いたりしている場合が多く、意識して、意欲的  に観察するところまではあまりいっていない様である。そして子どものまわりに多くあるのに、

 それらの名前も知らない子どもが多い様である。

12.木の葉遊びはほとんどしていない。少数の者が、くびかざり、面や顔づくり、模様つくり、

 おし葉、ふねなどをあげている。実際には、もっと遊んでいるのではないかとも思うのだが、

 それが意識されていないのではなかろうか。

13.木の実遊びは木の葉遊びよりは多い。コマつくり、フエつくり、ヤジロベエや人形づくり、

 くぴかさIりつくり、などであった。単に投げ合いというのも多い。木の実では、ドングリが最  も多く、シイ、クルミ、マツボックリ、カヤ、茶の実、クり、ツバキの実などである。

■132_

(6)

  ユ2,13項目に関連して、K小学校(へき他校)では、秋の美しい紅葉や実などをいろいろ子  ども達に持って来さして、教室一はいに飾って秋祭りみたいなことをしていると聞いた。

  木の葉遊び、木の実遊びなどももっと工夫し、指導し、へき地ならではの自然環境を楽しみ  たいものである。

14.ワラビやフキ、など山菜を取りに行くことは大抵の子どもがしている。取るものは、ワラビ、

 フキ、ゼンマイ、イタドリ、タケノコ、マツタケ、ヨモギ、ウドなどであ乱

15.近くにある石の質問は、適当でなかったと思われる。というのは、まだ岩石についての学習  はほとんどしていないで、大部分の子どもは答えなかったし、 名まえをしらない という子  ども、大きい石、中ぐらいな石、小さい石と大きさで区別したり、まるい石、ひらべったい石、

 ごつごつした石、角はった石などと形で区別して答えている。極く少数の子どもが、せっかい  岩、あんざん岩、などと答えているが、これらも参考書等からの単なる知識の様に思われる。

 ご石、じゃり石、など用途別のもの、字の書ける石と軟かさに注目しているもの、赤い石、黒  い石、すきとおった石など色で区別しているのはおもしろいが、おとこ石やめくら石とはどん  な石はのか分らない。

16.石を用いた遊びでは、していないと答えたものが7,8割であるが、遊びとしては、石けり、

 石つみ、石なげ、絵を書く、石ならべ、けんけん、おはじき、石みがきなどをあげている。

  前報に教師側の回答で、岩石についての学習指導が困難であるというのが多かったが、子ど  も側からの回答を見てもこれが裏づけられる。多くの学校の近くに美しい川原があり、奇麗な  種々の石がたくさんあるのだから、これを活かした学習活動が欲しいものである。

17.18.ほとんど全部の子どもが、家から月や星がよく見えると答えている。あまりよく見えな  いと答えた者が極く少数いるが、実際には山間へき地であるので、天空のかなりの部分が山や  樹木で隠されて見えないと思われる。従って子ども連の答えは天空の面積をいっているのでは  なかろうと思う。

  月や屋をときどき見ているというのが最も多いが、見るのが好きでよく見ると答えた子ども  もかなりいる。あまり見ないというのは少数であ乱

19.家でお月見やたなばたをしているかの質問では、意外に、どちらもしない、と答えた者が多  い。地域によっては、これらの行事をほとんどしていない様である。これと別の調査でも、へ  き地で月見やたなばたの自然崇拝の行事を意外におこなっていない実情に驚いたことがあるが、

 へき地なれば一こその美しい月や星をながめ、年中行事の中にとり入れたら、と思うのである。

  なお、月見をする方がたなばた行事よりは多くなってい乱

20.大風や大雨の自然災害については、ほとんどが、こわかったことはない、あまりこわくない  と答えている。少数の者が、屋根が飛んだ、大きな木が倒れた、大水でがけがくずれた、かみ  なりがなったなどをあげて、 たいへんこわいと答えている。地形の複雑なへき地であるので、

 地形によっては災害を受けやすいが、子どもたちの大抵の家は災害を受けにくい様な場所に建  っているのであろう。

21,22.工作についての質問である。へき地の子どもは都会地の子どもよりは一般にかまやなた

(7)

 などの切れ物を使い慣れているのではないかと筆者は想像している。これらの切れ物をよく使  えると大部分の子どもが答えている。果してどの程度に上手に使えるのかは分らないが、少な  くとも子どもたちは、これらをしばしば使っていて、目分ではよく使えると思っている様であ

 る。

  工作で作った ものは、ここにあげた物についてはそれほど多くない。風ぐるまや紙ひこうき  が最も多く、やじろべえ、空気てっぽう、水てっぽう、ふねなどが次に多い。もけいひこうき  がかなり多いが、どんなものか分らないが、プラモデル的なものも含んでいるのではないかと  思う。ここにあげたもの以外で、貯金箱が多かった。

23.理科の好き嫌いでは、ほとんどの子どもが好きと答えている。その理由は、いろいろ実験す  るからというのと、外に出て観察したり採って来たりするからというもの、役に立つからなど  の理由をあげてい孔しかし中には嫌いとはっきり書いている者もいて、特に女の子に多いが、

 先生の教え方がおもしろくないなど感情的な理由も見られ、また、理科は分りにくい、むつか  しいと答えている子どももかなりいる。

24.今までにおもしろかった理科学習としては、酸・アルカリの水溶液の実験、顕微鏡観察のデ  ンプンの実験、酸素と二酸化炭素、空気てっぽう、水てっぽう、豆電球や乾電池の実験など、

 教科書に出ているおもな教室内実験の他に、川の水の流れと働きや、太陽、月の観察、花たん  に花を植えたり育てたりしたことなどの教室外の活動もあげている。地層や星の観察はあげて  いないが、これは指導があまり行われなかったからではないかと想像する。このことは前報の  教師側の指導困難な教材として一地層や星の指導があげ亨れているのとも一致している。

25.26.27.夏やすみなどを利用した工作や採集はほとんどの子どもが行なっているが、ただ工作  と書いて、その内容が分らないのが多い。採集や観測についても同様で、その内容や程度を知  りたい。何もしない者もかなりいる。

  理科で知りたいこと、やってみたいこと、ふしぎだなあと思うことなど子どもの興味、関心、

 疑問についての答えは比較的少ない。答えたものでは、どうして電池であかりがつくのかなど  教室での学習と結びつくもの、宇宙、太陽、月、地球、星、宇宙人、UFOなど宇宙的なもの  や、人間や動物の生死に関連するもの、虫は誰が発明したのか、人間はどうして作られたのか  など、哲学的で答え様のないものなどである。もっと子どもの身辺で実生活と結びつく種々の  ことがある筈である。それに気づかせたい。

  やって見たいもので目立つのは、解剖である。魚やカエルの解剖の他に人間を解剖してみた  いというのが幾人もいる。

28.へき地に住んでいることを子ども達はどの様にとらえているか。大部分の子どもは、へき地  に住んでいることを喜んでい乱その理由としては、空気がきれい、水もきれい、景色が美し  い、虫や魚がたくさんいる、車が少なく静かで公害がない、広い遊び場がある、木に登って遊  べるなどをあげている。中には、死んだら土に埋めてもらえると書いている子もいる。ただ、

 数名の子どもが良いとは思っていない、そのわけは不便であるからとしている。女の子である。

一134一

(8)

 お わ り 1こ

 以上の28項目について、へき地の児童の側からの回答を一べつして見た。先にも述べた如く、

その調査内容や質聞方式など幾つか検討を要する点を感ずるが、とにかく、へき地児童の多くの 答えからは今後の へき地の理科教育 について教えられることが多く、前報の教師(学校)側 からの回答内容と併せて、有効適切に分析し活かしてゆきたい。

 今回はなしていないが、例えば男女の差、地域の差、学年の差などでも分析してみるなら、ま た別の有意議な示唆が與えられるかもしれない。ここではへき地一般についてまとめてみたが、

同じへき地であっても、地域によってそれぞれの自然環境がかなり異なっているので、それに応 じた学習活動も考えねばならない。

 へき地の子ども達は、種々の不便さの中で生活しているが、恵まれた自然の中で、理科教育に 関連する自然環境、事物は極めて豊富で、こ羽.が多過ぎて却って子ども連の関心を薄くし、気づ かないまま、何とはなしに、良い教材を見逃している様である。教師としては、適切な教材を取 り出し、その指導法を考え、子ども達に自然探究の目を向けさせねばならない。それによって、

子ども達は、へき地への愛着、喜びをさらに大きくし、自然と共に生きるであろう。

 しかし現状では、へき地の教育には幾多の難しい問題があり、これらをどの様に解決、改善し てゆくべきか、その具体策を考え、可能なものは実行してゆかねばならない。簡単容易なことで

はない。

 最近特に、自然の愛護が叫ばれているが、へき他校の一部でもよいから へき地なればこそ と誇れる立派な理科教育が出来ないものだろうか。現にそれを目ざして努力をつづけている学校 もあろうし、発展を期待したい。それにしても、ただ一校だけの教師児童数は少ないので、適当 な地域、範囲の数校が寄り援け合い、外からの適切な指導援助も得て、共同研究、共同学習の態 勢を作りあげることが必要ではなかろうか。

 より良い へき地の理科教育 をめざして、小学校について調査をしてきたが、多くの課題を 解決するために、今後さらに具体的にこの研究を進めたい。へき地諸校の今後のご協力をお願い

する。

参  考  文  献

(1〕永田四郎:へき地の理科教育一北設小学校の場合一、奈良教育大学教育研究所紀要、第        15号(1979)

12〕永田四郎:へき地の理科教育一小学校理科授業での問題点一、奈良教育大学教育研究所紀        要、第17号(1981)

(9)

付表1 回答児童数

十津川筋 北山筋 東  部

49 44 68 161

4年 女 54 30 42 126

103 74 11O 287

64 53 61 178

5年 女 56 45 59 160

120 98 120 338

82 44 61 187

6年 女 65 50 68 183

147 94 129 370

195 141 190 526

合計 女 175 125 169 469

370 266 359 995

一i36一

(10)

付表2 川や池にいるもの

十津川筋 北 山 筋 束   部

6年

総計

4年 5年 6年 4年 5年 6年

4年 5年

ア  ユ 27

31

54 112 23 48 35 106 44 42 43 129 347

ウグイ 12

19

46 77 24 48 35 107

10 10 9

29 213 アマゴ

3 8

27 38 19 25

12

56 39 35

41

u5 209

ハイジヤコ**

1O 28

1O

48

21

39 30 90 14 29 19 62 200

コ  イ

22

16 41

79

13 16

23 52 23 13

31

67 198 カ  ニ 12

26 11

49

16 9 4

29

19 14

27 60 138

ウナギ

11

20

35

66

8

22

15

45

9 11 5

25 136

アメノウオ*

15 30

35

80

7 20

20 47

0 0 0 O

127

フ  ナ

9 l1

25 45

5 21 7 33 5 9 10

24 102

カエル 17

7 6 30

15

15 11 41 5 9 12

26 97

ハ  イ** 8 5 12

25

O 3 3 6 24

19

19

62 93

メダカ

4 12 5 21 3 12 12 27 13 3

25

41

89

ム  ツ

18

14

39 71 1 4 2 7 1 0 O 1

79

タニシ

1 2 12 15 7 2 3

12 25

17 8

50 77 ゴリキ

11

15

5 31 O O 0 O 14 6

20 40 71

オタマジャクシ 1 7 13 21 9

12

12

33

1 3 9

13 67

ギンタ

O 2 3 5 l1 17

21 49

O O 1 1 55

ドジヨウ 4 2 0 6 8 15 7

30

7 O 9

16 52

ジヤコ** 10

5 24

39

0 0 0 0 0 o O 0

39

ブラックバス 2 0 14 16 3 11 8 22 O O O 0

38

アカムツ

O 5

lO

王5 6 1O 5 21 O 0 O 0

36

キンギョ

3 1 6 1O 3 9 0 12 4 2 6 12

34

カ  メ 3 8 4

15

O 5 O 5 0 9 3 12

32

ゲIンク

0 0 0 O O 0 0 O 11 6 14 31

31

」ウラク 6 13 3

22

3 6 0 9 0 0 0 0 31

アカバイ 4 5 工4 23 0 0 0 0 O 0 1 1

24

ヤ  ゴ

O 3 1 4 2 O O 2 3 8 7

18 24

カ  ブ

3 3 13 19 O 1

2 0 O O O 21

モ ロ コ 0 0 10

20

1 0 O 1 0 O 0 O 21

カゲロウ

0 O 7 7 7 3 2 12 O 0 0 O 19

その他多い順に イモリ、ナマズ、メンダ、カワニナ、ギギ、オイカワ榊、マス、ムツボウズ、アブ

       ラコ、ハイボウズ、ケラ、アカザ、ムッベ、ヒル、カマッカ、エビ、ヤマメ、ハス、

       アメンボ、カワナズミ、ボウズ、シロハイ、ゲンゴロウ、チチカゴI、クチグサリ、チ

       ョメンコ、アブラハヤ、ミズカマキリ、他18種

   辛、榊は同種

(11)

付表3 近くにいる虫

十津川筋 北 山 筋 東   部

4年 5年 6年

4年 5年 6年

4年 5年 6年

総計

コオロギ 39 48 38 125 40

54

31 125 34 55 37 126 376

カブトムシ

38

39 71

148 26 75 35 136 43 27 20 90 374

バッタ 28 58 38 124 35 44 34 113 45 25 55 125 362 チョウ 33 32 58 123 24 48

16

88 48 33 30 111 322 トンボ 23 37 43 103 26

39

21 86 49 41 38 128 317

カマキリ 20

33

63 116

13 ユ7 13

43

16

21 55 92 251 セ  ミ 17 26

35

78

工1

40

8

59 28

14 14

56 193 クワガタ 21 23 34 78

6 14 7

27

13

15 23

51

156 ア  リ

5 8 33

46

9 16

15 40

8 ユ0

26 44 130 ハ  チ

7 7 25

39

14 11

13 38

7 ユ6

13 36 l13 カメムシ*

1 2 7

10

12 16 O

28

1l 14 28

53

91

テントウムシ 5 11 7

23

9 11 9

29

21 8 7

36 88

カ 1 4 8 13

1O

14 1

25 18

6 18

42 80

ノ、   工 3 3 17

23

1O 7 6

23

3 10 工7

30 76

キリギリス 4

14

2

20

7 工4 4

25

4 6 13

23 68

ゲンジ

3

lO

4 17 O 2 2 4

27

11 7 45

66

ク  モ

6 7 13

36

14 11

13 38

7 16 13

36 1lO

ガ 0 6 14

20

3 16 2

21

4 2 2 8

49

   A  フ

1 3 17 21 2 0 1 3 O 3 7 10

34

ムカデ

1 4 7

12

0 4 7 l1 0 9 0 9

32 ホタル

3

lO

4 17 O 2 2 4

27

11 7

45 66

コガネムシ 1 1 13 15 2 0 4 6 2 O 2 4

25

タマムシ

8 3 9

20

1 1 0 2 2 0 O 2

24

カミキリ

3 0 3 6 1 4 O 5 7 2 1

lO 21

ケムシ

0 6 8 14 0 1 2 3 O O 0 0

17

カタツムリ 2 6 0 8 6 O 0 6 2 0 3 5

19

クソズ*

0 O 0 O 4 12 O

16

O 0 0 O 16

ゴキブリ

3 O 1 4 2 1 4 7 1 1 1 3 14

、    、     ,

 ミ ス O 5 1 6 0 1 3 4 2 1 7

10 20

イナゴ

0 O 0 0 1 O O 1 1 6 4 11

12

その他多い順に カナブン、ナメクジ、ウマオイ、ダンゴムシ、ミツバチ、クツワムシ、タマムシ、

       アメンボ、ケラ、イラムシ、スイッチョン、クサムシ、カゲロウ、ナナホシテントウ、

       ミズスマシ、ブト、ゾウムシ、ミノムシ、コメツキ、ギイス、ゴミムシ、マイマイカ        ブリ、ゲンゴロウ、クサンド、ナナフシ

   *は同種

一138一

(12)

付表4 近くに咲く花

十津川筋 北山筋 東  部

総計

4年 5年 6年

4年 5年 6年

4年 5年 6年

ヒガンバナ 37 49 36 122 29

18

33 80

21

18 49 88 290 タンポポ

19

26 27 72

15 31

33 79

31

37 32 100 251 コスモス 25

14 14

53 25

13 24

62 33 25 28 86 201

ユ  ーリ 23 28 39 90

3 17

20 40 12 28 28 68 198

キ  ク

15 16

34 65

17 7

23 47

14

30 37

81

193

サクラ

9 19

25 53

11 15

44 70

5

17 15 37 160

アサガオ

7 7 18

32

12

23

13

48 10 10

15

35 115

ス ミ レ

14

15

11

40

4 17 10 31 14 l1

16 41 112

レンゲ

15 9 19

43

6 15 3

24

8 7 14

29 96 ウ  メ

0 7

23 30

7

7126一 40

3 8 8

19 89

チューリップ 14 6 4

24

5・ 1418

27 10

14

1o 34 85

ヒマワリ

8 4

16 28

4 1514

23

8 3

16 27 78

ツツ ジ

3 8 31

42

O

6115

21 5 4 O 9

72 百日草

4 5

24 33

5 16

24

1 4 5

lO 67

ツユクサ

7 15 4

26

4 15 0 19 O

17

5 22

67

ダー 潟

7 6 10

23

3 3 6 12 6 1

10

17

52

バ  ラ

3 6 7 16 O 8

121 20

4 4 7 15 51

ホウセンカ

3 12 11

26

2 5 2 9 4 6 2

12 47

リンドウ

3 4 lO 17 0 O 6 6 12 5 16 33

56

アザミ

2 O 3 5 0 6 O 6 3 2 19

24 35 ツバキ

3 7 2 12 1 1 3 5 1

13

o 14 31

スイセン

1 6 3

1O

1 7 1 9 7 3 2 i2

31

ホタルブク□ 4 4 4

12

3 10 0 13 1 1 1 3

28

ノギク

0 O O O 2 o 0 2 9 5 9

23 25

シロツメグサ 1 1 O 2 O 0 0 0 3 3 14

20 22

ヤマブキ

O 0 0 O 1 1

16 18

O 1 3 4

22

モ   モ

O 4 15

19

O O O 0 O 3 0 3

22

月見草

O 0 0 O 1 O 1 2 5 0 11 16

18 ススキ

O 0 O 0 O 7 10 17 0 O O O

17

アジサイ

0 O 1 1 1 3 5 9 2 3 0 5 15

その他多い順に マーガレット、シャガ、グラジオラス、キキョウ、サツキ、キンモクセイ、モクセイ、

       フジ、ネジリバナ、ヒメジオン、アプラナ、ナンテン、ナノハナ、スズラン、ナデシ        コ、ヤマユり、サルビヤ、ヒヤシンス、ハルジョン、パンジー、フクジュソウ、アヤ        メ、オオイヌノフグリ、クローバ、ボタン、サルビヤ、ツリガネニンジン、カーネー

       ション、ラン、オミナエシ、マツバボタン、オシロイバナ、アヤメ、ボケ、ハコベ、

       サクラソウ、他71種

(13)

付表5 近くで見られる鳥

十津川筋 北 山 筋 東   部

4年 5年 6年

4年 5年 6年

4年 5年 6年

総計

カラス 62 77 97 236 54 65 79 198 58 39 79 176 610 スズメ 37 54 78 169 30 34 36 100 57 64 56 177 446 トンビ 27 36

58

121 23 30 46 99 30 27 24

81

301

ウグイス

18

42 55 115

15

32 30 77 28 33 35 96 288

ツバメ 24 38 40 102 26

24

28 78

27

39 36 102 282

ハ  ト*

21

28 44 93 18 32 34 74 37 28 28

93

260

メジロ

17

13

23

53

7 l1 8

26

o O 1 1

80

タ  カ

14 9 15

38

4 6 3 13 9 7 8 24

75

キ  ジ

8 13 22

43

O 0 O O 1 6 10 17

60

セキレイ

1 2 12

15

4 5 17

26

6 3 2 11

52

シラサギ

O O O 0 0 0 1 1 7

23

5

35 36

ヤマガラ

9 12 10 31 3 2 0 5 0 O 1 1

37

フクロウ

2 3 14

19

1 2 1 4 6 3 6 15

38

キツツキ

7 2 14

23

O 1 5 6 0 3 2 5

34

ヤマバト*

0 3 6 9

15

0 0

15

2 0 7 9

33

ヒョドリ 5 2 15

22

O O 1 3 1 5 9 32

カケス

3 5 14

22

1 1 1 3 0 1 o 1 26

ヤマドリ

2 6 7 15 O 0 O O 3 5 2 10 25

モ  ズ

6 5 4 15 0 1 4 5 1

2 4 24

カワセミ

o 7 6 13 0 1 2 3 1 1 1 3 19

ワ  シ

3 2 O 5 O 2 2 4 3 3 2 8 17

コジュケイ 1 0 12 13 0 O O 0 1 O 0 1 14

カツコウ

2 4 3 9 1 1 0 2 2 O 1 3 14

ガアス

O 4 9 13 O 0 0 0 O O 0 O 工3

シジュウガラ 1 O 7 8 1 1 1 3 O O 2 2

13

ホホジロ

0 3 3 6 1 1 1 3 0 O O 0 9

サ  ギ

O O 0 0 O 8 1 9 0 O O O 9

ヒバリ

1 0 0 1 2 O 3 5 O O 3 3 9

イタクラ

0 O 8 8 0 0 O O 0 0 O O 8

ホトトギス 0 O O 0 2 O O 2 1 4 O 5 7

その他多い順に シリフリ、チドリ、ツグミ、その他19種

   *は同種

一1−O一

(14)

へき地児童の理科研究発表会

へき地小学校、理科授業

(15)

142

参照

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